« 明日朝東京に帰ります。(PS:帰京しました) | トップページ | 私信 »

2009年5月 9日 (土)

超弦理論(22)(2-11)

 超弦理論(superstring theory)の続きです。

 

 これまでは共変ゲージαβ=ηαβで物理的状態になるべき補助条件としてヴィラソロ条件(Virasoro条件)を課して自由ボソン弦の量子化を調べてきました。

 しかし,以前に指摘したように計量(metric)をhαβ=ηαβと固定した後に,なお特殊な弦の座標選択を可能にするゲージ対称性が残っています。

 実際,特殊な非共変選択をすることによってヴィラソロ拘束方程式を陽に解き,物理的自由度のみを記述するフォック空間の理論を展開できるようになります。

 以下で述べる自発的に破れたゲージ理論のユニタリゲージに類似した定式化は元々1973年にGoddard,Goldstone,Rebbi,Thornによって展開されたものです。

 これは光錐(光円錐)定式化(light-cone定式化)と呼ばれるものです。この定式化は明白に共変なわけではありませんが明白にゴースト・フリー(ghost-free)です。

 

 逆に,ゴースト・フリーではないけれど明白に共変な共変定式化とこれの同等性を証明することによって,「ゴースト非存在の定理(no-ghost theorem)」の厳密な証明を得ることができます。

 光錐定式化を,ここで述べるのには他にも多くの理由があります。 

歴史的には,双対模型(dual model)が弦理論であるということを確立させたのも光錐量子化でした。

 

光錐描像は非常に物理的なものです。そしてまた,多くの計算やa=1,D=26という選択の必要性を理解する上で有益な理論的枠組みを与えるものです。

 さて,既に見たように,共変ゲージhαβ=ηαβで開弦の境界条件を満たす弦座標:Xμ(μ=0,1,..,D-1)は,Xμ(σ,τ)=xμ+pμτ+iΣn≠0[(αnμ/n)exp(-inτ)cos(nσ)なるモード展開の形で表わされます。

 そして,これがヴィラソロ補助条件T++=T--=0 を満足することにも留意しておきましょう。

 

 さらに,世界面の再パラメータ化:σα→σα+δσα (δσα=ξα)において,∂αξβ+∂βξα=Ληαβを満たす任意の変換,または生成子V≡ξ)(∂/∂σ),V≡ξ)(∂/∂σ)で生成される変換に対応するゲージ対称性が残っていることを見ました。

この残りの対称性を追加のゲージ条件として用いるわけです。これは非共変ですがとても便利なものです。 

まず,時空において光錐座標として,,X導入することから始めます。

 

,XをX≡(X0+XD-1)/21/2,X≡(X0-XD-1)/21/2で定義します。これらは,以前弦の世界面に導入した光錐座標σ±に似ていますが大きな違いがあります。

時空においては,D個の座標があり,それらの中で2つ,X0とXD-1を任意の非共変な方法で選抜することを伴ないます。

 

一方,世界面上では,元々たった2つしか座標がなく,σ±を定義する選択に何の任意性の余地もありません。

さて,光錐座標ではD個の時空座標はX±と残りの横波の空間座標Xi(i=1,2,..,D-2)です。

 

ここでミンコフスキー計量(Minkowski metric)ημνのゼロでない成分はη+-=η-+=1,ηii=-1 (i=1,2,..,D-2)です。

この座標系では,任意のベクトルVμの成分もV±=(V0±VD-1)/21/2とVi (i=1,2,..,D-2)になります。

 

2つのベクトルVとWの内積はVW=V+V-Viiで与えられます。また,反変⇔共変の添字の上げ下げは,V=V,V=V,Vi=-Viなるルールに従います。

それでは,残るゲージ対称性からは,どのような簡単化が可能なのでしょうか?

これに関し,2009年3/14の過去記事「超弦理論(14)(2-3)」において,以下のような記述があります。

 

"共変ゲージの典型的な形としてhαβ=ηαβと置くだけではまだゲージ自由度を完全には使い尽くしていません。

 

αξβ+∂βξα=Ληαβを満たす任意の組合わせに対する再パラメータ化:σα→σα+δσα (δσα=ξα)をすれば,この(再パラメータ化)+(ワイルスケーリング:Weil-scaling)の後で,なお特殊な共変ゲージ選択hαβ=ηαβが保持されます。

このとき,∂τξ0=∂σξ1=Λ/2,∂τξ1=∂σξ0より∂τ0+ξ1)=∂σ0+ξ1),∂τ0-ξ1)=∂σ1-ξ0)です。

 

これは,ξ±=ξ0±ξ1なる光錐系の言葉では,∂ξ=0 ,∂ξ=0 なること,つまりξはσ=τ+σの任意関数であり,ξはσ=τ-σの任意関数であることを意味します。"

すなわち,世界面の光錐座標σ±=τ±σで表現すると,残りのゲージ不変性は任意の再パラメータ化の可能性:σ→σ~),σ→σ~)に対応します。

 

閉弦ではσとσは独立に再パラメータ化されますが開弦の場合には両者は境界条件でつながっています。

つまり,τ=(σ+σ)/2 → τ~=[σ~(τ+σ)+σ~(τ-σ)]/2,σ=(σ-σ)/2 → σ~=[σ~(τ+σ)-σ~(τ-σ)]/2なる再パラメータ化が許されます。

  

これはτ~が質量のない自由な波動方程式:(∂2/∂σ2-∂2/∂τ2)τ~=0 の任意の解であることを意味しますから,τ~が決まればσ~も完全に決まります。

では質量のない自由な波動方程式の解τ~を選ぶ自然な方法とはどんなものでしょうか?

τ~について唯一要求される条件は,それが自由な波動方程式:(∂2/∂σ2-∂2/∂τ2)τ~=0 の解であることです。

 

この方程式は以前に見た共形ゲージ(conformalゲージ)で,時空座標Xμ(σ,τ)が従うべき方程式:□Xμ=(∂2/∂τ2-∂2/∂σ2)Xμ=0 と全く同じ形をしています。

そこで,残るゲージ自由度は,望むならパラメータτ~が正確に弦の座標Xμの1つに一致するように再パラメータ化してもよい,という事実に対応します。

 

これは,光錐ゲージではτ~=X/p+const.と選んでもよいことを意味します。通常これはX(σ,τ)=x+pτなる光錐ゲージ選択をすることで表現されます。

このことは古典的記述において,n≠0 の振動子座標αnを全てゼロと置くことに相当します。

 

弦座標のX成分は弦が無限大運動量で運動するような系で見られる時間座標に対応します。このゲージ選択ではXがσに依存しないので,弦のあらゆる点が同じ時間での値を取るという概念的な利点を有します。

そこで,X(σ,τ)=x+pτによってX(σ,τ)を固定することにします。

 

このとき,ヴィラソロ拘束方程式(d±')2=0 はX-d±X'={Σi=1D-2(Xid±Xi')2}/(2p)となります。

この式から簡単に陽に解くことができて,これをXiと未知の積分定数で表わせることがわかります。

 

つまり光錐ゲージでは,XとXの両方を消去できて,横波の振動子Xiのみが残ります。

(訳注48):すぐ前で参照した「超弦理論(14)(2-3)」にあるように,世界面光錐座標でのエネルギー運動量のゼロでない成分はT++=-∂,T--=-∂です。

 

 ∂=∂LLd,∂=∂RRdですから,これらはT++=-(Ld)2,T--=-(Rd)2と書けます。

そこで,拘束条件:T--=T++=0 は(Rd)2=(Ld)2=0 なることを意味します。

 

逆に,(Rd)2=(Ld)2=0 は∂X==0 であり,∂±=(∂τ±∂σ)/2 ですから,元の拘束条件は(d±')2=0 とも表現できます。

 

(訳注48終わり)※

開弦のXのモード展開は,Xμ=xμ+pμτ+n≠0[(αnμ/n)exp(-inτ)cos(nσ)]から,X=x+pτ+iΣn≠0[(αn/n)exp(-inτ)cos(nσ)]となります。

 

そこで,X-d±X'={Σi=1D-2(Xid±Xi')2}/(2p)から得られるαnの陽な解は,αn=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞n-miαmi:}-aδn]となります。

 

ここで共変的扱いとしてα0に未知の正規順序(normal-ordering)定数:aを導入しました。

(訳注49):X-d±X'={Σi=1D-2(Xid±Xi')2}/(2p)にX=x+pτ+iΣn≠0[(αn/n)exp(-inτ)cos(nσ)]を代入すると,p+Σn≠0nexp{-in(τ±σ)}]=[Σi=1D-2Σm,n=-∞αm-niαniexp{-im(τ±σ)}]/(2p)となります。

そこで,この式の左辺のn=0 と右辺のm=0 の項を比較して等置すると,α0=p={Σi=1D-2Σm=-∞α-miαmi}/(2p)=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞-miαni:}-a]を得ます。

 

左辺のn≠0 の項からはαn={Σi=1D-2Σm=-∞n-miαmi}/(2p)=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞n-miαni:}が得られます。

 

(訳注49終わり)※

光錐ゲージではα0とpを同一視することは質量殻条件そのものを意味します。

 

実際,α0=p=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞n-miαmi:}-a]から,Mを質量としてM2=2p-Σi=1D-2ii=2(N-a),N=Σi=1D-2Σn=1α-niαniが得られます。

以下では,縮約の規則を採用し,必要がある場合を除いてΣi=1D-2iiをpiiと書くことにします。こうすれば,質量殻条件はM2=2p-pii=2(N-a),N=Σn=1α-niαniと簡単になります。

また,この式は22p-pii=-2a+2Σn=1α-niαniと表現できますから,先に共変的扱いで見出されたM2=-2a-2Σn=1α-nαn (ただしα-nαnα-nμαnμ)と同じ質量殻条件です。

 

もっとも今の場合,N=Σn=1α-niαniには横波振動子のみが寄与するという違いがあります。(「超弦理論(17)(2-6)」参照) 

ところで,量pαn=(1/2){Σm=-∞n-miαmi:}-aδnはヴィラソロ代数を満足します。

 

すなわち,交換関係:[pαm,pαn]=(m-n)pαm+n+[{(D-2)/12}(m3-m)+2am]δm+nが成立します。

 

これを得るための計算は共変量子化でのヴィラソロ代数の論議と正確に同じです。これは光錐量子化における基本公式と考えられます。

(訳注50):[pαm,pαn]=(m-n)pαm+n+A(m)δm+nと書けば超弦理論(18)(2-7)」と同様にして,(m)=c33+c1mですが,[pα1,pα-1]=2pα0+c3+c1で,かつ2pα0= 2p=pii-2a+2Σn=1α-niαniです。

n≠0 なら,pαn=(1/2){Σm=-∞n-miαmi:}ですから,0=<0;0|[pα1,pα-1]|0;0>=-2a+c3+c1です。

 

また,[pα2,pα-2]=4pα0+8c3+2c1より(D-2)/2=<0;0|[pα2,pα-2]|0;0>=-4a+8c3+2c1を得ます。

それ故,c1=-(D-2)/12+2a,c3=(D-2)/12が得られます。すなわち,A(m)={(D-2)/12}(m3-m)+2amです。

 

(訳注50終わり)※

さて,理論がこの光錐ゲージで本当にローレンツ共変かどうかを調べたいと思います。

 

素朴に考えると,そうあるはずです。

 

なぜなら,これはローレンツ共変性が基本にあるゲージ不変な理論において,単にゲージを1つに固定することによって得られたものであるからです。

aとDの幾つかの値に対して理論に何か不都合があるとすれば,それはローレンツ不変性が陽には維持されない光錐ゲージにおいて,具体的にローレンツ不変性の欠如を示す良い機会を与えると考えられます。

さて,光錐ゲージにおいては,全ての弦の励起は横波振動子αniによって生成されます。

 

例えば,第1励起状態はα-1i|0;p>で与えられます。これは横波による(D-2)次元回転群SO(D-2)の(D-2)成分のベクトル表現です。

横に偏極した運動量ベクトルでも,質量がゼロでないなら一般にローレンツ変換によって縦の偏極成分を獲得します。

 

これは,"質量のある粒子のスピンはSO(D-1)の既約表現で分類され,一方,質量の無い粒子はSO(D-2)の既約表現に対応する。"というよく知られた事実の言明です。

 

(ただし今はボーズ粒子の弦ですが,フェルミ粒子の話なら,これをカバーする群であるスピン群:Spin(D-1)とSpin(D-2)を回転群SO(D-1)とSO(D-2)の代わりに用いる必要があります。)

したがって,もしもベクトル状態:α-1i|0;p>が質量の無い粒子状態でないなら光錐ゲージにおいてローレンツ共変な弦理論を与えることができないことは明らかです。

 

それ故,理論がローレンツ共変であるためには,状態α-1i|0;p>に対するM2=2p-pii=2(N-a)の固有値がゼロであることが要求されます。

 

そこで,N=Σn=1α-niαniからNα-1i|0;p>=1より,結局a=1でなければならないと結論されます。

次に時空次元Dに対する制限を理解するというより困難な問題に向かいます。

最初に,たった今得たローレンツ共変な弦理論であるための必要条件:a=1を用いた発見的な議論をします。

そのために,正規順序定数aを直接計算で求めることを試みます。

まず,[αmμnν]=-mδm+nημνより,横波成分については[αminj]=mδm+nδijですから,[αn-n]=[αni-ni]=n(D-2)が得られます。

 

そこで,(1/2){Σn=-∞α-niαni}=(1/2){Σn=-∞-niαni:}+{(D-2)/2}{Σn=-1n}です。

 

もちろん第2項の和は発散するので何らかの正則化がなされる必要があります。

  その正則化の1つの方法として,一般的な場の理論でも同様な正規順序の問題でよく用いられる'ゼータ関数正則化'を使用してみます

一般的な和n=-1-sを考えます。Res>1に対しては,この和はリーマンのゼータ関数ζ(s)として知られている関数に収束します。

 

そしてゼータ関数ζ(s)の方は点s=-1にも一意的に解析接続できて,ζ(-1)=-1/12となります。

そこでn=-1-sにおいてs=-1とおいた和:Σn=-1nに,このζ(-1)の値-1/12を強引に'代入する'と{(D-2)/2}{Σn=-1n}=-(D-2)/24なる式が得られます。

 

(これは,もちろん正しい等式ではありませんが,"くりこみ"における擬似等式ではそれは承知の上です。)

ところで,我々は既にα0=(1/2){Σn=-∞α-niαni}=(1/2){Σn=-∞-niαni:}-aの定数aが1であるべきことを知っているので,(D-2)/24=1と等置することから,時空次元Dが26であることが示唆されます。

こうしたゼータ関数正則化は幾らか形式的なものですが,後章で零点エネルギーを正則化するという,より物理的な方法からも同じ答を得ることになります。

今日はここまでにします。 

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

PS:しかし,ビーチバレーの報道でよく思うのですが,浅尾・西堀ペアのスポーツニュースではいつも浅尾さんばかりがクローズアップされるのが少し不満です。

 

 私は昔から双子の西堀姉妹のお姉さん?の方の「西堀健実」さんの方がはるかに好みのタイプです。

  http://ameblo.jp/takemi0820/  

 

 まあ「浅尾美和」さんの方が圧倒的に人気があるのかも知れませんが,ペアの勝敗などのニュースでも,浅尾さん1人だけのインタビューや1人だけの映像でニュースが終わってしまうのには,個人的にいつも不満に思っています。

 

 西堀さんの方は,なんとなく私の姪の「N子=ハンドル名:いくよくるよ」や,ときどきここにコメントくれる「れな(れい)ちゃん」にも似ているようで親しみを感じますしね。。。

 

http://folomy.jp/heart/「folomy 物理フォーラム」サブマネージャーです。

人気blogランキングへ ← クリックして投票してください。(1クリック=1投票です。1人1日1投票しかできません。クリックすると人気blogランキングに跳びます。)

にほんブログ村 科学ブログへ にほんブログ村 科学ブログ 物理学へクリックして投票してください。(ブログ村科学ブログランキング投票です。1クリック=1投票です。1人1日1投票しかできません。クリックするとブログ村の人気ランキング一覧のホ-ムページームに跳びます。)

http://www.mediator.co.jp/category/pages.php?id=115「中古パソコン!メディエーター巣鴨店」

iconDell-個人のお客様ページ

(Dellの100円パソコン(Mini9)↓私も注文しました。)

デル株式会社

ベルーナネット(RyuRyu)  ベルーナネット

ヤーマン プラチナゲルマローラー 1日3分コロコロエステ!ローラー型プラチナ配合美顔器  

ブックオフオンライン 

お売りください。ブックオフオンラインのインターネット買取 展開へ! ▼コミック 尾田栄一郎 「ONE PIECE(52)」 icon ▼コミック 「ONE PIECE」をオトナ買い icon

三国志特集 ▼コミック 横山光輝 「三国志全巻セット」 icon 「三国志(文庫版)全巻セット」 icon  「三国志(ワイド版)全巻セット」 icon  ▼書籍 「三国志」/吉川英治 icon  「三国志」/北方謙三 icon  「三国志」/宮城谷昌光

iconオンライン書店 boople.com(ブープル)

|

« 明日朝東京に帰ります。(PS:帰京しました) | トップページ | 私信 »

116. 弦理論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 超弦理論(22)(2-11):

« 明日朝東京に帰ります。(PS:帰京しました) | トップページ | 私信 »