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2009年11月17日 (火)

定量的地震学5

 1月以上の間があきましたが地震学の続きです。 

 前回は曲線座標変換というやや幾何学的な話に寄り道しましたが,今日は第3章の地震源(震源)の表示に入ります。

 固体地球外部の地震源の例を上げると,風,大洋波浪,隕石衝突,ロケットの打ち上げ,大気中の爆発などがあります。その他,人々の歩行によってさえ地震が生じます。

こうした外部の地震源については,通常単純な地球表面に加えられた時刻変動応力の解析の枠組みの中で処理できます。

 また,多くの実用的目的を有する現象に起因するものや,その他にも火山の噴火,ガス漏れなど比較的規模の大きい爆発,粉砕などもありますが,これも外部ソースであり上記に含まれるでしょう。

 一方,一般的な地震や地下爆発など地球内部のソースに対しては,解析の枠組みはよりむずかしい展開を必要とします。

なぜなら,これまで論じてきた弾性運動を支配する方程式が固体地球内部の到るところで有効というわけではないからです。

この章では内部ソースについてのみ論じます。これは断層源と体源の2つのカテゴリーに分けられます。 

断層源は破砕された平面を通っての"断層=地滑り"のような内部面と関連した事象です。一方,体源は体積的なソース領域における爆発的膨張のような内部体積に関わる事象です。

内部ソースの数学的記述は古典的には異なる2つのラインに沿って追跡されてきました。

 

1つはソースを含む媒質のある要素へ加わる体積力によるライン,もう1つは変位,または歪みの幾つかの不連続性(すなわち,断裂する断層面や体源の表面を通るそれ)によるラインです。

しかし,2番目のアプローチは有効的に1番目のそれに組み込むことが可能です。すなわち,断層面を横切る単純な剪断作用については体積力の等価物が存在します。

 

以下では,こうした体積力の等価物について理論を幾分詳細に展開し,根本的に異なる力の系が正確に同じ変位の不連続性に同等であることを示すことから解析を始めます。 

それから後に,BarridgeとKnopoff(1964)に従って断層源の一般理論を展開し,最後に体源に関する理論を概説する予定です。

一般に,震動図に記載された運動は地震源の効果と伝播の効果の両方の結果です。

 

震動図を理解することを追求してきた主な理由の1つは地震運動から伝播の効果を分離することです。というのは地震源の効果は地球の内部構造に関する情報を携帯しているからです。

最近では,地殻プレートの運動を図示して地震源のプレートがどのように動かされるかを学ぶという目的のために,次震源(震源)のメカニズムが研究されているようです。

現在では,近くの断層の性質と局地的応力の分布に関する地質学的,地球物理学的データに基づいて工学用途の敷地における地震危害の予測を行なうという観点から,こうしたソース(source;震源)の理論が広く展開されているようです。

さて,初めに述べた通り,[内部面における表示定理]="応力と変位における不連続性に対する体積力(実体力)の恒等式(等価物)"を与えるという主題に移ります。

第2章で与えられた表示定理は,表面Sを体積V内部の隣り合う面に選べば震源において強力な助けに成り得ます。

ここでの考察の動機は,H.F.Reidの仕事に起因するものです。

 

彼の1906年のSan Francisco地震前後のSan-Andreas断層の研究は,地震運動が活性化した地質学的断層上の自然発生的地滑りにより放射された波動によるという一般的認識に導きました。

 

我々は,こうしたソースのメカニズムをすぐ後により詳細に論じる予定です。他方,動力学的過程や他のソースのメカニズムについてはずっと後の第15章で述べる予定です。

現在の関心としては,埋没した地滑りのプロセスとそれから放射された波が,既に得られた表示定理からどのようにして自然に解析され得るかということです。 

既に述べたように,表示定理は次の3つの異なる表現を有します。 

n(,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Gin(,t-τ;ξ,0)]dVξ+∫-∞dτ∫S[{Gin(ξ,t-τ;,0)Ti((ξ,τ),)-ui(ξ,τ)Cijkl(ξ)nj{∂Gkn(ξ,τ-t;,0)/∂ξl}}dSξ..(1)

n(,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Grigin(,t-τ;ξ,0)]dVξ-∫-∞dτ∫S[ui(ξ,τ)Cijkl(ξ)nj{∂Grigkn(,τ-t;ξ,0)/∂ξl}]dSξ..(2)

n(x,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Gfreein(,t-τ;ξ,0)]dVξ+∫-∞dτ∫S{Gfreein(,t-τ;ξ,0)Ti((ξ,τ),)}dSξ..(3) です。

そこで述べたように,これらは変位ベクトル(,t)がS上の変位に依存するのか →(2),それとも応力に依存するのか →(3),または両方に依存するのか →(1)という疑問への矛盾を示しているように見えます。

  

しかし,弾性媒質上では応力と変位が独立というわけではないので矛盾はありません。

さて,この表示定理における表面SがVの外部境界面だけでなく埋没した断層の相対する面であるような隣り合う内部面をも含むとする視点は地震源の理論にとって中心的な論点です。

すなわち,S≡Sext+Σに取ってみます。ただし,SextはVの外部表面でありΣ≡Σ++Σ-はV内部の1つの断層の相対する面です。

まず,表示定理で最も一般的な式(1)をun(,t)=∫-∞dτ∫V[fp(ξ,τ)Gnp(,t-τ;ξ,0)]dVξ-∫-∞dτ∫S[ui(ξ,τ)Cijpq(ξ)nj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}-{Gnp(ξ,t-τ;,0)Tp((ξ,τ),)}]dSξと書き直します。

 Sextは地球全体の表面としてもいいのでそう考えます。

 

 グリーン関数Gがext上で斉次境界条件Ai+γji,j=0,Bi+γji,j=0 を満足していると考えられます。ただし,Ai(,t)≡Gim(,t;ξ11),Bi(,t)≡Gin(,t;ξ2,-τ2)です。

こうすれば,右辺のS=Sext+Σにおける表面積分のうち,外部地球の表面Sextの寄与は無視できます。 

そして,Σ-の外向き法線単位ベクトルをn=νとします。するとΣ+の外向き法線単位ベクトルは明らかにn=-νです。 

また,Vの内部での一般座標をηとし,ξは表面(断面)Σの上の一般座標のみを表わすとします。

さらに,鍵括弧[ ]の中の量はΣ+とΣ-の差を示すとします。例えば,[(ξ,τ)]≡(ξ,τ)|Σ+(ξ,τ)|Σ-と定義されます。

すると,表示定理はun(,t)=∫-∞dτ∫V[fp(η,τ)Gnp(,t-τ;η,0)]dVη+∫-∞dτ∫Σ[ui(ξ,τ)Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}-{Gnp(ξ,t-τ;,0)Tp((ξ,τ),ν)}]dΣ となります。

これが実際的な計算において意味を持つためには,Σ上で何らかの境界条件を与える必要があります。

境界条件のに対する選択は破裂する断層面を横切る応力と変位の現実の性質に従わせる必要がありますが,Gに対する選択は有益な形になるように自由に選ぶことが可能です。

 

変位については,両断層面の上でゼロではないスリップ[]が存在するはずですが,応力については連続性から[(,ν)]=0 と考えられます。

また,Σ上でのGの性質の定義を確立する最も簡単で最も共通に用いられている方法は,Σを横切ってGとその空間微分係数が連続であるように設定することです。 

これは体積Vに対して計算するには最も容易なグリーン関数です。

 

もしも,このに対して体積力がないときにはn(,t)=∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq})dΣ となります。

 この表現式は断層上での変位があらゆる場所における変位を決めるのに十分であることを示していますが,これは「定量的地震学2」で述べた"一意性定理"から予測できることです。

 

(↑ 複素関数論のコーシーの積分定理にも似てますね。)

※注:"一意性定理"の内容を再掲します。

[一意性定理]:表面境界Sを持つ体積Vの弾性体内の到るところで,与えられた時刻t0における変位と粒子速度の値,およびt>t0における(ⅰ)体積力と供給される熱,(ⅱ)表面S=S1+S2の一方の部分S1上での応力Π,(ⅲ)残りの部分S2上での変位が既知なら,時刻t0より後の時刻tおける変位(,t)は一意的に決まる。

 

(注終わり※)

 

しかし,一見したところこの表現式においてソースの伝播を記述するグリーン関数についてΣにおける境界条件が与えられていないことは驚くべきことです。

断層上で生じた運動は,それ自身が断層面によってある形式で回折される波を作り上げると予測されますが,この相互作用はスリップ関数[(ξ,τ)]の決定を複雑にはするけれどグリーン関数の決定には入り込まないからですね。

こうして,多くの地震学者はある仮定されたスリップ関数によって作り上げられた運動を記述するために,この公式:un(,t)=∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq})dΣを用いてきました。

以下では,たった今記述した直接には如何なる体積力も含んでない地震源の表現の体積力の等価物を求めることを試みます。

 

n(,t)=∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq})dΣは,各々が体積力によって作り上げられたグリーン関数にわたって積分することにより,(,t)における変位を与えることを示していると見ることもできます。

 

こうした見方によれば,活断層も体積力の面的寄与と見なせるような意味があるに違いないと確信されます。

この方法で予測されるような体積力の等価物を決定するため,再び元の一般的な表示定理の式(1)の表現から始めます。

すなわち,再掲するとun(,t)=∫-∞dτ∫V[fp(η,τ)Gnp(,t-τ;η,0)]dVη+∫-∞dτ∫Σ[ui(ξ,τ)Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}-{Gnp(ξ,t-τ;,0)Tp((ξ,τ),ν)}]dΣです。

ただし,GはΣに対してなお透明,つまりΣを横切ってGもその空間微分係数も連続とする仮定を採用します。

 

ここで,Σを横切る[],[(,ν)]については,先の境界条件[(,ν)]=0 のような条件を全く仮定せず,応力の不連続性も存在するようなより一般的な状況とします。

 

するとun(,t)=∫-∞dτ∫V[fp(η,τ)Gnp(,t-τ;η,0)]dVη+∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}-[Tp((ξ,τ),ν)]Gnp(ξ,t-τ;,0))dΣと書けます。

 

こで,デルタ関数δ3(ηξ)を用いればΣにおける不連続性はVの中に局在化できることを利用します。

 

例えばΣにおける(応力×面積=力):[]dΣは,体積力としての寄与∫VdV{[3(ηξ)dΣ}を与えます。

したがって,応力の不連続性[]がゼロでない場合,その寄与-∫-∞dτ∫Σ[Tp((ξ,τ),ν)]Gnp(ξ,t-τ;,0)}dΣは-∫-∞dτ∫V(∫Σ{[Tp((ξ,τ),ν)]δ3(ηξ)dΣ}Gnp(ξ,t-τ;,0))dVで表現できます。

それ故,Σ上の応力不連続性の体積力の等価物は[T](η,τ)≡-∫Σ{[Tp((ξ,τ),ν)]δ3(ηξ)dΣで与えられます。

変位の不連続性は応力よりも物理的解釈が困難なのですが,数学的に考えて∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq=-∫V{∂δ3(ηξ)/∂ηq}Gnp(ξ,τ-t;,0)dVなる恒等式を用いれば応力不連続性に等価式に同等な表現を得ます。

すなわち,変位の不連続性による寄与∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}は,-∫-∞dτ∫V(∫Σ{([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}dΣ)Gnp(ξ,t-τ;,0)}dVと表現されます。

そこで,Σ上の変位不連続性の体積力の等価物はfp[](η,τ)≡-∫Σ{[([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}dΣで与えられることがわかります。

今日はここで終わります。 

参考文献:K.Aki,& P.G.Richards「Quantitative Seismology(Theory and Method)」

 

PS:昨日はヘルパーの現場実習の初日として赤羽の訪問介護施設の現役のヘルパーさんに同行して自宅訪問の実習を受けてきました。

 

 実は,実際の利用者様に迷惑をかけてはいけない実習なので,ほとんど見学同然と思ってはいましたが,当初から最も危惧していたのがこの同行訪問実習でした。

 

 というのも,この訪問介護実習で不可避な自転車での移動というのは「糖尿病+心不全+足の動脈硬化」である私にとって可能かどうか?という体力的に最も不安な材料だったからです。

 

 実際,その通りでしたね。

 

 北区の赤羽付近は坂が多く"心臓破りの坂"もあって,心臓+足が動かず,平気を装ってはいましたが一瞬死ぬかとも思うこともありました。

 

 楽な下りがあるということは,帰りは上りですから,動かなくなってしまったら同行者の方に迷惑だと思いましたが,降りて歩いて押していくしかありません。(逆に1人だったら少しは楽だったかも。。。)

 

 利用者様の自宅までの往復と買い物支援,さらに終わって最後に事務所に帰る際,はぐれて道に迷ったのも含め,約2時間も自転車に乗ったのは過去の健康時代を考えても,めったにないことでした。

 

 ともあれ,雨も降らず鬼門の同行訪問実習は無事終了しました。移動以外の実習は体力的には休息時間でしたが,問題ないと思います。

(例によって,何事があっても常にニコニコ笑顔だった(ツモリな)のは,八方美人の性分ですね。)

 

 後の施設実習でも体力は必要でしょうが,まだ給金を頂いて責任を取ることを余儀なくされる本格的な仕事ではなく,学生としての実習だろうし私の最も得意な?他人とのコミュニケーション(=おしゃべり?)の方が主体ではないかとも思い,とにかく少なくとも自転車での移動がないであろうことを考えて楽観しています。

 

 本日は寝て曜日で完全休養日にしよう。アレ?岡山のおフクロの89歳の誕生日は今日17日か21日かどっちだったかな?

 

(↑ イキアタリバッタリで脳天気だなあ。。ウーン,キム・ヨナはいいなあ。。。忘れてた。今日(11/17)は「将棋の日」でもありました。)

  

 (実は,昨日朝は訪問介護事務所の付近まで最近懇意にして頂いている自宅の隣人のMさんに車で送って頂いたのです。Mさんどうもありがとうございました。

 

 しかし,住所だけを頼りにして到着したためか,頂いた矢印付きの地図と写真の通りに徒歩で行けば自然にわかったらしい事務所の入口を間違えてしまって指定時間通りには入ることができず最初から躓きました。

 

 実は私はかなりヒドイ方向音痴です。事務所の担当の方とスクールで対応して頂いた方,ゴメンナサイ。

 

 16年くらい昔は住所だけを頼りに当日自分が交通ガードマンとして立つべき場所を探していたのですから,まるっきりの方向音痴でもないでしょうが。。)

 

 オマケに昼休み近くのコンビニまで往復の際,靴の左側を間違えて履いていって帰ってから気付いて皆様に笑われましたが,靴を間違えてご迷惑かけてゴメンナサイ。

 

 こういうことで笑いを取ってはいけませんね。^^;)

 

PS2:市橋事件について,何日も食事を取っていないなどの報道はどこまで真実なのでしょうか? 取り調べ段階での官憲の守秘義務とマスコミリークとの関係等々についてはよく知りませんが。。。

  

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