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2009年7月15日 (水)

水の波(6)(有限振幅の波:非線形波1)

 水の波の続きです。

 かなり間が開きました。早く非線形波,ソリトンへと進んでいこうと思います。 

前回の最後では,x軸とそれに直角なy方向に単位長さ,そして

鉛直z方向には水底z=-h(x,y)から水面η~ 0までの立体

Vを取り,Vの中の水のエネルギーを,波のエネルギーをw

して,波のエネルギーの時間変化について書きました。

 
そして,εを水のエネルギー密度とすると,

w/dt=d/dt=∫V(∂ε/∂t)dV+∫S(εvn)dS,

ε=ρ|∇Φ|2/2+ρgzと書けることから,

"波のエネルギー保存則の微分形=波のエネルギー方程式":

w/dt=d/dt

=ρ(∂/∂x){∫S(x)(∂Φ/∂t)(∂Φ/∂x)dS}

を得ました。

 
今日は,まず,微小振幅の線形波に対して,具体的に,この波

のエネルギー方程式を計算します。

 
微小振幅波の速度ポテンシャルは,

Φ(x,z,t)

=-{Ac/sinh(kh)}cosh{k(z+h)}cos(kx-ωt)

と書けることを既に見ました。

ただし,cは位相速度で,c=ω/k={gtanh(kh)/k}1/2

です。

 
前と同じように,時間間隔δtを取ります。

δtは波群の時間的変化の尺度に比べれば十分短かいけれど,

その中には多数の振動を含むとします。

 
波のエネルギーwや水のエネルギー,実際にはtだけ

でなくxの関数でもあるので,

/dtを∂/∂tと書き,エネルギー方程式を

/∂t

=∂ρ(∂/∂x){∫S(x)(∂Φ/∂t)(∂Φ/∂x)dS}

と書き直します。

  
これに,上記の具体的な微小振幅波の速度ポテンシャル

を代入して,(∂/∂t)δt

=ρ∫0δtdt[(∂/∂x){∫-h0(∂Φ/∂t)(∂Φ/∂x)dz}]

を計算します。

 
すると,(∂/∂t)δt

=ρ(∂/∂x)[{Ac/sinh(kh)}2(-kω)∫0δtdt

-h0dz cosh2{k(z+h)}sin2(kx-ωt)]

=-ρ(∂/∂x)[{A2c/sinh2(kh)}gktanh(kh)

{h/2+sinh(2kh)/(4k)}]δt/2

=-δt(∂/∂x)[(ρgA2c/2){1/2+khsinh-1(2kh)}]

となります。

  
すなわち,

/∂t=-(∂/∂x)[(ρgA2c/2){1/2+khsinh-1(2kh)}]

です

また,微小振幅線形波のエネルギーの表式は,w=ρgA2/2

です。

 
そして,以前に書いた「水の波(4)」で与えたように,

微小線形波の群速度の一般的な表式は,

g=dω/dk

=c[1-(1/2){1-(γk2)/(ρg)}{1+(γk2)/(ρg)}

+khcosech(2kh)] です。

 
この式で,表面張力γを無視してこれをゼロと置くと,

g=c{1/2+khsinh-1(2kh)} となります。

 
これを用いると,波のエネルギー方程式は,

w/∂t+∂(cgw)/∂x=0  となります。
 

この形は,3次元の流れ(波)では∂w/∂t+div(gw)=0

なる連続の方程式に相当します。このことは波の群速度g

波群のエネルギーの伝播速度を与えることを示しています。

 
さて,もしも波の振幅が微小ではなく,有限な大きさであると

すると,この波は本記事の「水の波(1)」で書いたように,

2Φ=0 を満たす速度ポテンシャルΦ=Φ(,t)から

得られる水面の高さη=η(x,y.t)を表わす式:

η=-g-1(∂Φ/∂t)-(2g)-1(∇Φ)2

で記述されます。 

 
ただし,右辺のΦ(,t)では微分計算の後にz=ηとします。

 
境界条件は,水底z=-h(x,y)で∂Φ/∂n=0,

および,水面z=ηでは,

∂Φ/∂z=∂η/∂t+(∂Φ/∂x)(∂η/∂x)

+(∂Φ/∂y)(∂η/∂y) です。

 
水面の高さηが小さい微小振幅波であるという仮定の下では,

Φとηに関する2次の項を無視して,

η=-g-1(∂Φ/∂t)-(2g)-1(∇Φ)2η=-g-1(∂Φ/∂t)

とし,また,z=ηでの境界条件:

∂Φ/∂z=∂η/∂t+(∂Φ/∂x)(∂η/∂x)

+(∂Φ/∂y)(∂η/∂y)は,

∂Φ/∂z=∂η/∂tで近似します。

 
これらの式からηを消去すれば,

z=ηで∂2Φ/∂t2+g(∂Φ/∂z)=0  となります。

 
このときには,速度ポテンシャルをz=0 の周りで展開すると,

Φ(,t)=Φ(x,y,z,t)

=Φ(x,y,0,t)+(∂Φ/∂z)z=0η+O(Φη2)

ですから,Φとηに関して2次以上の微小量を無視する近似

では.Φ(x,y,z,t)=Φ(x,y,0,t) としても同じです。

 
結局,微小振幅近似では,

z=0 で∂2Φ/∂t2+g(∂Φ/∂z)=0,および,

z=-h(x,y)で∂Φ/∂n=0 の境界条件の下で,

ラプラス方程式:∇2Φ=0 を解くという問題に帰着する

ことがわかりました。

 
有限振幅波では,渦無しの流れでは速度ポテンシャルΦは

線形なラプラス方程式の解ですが,微小振幅近似をする前

z=ηでの境界条件:

∂Φ/∂z=∂η/∂t+(∂Φ/∂x)(∂η/)∂x)

+(∂Φ/∂y)(∂η/∂y) や,

η=-g-1(∂Φ/∂t)-(2g)-1(∇Φ)2 は非線形です。

 
こうした非線形性のために,重ね合わせなどを利用した

線形方程式の一般解法は,全く適用できなくなります。

 
このため,有限振幅のいわゆる非線形波は,微小振幅の線形波

に比べて,その取り扱いはきわめて難しく研究も立ち遅れて

いました。

 
有限振幅波を表わす厳密解として知られている唯一の解は

19世紀初頭に得られた,Gerstnerのトロコイド波(Gerstner

(1962))です。

 
これが深水波の円形軌道から出発してラグランジュの式の

記述による基礎方程式を厳密に解いて圧力場と波形を求めた

ものであり,波形がトコロイド曲線であることから,この名

があります。

 
しかし,この波に伴なう水の運動は渦無しではなく,深さと

共に指数関数的に減少する渦度を持ちます。

 
このため,この波は静止状態から保存力によって作り出す

ことはできませんが,初期に水面付近に風による吹送流が

あったと考えれば十分実現可能です。

 
有限振幅波に関するもう1つの注目すべき研究は,Kortweg

とdeVries(1895)による非線形長波の研究です。

(※KdV方程式の研究です。)

 
彼らは,弱い有限振幅の長波について,波形の突っ立ちと分散効果

とが釣り合う結果,定常波が形成されることを見出し,波列,および

孤立波を表わす解を求めました。

 
非線形波動の研究は,その後あまり著しい発展を見ませんでした

が,ZabuskyとKruskal(1965)が数値実験によって,有限振幅の孤立波

がきわめて安定であり,あたかも1個の粒子のように挙動すること

を見出し,これをソリトン(soliton)と名づけたのを契機として,

新しい,そして目覚しい展開を見せるに至りました。

 
以下,その発端となった非線形分散波を中心に有限振幅の水の波

について概観してみます。

 
簡単のため,水の深さhは一定で,かつ波はx軸方向にのみ変化

する1次元の波であるとします。

 
まず,波を支配するラプラス方程式∇2Φ=0 は,

2Φ/∂x2+∂2Φ/∂z20  となります。

 
また,境界条件のうち,水底で∂Φ/∂n=0 はz=-hで

∂Φ/∂z=0 です。

 
z=ηでの境界条件:

∂Φ/∂z=∂η/∂t+(∂Φ/∂x)(∂η/∂x)+

(∂Φ/∂y)(∂η/∂y)は,y方向には無関係なので.

∂Φ/∂z=∂η/∂t+(∂Φ/∂x)(∂η/)∂x)

となります。

 
η=-g-1(∂Φ/∂t)-(2g)-1(∇Φ)2,

∂Φ/∂t+{(∂Φ/∂x)2(∂Φ/∂z)2}/2+gη=0

となります。

 
結局,有限振幅波の問題は,境界条件:z=-hで∂Φ/∂z=0,

z=ηで∂Φ/∂z=∂η/∂t+(∂Φ/∂x)(∂η/∂x),

および,∂Φ/∂t+{(∂Φ/∂x)2(∂Φ/∂z)2}/2+gη=0

の下で,方程式∂2Φ/∂x2+∂2Φ/∂z20 を解く問題に帰着

します。

 
微小振幅の場合は,非線形境界条件:

z=ηで∂Φ/∂z=∂η/∂t+(∂Φ/∂x)(∂η/∂x),

および,∂Φ/∂t+{(∂Φ/∂x)2(∂Φ/∂z)2}/2+gη=0

が,ηを消去してz=0 で∂2Φ/∂t2+g(∂Φ/∂z)=0

の線形条件になります。

 
これの一定振動数ωの解は,既に見たように

Φ(x,z,t)=Ccosh{k(z+h)}cos(kx-ωt)で

η(x,t)=Asin(kx-ωt) です。


 ただし,A≡--Cg
-1ωcosh(kh))で,分散関係は

c=ω/k={gtanh(kh)/k}1/2 です。

 
これは,浅水長波kh<<1の場合には,

tanh(kh)~kh-(kh)3/3+2(kh)5/15-..

=kh{1-(kh)2/3+O[(kh)4]} より,

c=ω/k~c0{1-h22/6+O(k4)}


 ただし,c0≡√gh)
と近似展開されます。

 
波がいくつかの正弦波から構成される場合,

波の分散はそれぞれの正弦波が異なる速度で進むため波形

の変化を引き起こします。

 そして分散の強さは,浅水長波の場合:

c=ω/k~c0{1-h22/6+O(k4)の右辺第2項の大きさ

ε≡h22<<1で表現されます。 

(※ここではεはエネルギー密度ではなく速度cの分散です。)

 
一方,有限振幅波においては,波を構成する各正弦波が独立

ではなく,その間に非線形相互作用が働くため,線形の分散効果

と釣り合った場合には波形の変化が止まり,一定波形の定常波

が出現することが期待されます。

 
そうした期待の下に,分散の強さεと同程度の大きさの振幅

を持つ弱い非線形波を仮定します。

 
そして,線形近似の分散関係:c=ω/k=c0(1-h22/6)

(c0≡√gh)の下では,波の位相は

kx-ωt=k(x-c0t)+c023t/6 

となります。

 
hk=ε1/2の小さい値に対して,波の時間的空間的変化を

正しく記述するには,

kx-ωt=k(x-c0t)+c023/6

の右辺の各項が,それぞれ1程度になるような変換:

ξ≡ε1/2(x-c0t),τ≡ε3/2tを施せばいいことが

わかります。

 
こうすれば,k(x-c0t)=kε-1/2ξ=ξ/h,

023t/6=c023ε-3/2τ/6=c0τ/(6h)

と書けます。

 
この変換は正方向に位相速度c0で動く座標系に乗ったこと

相当しており,正方向の進行波を記述するのに適しています。
 

また,εに比例する小因子によって,x座標と時間tが縮小

されていることは,x軸方向,および時間方向にきわめて

ゆるやかな変化を扱うことに相当しています。

 
例えば,1/Δτに対して,

1/Δt=(1/Δτ)(Δτ/Δt)=(1/Δτ)ε3/2t<<1/Δτ

です。

 
波の振幅についてはεと同程度の弱い非線形波を考えています。

 
η=-g-1(∂Φ/∂t)-(2g)-1(∇Φ)2より,

η~ -ωg-1Φ=-(h/g)1/2kΦ~ -ε1/2Φ です。

 
Φ,およびηは,それぞれεのベキ級数:

Φ(x,z,t)=ε1/2(1)(ξ,z,τ)+εΦ(2)(ξ,z,τ)+..},

およびη(x,t)=ε{η(1)(ξ,τ)+εη(2)(ξ,τ)+..}

の形に書けるものとします。

 
2Φ/∂x2=ε(∂2Φ/∂ξ2)ですから,上のΦのベキ展開式

を∂2Φ/∂x2+∂2Φ/∂z20 の左辺に代入して,εの各ベキ

の係数をゼロと置けば,
 
2Φ(1)/∂z20,∂2Φ(n)/∂z2+∂2Φ(n-1)/∂ξ20(n≧2)

が得られます。

 
また,境界条件z=-hで∂Φ/∂z=0 は,

z=-hで∂Φ(n)/∂z=0(n≧1) です。

 
そこで,境界条件を満たす解は,

Φ(1)=Φ(1)(ξ,τ),

Φ(2)=(-1/2)(z+h)2{∂2Φ(1)(ξ,τ)/∂ξ2}+f1(ξ,τ),

Φ(3)=(1/24)(z+h)4(∂4Φ(1)/∂ξ4)

-(1/2)(z+h)2(∂21/∂ξ2)+f2(ξ,τ),..,

と表現されます。

 
ただし,f1,f2,..はξとτの任意関数です。

 
途中ですが今日はここまでにします。

(参考文献):巽友正著「流体力学」(培風館)

http://folomy.jp/heart/「folomy 物理フォーラム」サブマネージャーです。

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