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2010年6月27日 (日)

場理論におけるS行列とLSZの公式(1)

 かつて,2009年1/18の記事:

 「束縛状態とベーテ・サルピーター方程式(1)」において, 

 T積(時間順序積)の真空期待値で与えられる2体散乱の

 4点Green関数:

G(xa,xb;ya,yb)≡<0|T(φa(xab(xba(yab(yb))|0>

とその摂動級数の扱いについて触れたことがありました。

 

 以下では,こうした場の理論での散乱のS行列を求めるルールの

 数学的定式化の1つ:Lehmann,Symmnzik,ZimmermannによLSZの

 還元公式(Reduction-formula)を紹介します。

 

 参考にしたのは,J.D.Bjorken & S.D.Drell著の

 "Relativistic Quantum Field"の第16章です。 

 

 

 第16章といっても,このテキストは第11章から始まっています。

 

 第1章から第10章はこの本の前に読むべきとされている,

 companion-volumeの"Relativistic Quantum Mechanics"

 の方にあるのですね。 

 

さて,本文です。

 

自然界で観測される相互作用粒子の動力学(Dynamics)を

記述して説明することが場の量子論の目的(goal)です。

 

自由粒子の性質は,古典場を量子化する手続きから見て

取れますが,相互作用する粒子の動力学的挙動を記述

するのは一般的な行列要素を評価することから得られる

はずです。

 

特に,単一粒子が時空を伝播する振幅,すなわち1粒子の

Green関数(propagator:伝播関数),および異なる始状態

と終状態の間の遷移振幅(S行列要素)の両方に興味が

あります。

 

ここで得るべき結果の1つは,場を量子化する以前の相対論

的量子力学の議論で直観的に展開した計算でのFeynmanルール

を場の量子論の定式化から再構成することです。

 

 自由場でなく相互作用場と結合した一般に非線型な方程式の正確

 な解を得るという問題は通常余りにも複雑で解明しがたいものです。

  

 さまざまな近似法に向かう前に,対称性,不変性という論旨のみに依拠

 して厳密な状態Φと正確な伝播関数(propagator)の性質を決定する

 ことに進むことが如何に遠大であるかということを見ます。

 

 特に平行移動とLorentz変換に対する不変性が重要な役割を

 果たします。

 これはどんな理論にも共通な対称性です。

 

まず,状態Φをエネルギー・運動量4元ベクトルの固有状態

になるように選びます。

このことは普通の状況では常に可能です。

 

何故なら,通常,系は平行移動不変性を有し,このため保存量

としてのエネルギー・運動量4元ベクトルP^μの存在が保証

されるからです。(※Noetherの定理)

 

以下,Heisenberg描像の枠内で論議を進めていき状態ΦとP^μ

を他の全ての互いに交換する保存量によって特徴付けます。

 

さらに,物理的基礎に基づいてP^μの固有スペクトルに対して

以下に条件を課します。

存在を仮定したP^μに対する正確な解が得られていないため,

こうした要請は仮定であって証明されません。

 

1. エネルギー・運動量の固有値は全て光円錐の前方内部にある。

 すなわち,P2=Pμμ≧0 ,かつP0≧0である。

 

,縮退していないLorentz不変な最低エネルギー状態:Φ0が存在する。

 これを真空状態と呼び,|0>と書く。

 これは規約によって,エネルギーがゼロとなるように選択される。

 すなわち,P^0|0>=0 である。

 

このとき,要請1からP2=(P0)22=-2≧0 なので

^|0>=0 も得られる。

 

したがって,P^μ|0>=0 であり|0>がLorentz不変なこと

から,如何なるLorentz系にいる観測者に対しても等しく

真空状態(最低状態)として出現します。

 

 

※(注):<0|P^μ|0>=cμのときcμがゼロであることが重要です。

 

 もしもcμがゼロでないなら,P^μ→aμνP^νなるLorentz変換

 によって変換された別の準拠系で観測されるエネルギー:a0νν

 が,最低であるという条件からはずれることがあるため.

 謂わゆる自発的対称性の破れ(spontaneously bprlen-symmmetry)

 が生じます。

 

 cμ=0 以外の例外はcμ= ∞ の場合です。

 

 ∞ には数としてほぼゼロと同じ対称性がありますが,

 そもそも ∞ は普通の意味では数でないし正定値では

 ありませんから,別の計算不可能性の問題を生じます。

 (注終わり)※

 

.安定した単一粒子の状態:Φ1(i)≡{P(i)>が存在して

 その質量をmiとするとP(i)2=P(i)μ(i)μ=mi2が成立する。

 

.真空状態と単一粒子状態はP^μの離散的スペクトルを形成する。

 

 例えばπ中間子は自然界に安定な粒子として存在します。

 観測されるπの主要な崩壊→μ+νによる半減期は

 約2×10-8secです。

 

これはCompton波長から得られるπ中間子の自然周期

c/(mπ2) ~5×10-24secと比べて非常に長いです。

 

そこで,ここでの初期の伝播関数の第一近似を調べるような

弱い相互作用を無視する扱いでは,π中間子は安定粒子である

として扱います。

 

以下では,Lagrangianやエネルギー・運動量ベクトルを作る

に当たってπ中間子(実は擬スカラー)の固有スペクトルを

モデルとするスカラー場φ(x)のそれに関連させます。

 

同様にP^μのスペクトルに現われる離散的状態をスカラー

場φ(x),または他の場ψ(x)と結び付けます。

 

こうしたアプローチの精神は,摂動論のそれと似ています。

 

安定粒子のLagrangianに相互作用を付加しますが,相互作用の

存在は元の粒子の質量スペクトルを激しくは変えないと仮定

します。

 

 ただし,これは明らかに非常に強い仮定であり,こうした

 アプローチにとって決定的な制限となります。

 

 何故なら,これは自動的に束縛状態を排斥するからです。

 

 ここでは,主に初等的散乱問題と関わるので束縛状態を

 含む話は想定しません。

 

 まずは,初期時刻t→-∞ における物理系を記述する

 入射状態(in-coming states or In-states)を記述する方法

 を得たいと考えます。

 

 散乱事象にある粒子はt→-∞ではまだ互いに相互作用を

 していませんが,自己相互作用の理論を組み立てるため,

 物理的質量を持って伝播している粒子に関して独立な粒子

 状態を生成する演算子を求めます。

 

 そして,こうした粒子の状態は完全系を形成すると仮定します。

 

 相互作用をしない自由場のLagrangianのケースには,1粒子

 状態は場の演算子の平面波による展開係数として出現する

 生成演算子の1つを真空|0>に適用することで作ることが

 できます。

 

 そして,|0>からスタートしてn個の生成演算子を繰り返し

 適用することでn粒子状態を構成することができます。

 

粒子解釈はエネルギー・運動量4元ベクトルP^μのスペクトル,

および仮定された交換(反交換)関係から導かれる生成消滅演算子

の代数から引き出されます。

 

(※したがって粒子概念はP^μの固有状態である自由粒子状態

にのみ付随する概念で相互作用を含む一般の場の作る状態は

そうした明確な意味を持ちません。)

 

相互作用している場に対しても,相互作用する前に真空から

単一粒子の状態を作るような対応する演算子を求めます。

 

簡単のために,相互作用する場としてLagrangian:

L=∫(x)d3x,

(x)=(1/2)∂μφ∂μφ-(1/2)m02φ2(x)+j(x)

を持つ実スカラー場φ(x)を考えます。

 

0は自己相互作用を含まない裸の質量(bare mass)です。

 

相互作用カレントj(x)は,φのみの関数でφd=φdot≡∂φ/∂t

を含まない場合を想定します。

すると場の正準共役演算子はπ(x)=δL/∂φd=φd(x)

で与えられます。

 

そして,φ(x)は波動方程式(□+m02)φ(x)=j(x)を

満たし,同時刻で正準交換関係;

[φ(,t),φ(,t)]=[π(,t),π(,t)]=0,

[π(,t),φ(,t)]=-iδ3()

を満たす演算子です。

 

カレントj(x)は任意の形をしているとします。

 

これは核力の結合の表現かもしれないし,または

j(x)=λφ4(x)/4のような自己相互作用結合かも

知れません。

 

後者の場合は,(x)=(1/2)∂μφ∂μφ

-(1/2)m02φ2(x)+(λ/4)φ4(x)です。

 

真空から単一の物理的粒子の状態を作るための求める演算子

(incoming field or In-field)をφin(x)と書くことにします。

 

φin(x)は,正確な場φ(x)とj(x)の中に存在する他の任意

の場の適当な関数によって形成されます。

そして,それの存在は以下に陽な形を作ることで証明します。

 

φin(x)が真空から自由な物理的中間子を生成する演算子

であるという望ましい特徴を有することを保証するため,

これに自由場が持つのと同じ次の性質を割り当てます。

 

 

1. φin(x)は平行移動とLorentz変換の下で対応する場φ(x)

 と同じように変換する。

 

 この選択は,φin(x)で作られる1粒子状態の共変性を保証します。

 特に,平行移動については,

 [P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ)

 が成立します。

 

2. φin(x)の時間的発展は物理的質量mを持った自由粒子

 のKlein-Gordon方程式で記述される。

 (□+m2in(x)=0 です。

 

 これら2つの方程式から,φin(x)は真空から物理的1粒子

 状態を生成することが導かれます。

 

 これを確認するため,任意の固有状態|n>:

 P^μ|n>=pnμ|n>を考えて,|n>と真空|0>による

 φin(x)の行列要素に,

 [P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ)を適用します。

 

 すなわち,i(∂/∂xμ)<n|φin(x)|0>

 =<n|[P^μin(x)]|0>=pnμ<n|φin(x)|0>

 です。

 

 故に,-∂2/∂xμ∂xμ=ipnμ(∂/∂xμ)<n|φin(x)|0>

 =pnμ<n|φin(x)|0>より,

 □<n|φin(x)|0>=-pn2<n|φin(x)|0> を得ます。

 

 これと方程式(□+m2in(x)=0 から,

 (□+m2)<n|φin(x)|0>=(m2-pn2)<n|φin(x)|0>=0

 となります。

 

 そこで,真空|0>からφin(x)によって生じる状態:

 φin(x)|0>は,n2=m2を持つ状態である,質量がmの

 1粒子状態のみであることがわかります。

 

※(注):何故なら,P^μの固有状態が完全系を形成するという仮定

 から,φin(x)|0>はP^μの固有状態の線型結合で表わされます。

 

 そして,Hermite演算子の異なる固有値に属する固有ベクトルは

 直交することから,<n|φin(x)|0>≠0 なる場合,

 φin(x)|0>の中の|n>と同じ固有値成分のみが線型結合に

 寄与して残ります。

 

つまり,pn2=m2を持つ成分のみが状態:φin(x)|0>にゼロ

でない寄与をします。

 

|n>はP^μの任意の固有状態ですから,結局φin(x)|0>

を構成する全てのP^μの固有状態はpn2=m2を満たす,

と結論されます。  (注終わり)※

 

既に,自由なKlein-Gordon方程式(□+m2in(x)=0

に従う場は,Fourier積分:

 

φin(,t)=∫d3[ain^()fk(x)+ain^+()fk*(x)]

=∫d3{(2π)3k}-1/2[ain^()exp(ik-iωkt)

+ain^+()exp(-ik+iωkt)];

ただし.ωk≡(2+m2)1/2で与えられることを知っています。

 

k(x)は質量がmの自由平面波で,

k(x)≡{(2π)3k}-1/2exp(-ikx)]です。

 

ただし,kx=k0t-kx,k0≡ωk=(2+m2)1/2 です。

 

そして,逆変換によって,

in^()=i∫d3k*(x)∂0φin(x)

と表わされます。

 

右辺の記号∂0は,任意の2つのtの関数a(t),b(t)に対し,

a(t)∂0b(t)≡a(t)(∂b/∂t)-(∂a/∂t)b(t)

によって定義される微分演算子です。

 

演算子ain^()は,

[P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ)から得られる

次の交換関係を満足します。

 

すなわち,[P^μ,ain^()]=-kμin^(),

[P^μ,ain^+()]=kμin^+ ()]です。

 

このことから,真空|0>にain^+()を繰り返し適用する

ことにより,一般のn粒子固有状態を作り上げることができる

とわかります。

 

すなわち,|1,2,..,N;in

≡ain^+(1)ain^+(2)..ain^+(N)|0>と定義すれば

ゼロ-エネルギーの一意的な真空状態の仮定によって

in^()|0>=0 なので,

 

P^μ|1,2,..,N;in

=P^μin^+(1)ain^+(2)..ain^+(N)|0>

=Σi=1Niμ|1,2,..,N;in

 

が成立します。

 

そして,(1,2,..,M)が(1,2,..N)と完全に一致しない

場合には,常に<1,2,..,M;in|1,2,..N;in>=0

です。

 

ただし,1,2,..,M1,2,..Nの順序には無関係です。

 

そして,数Nと運動量μにの全ての可能な選択によって

作られる固有状態の集合は完全系をなすと仮定されています。

 

漸近場φin(x)をφ(x)で表現するために.

(□+m02)φ(x)=j(x)の両辺に質量の寄与:

δm2φ(x)=(m2-m02)φ(x)を加えます。

 

これにより,裸の質量m0でなく物理的質量mの式にするわけです。

 

(□+m2)φ(x)=j(x)+δm2φ(x)≡j~(x)と書きます。

 

新しく定義されたカレントj~(x)が,散乱を生じる源として

扱われるわけです。

 

φ(x)からj~(x)による散乱波を除去するとφin(x)で

与えられる物理的質量mを持って伝播する自由波になるはずです。

 

これはin(x)が,

√Zφin(x)=φ(x)-∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)

のように表わされることを意味します。

 

ここに,x0<y0ならΔret(x-y;m)=0 を満たす

Δret(x-y;m)は遅延Green関数で,方程式:

(□+m2ret(x-y;m)=δ4(x-y)を満足します。

 

逆にin(x)を,

√Zφin(x)=φ(x)-∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)

で定義すると,

 

これは確かにIn-fieldが満たすべき条件:

[P^μin(x)]=-i(∂φin(x)/∂xμ),

(□+m2in(x)=0 を満足します。

 

~(y)はスカラー演算子です。

 

平行移動変換なら,

 

√Zφin(x+a)=φ(x+a)-∫d4yΔret(x+a-y;m)j~(y)

=exp(iP^a)φ(x)exp(-iP^a)

-∫d4zΔret(x-z;m)j~(z+a)

=exp(iP^a)[φ(x)-∫d4zΔret(x-z;m)j~(z)]

exp(-iP^a) が成立します。

 

すなわち,

√Zφin(x+a)=√Zexp(iP^a)φin(x)exp(-iP^a)

が成立します。

 

Lorentz変換についても,φin(x)がφ(x)と同様な対称性

を持つことは容易に示すことができますが,ここでは割愛します。

 

定数√Zは,真空から1粒子状態を生成する行列要素に対し

φin(x)の規格化で単位振幅を取るようにするために導入

された"くり込み定数(Renormalization constant)"と

呼ばれる定数です。

 

φ(x)=√Zφin(x)+∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)なる

形は0 → -∞ に対しては,x0<y0ならΔret(x-y;m)=0

という性質に従って相互作用項が消えます。

 

それ故,x0 → -∞ に対してφ(x) → √Zφin(x)となります。

 

これは,因果律の直感的観念に従って,場の演算子は入射自由波

に帰することを示しています。

 

φ(x) → √Zφin(x)(x0 → -∞)と同様な漸近条件は,

前に1粒子の通常の量子力学の波動関数に適用されて直感的

な伝播関数論議に拡張されていました。

 

 

すなわち,始状態粒子と終状態粒子の相互作用を分離するため

断熱仮定を使用する代わりに,相互作用領域と重ならない局所化

された解を示す波束を作ることによって同等な分離を遂行しました。

 

場の演算子の等式:

φ(x)=√Zφin(x)+∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)は,

上記の漸近条件の演算子としての表現と考えられます。

 

しかし,これはj~(x)がx0 →-∞ においても自己相互作用項:

δm2φ(x)を含んでいるので,x0 →-∞ でもφ(x)を相互作用

j~(x)から分離することが不可能なため,

 

このままでは矛盾を生じます。

 

しかし場の量子論で波束に対応するのは場の演算子ではなく,

その行列要素です。

 

漸近条件が適用さるべきは,演算子の行列要素にであって

演算子そのものにではありません。 

 

Lehmann,Symmnzik,Zimmermannによって述べられた正確な

漸近条件は次のような形です。

 

|α>,|β>を任意の規格化可能な状態とします。

 

そして,場の演算子φ(x)を空間的領域(space-like region)

でぼかすことで場の演算子φf(t)を定義します。

 

すなわち,

φf(t)をφf(t)≡i∫d3*(,t)∂0φ(,t)

で定義します。

 

ただし,f(x)=f(,t)は任意の規格化可能なKlein-Gordon

方程式の解です。(□+m2)f(x)=0 です。

 

そして,漸近条件は,

lim t→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>

で与えられるとします。

 

ここに,φinfφinf≡i∫d3*(,t)∂0φin(,t)

で定義されますが,Greenの定理によって,これは時間tに

依存しません。

 

(注):(d/dt)[∫d3*(,t)∂0φin(,t)]

=∫d3(∂/∂t)[f*(,t)∂0φin(,t)]

=∫d3[f*(,t)(∂2φin/∂t2)-(∂2*/∂t2in(,t)]

 

=∫d3[f*(,t)∇2φin*(,t)-∇2*(,t)φin(,t)]

=∫d3x∇[f*(,t)∇φin*(,t)-∇f*(,t)φin(,t)]

=0  です。(注終わり)※

 

 

漸近条件limt→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>は,

"弱い漸近条件"と呼ばれています。

 

以下では,漸近条件をφ(x) → √Zφin(x)(x0 → -∞)

と書いたときでも,これは上のLSZの正確な叙述を意味する

とします。

 

 

こうして,初期の粒子生成演算子で形成される状態:

|1,2,..,N;in>≡ain^+(1)ain^+(2)..ain^+(N)|0>

は,in^+()=i∫d3k(x)∂0φin(x)により,

 

単色平面波:fk*(,t)≡{(2π)3k}-1/2exp(ikx)]に

近づくf*(,t)に対する"波束"φinf*で形成される規格化可能

な状態の極限と理解さるべきです。

 

入射状態(incoming-states)の完全系条件と上記の(弱い)漸近条件

が,散乱実験においてt→-∞ における始状態の動力学を特定

するために必要な全ての条件です。

 

 

そこで,もしもZ≠0 なら,

√Zφin(x)=φ(x)-∫d4yΔret(x-y;m)j~(y)は,

初期の"散乱状態=入射状態(始状態)"を作るための場の演算子

φin(x)を定義する式となります。

 

 

後に示すことですが,実は局所的Lagrangianを場の演算子に

よって定義して物理的理論を数学的に理想化しているためか,

 

エネルギーが無限大の場合の理論の急激な挙動のため,理論

はZ≠0 であることを保証しません。

 

もしも,こうした現在の定式化が未知のより精巧な理論の

局所的極限であるなら,これは実際に有り得ることです。

 

以下,このことに留意して,φ(x)が真空から1粒子状態を

生み出す振幅の平方Zに対する一般的表現を課した初期の

仮定1,2,および正準交換関係から正式に導出できること

についてのみ論じてゆきます。

 

今日はここまでにします。

 

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields"(McGraw-Hill)

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