電磁場の共変的量子化(補遺)
さて,すぐ前に「コーシーの主値(主値積分)」という記事を書き
ましたが,こうした唐突な主題の記事を全く何の脈絡もなく書く
はずもなく,実は電磁場の共変的量子化におけるE関数の意味を
明確にするための公式を得るという目的がありました。
電磁場の共変的量子化では,4次元交換関係などを表現するために,
不変デルタ関数として,
D(x)=-i(2π)-3/2∫d4pθ(p0)δ(p2)
{exp(-ipx)-exp(ipx)},
および,
E(x)=i(2π)-3/2∫d4pθ(p0)(p2+iε)-1δ(p2)
{exp(-ipx)-exp(ipx)}
を与えました。
このうち,D関数D(x)はD'Alembert方程式□D=0 の解であり,
右辺のFourier因子のδ(p2)は有限な関数f(p2)との積として,
非特異な関数としての意味を持ちます。
しかし,E関数E(x)のFourier因子(p2+iε)-1δ(p2)は有限な
関数f(p2)との積としても,なお特異な関数です。
ただ,p2f(p2)のような関数との積としては意味を持つ超関数
です。
ところで,中西さんの教科書「場の量子論」で与えられているE関数
の定義は,私が直感的考察で与えた表現:
E(x)=i(2π)-3/2∫d4pθ(p0)(p2+iε)-1δ(p2)
{exp(-ipx)-exp(ipx)}
とは若干異なる形をしています。
すなわち,Δ(x,m2)=-i(2π)-3/2∫d4pθ(p0)δ(p2-m2)
{exp(-ipx)-exp(ipx)}に対して,
E(x)≡-[∂Δ(x,m2)/∂m2]m=0
=-i(2π)-3/2∫d4pθ(p0)δ'(p2)
{exp(-ipx)-exp(ipx)}
で定義されています。
これら2つのE(x)の表現が実は等価であることを見るために,
先の「コーシーの主値(主値積分)」という記事を書いたのです。
この記事では,1/(x+iε)=P(1/x)-iπδ(x)なる公式を
得ましたが,これにx=p2を代入すると,
1/(p2+iε)=P(1/p2)-iπδ(p2)となります。
移項すると,積分核としてのデルタ関数の別の表現として,
iπδ(p2)=P(1/p2)-1/(p2+iε)なる等式を得ます。
両辺を(p2+iε)で割ると,iπ(p2+iε)-1δ(p2)
=P(1/p2)/(p2+iε)-1/(p2+iε)2となります。
一方, iπδ(p2)=P(1/p2)-1/(p2+iε)の両辺をp2で微分
すると,iπδ'(p2)=-P{1/(p2)2}+1/(p2+iε)2
となります。
そこで,ε→+0 の極限では,超関数の意味で,
(p2+iε)-1δ(p2)=-δ'(p2)なる等式が成立することが
わかります。
したがって,超関数の意味でE関数の表現:
E(x)=i(2π)-3/2∫d4pθ(p0)(p2+iε)-1δ(p2)
{exp(-ipx)-exp(ipx)}と,
E(x)=-i(2π)-3/2∫d4pθ(p0)δ'(p2)
{exp(-ipx)-exp(ipx)}が等価であることが
示されました。
(以上)
参考文献:中西襄 著「場の量子論」(培風館)
http://folomy.jp/heart/「folomy 物理フォーラム」
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