確率と分布関数(4)(特殊分布(連続))」
確率と分布関数の続きです。重要な連続確率分布の例を考えます。
[定義6-1]:一様分布(uniform distribution)
確率密度(p.d,f)がf(x)=1/(b-a)(a≦x≦b),f(x)=0 (その他),分布関数(d.f)F(x)=∫-∞xf(x)dxがF(x)=0 (x<a),F(x)=(x-a)/(b-a) (a≦x≦b),F(x)=1 (x>b)で与えられる確率分布を一様分布という。
[例6-2]:確率変数X,Yのj.p.d.fがf(x,y)=1 (0≦x≦1,0≦y≦1),f(x,y)=0 (それ以外)であるとき,
同時分布関数(m.d.f)はF(x,y)=∫-∞xdu∫-∞ydvf(u,v)より,F(x,y)=1 (x≧1,y≧1),F(x,y)=y (x≧1,0≦y≦1),F(x,y)=x (0≦x≦1,y≧1),F(x,y)=xy (0≦x≦1,0≦y≦1), F(x,y)=0 (その他)です。
周辺分布関数はFX(x)=limy→∞F(x,y),FY(y)=limx→∞F(x,y)より,FX(x)=1(x≧1),FX(x)=x (0≦x≦1),FX(x)=0 (その他),およびFY(y)=1(y≧1),FY (y)=y (0≦x≦1),FY(y)=0 (その他)です。
[定義6-3]:正規分布(normal distribution),またはガウス分布(Gaussian distribution)
確率密度(p.d,f)がf(x)=(2π)-1/2σ-1exp{-(x-μ)2/(2σ2)}(-∞<x<∞,σ>0 とμは定数)で,分布関数(d.f)がF(x)=(2π)-1/2σ-1∫-∞xexp{(y-μ)2/(2σ2)}dyで与えられる連続確率分布を正規分布といい,N[μ,σ2]で表わす。
特にμ=0,σ2=1の正規分布:N[0,1]を標準正規分布という。これのp.d,f:φ(u)はφ(u)=(2π)-1/2exp(-u2/2)である。
確率変数Xが分布N[μ,σ2]を持つなら,U≡(X-μ)/σは分布N[0,1]を持ちます。
[定理6-4]:x>0 のとき,標準正規分布関数:Φ(x)=(2π)-1/2∫-∞xexp(-u2/2)duは(2π)-1/2(1/x-1/x3)exp(-x2/2)<1-Φ(x)<(2π)-1/2(1/x)exp(-x2/2)なる不等式を満たす。
(証明) (d/dx){(1/x)exp(-x2/2)}=-(1+1/x2)exp(-x2/2)なので(1/x)exp(-x2/2)=∫x∞(1+1/u2)exp(-u2/2)du>∫x∞exp(-u2/2)duです。
また,(d/dx){(1/x3)exp(-x2/2)}=-(1/x2+4/x4)exp(-x2/2)より,(d/dx){(1/x-1/x3)exp(-x2/2)}=-(1-4/x4)exp(-x2/2)です。
故に,(1/x-1/x3)exp(-x2/2)=∫x∞(1-4/u4)exp(-u2/2)du<∫x∞exp(-u2/2)duです。
(2π)-1/2∫x∞exp(-u2/2)du=1-Φ(x)ですから,(2π)-1/2(1/x-1/x3)exp(-x2/2)<1-Φ(x)<(2π)-1/2(1/x)exp(-x2/2)が得られます。(証明終わり)
この定理からxが大きいときには,1-Φ(x)≒(2π)-1/2(1/x)exp(-x2/2)と近似できることがわかります。
正規分布N[μ,σ2]では,p.d.fが偶関数なのでP(-u0≦U≦u0)=2P(0≦U≦u0)(u0>0)です。この式でu0→∞とすると,P(U>0)=P(U≧0)=1/2を得ます。
一方,総確率が1であるという性質からP(U≦u)=1-P(U>u)なので,P(U≦0)=1/2も得られます。
そこで,P(U≦u0)=P(U≦0)+P(0≦U≦u0)=1/2+P(0≦U≦u0),すなわちP(0≦U≦u0)=P(U≦u0)-1/2です。
標準正規分布N[0,1]を持つ確率変数(random variable):Uに対してはΦ(u0)=P(U≦u0)ですから,P(0≦U≦u0)=(2π)-1/2∫0u0 exp(-u2/2)du=Φ(u0)-1/2です。これの近似値を表示したものは正規分布表として種々の資料に載っています。
それによると,特にP(-1≦U≦1)≒0.683,P(-2≦U≦2)≒0.954,P(-3≦U≦3)≒0.997であることがわかります。
[定義6-5]:関数:erf(x)≡(2π)-1/2∫0x exp(-v2)dvを誤差関数(error function)という。
erf(x)=(2π)-1/2∫0x exp(-v2)dv=(2π)-1/22-1/2∫0√2xexp(-u2/2)du=2{Φ(21/2x)-1/2}=2Φ(21/2x)-1です。
[定義6-6]:指数分布(exponential distribution)
確率変数:Xのp.d,fがf(x)=λexp(-λx)(0≦x<∞),f(x)=0 (x≦0)で,d.fF(x)=∫-∞xf(t)dtがF(x)=1-exp(-λx)(0≦x<∞),F(x)=0 (x≦0)で与えられるとき,Xはパラメータλの指数分布を持つという。
[定理6-7]:確率変数:Xが指数分布を持つとき,P(X>(x+y)|X>x)=P(X>y)(マルコフ(Markov)性)が成り立つ。
(証明)P(X>(x+y)|X>x)=P(X>(x+y),X>x)/P(X>x)=P(X>(x+y))/P(X>x)=∫x+y∞λexp(-λt)dt/∫x∞λexp(-λt)dt=exp{-λ(x+y)}/ exp(-λx)=exp(-λy)=∫y∞λexp(-λt)dt=P(X>y) (証明終わり)
[定理6-8]:確率変数:Tの分布関数:F(t)=P(T≦t)がP(T>(t+s)|T>s)=P(T>t)を満たすなら,t≧0 においてはある定数λ>0が存在してF(t)=1-exp(-λt)である。
(証明) P(T>(t+s)|T>s)=P(T>t)を分布関数F(t)で表わすせば1-F(t+s)={1-F(t)}{1-F(s)}です。
z(t)≡log{1-F(t)}と置けばz(0)=0 でz(t+s)=z(t)+z(s)で 0≦F(t)≦1ですからz(t)≦0 です。t≧0 においてこれを満たす連続関数z(t)はz(t)=-λt(λ=-z(1)>0)だけです。
故にF(t)=1-exp(-λt) (λ>0)が得られます。(証明終わり)
[定理6-9]:確率変数:XがlimΔx→0P(x<X<x+Δx|X>x)/Δx=η(x),P(X>0)=1を満たすなら,Xの分布関数F(x)はF(x)=1-exp{-∫0xη(t)dt} (x>0),F(x)=0 (x≦0)である。
(証明)η(x)=limΔx→0[{F(x+Δx)-F(x)}/Δx]/{1-F(x)}=(dF/dx)/1-F(x)}=-d[log{1-F(x)}/dx,そしてF(0)=1-P(X>0)=0です。
それ故,log{1-F(x)}=-∫0xη(t)dtを得ます。したがって,x>0 のとき,F(x)=1-exp{-∫0xη(t)dt}です。(証明終わり)
上述の確率変数:Xを部品の寿命と見なすときにはη(x)を故障率関数と呼びます。η(x)=f(x)/{1-F(x)}ですから,Xの分布がパラメータλの指数分布ならη(x)=λ(一定)(x>0)となります。
[例6-10]:Xのp.d,fとしてf(x)=αλxα-1exp(-λxα) (x>0,α>0,λ>0),f(x)=0 (その他)を持つ分布をワイブル分布(Weibull distribution)といいます。
これのd.fはF(x)=∫-∞xf(t)dt=1-exp(-λxα) (x>0),F(x)=0 (x≦0)です。
このワイブル分布では,故障率関数は一般に一定ではなくて,η(x)=f(x)/1-F(x)}=αλxα-1です。
しかし,もしもα=1ならワイブル分布は指数分布に一致しますから,η(x)=λ(一定)です。また,α>1なら故障率η(x)は増加関数で, 0<α<1なら減少関数です。
[定理6-11]:ある事象εの発生がパラメータλのポアソン(Poisson)分布(離散分布の1つ)を持つとき,発生間隔Tは同じパラメータλの指数分布を持つ。
(これは単位時間当たりの平均発生個数がλのポアソン過程です。)
(証明)前記事でのポアソン過程の考察において,時刻 0≦t1<t2に対し(t1,t2)内にj個が発生する事象をNj(t1,t2)と定義しました。
このとき,時間間隔(0,t)内にj個が発生する確率はPj(t)=P[Nj(0,t)]であってPj(t)=(λt)jexp(-λt)/j! (j=0,1,2,..)とポアソン分布で与えられることを見ました。
そこで,発生間隔Tがxより大きい確率はP(T>x)=P(N0(0,x))=P0(x)=exp(-λx)となります。
したがって,発生間隔:Tのp.d.fをf(x)とすると,d.fがF(x)=P(T≦x)=1-P(T>x)=1-exp(-λx)なのでf(x)=dF/dx=λexp(―λx)です。(証明終わり)
[定義6-12]:ガンマ分布:γ(x;α,λ)
確率変数Xのp.d,fがf(x)={1/Γ(α)}λαxα-1exp(-λx) (x>0,α>0,λ>0),f(x)=0 (その他)で与えられるとき,Xはパラメータ(α,λ)のガンマ分布を持つといい, γ(x;α,λ)で表わす。
ここに,Γ(α)はEulerのガンマ関数でΓ(α)≡∫0∞exp(-t)tα-1dt(α>0)で定義されます。
ガンマ分布はα=n/2,λ=1/2のときは後述する自由度nのχ2分布(カイ二乗分布)のp.d,fになります。
[定理6-13]:X1,X2,..,Xαが互いに独立な確率変数であり,これらが共通のパラメータλの指数分布を持つなら,Σk=1αXk=X1+X2+..+Xαはパラメータ(α,λ)のガンマ分布を持つ。
(証明) まず,α=1のときX1はパラメータλの指数分布を持ちますが,これはパラメータ(1,λ)のガンマ分布です。
いま,αまで定理が成立するとしてZ≡Σk=1αXk+Xα+1と置き,これのp.d.fを求めます。X=Xα+1,Y=Σk=1αXkと置くと仮定によってYのp.d.fはfY(y)={1/Γ(α)}λαyα-1exp(-λy)です。
Z=X+Y,T=YとしてZ,Tのj.p.d.fを求めるとX=Z-T,Y=Tかつ|J|=1であり,XとYは独立なのでfZT(z,t)=fX(x)fY(y)=fX(z-t)fY(t)です。
そこで,fZ(z)=∫-∞∞fX(z-t)fY(t)dtです。
これを計算すると,fZ(x)=∫0xλexp{-λ(x―t)}fY(t)dt=∫0x{1/Γ(α)}λα+1tα-1exp(-λx)dt={1/Γ(α+1)}λα+1xαexp(-λx)を得ます。
以上から,帰納法によって全てのαについて定理の結論の成立することが示されました。(証明終わり)
確率変数Xがガンマ分布を持つとき,そのp.d,fはf(x)={1/Γ(α)}λαxα-1exp(-λx) (x>0)です。u=λxと置けば確率変数U=λxのp.d.fはfU(u)={1/Γ(α)}uα-1exp(-u) ) (u>0)となります。
[定義6-14]:χ2分布(chi-squared distribution)
p.d.fがf(x)=[1/{2n/2Γ(n/2)}xn/2-1exp(-x/2) (x>0),f(x)=0 (x≦0)で与えられる連続確率分布を自由度nのχ2分布(カイ二乗分布)という。
これは,先のガンマ分布のp.d,f:f(x)={1/Γ(α)}λαxα-1exp(-λx)(x>0),f(x)=0 (x≦0)において,α=n/2,λ=1/2としたものと同じです。つまりγ(x;n/2,1/2)ですね。
[定理6-15]:X1,X2,..,Xnが全て標準正規分布を持つn個の独立確率変数ならば,χ2≡Σj=1nXj2=X12+X22+..+Xn2は自由度nのχ2分布を持つ。
(証明)X12のp.d.fをp1(y)と書けば,y>0 のときはy=x2,x=±y1/2,|dx/dy|=1/(2y1/2)を(2π)-1/2exp(-x2/2)に代入してp1(y)=(2π)-1/2y-1/2exp(-y/2)(y>0),p1(y)=0 (y≦0)なる陽な表式を得ます。
Γ(1/2)=π1/2によって,これは自由度1のχ2分布です。
また,X12+X22のp.d.fをp2(x)と置けばp2(x)=∫-∞∞p1(x-y)p1(y)dy=(2π)-1∫0x(x-y)-1/2exp{-(x-y)/2}y-1/2exp(-y/2)dyです。
すなわち,p2(x)=(2π)-1exp(-x/2)∫0x(xy-y2)-1/2dyです。ところが,∫0x(xy-y2)-1/2dy=∫0x{x2/4-(y-x)2}-1/2dy=πです。
そこで,p2(x)=2-1exp(-x/2) (x>0),p1(x)=0 (x≦0)を得ますが,Γ(1)=1によりこれは自由度2のχ2分布です。
次に,(ⅰ)n=2kのとき,m=1,2,..,kについて,p2m(x)=[1/{2mΓ(m)}xm-1exp(-x/2) (x>0)が全て成立すると仮定します。
すると,p2k+2(x)=∫-∞∞p2(x-y)p2k(y)dy=[1/{2k+1Γ(k)}exp(-x/2)∫0xyk-1dy=[1/{2k+1Γ(k+1)}xkexp(-x/2)(x>0)を得ます。
m=(k+1)でもp2m(x)=[1/{2mΓ(m)}xm-1exp(-x/2) (x>0)が示されたわけです。
一方,(ⅱ)n=2k-1のときにも,m=1,2,..,kについてp2m-1(x)=[1/{2m-1/2Γ(m-1/2)}xm-3/2exp(-x/2) (x>0)が成立すると仮定します。
すると,p2k+1(x)=∫-∞∞p2(x-y)p2k-1(y)dy=[1/{2k+1/2Γ(k-1/2)}exp(-x/2)∫0xyk-3/2dy=[1/{2k+1/2Γ(k+1/2)}xk-1/2exp(-x/2)(x>0)を得ます。やはり,帰納法の仮定からm=(k+1)でも同じ式の成立することが導かれます。(証明終わり)
上記の証明で用いた式pn(x)=[1/{2n/2Γ(n/2)}xn/2-1exp(-x/2) (x>0)についてP(χ2>χα,n2)=∫χα,n^2∞pn(x)dx=αを満たすχα,n2の値の数表をχ2分布表といいます。
[定理6-15の系]:X1,X2,..,Xnが全て正規分布N[μ,σ2]を持つn個の独立確率変数ならばΣj=1n{(Xj-μ)2/σ2}は自由度nのχ2分布を持つ。(証明は略:Uj≡(Xj-μ)/σがN[0,1]に従うので自明)
[定義6-16]:t分布,またはStudent分布(W.Goset(1908)による)
p.d.fがf(t)=[Γ((n+1)/2)/{(nπ)1/2Γ(n/2)}](1+t2/n)-(n+1)/2 (-∞<t<∞)の確率分布を自由度nのt分布という。
[定理6-17]:確率変数XとYが独立でXがN[0,1],Yが自由度nのχ2分布を持つならばT≡X/(Y/n)1/2は自由度nのt分布を持つ。
(証明)Z≡(Y/n)1/2と置くとfY(y)=[1/{2n/2Γ(n/2)}]yn/2-1exp(-y/2) (y>0)でz=(y/n)1/2よりy=nz2,dy/dz=2nzなのでZのp.d.fはfZ(z)=[nn/2/{2n/2-1Γ(n/2)}]zn-1exp(-nz2/2) (z>0)となります。
さらにT≡X/ZよりW≡Zと置けば(X,Z)=(WT,W)でJ≡∂(x,z)/∂(t,w)=wです。
fXZ(x,z)=fX(x)fZ(z)=(2π)-1/2exp(-x2/2)[nn/2/{2n/2-1Γ(n/2)}]zn-1exp(-nz2/2) (-∞<x<∞,z>0)ですからfTW(t,w)=(2π)-1/2exp{-(tw)2/2}[nn/2/{2n/2-1Γ(n/2)}]wnexp(-nw2/2) (-∞<t<∞,w>0)を得ます。
それ故,fT(t)=∫0∞ (2π)-1/2exp{-(tw)2/2}[nn/2/{2n/2-1Γ(n/2)}]wnexp(-nw2/2)dw=[1/{2(n-1)/2π1/2Γ(n/2)}]∫0∞(n1/2w)nexp{-w2(n+t2)/2}dwです。
u=w2(n+t2)/2と置換すればdu=w(n+t2)dwでw=(2u)1/2(n+t2)-1/2です。dw=(2u)-1/2(n+t2)-1/2duですね。
そこで,fT(t)=[1/(nπ)1/2Γ(n/2)]](1+t2/n)-(n+1)/2∫0∞u(n+1)/2-1exp(-u)du=[Γ((n+1)/2)/{(nπ)1/2Γ(n/2)}](1+t2/n)-(n+1)/2 (-∞<t<∞)を得ます。(証明終わり)
t分布のp.d.f:fT(t)=[Γ((n+1)/2)/{(nπ)1/2Γ(n/2)}](1+t2/n)-(n+1)/2はオイラーのベータ関数Β(p,q)≡Γ(p)Γ(q)/Γ(p+q)を用いると,fT (t)=n-1/2Β-1(1/2,n/2)(1+t2/n)-(n+1)/2と表わすこともできます。
fT(-t)=fT(t)(偶関数)ですから,分布関数ではP(T>-t)=P(T≦t)ですが,P(T>-t)=1-P(T≦-t)ですからP(T≦-t)=1-P(T≦t)です。
そこで,P(|T|≦t)=P(―t≦T≦t)=P(T≦t)-P(T≦-t)=2P(T≦t)-1です。
通常,資料に載っているt分布表では自由度nとα=P(|T|>t*)を与えたときのt*値が与えられています。
[定義6-18]:ベータ分布:β(x;p,q)
d.fがF(x)=Β-1(p,q)∫0xup-1(1-u)q-1du (0<x<1,p,q>0),F(x)=0 (その他)であるような確率分布をベータ分布といいβ(x;p,q)で表わす。
Β(p,q)はオイラー(Euler)のベータ関数:Β(p,q)≡Γ(p)Γ(q)/Γ(p+q)ですが,これはΒ(p,q)=∫01up-1(1-u)q-1du (p,q>0)と表わすこともできます。(証明略)
[定理6-19]:独立な確率変数X,Yがそれぞれp.d.fとしてパラメータ(p,λ),(q,λ)のベータ分布を持つならZ≡X/(X+Y)はベータ分布β(z;p,q)を持つ。(証明略)
[定義6-20]:F分布(スネデカー(Snedecor,G.W)の分布)
確率変数Xのp.d.fがfU(x)=Β-1(m/2,n/2)(m/n)m/2-1xm/2-1[1+(m/n)x]-(m+n)/2 (x>0),fU(x)=0 (x≦0)の場合,この分布を自由度(m,n)のF分布という。
[定理6-21]:確率変数X,Yがそれぞれ自由度m,nのχ2分布を持てばU≡(X/m)/(Y/n)は自由度(m,n)のF分布を持つ。
(証明)u=(x/m)/(y/n),v=yと置けば(x,y)=(muv/n,v)であり,∂(x,y)/∂(u,v)=mv/nです。
また,fX(x)=[1/{2m/2Γ(m/2)}]xm/2-1exp(-x/2) (x>0),fY(y)=[1/{2n/2Γ(n/2)}]yn/2-1exp(-y/2) (y>0)でx>0,y>0 はv>0 に対応します。
UVの同時確率密度はfUV(u,v)=fX(x)fY(y)|∂(x,y)/∂(u,v)|=[1/{2(m+n)/2Γ(m/2)Γ(n/2)}](m/n)m/2-1(uv)m/2-1vn/2-1exp{-muv/(2n)-v/2}(mv/n) (v>0)です。
故に,fU(u)=[(m/n)m/2/{2(m+n)/2Γ(m/2)Γ(n/2)}um/2-1∫0∞v(m+n)/2-1exp{-(1+mu/n)v/2}]dvです。
t=(1+mu/n)v/2と置けば,dt=(1+mu/n)dv/2です。以下略..でfU(u)=Β-1(m/2,n/2)(m/n)m/2-1um/2-1[1+(m/n)u]-(m+n)/2 (u>0)を得ます。(証明終わり)
※F分布はベータ分布β(x;p,q)=Β-1(p,q)xp-1(1-x)q-1においてp=m/2,q=n/2と置いたβ(x;m/2,n/2)=Β-1(m/2,n/2)xm/n-1(1-x)n/2-1 (x>0)で,u=(n/m)x/(1-x) or x=(m/n)u/{1+(m/n)u}と変換したものに一致します。
また,自由度が1のχ2分布は標準正規分布[0,1]ですから,U=(X/1)/(Y/n)は,[定理6-17]でXとYが独立でXがN[0,1],Yが自由度nのχ2分布を持つならT≡X/(Y/n)1/2がt分布を持つとしたときのT2に一致しています。
つまり,T2=(X/1)/(Y/n)ですが,今の定理からこれは自由度(1,n)のF分布を持つことがわかります。※
[定理6-22]:確率変数:Uが自由度(m,n)のF分布を持つなら変数:1/Uは自由度(n,m)のF分布を持つ。
(証明)Uのp.d.fがfU(u)=Β-1(m/2,n/2)(m/n)m/2-1um/2-1[1+(m/n)u]-(m+n)/2 (u>0)のとき,V≡1/Uとおくとv=1/uよりu=1/vでdu=dv/v2です。
そこで,fV(v)=fU(1/v)/v2=Β-1(n/2,m/2)(m/n)m/2-1v-m/2-1[1+m/(nv)]-(m+n)/2=Β-1(n/2,m/2)(n/m)m/2-1vn/2-1[1+(n/m)v]-(n+m)/2 (v>0)を得ます。
これは自由度(n,m)のF分布のp.d.fです。(証明終わり)
[定理6-22の系]:X,およびYがそれぞれ自由度(m,n),および(n,m)のF分布を持つとき,任意のx>0 に対してP(X≦x)=1-P(Y<(1/x))が成り立つ。
(証明)Yは自由度(n,m)のF分布を持つので1/Yは自由度(m,n)のF分布を持ちます。故にP((1/Y)>x)=P(X>x)です。したがってP(X≦x) =1-P(X>x)=1-P(Y<(1/x))です。(証明終わり)
※F分布:fU(u)=Β-1(m/2,n/2)(m/n)m/2-1um/2-1[1+(m/n)u]-(m+n)/2 (u>0)において,特にm=1,u=t2と置けばdu/dt=2tよりTのp.d.fはfT(t)=2Β-1(1/2,n/2)n1/2(1+t2/n)-(n+1)/2とt分布になります。
ただし,u=t2>0 にはt=u1/2>0 とt=-u1/2<0 の2つのtが対応するため,t>0 の分布とすれば余分な因子2があります。※
[定理6-23]:自由度nのt分布のp.d.fをfn(x)と表わすと,nが大きい極限ではlimn→∞fn(x)=(2π)-1/2exp(-x2/2)(=標準正規分布N[0,1])となり,t分布は正規分布N[0,1]に収束する。(これは中心極限定理の一例です。)
(証明)fn(x)=[Γ((n+1)/2)/{(nπ)1/2Γ(n/2)}](1+x2/n)-(n+1)/2=π-1/2[Γ((n+1)/2)/{n1/2Γ(n/2)}]{(1+x2/n)n/x^2}-(n+1)x^2/(2n)→π-1/2exp(-x2/2) as n→∞は明らかです。(証明終わり)
なんかこう教科書を読んで定義,定理,証明とやっていると,行間を埋めながらもブログというより全部書き写しているという感があって大丈夫かな?とも考えます。
しかし,(応用)数学の教科書というのは歴史的に得られた既知の知見の羅列(ある意味ではパクリの連続)であって,それを公開とはいえ個人の日記でかいつまんで紹介しているだけのことですからこれもアリかなと思います。
今日はここで終わります。(つづく)
参考文献:藤沢武久 著「新編 確率・統計」(日本理工出版会)
PS:藤田まことさんが死んだから言うわけじゃないが,地球の大多数の人にとっては明日もまたほぼ確実に太陽が昇って日常が始まるのでしょうが,ある人々にとっては明日はもう太陽は昇らないかも知れません。
少なくともある程度の未来への展望が開けていて明日もまた太陽が昇ると信じられるからこそ,精神の矜持が保たれるのだと思います。
これまで続いてきた人生が明日にも突然途絶えるかも知れないという心境であれば,普通人の心境はどうなるのでしょう。もしも病気か寿命でわずかしかない余命をハッキリ宣告されたとしたら,私だったらどういう心境になるでしょうか?
私事では,不摂生な私への脅かしや冗談もあるのでしょうが,これまで病院へ行って持病の診察を受けるといつ死んでもおかしくない体であると言われたり,入院など医者の勧めを断るとその旨を書いたカルテにサインを要求されたりもしてきています。
現実には3年前の手術のときから,前記のように明日の太陽が昇るかどうか?が結構気になって,あるかもわからない将来についてあくせく考えることが少なくなり,今日明日の1日や2日の取るに足りない程度のことなら真面目に悩むことも比較的少なくなりました。
生き物としては生命力の喪失だし悲しいことです。無常ですね。。
藤田まことさんに。。合掌
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コメント
TOSHIさん
コメント有難う御座います。
>やはり神にもまたその上の神がいるのでしょうかね?
もしアインシュタインの上に神がいるとすれば、アインシュタインを生み出した宇宙そのものが神という事になるのではないでしょうか?
投稿: 凡人 | 2010年3月14日 (日) 14時37分
ども凡人さん。お見舞いコメントありがとうございます。TOSHIです。
>私の物理の神様はアルバート・アインシュタインで
アインシュタイン自身が世間的には「神はサイコロ遊びをなさらない。」というような間違った解釈をしていたそうですから,やはり神にもまたその上の神がいるのでしょうかね?
>私は、遅延選択実験の実験結果の物理的意義が分ってから、だいぶ楽になりました。
素晴らしいことですね。私はまだ求道中の身です。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2010年3月14日 (日) 13時51分
明男さん。。TOSHIです。
あと5年の命とか本気で言われたと感じたこともないし,ましてや若くしてそいうう経験をしたことはないのでよくはわかりませんが,コメントありがとうございます。
>もう夢が無いので辛くない(笑)。
明男さんの夢という言葉の概念規定が私との考えているものと同じ意味かどうかはわかりませんが,希望というようないい意味での夢がまったく無くて生きているなら,仏様,仙人の類でしょう。
冗談に対して理屈を言うなら,むしろ本当にそうなら辛いでしょう。
私はまだ浮世に未練があるので知り合いからは長生きしそうとかよく言われます。ぼけていても希望がなければ辛いと想像します。
いや私のガキの頃の世界では藤田まことさんといえば「トンマ天狗」や「番頭はんと丁稚どん」なんかの大村昆さんと同じく関西では「英雄」の喜劇のスターでした。
(今でも特に関西生まれの男女にとってはお笑いスターはあこがれみたいですが。。)
大人になって関東で見たテレビでは完全に役者になってたし,江戸や東京の芝居では関東弁になってました。
確かに昭和も遠くなりつつあるようですね。改めて冥福を祈ります。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2010年3月14日 (日) 13時41分
>いつ死んでもおかしくない体であると言われたり,
物理の神様が、TOSHIさんを生かしているという事はありえませんでしょうか?
因みに、私の物理の神様はアルバート・アインシュタインで、その僕は、師従関係があるデビッド・ボームとヤキール・アハラノフという事になっています。
因みに、3人とも別々の決定論を展開しているのが興味深いですが、私はヤキール・アハラノフの決定論が一番気に入っています。
>あるかもわからない将来についてあくせく考えることが少なくなり,
私は、遅延選択実験の実験結果の物理的意義が分ってから、だいぶ楽になりました。
投稿: 凡人 | 2010年2月20日 (土) 20時57分
また、お邪魔します。
藤田まことさんと言えば「てなもんや三度傘」と「あたり前田のクラッカー」が、私の中では今でも生き生きとしています。あん掛けの時次郎と白木みのるの珍念コンビは絶妙でしたね。財津一郎も良かった!
先日、白木みのるさんが元気でおられるのをTVで拝見しましたが、長生きしないと言われる小人症の方なのに、寿命はまた別の話だなと思いました。
私が今の病気になったのは二十代でしたが、医者が「最悪、あと五年の命と思って下さい」と父に言ったらしい。私はそれを父から聞いたのだけど、おそらく言う方が辛かったろうと思いますね。私自身は若いからか、実感が無かった気がします。それよりも夢を捨てざるを得ない方が辛かったですね。今なら実感があると思いますが、もう夢が無いので辛くない(笑)。
共に生きている人が亡くなることは寂しいですが、ひどく悲しくはないですね。ちょっと先に逝っててね・・・ってくらいです。
ご冥福を祈ります。
投稿: 明男 | 2010年2月20日 (土) 10時26分