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2010年6月 7日 (月)

散乱の伝播関数の理論(9)

散乱の伝播関数の理論の続きです。

 

まず,前記事の最後の部分を要約します。

 

S系において粒子が速度βで運動することは,この粒子が固

定されている"静止系=S0系"に対してS系が相対速度-=-β

で運動するのと同等です。

 

そして,S0系に対しx軸に沿った相対速度-v=-β=tanhω

って運動するS系に対応する時空座標のLorentz変換:

x'μ=aμννは,

 

x'0=x0coshω-x1sinhω,x'1=x1coshω-x0sinhω,

x'2=x2,x'3=x3

 

です。 

 

このLorentz変換:(ax)μμννに対応する波動関数の変換:

ψ(ax)=S(a)ψ(x)を与える変換行列S(a)を具体的に求め

ると,S(a)=cosh(ω/2)-α1sinh(ω/2) となります。

 

静止系S0では運動量pμ(m,0)を持つ粒子が,S0系に対して

x軸に沿った相対速度-v=-β=tanhωで運動するS系では

運動量pμ=(E,)を持つとします。

 

S系での独立な自由粒子波動関数は,

ψ(r)(x)=w(r)()exp(-iεrpx)

=S(a)w(r)(0)exp(-iεrmt) (r=1,2,3,4)

と書けます。

 

ここに,εr≡1(r=1,2),εr≡-1(r=3,4) です。

 

ただし,w(1)(0)≡(1,0,0,0)T,w(2)(0)≡(0,1,0,0)T,

(3)(0)≡(0,0,1,0)T,w(4)(0)≡(0,0,1,0)Tで.

(r)()=S(a)w(r)(0)

={cosh(ω/2)-α1sinh(ω/2)}w(r)(0)です。

 

(↑ ※右上添字Tは行列の転置(transport)を示しています。

 

これは前記事では,例えば(1,0,0,0)Tではなく(1,0,0,0)と

表記していました。

 

気紛れです。本当はブログの科学記事全体で統一すべきですが

迷ってます。※)

 

座標のLorentz変換:μ→aμννに対応する運動量の

Lorentz変換:μ→aμννから,

E=p0=mcoshω=m/(1-β2)1/2,

p=p1=-msinhω=mβ/(1-β2)1/2 

を得ます

 

そこで,-tanh(ω/2)=-tanhω/{1+(1-tanh2ω)1/2}

=β/{1+(1-β2)1/2}=p/(E+m)であり,

cosh(ω/2)={1-tanh2(ω/2)}-1/2={(E+m)/(2m)}1/2

であること,がわかります。

 

故に,-sinh(ω/2)=-tanh(ω/2)cosh(ω/2)

={p/(E+m)}{(E+m)/(2m)}1/2=p/{2m(E+m)}1/2

を得ます。

 

そして,S(a)=(w(1)(),w(2)(),w(3)(),w(4)())

=cosh(ω/2)-α1sinh(ω/2) です。

 

これから,

(1)()={(E+m)/(2m)}1/2(1,0,0,p/(E+m))T,

(2)()={(E+m)/(2m)}1/2(0,1,p/(E+m),0)T,

(3)()={(E+m)/(2m)}1/2(0,p/(E+m),1,0)T,

(4)()={(E+m)/(2m)}1/2(p/(E+m),0,0,1)T

と書けます。

 

一般の速度:β123)を持つ粒子のw(r)()

=S(a)w(r)(0)を得るには,

 

S(a)αβ=exp{-(i/4)ω(σμνnμν)}αβ

= exp{-(1/8)ω[γμν]Inμν}αβの右辺の生成行列:

nμνを速度βの空間軸回転の3×3直交行列:Tを考慮した形

にします。

 

μ=(E,)は,E=m/(1-β2)1/2,=mβ/(1-β2)1/2

ですが,特に±≡p1±ip2=m(β1±iβ2)/(1-β2)1/2

定義します。

 

計算結果だけ書くと,

(1)()={(E+m)/(2m)}1/2

(1,0,p3/(E+m),p/(E+m))T,

(2)()={(E+m)/(2m)}1/2

(0,1,p/(E+m),-p3/(E+m))T,

 

(3)()={(E+m)/(2m)}1/2

(p3/(E+m),p/(E+m),1,0)T,

(4)()={(E+m)/(2m)}1/2

(p/(E+m),-p3/(E+m),0,1)T

です。

 

特に,ここだけ単位を復活させると,

まず,β/c,pμ=(E/c,)で,

E=mc2/(1-β2)1/2,=m/(1-β2)1/2,

±=p1±ip2=m(v1±i2)/(1-β2)1/2です。

 

(1)()={(E+m2)/(2m2)}1/2

(1,0,p3c/(E+mc2),pc/(E+mc2))T,

(2)()={(E+m2)/(2m2)}1/2

(0,1,pc/(E+mc2),-p3c/(E+mc2))T,

 

(3)()={(E+m2)/(2m2)}1/2

(p3/(E+mc2),pc/(E+mc2),1,0)T,

(4)()={(E+m2)/(2m2)}1/2

(pc/(E+mc2),-p3c/(E+mc2),0,1)T

です。

 

さて,波動関数:ψ(r)(x)=w(r)()exp(-iεrpx)は,

もちろん, Dirac方程式:(γμp^μ-m)ψ(r)(x)=0

を満足します。

 

そして,p^μ=(p^0,-^)=(i(∂/∂t),-i∇)=i∂μより,

γμp^μψ(r)(x)=iγμμ(r)()exp(-iεrpx)

=εrγμμ(r)()exp(-iεrpx)ですから,

 

rγμμ-m)w(r)()=0 が成立します。 

これは,(γμμ-εrm)w(r)()=0 とも書けます。

 

これらの式の両辺のHermite共役を取ると,

(r)+()(γμ+μ-εrm)=0 です。

 

そして,γ0+=γ0,γ=-γですから,γμ+γ0=γ0γμより,

等式の両辺の右からγ0を乗じた後,4行1列の行ベクトル:

(r)~()≡w(r)+(0を用いると,

 

(r)~()(γμμ-εrm)=0  を得ます。

 

また,ψ(ax)=S(a)ψ(x)より,ψ(ax)=ψ+(x)S+(a)

ですから,ψ~(ax)=ψ(ax)γ0=ψ(x)S(a)γ0

=ψ~(x)γ0(a)γ0です。

 

容易にわかるように,γ0(a)γ0=S-1(a)なので,

ψ~(ax)ψ~(x)S-1(a)です。

 

故に,ψ~(ax)ψ(ax)=ψ~(x)ψ(x)となり,ψ~(x)ψ(x)は

Lorentz-scalarですから,

 

(r)~()exp(iεrpx)w(r')()exp(-iεr'px)

=w(r)~()w(r')()exp{i(εr-εr')px}はscalar

(Lorents不変量)です。

 

そしてr,pxもscalarですから,

(r)~()w(r')()exp{i(εr-εr')px}は,

(r)~(0)w(r')(0)=εrδrr'に一致します。

 

故に,w(r)~()w(r')()=εrδrr'なる関係式を得ました。

 

また,証明は省略しますが,

Σr=14εr(r)α()w(r)~β()=δαβなる式も成立します。

 

ψ~(x)ψ(x)がLorentz-scalarなので,確率密度:

ψ+(x)ψ(x)=ψ~(x)γ0ψ(x)はLorentz不変では

ありません。

 

これは,jμ(x)≡(ρ(x),(x))=ψ~(x)γμψ(x)の第 0 成分

として変換します。

 

また,簡単な計算からw(r)+r)w(r')r')=(E/m)δrr'

を得ます。

 

/m=(1-β2)1/2ですから,β=0 での3次元体積をΔV0とすると,

(r)+r)w(r')r')ΔV

(r)+r)w(r')r')ΔV0(1-β2)1/2

=δrr' となります。

 

よって,この規格化では確率密度でなく確率がLorentz不変です。

 

ψ(r)(x)=w(r)()exp(-iεrpx)から,

上記のw(r)+r)w(r')r')=(E/m)δrr'なる表式は,

 

運動量がの正エネルギーのspinor:

(r)()exp(-iEt+ipr)(r=1,2)は,

逆符号の運動量-を持つspinor:

(r')(-)exp(iEt+ipr)(r'=3,4)

のHermite共役と直交するという描像です。

 

そこで,同じ空間運動量を持ち反対符号のエネルギーを持つ

平面波解ψ(r)(x),ψ(r')(x)は,r=1,2;r'=3,4,または

r=3,4;r'=1,2ならψ(r)+(x)ψ(r')(x)=0 になるという意味

で直交します。

 

さて,u(p,s)で運動量:pμ=(E,)とspin:sμ=(s0,)

を持つDirac方程式の正エネルギー解を記述します。

  

すなわち,(γμμ-m)u(p,s)=0 です。

 

ただし,sμは静止系p0μ=(m,0)での偏極ベクトル0により

0μ=(0,0)で定義される4元ベクトルです。

 

したがって,任意の慣性座標系でsμμ=s0μ0μ=-02

=-1,μμ=p0μ0μ=0 です。

 

そして,u(p,s)がspin:sを持つという意味を,

静止系p0μ=(m,0)ではu(p0,s0)がσs0u(p0,s0)

=u(p0,s0)を満たすことと定義します。

 

ただし,σs0=σi0iでσi≡εijkσjk=iεijkγjγkです。

 

行列σi=iεijkγjγkは,Pauliの2×2スピン行列

σi=iεijkσjσkの4×4行列版です。

 

(※下図では区別する便宜のため,4×4行列の方をσ(4)k,と

表記しました。※)

     

 静止系では,i∂ψ/∂t=βmψ,=βmですが,

 β=γ0ですから,[,σs0]=m[γ0i0i]
  =ms0i0i]=imεijk0i0jγk]=0 です。
 それ故,σs0は静止系での保存量であってとの同時固有状態
  が存在可能です。よって,σs0はp0と同時対角化可能です。

 

よって,(γμμ-m)u(p,s)=0,σs0u(p0,s0)

=u(p0,s0)によりu(p,s)の定義が可能です。

 

同様に,(γμμ+m)v(p,s)=0 を満たす解で,静止系で

0のspinを持つという条件σs0v(p0,s0)=-v(p0,s0)

よってv(p,s)を定義します。

 

この結果,w(1)()=u(p,uz),w(2)()=u(p,-uz),

(3)()=v(p,-uz),w(4)()=v(p,uz) です。

 

ただし,uz(z0,z)は,静止系では,z0μ=(0,z0)

=(0,0,0,1)という形になる4元ベクトルです。

 

そして,z0=(0,0,1)はz方向の spin-upを意味します。

 

さて,天下り的ですがr(p)≡(εrγμμ+m)/(2m)

(r=1,2,3,4),またはΛ±(p)≡(±γμμ+m)/(2m)

とおけば,

 

Λr(p)Λr'(p)=(1+εrεr'r(p)/2 が成立するので,

Λ2(p)=Λ(p),Λ2(p)=Λ(p),

Λ(p)Λ(p)=0,Λ(p)+Λ(p)=1 です。

 

Λr(p)w(r')()=(εrγμμ+m)w(r')()/(2m)

={εrμμ-εr'm)/(2m)+(1+εrεr')/2}w(r)()

={(1+εrεr')/2}w(r)()です。

 

故に,r=1,2,かつr'=1,2,または,r=3,4,かつr'=3,4

なら,Λr(p)w(r')()=w(r')() です。

 

r=1,2,かつr'=3,4,または,r=3,4,かつr'=1,2

なら,Λr(p)w(r')()=0 です。

 

そして,また,Σ(s)≡(1+γ5γμμ)/2とおきます。

すると,Σ(uz)=(1+γ5γμzμ)/2です。

 

ただし,γ5=γ5≡iγ0γ1γ2γ3です。

 

明らかに,Σ(uz)u(p,uz)=u(p,uz),

Σ(uz)v(p,uz)=v(p,uz)で,

Σ(-uz)u(p,uz)=Σ(-uz)v(p,uz)=0 です。

 

Σ(uz)は共変形なので,Σ(s)u(p,s)=u(p,s),

Σ(s)v(p,s)=v(p,s)で,

Σ(-s)u(p,s)=Σ(-s)v(p,s)=0

が成立します。

 

以上から,P1()≡Λ()Σ(s),P2()≡Λ()Σ(-s),

3()≡Λ()Σ(-s),P4()≡Λ()Σ(s)とおけば,

 

これらはPr()w(r')()=δrr'(r')(),または,

r()Pr'()=δrr'を満たす正負のエネルギー固有関数

の射影演算子となります。

 

さて,これで準備完了したので散乱の伝播関数の話に戻ります。

 

/30の記事「散乱の伝播関数(7)」の最後では,

 

自由電子の伝播関数が,

F(x-x0)=∫d4p(2π)-4exp{-ip(x-x0)}

×{(γμμ+m)/(p2-m2+iε)}

=∫d4p(2π)-4exp{-ip(x-x0)}/(γμμ-m+iε)

で与えられるのを見ました。

 

これに,上で論じた射影演算子:Λ±(p)=(±γμμ+m)/(2m)

を適用すると,

 

t>t0ならSF(x-x0)

=-i∫d3(2π)-3exp{-iE(t-t0)}exp{i(0)}

(m/E)Λ(p),

 

t<t0ならSF(x-x0)

=-i∫d3(2π)-3exp{iE(t-t0)}exp{-i(0)}

(m/E)Λ(p) です。

 

そこで,po=E>0 として,

F(x-x0)=-i∫d3(2π)-3(m/E)[θ(t-t0(p)

exp{-ip(x-x0)}+θ(t0-t)Λ(p)exp{ip(x-x0)}]

を得ます。

 

ところでr=14εr(r)α()w(r)~β()=δαβ  or

Σr=14εr(r)()w(r)~()=1ですから,

 

Λ(p)Σr=14εr(r)()w(r)~()

=Σr=12(r)()w(r)~()

=Λ(p),

 

Λ(p)Σr=14εr(r)()w(r)~()

=-Σr=34(r)()w(r)~()

=Λ(p) です。

 

故に,規格化された波動関数を,

ψp(r)(x)≡(2π)-3/2(m/E)1/2(r)()exp{-iεrp(x-x0)}

とおくと,

 

(2π)-3(m/E)Λ(p)exp{-ip(x-x0)}

=Σr=12ψp(r)(x)ψp(r)~(x0),

-(2π)-3(m/E)Λ(p)exp{-ip(x-x0)}

=Σr=34ψp(r)(x)ψp(r)~(x0) となります。

 

したがって,SF(x-x0)

=-iθ(t-t0)∫d3Σr=12ψp(r)(x)ψp(r)~(x0)

+iθ(t0-t)∫d3Σr=34ψp(r)(x)ψp(r)~(x0)

を得ます。

 

そこで,任意の正エネルギー解を,

ψ(+)(x)≡∫d3Σr=12r(p(r)(x),

任意の負エネルギー解を,

ψ(-)(x)≡∫d3Σr=34r(p(r)(x)とおきます。

 

すると,w(r)+r)w(r')r')=(E/m)δrr' or

(r)+()w(r')()=(E/m)δrr'によって,

ψp(r)+(x)ψp(r')(x)=(2π)-3δrr' です。

 

また,∫d30(2π)-3exp{-iεr(p'-p)x0}

=δ('-)exp{-iεr(p0'-p0)t0}ですから,

 

∫d30∫d3Σr=12ψp(r)(x)ψp(r)~(x00ψ(+)(x0)

=Σr,r'=12∫d33'Cr'(')ψp(r)(x)∫d30(2π)-3

(m2/EE')1/2(r)+()w(r')(')exp{-iεr(p'-p)x0}

 

=Σr,r'=12∫d3(m/E)Cr'(p(r)(x)w(r)+()w(r')()

=Σr=12∫d3r(p(r)(x)=ψ(+)(x)

 

を得ます。

 

したがって,θ(t-t0(+)(x)

=i∫d30F(x-x00ψ(+)(x0)が成立します。

 

同様にして,θ(t0-t)ψ(-)(x)

=-i∫d30F(x-x00ψ(-)(x0) も成立します。

 

これらは,SF(x-x0)が正エネルギー解ψ(+)(x0)を時間

の前方(=未来)へ,負エネルギー解ψ(-)(x0)を時間の後方

(=過去)へ運ぶことを明示しています。

 

F(x-x0)は自由電子のFeyman-propagater(伝播関数)として

知られています。

 

これは,最初1942年に,Stükelbergによって陽電子理論に導入され

ました。

 

そして,1948年には,Feynmanによっても独立に導入されました。

 

Feynmanはそれを広範囲にわたって実際の計算に適用しました。

 

自由伝播関数SF(x-x0)から,正確で完全なGreen関数,そして,

S行列要素,つまり相互作用の力場が存在する場合の電子や陽電子

の種々の散乱過程に対する振幅を作ることができます。

 

このことを遂行するため,前の非相対論的扱いを書き直します。

 

まず,電磁相互作用のみ存在する場合の正確なFeyman-propagater

(伝播関数)SF'(x;x0)は,

[iγμ(∂/∂xμ)-eγμμ(x)-m]SF'(x;x0)

=δ4(x-x0) を満たします。

 

これと,前に求めた式:{i(∂/∂t)-0(x)}G(x;x0)

=∫d41δ4(x-x1)[δ4(x1-x0)+V(x1)G(x1;x0)],

および,G(x;x0)

=∫d410(x;x1)[δ4(x1-x0)+V(x1)G(x1;x0)]

=G0(x;x1)+∫d410(x;x1)V(x1)G(x1;x0)

を利用します。

 

つまり,上の表現で{i(∂/∂t)-(x)}γ0,V(x10を,

それぞれ,(iγμμ-m),-eγμμ(x)に置き換え,

0(x;x0),G(x;x0)を,それぞれ,

F(x-x0),SF'(x;x0) に置換します。

 

 すると,{i(∂/∂t)-0(x)}G(x;x0)

 =∫d41δ4(x-x1)[δ4(x1-x0)+V(x1)G(x1;x0)]は,

 

 (iγμμ-m)SF'(x;x0)

 =∫d4yδ4(x-y)[δ4(y-x0)+eγμμ(y)SF'(y;x0)

 となります。

 

 これとδ4(x-y)=(iγμμ-m)SF(x-y)より,

 (iγμμ-m)SF'(x;x0)

 =(iγμμ-m)[SF(x-x0)

 +e∫d4ySF(x-y)γμμ(y)SF'(y;x0)]

 が成立します。

 

 すなわち,SF'(x;x0)=SF(x-x0)

 +e∫d4ySF(x-y)γμμ(y)SF'(y;x0)

 が成立します。

 

また,Dirac方程式;(iγμμ-m)Ψ(x)=eγμμ(x)Ψ(x)

の正確な解で,Feynmanの境界条件を満たすΨ(x)を考えます。

 

 先述したように,相互作用のない自由伝播関数は,

 SF(x-x0)

 =-iθ(t-t0)∫d3Σr=12ψp(r)(x)ψp(r)~(x0)

 +iθ(t0-t)∫d3Σr=34ψp(r)(x)ψp(r)~(x0)

 で与えられます。

 

 そこで,ψ(x0)が正負の両振動数成分を含む場合でも,

 t>t0ではψ(x)は自由電子の正振動数成分のみの重ね合わせ

 としてψ(x)=i∫d30F(x-x00ψ(x0)と表わされます。

 

 一方,Ψ(y)=lim t0→-∞ i∫d30F'(y;x00ψ(x0)

 です。

 

 そこで,SF'(x;x0)

 =SF(x-x0)+e∫d4ySF(x-y)γμμ(y)SF'(y;x0)

 により,

 

 Ψ(x)=ψ(x)+e∫d4ySF(x-y)γμμ(y)Ψ(y)

 です。

 

 他方,t<t0ではψ(x)は自由電子の負振動数成分のみの

 重ね合わせとして,ψ(x)=-i∫d30F(x-x00ψ(x0)

 と表現され,

 

 Ψ(y)=lim t0→ ∞ (-i)∫d30F'(y;x00ψ(x0)

 です。

 

よって,いずれの場合も、

Ψ(x)=ψ(x)+e∫d4ySF(x-y)γμμ(y)Ψ(y)

なる同じ表現が得られます。

 

そして,Ψ(x)=ψ(x)+e∫d4ySF(x-y)γμμ(y)Ψ(y)

は,未来t>t0では正振動数成分のみ,過去t<t0では負振動数

成分のみを含みます。

 

すなわち,t→ ∞ では,

Ψ(x)-ψ(x)=∫d3Σr=12ψp(r)(x)[-ie∫d4yψp(r)~(y)

γμμ(y)Ψ(y)],

 

および,t→-∞ では,

Ψ(x)-ψ(x)=∫d3Σr=34ψp(r)(x)[+ie∫d4yψp(r)~(y)

γμμ(y)Ψ(y)] です。

 

[ ]の中は,いずれもp,rに依存するc-数です。

 

こうして,電磁場Aμ(y)による散乱では,"散乱後(未来)t→ ∞

には電子は決して負エネルギーの海に落ちないという空孔理論

の要請"に従う散乱定式化が得られました。

 

まだ,満たされてない正エネルギー状態のみを取ることができる

のです。

 

今日はここまでにします。

 

参考文献:J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics" (McGraw-Hill)

 

PS:今6/8(火)22時半です。

 

今日も,ちゃんと椎名町駅近く(目白5丁目)で18:45~20:45

手話講習会(第6回)(私は4回目)を受けてきました。

 

そろそろ,クラスに馴染んできて楽しいです。 

(金払って飲み屋に行かなくても話相手がたくさんいるし。)

 

今日は往きはJR山手線で巣鴨→目白,都バスで目白→聖母病院,

帰りは西武線で椎名町→池袋,都バスで池袋→西巣鴨,都営三田線

で西巣鴨→巣鴨のコースでした。

 

都営は無料なのですが,往きはノンビリ都バスで巣鴨→池袋だと

時間かかって遅れる可能性があるので,このコースがいいかも

れません。

 

PS2:いくらケンカが強いから,いくら頭がいいからといっても

人は決して神ではない!!

 

増長している私,あなたのそばにもきっと自分の器,裁量を

はるかに超えた,どうしようもないモンスターがいるはずだ。。

  

人間とは,子供とは,大人とは,男とは,女とは,年寄りとは,

こういうものだ。。と狭い固定観念で上から目線で決め付け

てはいけない。。。

 

上には上の例外,突然変異のモンスター,ミュータントがいる。。

 

GTOでも"ごくせんのヤンクミ"でもままならない子供とかね。

 

それでもなお,無常である,滅びるが故に救いはある。

殺されてもひたすら愛するとか。。

 

↑ ※自分でも何を言いたいのか?わからない。

 

何となく浮かんだ啓示か,散文詩のような。。

何故か,私の中のモンスターもあばれているよ。。 

    

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