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2010年9月

2010年9月23日 (木)

PCクラッシュ?

 きのうから電源1分持たず。。当分読書三昧

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2010年9月19日 (日)

台風の進路(コリオリの力)(再々掲)

 丁度,台風シーズンです。

 そこで,私自身の息抜き(手抜き?)として,4年前に書いたテキストだけの解説記事:「台風の進路(コリオリの力) 」に図を入れて再掲してみます。

(※再掲記事):2006年8月16日(水)

 そろそろ台風が頻発する季節になりました。

 今日は,北半球では赤道付近で発生し,海域から多量の水分やエネルギーを吸収しながら発達して北上する台風が,なぜ右(東)の方に進路を変えていくのか?そして,なぜ上空から見て左巻き(反時計回り)の風が吹くのかという,ごくありふれた疑問について解説してみます。

 例として,ちょっと古いけど左回転しているLPレコードがあり,その上に"一寸法師"よりも小さい小人が乗っているという仮想的な状況を考えてみます。(左回転は仮定であって実際のLPレコードは裏から見ない限り右回転(時計回り)です。)

 レコードの中心は地球の北極に相当し,レコードの最大半径の部分は地球の赤道に相当します。 

 まず,レコードの回転している"最大半径=赤道"の上にいる小人が"レコードの中心=北極"めがけて真っ直ぐに小石を投げたとします。

 本人は真っ直ぐ中心に向かって投げたつもりでも,小石が手を離れた瞬間には慣性によって小石はレコードの回転スピードと同じ速度で右に向かう接線速度を持ちますから,実はそれは中心の方向に向かって真っ直ぐに飛ぶのではなくて,次第に右の方に逸れていくということになりますね。

 ↑ここで右というのは,小石を投げた小人にとっての右です。(わかっているとは思いますが念のため))

 次に逆に"中心=北極"の上に小人がいて今度は"最大半径=赤道"めがけてやはり小石を投げたとします。

 今度は北極で小人は自転しているかもしれませんが,スピンの回転半径はゼロなので,その慣性による小石の左右方向への速度はゼロですから確かに"真っ直ぐ"進むはずです。

 ところが,レコードの上,つまり北半球の地球上にいる人は"左から右=西から東"に回転しています。その人から見ると"上=北"から真っ直ぐ飛んでくる小石は"下=南"から見て"左に左に(西に西に)"逸れていくように見えます。

 逆に"小石を投げた方=北"から見ると,見かけ上はやはり右の方に逸れていくわけですね。

 小石を台風だとみなし地球の自転の角速度をΩとすると Ωは"360度=2πラジアン(rad)"を24時間で回転する角速度です。

 地球の半径をRとし,緯度をθとすると,そこでの回転半径はRcosθですから,回転の接線速度はΩRcosθです。

 したがって"赤道"での接線速度は最大速度"ΩR=時速1667km=秒速463m"ですが,日本付近の緯度:θ=35度での接線速度は"ΩRcosθ=秒速379m"で,日本付近では回転速度は赤道より"約2割=秒速80m"くらい減少しています。

 したがって,赤道付近で発生した台風は地球のまさつにより"ΩR=時速1667km=秒速463m"の地球にひきずられて慣性による右向きの速度を持っていて,その右向き速度は北上しても全く変わらないものです。

 しかし,地球自身の回転速度は緯度が上がるにつれて次第に小さくなるものですから,日本付近では1秒間に80mくらいの割合で,右(東)へ右へと逸れていくことになります。

 先にLPレコードの例で述べたように仮に北極で台風が発生して南下したとしてもそれは右に逸れていきます。

 実は北半球ではどこから投げた石も見かけ上,右に逸れていくわけです。

 例えばスナイパー:ゴルゴ13が1km遠方の標的を狙って狙撃しても,弾丸は僅かに右に逸れていくのでそれを勘定に入れて狙う必要があるわけです。

 もしも南半球なら逆に左に逸れるわけですね。

 こうした北半球で右にそれる現象は結局,遠心力などと同じく"見かけの力=慣性力"が働いていると考えることができて,それを発見者の名前にちなんでコリオリ(Coriolis)の力と言います。

 そして北半球での台風を考えると,台風ですから"中心=目の部分"の気圧が最低でまわりの気圧は目の部分のそれより高いわけです。

 風はどのように吹くか,というと水が高いところから低いところへと流れるように,風も気圧の高いところから低いところ目指してその気圧のスロープに沿って吹いていくわけです。

 もしもコリオリの力がなければ,風は"外周部から中心に向かって一直線に進む=落下していく"はずなのですが,コリオリの力によって気圧のスロープも右にねじれてしまっています。

 それ故,風は外周部から中心に向かっていくときに,右にフックして逸れていきながら,最後は中心の気圧最低の目に向かっていくことになり,そのために左巻き(反時計回り)になるのです。

 南半球での台風は逆に右巻き(時計回り)ですね。

 どこかの"バカな大学教授"は,風呂の水が排水口へと流れていき排水されるときに,北半球では左巻き(反時計回り)ですが,赤道を越えて南半球に入ったとたんに右巻き(時計回り)に変わる,などと主張したと聞きましたが,それは誤りですね。

 風呂の水程度の規模では地球自転の影響などは出てきません。

 たまたま排水口付近で左巻きの角運動量を持っていたら左巻きになり,逆なら右巻きになるというだけで,それはカオス現象,つまり偶然の産物でしかありません。

 しかし台風くらいの規模になると地球の自転がもろに効いてきます。

 遠心力の加速度は緯度θでΩ2Rcosθですから,最大でも重力の加速度の0.3%程度です。

 北極で体重100kg重の人が赤道で体重を測っても300g重くらいしか軽くはなりません。一方,コリオリの力の加速度は台風の北上の速度をvとして2Ωsinθ×vです。

 Ω=7,2×10-5/sですから,緯度θが35度で台風の北上速度が100mを10秒で走る程度の時速36km程度なら,加速度a=8.3×10-4m/s2であり,重力g=9.8m/s2の約0.01%程度です。

 そこで,コリオリの力の加速度は最大で重力加速度の0.3%程度しかない遠心力のさらに1/30程度にすぎませんが,台風程度の規模だとそれがかなり効いてきます。

 地球自転の証拠であるとされるフーコー(Foucault)の振り子をこのコリオリ力で説明することもできます。

 ニュートン(Isac Newton)は"慣性系の同等性=ガリレイの相対性原理"は認めても"回転系を含む非慣性系の同等性=マッハ(Mach)原理 → 一般相対性原理"を認めることをあきらめました。

 そして,彼が"絶対座標系=絶対空間"に固執せざるを得なかったのも,こうした"遠心力やコリオリ力の絶対性"を解消する道はない,という考えからだったという話もあります。

 こうした"見かけの力=慣性力"の扱いはとても悩ましいところがあります。

※以上,再掲記事です。

PS:この連休では,2008年11/23の記事「超弦理論(7)(弦の相互作用と頂点演算子)」を再編集するため,図1-5から図1-12まで都合8個も図を入れましたが,これは私には慣れない作業なので疲れました。出来映えはいかに?。。。 

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2010年9月18日 (土)

「アドルフに告ぐ」読了

 たった今,「アドルフに告ぐ」全5巻を読み終わりました。(夜8時過ぎ)

 やはり,フィクションとはいえ感情移入して最後は4巻の後半と5巻を一気に読んでしまいました。手塚治虫はスト-リー・テラーとしてもスゴイことを実感,再確認しましたね。

 それにしても比較的読みやすいはずの漫画なのに,1ヶ月も費やしてしまいました。(引越し後のゴタゴタの中だったのも理由ですが。。。)

 丁度8/19の記事「読書力の衰え?」で読み始めたと書いてますからネ。。。

PS:こちらはフィクションなのでしょうが,ヒトラーを含む3人のアドルフのうち,大勢のユダヤ人を虐殺したカウフマンの姿に,大韓航空機で韓国人を大勢殺した金賢姫のように,可哀想という感情を抱きました。

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2010年9月15日 (水)

谷川九段好調な出足(将棋順位戦)

 私も応援している谷川浩司九段がA級順位戦で藤井猛九段を下して出だしから3連勝です。http://www.meijinsen.jp/

        ↓昨年のJT杯優勝の谷川九段の雄姿

           

 次回の相手は森内九段です。

 昨年度は最後で失速?しましたが今年度こそ。。。

PS:自分のTwitterのフォロー数は「フォローしました。」というメールに対して,フォロー返しをしないと,やがて相手が取り下げていくという,とてもわかりやすいゲンキンなパターンを示しています。

 まあ,Twitterはひとりごとのつぶやきというよりミニブログのようですが,双方向メディアとしてはコメントつける(リツィートする)のも簡単だし,ある意味自分のサイトには来ないだろう人々にも垂れ流しなので,普通の個人的ブログよりは読者もグローバルではるかに多いのですが,一応私は本ブログもあるのでそれほど頻繁にはアクセスしてませんね。

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2010年9月14日 (火)

現在過去科学記事を編集中

 現在,ヒマなときには,今よりもスキル不足で文章だけではわかりにくい記事も敢えて文章だけだったものを中心に図を入れるべく編集し直しています。

 とりあえずは2008年開始の超弦理論シリーズ(「目次(物理5)」参照)からボチボチと始めています。

PS:小沢氏敗北で円も高騰。。党の議員票とこれだけ差のある民主党の党員・サポーターっていったい何者?沖縄でもヒロシマでも菅氏は支持されてないはずです。現状維持では主に弱者の閉塞状況は打破できません。

 確かに菅直人氏のインタビューで靴でも投げたい気持ち。。

 押尾裁判でもそうですが,証言が虚偽かどうかは天のみぞ知ることです。

 公平であるべき結果が出る前に,鈴木宗雄の話を出す検察と同じく一方のみの味方をするマスコミの結果を左右するだろう極端に不公平な報道にはイツモながらあきれます。

 さて,手話教室に行こう。。。

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2010年9月12日 (日)

谷啓さんが亡くなられました。(訃報)

 表題の通り,9月11日朝にクレイジーキャッツのメンバーでかつては「ガチョ-ン」などのギャグでも有名だった谷啓さんが亡くなられました。

AFP-BBニュース→ http://www.afpbb.com/article/entertainment/news-entertainment/2754870/6168465

          

 芸名は当時有名だった米の俳優,コメディアンのダニー・ケイ(Danny Kaye)から取ったらしいです。

 谷啓さん若くて元気に見えたようでももう78歳でした。

 階段から転んで落ちて脳挫傷ということです。高齢者にはありがちな転倒による不慮の事故ですから惜しいことをしました。無念だったでしょうね。

  ご冥福をお祈りします。         合掌!!

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2010年9月 8日 (水)

手話講習新学期

 昨日は夜6時45分から椎名町駅近く(目白5丁目)で手話教室入門コースの2学期最初の授業がありました。

 8月が夏休みで7月末以来久しぶりです。

 夏休みの宿題として全員が1人1人前に立って詳しい自己紹介をしました。

 こんばんわのあいさつの後指文字で自分のフルネームを,普通の手話で自分の今の住所,仕事内容,生年月日,家族構成,趣味・特技,そして夏休みのエピソ-ドと将来の目標を発表しました。

 1ヶ月間引越しにかまけて手話の勉強は忘れてましたが,他のクラスメートも1名の女子大生を除き家庭の主婦だったり仕事を持った社会人ばかりで無料の講習でもあるので同じような感じでした。でも何とかできました。

 私は半分は"袖すりあうも他生の縁"でのコミュニケーションが目的でもあり,みんな懐かしかったです。いつも私の後ろの席にいた男が休んでましたが,また会いたいですね。

 介護,看護や福祉の仕事をしてたりカウンセラーであったり,あるいはそれらを目指している方が多くて結構やさしい方ばかりですね。

 5月に始まってから手話はまだまだ初歩の表現しか習っていませんが,もっと日常の普通の会話ができるようにしたい,相手の表現を見てわかるようにしたいというのが2学期以後の目標です。

 来年は中級応用コース,再来年は上級コース,その上は通訳コースですが手話の勉強を続けられて今仕事場にいる10人くらいの聾唖者とも筆談でなく手話で会話できるようになったらいいなと思っています。

 先は長いですが私自身そんなにまだ生きてるかなぁ?

PS:昨日は6,7年くらい前に5万円台で購入したサンヨー・ハイアールの単身者向け全自動洗濯乾燥機の新居でのセッティングが完了し試用してうまくいき,これで完全に引越し前以上のの生活環境を回復しました。

 あとは未払いの光熱費やネットプロバイダ料金等を次回の微々たる収入で完済すれば取り合えずは通常生活を送れます。

 生活費以外に余分に金があれば,セレクターが壊れて音の出ないサンスイのアンプの代用をヤフオクで落札してオーディオ環境も取り戻せるのですが。。これはゼイタクですね。

 購入して読みたい専門書もずっと我慢してるのですから。。。(← しかし,酒を飲み歩く金だけはあるみたいだね。。^^;)

PS:国政選挙であれ党内選挙であれ,選挙があるたびに投票結果に影響を与えようとチャチャ入れする司法検察権力の意図を感じてしまう。。

 エエカゲンにせえよ。。(時期を選べよ。。)

PS2:引越しのゴタゴタから気分的に落ち着きを取り戻したので6月10日以後は,ほったらかしにしておいたブログ目次を更新しました。(9/10(土)午前 ← 間違えた今日は9/11の記念日だった。。。)

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2010年9月 6日 (月)

散乱の伝播関数の理論(20)(応用6)

私が見習い仕事で勤務している某所は私も含め障がい者の集まり

でもあり,このところの猛暑のせいか,自分の病気や身内の病気で

欠勤する方がかなり出ています。

  

 先週の金曜日には脳梗塞後に職業に付くべき訓練の方が1人おや

 めになりました。

 

 聞けば病気で倒れる前は寿司屋の板前さんだったとのことです。

 

 親分肌の人で人望も厚かったようです。

 

 平らな場所の歩行さえ辛そうなのに,毎日都営白山駅から小石川

 植物園前まで長い坂を上り,その上エレベーターのない3階事務

 所に出勤して1階で仕事をするという環境に絶えられず,足を痛

 めて体調も崩されたようです。

 

 何ヶ月か入院療養をした後,回復したら今度はもっと坂が少なく

 エレベーターもあるバリアフリーな施設に移るかもしれないと

 述べられてました。

 

 言葉をしゃべるのも少し不自由です。

 

 同じ元は寿司屋の板前で脳出血で片半身麻痺になって寿司屋をや

 めましたが,現在は食堂の調理場で仕事をなさっている長身でおだ

 やかな人も,2週間ほど病気不在だったので心配してましたが元気

 に復活なさったようです。

 

(PS:実は本人の病気でなく友人の不幸が原因とのことでした。)

 

 この夏の異常な暑さはエルニーニョの反対のラニーニャのせいだそ

 うですが,地球温暖化といっても局所的でも平均気温が急激に1度

 も上がるわけではなく日本,東京の年間平均気温は毎年横ばいでし

 ょうから,この冬は酷寒になると予想されます。

 

 心臓障害者には困ったものです。

 

 丁度,タイミングよく定価2800円のゴア氏の「不都合な真実」の

 日本語翻訳本が大塚駅前のブックオフで1400円で売られているの

 を見つけ,日曜の30%引きに加え,100円クーポンとTSUTAYAのポイ

 ントカード利用で現金220円で入手できました。

 

 まだ,中を読んでませんが.

 

 地球環境の破壊は焼畑農業や生態系バランスのくずれによる植物

 の減少,雨量の減少などによる草原の砂漠化や産業革命後の機械化

 科学文明etc.人間を含む生命体の活動,

 

 その中でも,科学的活動が原因であるとすることには,私も異存は

 ありません。

 

 しかし,必ずしも二酸化炭素だけを犯人とする現行の主流の考えに

 は,前から疑問を持っています。

 

 現在の科学の発展は医学,薬学の発展をも包摂しています。

 

 疾病,疫病や戦争の減少により,人為的なバース・コントロールを

 しても大きな天敵のない人類は,いたづらに増加してゆきます。

 

 死の商人を太らせると共に人類の繁栄をももたらす,科学の進展

 は快適な生活環境や疫病の撲滅等による寿命の延び,人口の増加

 を招きますが,それが逆に生態系をこわし食糧不足をも招いて自

 らの首を絞めていくというジレンマ的構造をしています。

 

 こうした生命活動の総体,人類の幸福を追求すべき哲学や宗教こそ

 が,やがてくるだろう大きなカタストロフの前兆とも思われので

 事は二酸化炭素の削減程度の恐らくは的はずれの対症療法では済

 まされないと私は感じています。

 

 余談はさておき,散乱の伝播関数の理論の続きです。

 

最後の応用例として,電子-電子散乱,および電子-陽電子散乱の

摂動計算を行ないます。

 

§7.9 Electron-Electron and Electron-Positron Scattering

 (電子-電子散乱,および電子-陽電子散乱)

 

 電子-電子散乱は,かつての記事「散乱の伝播関数の理論(13),

 (14),(15)(応用2)」で述べた電子-陽子散乱とほとんど同じ方法

 で扱うことができます。

 

 しかし,電子-電子散乱では電子の同等性のために生じるもう1つ

 のgraphがあります。

 

 この過程に対する2つのgraphsを下図7.13に示します。

 これらのdiagramsは関連する運動学を定義します。

 

まず,かつての電子-陽子散乱の散乱振幅を再掲すると,

fi=(eep02){m2/(Eif)}1/2{M2/(Epipf)}1/2

{u~(pf,sf)(-iγμ)u(pi,si)}

{u~(Pf,Sf)(-iγμ)u(Pi,Si)}(-i){(pf-pi)2+iε}-1

(2π)4δ4(Pf-Pi+pf-pi) です。

 

ただし,エネルギー・運動量の保存から,pf-pi=Pi-Pf です。

 

 そこで,同じように電子-電子散乱の振幅SfiMを与えると,

 SfiM=(e2202)(E121'E2')-1/2

 [{u~(p1')(-iγμ)u(p1)}{u~(p2')(-iγμ)u(p2)}

 (-i){(p1-p1')2+iε}-1

 -{u~(p1')(-iγμ)u(p2)}{u~(p2')(-iγμ)u(p1)}(-i)

 {(p1-p2')2+iε}-1](2π)4δ4(p1'+p2'-p1-p2)

 と書けます。

 

ただし,便宜上スピン添字:si,sj'etc.は伏せました。

 

(注20^1):Feynman規則に忠実に,頂点(vertex)には因子:

 (-ieγμ)を,光子内線にはその伝播関数(-i)(q2+iε)-1

 を対応させました。

 

実はベクトル粒子である光子の伝播関数は,正しくは,

(-i)(gμν+縦波ゲージ項)/(q2+iε)のテンソル形なのですが,

頂点因子を含めると,(-ieγμ)gμν(-ieγν)

=(-ieγμ)(-ieγμ) となります。

  

そして,qμに比例する縦波項は,ゲージ不変性(=電荷の保存)を

反映して,光子の分極(偏光:spin)εの横波性:εq=0 により消

えて寄与はゼロなので,伝播関数を省略したスカラー形で書きま

した。(注20-1終わり)※

 

 右辺の[ ]の中の"第1項=直接項"と"第2項=交換項

 (exchange term)"の間の相対的な(-)符号は電子の従うFermi統計

 に由来します。

  

 つまり,散乱振幅が2つの終状態電子の交換に対して反対称である

 ことが要求されます。

 

 Fermi統計はまた,初期電子の交換に対する反対称性をも要求します。

 

同様な論旨から,2つのBose粒子を含む状態から,またはBose粒子

状態への散乱振幅はそれらの交換の下で対称です。

 

この後者の性質は前の図7.11に対する電子-陽電子の対消滅過程

の散乱振幅での終状態光子の交換に対して確認されています。

 

さて,電子-電子散乱振幅:

fiM=(e2202)(E121'E2')-1/2

[{u~(p1')(-iγμ)u(p1)}{u~(p2')(-iγμ)u(p2)}(-i)

{(p1-p1')2+iε}-1

-{u~(p1')(-iγμ)u(p2)}{u~(p2')(-iγμ)u(p1)}

(-i){(p1-p2')2+iε}-1](2π)4δ4(p1'+p2'-p1-p2)

には,交換項が入ったときの(1/√2)や1/2のような追加の規格化

因子は導入されていません。

 

これは,fiから微分断面積を作る法則が始状態,または終状態に

同種粒子が存在することによっては変わらないからです。

 

ただ,既に対消滅過程でも述べたように,終状態に同種粒子が存在

するとき,全断面積を得るための積分においては,

σ~=(1/2)∫(dσ~/dΩ)dΩのように1/2因子を含む必要がある

ことには注意を要します。

 

一方,始状態(初期状態)においては同種粒子に対して特別な因子は

現われません。

 

何故なら,入射流束(flux)は粒子が異種か,同種かを問わず不変で

あるからです。

 

電子-電子散乱はこの法則の明確で単純な例になっています。

 

なお,SfiMの右辺の"第2項=交換項"は,移行運動量 or 運動量遷移

(momentum-transfer):(p1'-p1)が小さい前方散乱近傍では無視

できます。

 

この極限では,散乱振幅は正確にCoulomb散乱の振幅に等しくなり

粒子の統計には依存しません。

 

さて,散乱振幅から今まで通りのやり方で偏りのない電子の散乱

に対する微分断面積が得られます。

 

すなわち,慣性中心系(重心系)では,

dσ~=e44/{E4(2β)}∫d31'd32'(2π)-2

δ4(p1'+p2'-p1-p2)(1/4)(16m4)-1[{1/(p1'-p1)2}2

{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν}

-(p1'-p1)-2(p2'-p1)-2

{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(2'+m)γμ(2+m)γν}

+(p1'⇔p2'の交換項)] です。

 

Eは慣性中心系での各粒子のエネルギー,βはその速度です。

2つの初期電子の相対速度は2βです。

 

(注20-20):

 2体散乱の慣性中心系(重心系)では,121'+2'=0

 なので,|1|=|2|,|1'|=|2'|です。

 

そして,散乱(衝突)前後のエネルギー保存則より,

1+E2=E1'+E2'であって,しかも粒子は全て電子なので質量

も同じmですから粒子エネルギーは全て同じ値で,

1=E2=E1'=E2'です。

 

そこで,この全て同じのエネルギーをEと書くわけです。

 

また,重心系で全ての粒子に共通な速度の大きさを,

β=|1|=|1|/E1=|2|=|2|/E2とおくと,

12=0 より2=-1なので,|12|=2β

と書けます

 

また,(1/4)Σs1,s2,s1',s2'{u~α(p1')(γμ)αββ(p1)}

{u~γ(p2')(γμ)γδδ(p2)}{u~λ(p2)(γν)λσσ(p2')}

{u~ξ(p1)(γν)ξηη(p1')}

=(1/4)(16m4)-1{(1'+m)ηαμ)αβ(1+m)βξ}(γν)ξη}

{(2'+m)σγμ)γδ(2+m)δλν)λσ}

=(1/4)(16m4)-1{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}

{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν},  

 

(1/4)Σs1,s2,s1',s2'{u~α(p1')(γμ)αββ(p1)}

{u~γ(p2')(γμ)γδδ(p2)}{u~λ(p1)(γν)λσσ(p2')}

{u~ξ(p2)(γν)ξηη(p1')}

=(1/4)(16m4)-1{(1'+m)ηαμ)αβ(1+m)βλν)λσ

(2'+m)σγμ)γδ(2+m)δξν)ξη}

=(1/4)(16m4)-1

{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(2'+m)γμ(2+m)γν}

 

です。(注20-2終わり)※

 

 相対論的エネルギーでは,この2βは光速の2倍の値に近づきます

 が,特殊相対性理論と矛盾するものではありません。

 

 事実,1つの電子の速度を他の電子から見るなら決して光速は超え

 ません。

  

(※相対論では有り勝ちな光速度不変に対する誤解の1つですね。) 

  

そして,(p1'⇔p2'の交換項)は,dσ~における右辺最初の2項で

1'とp2'を交換して得られる2つの付加項の存在を示しています。

 

 直接散乱と交換散乱の双方において出現する干渉項は唯1つの長い

 トレース因子を含みます。

 

微分断面積に寄与する行列要素の平方(ノルムの2乗)を表示する

図形的方法は,2つのループと2つのトレース項因子を持つ直接項

と,1つのトレース因子のみ持つ干渉項の違いを明示します。

(図7.14:Pending)

 

これらのdiagramsは,添字μ,νの順序を保持しつつスピノ-ル因子

を直線的に求めるときには便利です。

 

ライン上の白丸は分母因子:(p2-m2)-1が現われないことを注意す

るものです。

 

以下,「散乱の伝播関数の理論(11)(応用1-1)」で与えたγ行列に関

する定理を用いて具体的にトレース因子を評価します。

 

特に,干渉項の8個のγ行列の積のトレースの計算における縮約には

[性質6]:(ⅰ)γμγμ=4・1,(ⅱ)γμγμ=-2,

(ⅲ)γμabγμ=4ab,(ⅳ)γμabcγμ=-2cba,

(ⅴ)γμabcdγμ=2(dabccbad)

が非常に有用です。

 

r(1'+m)γμ(1+m)γν(2'+m)γμ(2+m)γν

おいて,例えば相対論的エネルギーE>>mを想定してm2に比例

する項を無視すれば,奇数個のγ行列の積のトレースへの寄与は

ゼロなので,これはTr(1μ1γν2μ2γν)となります。

 

そして[性質6]の(ⅳ)から,γν2μ2γν=-22γμ2'

なので,Tr(1μ1γν2μ2γν)

=-2Tr(1μ12γμ2') です。

 

さらに,(ⅲ)よりγμ12γμ=4p12なので,結局,

Tr(1μ1γν2μ2γν)=-8p12Tr(1'2')

=-32(p12)(p1'p2') を得ます。

 

(注20-2):実際に正しくは,

 Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(2'+m)γμ(2+m)γν

 =-32(p12)(p1'p2')+m2{Tr(γμγν2μ2γν)

 +Tr(γμ1γνγμ2γν)+Tr(γμ1γν2μγν)

 +Tr(1μγνγμ2γν)+Tr(1μγν2μγν)

 +Tr(1μ1γνγμγν)}+m4Tr(γμγνγμγν)

 です。

 

そして,Tr(γμγν2μ2γν)+Tr(γμ1γνγμ2γν)

+Tr(γμ1γν2μγν)+Tr(1μγνγμ2γν)

+Tr(1’γμγν2μγν)+Tr(1μ1γνγμγν)

=-2Tr(γμ2γμ2')+4p2μTr(γμ1)

+4p2'μTr(γμ1)+4p2μTr(1μ)+4p2'μTr(1μ)

-2Tr(1μ1γμ) です。

 

よって,これは16{(p22')+(p12)+(p12')+(p1'p2)

+(p1'p2')+(p1'p1)}

=16{(p12)+(p1'p2')+(p1+p2)(p1'+p2')}

です。

 

ところがp1+p2=p1'+p2',それ故p12=p1'p2'ですから,

さらに,16{2(p12)+(p1+p2)2}=32{2(p12)+m2}

に帰します。

 

 また,Tr(γμγνγμγν)=-2Tr(γνγν)=―32 です。

 

 以上から,

 Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(2'+m)γμ(2+m)γν

 =-32{(p12)2-2m2(p12)-m4+m4}

 =-32(p12)(p12-2m2) を得ます。

 

 一方,[性質4]:Tr(1..n)

 =a12Tr(3..n)-a13Tr(24..n)+..

 +a1nTr(2..n-1),

 

 特にTr(1234)

 =4(a1234+a1423-a1324)より,

 Tr(1'+m)γμ(1+m)γν

 =4{p1'μ+p1'ν-gμν(p11'-m2)}

 です。

 

同様に,Tr(2'+m)γμ(2+m)γν

=4{p2'μ2ν+p2'ν2μ-gμν(p22'-m2)}ですから,

結局,

{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν}

=16{p1'μ+p1'ν-gμν(p11'-m2)}

{p2'μ2ν+p2'ν2μ-gμν(p22'-m2)}

です。

 

したがって,

{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν}

=16[(p1'p2')(p12)+ (p12)(p1'p2')+(p1'p2)(p12')

+(p12')(p1'p2)-(p11'-m2)

{(p22')+(p2'p2)}-(p22'-m2){(p11')+(p1'p1)}

+4(p11'-m2)(p22'-m2)] です。

 

ところが,保存則:p1+p2=p1'+p2'によって,

12=p1'p2',p12'=p1'p2,p11'=p22'ですから,

結局,

{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν}

=32{(p12)2+(p12')2-2m2(p11'-m2)}

を得ます。

 

(注20-3終わり)※

 

(注20-4):以上から,

 dσ~=e44/{E4(2β)}∫d31'd32'(2π)-2

 δ4(p1'+p2'-p1-p2)(1/4)(16m4)-1[{1/(p1'-p1)2}2

 {Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν}

 -(p1'-p1)-2(p2'-p1)-2

 {Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(2'+m)γμ(2+m)γν}

 +(p1'⇔p2'の交換項)]

 は次のように書けます。

 

dσ~=e44/{E4(2β)}(1/2)∫d31'd32'(2π)-2

δ4(p1'+p2'-p1-p2)[{1/(p1'-p1)2}2

{(p12)2+(p12')2-2m2(p11'-m2)}

+(p1'-p1)-2(p2'-p1)-2(p12)(p12-2m2)

+{1/(p2'-p1)2}2{(p12)2+(p11')2-2m2(p12'-m2)}

+(p2'-p1)-2(p1'-p1)-2(p12)(p12-2m2)]

です。

 

 ここで,慣性中心系では,p12=E22,p11'

 =E22cosθ=p22',p12'=E21(-1')cosθ

 =E22cosθ=p1'p2,(p1'-p1)2=2m2-2p11'

 =2(m2-E22cosθ)=-22(1-cosθ),(p2'-p1)2

 =2m2-2p12'=2(m2-E22cosθ)=-22(1+cosθ)

 です。

 

 ただし,1=-2 です。

 

 故に,dσ~の右辺[ ]の中:

 {1/(p1'-p1)2}2{(p12)2+(p12')2-2m2(p11'-m2)}

 +(p1'-p1)-2(p2'-p1)-2(p12)(p12-2m2)

 +{1/(p2'-p1)2}2{(p12)2+(p11')2-2m2(p12'-m2)}

 +(p2'-p1)-2(p1'-p1)-2(p12)(p12-2m2)

 は次のように書けます。

 

[ ]=(1/4)p-4

[{(E2+p2)2+(E2+p2cosθ)2-2m22(1-cosθ)}/(1-cosθ)2

+{(E2+p2)2+(E2-p2cosθ)2-2m22(1+cosθ)}/(1+cosθ)2

+2(1-cosθ)-1(1+cosθ)-1(E2+p2)(E2+p2-2m2)/{(1-cosθ)

(1+cosθ)}]=..(中略)

 

=(1/2)p-4[4(E2+p2)2/sin4θ-3(E2+p2)2/sin2θ

+p4(1+4/sin4θ)] です。

 

ただし,p≡|| としました。

 

 p1'≡|1'|と置くと,β=p/E=p1'/E1'により,

 2p1'=2E1'β となります。

 

故に,∫{d31/(2p1')}{d32/(2E2')}δ4(p1'+p2'-p1-p2)

=(4E2β)-1∫d31/(2Eβ)}{d32/(2E)}

δ4(p1'+p2'-p1-p2)

=(dΩp1'/2)∫01'dp1'∫d424(p1'+p2'-p1-p2)

δ(p2'2-m2)θ(E2')

 

=(dΩp1'/2)∫01'dp1'δ((p1+p2-p1') 2-m2)

θ(E1+E2-E1')

=(dΩp1/2)∫02EE'dE'δ(4E 2-4EE')

=dΩp1'/8です。。

 

(注20-4終わり)※

 

したがって,微分断面積として,

(dσ~/dΩ)M={α2/(4E2)}{(E2+p2)/p2}2

[4/sin4θ-3/sin3θ+{p2/(E2+p2)}2(1+4/sin4θ)]

が得られました。

 

特に,E>>mでp~Eの高エネルギー極限では,

(dσ~/dΩ)M ~ {α2/(4E2)}(3+cos2θ)2/sin4θ

となります。

  

dσ~/dΩ

={α2/(8E2)}[{1+cos4(θ/2)}/sin4(θ/2)

+2/{sin2(θ/2)cos2(θ/2)}+{1+sin4(θ/2)}/cos4(θ/2)]

とも書けます。

 

これはm2が無視できるときのみ正しい式です。

 

これらはメラー(Möller)の公式と呼ばれています。

 

参考文献:J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics"(McGraw-Hill)

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2010年9月 3日 (金)

PC不調回復!!(引越し後1月経過)

 8月3日に引越して17日にフレッツ光のOCNで開通して以来,自分のブログを書くサイトなどイツモの全く健全な場所に行っても証明書エラーが出てポップアップブロック解除したりクッキーをクリアしないとちゃんと開かない。などの症状が相次いでいましたがずっと原因がわかりませんでした。

 しかし,昨日(9月2日)ハードディスクにバックアップしてある映画をDVDへとコピーしようと「CloneDVD2」を立ち上げようとしたところ正式版なのに「試用期間が終了しました。」というエラーメッセージが出て立ち上がりません。

 少し考えた後に「ハハーン?」と思ってさすがに鈍い私にもピンときました。

 そう,引っ越してから日付時刻を正しく再設定してなかったので,今の中古PCにバンドルされていたWindowsXPのデフォルトの2003年1月の日付とでたらめな時刻になってました。

 試用期間終了?そりゃそうでしょう。。「CloneDVD2」が発売されてそのライセンスが発生した日よりも現在時刻の方が過去なのですからね。

 ソフトの中の時刻認定プログラム「がどうなってるかの詳細は不明ですがマイナス期間中ということになってますから,正式ユーザーからリジェクトされたのでしょうね。

 というわけで,9月3日の夜中に日付,時刻を正しく直したところ,PCの状態はやっと引越し以前の状態に戻ったようです。

 ただし,ネット回線は今の光配線方式の方が上りも下りも前よりやや速いようですね。

 またまたごく初歩的なドツボにはまってました。バカ丸出しですね。>自分

 引っ越してちょうど1月です。ほぼ落ち着きました。しかし何とか9月分の家賃は払いましたがが引越し貧乏で金欠病です。

PS:院内感染の疑いで9人死亡,帝京大病院,46人感染確認。。。

 ↑ヤバイヤバイ,内部の何人かの医師,看護師には恩がありますが,昨年12月を境に帝京大病院とは完全に縁を切っています。

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