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2010年7月 6日 (火)

場理論におけるS行列とLSZの公式(5)

 閑話休題というか(摂動論について先走ります。 

 

 摂動論の目的は,LSZの公式でS行列要素を構成する源になる

 全ての完全なGreen関数:

 τ(x1,..,xn)≡<0|T(φ(x1)..φ(xn))|0>を具体的に

 計算する1つの方法を提供することです。

 

 さて,一般の相互作用する場φ(,t),および正準共役運動量

 (canonical conjugate):π(,t)の同時刻交換関係は,

 In-field(漸近場):φin(,t),およびπin(,t)によって満足

 される交換関係と同じです。

 

 さらに,仮定によって,状態の完全系が真空(vacuum);|0>に

 φ,またはφinを繰り返し作用させることによって得られるので

 これらの場もまた演算子の完全系を作っています。

 

 (※演算子の完全系とは任意の演算子がこれらによって展開可能

 という意味です。※)

 

 

 故に,φとφinとは摂動論適用可能性の仮定に従って1対1に

 対応するため,それらはあるユニタリ演算子U^(t)による

 ユニタリ変換で関係付けられます。

 

 すなわち,φ(,t)=U^-1(t)φin(,t)U^(t),

 およびπ(,t)=U^-1(t)πin(,t)U^(t)です。

 

 演算子U^(t)の動力学は,この関係式から見出すことが

 できます。

 

 というのは,φ(x)とφin(x)の両方についての運動方程式

 が既知であるからです。

 

 特に,自由場の交換関係と自由場の方程式を満足するIn-field

 に対する定義関係式から,次のHeisenberg方程式が導かれます。

 

 ∂φin(x)/∂t=i[Hin^(φinin),φin(x)],

 ∂πin(x)/∂t=i[Hin^(φinin),πin(x)] です。

 ここでHin^(φinin)は物理的質量mを持つ粒子に対する

 自由場のHamiltonianです。

 

 さらに,正確なHeisenberg場に対する(時間の)平行移動不変性

 から次式の成立することが保証されます。

 

 すなわち,∂φ(x)/∂t=i[H^(φ,π),φ(x)]です。

 これはまた,∂π(x)/∂t=i[H^(φ,π),π(x)]の成立も

 保証します。

 

 そこで,φdin(x)≡∂φin(x)/∂t

 =(∂/∂t){U^(t)φ(,t)U^-1(t)}

 =U^d(t)φ(,t)U^-1(t)U^(t)φ(,t)

 U^-1d(t)U^(t)φd(,t)U^-1(t)

 =U^d(t)U^-1(t)φin(x)+φin(x)U^(t)U^-1d(t)

 +iU^(t)[H^(φ,π),φ(x)]U^-1(t) です。

 

 ここで,公式:U^(t)U^-1d(t)

 =(∂/∂t){U^(t)U^-1(t)}-U^d(t)U^-1(t)

 =-U^d(t)U^-1(t)を使用します。

 

 また,φin(x)=U^(t)φ(x)U^-1(t)によって,

 U^(t)H^(φ,π)U^-1(t)=H^(φinin) です。

 

 したがって,結局,

 φdin(x)=[U^d(t)U^-1(t),φdin(x)]

 +i[H^(φinin),φin(x)]

 =φdin(x)+[U^d(t)U^-1(t)+iHI^(φinin),φin(x)]

 を得ます。

 

 同様にして,πdin(x)=πdin(x)

 +[U^d(t)U^-1(t)+iHI^(φinin),πin(x)]

 も得られます。

 

 ただし,HI^(φinin)≡H^(φinin)-Hin^(φinin) です。

 

 このHI^(φinin)は時間tに陽に依存する相互作用項(摂動項)

 をIn-fieldで表現したものです。

 以下,このHI^(φinin)をHI(t)と表記することにします。

 

 φdin(x)=φdin(x)+[U^d(t)U^-1(t)+iHI(t),φin(x)],

 かつ,

 πdin(x)=πdin(x)+[U^d(t)U^-1(t)+iHI(t),πin(x)]

 から,[U^d(t)U^-1(t)+iHI(t),φin(x)]=0,

 かつ,[U^d(t)U^-1(t)+iHI(t),πin(x)]=0 です。

 

 そして,φininが演算子の完全系を構成することから

 E0(t)をc数として iU^d(t)U^-1(t)=HI(t)+E0(t)

 と書けます。

 

 そこで,改めてHI'(t)≡HI(t)+E0(t)と定義すると,

 U^d(t)U^-1(t)=HI'(t)ですからU^(t)は方程式;

 ∂U^(t)/∂t=HI'(t)U^(t) を解けば得られます。

 

 U(t,t')≡U^(t)U^-1(t')と定義すると,

 i∂U(t,t')/∂t=HI'(t)U(t,t'),

 ただし,U(t,t)=1です。

 

 これを近似展開に便利な積分方程式で表わせば,

 U(t,t')=1-i∫t'tdt1I'(t1)U(t1,t')

 となります。

 

 これから,解の初期値をU(t1,t')≡1とする反復法によって

 U(t,t')=1-i∫t'tdt1I'(t1)

 +(-i)2t'tdt1I'(t1)∫t't1dt2I'(t2)+..

 +(-i)nt'tdt1t't1dt2..∫t'tn-1dtn[HI'(t1)HI'(t2)

 .HI'(tn)]+.. なる摂動展開を得ます。

 

 明らかに,t1≧t2≧..≧tnですから,相互作用項の積:

 [HI'(t1)HI'(t2)..HI'(tn)]を時間順序積(経時積;T積):

 T(HI'(t1)HI'(t2)..HI'(tn))で置き換えることができ

 ます。

 

 すると,

 U(t,t')=1+Σn=1(-i)nt'tdt1t't1dt2..∫t'tn-1dtn

 T(HI'(t1)T-HI'(t2).HI'(tn)) と書けます。

 

 この表現式は時間変数t1,t2,..,tnの交換対称な形をしている

 ので,対称化して

 U(t,t')=1+Σn=1t'tdt1t'tdt2..∫t'tdtn

 T(HI'(t1)HI'(t2)HI'(tn))と書くことができます。

 

 これを記号的にU(t,t')≡T(exp{-i∫t'tI'(t)dt})

 =T(exp{-i∫t't4Iin(x)}) と表現します。

 

 U演算子:U(t,t')の有用な性質は

 U(t,t')=U(t,t")U(t",t')です。

 これは定義:U(t,t')=U^(t)U^-1(t')から明らかな

 性質です。

 

 特に,1=U(t,t)=U(t,t')U(t',t)により,

 U(t,t')=U-1(t',t)です。

 さて,これを用いてHeisnbeg場の"時間順序積=T積"の

 真空期待値:

 τ(x1,..,xn)≡<0|T(φ(x1)..φ(xn))|0>

 をIn-fieldで表現することに向かいます。

 まず,τ(x1,..,xn))=<0|T(φ(x1)..φ(xn))|0>

 =<0|T(U^-1(t1in(x1)U(t1,t2in(x2)U(t2,t3)..

 U(tn-1,tnin(xn)U^(tn))|0>

 =<0|T(U^-1(t)U(t,t1in(x1)U(t1,t2in(x2)

 U(t2,t3)..U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t)

 U^(-t))|0>

 です。

 ただし,tは∞ に近づくことも許される準拠時間です。

 

 こうした極限では,t1,t2,..,tn∈(-t,t)ですから,

 U^-1(t)とU^(-t)をT積から外に出して

 τ(x1,..,xn)=<0|U^-1(t)T(U(t,t1in(x1)U(t1,t2)

 φin(x2)U(t2,t3)..U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t))

 U^(-t)|0> と書くことができます。

 そして,T(U(t,t1in(x1)U(t1,t2in(x2)U(t2,t3)

 ..U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t)) において,

 一般性を失なうことなく

 t>t1>t2>..>tn-1>tn>-t と仮定できます。

 すると,T(U(t,t1in(x1)U(t1,t2in(x2)U(t2,t3)

 ..U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t))

 =U(t,t1in(x1)U(t1,t2in(x2)U(t2,t3)..

 U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t) です。

 これに,U(t,t1)=T(exp{-i∫t1tI'(τ0)dτ0}),

 U(t1,t2)=T(exp{-i∫t2t1I'(τ1)dτ1}),..,

  U(tn-1,tn)=T(exp{-i∫tntn-1I'(τn-1)dτn-1}),

  U(tn,-t)=T(exp{-i∫-ttnI'(τn)dτn}) 

  を代入します。

 

 かくして,

 U(t,t1in(x1)U(t1,t2in(x2)U(t2,t3)

 ..U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t)

 =T(exp{-i∫t1tI'(τ0)dτ0})φin(x1)

  T(exp{-i∫t2t1I'(τ1)dτ1})φin(x2)..

  T(exp{-i∫tntn-1I'(τn-1)dτn-1})φin(xn)

  T(exp{-i∫-ttnI'(τn)dτn}) 

 となります。

 

 t≧τ0≧t1≧τ1≧t2..≧tn-1≧τn-1≧tn≧τn≧-t

 ですから,T記号は,

 t,τ0,t11,t2,..,tn-1n-1,tnn,-tに対する

 記号と考えます。

 

 すると,

 T(U(t,t1in(x1)U(t1,t2in(x2)U(t2,t3)..

 U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t))

 =T(φin(x1in(x2)..φin(xn)

 T(exp{-i∫t1tI'(τ0)dτ0})T(exp{-i∫t2t1I'(τ1)dτ1})

 ..T(exp{-i∫-ttnI'(τn)dτn})) です。

 結局,T(U(t,t1in(x1)U(t1,t2in(x2)U(t2,t3)

 ..U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t))

 =T(φin(x1in(x2)..φin(xn)T(exp{-i∫-ttI'(τ)dτ})

 と書けます。

 

 さらに記号的に書けば,これは,

 T(φin(x1in(x2)..φin(xn)exp{-i∫-ttI'(τ)dτ})

 となります。

 これは,より正確には

 Σm=0{(―i)m/m!}∫-ttdτ1.. dτm

 T(φin(x1in(x2)..φin(xn)HI'(τ1) HI'(τ2)..HI'(τ))

 で定義される記号で,確かに元のT積を忠実に示すものです。

※(注):つまり,

 Σm0=0Σm1=0..Σmn=0{(―i)m0/m0!}{(―i)m0/m1!}..

 {(―i)m0/mn!}t1tdτ01dτ02..dτ0m0

 ∫t2t1dτ11dτ12..dτ1m1..-ttndτn1dτn2..dτnmn

 {HI'(τ01)HI'(τ02)..HI'(τ0m0in(x1)HI'(τ11)

 HI'(τ12)..HI'(τ1m1in(x2)HI'(τ21)..HI'(τn-1mn-1)

 φin(xn)HI'(τn1)I'(τn2)..HI'(τnmn)} 

 

 が次のT積の特別な場合です。

 Σm0=0Σm1=0..Σmn=0{(―i)m0/m0!}{(―i)m0/m1!}..

 {(―i)m0/mn!}∫t1tdτ01dτ02.. dτ0m0t2t1dτ11dτ12..

 dτ1m1..∫-ttndτn1dτn2..dτnm

 T(φin(x1in(x2)..φin(xn)HI'(τ01)

 HI'(τ02)..HI'(τ0m0)n..HI'(τn1)HI'(τn2)..HI'(τnmn))

 です。(注終わり)※

 

 かくして,τ(x1,..,xn)

 =<0|U^-1(t)T(φin(x1in(x2)..φin(xn)

 T(exp{-i∫-ttI'(τ)dτ})U^(-t)|0> であり,

 U^-1(t),U^(-t) を除いてIn-fieldsによってS行列

 が表現されました。

 

 最後に,U^-1(t),および,U^(-t)は,真空|0>がt→∞

 の極限において,これらの演算子の固有状態であることを示す

 ことによって除去できます。

 

 このことを示すため,他のαと共に1粒子pを含む任意の

 入射状態|αp;in>を考えます。

 

 pがKlein-Gordon粒子の場合には

 <β;out|pα;in>=<β;out|ain^+(p)|α;in>

 =<β-p;out|pα;in>

 -i∫d3p(x)∂0<β;out|φin(x)-φout(x)|α;in>

 でした。

 

 これによって,

 <pα;in|U^(-t)|0>

 =<α;in|ain^(p)|U^(-t)|0>

 =-i∫d3

 fp*(x,-t')∂0'<α;in|φin(x,-t')U^(-t)|0>

 です。

 

 (※同様な形式はFermi粒子や光子に対しても少し違う形で

 得られます。) 

 φ(,t)=U^-1(t)φin(,t)U^(t)を代入すると

 <pα;in|U^(-t)|0>

 =-i∫d3

 fp*(,-t')∂0'<α;in|U^(-t')φ(,-t')

 U^-1(-t')U^(-t)|0> です。

 

 これはt=t'→∞ とするとき,漸近条件:

 lim t→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>に従って,

 次の値に近づきます。

 

 すなわち,

 √Z<α;in|U^(-t)ain^(p)|0>

 +i∫d3p*(,-t)<α;in|U^d(-t)φ(,-t)

 +U^(-t)φ(,-t)U^-1d(-t)U^(-t)|0>

 に近づきます。 

 そして,明らかに,ain^(p)|0>=0 です。

 また,U^dφ+U^φU^-1dU^

 =U^dU^-1φinU^+φinU^U^-1dU^

 =[U^dU^-1in]U^=-i[HI',φin]U^=0 です。

 

 何故なら,相互作用:HI'(t)=HI'(φinin)にはπin=φid

 などの時間微分結合が含まれないと仮定しているので,

 [HI',φin]=0 です。 

 したがって,t→∞ のとき,1粒子以上を含む全ての

 In-states |pα;in>に対して

 <pα;in|U^(-t)|0>→ 0 が成立します。

 

 それ故,真空の一意性によりt→∞ では状態U^(-t)|0>

  は|0;in>=|0> の定数陪です。

 

 すなわち,ある定数λが存在してt→∞で

^(-t)|0>=λ|0>と書くことができます。

同様にしてt→∞でU^(t)|0>=λ|0>も示すこと

ができます。

 

定数λ,およびλは,t→∞ において,

λλ*=<0|U^-1(t)|0><0|U^(-t)|0>

=<0|U^(-t)|0><0|U^-1(t)|0>=<0|U^(t-t)|0>

=<0|T(exp{i∫-ttI'(τ)dτ})|0>

=T(exp{-i∫-ttI'(τ)dτ})|0>-1を満たします。

 

 そこで,

τ(x1,..,xn)

=<0|U^-1(t)T(U(t,t1in(x1)U(t1,t2in(x2)

U(t2,t3)..U(tn-1,tnin(xn)U(tn,-t))U^(-t)|0>

=<0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)

exp{-i∫-ttI'(τ)dτ})|0>/T(exp{-i∫-ttI'(τ)dτ})|0>

です。

さらにt→∞ に極限移行すると,

τ(x1,..,xn)=<0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)

exp{-i∫-∞I'(τ)dτ})|0>

/<0|T(exp{-i∫-∞I'(τ)dτ})|0> です。

すなわち,

τ(x1,..,xn)=Σm=0{(-i)m/m!}∫-∞∫d41..d4m

<0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)Iin(y1))

Iin(y2)..Iin(ym)))|0>

/[Σm=0{(-i)m/m!}∫-∞∫d41..d4m

<0|T(Iin(y1))Iin(y2)..Iin(ym)))|0>

です。

 これが,摂動論の基本的な最終結果です。

 

§17.4 Wick's Theorem(Wickの定理)

 まず,摂動展開の最終結果は,

 τ(x1,..,xn)

 =Σm=0{(-i)m/m!}∫-∞∫d41..d4m

 <0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)Iin(y1))

 Iin(y2)..Iin(ym)))|0>

 /[Σm=0{(-i)m/m!}∫-∞∫d41..d4m

 <0|T(Iin(y1))Iin(y2)..Iin(ym)))|0>

 です。

 さらに,これを評価するには,右辺各項の

 <0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)Iin(y1))

 Iin(y2)..Iin(ym)))|0>

 を具体的に計算する必要があります。

 <0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)

 Iin(y1))Iin(y2)..Iin(ym)))|0>

 に含まれるスカラー場の真空期待値項は

 <0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)|0>なる因子の

 積分を含みます。 

 これを具体的に積分できる形にするため,消滅演算子

 を1つ1つ右に生成演算子を左に移動させることを

 試みます。

 こうして,時間順序積を謂わゆる正規順序積

 (normal-ordering product)にする計画からFeynman振幅

 が得られます。

 

 これは,最初1949年にDysonによって展開され,後にWick

 によって拡張されました。Wickは次のような定理を証明

 しました。

 

 内容は次の通りです。

 

 T[φin(x1)..φin(xn)]

 =:φin(x1)..φin(xn):

 +{<0|T(φin(x1in(x2)|0>:φin(x3)..φin(xn):

 +(全ての置換項))

 +{<0|T(φin(x1in(x2)|0><0|T(φin(x3in(x4)|0>

 :φin(x5)..φin(xn):+(全ての置換項)))+..

 +{<0|T(φin(x1in(x2)|0><0|T(φin(x3in(x4)|0>..

 <0|T(φin(xn-1in(xn)|0>+(全ての置換項))

 (↑ nが偶数のとき),

 

 または,

 +{<0|T(φin(x1in(x2)|0><0|T(φin(x3in(x4)|0>..

 <0|T(φin(xn-2in(xn-1)|0>φin(xn)+(全ての置換項))

 (↑ nが奇数のとき)

 です。

(※記号;;で表わしたものが正規順序積でありこれは場の演算子

を正振動数部分(消滅演算子)+負振動数部分(生成演算子)に分けて

積を展開した後,生成が左に消滅が右にくるように交換して交換子

からの寄与は無視したものです。これの真空期待値はゼロです。※)

 

 真空期待値,または縮約(contractions)は場の演算子を

 正規順序(normal-order)に並べ換えるとその交換子から

 発生します。 

 そして,これらの"縮約=場のT積の真空期待値"は

 自由場のFeynman伝播関数の場の理論的表現となって

 います。

 

 演算子の正規順序積:φin(x1)..φin(xn):は,これの因子

 である各演算子をφin(x)=φin(+)(x)+φin(-)(x)と正振動数

 部分と負振動数部分に分解することから形成されることを思い

 起こします。

 

 ここで,φin(+)(x)は消滅演算子のみ,φin(-)(x)は生成演算子

 のみから成っています。

 

 正規順序に到達するためには,あらゆる生成演算子があらゆる

 消滅演算子の左に位置するようにします。

 

 ただし,もしもFermi場を互換するときには順序の交換のたび

 に(-)符号が導入される必要があります。

 

 陽に書くと:φin(x1)..φin(xn):

 =ΣA,BδpΠi∈Aφin(-)(xij∈Bφin(+)(xj) です。

 

 ここで和ΣA,Bはn個の添字のあらゆる集合A,B

 (※ A∪B={1,2,..,n},A∩B=φを満たす{1,2,..,n}

 の直和分割 ※) にわたって取られます。

 

 δpはFermi場の場合の置換の符号です。

そして,正規順序積の真空期待値は全てゼロです。

何故なら,φin(+)|0>=<0|φin(-)=0 だからです。

 

 以上から,nが奇数なら<0|T(φin(x1)..φin(xn)|0>=0

であり,

nが偶数なら

<0|T(φin(x1)..φin(xn)|0>

=Σpermδp<0|T(φin(xp1in(xp2)|0>

<0|T(φin(xp3in(xp4)|0>..<0|T(φin(xp(n-1)in(xpn)|0>

です。(※ これは単に自由場の2点Green関数(伝播関数:propagator),

実スカラーΔ場なら(x-y)=<0|T(φin(x)φin(y)|0>の積

ですね。※)

ただし,<0|T(φin(xiin(xj)|0>のφin(xi),φin(xj)

の場φ(x)がFermion場の場合には,必ずi<jとなるようにして添字

の若い順に並べるという規約に従います。

 

(Wickの定理の証明):スカラー場を仮定して帰納法で

証明します。

 

 n=1に対しては定理は明らかに正しいです。

 

 また,n=2に対しては

 T(φin(x1in(x2))=:φin(x1in(x2):+(c数)

 です。

 

 何故なら,時間順序から正規順序に変えるのは単にいくつかの

 生成演算子と消滅演算子の交換を意味するに過ぎず,交換後に

 残る交換子は.

 [φin(+)(x1),φin(-)(x2)]

 =<0|[φin(+)(x1),φin(-)(x2)]|0>

 =<0|φin(+)(x1),φin(-)(x2)|0>

 であって,これはc数だからです。

 

 このc数を求めるために,

 T(φin(x1in(x2))=:φin(x1in(x2):+(c数)

 の両辺の真空期待値を取れば,

 (c数)=<0|T(φin(x1in(x2))|0>より

 T(φin(x1in(x2))=:φin(x1in(x2):

 +<0|T(φin(x1in(x2))|0> を得ます。

 

 そして,一般のnについても定理が正しいと仮定します。

 

 このとき,T(φin(x1)..φin(xn+1))においてtn+1を最小時刻

 に選ぶと,

 T(φin(x1)..φin(xn+1))

 =T(φin(x1)..φin(xn))φin(xn+1))

 =:φin(x1)..φin(xn):φin(xn+1)

 +Σperm<0|T(φin(x1in(x2))|0>

 :φin(x3)..φin(xn):φin(xn+1)+.. 

 です。 

 

 ところで,:φin(x1)..φin(xn):

 =ΣA,BΠi∈Aφin(-)(xij∈Bφin(+)(xj) です。 

 故に,:φin(x1)..φin(xn):φin(xn+1)

 =ΣA,BΠi∈Aφin(-)(xij∈Bφin(+)(xj)

 {φin(+)(xn+1) +φin(-)(xn+1)} 

 =ΣA,BΠi∈Aφin(-)(xij∈Bφin(+)(xjin(+)(xn+1)

 +ΣA,BΠi∈Aφin(-)(xiin(-)(xn+1j∈Bφin(+)(xj)

 +ΣA,BΠi∈Aφin(-)(xik∈BΠi∈B,j≠kφin(+)(xj)

 <0|φin(+)(xkin(-)(xn+1)|0> です。 

 ここで,<0|φin(+)(xkin(-)(xn+1)|0>

 =<0|φin(xkin(xn+1)|0>

 =<0|T(φin(xkin(xn+1))|0> です。

 

 よって,:φin(x1)..φin(xn):φin(xn+1)

 =:φin(x1)..φin(xnin(xn+1):

 +Σkin(x1)..φin(xk-1in(xk+1)..φin(xn):

 <0|T(φin(xkin(xn+1))|0> となります。

 

 これは定理の結論のn →(n+1)の形です。

 

 したがって,帰納法により定理は証明されました。(証明終わり)

 

 Wickの定理を,τ(x1,..,xn)

=<0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)

exp{-i∫-∞I'(τ)dτ})|0>

/<0|T(exp{-i∫-∞I'(τ)dτ})|0>

 

=Σm=0{(-i)m/m!}∫-∞∫d41..d4m

 <0|T(φin(x1in(x2)..φin(xn)

Iin(y1))Iin(y2)..Iin(ym)))|0>

/[Σm=0{(-i)m/m!}∫-∞∫d41..d4m

 <0|T(Iin(y1))Iin(y2)..Iin(ym)))|0>

に適用します。

 

 このとき,相互作用Hamiltonian項:Iin(y))は通常は既に正規順序

にされていることに注目します。 

 そこで,時間順序積を計算する際に同一の相互作用項Iin(y))

から生じた同一の座標yの2つの場の演算子を含む縮約項は

出現しません。

 

 これらは,τ(x1,..,xn)の右辺において正規順序から出発しており,

また明らかにT:φin(y)φin(y):=:φin(y)φin(y):です。

(※これは謂わゆるTad-poleですね。)

 

 今日はここまでにします。

 

参考文献:J.D.Bjorken,S.D.Drell "Relativistic Quantum Field" (McGraw-Hill)

 
PS:ちょっと下品かも知れないけど,便秘でもなんでも,人間穴からモノを
出すと気持ちいいものですね。 
PS2:今日7月7日は西宮にいる愛する姪(ミクシィ名いくよくるよ)の37
 回目の誕生日です。(まだ永久就職しないのか?) 
 昨夜,手話講習後に椎名町から帰る途中,携帯メールで37歳おめでとう
 とやったら。。。。フライングだという返事がきました。。 
 ウーン女性の歳1つの差は大きいかも。。 
 先ほどスペインが1対0でドイツに勝ったので,サッカーWカップ決勝
 はオランダ対スペインに決まりました。。
 
 昨日のウルグァイについては,私は既にガーナに負けていたと思う
 ので順当だと思いました。
 
 いくら勝つために手段選ばない。。何でも反則アリといっても意図的
 に手で止めるなんて。。と思ってましたから。。
 
 思わず手が出たぁ ? 
 キャッチャーのブロックならいいけどそれ以外のサードか誰かが
 走路妨害?野球ならPK抜きで得点が認められるし,バスケットなら
 バスケットカウント,日本のラグビーじゃ認定トライ。。
 ま,ルールといえばルールですが。。
 
 勝つための手段として例えば昔の高校野球の松井の全打席敬遠
 くらいなら反則でもないし別に何も文句はないけれど。。
 
 しかし,話は変わって大相撲のことですが,相撲の八百長でもやった
 のならいざ知らず,たかが法律で禁止されてるギャンブルに手を出した
 くらいで”死刑”は量刑不当だろう?。。
 
 競馬,競輪,競艇,toto,パチンコetc.なら何の罪にもならないのに。。
 
 麻雀,花札,トランプ,高校野球の小額程度なら私も含めて現在は取り
 締まる側の関係者でも,ほとんどが学生時代にでも経験あるはずです。。
 
 暴力団についてはむしろ被害者だろうし。。またまた腐った上役たち
 のスケープ・ゴートかよ。。

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