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2010年6月

2010年6月30日 (水)

場理論におけるS行列とLSZの公式(2)

場理論におけるS行列とLSZの公式の続きです。

 

§16.4 Spectral representation for the Vacuum Expectation

Value of the Commutator and the Propagator

for a Scalar Field 

(スカラー場の交換子と伝播関数の真空期待値のスペクトル表示)

 

くりこみ定数Zの表現を得るため,場の交換子の真空期待値:

iΔ'(x,y)≡<0|[φ(x),φ(y)]|0> の一般形を作ります。

 

一般に,自由場と異なり,φ(x)が満たす場の方程式は陽には

解けないので,真空期待値でなく交換子:[φ(x),φ(y)]自身

を与えることはできません。

 

^μ|n>=pnμ|n>を満たす固有状態:|n>の完全系

(complete set):{|n>}により,

Δ'(x,y)=-i<0|[φ(x),φ(y)]|0>の右辺の中央部

恒等式:1Σn|n><n|を挿入すると,

 

Δ'(x,y)=-i<0|[φ(x),φ(y)]|0>

=-iΣn{<0|φ(x)|n><n|φ(y)|0>

-<0|φ(y)|n><n|φ(x)|0>} 

 

が得られます。

 

そして,場の平行移動不変性:

[P^μ,φ(x)]=-i(∂φ(x)/∂xμ)により,

φ(x)=exp(iP^x)φ(0)exp(-iP^x)ですから,

 

<n|φ(x)|m>=<n|exp(iP^x)φ(0)exp(-iP^x)|m>

=exp{i(pn-pm)x}<n|φ(0)|m>

です。

 

そこで,Δ'(x,y)

=-iΣn<0|φ(0)|n><n|φ(0)|0>[exp{-in (x-y)}

-exp{in (x-y)}]

 

=-iΣn|<0|φ(0)|n>|2[exp{-in (x-y)}

-exp{in (x-y)}]

と書けます。

 

よって,Δ'(x,y)は(x-y)のみの関数ですから,

以後,これをΔ'(x-y)と書きます。

 

こう書き換えた表現では,

Δ'(x-y)=-iΣn|<0|φ(0)|n>|2[exp{-in(x-y)}

-exp{in (x-y)}] です。

 

右辺に 1=∫d4qδ4(n-q)を掛けると,

 

Δ'(x-y)=-i(2π)-3∫d4q[(2π)3Σnδ4(n-q)|

<0|φ(0)|n>|2][exp{-iq (x-y)}-exp{iq (x-y)}]

=-i(2π)-3∫d4qρ(q)[exp{-iq (x-y)}-exp{iq (x-y)}]

 

となります。

 

ただし,ρ(q)≡(2π)3Σnδ4(n-q)|<0|φ(0)|n>|2

と定義して,これを使用しました。

 

このρ(q)はスペクトル振幅(spectral amplitude)と

呼ばれる量ですが,固有状態|q>に対して同じエネルギー

・運動量n=qを持つ全ての固有状態:|n>のΔ'への寄与

を測るものです。

 

ρ(q)は,実はq2だけの関数であってLorentzスカラーである

ことは次のようにして示すことができます。

 

φ(x)はスカラー場ですから,Lorentz変換:x→x'=ax

(x'μ=aμνν)に対応して,

 

任意の状態:|α>が,|α> ← |α'>=U(a)|α>

るユニタリ変換を受けるなら,

<α'|φ(x)|β'>=<α|U(a)-1φ(x)U(a)β>

=<α|φ(x'))|β> です。

 

 すなわち,φ(ax)=U(a)-1φ(x)U(a)と書けます。

 

 よって,φ(0)=U(a)-1φ(0)U(a)ですが,真空の不変性

:U(a)|0>=|0>から,<0|φ(0)|n>=<0|φ(0)U(a)|n>

 です。

 

 故に,ρ(q)=(2π)3Σnδ4(n-q)|<0|φ(0)U(a)||n>|2

が成立します。

 

 

 一方,U(a)-1P^U(a)=aP^より,

<n|U(a)-1P^U(a)|n>=apnですから,|

m>≡U(a)|n>と置くと|m>はP^μのaμνnνに属する

固有状態です。

 

 また,δ関数のLorentz不変性から

δ4(n-q)=δ4(a-1(n-q))が成立します。

 

以上から,

ρ(q)=(2π)3Σmδ4(n-a-1))|<0|φ(0)|m>|2=ρ(a-1q)

を得ます。

 

それ故,ρ(q)はLorentzスカラーでq→aqに依らない量であり,

2だけの関数であると考えられます。

 

しかし,さらに,エネルギー・運動量の固有値pμはp20,かつ

0≧0を満たすべきであるという要請がありましたから,q2≧0,

かつq0≧0でないならq=nを満たす固有状態|n>は存在せず

ρ(q)=0 です。

 

したがって,ρ(q)≡ρ(q2)θ(0)と書くことができて,

2<0ならρ(q2)=0です。

 

また,ρ(q2)θ(0)=(2π)3Σnδ4(n-q)|<0|φ(0)||n>|2

の右辺の形から常にρ(q2)≧0 です。

 

結局,Δ'(x-y)

=-i(2π)-3∫d4ρ(q2)θ(0)[exp{-iq (x-y)}

-exp{iq (x-y)}]

=-i(2π)-30dσ2ρ2)∫d4qδ(q2-σ2)θ(0)

[exp{-iq (x-y)}-exp{iq(x-y)}

 

です。

 

したがって,Δ'(x-y)=∫0dσ2ρ2)Δ(x-y;σ2)

なる表現を得ました。

 

この簡明な最終表式を交換関係の真空期待値に対する

スペクトル表示(spectral representation)といいます。

 

ただし,iΔ(x-y;σ2)は質量がσの自由なKlein-Gordon場

の交換関係です。

 

例えば,入射漸近場φinは(□+m2in(x)=0 に従う自由場

なので iΔ(x-y;m2)=[φin(x),φin(y)]です。

 

(注):[φin(x),φin(y)]

=(2π)-3∫d33(4ωkωq)-1/2{[in^(),ain^+()]

exp(-ikx+iqy)+[in^+(),ain^()]exp(ikx-iqy)}

=(2π)-3∫d3(2ωk)-1[exp{-ik(x-y)}

-exp{ik(x-y)}];ωk(2+m2)1/2

 

です。

 

 

ところで,「散乱の伝播関数の理論(13)(応用2-1)」では,

 

3/(2E)積分が,d3/(2E)=∫0dp0δ(p2-m2)d3

=∫-∞4pθ(p0)δ(p2-m2);

ただし,E=(2+m2)1/2と,4p積分で表現できることを見ました。

 

故に,iΔ(x-y;m2)=[φin(x),φin(y)]

=(2π)-34kθ(k0)δ(k2-m2)[exp{-ik(x-y)}

-exp{ik(x-y)}]を得ます。 (注終わり)※

 

 真空期待値に対するスペクトル表示:

 Δ'(x-y)=∫0dσ2ρ2)Δ(x-y;σ2)直ちに

"伝播関数=Green関数":iΔF'(x-y)=<0|T(φ(x)φ(y))|0>

に拡張できてΔF'(x-y)=0dσ2ρ2F(x-y;σ2)

となります。

 

ただしF(x-y;σ2)は質量がσの自由スカラー場の伝播関数

であり,そのFourier表示は, 

ΔF(x-y;σ2)=i∫d4p[exp{-ip(x-y)}/(p2-σ2+iε)] 

です。

 

(注):まず,F'(x-y)=-i<0|T(φ(x)φ(y))|0>の

中心に固有状態|n>の完全系を挿入すると,

 

 ΔF'(x-y)=-i<0|T(φ(x)φ(y))|0>

-iΣn{θ(x0-y0)<0|φ(x)|n><n|φ(y)|0>

+θ(y0-x0)<0|φ(y)|n>

 

=Σn|<0|φ(0)|n>|2[θ(x0-y0)exp{-in(x-y)}

+θ(y0-x0)exp{in (x-y)}]

 

です。

 

さらに,1=∫d4qδ4(n-q)を挿入すると,

ΔF'(x-y)

=-i(2π)-3∫d4q[(2π)3Σnδ4(n-q)|<0|φ(0)|n>|2]

[θ(x0-y0)exp{-iq(x-y)}+θ(y0-x0)exp{iq (x-y)}]

です。

 

結局,

 

ΔF'(x-y)

-i(2π)-3∫d4ρ(q2)θ(0)[θ(x0-y0)exp{-iq (x-y)}+θ(y0-x0)exp{iq (x-y)}]

=-i(2π)-30dσ2ρ2)∫d4qδ(q2-σ2)θ(0)

[θ(x0-y0)exp{-iq (x-y)}+θ(y0-x0)exp{iq (x-y)}]

 

を得ます。

 

前と同じく,∫d4qθ(q0)δ(q2-σ2)=∫d3(2ωq)-1より,

(2π)-3∫d4qδ(q2-σ2)θ(0)[θ(x0-y0)exp{-iq (x-y)}

+θ(y0-x0)exp{iq (x-y)}]

 

=(2π)-3∫d3(2ωq)-1)[θ(x0-y0)exp{-iq(x-y)}

+θ(y0-x0)exp{iq (x-y)}]=iΔF(x-y,σ2)

です。

 

すなわちF'(x-y)=0dσ2ρ2F(x-y;σ2)

です。 (注終わり)※

 

さてF'(x-y)=0dσ2ρ2F(x-y;σ2)

=i∫d4p(2π)-4exp{-ip(x-y)}

[∫0dσ2ρ2)/(p2-σ2+iε)]なので,

 

ΔF'(p)≡0dσ2[ρ2)/(p2-σ2+iε)]とおけば

ΔF'(x-y)=i∫d4p(2π)-4ΔF’(p)exp{-ip(x-y)}

と書けます。

 

一方,ρ(q2)θ(0)=(2π)3Σnδ4(n-q)|<0|φ(0)||n>|2

の右辺の{0|φ(0)||n>|2の固有状態|n>のうちで

1粒子状態|p>の寄与のみに着目します。

 

そして,入射漸近場(In-field):φinの定義;

√Zφin(x)=φ(x)-∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)

から,0|φ(x)|p>=√Z0|φin(x)|p>

∫d4yΔret(x-y;m)0|~(y)|p>

です。

 

ところが,<0|~(y)|p>=<0|(□y+m2)φ(y)|p>

=(□y+m2)exp(-ipy)<0|φ(0)|p>

=(-p+m2)<0|φ(y)|p>=0 が成立するので

右辺第2項はゼロです。

 

したがって,<0|φ(x)|p>=√Z0|φin(x)|p>で,

√Zはφ(x)を媒介して真空から1粒子状態を生成する振幅

を示しています。

 

定義によってφin(x)は真空から1粒子状態を生成する行列要素

の単位振幅となるように規格化されているため,

 

<0|φin(x)|p>=∫d3(2π)-3/2(2ωk)-1/2<0|a^in()|p>

=(2π)-3/2(2ωk)-1/2exp(-ipx) です。

 

そこで,<0|φ(x)|p>=√Z(2π)-3/2(2ωk)-1/2exp(-ipx)

であり,|<0|φ(0)|p>|2=(2π)-3(2ωp)-1Z 

です。

 

故に,スペクトル振幅ρ(q)=ρ(q2)θ(0)

=(2π)3Σnδ4(n-q)|<0|φ(0)|n>|2への

1粒子状態:|p>の寄与を分離して取り出すと,

 

(2π)3∫d3δ4(-q)(2π)-3(2ωp)-1

=∫d4pδ(p2-m2)θ(p04(-q)Z

=Zδ(q2-m2)θ(q0)

 

となります。

 

これから,Δ'(x-y)=∫0dσ2ρ2)Δ(x-y;σ2)は

Δ'(x-y)=ZΔ(x-y;m2)+∫mt2dσ2ρ2)Δ(x-y;σ2)

です。

 

ただし,mt2は1粒子項を超える最小の連続的な平方質量を表わす

閾値(threshold)です。

 

π中間子の場合には,m=mπであり,今はπよりも軽い粒子の

存在や束縛状態の存在を仮定しないのでmt2=4mt2です。

 

ここで,得られた式:

Δ'(x-y)=ZΔ(x-y;m2)+∫mt2dσ2ρ2)Δ(x-y;σ2)

の両辺を時刻x0=tで微分した後に,y0=x0=tとおきます。

 

lim y0→x0 {∂Δ'(x-y)/∂x0}=<0|[π(,t),φ(,t)]

=-iδ3()=lim y0→x0 {∂Δ((x-y;σ2)/∂x0}

ですから,1=Z+∫mt2ρ2)dσ2 を得ます。

 

そこで,ρ2)≧0 によって定数Zに対し,0≦Z≦1なる制限

が課せられます。

 

もしもσ2≧mt2の連続領域に何らかのρ2)>0 なる相互作用

が存在すれば,Z=1は除外されて 0≦Z<1です。

 

そこで,自由場の1に比べてφ(x)が真空から1粒子を生成する

振幅Zは1より小さくなると予測されます。

√Zφin(x)=φ(x)-∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)がZφin(x)

を定義し.漸近条件:limt→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>

を満たす状態:

|1,2,..,N;in>≡ain^+(1)ain^+(2)..ain^+(N)|0>を

構成するとすればZがゼロとなることは許されません。

 

ところが,実際には摂動展開の個々の項がこの要請を破ることが見出されます。これは困ったことです。

 

※(注): 級数の各項が発散しても級数和が有限な例を挙げます。

 

exp(-Λ)-1=Σn=1(-Λn/n!)なる等式を考えると,

Λ→∞ のとき右辺の級数の各項はそれぞれ発散しますが,

左辺の総和は有限な値(-1)に収束します。(注終わり※)

 

また,Z<1となるような相互作用が存在する場合には,

漸近条件lim x0→-∞φ(x) =√Zφin(x)と矛盾します。

 

つまり,これが正しいと仮定すると,

lim x0→-∞d(,t),φ(,t)]=-iδ3()

lim x0→-∞ind(,t),φin(,t)]ですが,

ind(,t),φin(,t)]=-iδ3()ですから,

比較によってZ=1と結論されます。

 

 

こうした場合には,不正確で決まりのない極限操作の順序を

交換することは明らかに正当とは認められません。

 

 

§16.5 The Out-field and Out-states(散乱漸近場と散乱漸近状態)

 

t→-∞では動力学を入射漸近場(In-fields)φin(x)の助けで

自由粒子のそれに帰着させたように,t→∞でも散乱漸近場

(outgoing-fields or Out-fields) φout(x)を適切に定義する

ことにより同じことをなすことができます。

 

 これは散乱問題の終状態における状況なので,こうしたt→∞

における物理的状態の簡単に記述する手法が求められます。

 

 φout(x)は,φin(x)について展開したのとほぼ同じ手順

で構成することができます。

 

 まず,[P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ),

 (□+m2in(x)=0 のアナロジーで,

 φout(x)は2つの条件式:

 [P^μout(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ)(平行移動不変),

 (□+m2out(x)=0 (質量mの自由スカラー場)を満たす

ように定義されます。

 

 そしてout(x)φin(x)と同じく,

(□+m2)<n|φout(x)|0>

=(m2-pn2)<n|φout(x)|0>=0

を満たします。

 故に,やはり真空から1粒子状態のみを生成します。

 

Fourier展開は,φout(,t)

=∫d3[aiout^()fk(x)+aout^+()fk*(x)]

=∫d3{(2π)3k}-1/2[aout^()exp(ik-iωkt)

+aout^+()exp(-ik+iωkt)];ωk≡(2+m2)1/2

です。

これから,[P^μout(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ)によって,

[P^μ,aout^()]=-kμout^(),かつ

[P^μ,aout^+()]=kμout^+ ()] を得ます。

 

 

 そして,lim t→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>

とは対照的な弱漸近条件:

lim t→+∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φoutf|β>,

または象徴的にφ(x)→ √Zφout(x)(x0 →+∞)が

満たされるようにφout(x)を定義したいです。

 

 これらのことから,φout(x)を,

 √Zφout(x)≡φ(x)-∫d4yΔadv(x-y;m)j~(y)

で定義するのが妥当と考えられます。

 

 ここに,x0>y0ならΔadv(x-y;m)=0 を満たす関数:

 Δadv(x-y;m)は謂わゆる先進Green関数(advanced Green's function)であり方程式:(□+m2adv(x-y;m)=δ4(x-y)

を満足します。

 

規格化定数√Zは,再び真空から1粒子状態を生成するときに

単位振幅となるように導入されます。

 

よって,0|φ(x)|p>=√Z0|φout(x)|p>

√Z∫d3(2π)-3/2(2ωk)-1/2<0|a^out()|p>

√Z(2π)-3/2(2ωk)-1/2exp(-ipx)です。

 

つまり,0|φ(x)|p>=√Z0|φin(x)|p>

√Z0|φout(x)|p>=√Z(2π)-3/2(2ωk)-1/2exp(-ipx)

であり,1粒子だけでは自己相互作用以外の相互作用は不可能です。

 

1粒子波動関数:0|φ(x)|p>は規格化定数が異なるだけで

自由粒子のそれと同じです。

 

以上から,φout(x)の交換子の真空期待値はφin(x)の交換子

と同じく自由場のそれと同じです。

 

すなわち,<0|[φout(x),φout(y)]|0>

0|[φin(x),φin(y)]|0>=iΔ(x-y)です。

 

こうした交換子が実際には単なるc-数であり,

out(x),φout(y)]in(x),φin(y)]=iΔ(x-y)

と書けることがZimmermanによって証明されています。

 

 

今日はここまでにします。

 

次回はS行列要素の明確な定義

βα≡<β;out|α;in>を与えることから考察したいと思います。

 

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell“Relativistic Quantum Fields”(McGraw-Hill)

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日本は負けなかった。(ワールドカップ)

 PK戦はサッカーというよりくじかジャンケンのようなもの。。。ジャンケンには負けたが本戦は互角,引き分けでした。

 次は互角のパラグアイがベスト4以上にいくように応援します。

PS:昨日は6月最後の手話講習会でした。

 先週から始めた仕事の帰りに上海帰りのりくちゃんと会って巣鴨駅前の軽食喫茶で焼きそばとアイスコーヒーを取りました。

 7月中には引っ越す必要あるので不動産屋に寄った後,直接椎名町の心障センターまで行きました。開始1時間前に着いたので漫画を読んでました。

 手話教室初心者コースの生徒は男性が6名で女性が17名?くらいで去年通ったヘルパースクール程ではないですが女性が優位です。

 毎回,テーマがあって,これまで自分の家族構成,誕生年月日ときて先週は身長体重でしたが,昨日のテーマは自分の趣味でした。

 全員が順に前に出て各自いつものあいさつと名前の紹介に加え,自分なりに考えた身振り手振りで趣味を発表したのですが,私が冗談で小指を立てたら耳が聴こえない人も含め大爆笑でした。

 21時頃に授業が終わってから,サッカー観戦のため,そそくさと帰宅しました。

 コーラとイカのスナックを用意して緊張してTV観戦してましたが,負けた瞬間にドッと疲れが来て爆睡してしまいました。

PS2:画面が赤く見えたのは自分の眼のせいではないことが判明しました。

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2010年6月28日 (月)

アクセス数40万突破!!

 夜中,といっても朝5時過ぎですがちょっと自分のブログにアクセスしたらアクセス数40万を超えているのに気付きました。(たった今,アルゼンチンが3対1でメキシコに勝ったみたいです。)

 昨日最後の段階では40万まであと75アクセスに迫っていましたが,詳細を見ると夜中の零時から1時の間に98アクセスが集中して一気に40万アクセスを超えたみたいです。

 その時間帯の来訪者は13人だけですから,1人で平均7回か8回もアクセスしています。

 この頃は1日平均でも300~400アクセスなので週末は平日より少ないですから,日曜日から月曜日への夜中の1時間にほぼ100もアクセスがあったのはちょっと異常です。

 その後は,また1時間に10アクセス前後で夜中の普通のペースに戻っているようです。

 ミクシィのようにカウンターに切り番など設定しているわけではないので,どなたが40万番目か?とかは全く不明なのですが,もしかしてカウンターを見て切り番でも狙った方々がいらっしゃったのでしょうか?

 いずれにしても本日6月28日(月)で40万アクセスとなりました。前回30万アクセスが2009年8月17日ですから,この10万アクセスは317日です。

 このブログの開始日が2006年3/20ですから,今日の6月28日は,ブログ開始から1563日目(4年3ヶ月)です。

 最初からの日平均のアクセスは約256ということになりますね。

 最初の10万アクセス到達が2007年12月26日(ブログ開始から640日)(2007年 12/26 「アクセス数」) で,それから20万への到達が2008年11月13日(開始から962日)(2008年 11/13「 20万アクセス 」) でした。

 そして30万到達は,2009年8月17日(開始から1246日)(2009年8/18「アクセス数アクセス数30万超えたみたい。」)でした。

 ということは,10万アクセスごとに640日,322日,284日で今回が317日の間隔になっていて,初めの1年9ヶ月は155/日で,次は10ヶ月で310/日,次が9ヶ月で352/日,最後はまた10ヶ月余りで315/日です。

 平均の日当たりアクセス数は,前の10万の352/日からわずかに減少してきているようです。もうそろそろ頭打ちですかね。

 一方,記事数は,これが873個目ですから平均16記事/月です。平均で2日に1個書いてる割合ですね。

 記事数は30万アクセス時が712個目ですから,315日間で161個はやはり,ほぼ2日に1個です。はりきって毎日書いていた開始当時の1年よりは投稿のペースは減ってきていますが2日に1回ならまだまだ順調です。

 いずれにしても,皆様,来ていただいてありがとうございます。

 まだまだ,頑張って書いていくつもりです。これからもよろしく。。

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2010年6月27日 (日)

場理論におけるS行列とLSZの公式(1)

 かつて,2009年1/18の記事:

 「束縛状態とベーテ・サルピーター方程式(1)」において, 

 T積(時間順序積)の真空期待値で与えられる2体散乱の

 4点Green関数:

G(xa,xb;ya,yb)≡<0|T(φa(xab(xba(yab(yb))|0>

とその摂動級数の扱いについて触れたことがありました。

 

 以下では,こうした場の理論での散乱のS行列を求めるルールの

 数学的定式化の1つ:Lehmann,Symmnzik,ZimmermannによLSZの

 還元公式(Reduction-formula)を紹介します。

 

 参考にしたのは,J.D.Bjorken & S.D.Drell著の

 "Relativistic Quantum Field"の第16章です。 

 

 

 第16章といっても,このテキストは第11章から始まっています。

 

 第1章から第10章はこの本の前に読むべきとされている,

 companion-volumeの"Relativistic Quantum Mechanics"

 の方にあるのですね。 

 

さて,本文です。

 

自然界で観測される相互作用粒子の動力学(Dynamics)を

記述して説明することが場の量子論の目的(goal)です。

 

自由粒子の性質は,古典場を量子化する手続きから見て

取れますが,相互作用する粒子の動力学的挙動を記述

するのは一般的な行列要素を評価することから得られる

はずです。

 

特に,単一粒子が時空を伝播する振幅,すなわち1粒子の

Green関数(propagator:伝播関数),および異なる始状態

と終状態の間の遷移振幅(S行列要素)の両方に興味が

あります。

 

ここで得るべき結果の1つは,場を量子化する以前の相対論

的量子力学の議論で直観的に展開した計算でのFeynmanルール

を場の量子論の定式化から再構成することです。

 

 自由場でなく相互作用場と結合した一般に非線型な方程式の正確

 な解を得るという問題は通常余りにも複雑で解明しがたいものです。

  

 さまざまな近似法に向かう前に,対称性,不変性という論旨のみに依拠

 して厳密な状態Φと正確な伝播関数(propagator)の性質を決定する

 ことに進むことが如何に遠大であるかということを見ます。

 

 特に平行移動とLorentz変換に対する不変性が重要な役割を

 果たします。

 これはどんな理論にも共通な対称性です。

 

まず,状態Φをエネルギー・運動量4元ベクトルの固有状態

になるように選びます。

このことは普通の状況では常に可能です。

 

何故なら,通常,系は平行移動不変性を有し,このため保存量

としてのエネルギー・運動量4元ベクトルP^μの存在が保証

されるからです。(※Noetherの定理)

 

以下,Heisenberg描像の枠内で論議を進めていき状態ΦとP^μ

を他の全ての互いに交換する保存量によって特徴付けます。

 

さらに,物理的基礎に基づいてP^μの固有スペクトルに対して

以下に条件を課します。

存在を仮定したP^μに対する正確な解が得られていないため,

こうした要請は仮定であって証明されません。

 

1. エネルギー・運動量の固有値は全て光円錐の前方内部にある。

 すなわち,P2=Pμμ≧0 ,かつP0≧0である。

 

,縮退していないLorentz不変な最低エネルギー状態:Φ0が存在する。

 これを真空状態と呼び,|0>と書く。

 これは規約によって,エネルギーがゼロとなるように選択される。

 すなわち,P^0|0>=0 である。

 

このとき,要請1からP2=(P0)22=-2≧0 なので

^|0>=0 も得られる。

 

したがって,P^μ|0>=0 であり|0>がLorentz不変なこと

から,如何なるLorentz系にいる観測者に対しても等しく

真空状態(最低状態)として出現します。

 

 

※(注):<0|P^μ|0>=cμのときcμがゼロであることが重要です。

 

 もしもcμがゼロでないなら,P^μ→aμνP^νなるLorentz変換

 によって変換された別の準拠系で観測されるエネルギー:a0νν

 が,最低であるという条件からはずれることがあるため.

 謂わゆる自発的対称性の破れ(spontaneously bprlen-symmmetry)

 が生じます。

 

 cμ=0 以外の例外はcμ= ∞ の場合です。

 

 ∞ には数としてほぼゼロと同じ対称性がありますが,

 そもそも ∞ は普通の意味では数でないし正定値では

 ありませんから,別の計算不可能性の問題を生じます。

 (注終わり)※

 

.安定した単一粒子の状態:Φ1(i)≡{P(i)>が存在して

 その質量をmiとするとP(i)2=P(i)μ(i)μ=mi2が成立する。

 

.真空状態と単一粒子状態はP^μの離散的スペクトルを形成する。

 

 例えばπ中間子は自然界に安定な粒子として存在します。

 観測されるπの主要な崩壊→μ+νによる半減期は

 約2×10-8secです。

 

これはCompton波長から得られるπ中間子の自然周期

c/(mπ2) ~5×10-24secと比べて非常に長いです。

 

そこで,ここでの初期の伝播関数の第一近似を調べるような

弱い相互作用を無視する扱いでは,π中間子は安定粒子である

として扱います。

 

以下では,Lagrangianやエネルギー・運動量ベクトルを作る

に当たってπ中間子(実は擬スカラー)の固有スペクトルを

モデルとするスカラー場φ(x)のそれに関連させます。

 

同様にP^μのスペクトルに現われる離散的状態をスカラー

場φ(x),または他の場ψ(x)と結び付けます。

 

こうしたアプローチの精神は,摂動論のそれと似ています。

 

安定粒子のLagrangianに相互作用を付加しますが,相互作用の

存在は元の粒子の質量スペクトルを激しくは変えないと仮定

します。

 

 ただし,これは明らかに非常に強い仮定であり,こうした

 アプローチにとって決定的な制限となります。

 

 何故なら,これは自動的に束縛状態を排斥するからです。

 

 ここでは,主に初等的散乱問題と関わるので束縛状態を

 含む話は想定しません。

 

 まずは,初期時刻t→-∞ における物理系を記述する

 入射状態(in-coming states or In-states)を記述する方法

 を得たいと考えます。

 

 散乱事象にある粒子はt→-∞ではまだ互いに相互作用を

 していませんが,自己相互作用の理論を組み立てるため,

 物理的質量を持って伝播している粒子に関して独立な粒子

 状態を生成する演算子を求めます。

 

 そして,こうした粒子の状態は完全系を形成すると仮定します。

 

 相互作用をしない自由場のLagrangianのケースには,1粒子

 状態は場の演算子の平面波による展開係数として出現する

 生成演算子の1つを真空|0>に適用することで作ることが

 できます。

 

 そして,|0>からスタートしてn個の生成演算子を繰り返し

 適用することでn粒子状態を構成することができます。

 

粒子解釈はエネルギー・運動量4元ベクトルP^μのスペクトル,

および仮定された交換(反交換)関係から導かれる生成消滅演算子

の代数から引き出されます。

 

(※したがって粒子概念はP^μの固有状態である自由粒子状態

にのみ付随する概念で相互作用を含む一般の場の作る状態は

そうした明確な意味を持ちません。)

 

相互作用している場に対しても,相互作用する前に真空から

単一粒子の状態を作るような対応する演算子を求めます。

 

簡単のために,相互作用する場としてLagrangian:

L=∫(x)d3x,

(x)=(1/2)∂μφ∂μφ-(1/2)m02φ2(x)+j(x)

を持つ実スカラー場φ(x)を考えます。

 

0は自己相互作用を含まない裸の質量(bare mass)です。

 

相互作用カレントj(x)は,φのみの関数でφd=φdot≡∂φ/∂t

を含まない場合を想定します。

すると場の正準共役演算子はπ(x)=δL/∂φd=φd(x)

で与えられます。

 

そして,φ(x)は波動方程式(□+m02)φ(x)=j(x)を

満たし,同時刻で正準交換関係;

[φ(,t),φ(,t)]=[π(,t),π(,t)]=0,

[π(,t),φ(,t)]=-iδ3()

を満たす演算子です。

 

カレントj(x)は任意の形をしているとします。

 

これは核力の結合の表現かもしれないし,または

j(x)=λφ4(x)/4のような自己相互作用結合かも

知れません。

 

後者の場合は,(x)=(1/2)∂μφ∂μφ

-(1/2)m02φ2(x)+(λ/4)φ4(x)です。

 

真空から単一の物理的粒子の状態を作るための求める演算子

(incoming field or In-field)をφin(x)と書くことにします。

 

φin(x)は,正確な場φ(x)とj(x)の中に存在する他の任意

の場の適当な関数によって形成されます。

そして,それの存在は以下に陽な形を作ることで証明します。

 

φin(x)が真空から自由な物理的中間子を生成する演算子

であるという望ましい特徴を有することを保証するため,

これに自由場が持つのと同じ次の性質を割り当てます。

 

 

1. φin(x)は平行移動とLorentz変換の下で対応する場φ(x)

 と同じように変換する。

 

 この選択は,φin(x)で作られる1粒子状態の共変性を保証します。

 特に,平行移動については,

 [P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ)

 が成立します。

 

2. φin(x)の時間的発展は物理的質量mを持った自由粒子

 のKlein-Gordon方程式で記述される。

 (□+m2in(x)=0 です。

 

 これら2つの方程式から,φin(x)は真空から物理的1粒子

 状態を生成することが導かれます。

 

 これを確認するため,任意の固有状態|n>:

 P^μ|n>=pnμ|n>を考えて,|n>と真空|0>による

 φin(x)の行列要素に,

 [P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ)を適用します。

 

 すなわち,i(∂/∂xμ)<n|φin(x)|0>

 =<n|[P^μin(x)]|0>=pnμ<n|φin(x)|0>

 です。

 

 故に,-∂2/∂xμ∂xμ=ipnμ(∂/∂xμ)<n|φin(x)|0>

 =pnμ<n|φin(x)|0>より,

 □<n|φin(x)|0>=-pn2<n|φin(x)|0> を得ます。

 

 これと方程式(□+m2in(x)=0 から,

 (□+m2)<n|φin(x)|0>=(m2-pn2)<n|φin(x)|0>=0

 となります。

 

 そこで,真空|0>からφin(x)によって生じる状態:

 φin(x)|0>は,n2=m2を持つ状態である,質量がmの

 1粒子状態のみであることがわかります。

 

※(注):何故なら,P^μの固有状態が完全系を形成するという仮定

 から,φin(x)|0>はP^μの固有状態の線型結合で表わされます。

 

 そして,Hermite演算子の異なる固有値に属する固有ベクトルは

 直交することから,<n|φin(x)|0>≠0 なる場合,

 φin(x)|0>の中の|n>と同じ固有値成分のみが線型結合に

 寄与して残ります。

 

つまり,pn2=m2を持つ成分のみが状態:φin(x)|0>にゼロ

でない寄与をします。

 

|n>はP^μの任意の固有状態ですから,結局φin(x)|0>

を構成する全てのP^μの固有状態はpn2=m2を満たす,

と結論されます。  (注終わり)※

 

既に,自由なKlein-Gordon方程式(□+m2in(x)=0

に従う場は,Fourier積分:

 

φin(,t)=∫d3[ain^()fk(x)+ain^+()fk*(x)]

=∫d3{(2π)3k}-1/2[ain^()exp(ik-iωkt)

+ain^+()exp(-ik+iωkt)];

ただし.ωk≡(2+m2)1/2で与えられることを知っています。

 

k(x)は質量がmの自由平面波で,

k(x)≡{(2π)3k}-1/2exp(-ikx)]です。

 

ただし,kx=k0t-kx,k0≡ωk=(2+m2)1/2 です。

 

そして,逆変換によって,

in^()=i∫d3k*(x)∂0φin(x)

と表わされます。

 

右辺の記号∂0は,任意の2つのtの関数a(t),b(t)に対し,

a(t)∂0b(t)≡a(t)(∂b/∂t)-(∂a/∂t)b(t)

によって定義される微分演算子です。

 

演算子ain^()は,

[P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ)から得られる

次の交換関係を満足します。

 

すなわち,[P^μ,ain^()]=-kμin^(),

[P^μ,ain^+()]=kμin^+ ()]です。

 

このことから,真空|0>にain^+()を繰り返し適用する

ことにより,一般のn粒子固有状態を作り上げることができる

とわかります。

 

すなわち,|1,2,..,N;in

≡ain^+(1)ain^+(2)..ain^+(N)|0>と定義すれば

ゼロ-エネルギーの一意的な真空状態の仮定によって

in^()|0>=0 なので,

 

P^μ|1,2,..,N;in

=P^μin^+(1)ain^+(2)..ain^+(N)|0>

=Σi=1Niμ|1,2,..,N;in

 

が成立します。

 

そして,(1,2,..,M)が(1,2,..N)と完全に一致しない

場合には,常に<1,2,..,M;in|1,2,..N;in>=0

です。

 

ただし,1,2,..,M1,2,..Nの順序には無関係です。

 

そして,数Nと運動量μにの全ての可能な選択によって

作られる固有状態の集合は完全系をなすと仮定されています。

 

漸近場φin(x)をφ(x)で表現するために.

(□+m02)φ(x)=j(x)の両辺に質量の寄与:

δm2φ(x)=(m2-m02)φ(x)を加えます。

 

これにより,裸の質量m0でなく物理的質量mの式にするわけです。

 

(□+m2)φ(x)=j(x)+δm2φ(x)≡j~(x)と書きます。

 

新しく定義されたカレントj~(x)が,散乱を生じる源として

扱われるわけです。

 

φ(x)からj~(x)による散乱波を除去するとφin(x)で

与えられる物理的質量mを持って伝播する自由波になるはずです。

 

これはin(x)が,

√Zφin(x)=φ(x)-∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)

のように表わされることを意味します。

 

ここに,x0<y0ならΔret(x-y;m)=0 を満たす

Δret(x-y;m)は遅延Green関数で,方程式:

(□+m2ret(x-y;m)=δ4(x-y)を満足します。

 

逆にin(x)を,

√Zφin(x)=φ(x)-∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)

で定義すると,

 

これは確かにIn-fieldが満たすべき条件:

[P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ),

(□+m2in(x)=0 を満足します。

 

~(y)はスカラー演算子です。

 

平行移動変換なら,

 

√Zφin(x+a)=φ(x+a)-∫d4yΔret(x+a-y;m)j~(y)

=exp(iP^a)φ(x)exp(-iP^a)

-∫d4zΔret(x-z;m)j~(z+a)

=exp(iP^a)[φ(x)-∫d4zΔret(x-z;m)j~(z)]

exp(-iP^a) が成立します。

 

すなわち,

√Zφin(x+a)=√Zexp(iP^a)φin(x)exp(-iP^a)

が成立します。

 

Lorentz変換についても,φin(x)がφ(x)と同様な対称性

を持つことは容易に示すことができますが,ここでは割愛します。

 

定数√Zは,真空から1粒子状態を生成する行列要素に対し

φin(x)の規格化で単位振幅を取るようにするために導入

された"くり込み定数(Renormalization constant)"と

呼ばれる定数です。

 

φ(x)=√Zφin(x)+∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)なる

形は0 → -∞ に対しては,x0<y0ならΔret(x-y;m)=0

という性質に従って相互作用項が消えます。

 

それ故,x0 → -∞ に対してφ(x) → √Zφin(x)となります。

 

これは,因果律の直感的観念に従って,場の演算子は入射自由波

に帰することを示しています。

 

φ(x) → √Zφin(x)(x0 → -∞)と同様な漸近条件は,

前に1粒子の通常の量子力学の波動関数に適用されて直感的

な伝播関数論議に拡張されていました。

 

 

すなわち,始状態粒子と終状態粒子の相互作用を分離するため

断熱仮定を使用する代わりに,相互作用領域と重ならない局所化

された解を示す波束を作ることによって同等な分離を遂行しました。

 

場の演算子の等式:

φ(x)=√Zφin(x)+∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)は,

上記の漸近条件の演算子としての表現と考えられます。

 

しかし,これはj~(x)がx0 →-∞ においても自己相互作用項:

δm2φ(x)を含んでいるので,x0 →-∞ でもφ(x)を相互作用

j~(x)から分離することが不可能なため,

 

このままでは矛盾を生じます。

 

しかし場の量子論で波束に対応するのは場の演算子ではなく,

その行列要素です。

 

漸近条件が適用さるべきは,演算子の行列要素にであって

演算子そのものにではありません。 

 

Lehmann,Symmnzik,Zimmermannによって述べられた正確な

漸近条件は次のような形です。

 

|α>,|β>を任意の規格化可能な状態とします。

 

そして,場の演算子φ(x)を空間的領域(space-like region)

でぼかすことで場の演算子φf(t)を定義します。

 

すなわち,

φf(t)をφf(t)≡i∫d3*(,t)∂0φ(,t)

で定義します。

 

ただし,f(x)=f(,t)は任意の規格化可能なKlein-Gordon

方程式の解です。(□+m2)f(x)=0 です。

 

そして,漸近条件は,

lim t→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>

で与えられるとします。

 

ここに,φinfφinf≡i∫d3*(,t)∂0φin(,t)

で定義されますが,Greenの定理によって,これは時間tに

依存しません。

 

(注):(d/dt)[∫d3*(,t)∂0φin(,t)]

=∫d3(∂/∂t)[f*(,t)∂0φin(,t)]

=∫d3[f*(,t)(∂2φin/∂t2)-(∂2*/∂t2in(,t)]

 

=∫d3[f*(,t)∇2φin*(,t)-∇2*(,t)φin(,t)]

=∫d3x∇[f*(,t)∇φin*(,t)-∇f*(,t)φin(,t)]

=0  です。(注終わり)※

 

 

漸近条件limt→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>は,

"弱い漸近条件"と呼ばれています。

 

以下では,漸近条件をφ(x) → √Zφin(x)(x0 → -∞)

と書いたときでも,これは上のLSZの正確な叙述を意味する

とします。

 

 

こうして,初期の粒子生成演算子で形成される状態:

|1,2,..,N;in>≡ain^+(1)ain^+(2)..ain^+(N)|0>

は,in^+()=i∫d3k(x)∂0φin(x)により,

 

単色平面波:fk*(,t)≡{(2π)3k}-1/2exp(ikx)]に

近づくf*(,t)に対する"波束"φinf*で形成される規格化可能

な状態の極限と理解さるべきです。

 

入射状態(incoming-states)の完全系条件と上記の(弱い)漸近条件

が,散乱実験においてt→-∞ における始状態の動力学を特定

するために必要な全ての条件です。

 

 

そこで,もしもZ≠0 なら,

√Zφin(x)=φ(x)-∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)は,

初期の"散乱状態=入射状態(始状態)"を作るための場の演算子

φin(x)を定義する式となります。

 

 

後に示すことですが,実は局所的Lagrangianを場の演算子に

よって定義して物理的理論を数学的に理想化しているためか,

 

エネルギーが無限大の場合の理論の急激な挙動のため,理論

はZ≠0 であることを保証しません。

 

もしも,こうした現在の定式化が未知のより精巧な理論の

局所的極限であるなら,これは実際に有り得ることです。

 

以下,このことに留意して,φ(x)が真空から1粒子状態を

生み出す振幅の平方Zに対する一般的表現を課した初期の

仮定1,2,および正準交換関係から正式に導出できること

についてのみ論じてゆきます。

 

今日はここまでにします。

 

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields"(McGraw-Hill)

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まだまだ羽生天下は続く

 先の名人戦に続き,1日制の棋聖戦五番勝負ももまた3勝0敗のストレートで羽生棋聖が防衛したらしいです。どうも居飛車の戦いでは無敵みたいです。。

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2010年6月24日 (木)

多重人格

 今年も,思いっきり大っ嫌いな日テレの「24時間TV」が近いらしい。。愛は地球を救うだと?。。いや,もちろんそういう側面もあるだろう。。

 だが救うとしたらそれは愛というよりお金だ。。

 出演者にギャラは出ないんだろうが子供から僅かな貯金など取り上げるなよ。。ま,その他いまさら細かいことはやめておこう。

 今や日テレだけじゃなくてもやってるし,偽善も善のうちだ。。売名でも宣伝でもやらないよりはやったほうがまし。。。

 しかし,小さな親切は大きな親切の邪魔になることがあるという譬えくらいは言っておこう。。一時金を貰ってそれをアテにして将来生きていける保証が無いんだったら,そんなの害になるだけで誰も救われないよ。。。

 むしろ憎しみこそが世を救う。。イヤ昔のように革命だなどとは言わない。。でも恵むのではなく奪うことでしか。。。。。

 バカで単細胞だから考え方は学生の20歳前後の頃から進歩がないなとは自分でも思うが。。生活の苦労をしてないせいだろうか。。

 最近,飲み屋などで結局はキレイゴトを言ってると言われるのが八方美人でありたい私には結構気にかかっている。

 (実はみかけはポーカーだが,すぐ傷ついて自己嫌悪に落ちいり唄なんかでゴマカシてるのだ。。)

 否定はしない。その通りだ。

 プライドないだと?そんなの人間じゃねえよ。。裏も表もない正直者?それも化け物だ。。。動物ってのはもっとドロドロしてるんだよ。。むしろそんな完全無欠の冷たそうな神様か仙人だったら抱きつきたくもならねえよ。。

 そもそも俺自身が俺自身を大嫌いだってなもんさ。。二重人格?人間とは?元々多重人格的なのさ。。。また理屈かよ。。。

 あかん。。また酒も飲まないのにオンスだ。。。自己顕示,自意識過剰.被害妄想だ。。。いや今晩のサッカーまでのひまつぶしだ。。。

 昼間,10歳下の男性とデートした。えらく足が速く周囲におびえてるようだ。オレがついてるってのにヨォ。。

 馬鹿野郎てめえら誰をアザ哂ってるんだ。。可哀想なやつらめ。。

 オレの最大の欠点は,欲しいものを素直に欲しがらないし要求しない努力もしないってこと,,いつまでたっても最後まで死ぬまでお墓入る?までポーカーだってことだろうと思っている。。

 オレと違ってそれができる他人がうらやましいし,他人が理解できない。

 ん?甘いモノが欲しいなあ。。

 アレ?カン子(市川)チャン美人になった?目悪くなったか。。(アクセス40万まで近い。。。)

PS:6/25夜,日テレでマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー見た後,サッカーのブラジル対ポルトガル見ながらウトウトしてました。

 飢え死にしそうだったのに,夜中にノンノンのママに呼び出されて.,タダ焼酎を飲ませてもらって,オマケに春美ちゃんいチョコやウインナーやら手作り?のポテトサラダなんかのオミヤまでもらって,「そのうち1万倍にして返すよ。」と口先だけ,

 粗大ゴミ置き場で新しいむらかみはるきの1Q84を拾って帰ってこんなにしあわせでいいんだろか??。。

 ただただ,ありがとう。。感謝だけです。しあわせはみんなに分けてあげたいけど。。どうすればいいんだろ。。。 

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散乱の伝播関数の理論(15)(応用2-3)

 散乱の伝播関数の理論の続きです。

 

ここまでの最低次近似の電子-陽子散乱についてさらなる高次補正

を与えます。

 

ただし,Feynman-rulesが与える手順によって定められる計算式の

導出が主目的ですから,行列のトレースの評価等,具体的な計算結果

を追求するものではありません。

 

§7.5 Higher-order Corrections to Electron-Proton Scattering

 (電子-陽子散乱の高次補正)

 

ここまでの電子-陽子散乱の計算結果は,S行列要素Sfiではeと

p(=-e)の1次,遷移確率では,e2p2の1次のオーダーまで

で正しいに過ぎません。

 

その次に高次の補正を得るには「散乱の伝播関数(10)」で与えた

S行列要素の近似表現,つまり,

 

fi=δfi-ie∫d4yψf~(x)(x)Ψi(x)のn次の寄与:

-ien∫..∫d41..d4nψf~(yn)(yn)SF(yn-yn-1)

(yn-1)..SF(y2-y1)(y1(+)i(y)

 

に戻る必要があります。

 

この式から,電子と陽子の間のeの2次の補正は,

fi(2)=-ie2∫d4xd4yψf~(x)(x)SF(x-y)

(y)ψi(y) です。

 

この式における電磁ポテンシャル:Aμ(x),Aν(y)も再び電磁

カレントによって生起されます。

 

この場合のカレントを決めるために,Aμ(x),Aν(y)と相互作用

する2次のカレントの形を見ます。

 

1次の計算におけると同様,Sfi(2)の2次の電子カレントは,

f~(x)γμF(x-y)γνψi(y)

=ψf~(x)γμn;p0>0θ(x0-y0n(x)ψn~(y)

-Σn;p0<0θ(y0-x0n(x)ψn~ (y)}γνψi(y)

で与えられます。

 

先頭の因子iはカレントを2つのカレント積で表わすためです。 

ここで,「散乱の伝播関数(10)で得た式:

F(x-x0)=-iθ(t-t0)∫d3Σr=12ψp(r)(x)ψp(r)~(x0)

+iθ(t0-t)∫d3Σr=34ψp(r)(x)ψp(r)~(x0)

を用いました。

 

電磁ポテンシャルは,Aμ(x)=ε0-1∫d4yDF(x-y)Jμ(y);

μ(y)=epψpf~(x)γμψpi(y)で与えられます。

 

これから2次のカレントから生起されるμ(x)Aν(y)の表現が

得られます。

  

μ(x)Aν(y)=ε0-2p2∫d4wd4zDF(x-w)DF(y-z)

ψf~(w)γμn;p0>0θ(w0-z0n(w)ψn~(z)-

Σn;p0<0θ(z0-w0n(w)ψn~(z)}γνψpi(z)

=iε0-2p2∫d4wd4zDF(x-w)DF(y-z)ψpf~(w)γμ

pF(w-z)γνψpi(z)

 

です。

 

ここで,因子DF(x-w)DF(y-z)は,図7.4の光子の2本の内線に

対するFeynman-propaggatorです。

 

それらは単なる点(dot)で表わされる電子,または陽子との相互作用

頂点(vertex)の間を伝播します。

 

一方,電子,陽子のそれらの頂点はそれぞれeγλ,epγσの寄与を

します。

 

電子,陽子内線にはFermi粒子のpropagator:

F(x-y),SpF(w-z) を対応させます。

 

これらの因子は,座標空間で書かれたFeynman-graphとS行列要素

の間の対応付けの例です。

 

fi(2)に対する表現を完成させるためには,陽子カレントにもう

一つ項を付け加えて2つの光子の区別不可能性を表現する必要

があります。

 

すなわち,電子と点xで相互作用する光子が点wで生じたか?,

点zで生じたか?ということをその電子は知りません。

 

それ故,下図7.5のような可能性も一緒に含む必要があります。

何故なら,光子に対するFeynman-propagatorは正振動数部分のみが

未来に伝播することを保証しますから,4つの点x,y,z,wの相対

的な時間順序が相互作用の中で生じるからです。

 

したがって,例えばwにおける光子は,対等に電子によって放出され

たり吸収されたりする最初のものにも第二のものにも成り得ます。

 

そこで,2つの区別できない交換光子の変数を対称化するため,

0-2p2∫d4wd4zDF(x-w)DF(y-z)ψpf~(w)γμ

pF(w-z)γνψpi(z)に,

 

項:iε0-2p2∫d4wd4zDF(x-z)DF(y-w)ψpf~(w)γμ

pF(w-z)γνψpi(z) を加えます。

 

これから,

fi(2)=-ie2∫d4xd4yψf~(x)(x)SF(x-y)(y)ψi(y)

は,Sfi(2)=ε0-22p2∫d4xd4yd4zd4wψf~(x)γμ

F(x-y)γνψi(y)

[DF(x-w)DF(y-z)ψpf~(w)γμpF(w-z)γνψpi(z)

+DF(x-z)DF(y-w)ψpf~(w)γμpF(w-z)γνψpi(z)]

を得ます。

 

この右辺の2つの項は,座標空間において,対応する

Feynman-diagramからS行列要素を書き下すことに対する同じ

ルールを満足します。

 

 しかし,今までのところ,これらのルールは因子iに関しては幾分

 不明確なことに気付きます。

 

 そこで,全体としての因子:(-i)をS行列に結び付け,因子iSpF

 陽子伝播関数(propagator)に結び付けます。

 

 高次のオーダ-においては,全ての陽子伝播関数SpFは同じ理由で

 因子iを伴ないます。

 

 そして,各電子内線についてもiSFを対応させ,同時にに因子:

 (-i)を結び付けると,Fermi粒子のpropagatorを統一して考える

 規則とすることができます。

 

 すなわち,-ieFF...e

 =(-ie)(iSF)(-ie)(iSF)...(-ie)

 とするわけです。

 

 こうすれば全体としての因子:(-i)もの余分な因子に含まれます。

 

 eに因子:(-i)を結び付けるのは,全ての電子線における頂点に

 対して(-ieγμ)を付与することに相当します。

 

 一方,光子のpropagator:DFにもiを付加して(iDF)に置き換え,

 同時に陽子線頂点に(-iepγν)を付与すれば,Fermi粒子に対し

 て統一されたルールが得られます。

 

すなわち,因子:(-i)を電子,陽子の各頂点(vertex)に対応させ,

因子:iを各内線propagatorに対応させます。

 

以下,一貫してこのルールを仮定します。

 

実際の計算は,座標空間でなくむしろ運動量空間で実行するのが

有利なので散乱の遷移要素をFourier変換します。

 

まず.外粒子線(すなわち,入射,散乱の電子,および陽子)の波動関数は

平面波と見なされます。

 

再び,Sfi(2)=ε0-22p2∫d4xd4yd4zd4wψf~(x)γμ

F(x-y)γνψi(y)

[DF(x-w)DF(y-z)ψpf~(w)γμpF(w-z)γνψpi(z)

+DF(x-z)DF(y-w)ψpf~(w)γμpF(w-z)γνψpi(z)]

から出発します。

 

右辺第1項のFourier変換のみ考えると,

0-24/V2)∫d4xd4yd4zd4w{m2/(Efi)}1/2

{M2/(Epfpi)}1/2(2π)-441(2π)-442(2π)-44

(2π)-44Pexp{-iq1(x-w)}(q12+iε)-1exp{-iq2(y-z)}

(q22+iε)-1[exp(ipfx)u~(pf,sfμexp{-ip(x-y)}

(-m+iε)-1γνu(pi,si)exp(-ipiy)]

[exp(iPfw)u~(Pf,Sfμexp{-iP(w-z)}

(-M+iε)-1γνu(Pi,Si) exp(-iPiz)]

を得ます。

 

全ての時空座標についての積分を実行すれば,各積分が関わる頂点

,y,z,wにおけるエネルギー・運動量保存に対応する4次元

δ関数,および(2π)4の因子を生じます。

 

 すなわち,(ε0-24/V2){m2/(Efi)}1/2{M2/(Epfpi)}1/2

 ∫d41424pd4Pδ4(-q1+pf-p)δ4(-q2+p-pi)

 δ4(q2+Pf-P)δ4(q1+P-Pi)(q12+iε)-1(q22+iε)-1

 [u~(pf,sfμ(-m+iε)-1γνu(pi,si)]

 [u~(Pf,Sfμ(-M+iε)-1γνu(Pi,Si)]

 です。

 

これを,さらにd424pd4Pで運動量積分します。

 

結果は,(ε0-24/V2){m2/(Efi)}1/2{M2/(Epfpi)}1/2(2π)4

δ4(Pf+pf-Pi-pi)∫d41(2π)-4(q12+iε)-1

{(q-q1)2+iε}-1

[u~(pf,sfμ(f1-m+iε)-1γνu(pi,si)]

[u~(Pf,Sfμ(f1-M+iε)-1γνu(Pi,Si)]

です。

 

ただし,前と同じくqはq≡pf-pi=Pi-Pfで定義されます。

 

結果,全体としてのエネルギー・運動量保存のδ関数が出現し,

そして運動量空間でのFeynman-diagramにおいて閉曲線(loop)を

描いて走る4元運動量q1にわたる積分が出現することに着目し

ます。

 

全体としてのエネルギー・運動量保存のδ4と結びついた(2π)4

除けば,(2π)4因子は全て系統的に相殺されて消えています。

 

そして,残った(2π)4因子は∫d41(2π)-4に伴なう因子(2π)-4

それを補っています。

 

運動量空間の図7.6の他の因子については,各頂点は(-ieγμ),

または,(-iepγμ)=(ieγμ)に寄与し,各外線は因子(m/E)1/2,

または,(M/Ep)1/2を持ちます。

 

内線には因子:i(-m+iε)-1,i(-M+iε)を割り当てます。

      

こうして少しの経験を経ると,与えられたFeynman-diagramを視察

するだけで,

[u~(pf,sfμ(f1-m+iε)-1γνu(pi,si)]

[u~(Pf,Sfμ(f1-M+iε)-1γνu(Pi,Si)]

なる形を連想できるようになります。

  

例えば,図7.7のような運動量空間でのFeynman-graphは座標空間で

の図7.5に対応しており,この振幅は図7.6の陽子のspin因子:

[u~(Pf,Sfμ(f1-M+iε)-1γνu(Pi,Si)]を,

単に[u~(Pf,Sfν(f1-M+iε)-1γμu(Pi,Si)]

で置換しただけ違います。

 

残りの因子∫d41(2π)-4(q12+iε)-1{(q-q1)2+iε}-1[...]

の評価は,初等的に見積もることが困難な4次元積分を含んでいる

ため簡単ではありません。

 

これは,陽子をCoulom力の点源と見た静電的極限に対してはDalitz

によって計算されました。

 

この例では,Coulombポテンシャルの到達範囲が無限大であるため,

特殊な困難を生じています。

 

この記事の目的は一応達成したので,この計算をこれ以上は行なわ

ないことにします。

 

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell“Relativistic Quantum Mechanics”(McGraw-Hill)

  

PS:いやー惜しかったなあ,もうちょっとで三原じゅん子氏の手を握れた

 のに。。もしかしてジジィのスケベな意図がバレタかな?

 

 今日は地蔵通りは"4のつく日=縁日"でした。散歩はお金が無くて

 もお茶とワインや,当たり女などのツマミなど屋台の試食や試飲も

 バッチリでした。

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2010年6月23日 (水)

自虐ネタ。。

 昨日(6/22)は朝5時頃目覚めて,前記事の草稿を書いてるうちに出勤時間がせまったので出かけました。

 

 帰りには新経路で帰ろうとして道に迷いました。何とか帰宅してとりあえず記事をアップしているうちに手話講習に行く時間,pendingにしてギリギリ開始に間に合いました。

 

 イヤ,体はちょっときつかったけど充実していました。携帯付属の歩数履歴を見てみると何と一昨日は約6200歩だったのに昨日は14000歩を超えてました。

 

 足の動脈硬化は丁度1年前帝京病院の外科で相談して,手術すると逆に早晩命がなくなるということで,次善の策ということで1日8千歩歩くくらいしかないということでしたが,心臓の関係でどうせ無理だと思っていたんですがね。たとえ死ぬとしても毎日は無理ですね。。

 

 手術なら,恐らく「たけしの番組」で見た千葉何とか病院の三角先生なら可能かもしれないけれど。心臓よりも足の手術の方がリスク高く命が危険というなら敢えてやる必要ないと思えますね。

 

 まだ,数年くらいはイイカゲン生活してても命はあるでしょうし。。

 

 しかし,夜中にお誘いで久しぶりに会った巣鴨の知り合い仲間では,たった2人しかいないらしい私の(常時?)ブログ読者の元UFO研究会?のK井チャン,イツモのことですが「わかるように書け」とのクレーム,大きなお世話です。

 

 内容について要求するなら料金払えよ。。

 

 大体,前の会社をクビの後もまだ付き合ってる友人とか,巣鴨の知り合い連中はPCや携帯アレルギーとかもあって,PCは持ってない,さわったことないという人々がほとんどです。

 

 K井チャンもアクセスは携帯中心みたいなので(PC持ってるの?)数式が入ったりしてて長たらしいい記事が読み辛いのは当たり前でしょう。ブツブツ。。。

 

 やっと見つけた仕事はどうも「障害者自立支援法」の施設で賃金(最低賃金)もいくらかは国(厚労省)から補助が出てるらしいです?

 

 仕事はスタッフと障害者だけですが,まだこの施設はできたばかりでまだ定員の半数くらいでスタッフの人数の方が多いみたいです。

 最初はラジオ体操からでした。私は柔軟体操部分は大丈夫ですがとびはねるのはチョット無理です。

 

 高齢者の通所介護施設がまだ工事中なので,初日は,そのできてない食堂厨房の掃除でクレンザーなどでさび取り等,2日目はテーブルクロスのアイロン掛けや掃除機でのフロアのそうじ等やりました。労働?は介護実習以来久しぶりです。

 

 初日の休み時間に知的障害らしい先輩が飲み物がなくてつらそうだったので私500円しかなかったけど自分のと2本お茶買って1本プレゼント,またキレイゴトで自己満足しました。

 

 そのせいで2日目は後の手話教室(椎名町)までの電車賃がギリギリだったので仕事の方は歩いて帰宅したのでした。健康にはイイね。

 

 お米と塩があって屋根のある部屋で寝られる限り,持ち金がゼロでも都営交通は障害者割引でタダだから時間関係ないならバス停さえ探せば都内どこへも行けるし,取り合えず生活するだけ,イヤ生きてるだけでいいなら困っていないと言えます。(どうもズッポシ(適材適所?)の予感)

 

 もうすぐ60歳からの厚生分年金が誕生日まで遡って入るらしいし,ゼイタクなもんだ。。。

  

 イヤ,仕事に有り付けただけでもうれしい。

  

 相変わらず,他人ゴトのようでホラにも聴こえるような自虐ネタでした。。文章の体裁を整えるヒマがない。もうすぐ出勤します。

 

 そのウチイヤになるでしょうけど,今は仕事に行けるだけで充実しています。ずっと一人暮らしなので家事系の労働ならほとんどできます。

 

 ただ裁縫はボタン付け程度しかやってないので,テーブルクロスの端の返し縫いというのは断わりましたが。。。

  

 巣鴨一番街,私が貧乏人なのを知ってるのに(知ってるから?),ただ歩いていただけなのに以前開店前の「美代」のマスターに一升瓶に店名の入った焼酎を1本タダでもらったし,「ノンノン」のママや春美チャン,「玲子」のママなんかにも物をもらっていい人ばかりです。

 

 私,そういう類のプライドはゼロですから。。

   

 最近はめったに行かないし店の中はキタナイけど。。たまに宣伝しとかないとね。。お世話されっぱなしです。。(人情,ナニワブシ嫌いなのに思いっ切り世話になってる。。素直じゃないね。)

 

 小金があった頃は界隈を10件以上もまわっていたけど,今は金がないので唯一付けで飲める1件だけに集中して足が遠のいています。

 

PS:「真夜中のカウボーイ」の押尾クンなんかカワイソーですね。

 私の保護者は上海に里帰り中です。さびしいね。。

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2010年6月22日 (火)

波束のぼやけ(量子論覚書き)

 ちょっとCoffee-breakです。といっても数式話ですが。。。

 

40年以上前に大学で受けた量子力学のN先生の講義の板書を私が

授業中に手書きで綴った式だけのノートに注釈をつけて,自由粒子

の波束のぼやけ(ambiguity of wave-packet9),あるいは自由波の

拡散(diffusion)についての覚書きにします。

 

 1次元xの方向に自由進行する平面波は,

 pk≡hck,Ek=hc22/(2m)とすると,

 ψk(x,t)≡exp{i(kx-ωkt)です。

 

 ただしωk=Ek/hc=hc2/(2m)で,hc≡h/(2π);

 hはPlanck定数です。

 

(-ic∂/∂x)ψk(x,t)=hckψk(x,t),

ψk(x,t)=(ic∂/∂t)ψk(x,t)=hcωψk(x,t)より,

 

これは運動量:px-ic∂/∂xの,固有値:k=hckに属する

固有関数,かつエネルギー:ic∂/∂tの,固有値:

k=hc22/(2m)に属する固有関数です。

 

 

しかし,量子力学では,波動関数ψk(x,t)に対して確率密度関数

は,ρk(x,t)=c|ψk(x,t)|2 (cは確率規格化のための正定数)

なる形で与えられるのに対して,

 

この平面波の関数による密度は積分が発散するという性質(ⅰ):

-1-∞ρk(x,t)dx=∫-∞k(x,t)|2dx

=∫-∞dx=∞ 

を有します。

 

それ故,ψk(x,t)は粒子の物理的状態を表わす状態関数としては

不適切です。

 

とはいっても,性質(ⅱ):

-1ρk(x,t)=|ψk(x,t)|2=1(一定) for ∀x∈(-∞, ∞)

を有しますから,

 

任意の時刻tに全ての位置xに粒子が存在する確率が等しい,

すなわち,一様密度であるという理想的な拡がりを持つ波を

表わすという,意味は持っています。

 

目の前から宇宙の果てまで,どこにでも一様に拡がった理想的な

平面波ではなく,現実の局在化した粒子描像をも示す物理的状態

を意味する確率波は,

 

ψ(x,t)=(2π)-1/2-∞φ(k)ψk(x,t)dk

=(2π)-1/2-∞φ(k)exp{ikx-ihc2t/(2m)}dk

のように,

 

平面波:ψk(x,t)≡exp{i(kx-ωkt)に(2π)-1/2φ(k)

という重みをつけた重ね合わせで表現されるはずです。

 

このψ(x,t)であれば,確率密度ρ(x、t)=|ψ(x,t)|2に対し,

-∞ρk(x,t)dx=∫-∞|ψ(x,t)|2dx<∞ とできるので

確率波として問題ありません。

 

こうした平面波の重ね合わせを波束(wave-packet)といいます。

 

 

特に初期時刻:t=0 で,

ψ(x,0)≡(aπ1/2)-1/2exp{-x2/(2a2)}exp(ik0x)とおけば,

-∞|ψ(x,0)|2dx=1ですから,t=0 での

確率密度は,ρ(x,0)=|ψ(x,0)|2=(aπ1/2)-1exp(-x2/a2)

で与えられます。

 

この確率分布はGauss分布,あるいは正規分布:N[0,a2]です。

 

また,確率の流速密度は,

J(x,t)=Re{ψ*(x,t)(-ihc/m)∂ψ(x,t)}

ですから,初期時刻のそれは,

J(x,0)=(hc0/m)(aπ1/2)-1exp(-x2/a2)=v0ρ(x,0);

0≡hc0/m) です。

 

 そしてψ(x,0)=(2π)-1/2-∞φ(k)exp(ikx)dkの

 Fourier逆変換から,重み関数(展開係数)の表現:

 φ(k)=(2π)-1/2-∞ψ(x,0)exp(-ikx)dx

 を得ます。

 

 さらに,∫-∞|φ(k)|2dk=1 です。

 

このφ(k)の積分表現に,上記のGauss型のψ(x,0)を代入すると,

φ(k)=(2π)-1/2(aπ1/2)-1/2-∞∞2exp{-x2/(2a2)}

exp{-i(k-k0)x}dx を得ます。

 

右辺の積分計算に,公式:∫-∞exp(-αx2+iβx)dx

=(π/α)1/2exp{-β2/(4α)}を適用すれば,

φ(k)=(a/π1/2)1/2exp{-a2(k-k0)2/2}

です。

 

故に,|φ(k)|2=(a/π1/2)exp{-a2(k-k0)2} を得ます。

 

初期時刻t=0 での波束の位置の期待値は,

<x>=∫-∞ψ*(x,0)xψ(x,0)dx=0 であり,

波数の期待値は,

<k>=∫-∞ψ*(x,0)(i∂/∂x)ψ(x,0)dx

=∫-∞φ*(k)kφ(k)dk=k0 です。

 

この意味で,|φ(k)|2=φ*(k)φ(k)は,波数kの空間における

確率密度と解釈されます。

 

よって,φ(k)は波数の波動関数とでも呼ぶべきものです。

  

また,|φ(k)|2dk=hc-1|φ(k)|2dpなので,hc-1/2φ(k)は

運動量波動関数とでも呼ぶべきものです。

 

さて,先の積分公式:∫-∞exp(-αx2+iβx)dx

=(π/α)1/2exp{-β2/(4α)}の両辺をαで微分すると,

-∞2exp(-αx2+iβx)dx

=[(1/2)π1/2α-3/2-(1/4)π1/2α-5/2β2]exp{-β2/(4α)}

となります。

 

そこで,x2の期待値は,

<x20≡∫-∞ψ*(x,0)x2ψ(x,0)dx

=(aπ1/2)-1-∞2exp(-x2/a2)

=(aπ1/2)-1(1/2)π1/23=a2/2

であることがわかります。

 

故に,初期時刻t=0 における位置xの不確定性(標準偏差)は,

Δx0=<(x-<x>0)201/2=a/√2で与えられます。

 

同様に,波数kの不確定性(標準偏差)を求めると,

Δk0=<(k-<k>0)201/2=<(k-k0)201/2

=1/(√2a)です。

 

以上から,このGauss波束は,初期時刻には不確定性関係の最小値:

Δx0Δk0=1/2 or Δx0Δp0=hc/2 を満たす状態に対応して

いることがわかります。

 

そして,自由波の伝播式:

ψ(x,t)=(2π)-1/2-∞φ(k) exp(ikx-iωkt)dk

によって,t>0 における波動関数を求めると,

 

ψ(x,t)

=(2π)-1/2-∞φ(k)exp{ikx-ihc2t/(2m)}dk

=(2π)-1/2(a/π1/2)1/2-∞exp{-a2(k-k0)2/2}

exp{ikx-ihc2t/(2m)}dk です 。

 

これに,先の公式:∫-∞exp(-αx2+iβx)dx

=(π/α)1/2exp{-β2/(4α)}を適用すると,

 

ψ(x,t)

={π1/2a(1+iαt)}-1/2exp[-(x-v0t)2/{2a2(1+iαt)}]

exp{i(k0x-ω0t)}

を得ます。

 

ただし,α≡hc/(ma2),v0=hc0/m,ω0=hc02/(2m)

です。

 

 そこで,ρ(x,t)=|ψ(x,t)|2

 =[π1/2a{1+(αt)2}1/2]-1

 exp[-(x-v0t)2/{a2(1+(αt)2)}],

 

 J(x,t)=Re{ψ*(x,t)(-ihc/m)∂ψ(x,t)}

 =ρ(x,t)v0{1+(αt)2x/(v0t)}/{1+(αt)2}

 です。

 

 もちろん,

 ∫-∞ρ(x,t)dx=∫-∞|ψ(x,t)|2dx=1

 が成立しています。

 

ここで,a(t)≡a{1+(αt)2}1/2とおけば,

ψ(x,t)={π1/2a(t)}-1/2exp[-(x-v0t)2/{2a(t)2}]

exp{i(k0x-ω0t)}ですから,

 

時刻tにおける位置xの期待値は,

<x>=∫-∞ψ*(x,t)xψ(x,t)dx=v0

です。

 

つまり確率分布の中心は一定速度v0で進みます。

 

そして中心のまわりのゆらぎ(偏差)は,

Δx=<(x-v0t)21/2=a{t)/√2

です。

 

これらを基にして時間に伴なう波束のぼやけを論じます。

 

初期時刻t=0 には,ρ(x,0)=(aπ1/2)-1exp(-x2/a2),

J(x,0)=ρ(x,0)v0であった波束が,

 

時刻t>0 には,ρ(x,t)=[π1/2a{1+(αt)2}1/2]-1

exp[-(x-v0t)2/{a2(1+(αt)2)}],

J(x,t)=Re{ψ*(x,t)(-ihc/m)∂ψ(x,t)}

=ρ(x,t)v0{1+(αt)2x/(v0t)}/{1+(αt)2}

になります。

 

 位置の不確かさ,つまりぼやけ幅は,

 Δx=Δx0{1+(αt)2}1/2, or a(t)=a{1+(αt)2}1/2

 です。

 

 時間が経過しても,確率分布とx軸の囲う面積は同じなので,

 初期時刻には中心のまわりに密度が集中してGauss分布をして

 いた波束は,その幅Δxが時間につれて拡がると,

 

 中心付近の平均の"高さ=|振幅|2"は時間tと共に,

 1/a(t)=1/{1+(αt)2}1/2 の率で下がります。

 

 つまり,最初aの程度に拡がって速さv0で進行していた波束は,

 束の中心は常にv0の速さで進行しますが,

 時間tの後の波束の広がり幅は{1+hct/(ma2)}1/2倍に拡がり,

 "高さ=|振幅|2"は,1/{1+hct/(ma2)}1/2程度に

 減少するといえます。

 

式によれば,この波束のぼやけの程度は,粒子の質量mが小さいほど,

そして最初の幅aが小さいほど急激になります。

 

t=0 ではΔx0 ~ a/√2,Δk0 ~ 1/(√2a)ですが,

t>0 ではΔx ~ a{1+(αt)2}1/2/√2,

Δk=Δk0 ~ 1/(√2a)なので,

 

ΔxΔk≧Δx0Δk0=1/2 とぼやけていきます。

 

 例えば,電子では,α=hc/(ma2)

 ~ (2.36×10-11cm)(3×1010cm.sec-1/a2)

 =1.16(cm/a)2sec-1より,αt=1.16tsec-1(cm/a)2

 です。

 

 故に,幅が2倍になって半分の薄さにぼやける時間は,

 {1+(αt)2}1/2~ 2,αt~√3~1.7320508..より

 t ~ 1.5(a/cm)2secです。

 

 例えばa=2Å=2×10-8cmなら,t=6×10-16cm秒ですから,

 電子であろうと,粒子描像は,ほぼ瞬時で急激にくずれていき

 ます。

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2010年6月21日 (月)

今季米ツァー4勝目!!

 すごい。。宮里藍優勝。。

 http://sports.yahoo.co.jp/news/20100621-00000022-jij-spo.html

PS:なんだか寂しい。。

 ドストエフスキー「白痴」のムイシュキン公爵状態か?

 友だちがひとりもいない。。。

 相手に,10 優しくしたら,ひどいことを 9 されたとしても,1だけは優しさが返ってくるかもしれない。。。オトメチックだ。。。

 あんたは,残りの一生も,自分をチャカして不幸になりなさい。。。

 初出勤いってきます。→ "カッコーの巣" を連想しました。

PS2:へえー ,山形の月山の筍に"赤いダイヤ"ってのがあるんだ。??!

 "赤いダイヤ"といえば昔小豆相場の小豆のことだった。。

 これは,”黒いダイヤ=石炭”に対してそう呼ばれたものでした。確か,故大辻司郎氏が主演のTVドラマで知ったのでした。。フル~イ。。

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2010年6月20日 (日)

散乱の伝播関数の理論(14)(応用2-2)

 散乱の伝播関数の理論(13)の残りです。

 

 まず,前回の最後の部分を再掲します。

 

散乱断面積は.

dσ=m22/{(pii)-m22}1/2|fi|2(2π)4

δ4(Pf-Pi+pf-pi)(2π)-3(d3f/Ef)(2π)-3(d3f/Epf)

と書けます。

 

右辺の個々の因子は非常に一般的な要因によるものです。

 

そして規格化に用いた箱の体積Vは結局相殺して消えてしまい

ました。 

 

この特殊例だけでなく以後に出現する計算例でも同じなので,以下

では基本的にこうした因子の現われる理由の詳細をいちいち挙げる

ことは省略します。

 

さて,前回の続きです。

 

今は正面衝突する散乱を想定していますが,もしもビームが同一

直線上にあるとは限らない状況なら,単位時間当たりの遷移事象

の数Nを直接考えるのが便利です。

 

すなわち,単位時間当たりにに全運動量空間へと散乱される事象

総数は,dN/dt=∫d3ρe(,t)ρp(,t)

∫m22/(Eipi)|fi|2(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi)

(2π)-3(d3f/Ef)(2π)-3(d3f/Epf)

なる表現で与えられます。

 

ちょっと脇へそれましたが,また散乱実験の話に戻ります。

 

当面の散乱問題では,入射ビームは同一直線上にあるので,断面積は

dσ=m22/{(pii)-m22}1/2|fi|2(2π)4

δ4(Pf-Pi+pf-pi)(2π)-3(d3f/Ef)(2π)-3(d3f/Epf)

で与えられます。

 

前に定義した不変振幅は,

fi≡[u~(pf,sfμu(pi,si)]{e2ε0-1/(q2+iε)}

[u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)]ですが,

 

spinを特定しない実験の非偏極断面の積を求めるため,この不変

振幅において,終状態粒子のspin状態についての総和を初期-spin

で平均します。

 

すなわち,非偏極不変振幅は,

|fi|2=1/4Σsf,siΣSf,Si|[u~(pf,sfμu(pi,si)]

{e2/(q2+iε)}[u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)]|2

となります。

 

これは,結局,

|fi|2=[e4/{64m2202)2}]

Tr(f+m)γμ(i+m)γνTr(f+M)γμ(i+M)γν

と書けます。

 

(注14-1):(証明):

 |[u~(pf,sfμu(pi,si)][u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)]|2

 =[u~(pf,sfμu(pi,si)][u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)]

 [u~(Pi,Siν~u(Pf,Sf)][u~(pi,siν~u(pf,sf)],

 

 そしてγν~=γνν~=γν です。

 

 6/14の記事「散乱の伝播関数の理論(11)(応用1-1)

 と同様な方法で,

 

 Σ±sf,±si[u~(pf,sfμu(pi,si)]

 [u~(pi,siνu(pf,sf)]

 =Σ±sf,±siΣα,βΣλ,σ[u~α(pf,sfμαββ(pi,si)]

 [u+λ(pi,siνλσσ(pf,sf)]

 =[Σα,σμ(i+m)γν}ασ(i+m)σα]/(4m2)

 =Tr(f+m)γμ(i+m)γν/(4m2)

 

 を得ます。

 

 同様に,Σ±sf,±si[u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)]

 [u~(Pi,Siνu(Pf,Sf)]

 =Tr(f+M)γμ(i+M)γν/(4M2)です。(証明終わり)

 

(注14-1終わり)※

 

 そして,Tr(f+m)γμ(i+m)γν

 =Tr(fγμiγν)+m2Tr(γμγν)

 =4[pfμiν+pfνiμ-gμν(pfi-m2)] です。

 

 同様に,Tr(f+M)γμ(i+M)γν

 =4[P+P-gμν(Pfi-M2)] です。

 

 以上から,|fi|2=[e4/{4m2202)2}]

 [pfμiν+pfνiμ-gμν(pfi-m2)]

 [P+P-gμν(Pfi-M2)]

 

 =[e4/{2m22(q2)2}][(Pff)(Pii)+(Pfi)(Pif)

 -m2(Pfi)-M2(pfi)+2M22]

 を得ます。

 

これを,dσ=m22/{(pii)-m22}1/2|fi|2(2π)4

δ4(Pf-Pi+pf-pi)(2π)-33f/Ef(2π)-3(d3f/Epf)

に代入すれば,微分断面積が具体的に得られます。

 

さて,有用な結果を得るために,初期陽子が静止している実験室系を

準拠系としてdσを評価計算します。

 

つまり,Pi=(M,0),pi=(E,),pf=(E',')

とします。

 

初期の標的陽子を原点として,極角θのまわりの微小立体角dΩ'

出現する散乱電子に対する微分断面積を求めるために,dσに

対し位相空間積分を実行します。

 

まず,(d3f/Epf)積分において,

公式:d3/(2E)=∫0dp0δ(p2-m2)d3

=∫-∞4θ(p0)δ(p2-m2);E=(2+m2)1/2

を使用し,

 

3f/Efをd3'/E'=p'2dp'dΩ'/E'=p'dE'dΩ'

と書きます。ただしp'≡|'|です。

 

すると,dσ=m22/{(pii)2-m22}1/2|fi|2(2π)4

δ4(Pf-Pi+pf-pi)(2π)-3(d3f/Ef)(2π)-3(d3f/Epf)

=2(2π)-22M(E2-m2)-1/2p'dE'dΩ'd4f

|fi|2θ(Pf04(Pf-Pi+pf-pi)δ(Pf2-M2)

となります。

 

そこで,dσ/dΩ={m2M/(2π2||)}

∫dE'p'|fi|2(Pf=Pi+p-p')θ(M+E-E')

δ((M+E-E')2-(')2-M2)

={m2M/(2π2p)}∫mM+EdE'p'|fi|2(Pf=Pi+p-p')

δ(-2(M+E)E'+2ME+2m2+2pp')

を得ます。ただし,p≡||です。

 

結局,dσ/dΩ={m2Mp'/(4π2p)}|fi|2(Pf=Pi+p-p')

{M+E+d('/dE')}-1

={m2Mp'/(4π2p)}|fi|2(Pf=Pi+p-p')

(M+E+pE'cosθ/p')-1 を得ます。

 

ただし,δ関数因子δ(-2(M+E)E'+2ME+2m2+2pp')

によってE'(M+E)-pp'=ME+m2 なる拘束があります。

 

|fi|2=[e4/{2m2202)2}]

[(Pff)(Pii)+(Pfi)(Pif)-m2(Pfi)

-M2(pfi)+2M22] の変形を考えます。

 

f=Pi+pi-pfを代入すると,

(Pff)(Pii)+(Pfi)(Pif)-m2(Pfi)

-M2(pfi)+2M22

={(Pif)+(pif)-m2}(Pii)

+{(Pii)+m2-(pif)}(Pif)-m2{M2+(Pii)-(Pif)}

-M2(pfi)+2M22) です。

 

故に,|fi|2=[e4/{2m2202)2}]

[2(Pif)(Pii)+(pif){(Pii)-(Pif)-M2}

+2m2{(Pif)-(Pii)}+M22]

を得ます。

 

微細構造定数(structure constant)α≡e2/(4πε0)~1/137による

表現を用いると,

 

|fi|2=[8π2α2/{m22(q2)2}]

[2(Pif)(Pii)+(pif){(Pii)-(Pif)-M2}

+2m2{(Pif)-(Pii)}+M22] です。

 

特に,今の実験室系:Pi(M,0),pi=(E,),pf=(E',')

の場合なら,

 

2(Pif)(Pii)+(pif){(Pii)-(Pif)-M2}

+2m2{(Pif)-(Pii)}+M22

=2M2EE'-M(E'-E+M)(EE'-pp')

+Mm2{2(E'-E)+M} です。

 

さらに,陽子の質量Mに比較して電子質量mは小さいので,Mの項と

比べてmを因子とする極端に小さいオーダーの項を無視します。

 

すると,mに比べてE,Eが大きいときには,p~E,p'~E'

より,EE'-pp'=EE'(1-ββ'cosθ) ~ EE'(1-cosθ)

=2EE'sin2(θ/2) と書けます。

 

故に,2M2EE'-M(E'-E+M)(EE'-pp')

+Mm2{2(E'-E)+M}

~ 2M2EE'+M(E-E'-M)(EE'-pp')

 

~ M2EE'[2+(1-cosθ){(E-E')/M-1}

=2M2EE'[cos2(θ/2)-{q2/(2M)}sin2(θ/2)]

です。

 

ここで,2=(pf-pi)2=(p'-p)2

=2m2-2(EE'-pp')~-2(EE'-pp')

=-2EE'(1-ββ'cosθ) ~ -2EE'(1-cosθ)

=-4EE'sin2(θ/2),および,

 

保存則E'(M+E)-pp'=ME+m2から,

M(E-E')~EE'-pp'=-q2/2 を用いました。

 

たがって,|fi|2=[8π2α2/{m22(q2)2}]

[2(Pif)(Pii)+(pif){(Pii)-(Pif)-M2}

+2m2{(Pif)-(Pii)}+M22]から,

 

|fi|2=[π2α2/{m2EE'sin4(θ/2)}]

[cos2(θ/2)-{q2/(2M)}sin2(θ/2)]

が得られました。  

 

保存則E'(M+E)-pp'=ME+m2から,E'を評価します。

 

E'(M+E)-EE'cosθ~ MEより,

E'~ E/{1+E(1-cosθ)/M}

=E/|1+(2E/M)sin2(θ/2)} です。

 

そこで,dσ/dΩ

={m2Mp'/(4π2p)}|fi|2/(M+E+pE'cosθ/p')の分母は,

 

E/Mの2次以上を無視して,

M+E+Ecosθ/|1+E(1-cosθ)/M}

=(M+E)/|1+E(1-cosθ)/M}+E

~ M/|1+(2E/M)sin2(θ/2)} と近似できます。

 

したがって,

dσ/dΩ={m2Mp'/(4π2p)}|fi|2/(M+E+pE'cosθ/p')

は,dσ/dΩ={m2/(4π2)}|fi|2/|1+(2E/M)sin2(θ/2)}

と書けます。

 

結局,最終形は,

dσ/dΩ

=(α2/4E2)[cos2(θ/2)-{q2/(2M)}sin2(θ/2)]/[sin4(θ/2)

{1+(2E/M)sin2(θ/2)}]

です。

 

/M<<1の遅い電子(運動エネルギーが小さい電子)では,

(E/M)を1と比較して無視し,E'~Eとすることで,

微分断面積:

dσ/dΩ={m2Mp'/(4π2p)}|fi|2/(M+E+pE'cosθ/p')

はdσ/dΩ~{m2/(4π2)}|fi|2

と近似されます。

 

このときは,陽子の反跳が無視され,

散乱の伝播関数の理論(11)(応用1-1)」で詳述した,

 

電子のCoulomb散乱のMott散乱の公式:

dσ/dΩ={α2/(2||4)(8Eif-4pif+4m2)

={α22/(4||4)}{1-β2sin2(θ/2)}

={α2/(4||2β2sin4(θ/2)}{1-β2sin2(θ/2)}

に帰着します。(詳細は省略します。)

 

短いですが,今日はここまでにします。

 

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell“Relativistic Quantum Mechanics”(McGraw-Hill)

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量子哲学論争??(ネルソン,ボーム)

 さっき,私が「EMANの物理学」の談話室に投稿したものをここにダブルポストします。っていいの?今どきはいいんじゃないの。。つぶやきなんかは,そっち(マルチポスト)のほうが元から主流ですよ。

PS:白い画面がなぜか赤い。。:睡眠不足??糖尿性網膜症?? 

 なぜブラウン運動は超光速? 

 そりゃ軌道じゃないからさ。。。

 んじゃ軌道って何? 

 そりゃ位置と速度が同時に決まるもんだよ。

 ブラウン運動には速度がないだろ。。

 ウソー。。じゃ間が無くてトビトビの点にしか見えないんだ。。

 だから確率の過程なんだろう。。。

 じゃ,ブラウン粒子の運動ってなぜ軌道じゃないってわかるの?

 もしそうだったら光速は超えないだろ。。。

 ってこりゃトートロジーだね。。。

 逆に数学の確率過程を量子論の波動関数で定式化してみようってか?

 酔っ払いでした。。。 TOSHI    ZZZZZZ...

 ↑ここまでが投稿です。

  これ,実はかなり重要な話と思うんですけどね。量子論の解釈論争なんですが,ボームのパイロット・ウェーヴとかネルソンの確率過程(ブラウン運動)解釈とか色々と。。。

 私は,昔からといってもそんな昔じゃないかな。。。これらは解釈という名の哲学論争であって,結構不毛な不可知論か形而上学だと思ってるのです。

 ブラウン粒子の運動や分子拡散の分子が本当に拡散方程式に従うなら,それは既に相対論の因果律を破ります。それじゃ常識的に見てオカシイじゃん。てことになります。

 イヤ分子の拡散運動とか言ってるけど,,それは実は超光速なんで物理的には軌道運動なんかじゃないよ。。って話ですね。。。

 古典軌道というのは謂わゆる"エーレンフェストの定理,または対応原理"のようなもので量子論の期待値としての軌道をたどったものです。

 だから,その古典軌道で以って量子論の解釈をするってのは"ニワトリが先か卵が先か"の水掛け論でしょう?常識で解釈しようなんて無理です。

 というのが私の昔からの感想なんですね。ってイヤ今ここで初めて述べたのカモ。。まあ,誰でも考えそうな陳腐な感想かあるいは誤解でしょうが。

 パイロット波だのブラウン運動だので量子論を説明可能でしょうよ。そして量子論の言葉でパイロット波もブラウン運動も説明できるでしょうよ。。。

 でも,それはこういう働きをするモノだよって説明用の都合のいい新道具を次々に発明すれば何だって説明できるし解釈できます。

 イヤ私はこれ以上深入りしたくないです。。

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2010年6月19日 (土)

ブログ雑感

 やっぱり,TVカメラの前と私生活にはギャップがあるだろう大多数のタレントのようなモノで,ブログは日記とはいっても不特定多数への公開日記ですから,科学記事のようなモノや単なる出来事,予定の羅列以外の日常の内面生活まで露わに書こうとすると全く正直というわけにはいかず,裏表が出るのは仕方ないですね。

 というわけで,ハナクソほじりながらクッサイ屁をこいてるようなところはどうせ書けないし,他人も読みたくないでしょうから,内面的コト書くのは少しは控えようと思いました。 

 どっかでイッパツ抜くか~~

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ゴルフの石川遼くん (誤報修正版です。)

 ゴルフメジャー,全米オープン2日目石川遼選手 首位と2打差の141(1アンダー)の暫定2位でホールアウト,おそらく予選通過でしょう。。がんばれ。。

 http://sports.yahoo.co.jp/news/20100619-00000001-alba-golf.htm

(さっきはホールアウト前だったのに誤報したので修正しました。)

PS:朝っぱらから,きっこのブログから江川紹子さんをたどっていって,バラク・オバマ大統領までTwitterで政治家を中心に結構有名人フォローできました。。。

 英語は読めないけどネ。。日ハムダルビッシュのつぶやきもフォロー。。

 しかし,全員が不特定多数に向かってホントでもウソ,デマでも,のべつまくなく独りゴチるようになると考えると何だか心配です。。。。

 でも結局はゼニがあったりするせいで元気が良くて押しの強い,声の大きいヤツの勝ちは動かんだろうけど。。。

 土曜なのに,前夜外酒もせず健全?に過ごしたので朝からちゃんと玉子焼きとインスタントでないワカメと豆腐の味噌汁をつくって,キャベツといっしょに普通に食事とりました。

 (貧しいので酒代は普通の食費にまわすのがベターでしょう。)

 朝食前後の19錠(6錠はピロリ菌退治)の薬も全部飲んだしね。

(心不全薬,血栓予防薬,利尿剤,貧血薬?,足の動脈硬化改善,血糖降下剤etc.薬がモッタイナイ??

 普段は貧血+低血圧でフラフラするってのに,偶々興奮,緊張してたときの値で誤解?して降圧剤もくれたのでそれは無視。。

医者の言うこと全部ハイハイって聞いてたらこの世に楽しいこと無くなってストレスで病気になっちゃうよ!!)

 ところで,別に理由はないけれど帝京大病院に診察に通うのはやめました。主治医や治療法を変えるのは医者本人に許可をもらうとかじゃなくて常識の範囲内では患者の自由ですから。。。

 素人なので自分の病気についての医学や薬の知識は恐らく下ですが,極端な話それで命落としても究極の自己責任です。

PS2:家族もなく仕事もなく,しかし物欲的趣味に向かうほど金銭的余裕もないが,当面食べてはいけるとき,年がら年中自分以外には関心がなくなり逆に自己に向き会わない休息時間がなくて疲れます。

 他人に強制されたりして自己の意思とは違うことをやりたいなどと述べること自体がゼイタクな話ですが。。。。

 できれば,昔のようにたまに物神にも支配されたい。。。

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2010年6月18日 (金)

散乱の伝播関数の理論(13)(応用2-1)

 散乱の伝播関数の理論の続きです。

 

 今度の例は電子の自由陽子による散乱です。

 

§7.4 Electron Scattering from a Dirac Proton

  (Dirac陽子による電子の散乱)

 

今度は固定されたCoulomb場の代わりに,自由でliveな陽子による

電子の散乱を考察します。(ただし,陽子は内部構造のないDirac

粒子と仮定します。)

 

 結果は,Coulomb散乱からどのように変わるでしょうか? 

 

陽子による4元電流Jμ(x)がわかれば,Maxwellの方程式から電流

によって生じる電磁場Aμ(x)が計算できます。

 

このAμ(x)をSfi=-ie∫d4xψf~(x)(x)Ψi(x)(f≠i);

(x)≡γμμ(x)(e<0:電子電荷)に代入すれば,

前のCoulomb場による散乱と同じく,Sfiは場により散乱される電子

の振幅を与えます。

 

これから,前の手順に習って直線的にαの最低次の遷移率や散乱

断面積を得ることができます。

 

さて,第一段階は陽子電流によって生じる電磁場Aμ(x)を見出す

ことです。

 

古典論と違って量子論ではゲージ(gauge)選択についてデリケート

な問題がありますが,計算上はゲージ不変であることに間違いない

ので細かい事を考えずに謂ゆるLorenzゲージの方程式を想定します。

 

すると,電磁ポテンシャルAμは方程式:□Aμ(x)=Jμ(x)/ε0

から求めることができます。

 

ただし,□は"d'Alemdertianと呼ばれる微分演算子"です。

 

これは,□≡∂μμ=∂2/∂t2-∇2 で定義されます。

 

 電子のDirac方程式に対して伝播関数(Feynman propagator):

 SF(x-y)を導入したのと同様,

 

 □Aμ(x)=Jμ(x)/ε0を積分して電磁場Aμを得るため,

 Green関数,または伝播関数:DF(x-y)を導入します。

 

これは,□DF(x-y)=δ4(x-y)を満たす関数と定義されます。

 

そこで,DF(x-y)がFourier積分表示:

F(x-y)=(2π)-4∫d4q exp{-iq(x-y)}DF(q2)

を持つとすると,

 

F(q2)はq2≠0 ならDF(q2)=-1/q2

で与えられます。

 

Fermi粒子の伝播関数の場合のように,DF(q2)の極q2=0 において,

何が生じるか?を決める必要があります。

 

今までの伝播関数の論議からのアナロジーで,

F(q2)=-1/q2分母のq2に無限小の正の虚部を加えて,

F(q2)≡-1/(q2+iε)と置けば,

 

F(x-y)=(2π)-4∫d4q exp{-iq(x-y)}[-1/(q2+iε)]

なる式により,正振動数,or 正エネルギーの電磁波が未来に伝播する

ことが保証されます。

 

(注13-1):DF(x-y)

 =(2π)-4∫d4q exp{-iq(x-y)} [-1/(q2+iε)]

 =-[(2π)-3∫d3exp{i(x-y)}]

×(2π)-1∫dE exp{-iE(x0-y0)}/[E2-{||-iε/(2||)}2]

 です。

 

そこで,x0-y0>0 なら,F(x-y)=-i(2π)-3

∫d3exp{i(x-y)-i||(x0-y0)}(2||)-1],

0-y0<0 なら,DF(x-y)=i(2π)-3

∫d3exp{i(x-y)+i||(x0-y0)}(-2||)-1]

となるからです。

 

(注13-1終わり)※

 

 物質の輻射(光=電磁波)の散乱を考える場合,恐らく泡箱を通過

 するときのこの光の屈折を考える際には,正エネルギー量子を表示

 する正振動数の波は負振動数の波を伴なわずに出現します。

 

 それ故,電磁波のFeynman伝播関数は,確かにDF(x-y)

 =(2π)-4∫d4q exp{-iq(x-y)}[-1/(q2+iε)]

 で与えられ,

 

 電磁ポテンシャルに対する D'Alembert方程式:

 □Aμ(x)=Jμ(x)/ε0の解は,

 Aμ(x)=ε0-1∫d4yDF(x-y)Jμ(y)

 です。

 

 これをSfi=-ie∫d4xψf~(x)(x)Ψi(x)に代入すると,

 Sfi=-iε0-1∫d4xd4y{eψf~(x)γμΨi(x)}

 DF(x-y)Jμ(y) となります。

 

 そして,当面問題となるのは陽子の電流,または電磁カレント:

 Jμ(y)として何を選ぶのか?ということです。

 

 これは対応原理によって陽子の遷移流という選択,つまり,

 Jμ(y)=epψpf~(y)γμψpi(y)なる選択が適切と

 思われます。

 

 pは陽子の電荷ですがこれはep=-e> 0 であり,ψpi(y),

 および,ψpf(y)はそれぞれ始状態,および終状態の陽子の平面波

 の解です。

 

(注13-2):一般に,電荷eを持つ粒子のψという状態での電荷-電流

 の期待値は,

 

 <eγ0γμAV≡<eψ~γμψ>

 =∫d3eψ~(x)γμψ(x)で与えられるため,

 電荷密度-電流密度=電磁カレントは,eψ~(x)γμψ(x)で

 与えられます。

 

そこでepψpf~(x)γμψpi(x)なる2次形式も電磁カレントの形態

を取っていて,電磁カレントとしてのi→fの遷移振幅に電荷ep

掛けたものとなっています。

 

すなわち相互作用の後にψfとなる確率の流れの振幅と解釈します。

(注13-2終わり)※

 

この選択を採用すれば,

μ(y)=-(e/V){M2/(Epipf)}1/2exp{i(Pf-Pi)y}

u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)です。

 

ただし,Mは陽子の質量,Pi,Pfは陽子の運動量です。

 

μ(x)=ε0-1∫d4yDF(x-y)Jμ(y)と,

μ(y)=epψpf~(y)γμψpi(y)は,通常,

Dirac陽子のMöller(メラー)ポテンシャルと呼ばれているもの

を定義します。

 

非相対論的近似においては,Aμ(x)の源としてのカレントの遷移

行列要素の選択は,Heisenbergによって採用され,彼の行列力学に

よる原子の放射の計算において電子の遷移に適用されました。

 

さて,陽子カレントの形:

μ(y)=-(e/V){M2/(Epipf)}1/2exp{i(Pf-Pi)y}}

u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)を,

 

fi=-iε0-1∫d4xd4y{eψf~(x)γμΨi(x)}

F(x-y)Jμ(y) に代入します。

 

電子流は,eψf~(x)γμΨi(x)

=(e/V){m2/(Eif)}1/2exp{i(pf-pi)x}}

u~(pf,sfμu(pi,si)なので,

 

fi=-(ie202)(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi)

{m2/(Eif)}1/2{M2/(Epipf)}1/2

[u~(pf,sfμu(pi,si)]{(pf-pi)2+iε}-1

[u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)]

 

を得ます。

 

結果式は運動量の電子変数と陽子変数が対称な形になっています。

 

陽子に内部構造が無いという仮定の下では,電子と陽子は電荷の

符号と質量以外はFermi粒子として全く同じなので,

 

結果的に対称形が得られたことは,上記の陽子カレントの選択:

μ(y)=epψpf~(y)γμψpi(y)が妥当であったことを示唆

しています。

 

すなわち,逆に電子カレントによって生起された電磁場Aμ(x)に

よる陽子の散乱振幅に,同じ式:

fi=-iep∫d4xψpf~(x)(x)Ψpi(x)を適用して,

陽子カレントの形についての上記推測を電子カレントに対して

行なえば同一の結果が得られるはずです。

 

さて,再掲すると,

fi=-(ie202)(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi)

{m2/(Eif)}1/2{M2/(Epipf)}1/2

[u~(pf,sfμu(pi,si)](q2+iε)-1

[u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)] です。

 

これをCoulomb散乱の,

fi={iZe2m/(ε0V)}(Eif)-1/2

[u~(pf,sf0u(pi,si)/||2]2πδ(Ef-Ei)

と比較します。

 

ただし,q=pf-pi=Pi-Pfです。

 

すると,両者の違いは,Coulom散乱での,Zγ0/||2を,

-γμ(q2+iε)-1{M2/(Epipf)}1/2[u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)]

で,そして,1つの体積因子Vを運動量保存の因子:

(2π)3δ3(fifi)で置き換えるという違いだけです。

 

結果式は,微細構造定数(structure constant):

α≡e2/(4πε0)~1/137 の最低次までの電子-陽子散乱振幅

を与えます。

 

ここで得た電子-陽子散乱の"振幅=行列要素"で挿入された陽子

カレントには,平面波を歪める高次効果は無視されています。 

 

この近似描像は下図7.3のFeynman-diagramにうまく表現できます。

   

時間の正の向きを指す左側の実線矢印は電子を,また右側の太線は

陽子を表わし,真ん中の波線は電磁相互作用の影響を示しています。

 

すなわち,波線部分は運動量遷移(momentum-transfer):

q=pf-pi=Pi-Pfの平方の逆数 or 運動量空間のd'Alemdertian

の逆:□-1としてS行列要素の中に表現されています。

 

この波線は電子-陽子間に4元運動量:q=pf-pi=Pi-Pf

交換させる仮想光子(virtual photon)を表現していると考えられ

ます。

 

つまり,電子と陽子の2つのカレントの間を伝播する仮想光子の

振幅を,-(q2+iε)-1と考えるのです。

 

こうしたFeynman diagramでは,"光子が入ったり出たりする点

=頂点(vertex)"は,実の(仮想でない)入射,および散乱粒子を

表示する自由電子スピノル:(m/E)1/2u(p,s)の2つのライン

に挟まれた因子:eγμを表現すると考えます。

 

このように,Diagramの各ラインとその交点にS行列要素の因子を

対応させていきます。

 

これをFeynman-ruleと呼びます。

 

行列要素:Sfiには,さらに,常に全てにわたるエネルギー・運動量

の保存を示す4次元のδ-関数因子が含まれています。

 

散乱断面積dσを計算するためには,|Sfi|2を相互作用時間Tと

相互作用領域の空間体積Vで割って単位体積当たりの遷移率を

求めます。

 

結局,単位体積当たりの遷移率は,

fi≡|Sfi|2/(VT)

=(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi){m22/(Efipfpi)}

-4|fi|2 です。

 

ここに,fi≡[u~(pf,sfμu(pi,si)]{e2ε0-1/(q2+iε)}

[u~(Pf,Sfμu(Pi,Si)]であり,

これはLorentz不変な行列要素です。

 

この要素は不変振幅(invariant amplitude)と呼ばれます。

 

ここで,遷移確率|Sfi|2に現われるδ関数の平方の扱いを,今までの

時間Tだけでなく空間体積Vも含むように拡張しました。

 

すなわち,[(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi)]2

={2πδ(0)}4(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi)

→ VT(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi) です。

 

次に,この単位体積当たりの遷移率wfiを入射流束:|inc|,および,

単位体積当たりの標的粒子数:(1/V)で割ります。

 

最後に,物理的な断面積を得るため,物理過程を観測するための

実験室の状況に対応する電子と陽子の終状態の運動量区間:

ff+df ff+df の間の要素:

3f,d3f に存在する終状態の個数をカウントします。

 

これは,{Vd3f/(2π)3}{Vd3f/(2π)3} です。

 

結局,この運動量区間の終状態への遷移に対応する遷移断面積は,

dσ=V2(2π)-33f(2π)-33f(V/|inc|)wfi

=(2π)-33(2π)-33f{m22/(Efipfpi)}

(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi)/(V|inc|)|fi|2

と書けます。

 

上記最終式は任意の慣性系(実験室系or重心系)で成立する式です。

 

これを終状態粒子のspin状態について総和したものを,

非偏極断面積として初期-spinについて平均を取ります。

 

この段階で全ての散乱過程に共通の幾つかの性質が認められます

,これらは一般に不変振幅の平方:|fi|2の中にあります。

 

そして,また各Fermi粒子の外線,つまり相互作用頂点に入ったり

出たりする各Dirac粒子(質量m,エネルギーE)に対して(m/E)

なる因子が付随します。

 

そして,終状態外線に対する位相空間因子は(2π)-33fです。

 

故に,各終状態の粒子外線に対し総体で(m/E)(2π)-33fなる

因子が付随しますが,これは次に示すように,

運動量空間でのLorentz不変体積を形成します。

 

すなわち,d3/(2E)=∫0dp0δ(p2-m2)d3

=∫-∞4θ(p0)δ(p2-m2);E=(2+m2)1/2

と表わせます。

 

(注13-3):何故なら,

 

 ∫0dp0δ(p2-m2)

 =∫0dp0δ((p0)22-m2)

 =∫0dp0{2(2+m2)1/2}-1

 {δ(p0-(2+m2)1/2)+δ(p0+(2+m2)1/2)}

 ={2(2+m2)1/2}-1=1//(2E) です。

 

(注13-3終わり)※

 

 そして,相互作用の際の全体としてのエネルギー・運動量の保存

 は因子(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi)に由来します。

 

最後に因子:1/(V|inc|)ですが,|inc|は流束であって,これは

同一直線上にあるビームに対して,単位時間に衝突,または,すれ

違うなど,互いに通過する単位面積当たりの粒子数です。

  

故に,|inc|=|ii|/Vです。

 

 そこで,因子:1/(V|inc|)も,入射粒子の規格化因子を結び付け

 ると,Lorentz不変な形で表現できます。

 

すなわち,同一直線上では,(ii)2i2i2なので,

ipiV|inc|=Eipi|ii|=|ipiii|

={(Ei2i2)(i2-Epi2)+(Eipiii)2i|1/2

={(pii)2-m22}1/2

となります。

 

そこで,1/(EipiV|inc|)=1/{(pii)2-m22}1/2ですが,

この形は全断面積が入射粒子の運動方向に沿うLorents変換に対

して不変なことを示しています。

 

以上から,断面積dσは,

dσ=m22/{(pii)2-m22}1/2|fi|2(2π)4

δ4(Pf-Pi+pf-pi)(2π)-3(d3f/Ef){(2π)-3(d3f/Epf)

と書けます。

 

右辺の個々の因子は,非常に一般的な要因によるものです。

 

そして規格化に用いた箱の体積Vは,結局相殺して消えてしまい

ました。 

 

この特殊例だけでなく,以後に出現する計算例でも同じなので,以下

では基本的にこうした因子の現われる理由の詳細をいちいち挙げる

ことは省略します。

 

途中ですが,今日はここまでにします。

 

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics" (McGraw-Hill)

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量子テレポーテーション(ネルソン方程式:テスト)

  エクセル 「量子テレポーテーション」 テストです。。。

 エクセル・ファイルと図が出たらF9を押してみてください。

 マクロ(Macro)を使っているので,エクセル(MS-Excel)がインストールされていて"マクロを使用する"というオプションになっていれば,テレポートします。

 つまり,量子論を確率過程と見なす,ネルソン(Nelson)方程式を模式化してExcelプログラミングとして,入力しているので,時間軸に沿う軌道が,突然,確率的に変動してテレポートするように見えます。

 最後に,×印をクリックしてファイルを閉じるときは,「変更を保存しますか?」というメッセージボックスが出ます。

 "保存する=はい。"を押しても別に何も不都合は起きませんが,ファイルが閉じず,メッセージボックスも閉じないと思われるので,最後には"変更を保存しない(変更を破棄する)"="いいえ"を押してください。

 このファイル壊れたり無くなったりしても元があるのでかまいませんが。。

 あまり変節すると,この記事の意図するところが伝わらなくなるので。。。

参考文献:保江 邦夫 著「Excelで学ぶ量子力学-量子の世界を覗き見る確率力学入門(ブルーバックス)」(講談社),長澤 正雄 著「シュレーディンガーのジレンマと夢」(森北出版),

 保江邦夫 著「量子の道草-方程式のある風景」(日本評論社),保江 邦夫 著「Excelで学ぶ金融市場予測の科学(ブルーバックス)」(講談社)

 

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2010年6月16日 (水)

すべての子供に5歳の誕生日を(ユニセフ)

 ユニセフからメールマガジンが来ました。

 「すべての子供に5歳の誕生日を。

 すべての子供は宝です。(育児ノイローゼになりそうな子育ての経験もないクセに) 最近は私自身に余裕がないので,ここ2年くらい募金していません。.

               

 (例によってキレイゴト,偽善者のTOSHIですが,私ゴトキ,批判されても痛くも痒くもありません。。。スタンドプレイと人助けは並び立つ?。。

 誰のオムツも換えられないヤツ,空腹でも自分で鶏をツブして食べたりできないヤツ,弾が跳んでこないところで評論家をやってる手を汚さないヤツとか。。ああ,またヒガミ根性だ。。)

 (↑ 悪口ではなく,自分のコト(=偽善者)ですよ。。念のため!! 言われる前に謝っておこうという姑息な手段 (~~:) 何かわからんけど先走って気持ち悪いほど頭がクルクルと穿ってしまう。。。)

PS:Twitterで久しぶりに鳩山由紀夫氏のつぶやき見ました。生きてたんだ?

 6/17読売ニュースから,「心臓病の女児救って(なっちゃンんを救う会)

        ↓ 拘束型心筋症のなずなちゃん(7歳)

         

 最近は巣鴨では一番落ち着く”コリン星”でひとり静かに?飲むことが多い。。元々自前の金さえあればつるんで飲むよりひとりの方がいい。。

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2010年6月15日 (火)

散乱の伝播関数の理論(12)(応用1-2)

 散乱の伝播関数の理論の続きです。

 

 ついでに陽電子のCoulomb散乱を手短かに書いておきます。

 

§7.3 Coulomb Scattering of Positrons(陽電子のCoulomb散乱)

 

 Coulombポテンシャルによる陽電子の散乱に対する遷移行列要素の

 計算は電子の散乱のそれに同様です。

 

まず,Sfi=ie∫d4xψf~(x)(x)Ψi(x)(f≠i);

(x)≡γμμ(x)です。

 

ただしe<0 は前と同じく電子の電荷です。

 

この場合,入射状態:Ψi(x)は,未来にあって時間的に後退して運動

する(過去に向かって伝播する)4元運動量:-pfを持った負エネル

ギー電子と解釈します。(※負エネルギー電子の抜けた空孔は未来

へ伝播)

よって.最低次のΨi(x)を示す自由平面波は,

ψi(x)≡{m/(EfV)}1/2v(pf,sf)exp(+ipfx)

であるとします。

 

同様に,出て行く方の状態は過去へ伝播する負エネルギー状態です

から,ψf(x)≡{m/(EiV)}1/2v(pi,si)exp(+ipix)です。

 

これは散乱前には,運動量:piのとスピン偏極:siを持っていた

"入射陽電子=空孔(Hole)"を表わしています。

 

Coulombポテンシャル:A0(x)=A0(x)=-Ze/(4πε0||),

(x)=0 を代入すると,

 

最低次では,

fi={-iZe2/(4πε0V)}{m2/(Eif)}1/2

v~(pi,si0v(pf,sf)∫d4x[exp{i(pf-pi)x}/||]

なる式を得ます。

 

これから,Sfi={-iZe2m/(ε0V)}(Eif)-1/2

[v~(pi,si0v(pf,sf)/||2]2πδ(Ef-Ei)

です。

 

荷電共役不変性(charge conjugation invariance:

粒子-反粒子対称性)から,このオーダーでは計算は電子に対する

ものと,ほぼ同様です。

 

すなわち,最低次では,

fi ~ +ie∫d4xψci~(x)(x)ψcf(x)

=-ie∫d4xψfT(x)C^-1(x)C^ψi~T(x)

=+ie∫d4xψf~(x)(x)ψi(x);

 

ψc(x)=Cγ0ψ+(x)です。

 

そして,今採用しているBjorken-DrellのテキストのJガンマ行列の

表示では,C=iγ2γ0=-C-1=-CTです。

 

そこで,この近似での陽電子の散乱の微分断面積は,

dσ/dΩ=(4Z2α22/||4)|v~(pi,si0v(pf,sf)|2

です。

 

さらに終状態のスピンで総和し,始状態スピンで平均すると,

dσ/dΩ=(2Z2α22/||4±sf,±si|

v~(pi,si0v(pf,sf)|2

={Z2α2/(2||4)Tr[γ0(f-m)γ0(i-m)]

です。

 

結局,陽電子散乱は電子散乱の式:

dσ/dΩ={Z2α2/(2||4)Tr[γ0(i+m)γ0(f+m)]

でmを-mにしたものに一致します。

 

したがって,散乱の微分断面積は電子と全く同じで,

dσ/dΩ={Z2α2/(4E2||4)}{1-β2sin2(θ/2)}

={Z2α2/(4||2β22sin4(θ/2))}{1-β2sin2(θ/2)}

です。

 

最低次での散乱は静電Coulombポテンシャルが引力であるか斥力

であるかには無関係であることがわかります。

 

ところが,上図7.2の電子の散乱diagramsのように,もしも左の1次

(最低次)のdiagramに加えて,右の2次のdiagramの寄与をも考慮し

ときには,

   

fi への1次の項が電荷に比例するのに対し,2次の項は電荷の

2乗に比例するため,1次の項に対する2次の項の相対的符号は,

電子と陽電子では反対になります。

 

そして,各々の散乱の微分断面積は,

R=|Sfi|2Vd3f/{(2π)3T}に比例しますが,その因子:

|Sfi|2fi は1次の寄与と2次の寄与の和として出現する

ため,高次近似まで考慮すると,"結果が,引力であるか斥力

あるかに無関係"という命題は正しくありません。

 

※(注12-2):Sfi電子=(-i)(eA+e2B)=-ie(A+eB),

fi陽電子=(-i){-eA+(-e)2B}=ie(A-eB)(e<0)

であれば,|Sfi|2=Sfifiなので2次まで考慮すると一致

しません。

  

S行列のユニタリ性の議論からも,fifi=δfi+iTfi,

fi Hermite(実数)なる形と推論されます。(注12-1終わり)※

  

しかし,任意のFeynman-diagramの寄与の計算おいて,電子と陽電子

の間でi⇔-pf とすればいいという簡単な置換ルールがあります。

  

これは,ここまで展開してきた伝播関数理論と密接に結びついて

います。

 

今日はここまでにします。

 

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell"Relativistic Quantum Mechanics"(McGrawHill)

 

PS:今日(6/15)も夜は手話講習会に行ってきました。

 

手話は,ただ聴いて(見て)いるだけでは身に付かないので,毎回教室

の生徒全員が順に皆の前であいさつ,自分の名前とか家族構成,生年

月日,出身地,身長などを身振り,手振りでやらされるのですが。。

 

私は,何故か人一倍覚えが悪くて仕草も滑稽で下手なせいなのか?

このごろは順番がまわって出る直前から,かなり失笑が湧いて。。

 

イヤ楽しいですネ,笑われるのは。。。

(休み時間に大笑いしたコに謝られました??)

 

別に笑いを取ろうとしているのでなく,手話なのでシャベルわけ

でもなく,恐らく天然らしいのですがネ。。

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2010年6月14日 (月)

散乱の伝播関数の理論(11)(応用1-1)

散乱の伝播関数の理論の続きです。

 

Bjoken-Drellのテキスト"Mechanics"の第7章:apprications(応用)

に入ります。

 

まず,最初は電子のCoulomb散乱の計算ですが,これはここまでの

理論の応用の原点ですね。

 

§7.1 Coulomb Scattering of Electrons(電子のCoulomb散乱)

 固定されたCoulombポテンシャルによる電子の散乱過程に対する

 遷移行列(transition-matrix=S-matrix)の要素を求めます。

 

 既に得た知見によれば,これは,

 fi=-ie∫d4xψf~(x)(x)Ψi(x) (f≠i);

 (x)≡γμμ(x) で与えられます。

 

 ただし,Aμ(x)は電磁ポテンシャル,e<0 は電子の電荷です。

 

 最低次の近似では,Ψi(x)は自由平面波:ψi(x)に帰着します。

 

 この入射する自由平面波(spinor-波動関数)を,

 ψi(x)≡{m/(EiV)}1/2u(pi,si)exp(-ipix)

 とします。

 

ここでは,体積Vの箱の中に1個の電子があるという規格化を採用

しています。

 

 同様に,終状態の波動関数の共役を,

 ψf~(x)≡{m/(EfV)}1/2u~(pf,sf)exp(ipfx)

 とします。

 

 Coulombポテンシャルは点電荷:-Ze>0 に対するものとして,

 A0(x)=A0(x)=-Ze/(4πε0||),(x)=0 とします。

 

 すると,最低次近似の遷移行列要素として,

 fi={iZe2/(4πε0V)}{m2/(Eif)}1/2

 u~(pf,sf0u(pi,si)∫d4x[exp{i(pf-pi)x}/||]

 を得ます。

 

 右辺の積分のうち,時間成分のそれは,∫dx0exp{i(pf0-pi0)x0}

 =∫dtexp{i(Ef-Ei)t}=2πδ(Ef-Ei) です。

 

 この右辺のδ-関数は静電Coulombポテンシャルのもとでの始状態

 と終状態の間のエネルギーの保存を示しています。

 

 一方,空間積分は∫d3exp(-iqr)/||=4π/||2となります。

 ただし,fiです。

 

 以上から,Sfi={iZe2m/(ε0V)}(Eif)-1/2

 [u~(pf,sf0u(pi,si)/||2]2πδ(Ef-Ei)

 なる式が得られます。

 

 ところで,終運動量区間:f f+dfの体積要素d3f

 存在する自由電子の終状態の数は,Vd3f/(2π)3 です。

 

(注11-1):つまり,Vを1辺がLの立方体(V=L3)とすると,周期的

 境界条件からpk=(2π/L)nk;nk=0,±1,±2,..(k=1,2,3)

 ですが,dpk=(2π/L)dnkなので,3=(2π)33/V

 と書けます。

 そこで,d3=Vd3/(2π)3と書けます。

 

 そして,d3の中には丁度d3個の状態があるので,結局,

 要素d3にはVd3/(2π)3個の状態が存在します。

 

(注11-1終わり)※

 

 そこで,これらの終状態全体への遷移確率は,

  |Sfi|2Vd3f/(2π)3

  ={Z2(4πα)22/(EiV)}{|u~(pf,sf0u(pi,si)|2/||4}

  d3f/{(2π)3f}[2πδ(Ef-Ei)]2 で与えられます。

 

 ここで,微細構造定数(structure constant):

  α≡e2/(4πε0)~ 1/137 を用いました。

 

 右辺最後のエネルギーのδ-関数の平方因子の扱いについては,

 幾つかの説明が必要です。

 

 まず,仮に与えられた時間区間:(-T/2,T/2)の中での遷移を考え

 ている場合,エネルギーδ-関数はぼやけると思われます。

 

 すなわち,2πδ(Ef-Ei) → ∫-T/2T/2dtexp{i(Ef-Ei)t}

 =[-exp{i(Ef-Ei)t}/{i(Ef-Ei)}] -T/2T/2p

 =2sin{T(Ef-Ei)/2}/(Ef-Ei)

  となります。

 

 そして,2π∫-∞[2sin{T(Ef-Ei)/2}/(Ef-Ei)]

 δ(Ef-Ei)]dEf=2πTより,[2πδ(Ef-Ei)]2

 =2πδ(0)δ(Ef-Ei)] → 2πTδ(Ef-Ei) です。

 

 あるいは,単に無限の過去から無限の未来までの遷移時間をTと

 して2πδ(0)=T とします。

 

 これを見るための発見的方法は,

 2πδ(Ef-Ei)=lim T→∞-T/2T/2dtexp{i(Ef-Ei)t}から,

 2πδ(0)=lim T→∞-T/2T/2dt=lim T→∞Tと書くことです。

 

さて,遷移確率:|Sfi|2Vd3f/(2π)3を時間Tで割ると,

3fへの"単位時間当たりの遷移数=遷移率(transition rate)"

Rが得られます。

 

この値は,R={4Z2α22/(EiV)}

{|u~(pf,sf0u(pi,si)|2/||4}(d3f/Ef)δ(Ef-Ei)

となります。

 

散乱の断面積は,この遷移率を入射粒子の流束:

inca(x)=ψi~(x)γaψi(x)で割ったもので定義されます。

 

ただし,添字aは入射速度iβii/Eiに沿うベクトル成分

を示します。

 

ψi(x)≡{m/(EiV)}1/2u(pi,si)exp(-ipix)で採用している

のと同じ規格化から,|inc|=|i|/Vです。

 

※(注11-2):何故なら,

 i=<i>=<cα>=∫Vψi+αψi3inc

 であるからです。

 

 これは,密度ψi+αψiが位置に独立であって,

 ∫Vψi+ψi31と規格化されているからです。

 

 それ故,|inc|=|i|/Vです。

 

(注11-2終わり)※

 

 微分断面積dσ/dΩは,

 (単位時間に単位立体角当たりに散乱される粒子数)

 を(単位時間に単位面積当たりを通過する入射粒子数)

 で除した値与えられます。

 

ρ≡1/Vが数密度なので,|inc|=|i|/V=ρ|i|は入射向き

に垂直な単位面積当たりを通過する入射粒子数です。

 

一方,Rはその流束に対してd3f=pf2dpfdΩの領域に単位時間

に散乱される粒子数に等しいため,

dσ/dΩ=∫R(pf2dpf/d3f)/|inc|

となります。

 

したがって,

dσ/dΩ=∫{4Z2α22/(Ei|i|)}

{|u~(pf,sf0u(pi,si)|2/||4}(pf2dpf/Ef)δ(Ef-Ei)

です。

 

ところが,Ef2=pf2+m2よりEfdEf=pfdpf;pf=|f|です。

 

さらに,因子δ(Ef-Ei)の存在によってEi=Ef,

f=pi=|i|=|i|Eiですから,

f2dpf/(Efi|i|)=dEf を得ます。

 

 それ故,途中経過式:

 dσ/dΩ=(4Z2α22/||4)|u~(pf,sf0u(pi,si)|2

 が得られました。

 

 しかし,一般に観測者は入射粒子の偏極(spin or polarization)を

 知らないし終粒子の偏極を観測することもしません。

 

 もしも初期粒子が明確な偏極を有するなら,それには必ず適切な理由

 があります。

 

 β-崩壊による偏極電子のケースのように実験者が必ずその理由を

 見つけるはずです。

 

 そうした特殊なスピン情報が無い場合には,異なる初期偏極の個々

 の状態に等しい先験的確率を割り当てます。

 

 これらは,実際の断面積においては終状態のスピンについては総和

 となり,始状態のスピンについて平均となることを意味します。

 

 すなわち,一般的な実験で評価される量としては,

 dσ/dΩ

 =(2Z2α22/||4±sf,±si|u~(pf,sf0u(pi,si)|2

 です。

 

 ところが±sf,±si|u~(pf,sf0u(pi,si)|2

 =Σ±sf,±siΣα,βΣλ,δ,σ[u~α(pf,sf0αββ(pi,si)]

 [u+λ(pi,si0+λδγ0+δσσ(pf,sf)]

 と表現されます。

 

 一般に,4×4行列Γに対してΓ~をΓ~≡γ0Γ+γ0で定義すると,

 |u~(f)Γu(i)|2=[u~(f)Γu(i)][u~(i)Γ~u(f)]

 です。

 

 そして,特にγμ~≡γ0γμ+γ0=γμ,(iγ5)~=iγ5,

 (γμγ5)~=γμγ5です。

 

実際±sf,±siΣα,βΣλ,δ,σ[u~α(pf,sf0αββ(pi,si)]

[u+λ(pi,si0+λδγ0+δσσ(pf,sf)]は変形されます。

 

Σ±sf,±siΣα,βΣλ,σ[u~α(pf,sf0αββ(pi,si)]

[u~λ(pi,si0~λσσ(pf,sf)]であり,かつγ0~=γ0です。

 

そして±siβ(pi,si)u~λ(pi,si)

=Σr=12εr(r)β(i)w(r)~λ(i) とも書けます。

 

r=1,2 に対しては,

Λ+(i)w(r)(i)=(γμ+m)w(r)(i)/(2m)

=w(r)(i),

r=3,4 に対しては,

Λ+(i)w(r)(i)=(γμ+m)w(r)(i)=0

です。

 

そこで,w(r)+(i)(γμ++m)/(2m)=w(r)+(i) (r=1,2),

かつ,w(r)+(i)(γμ++m)/(2m)=0 (r=3,4) です。

 

ところがμ+γ0=γ0γμなので,これは,

(r)~(i)(γμ+m)/(2m)=w(r)~(i)(r=1,2),

かつ,w(r)~(i)(γμ+m)/(2m)=0 と変形されます。

 

γμμと略記すると,

(r)~σ(i)(i+m)σλ/(2m)=w(r)~λ(i) (r=1,2),

かつ,w(r)~σ(i)(i+m)σλ/(2m)=0 (r=3,4)

です。

 

そこで±siβ(pi,si)u~λ(pi,si)

=Σr=12εr(r)β(i)w(r)~λ(i)

=Σr=14Σσ=14εr(r)β(i)w(r)~σ(i)(i+m)σλ/(2m)

です。

 

故にr=14εr(r)α()w(r)~β()=δαβより,

Σ±siβ(pi,si)u~λ(pi,si)

Σσ=14δβσ(i+m)σλ/(2m)

=(i+m)βλ/(2m)

を得ます。

 

それ故±sf,±si|u~(pf,sf0u(pi,si)|2

=Σ±sf,±siΣα,βΣλ,σ[u~α(pf,sf0αββ(pi,si)]

[u+λ(pi,si0λσσ(pf,sf)]

=Σ±sfΣα,ββΣλ,σ[u~α(pf,sf0αβ(i+m)βλ

γ0λσσ(pf,sf)]/(2m) です。

 

さらに,Σ±sf,±si|u~(pf,sf0u(pi,si)|2

=Σ±sfΣα,σ[u~α(pf,sf){γ0(i+m)γ0}ασ

 σ(pf,sf)]/(2m)

=[Σα,σ0(i+m)γ0}ασ(i+m)σα]/(4m2)

を得ます。

 

何故なら,Σ±sfσ(pf,sf)u~α(pf,sf)

=Σr=14Σλ=14εr(r)σ(f)w(r)~λ(f)(f+m)λα/(2m)

=(i+m)σα/(2m) となるからです。

 

そしてα,σ0(i+m)γ0}ασ(f+m)σα]

=Tr[γ0(i+m)γ0(f+m)](trace:トレース(跡=対角和))

ですから,

 

結局,

dσ/dΩ={Z2α2/(2||4)Tr[γ0(i+m)γ0(f+m)]

です。 

 

§7.2 Some Trace Theorem;the Spin-averaged Coulomb Cross section(幾つかのトレース定理;スピンで平均化した散乱断面積)

 

前節の最後に得られた微分断面積のトレース因子は,

r[γ0(i+m)γ0(f+m)]

=Tr(γ0iγ0f)+m2Tr(γ0)2と分割できますが,公式に

よって,(γ0)2であり,Tr(γ0iγ0f)=8Eif-4pif

です。

 

したがって,dσ/dΩ={Z2α2/(2||4)(8Eif-4pif+4m2)

={Z2α22/(4||4)}{1-β2sin2(θ/2)} です。

 

すなわち,電子のCoulomb散乱の微分断面積の最低次の式として,

dσ/dΩ=={Z2α2/(4||2β2sin4(θ/2))}{1-β2sin2(θ/2)}

が得られました。

(↑※これは,"Mottの散乱公式"と呼ばれているらしいです。)

 

(注11-3):何故なら,E≡Ei=Ef,i,if2cosθ

 とおくと,pif=Eifif=E22cosθ

 =m22(1-cosθ)=m2+22sin2(θ/2) であり,

  

 8Eif-4pif+4m2=8{E22sin2(θ/2)}

 =8E2{1-β2sin2(θ/2)},E222,||2

 =(fi)2=22(1-cosθ)=42sin2(θ/2)

 となるからです。

 

(注11-3終わり)※ 

   

※(付録):γ行列,主としてそのトレースの公式集です。