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2010年11月

2010年11月29日 (月)

ソルジャー・ブルー祈念日

 本日はアメリカのネイテイブであるシャイアン族が大量虐殺された日です。

 勝手に1970年の映画の題名に因んで勝手に「ソルジャー・ブルー祈念日」と呼ぶことにしました。 合掌!!

 映画「ソルジャー・ブル-」は1864年11月29日のコロラド州で実際にあったアメリカインディアン(当時)の大量虐殺事件を題材にしたものです。

    

 映画内容やその感想については,2007年11/29の記事「ソルジャー・ブルー再び(映画感想)」,および2008年12/9の記事「ソルジャー・ブルーを再び見た。」を参照してください。

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2010年11月28日 (日)

プルーム上昇のモデル式(1)

 唐突ですが,過去の資料を整理していたら1983年(33歳当時)の仕事関係の覚書きノートを見つけたので,ブログに覚書きを残す一環としてこれも書いておこうと思います。

内容は,古典的なBriggsによるプルーム(plume)上昇式の紹介です。(←ノートにはプリューム上昇式と書いてありましたが,今はplumeはプルームと読むべきだと思っているので直しました。)

当時は,環境アセス会社の社員で丁度,冷却塔(cooling-tower)からの温排気のシミュレーションについて調べていた頃と思います。

 

※(この後,最終的にはANLモデル(Argonne国立研究所モデル)と格闘することになったのですが。。この会社をやめて10年以上後にはSACTIというプログラムとも出会いましたね。illinois大学関連かな?) 

ただし,当時は常識だった気象力学の知識は今ではかなり忘れているので,この記事内容だけで私自身がわかるように補足しています。

.プルーム上昇式の導出

§1.基礎理論(鉛直プルーム)

プルーム内の局所密度ρpは不変:∂ρp/∂t=0 とします。

 

すると質量保存の連続の方程式は(1)∇(ρpp)=0 となります。ただしp,およびρpはプルームガスの局所速度,および密度です。

また,局所プルーム要素の運動は断熱的とします。

 

断熱条件はプルームの温位をθpとして(2)dθp/dt=0 です。

 

温度がT,圧力がpの気体に対して温位はθ≡T(p00/p)(R/Cp)で定義されます。ただしRは気体定数:R≒8.31J/(molK),Cvはモル定積比熱,Cpはモル定圧比熱です。

 

vとCpの間にはMayerの関係式:Cp=Cv+Rが成立します。

dθp/dt=0 は中立大気中の運動では浮力が保存すること,移流以外には熱の放射吸収がないことを意味します。

(補足):ガス(気体)が希薄で理想気体近似ができるとすると,その状態方程式は気体分子の分子量をmとしてp=ρRT/mです。p,ρ,Tは,それぞれ気体の圧力,密度,絶対温度です。

断熱変化の場合には,c1を定数としてPoissonの式:p=c1ργが成立します。γは比熱比でγ≡Cp/Cvです。

p=ρRT/mの両辺の対数微分を取ると,dlnp=dinρ+dlnTですからdlnT=dlnp-dlnρですが,断熱変化ではp=c1ργよりlnp=γlnρ+lnc1が成立するため,dlnρ=dlnp/γです。

それ故,dlnT=(1-1/γ)dlnp=(R/Cp)dlnp,すなわちdln{T/p(R/Cp)}=0 ,またはT/p(R/Cp)=(一定)です。

そこで,ある定数c2を与えθ≡c2T/p(R/Cp)によって温位という量θを定義すると,断熱変化はdθ=0 を意味するので,断熱変化の場合の温位の時間変化率はdθ/dt=0 です。

特に,圧力pの値がp00のときθ=Tとなるように定数c2を定めれば,θ=T(p00/p)(R/Cp)という表現ができます。

さて,プルームの周辺大気について対流が生じない条件はdp/dz=-ρg(静力学平衡)ですが,これは対数表現ではdlnp/dz=-mg/(RT)です。ただし,鉛直上向きをz軸の正の向きとしています。

さらに,断熱変化:dθ=0 ならdlnp=(Cp/R)dlnTなので,熱の放射吸収のない断熱環境で対流が生じない条件はdlnT/dz=-mg/(CpT),またはdT/dz=-mg/Cpと書けます。

そこで,鉛直高さzと共にこの比率で温度が減衰すれば対流が生じず,しかも高さ方向の変化dzに対する温度変化は断熱変化なので,温位勾配はゼロ:dθ/dz=0 です。

 

この勾配:dT/dz=-mg/Cpの温度減率(気温減率)を断熱減率といい,この状態にある大気を中立状態といいます。

ところで,通常の地上付近成層圏の大気の体積組成(分子数組成)は分子量28の窒素N2が78.08%,分子量32の酸素O2が20.95%,その他はアルゴン,二酸化炭素,水蒸気などです。

そこで,地上付近の乾燥大気の分子量:m=md28.964です。(小倉義光「一般気象学」より)

また,N2,O2のような2原子分子では理論的にはモル定積比熱は(5/2)R,モル定圧比熱はCp=(7/2)Rです。

そこで,この大気の断熱減率を計算するとΓd≡mdg/Cp=28.964(g/mol)×9.8(m/s2)×2/{7×8.31J/(molK)}=9.8(K/km)です。

 

これは,100m上昇する毎に気温が約1度下がるような状態です。この気温減率:Γd=mdg/Cp=9.8(K/km)を乾燥断熱減率といいます。

一般には,大気は湿度ゼロの乾燥空気ではなく水分を含んでいます。

 

容積Vの中に質量Mdの乾燥空気と質量Mvの水蒸気(vapor)が混在しているとき,この空気の密度はρ=(Md+Mv)/V=ρd+ρvです。

そして,pdを乾燥大気の分圧,eを水蒸気圧とすると,乾燥大気,水蒸気の状態方程式はそれぞれpd=ρdRT/md,e=ρvRT/mvです。

 

全大気圧pはp=pd+e=ρdRT/md+ρvRT/mvですから,p=ρRT{1+(mv/md)(ρvd)}/{1+(ρvd)},またはp=ρRT*/md;T*≡T{1+(mv/md)(ρvd)}/{1+(ρvd)}と書けます。

ここで,T*は仮温度(virtual temperature)と呼ばれる量で具体的にmd=28.964(g/mol),mv=18(g/mol)を代入すると,水蒸気の混合比:q≡ρvd=(md/mv){e/(p-e)}に対してT*≒T(1+1.61q)/(1+q)=T(1+0.61r)と表現されます。

ただし,r≡q/(1+q)=ρv/(ρv+ρd)は比湿(specific humidity)と呼ばれる量で,式から明らかにr≦1です。

 

乾燥大気の温度Tに対する安定条件:dT/dz=-mdg/Cp=-Γdは,Tを仮温度T*に置き換えると近似的にそのまま成立すると考えれば,dT*/dz=-mdg/Cp=-Γdなる式が安定条件に対応します。

 

左辺のT*にT*=T(1+0.61r)を代入すると,(1+0.61r)(dT/dz)=-Γdです。そこで,不飽和で凝結のない大気の断熱減率ΓはΓ=Γd/(1+0.61r)で与えられ,Γ≦Γdです。

さらに,飽和(saturate)して凝結水滴があり潜熱(latent heat)の存在によって温度降下が鈍くなる場合の湿潤断熱減率をΓwとします。

 

飽和水蒸気圧をesと書き,単位質量当たりの液体の水が水蒸気になるのに必要な潜熱(蒸発熱)をLとすれば,esと温度Tの関係は理論的にはClausius-Clapeyronの式:des/dT=Les/(RT2)で表わされます。

 

(上式は,lnes=-L/(RT)+const.またはes=Aexp{-L/(RT)}を意味しますが,2006年7/30の記事「気液平衡の統計力学」ではこれより精密な修正式:lnes=lnT-L/(RT)-1+const.またはes=ATexp{-L/(RT)}を与えています。)

  

例えばT=100℃ではL=597(cal/g)ですが常温付近でのLはTの変動に鈍感なのでLがTに無関係と近似してこれを積分すれば,ln(es/es0)=(mvL/R)(1/T0-1/T)です。

  

これはesがTだけに依存して周囲の大気圧pには依らない形の関係式です。

 

さて,乾燥空気と混合比qの水蒸気が混合した空気塊を考えます。

 

まず,単一気体の断熱変化は,0=dlnθ=(Cp/R)dlnT-dlnpで表わされます。これはエネルギー収支を示す式と見るなら,0=RTdθ/θ=CpdT-RTdp/pと表現されます。

 

そこで,乾燥空気と水蒸気が混合しただけの大気において水蒸気が飽和に達していないとき,各成分の上記左辺の温位変化:RTdθ/θへの寄与は,それぞれCpdT-RT(dpd/pd)=0,qCpvdT-qRT(de/e)=0 です。

   

ここで,qはこの大気の乾燥空気に対する水蒸気の混合比でq=ρvd=(md/mv)(e/pd)=(md/mv){e/(p-e)}です。また,Cpvは水蒸気の定圧モル比熱です。このとき,もちろんpd=p-eです。

   

この空気塊が上昇してq=qsとなって飽和した後,さらに上昇してdqsの水蒸気が凝結したとすれば,空気塊はLdqsだけの潜熱を受けるので,変化が断熱なら水蒸気が飽和した空気塊のエネルギー収支の式は次のようになります。

  

すなわち,CpdT+qspvdT-RT{d(p-es)/(p-es)+qsdes/es}+Ldqs=0 となります。qsは飽和時の混合比です。

  

これに,des/dT=Les/(RT2)を代入すれば,-Ld(qs/T)=CpdT/T+qspvdT/T-Rd(p-es)/(p-es)を得ます。

  

d=ρdRT/md,es=ρvRT/mvですから,静力学平衡:dp/dz=-ρg, or d(pd+es)/dz=-(ρd+ρV)gは,d(pd+es)/dz=-g(mdd+mvs)/(RT),またはdp=-g{md(p-es)+mVs}/(RT)dzと表現できます。

 

そこで,d(p-es)=-g{md(p-es)+mVs}/(RT)dz-desを-Ld(qs/T)=(Cp+qspv)dT/T-Rd(p-es)/(p-es)に代入すると,-Ld(qs/T)=(Cp+qspv)dT/T+g{md+mVs/(p-es)}dz/T+Rdes/(p-es)です。

  

これから,dT/dz=-g{md+mVs(p-es)}/(Cp+qspv)-RT(des/dz)/{(p-es)(Cp+qspv)}+{LT/(Cp+qspv)}{d(qs/T)/dz}を得ます。

   

ところが,qs=(md/mv){es/(p-es)}よりes/(p-es)=mvs/mdです。

   

そこで,dqs/dz=(md/mv)[(des/dz)/(p-es)-{d(p-es)/dz}{es/(p-es)2}]=(md/mv)[(des/dz)/(p-es)-{qs/(p-es)}{d(p-es)/dz]と書けます。

    

つまり,(des/dz)/(p-es)=(mv/md)(dqs/dz)+{qs/(p-es)}{d(p-es)/dz}です。これらの式を用いて,できるだけesを消去します。

   

以上から,湿潤断熱減率は,Γw≡-dT/dz=Γd/(1+qspv/Cp)+mV2g/{mdp(1+qspv/Cp)}+mvRT(dqs/dz)/{mdp(1+qspv/Cp}+RT{qs/(p-es)}{d(p-es)/dz}/{Cp(1+qspv/Cp-LT{d(qs/T)/dz}/{Cp(1+qspv/Cp)}です。

 

この式は閉じていないので古い正野重方著の岩波全書の「気象力学」などには近似公式もあるようですがここでは主要課題ではないので割愛します。ただ,一般に湿潤断熱減率は一定値ではありません。

 

(なお,水蒸気の定圧比熱については,2008年1/6の記事「氷,水,水蒸気の比熱」,および2009年2/9の記事「水蒸気の比熱」などを参照してください。) (補足終わり) ※

さて,浮力以外の気圧傾度力は無視できると考えて外気圧pは近似的に静力学平衡:dp/dz=-ρgを満足しているとします。

 

また,大気を流体と見るとき,対象とする運動でのReynolds数:Reは非常に大きいため,1/Reに比例する分子粘性項も無視します。

そして,プルームガスの周辺大気(ambient air)の局所速度,圧力,密度,温度,温位を,それぞれa,paa,Taaとします。

特に,気圧については,∂pa/∂x=∂pa/∂y=0,∂pa/∂z=-ρagが成立しており,プルームガス圧については近似的にpp=paが成立するとします。

この場合,周辺大気の運動方程式は,ρaa/dt=-∇pa-ρa=0 です。ただし,,は,それぞれx,y,z軸の方向単位ベクトルを表わします。

この方程式の解は明らかにaconstで与えられます。

一方,プルームガスの満たす運動方程式はρpp/dt=-∇pp-ρp~(-∇pa-ρa)-(ρp-ρa)gです。

 

すなわち,この近似での運動方程式はρp(dp/dt)=(ρa-ρp)/g,またはdp/dt={(ρa-ρp)/ρp}gです。これらの右辺が浮力項(buoyancy term)です。

状態方程式:pa=ρaRTa/M,pp=ρpRTp/Mから,pp~paの近似ではρap ~Tp/Ta~θpaなので温位偏差θ'をθ'≡θp-θaと定義すれば,(ρa-ρp)/ρp~ (θp-θa)/θa=θ'/θaです。

周辺大気の温位θaの定義a≡Ta(p00/pa)(R/Cp)において特にp00~paなるパラメータを採用すればθa~Taなので,結局この近似(Boussinesq近似)での運動方程式は,(3)dp/dt=(gθ'/Ta)となります。

連続方程式が質量の保存を意味するのに対して,運動方程式は運動量の保存を意味します。

さらに,pa'と書き,特に速度偏差:'の鉛直z方向の成分(or第3成分)をw'とします。また,周辺大気の風速aは鉛直成分を持たないとして,その向きをx軸(or1軸)の正の向きに取ります。

すると,p≡u,vp3=v'3=w'と書けます。さらにθaa,uはzだけの関数でありθa=θa(z),ρa=ρa(z),u=u(z)のように表わせるとします。

そして水平プルーム断面上ではw'と浮力gθ'/Taが比例する:gθ'/Ta∝ w'と仮定します。比例係数をc(z)とするとgθ'/Ta=c(z)w'です。

定常状態が実現されていると仮定し,面積分することによってプルームを水平面で切った断面上での平均量に対する方程式を求めます。

ただし,プルーム断面の外では明らかにθ'=0,かつ'=0 で特にw'=0 です。

この結果は,まず浮力の効果についての方程式:(4)dFz/dz=-sVを与えます。ただし,Fzは浮力流束で,(5)Fz≡∫P(gρpθ'w'/Ta)dxdy/(πρa)で定義されます。

Vは鉛直容積流束で,(6)V≡∫Pρpw'dxdy/(πρa)です。

 

また,sは安定度パラメータと呼ばれる量で,(7)s≡(g/Ta)(∂θa/∂z)です。

(証明):(2)dθp/dt=0 より,∂θp/∂t+p∇θp=0ですから,定常状態:∂θp/∂t=0 ではρpp∇(θa+θ')= 0です。

そして,∂θa/∂x=∂θa/∂y=∂θ'/∂x=∂θ'/∂y=0 よりρpp∇(θa+θ')=-ρpw'(∂θa/∂z)です。

 

これに,(1)∇(ρpp)=0 にθ'を掛けたものを加えると∇(ρpθ'p)=-ρpw'(∂θa/∂z)を得ます。

これを全水平面で積分すると∫pθ'p)dxdy=-(∂θa/∂z)∫ρpw'dxdyですが,無限遠では明らかにθ'=0 で,プルーム断面を含む全水平面領域では全ての量はzに依らず一定ですから,左辺の(∂/∂z)も積分記号の外に出せます。

プルーム水平断面の外ではρpθ'w'=ρpw'=0 なので,上式は(d/dz)∫Pρpθ'w'dxdy=-(∂θa/∂z)∫Pρpw'dxdyとなります。

周辺大気の密度ρaは"上昇高度までの層当たり平均密度=(一定)"と考え,両辺に(g/Ta)/(πρa)を掛けると{∂(1/Ta)}{(d/dz)∫Pρpgθ'w'dxdy}/(πρa)=-(g/Ta)(∂θ/∂z){∫ρpw'dxdy}/(πρa)です。

 

よって,dFz /dz=-sV-(1/Ta)(dTa/dz)Fzを得ました。

ところが,dTa/dz~dθa/dz,Fz ~gV(<θ'>/θa)なので(1/Ta)(dTa/dz)Fz~ (sV)・(<θ'>/θa)<<(sV)ですから,右辺第1項:(sV)に比べて右辺第2項:(1/Ta)(dTa/dz)Fzを無視します。

そこで,結局dFz /dz=-sVを得ます。(証明終わり)

次に,運動量に対する方程式は,(8)d(V)/dz=(Fz/w)a(dV/dz)+(抵抗力)です。ただし,Vは(9)V≡∫Ppρpw'dxdy/(πρa)で定義される運動量流束です。

 

この式で定義されるベクトルをプルームの速度と考えます。wはのz成分です。

(証明):(1)∇(ρpp)=0 より,p・∇(ρpp)=0 ,つまりΣj=13pijppj)=0 です。

 

 また,(3)dp/dt=(gθ'/Ta)より,定常状態ではρp(p∇)p=(gρpθ'/Ta),つまりΣj=13ρppjjpi=(gρpθ'/Tai3です。

したがって,∇(ρpppi)=Σj=13vpi∂jppj)+Σj=13ρppjjpi=(gρpθ'/Tai3です。

 プルームの進行方向をとするとき,プルームの断面と側面で囲まれた領域VにGaussの定理を適用すると,∫V∇(ρpppi)dV=∫P+ρppnpidS-∫P-ρppnpidS-Δn{1+(dr/dn)2}1/2(∫Cρpppi)です。 

ただし,ここでのrはプルーム半径(plume-radius)を意味します。プルーム断面は等方的なので,これは断面の形を円と想定したときの半径です。

 

-Δndはプルーム側面の外向き法線の向きを持ちΔnは側面方向の厚みです。それ故,dは周の微小線素の長さを持つ内向き法線方向ベクトルです。

 故に,Δ∫PρppnpidS≡∫P+ρppnpidS-∫P-ρppnpidS=Δn{1+(dr/dn)2}1/2(∫Cρpppi)+δi3Δn∫P(gρpθ'/Ta)dSです。

 

 よって,(d/dn)(∫PρppnpidS)={1+(dr/dn)2}1/2(∫Cρpppi)+δi3P(gρpθ'/Ta)dSを得ます。

 一方,連続の方程式から(d/dn)(∫PρppndS)={1+(dr/dn)2}1/2(∫Cρppです。

 

 さらにvpi=vai+v'iですから,(d/dn)(∫PρppnpidS)=δi3P(gρpθ'/Ta)dS+vai(d/dn)(∫PρppndS)+{1+(dr/dn)2}1/2(∫Cρppv'i)を得ます。

 特にをz方向のに選べばvpn=w'より,(d/dz)(∫Pρpw'vpidS)=δi3P(gρpθ'/Ta)dS+vi(d/dz)(∫Pρpw'dS)+(抵抗力)です。

 

 ここで,(抵抗力)≡{1+(dr/dz)2}1/2(∫Cρppv'i)であり,d={1+(dr/dz)2}-1/2(-dy+dx)+{1+(dr/dz)2}-1/2(dr/dz)dlです。(dl=(dx2+dy2)1/2)

 一方,∫P(gρpθ'/Ta)dS=(1/w)∫P(g/Ta)(ρpθ'w)dS=(1/w)∫P(g/Ta)(ρpθ'w')dS+(1/w)∫P(g/Ta){ρpθ'(w-w')}dSです。

V≡∫Ppρpw'dS/(πρa),V≡∫Pρpw'dS/(πρa),およびvp3=w'よりw=∫Pρpw'2dS/∫Pρpw'dSですから,w-w'={∫Pρpw'2dS-w'∫Pρpw'dS}/{∫Pρpw'dS}です。

 仮定によりgθ'/Ta=c(z)w'を代入すると,(1/w)∫P(g/Ta){ρpθ'(w-w')}dS={c(z)/w}[{∫Pρpw'dS}{∫Pρpw'2dS}-{∫Pρpw'2dS}{∫Pρpw'dS}]/{∫Pρpw'dS}=0 です。

 したがって,∫P(gρpθ’/Ta)dS=(1/w)∫P(g/Ta)(ρpθ'w')dS故,(d/dz)(∫Pρpw'vpidS)=(1/w)δi3P(g/Ta)(ρpθ'w')dS+vi(d/dz)(∫Pρpw'dS)+(抵抗力),

 

 または,(d/dz)(∫Ppρpw'dS)=(1/w){∫P(g/Ta)(ρpθ'w')dS}a(d/dz)(∫Pρpw'dS)+(抵抗力)なる式を得ます。

 最後の表式は,まさにd(V)/dz=(Fz/w)a(dV/dz)+(抵抗力)そのものです。

 

※特にプルームが軸対称で完全に鉛直向きなら(抵抗力)={1+(dr/dz)2}1/2(∫Cρppv'i)=0でd(wV)/dz=Fz/wです。※(証明終わり)

 さて,dFz/dz=-sV,d(wV)/dz=Fz/wを解くために次のような初期条件を与えます。

まず,初期速度は吐出速度に等しいとします。すなわち,(10a)=w0です。そして初期運動量流束は,(10b)V=(wV)=Fm≡(ρ0a)w0202とします。ρ0は排出ガス密度,r0は煙突口の口径です。

さらに,初期の浮力流束は,(10c)Fz=F≡(1-ρ0a)gw002で与えられるとします。

  

つまり,初期容積流束をV0≡w002とすれば初期の総質量流束はπρ00=πρ0002ですから,定義により運動量流束はFm=πρ000/(πρa)=(ρ0a)w00です。

  

そして,初期浮力流束はFz=F=(1-ρ0a)gV0~{(T0-Ta)/T0}gV0となるわけです。

 

ところで,排出源がhot-sourceの場合の初期浮力流束は,(11)F=gQH/(πρapa)で与えられます。

 

ここで,QHは排出されるガスによって単位時間に排出される熱量(cal/sec)であり,cpは空気の単位質量当たりの熱容量(定圧比熱)(cal/(kg・K))です。

 

なぜなら,Fz=F=(gθ'/Ta)(πρ0002)/(πρa)={g/(πρaa)}(θ'πρ00)ですが,πρ00は総質量流束なので排出ガスによって単位時間に外気に付加される熱量はQH=cpT'πρ00 ~cpθ'πρ00に等しいからです。 

 

つまり,θ'πρ00=QH/cpによってF=gQH/(πρapa)が得られるわけです。

 

この場合,排熱強度QHと排出ガス密度ρ0の情報を得ることにより逆にV0=w002が求まります。

 

そこで,煙突口径r0のデータから吐出速度w0が算定されて,結局全ての初期情報を得ることができます。

  

ただし,後述するように3つの未知数Fz,w,Vに対し微分方程式は2つしかないので解を決めるにはもう1つ方程式が必要です。

今日はここまでですがまだ続きます。

参考文献:G.A.Briggs "Plume Rise",U.S.Atomic Energy Commision Division of Technical Information(1969),小倉義光「一般気象学」(東京大学出版会),小倉義光「気象力学通論」(東京大学出版会)

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2010年11月25日 (木)

日々是れしあわせ(夢の途中)

 現在,右目の視力が落ちてときどき柱にぶつかるような状態ですが,何故か前よりも食欲があります。(10月に撮った内臓MRIでは写っていた肺の水が去ったのかも知れません。)

 血糖値が下がってきて空腹を感じることは倖せですが,その空腹を満たす糧が乏しいのも困ったものですね。

 眼底出血で10日も過ぎたので,当面は左目だけで十分ですがどこか眼科にかからないと右目あぶないな。(10年ぶりのレーザー治療?)

 思えば21年ほど前,糖尿病で1ヶ月あまり教育入院したのをきっかけに,普通の会社員生活に別れを告げて自分の夢に邁進する道を取ってフリーになったのは1つの正解でした。

 そのまま,同じ生活を続けて,おそらくは普通に妻子を得て暖かい家庭を築けるかどうかわからないけど,それを目指すのももう1つの正解だったでしょう。

 もちろん,それらの両方とも掴めるようなゼイタクな道を得られたらもっと倖せでしょうが。。。

 私の能力では後者の生活を採っていれば恐らく,20代からの夢については忘れていて今の状態とは程遠かったでしょう。

 もっとも,残りわずかな命であろう現在でも道の1割も進んでいるかどうか?という状態です。しかし,ともかく20年程前に再びスタートラインに立って迷いながらも進んでいます。

 夢は夢,かなわないでしょうが,体は病気だろうが貧乏だろうが,今も夢の途中にいることが倖せです。

 いや,どこかの国の民のように自分のせいでもないのに住む家も何もなく飢え死にしたりすることを思えば,何たるゼイタク,何たる余裕なんでしょうか。

 私が実存的な夢を実現することが,誰かほかの人々の癒しとなり倖せをもたらせるならもっと倖せなのですがね。

 イチローのようなスポーツ選手やミュージシャンetc.になる夢であれば,自分の夢をかなえてエンターテインメント,パフォーマンスを発揮することが,そのまま少年少女や多くの人々に癒しや倖せをあげること,多くの人々を抱きしめてあげることに繋がると思うので,そういうのはうらやましいですね。

PS:なにげに,かつて大学のトイレなどで見かけた落書き文の傑作を思い出しました。ノドカでしたね。

 川柳でしょうか,「急ぐとも...に手を添えて外にもらすなアサガオのつゆ」とか,「汝,カミに見放されしときはみずからの手でウンをつかめ」とか,

 「前を見ろ,右を見ろ,左を見ろ,後ろを見ろ,キョロキョロするなバカ」,これはこの順番だったかな?前には右を見ろと書いてあり右を向くと左,左向くと後ろというように順に書いてありました。

 それと,「トイレ(便所)とは空想と思考をするところである。」だったかな?

 まだまだあったみたいですが思い出せません。

PS2:孤独だが自分だけが独善的に自由に生きる道を選んだため,自分を養うことがやっとで,特定な愛する者たちを持ち,守ってあげられる対象があってそれらに束縛される喜びを失なってしまった。

 生きがいはあるが,寂しい長い道だ。。。。

(アクセス数が45万超えたようです。)

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2010年11月23日 (火)

場の量子論における摂動論(3)

場の量子論における摂動論の続きです。

ここまでで,DysonのS行列がS=Σn=0{(-i)n/n!}{limε→+0∫d41∫d42..∫d4nT[int(x1)..int(xn)]exp(-εΣj=1n|xj0|)}と級数展開で表現されることを見ました。

 

そこで,Sの行列要素:Sba=<b|S|a>の各項を計算することは,結局<b|T[int(x1)..int(xn)]|a>を計算することに帰着することがわかります。

こうしたT積の期待値を求めるには,T積になっている演算子を分解して消滅演算子を全て左へ,生成演算子を全て右へ寄せる操作を行なうのが便利です。

 

このように操作して取り直した積を正規積(normal-product),またはN積といいます。(正規順序(normal-ordering)ともいいます。)

正規積は記号::で表わすことにします。

 

すなわち,場φj(x)=φj(-)(x)+φj(+)(x)の積:Πφj(x)に,φj(x)=φj(-)(x)+φj(+)(x)を代入し展開して各項について正規積を取ったものを:Πφj(x):と定義します。

ここでj(-)(x)は消滅演算子を係数とする場の正振動数部分,φj(+)(x)は生成演算子を係数とする負振動数部分です。

ただし,反可換な項の積については項の順序σに対して符号:sgnσFを乗じます。

 

例えばスピノルψ(x)の成分については,:ψα(+)(x)ψ~β(-)(y):≡-ψ~β(-)(y)ψα(+)(x) etc.とします。

それ故,例えば:ψα(x)ψ~β(y):=ψα(+)(x)ψ~β(+)(y)+ψα(-)(x)ψ~β(+)(y)-ψ~β(-)(y)ψα(+)(x)+ψα(-)(x)ψ~β(-)(y)=-ψ~β(+)(y)ψα(+)(x)+ψα(-)(x)ψ~β(-)(y)-ψ~β(-)(y)ψα(+)(x)-ψ~β(-)(y)ψα(-)(x)です。

特に,質量がμの中性スカラー場:φ(x),および質量がmのスピノル場:ψ(x)に対しては,φ(x)φ(y)=:φ(x)φ(y):+[φ(+)(x),φ(-)(y)],:ψ^α(x)ψ^β(y):=:ψ^α(x)ψ^β(y):+{ψ^α(+)(x),ψ^β(-)(y)},φ(x)ψ^β(y)=:φ(x)ψ^β(y):と書けます。

ただし,記号ψ^はψ,ψ~の両方を意味します。

ところが,φ,ψは自由場なので,いわゆる不変デルタ関数によって[φ(+)(x),φ(-)(y)]=Δ(x-y2)=-Δ(x-y2),{ψα(+)(x),ψ~β(-)(y)}=Sαβ(x-y;m),{ψ~β(+)(y)ψα(-)(x)}=Sαβ(x-y;m)と表わされます。

また,明らかに{ψα(+)(x),ψβ(-)(y)}={ψ~α(+)(x),ψ~β(-)(y)}=0 です。

そこで,T[φ(x)φ(y)]-:φ(x)φ(y):=θ(x0-y0)[φ(+)(x),φ(-)(y)]+θ(y0-x0)[φ(+)(y),φ(-)(x)]=θ(x0-y0(x-y2)-θ(y0-x0(y-x2)=iΔF(x-y2)=<0|T[φ(x)φ(y)]|0>と書けます。

同様に,T[ψα(x)ψ~β(y)]-:ψα(x)ψ~β(y):=θ(x0-y0){ψα(+)(x),ψ~β(-)(y)}-θ(y0-x0){ψ~β(+)(y),ψα(=)(x)}=θ(x0-y0)Sαβ(x-y;m)-θ(y0-x0)Sαβ(y-x;m)=iSFαβ(x-y;m)=<0|T[ψα(x)ψ~β(y)]|0>です。

※(注6):ΔF(x-y2)=<0|T[φ(x)φ(y)]|0>は自由な中性スカラー粒子の伝播関数(propagator)で(□+μ2F(x-y2)=-δ4(x-y)を満たします。

そこで,そのFourie表示はiΔF((x-y2)=(2π)-4∫d4p[exp{-ip(x―y)}/(p2-μ2+iε)]です。

 

これについての詳細は,例えば2009年6/14の記事「電磁場の共変的量子化(2)(中西理論;不変デルタ関数)」を参照してください。

 

一方,SFαβ(x-y;m)=<0|T[ψα(x)ψ~β(y)]|0>は自由なDirac粒子の伝播関数で,4×4のspinor行列表現ではSF(x-y;m)=(iγμμ+m)ΔF(x-y;m2)です。

F(x-y;m)は,方程式(iγμμ-m)SF(x-y;m)=-(□+m2F(x-y;m2)=δ4(x-y)を満たします。

 

これのFourie表示はSF(x-y;m)=(2π)-4∫d4p[exp{-ip(x―y)}/(γμμ-miε)]=(2π)-4∫d4p[exp{-ip(x―y)}(γμμ+m)/(p2-m2iε)です。 (注6終わり)※

一般に,<0|T[φ1(x)φ2(y)]|0>を<φ1φ2>と略記すればT[φ1φ2]=:φ1φ2;+<φ1φ2>と書けることがわかります。

これを3つの積に拡張すると,T[φ1φ2φ3]=:φ1φ2φ3;+<φ1φ2>φ3±<φ1φ3>φ2+φ1<φ2φ3>となることがわかります。

以下,操作を繰り返して帰納すると次のWickの定理が得られます。これは既に過去記事(2010年7/6の記事「場理論におけるS行列とLSZの公式(5)」)でも書いているので証明は省略します

[Wickの定理]:T[φ1φ2φ..φn]=Σσ(sgnσF)<φk1φk2><φk3φk4>..<φk(2m-1)φk(2m)>×:φk(2m-1)φk(2m)..φnkn:が成立する。

ただし,和は(1,2,..,n)の中から0≦2m≦nを満たすm個の数の対を選び出すあらゆる可能な組み合わせσについて取る。

 

また:φj:≡φj,:1:≡1とする。

 

(※PS:sgnσFのFはFermionのFの関数を意味していて,Bosonなら如何なるσでもsgnσF≡1と定義しています。(念のため)

 

このブログはもちろん他人に読まれることを意識してはいますが,初学者の教育や誰かの便宜のためではなく,あくまでも自分自身の覚書きとすることを主眼に書いてる日記です。

 

私個人の意見,見解や新発見ではなく,既存の知見をくだいて説明していると私が思ってる部分について,もしわかりにくいとか感じられる場合には,他にきちんと書かれた文献や書物があるのでそちらをご参照されることをお勧めします。

 

あるいは,ご自身で自由に書けるブログやホームページを持たれるのもいいかと思います。※) 

さらに,上で定義した正規積を用いて,相互作用:int(x)=-int(x)を再定義します。

元々,全ての物理変数が可換な古典的量の積から成る相互作用項を量子化して演算子の積として表現する際,一般には非可換な演算子の積の順序については曖昧なものです。

そこで,場の演算子の多項式から成る相互作用:int(x)=-int(x)においても,その各項は単なる演算子の積ではなく正規積であると定義します。

こう定義すれば真空期待値が<0|int(x)|0>=-<0|int(x)|0>=0 のようになって物理的に合理的です。

しかし,この定義では初めからint(x)が同一点xでの場の演算子の正規積で表わされているため,<b|T[int(x1)..int(xn)]|a>のようなT積が同一の時空点の場の演算子の正規積を含みます。

そこで,Wickの定理:T[φ1φ2φ..φn]=Σσ(sgnσF)<φk1φk2><φk3φk4>..<φk(2m-1)φk(2m)>:φk(2m-1)φk(2m)..φnkn:の両辺で特にφjとφkが同一の時空点の正規積に入る場合には,<φjφk>を全てゼロにするという付帯条件をつける必要があります。

 

さて,ここで"如何にしてτ関数(T積の真空期待値=Green関数)から具体的なS行列要素:Sba=<b|S|a>が得られるか?"という疑問に答える理論的公式が存在するので,暫し本論を中断してそれを見てみます。

 

これについて詳述したシリ-ズ記事のうちで2010年7/5に書いた過去記事「場理論におけるLSZの公式(4)」のほぼ全部を再掲します。

 

※(以下は再掲記事です。)

 

"The Reduction Formula for Scalar Fields(スカラー場に対する還元公式)"

 S行列要素の絶対値の2乗:|Sβα|2は始状態(In-state)αから終状態(Out-state)βへの実験的に観測される遷移確率を与えます。

  

そこで,以下ではS行列要素を実際に計算する非常に厄介な課題に向かうことにします。

 1954年まではS行列の計算への唯一の系統的アプローチは相互作用カレントj~(x)のベキによる摂動展開の理論だけでした。

 そのときから後の進歩としては,最初Low,そしてLehmann,Symanzik,およびZimmmermann(LSZ)によって始められた理論展開に由来するものがあります。

 

 彼らは"弱い結合項=摂動"による展開に訴えることなく,S^に含まれる情報の幾つかを表面化する方法を示しました。

 

 それは,物理的に興味あるS行列要素を場の演算子の真空期待値によって表現する方法で,漸近条件:limt→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>やlimt→+∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φoutf|β>を適用することで成し遂げられました。(Zはくりこみ定数)

 

 既に,場の交換子[φ(x),φ(y)]に対して,有用な式Δ'(x-y)=ZΔ(x-y;m2)+∫mt2dσ2ρ2)Δ(x-y;σ2)を導出する際に,真空期待値:iΔ'(x-y)=<0|[φ(x),φ(y)]|0>を扱うことが有利であるという例を見ました。

 

 そこでは,理論のLorentz不変性や他の一般的性質に訴えることによってΔ'(x-y)の簡略な一般形を導きました。

 

 以下ではLSZの方法に従って,Sβα=<β;out|α;in>の形の行列要素より幾らかは扱いやすい場の演算子の積の真空期待値を見出すことから出発します。

 

 別の意味では,場の演算子φ(x)を直接摂動級数で展開する方法で自由なin-field漸近場の演算子の積の真空期待値を用いてS行列要素の展開を作り上げていくことも可能です。

 

 こうした表現の計算規則は既に発見されていて,それは伝播関数アプローチ(propagator-approach)でのFeynmanルールに等しいものです。

 すなわち,Δ'(x-y)を研究する上で訴えられたような不変性の論旨はHeisenberg演算子:φを一意的で不変な真空状態に挟まれた行列要素を研究する場合に最も定式化が容易でうまく使用できるわけです。

 以下では,これら不変性(対称性)の助けを借りてS行列要素Sβα=<β;out|α;in>における物理状態α,βから情報を引き出し,それを真空状態で挟まれた場の演算子の積に表わすLSZの一般的な"Reduction  Teqchnique(還元記述)"を段階的に展開していきます。

 まず,S行列要素:Sβαp=<β;out|αp;in>を考えます。

βは終状態|β;out>において散乱されて出現する粒子を記述しており,|αp;in>は入射粒子の集合αに加えてさらに運動量pを持った入射粒子が存在する状態を表わす始状態(In-state)です。

 

漸近条件を用いてIn-state:|αp;in>から粒子pを差し引く代わりに適当な場の演算子を導入します。

 

そして,ain^()=i∫d3p*(x)∂0φin(x),aout^()=i∫d3p*(x)∂0φout(x)なる表式を用います。

 

すなわち,<β;out|αp;in>=<β;out|ain^+(p)|α;in>=<β;out|aout^+(p)|α;in>+<β;out|ain^+(p)-aout^+(p)|α;in>=<β-p;out|α;in>-i<β;out|∫d3p(x)∂0in(x)-φout(x)]|α;in>です。

  

|β-p;out>は,もしも集合βの中にpが存在するなら,集合βからpを除いたOut-stateを表わします。しかし,βの中にpが存在しないならこの項はゼロであって無くなります。

 

また.|αp;in>が初期に2粒子がある場合の散乱の始状態なら<β-p;out|α;in>は入射粒子と標的粒子が運動量を含め,それらの量子数を保存する前方弾性散乱にのみ寄与します。

 

つまり,<β-p;out|α;in>=δα(β-p)です。

 

(注):|α;in>が1粒子の場合,<β-p;out|P^2|α;in>=α2<β-p;out|α;in>=(β-p)2<β-p;out|α;in>より<β-p;out|α;in>≠0 なら(β-p)2=α2=m2ですから,|β-p;out>も1粒子Out-stateです。

 

そして,<β-p;out|P^μ|α;in>=αμ<β-p;out|α;in>=(β-p)μ<β-p;out|α;in>ですから,<β-p;out|α;in>≠0 は(β-p)μ=αμ,つまりβμ=αμ+pμなる弾性散乱を意味し,しかも方向を変えず素通りする前方散乱のみの振幅です。(注終わり)※

 

さて,<β;out|αp;in>=<β-p;out|α;in>-i<β;out|∫d3p(x)∂0in(x)-φout(x)]|α;in>の右辺の項:-i∫d3<β;out|fp(x)∂0in(x)-φout(x)]|α;in>はGreenの定理から,時間tに依存しません。

 

これは,前にもGreenの定理から√Z<α|φinf|β>においてφinf(t)≡i∫d3*(,t)∂0φin(,t)が時間tに依存しないのでφinfと表現できることを示したのと同様です。

 

そして,漸近条件limt→-∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φinf|β>,およびlimt→+∞<α|φf(t)|β>=√Z<α|φoutf|β>から,x0→-∞ の極限ではφin(,x0)を(1/√Z)φ(,x0)で,x0→+∞ の極限ではφout(,x0)を(1/√Z)φ(,x0)で置き換えることが許されます。

 

それ故,結局<β;out|αp;in>=<β-p;out|α;in>+(i/√Z)(lim x0→+∞-lim x0→-∞)<β;out|∫d3p(x)∂0φ(,x0)|α;in>と書けます。

 

これが"Reduction(還元)"の手続きの第一歩です。

 

これから,より便利な形を得るため,恒等式:(lim x0→+∞-lim x0→-∞)∫d31(x)∂02(x)=∫-∞4x[∂0{g1(x)∂02(x)}]=∫-∞4x[g1(x)∂022(x)-{∂021(x)}g2(x)]を用います。

 

また,(□+m2)fp(x)=0 により,得られた式に∂02p(x)=(∇2-m2)fp(x)を代入します。

(i/√Z)(lim x0→+∞-lim x0→-∞)∫d3<β;out|fp(x)∂0φ(,x0)|α;in>=(i/√Z) ∫-∞4x<β;out|fp(x)∂02φ(x)-{∂02p(x)}φ(x)|α;in>=(i/√Z)∫-∞4x<β;out|fp(x)(∂02+m2)φ(x)-(∇2p(x))φ(x)]|α;in>=(i/√Z)∫-∞4xfp(x)(□+m2)<β;out|φ(x)|α;in>です。

 

最後の変形では部分積分に対するGreenの公式を用いました。

 

こうして最終式として<β;out|αp;in>=<β-p;out|α;in>+(i/√Z)∫-∞4xfp(x)(□+m2)<β;out|φ(x)|α;in>を得ました。

 

この手続きは,始状態と終状態から全ての粒子を取り除き,場の演算子積の真空期待値のみが残るようになるまで繰り返すことができます。

 

例えば,<β;out|αp;in>=<β-p;out|α;in>+(i/√Z)∫-∞4xfp(x)(□+m2)<β;out|φ(x)|α;in>の右辺の因子:<β;out|φ(x)|α;in>の集合βがβ=γp'のとき,これから,さらに粒子p'を取り除きます。

 

<β;out|φ(x)|α;in>=<γ;out|aout^(p')φ(x)|α;in>=<γ;out|φ(x)ain^(p')|α;in>+<γ;out|aout^(p')φ(x)-φ(x)ain^(p')|α;in>=<γ;out|φ(x)|α-p';in>+<γ;out|aout^(p')φ(x)-φ(x)ain^(p')|α;in>です。

 

故に,<β;out|φ(x)|α;in>=<γ;out|φ(x)|α-p';in>-i∫d3<γ;out|φout(y)φ(x)-φ(x)φin(y)|α;in>∂y0p'*(y)を得ます。

 

漸近条件によって再びy0→-∞ の極限ではφin(y)を(1/√Z)φ(y)で,y0→+∞ の極限ではφout(y)を(1/√Z)φ(y)で置き換えることが許されます。

 

このとき,項-i∫d3<γ;out|φout(y)φ(x)-φ(x)φin(y)|α;in>∂y0p'*(y)を時間順序積(T積;T-product)で表現することができます。

 

まず,<γ;out|φout(y)φ(x)-φ(x)φin(y)|α;in>=(1/√Z){lim y0→+∞<γ;out|φ(y)φ(x)|α;in>-lim y0→-∞<γ;out|φ(x)φ(y)|α;in>}です。

 

これは,<γ;out|φout(y)φ(x)-φ(x)φin(y)|α;in>=(1/√Z){lim y0→+∞<γ;out|θ(y0-x0)φ(y)φ(x)+θ(x0-y0)φ(x)φ(y)|α;in>-lim y0→-∞<γ;out|θ(x0-y0)φ(x)φ(y)+θ(y0-x0)φ(y)φ(x)|α;in>}=(1/√Z)(lim y0→+∞-lim y0→-∞)<γ;out|T(φ(y)φ(x))|α;in>とも書けます。

 

最後に,恒等式(lim x0→+∞-lim x0→-∞)∫d31(x)∂02(x)=∫-∞4x[g1(x)∂022(x)-{∂021(x)}g2(x)],および自由平面波の方程式(□y+m2)fp'*(y)=0 の助けを借ります。

 

結局,<γp';out|φ(x)|α;in>=<γ;out|φ(x)|α-p';in>+(i/√Z)∫d4y<γ;out|T(φ(y)φ(x))|α;in>(□y+m2)fp'*(y)なる式を得ます。

 

ただし,記号:g(y)(□y+m2)は,演算子:(□y+m2)が前の関数g(y)に作用すること,つまり(□y+m2)g(y)を意味します。

 

単純に後者のように書けば問題ないのですが,Out状態からの粒子除去をIn状態からのそれと区別してfp'*(y)を後ろに置く表現を際立たせるためにこう表現します。

このReduction(還元)テクニックを繰り返し適用して,行列要素の両側の状態から全ての粒子を除き,場の演算子のT積の真空期待値に到達する道は今や明らかです。

すなわち,全ての運動量対についてpi≠qjの場合には,<p1,..,pn:out|q1,..,qm:in>=(i/√Z)m+nΠi=1m∫d4iΠj=1n∫d4jqi(xi)(□xi+m2)<0|T(φ(y1)..φ(yn)φ(x1)..φ(xm))|0>(□yj+m2)fpj*(yj)となります。

これを書くに当たって簡単のために全ての{pi},{qj}についてpi≠qjを仮定して前方散乱の項を落としました。

 

しかし,これには何の問題もありません。

というのは,これら落とした項もまた同じ還元テクニックをうまく適用すれば,同様な場の演算子のT積の真空期待値に帰着させることが可能だからです。

最終式:<p1,..,pn:out|q1,..,qm:in>=(i/√Z)m+nΠi=1m∫d4iΠj=1n∫d4jqi(xi)(□xi+m2)<0|T(φ(y1)..φ(yn)φ(x1)..φ(xm))|0>(□yj+m2)fpj*(yj)は場の量子論の散乱振幅の全ての計算の基礎となる役割を果たします。

 

        

上図16-2は,(z1,..,zr)でr個の粒子が消滅,または生成するあらゆるFeynman-diagramを表現していることに着目します。

 

この図は<0|T(φ(z1)..φ(zr))|0>を表現していますが,これはr粒子に拡張された完全なGreen関数と見なすことができます。

ReductionFormula:<p1,..,pn:out|q1,..,qm:in>=(i/√Z)m+nΠi=1m∫d4iΠj=1n∫d4jqi(xi)(□xi+m2)<0|T(φ(y1)..φ(yn)φ(x1)..φ(xm))|0>(□yj+m2)fpj*(yj)における因子(□i+m2)の役割を考えます。

この演算は,伝播関数 i/(pi2-m2+iε)に(□i+m2)~ (m2-pi2)を掛けることで互いに相殺させて,Feynman-diagramの相互作用Black-Box部分へと入っていく外線の足から伝播関数を除去します。

  

そして,伝播関数の代わりに外線因子として自由平面波fpi(xi)またはfpj*(yj)を付与するわけです。

Reduction Formula(還元公式)から,S行列要素は完全なr粒子Green関数<0|T(φ(z1)..φ(zr))|0>から外線の足を取り除かれ,質量殻pi2=qj2=m2に置かれた外線運動量を持ったr=n+m個の粒子のGreen関数であることがわかります。

もしも,r粒子Green関数:<0|T(φ(z1)..φ(zr))|0>のFeynman-diagram に(□i+m2)~(m2-pi2);(pi2=m2)を作用させたとき,

 

相殺すべき相手の i/(pi2-m2+iε)の因子が存在せず,p2≠m2の質量殻外の内線仮想粒子の伝播関数因子 i/(p2-m2+iε)が存在するだけなら,m2-pi2=0 が掛かる結果,このdiagramのS行列への寄与はゼロとなって消えます。

 

参考文献:J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields" (McGraw-Hill) 

 

(再掲記事終わり)※

今日はここまでにします。

参考文献:中西襄 著「場の量子論」(培風館) ),J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields"(McGraw-Hill),J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics"(McGraw-Hill)

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2010年11月20日 (土)

場の量子論における摂動論(2)

場の量子論における摂動論の続きです。 

まず,前記事の終わりの部分を再掲します。

※それ故,等価な積分方程式:U(t,t0)=1-i∫t0tdt1int(t1)U(t1,t0)を考えます。もしもHint(t1)が量子演算子でなくただのc-数なら,これはVoltera型の積分方程式の特殊ケースです。

 

 これを形式的な逐次近似法で解きます。

まず,U(t,t0)=1+(-i)∫t0tdt1int(t1)+(-i)2t0tdt1int(t1)∫t0t1dt2int(t2)U(t2,t0)です。

これを無限回繰り返せばU(t,t0)=Σn=0(-i)nt0tdt1t0t1dt2..∫t0tn-1dtn[Hint(t1)Hint(t2).. Hint(tn)]=Σn=0(-i)nt0tdt1t0tdt2..∫t0tdtnθ(t1-t2)..θ(tn-1-tn)[Hint(t1).. Hint(tn)]を得ます。θ(τ)はHeaviside関数です。

この無限展開式は右辺の級数が収束するときに限り意味を持ちますが,もしもHint(t)がc-数なら右辺は常に収束します。(再掲終わり)

 続きを書きます。 

 同時刻では可換,または反可換な演算子群:Φ1(t1),..,Φn(tn)に対して時間順序積(chronical product) or T積(T-product;time-orderd product):T[ ]を次のように定義します。

 すなわち,T[Φ1(t1)..Φn(tn)]≡Σσ(sgnσF)θ(tk1-tk2)..θ(tkn-1-tknk1(tk1k2(tk2)..Φkn(tkn)です。

ただし,σは置換:j→kj (j=1,2,..,n)を表わし,Σσは全ての置換σについて和をとることを意味します。

 

sgnσFは,各置換σにおいてΦ1(t1),..,Φn(tn)のうち反可換なものの部分集合に対する置換が偶置換なら+1,奇置換なら-1という符号因子を示す記号です。

上記定義における演算子群:Φ1(t1),..,Φn(tn)をHint(t1),.. ,Hint(tn)で与えるなら,これらは全て可換なので,このときには常にsgnσF≡1で,T[Hint(t1)..Hint(tn)]≡Σσθ(tk1-tk2)..θ(tkn-1-tkn)Hint(tk1) Hint(tk2).. Hint(tkn)です。

そこで,U(t,t0)の級数展開をU(t,t0)=Σn=0{(-i)n/n!}∫t0tdt1t0tdt2..∫t0tdtnT[Hint(t1)..Hint(tn)]のように変数t1,..,tnについて対称な形に表現できます。

または,symbolicに,U(t,t0)=Texp{(-i)∫t0tdτHint(τ)}と表記します。

 ここで物理的考察から,'t=-∞の初期状態(initial state;始状態),t=+∞の終状態(final state)では|t>I"自由場のFock空間"に相互作用がSwitch-offされる。'という仮定(=断熱仮設)を次式によって導入します。

すなわち,Hint(t) → limε→+0int(t)exp(-ε|t|)なる置き換えをします。

そして,粒子は自由場においては裸の質量(bare mass):m0ではなくて,自己相互作用の着物を着た物理的質量(physical mass or dressed mass):m=m0+δmを持つとします。

 

※例えば,粒子場φ(x)がKlein-Gordon場なら自由運動中のφは(□+m02)φ=0 でなく(□+m2)φ=0 を満たすとします。※

そして,演算子SをS≡U(∞,-∞)=Σn=0{(-i)n/n!}{limε→+0-∞dt1-∞dt2..∫-∞dtnT[Hint(t1)..Hint(tn)]exp(-εΣj=1n|tj|)}で定義します。

これを,相互作用Hamiltonian:Hint(t)の代わりに,Hamiltonian密度:int(x)で書けばS≡Σn=0{(-i)n/n!}{limε→+0∫d41∫d42..∫d4nT[int(x1)..int(xn)]exp(-εΣj=1n|xj0|)}と共変性が明確な形に表現されます。

こうして定義されたS演算子をDysonのS行列と呼びます。

 

上記表現も,symbolicにS=Texp{(-i)∫d4int(x)}=Texp{i∫d4int(x)}と表わすことができます。

 これらの形から,Sのユニタリ性(unitality=確率の保存性):S+S=SS+=1が成立することは明らかです。

 

 ところが,式に基づいてSの真空期待値:<0|S|0>を具体的に計算すると,これが1にはならないことがわかります。

 

 こうした矛盾に見えることが生じる原因は,真空自身が場の存在によって影響されるため(自己相互作用のため)で,これを真空偏極(Vacuum polarization)と呼びます。

 しかし,実際<0|SS+|0>=Σn<0|S|n><n|S+|0>=Σn|<0|S|n>|2ですが,(真空の一意性から)測度ゼロのnを除いて|>≠|0>なら<0|S|n>=0 であるべき,つまり<0|0>=|<0|S|0>|2となるべきですから,真空|0>が規格化されている限り<0|S|0>=1です。

そこで,この要請を満たすように改めてS/<0|S|0>をS行列(S^matrix:S演算子)と再定義します。

(注3):これはある意味で"くりこみ処法(renormalization:再規格化)"そのものです。

 

 つまり,|0>は規格化された真の真空ではなく,本当の真空は|0>=c|0>であって,1=<0|S|0>=|c|2<0|S|0>,|c|=<0|S|0>-1/2であると考えて,原因を|0>の方に帰せしめるやり方です。

実際,後述するτ関数において,<0|S|0>=<0|Texp{i∫d4int(x)}|0>の表わすFeynman-diagramsは,外線の足のない真空偏極の泡グラフ(Vacuum-bubble diagram)です。(下図)

  

後述のm本の外線の足を持つτ関数はτ(x1,x2,..,xm)≡<0|T[φ1(x1)φ2(x2)..φm(xm)]|0>=<0|T[Sφ1(x1)..φm(xm)]|0>/<0|S|0>で与えられます。

 

これの右辺の分子が表わす全てのFeynmanグラフは,非連結因子として分母の<0|S|0>と同じ真空泡グラフの因子を持ちます。

 

そして,分子の寄与から分母と同じ因子が相殺されて残っ連結グラフのみが遷移確率に寄与するわけです。(注3終わり)※

DysonのS行列(散乱行列)では,行列要素(matrix elements)は,"自由場のFock空間"の基底ベクトルで指定されます。

 

すなわち,a→bなる反応の散乱行列要素をSba=<b|S|a>のように表わします。そして,Sは特に全く反応しない1も含みます。

 

(※つまり,衝突も何もせずただ自由に運動している反応:a→aではSaa=<a|S|a>=<a|a>=1です。※)

 

そして,如何なる反応でもエネルギー・運動量は保存されるので,S行列要素は,Sba=<b|S|a>≡<b|a>+i(2π)4δ4(pb-pa)<b|T|a>のように表現できるはずです。

 

これは演算子Tの定義式でもあります。

行列要素:Tba=<b|T|a>で定義されるTはpb=paの上でのみ定義される行列です。これを遷移行列(transision matrix),あるいはT行列といいます。

そして,SS+=1によって自由場が完全系をなすなら,Σc<b|S|c><c|S+|a>=<b|a>です。(物理的な正定値ノルムの状態空間の場合)

(注4):不定計量のHilbert空間の場合でも"|a>が物理的状態(physical state)ならS|a>も物理的状態である。"という条件が満たされるなら,|a>,|b>が共に物理的なとき,中間状態|c>も正ノルムの状態(物理的状態)に限れば,同じ式:Σc<b|S|c><c|S+|a>=<b|a>が成立します。(注4終わり)※

そこで,一般に成立する等式:Σc<b|S|c><c|S+|a>=<b|a>に<b|S|a>≡<b|a>+i(2π)4δ4(pb-pa)<b|T|a>を代入します。

 

すると,Σc<b|T+-T|a>=(2π)4Σcδ4(pc-pa)<b|T|c><c|T|a>なる式が得られます。

特に,|b>=|a>を代入すれば,2Im<a|T|a>=(2π)4Σcδ4(pc-pa)|<a|T|a>|2なる等式を得ます。

ところで,Sba=<b|S|a>≡<b|a>+i(2π)4δ4(pb-pa)<b|T|a>により,"単位時間ごとの終状態の運動量bの空間への遷移確率密度=遷移速度(transision velociry)":wbaはwba=(2π)4δ4(pb-pa)|<b|T|a>|2で与えられます。

なぜなら,b=aの遷移ではa→bの遷移確率は|Sba|2=|<b|S|a>|2=[(2π)4δ4(pb-pa)]2|<b|T|a>|2ですが,(2π)4δ4(pb-pa)=∫d4xexp{-i(pb-pa)x}ですから,pb=paのとき(2π)4δ4(pb-pa)=VT(Vは全反応空間の体積,Tは全反応時間)と同定されるからです。

 

そこで,wba≡|Sba|2/(VT)=(2π)4δ4(pb-pa)|Tba|2と解釈されるわけです。

先に得られた等式:2Im<a|T|a>=(2π)4Σcδ4(pc-pa)|<a|T|a>|2は,ImTaa=(1/2)Σbbaと書き直せますが,この左辺は前方散乱の遷移振幅の虚部です。

 

この関係は光学定理(optical theorem)として知られています。

もしも反応a→bが2体散乱:1+2→1+2を示す場合には,衝突する2粒子1,2の相対速度の大きさをv(≡|12|),衝突する前の始状態の確率密度をそれぞれρ12(自由粒子ならρ1=ρ2=(2π)-3)とすると,散乱の微分断面積はwba/(vρ1ρ2)を終状態|b>の3次元運動量領域で積分すれば得られます。

(※つまり,dσ={wba/(vρ1ρ2)}(2π)-63132)

 また,反応a→bが不安定粒子の崩壊を示す場合,その崩壊確率(decay rate):1/τも同様に求めることができますが,崩壊前の状態:|a>が不安定な1粒子のみなので,wba/(vρ1ρ2)のvρ1ρ2をその不安定粒子の確率密度ρに置き換える必要があります。

(※つまり,τ=∫(wba/ρ)(2π)-63132)

 さて,以下では相互作用表示に対してHeisenberg表示の演算子を太字で書くことにします。

 天下り的ですが,τ(x1,x2,..,xm)≡<0|T[φ1(x1)φ2(x2)..φm(xm)]|0>なる関数を定義し,これを(m点-)τ-関数,または(m点-)Green関数と呼びます。

 以下,Heisenberg表示で書かれたτ-関数の表現を相互作用表示で表わすことを目指します。

まず,簡単のために同種粒子の2点関数であるτ(x,y)=<0|T[φ(x)φ(y)]|0>を考えます。

時刻:x0=0 でHeisenberg表示:φ(x)とSchrödinger表示:φ()が一致するとすれば,φ(x)=exp(iHx0)φ()exp(-iHx0)です。

相互作用表示は,φ(x)=exp(iH00)φ()exp(-iH00)で与えられますから,直接相互作用表示:φ(x)とHeisenberg表示:φ(x)の関係はφ(x)=exp(iHx0)exp(-iH00)φ(x) exp(iH00)exp(-iHx0)となります。

故に,<0|φ(x)φ(y)|0>=<0|exp(iHx0)exp(-iH00)φ(x)exp(iH00)exp{-iH(x0-y0)}exp(-iH00)φ(y)exp(iH00)exp(-iHy0)|0>です。

ここで,前に書いたように,U(t,t0)=exp(iH0t)exp{-iH(t-t0)}exp(-iH00)を用いると,U(0,x0)=exp(-iHx0)exp(-iH00),U(y0,0)=exp(iH00)exp(iHy0),U(x0,y0)=exp(iH00)exp{-iH(x0-y0)}exp(-iH00)です。

そこで,<0|φ(x)φ(y)|0>=<0|U(0,x0)φ(x)U(x0,y0)φ(y)U(y0,0)|0>と表現できます。

 

そして,前にも述べたように,ここでの真空:|0>は本当の真空であり,断熱仮設で相互作用を抜き去った自由場の真空(相互作用表示の真空):|0>とは異なります。

しかし,時刻x0=0 ではHeisenberg表示,Schrödinger表示,相互作用表示の全てが一致するので,x0=0 での真空も位相因子を除いて一致して,|0>=exp(iθ)U(0,-∞)|0>,<0|=exp(-iθ')<0|U(+∞,0)と書けるはずです。

そこで,<0|0>=1によって1=exp{-i(θ'-θ)<0|U(∞,-∞)|0>=exp{-i(θ'-θ)<0|S|0>,すなわち=exp{-i(θ-θ')=<0|S|0>なる関係式を得ます。

このことから,最終的に<0|φ(x)φ(y)|0>=<0|U(+∞,x0)φ(x)U(x0,y0)φ(y)U(y0,-∞)|0>/<0|S|0>を得ました。

したがって,U(+∞,-∞)=Σn=0{(-i)n/n!}{limε→+0∫d41∫d42..∫d4nT[int(x1)..int(xn)]exp(-εΣj=1n|xj0|)}etc.により,

 

T積では,<0|T[φ(x)φ(y)]|0>=Σn=0{(-i)n/n!}{limε→+0∫d41∫d42..∫d4n exp(-εΣj=1n|xj0|)<0|T[int(x1)..int(xn)φ(x)φ(y)]|0>/<0|S|0>と書けます。

これも,Symbolicにτ(x,y)=<0|T[φ(x)φ(y)]|0>=<0|T[Sφ(x)φ(y)]|0>/<0|S|0>と略記できます。

これを,一般のm点-τ関数に拡張すると,明らかにτ(x1,x2,..,xm)=<0|T[φ1(x1)..φm(xm)]|0>=<0|T[Sφ1(x1)..φm(xm)]|0>/<0|S|0>です。

そこで特にx10,..,xk0を+∞に,xk+10,..,xm0を-∞に近づける特別なケースを想定すると,<0|T[φ1out(x1)..φkout(xk)]T[φk+1in(xk+1)..φmin(xm)]|0>=<0|T[Sφ1(x1)..φk(xk)]ST[φk+1(xk+1)..φm(xm)]|0>/<0|S|0>が成立すると考えられます。

左辺の漸近場:φjout(xj)からは消滅演算子,φjin(xj)からは生成演算子を抜き出せば,右辺からも同じ自由場の方程式を満たすφj(xj)に対して対応する消滅,生成演算子を抜き出すことができます。

このことから,別に漸近場φjout,φjinを用いて定義したS行列要素:Sβα≡<βout|αin>と,ここでのDysonのS行列が等価であることがわかります。

さて,DysonのS行列:S=Σn=0{(-i)n/n!}{limε→+0∫d41∫d42..∫d4nT[int(x1)..int(xn)]exp(-εΣj=1n|xj0|)}は,右辺がint(x)=-int(x)のベキ級数の形になっています。

通常,相互作用int(x)は結合定数について1次なので,上式は結合定数のベキ級数とも考えられます。

 

そして,一般に結合定数のベキ級数を摂動級数(Perturbation series)といい,S行列やτ関数を摂動級数展開で計算する手法を摂動論(Perturbation theory)による方法といいます。

 

ここで展開した定式化に比べて,通常の量子力学の古い形式の摂動論は共変的でもなく場理論的にはかなり見通しが悪いものです。 

今日はここまでにします。 

参考文献:中西襄 著「場の量子論」(培風館),J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields"(McGraw-Hill),J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics"(McGraw-Hill)

 

PS:mixiである友人の日記に書いた私のコメントを載せてみます。

 別に仙石氏や民主党に義理はないけれど,世間の多くとは反対に,私は"暴力装置"発言について至極もっともな本音の発言と納得しました。

 

 みんな何を怒っているのか?が正直理解できません。
 
 拘束力のない法やペンは無力でしょう。

 

 法治体がそのバックに警察や軍隊など"力=暴力"で罰を下すというシステムを持つからこそ,法が実効力を持つわけです。

 

 だから現状で"暴力装置"として機能していることには何の違和感もないし悪い意味に解釈することもありません。。

 平時には軍隊(自衛隊)や警察(おまわり)は,暴力以外のジョブもこなすので,単純な"暴力装置"だけではないけど,この言葉がその典型的性格を捉えているので問題ないと思います。

 "言葉の定義を述べたら怒られるの?,あるいは,本音でなくオブラートに包んだ建前で答えないと怒られるの?(または暴力(violence)でなく武力とでも言えばいいの?)
"というのが私の感想です。

 実は私自身が常日頃,"権力=暴力装置,または核などの持ち主"という言葉をよく使っています。

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2010年11月19日 (金)

場の量子論における摂動論(1)

 今日の記事も10月のブログ休止中に作ったノートからです。ほぼ1ヶ月もありましたからね。。

当面個人的関心を持って作業中の課題に関連してφ4理論を詳しく考察したいという動機があり,それに際して紫外発散のくりこみ(renormlization)において正則化すべきFeynman積分が現われる過程など,摂動論の基礎を復習したいと考えたわけです。

主として培風館から出ているシリーズの中西襄さんが書かれた「場の量子論」を参考にしました。したがって,経路積分による定式化ではなく伝統的な理論を記述します。

 まず,相互作用表示(interaction-picture)の話から始めますが,最初に朝永振一郎氏が創案したといわれる超多時間形式について述べます。

 

 n個の粒子がそれぞれ空間座標:(1),(2),..,(n)をもつ場合,一般にはそれらに共通な時間(時刻)tというものはなく,それぞれに対応する時刻:x0(1),x0(2),..,x0(n)を導入する必要があります。

そして,全ての相異なるj,kに対して性質:(x(j)-x(k))2<0 (2点間の距離が空間的(space^like))が成立しているなら,Einsteinの微視的因果律(microscopic causality)のために,こうした多時間で矛盾なく定義可能です。

 

これを利用した4次元座標による共変的定式化を多時間形式(many-time formalism)といいます。

(※(注):空間的:(x(j)-x(k))2=(x0(j)-x0(k))2-((j)(k))2<0 というのは2事象:x(j),x(k)が同時刻:x0(j)=x0(k)に異なる空間点:(j)(k)をとるような慣性座標系が存在可能なることを意味しています。※)

 多時間形式の考え方を場の量子論に拡張したものが超多時間形式(super-many-time formalism)です。(朝永振一郎(S.Tomonaga)(1943)による。)

これにおいては,nという有限個の時間の代わりに空間的超曲面σなる概念を導入します。 

すなわち,σをある連続関数:fσに対してx0≡fσ()を満たす点(x0,)の全体と定義します。ただし,fσはこの超曲面σ上の任意の2点x,yが互いに空間的位置にある,つまり(x-y)2<0 を満たすように与えられた関数とします。

特に,fσがfσ()=(一定)なる定数値関数なら,σはx0=(一定)の超平面なので,このときには普通の時間tに同一視できます。

そして,超多時間形式での状態ベクトルを|σ>と表記します。

 

σxを超曲面σ上の点x=(xμ)=(x0,)の近傍だけでσと僅かに異なる空間的超曲面とし,σxとσで挟まれた微笑部分の4次元体積をωxとします。つまり,ωx≡∫d3[fσx()-fσ()]です。

そして,時間微分に相当する超多時間形式での微分をσの変分:δ|σ>/δσ()≡limωx→0[{|σn>-|σ>}/ωx]で定義します。

次に,相互作用のある多体系に対して相互作用表示(Interaction picture)を導入します。

 

系のHamiltonian:HはH=H0+Hintのように自由場のHamiltonian:H0と相互作用のそれ:Hintの和に分割できます。(※(注):むしろ,Hint≡H-H0でHintを定義すると考えるべきかも知れません?)

なお,以下,Plank定数:hc≡h/(2π)と光速cを1とする自然単位を採用して論じます。

さて,通常のSchrödinger方程式は|t>Sを時刻tにおけるSchrödinger表示(Schrödinger- picture)の状態ベクトルとして,i(∂|t>S/∂t)=H|t>Sと表現されます。

一方,同じ状態の相互作用表示:|t>Iを|t>I≡exp(iH0t)|t>Sで定義します。

すると,i(∂|t>I/∂t)=exp(iH0t)(H-H0)|t>S=exp(iH0t)Hint|t>S=exp(iH0t)Hintexp(-iH0t)|t>Iですから,相互作用Hamiltonianの相互作用表示をHint(t)≡exp(iH0t)Hintexp(-iH0t)と定義すれば,Schrödinger方程式はi(∂|t>I/∂t)=Hint(t)|t>Iなる形に変形されます。

 相互作用が微分結合を含まないなら,相互作用Hamiltonian:Hintはいくつかの場φjの多項式を3次元空間積分したもので与えらx+れます。

Schrödinger表示では演算子は時間tによらないため,それぞれの場をφj()(j=1,2,..,n)と書けば,HintはHint1(),φ2(),..,φn()]なる関数形を持ちます。

 

そこで,Hint(t)=Hint1(t,),φ2(t,),..,φn(t,)]と書けます。ただしj(t,)≡exp(iH0t)φj()exp(-iH0t)で,この演算子φj(t,)は自由場の演算子φj(x)と同定されます。

(注1):Schrödinger表示での演算子をOS,Heisenberg表示での演算子をOH(t)とすると,OH(t)=exp(iHt)OSexp(-iHt),またはOS=exp(-iHt)OH(t)exp(iHt)と書けます。

Sが全く時間tに依存しないとき,OH(t)は∂OH/∂t=i[H,OH],またはi(∂OH/∂t)=[OH,H]なる時間発展の方程式を満たします。これをHeisenbergの運動方程式といいます。

一方,相互作用表示では同じ演算子はOI(t)=exp(iH0t)OSexp(-iH0t)で与えられますから,形としては自由Hamiltonianに対するHeisenbergの運動方程式:∂OI/∂t=i[H0,OI],またはi(∂OI/∂t)=[OI,H0]を満たします。

直接,相互作用表示とHeisenberg表示の関係はOI(t)=exp(iH0t)exp(-iHt)OH(t)exp(iHt)exp(-iH0t)です。

また,Hamiltonianは Schrödinger表示では,H=H0+Hintであり,特に相互作用部分であるHintは,相互作用表示ではHint(t)≡exp(iH0t)Hintexp(-iH0t)と表わされます。

特に,粒子場の演算子は空間と時間tに依存するHeisenberg演算子ですから,それをφjH(x)=φjH(t,)(j=1,2,..,n)と書き,OH(t)≡φjH(t,)と置くとそのHeisenbergの運動方程式:i(∂φjH/∂t)=[φjH,H]は相互作用する粒子場の方程式に一致するはずです。

そして,Schrödinger表示のtに依存しない場の演算子φjSはφjS()=exp(-iHt)φjH(t,)exp(iHt)で与えられますが,これは本文の中で与えたφj()=φjH(0,)と同じものです。

したがって,相互作用表示の場の演算子:φj(t,)≡exp(iH0t)φj()exp(-iH0t)は,自由Hamiltonianに対するHeisenbergの運動方程式:i(∂φj/∂t)=[φj,H0]を満たします。

この自由粒子の運動方程式:i(∂φj/∂t)=[φj,H0]は自由場の方程式に一致するので,結局φj(x)=φj(t,)を自由場の演算子と同定できるわけです。(注1終わり)※

故に,Hint(t)=Hint1(t,),φ2(t,),..,φn(t,)]=Hint1(x),φ2(x),..,φn(x)]は自由場の演算子φ1(x),φ2(x),..,φn(x)の関数で表現した相互作用Hamiltonianである,といえます。

(注2):HH(t)=exp(iHt)HSexp(-iHt)=exp(iHt)H[φ1(),φ2(),..,φn()]exp(-iHt)=H[φ1H(x),φ2H(x),..,φnH(x)]=H01H(x),φ2H(x),..,φnH(x)]+Hint1H(x),φ2H(x),..,φnH(x)]です。

また,HI(t)=exp(iH0t)HSexp(-iH0t)=exp(iH0t)H[φ1(),φ2(),..,φn()]exp(-iHt)です。あるいはHI(t)=exp(iH0t)exp(-iHt)H[φ1H(x),φ2H(x),..,φnH(x)]exp(-iHt)exp(-iH0t)です。H=H0+Hint,

Schrödinger表示でのHamiltonian:H=H0+Hint=H[φ1(),φ2(),..,φn()]に対して,相互作用部分:Hint1(),φ2(),..,φn()]はHeisenberg表示ではHint1H(x),φ2H(x),..,φnH(x)]=H[φ1H(x),φ2H(x),..,φnH(x)]-H01H(x),φ2H(x),..,φnH(x)]です。

そして,HIint(t)=exp(iH0t)Hint1(),φ2(),..,φn()]exp(-iH0t)=Hint1(t,),φ2(t,),..,φn(t,)]ですが,これは先に与えたHint(t)=Hint1(x),φ2(x),..,φn(x)]と同じものです。

そこで.Hint(t)は確かに自由場の演算子φ1(x),φ2(x),..,φn(x)の関数で表現した相互作用Hamiltonianといえるわけです。(注2終わり)※

さて,時刻tにおける相互作用Hamiltonian:Hint(t)に対して,Hint(t)≡∫d3int(t,)で定義されるHamiltonian密度:int(x)=int(t,)を考えます。

相互作用に微分結合がないときには,相互作用Lagrangian:Lint(t)に対してLint(t)≡∫d3int(t,)で定義されるLagrangian密度をLint(x)=Lint(t,)とすると,int(x)=-Lint(x)です。

そこで,微分結合がないときは相互作用表示の運動方程式:i(∂|t>I/∂t)=Hint(t)|t>Iを超多時間形式の変分:δ|σ>/δσ(x)≡limωx→0[{|σn>-|σ>}/ωx] (ωx≡∫d3[fσx()-fσ()])で表わすとiδ|σ>I/δσ(x)=int(x)|σ>Iとなります。

 

この最終形:iδ|σ>I/δσ(x)=int(x)|σ>IをTomonaga-Schwinger方程式といいます。この方程式は明確に共変形です。(以下では,簡単のためにTomonaga-Schwinger方程式をT-S eq.と略記します。)

方程式:T-S eq.は無限自由度の連立偏微分方程式ですが,これの解が存在するためには(xσ-yσ)が空間的距離の任意の2点xσ,yσに対して,δ2|σ>I/{δσ(x)δσ(y)}=δ2|σ>I/{δσ(y)δσ(x)}が成立することが必要です。

この条件は,T-S eq.では,"(x-y)2<0 を満たす任意のx,yに対して[int(x),int(y)]=0 が成立する。"という条件と同値です。これをT-S eq.の微分可能条件(integrability-condition)といいます。

この微分可能条件は因果律,つまり局所可換性が満たされていれば少なくとも形式的には常に満たされます。

ただ,相互作用に微分結合がある場合には,int(x)=-Lint(x)が成立せず, T-S eq.が共変とは限りません。

しかし,空間的超曲面σ上の点x=(xμ)におけるσの法線方向単位ベクト:n(x)=(nμ(x))を導入して,int(x)の代わりにint(x,n(x))のような量を採用すれば共変的定式化が可能らしいです。

以下では,相互作用には微分結合がない場合,つまり相互作用Hamiltonianは場の多項式のような直接結合だけを含むと仮定します。

さて,先に得られたT-S eq.は空間的超曲面σ上を用いることにより基本方程式を共変な形に表現しています。

しかし,実際問題を扱う場合,最終結果は特定のσには依存せず,結果にσが残ることはないので,T-S eq.iδ|σ>I/δσ(x)=int(x)|σ>Iを解く代わりに,i(∂|t>I/∂t)=Hint(t)|t>Iを解いても結果は同じです。

そこで,以下では超多時間形式は意識せず,専ら後者の方程式i(∂|t>I/∂t)=Hint(t)|t>Iを基本方程式と考えて,これを解くことに集中します。

さて,U行列と呼ばれる量:U(t,t0)を導入して基本方程式:i(∂|t>I/∂t)=Hint(t)|t>Iの解を|t>I≡U(t,t0)|t0Iと表現すれば,元の微分方程式はi{∂U(t,t0)/∂t}=Hint(t)U(t,t0),U(t0,t0)=1と書き直せます。

これと,Hint(t)のHermite性からU(t,t0)はU(t,t1)U(t1,t0)=U(t,t0),およびU(t,t0)=U(t,t0)-1=U(t,t0)なる性質を持つことがわかります。

さらに,Hint(t)=exp(iH0t)Hint exp(-iH0t)を微分方程式に代入するとi[∂{exp(-iH0t)U(t,t0)}/∂t]=(H0+Hint)exp(-iH0t)U(t,t0),すなわちi[∂{exp(-iH0t)U(t,t0)}/∂t]=H{exp(-iH0t)U(t,t0)}となります。

これは形式的に解けてexp(-iH0t)U(t,t0)=exp{-iH(t-t0)}exp(-iH00)より,U(t,t0)=exp(iH0t)exp{-iH(t-t0)}exp(-iH00)を得ます。

 

しかし,これでは解を求めたというより単にSchrödinger表示に戻っただけで共変形でもありません。

そこで,Hint(t)の具体的な形は既知としてi{∂U(t,t0)/∂t}=Hint(t)U(t,t0),U(t0,t0)=1を解く必要があります。

それ故,等価な積分方程式:U(t,t0)=1-i∫t0tdt1int(t1)U(t1,t0)を考えます。もしもHint(t)が量子演算子でなくただのc-数なら,これはVoltera型の積分方程式の特殊ケースです。

 

これを形式的な逐次近似法で解きます。

まず,U(t,t0)=1+(-i)∫t0tdt1int(t1)+(-i)2t0tdt1int(t1)∫t0t1dt2int(t2)U(t2,t0)です。

 

これを無限回繰り返せば,U(t,t0)=Σn=0(-i)nt0tdt1t0t1dt2..∫t0tn-1dtn[Hint(t1)Hint(t2).. Hint(tn)]=Σn=0(-i)nt0tdt1t0tdt2..∫t0tdtnθ(t1-t2)..θ(tn-1-tn)[Hint(t1).. Hint(tn)]を得ます。θ(τ)はHeaviside関数です。

この無限展開式は右辺の級数が収束するときに限り意味を持ちますが,もしもHint(t)がc-数なら右辺は常に収束します。

今日はここまでにします。 

参考文献:中西襄 著「場の量子論」(培風館) ),J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields"(McGraw-Hill),J.D.Bjorken & S.D.Drell"Relativistic Quantum Mechanics"(McGraw-Hill)

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2010年11月17日 (水)

またPCクラッシュ,すぐに復活

 11月15日(月)早朝,デスクトップPCでメディアプレイヤー使用中に突然画面がブラックアウトしてしまいました。

 PCが自動的に再起動した後,"セーフモード,以前正常起動,通常起動"の選択画面で,キーボードのEnterにPCが反応せず,どうしてもWindows起動の画面に至りません。

 そのため,PC中毒の私は1日間だけはいろいろ試して四苦八苦した挙句,16日夜には購入店に持参して同型機と交換してもらい,今復活したところです。

 (おかげで手話教室をはじめて休みました。)

 購入店は秋葉原のソフマップ中古店ですが,10月20日に購入して,無料保証期間が1ヶ月なのでギリギリセーフでした。

 まあ,13800円の中古機にノーブランドの1380円の512MBのメモリーを追加してトータルメモリーを1GBにした額面15180円程度ですから少しの期間で壊れても仕方ないところはありますが。。。。

 機種は今はLenoboに変わったIBMのThink-Centreという横置きのミニデスクトップだったので私の体力でもリュックの中に入れて運ぶことが可能でした。

 しかし,昨年11300円で買って1年でオシャカになったemachinesといい,今回の機種といい,いくら安物といっても最低2年くらいは働いてもらわないと合点がいきませんネ。

 中古なので初期不良での交換は無理かな?と思いましたが,さすが秋葉原のソフマップです。

 店内に型は1年古いですが,ほぼ同型の中古マシンがありました。

 これは,メモリーは持参したマシンより256MB多く1.2GB実装ですが,CPUがPentiam4の3GHzではなくてCeleronの2.66GHzなので若干パフォーマンスが落ちるだけが違うほとんど同じものです。

 売価は1000円くらい高いものでしたが,追加無料で交換してもらいました。

 いや,今度のマシンは軽いです。

 今まで,再起動が必要なソフトをインストールするたびに,起動トラブルで強制シャットダウンを数回繰り返した後,やっと復元していたけれど店まで運ぶのが面倒なこともあって,だましだまし使っていたのと比べると雲泥の差です。

 こんなことならもっと早く購入店に相談すべきでしたね。

 思うに,不運にも不良ロットに当たっただけだったかもしれません。

 私のスキルがまったくのゼロなら,すぐにサービスにヘルプを申し出ていたかも知れませんが,生じっか小賢しい知識があったのでジタバタして時間を浪費したのかも。。。。

 取り合えず,必要なソフトだけを再インストールした今のところは,これまでよりはるかに安定しています。

 なぜか,両機ともAdobeのFlash-Playerインストールが失敗でYouーTubeなどはまだ見られませんが,必要なデータ類はクラッシュを見越して全て外付けのハードディスクに入れているので当面は問題なしです。

 早く,以前のようにPCのご機嫌を気にせずに作業したいものです。

PS:今日11月17日は大正9年生まれの私の母親(志津子)の90歳の誕生日です。岡山県倉敷市にいて2008年6月以来会っていませんが足が弱くなった以外は健康らしいです。

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2010年11月14日 (日)

私の近況!!

 今年の6月の21日から今まで,毎月8日間の休日を除いてほぼ5ヶ月間,ある職場というより施設のようなところで障害者としての時給800円程度をいただいて毎日数時間程度の軽作業をしています。

(その他に,還暦を迎えたので,学校出てから42歳11月までは厚生年金対象会社の正社員であったおかげで微々たる年金収入もあります。)

 はるか昔の正社員時代と変わらず,飲み屋から直行で酒の匂いをプンプンさせてここへ出勤することもありますが,今のところ無遅刻,無欠勤です。

 数十人の障害者作業者の集まりに,6~7人当たり一人の援助スタッフが付いて,将来的収入が見込める作業のための職業訓練を兼ねた人もいれば,現実に稼ぎになる仕事をやる人々もいます。

 ここは東北にある法人が今年4月に開いたもので一応,高齢者介護のデイサービス準備中です。

 それが本格的に始まれば,私のヘルパー2級の資格を生かすこともできるので,微力でもスタッフも含めた仲間全体をもっと食べさせる手助けができると思うのですが,今のところはお世話になりっぱなしで給金いただくのが申し訳ないくらいです。

(布や紙でいろいろな品を作ったりする作業は私には新鮮で楽しいですが,もしもその合間に肉体障害は関係ないデスクワークのシミュレーションやアセスなど計算業務やデータ入力,文書作成,あるいは座わって教えられる理系の教育とか,私にできる仕事があれば,もっと稼いであげられると思うのですが。。)

 私は,障害者として認定されているのは心臓病(心不全:内部障害)ですが,その原因となった糖尿病や,両足の(糖尿性神経障害+動脈硬化),それに低血圧と腎性貧血,網膜症(眼底出血)etc..と障がいはますます増えていってますが,心は晴れ晴れしていて以前よりも健康に見えるらしいです。

 施設には,私のように純粋?な肉体的障害者は約1割,脳梗塞,脳出血のせいでの半身麻痺や言語障害の人,薬害?や交通事故による障害者等を加えても2割でそれに聴覚障害者が2割です。

 残りは十代後半から20代始めの若い自閉症?の方々や若くはない発達障害?の方々,かつては精神薄弱と呼ばれていた知的障害,そして統合失調症(旧:精神分裂症?),うつ病やそううつ病,そしてハウスダスト,化学物質や嗅覚などのアレルギーの人,中には酒の匂いもダメな方もいて精神系に問題を抱えておられる人が大半です。

 したがって,たとえは悪いかもしれませんが,仕事場はまさに昼間からひどい酔っ払い客と酔っ払ってない客,そして店のスタッフが混在する飲み屋の中のような"カッコーの巣の上"状態です。

 ただし,こうしたほぼストレスフリーな"温室内=施設内"ではどこが障害なのかが不明に見える人ても,外で会うと挨拶してもシカトしたり,外部で一緒に行きたい所があってもそこまでの人ゴミがダメ(例えば日本では普通の電車の向かい合わせのシートに座るのが苦手)とかの事情があるようです。

 私は,純粋な肉体的障害者といいながら,24歳から今まで軽いながらも,うつ病?(ノイローゼ)持ちですから経験上そうしたこともわかります。

 そもそも世間的には変態?である私にとって,ここはある意味でオアシスであり,望み通りのボランテイアも仕放題ですから,これで食べていけるギリギリのお手当てさえあれば,まさに"水を得た魚"を地で行く環境です。

(私は押しが強く,歳のせいもあって既に牢名主になりつつあります。)

 ただ,健常者?のスタッフたちの中には,まだこうした方々の支援は不慣れで壊れてしまいそうに見える人もいて心配です。それが望みでなければ,深入りせず,カラッと処理しないとアブナイですよ。

 高齢者介護でも認知症の人がたくさんいますが,ここでは年齢も含めもっと複雑で、ときどき諍いもあるようですし給料も安いみたいなのでやめてしましそうな女性とか。。。。

 (ある種向き不向きは仕方ないことでもあります。。)

PS:,2007年8月からの成り上がり障害者ですが,身体障害者手帳があるのでいくらか特典があるみたいです。

 3級以上だと何がしかのお金が支給され,2級以上だと障害者年金ももらえるらしいのですが,4級だと上野動物園など都の有料公共施設やそれに準ずる有料施設への入場料が無料になるとか,都営地下鉄,都バス,都電の料金が無料になるくらいです。

 まあ,1,2級の重度障害だと物理的に働くことが不可能なはずですが,4級認定は働くことが可能な程度の軽い障害というわけですから,むしろ重度でないことはありがたいことです。

 他の人のコトはいざ知らず,何の貰うイワレもない私が税金など他人さまの施しを当てにすること自体,我ながら本当に"さもしい"ことと感じています。。

(↑本当に自分のコトだけ自分勝手な八方美人のオナニー野郎!!。。)

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2010年11月11日 (木)

野田澤彩乃女流が入籍!!オメデトウ

 ↓ ブログによれば先月末に「野沢菜ちゃん」こと野田澤彩乃さんが入籍されたそうです。おくればせながらご結婚おめでとうございます。

     

 お倖せにね。。。

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2010年11月 9日 (火)

赤外発散の初期論文(3)

 大分,間があきましたが赤外発散の初期論文の紹介の続きです。

 

 気ままで飽きっぽい性格なので,ただ単に既に鑑賞し終わって

歴史的意味はあっても,私の中では既にこれ以上の発展性がなく,

より理解しやすい別の文献の存在を知っている,対象について,

最後まで記述するのさえ,気が向かないということもあります。

 

まあ,特にタイピングに手間取っているだけなのですが,

いつまでも休止期間中のExerciseにばかり関わってるわけ

にもいかないという気持ちもあるので,多少急ピッチで記事

の最終回としました。

 

論文の第Ⅲ章からです。

 

.Application to small Perturbation on the electron;

Transition Probabilities and Mean radiated energy

(電子小摂動への応用;遷移確率と平均放射エネルギー)

 

 さて,まず,下に解:(17)を再掲します。

 

 u=u(μ,m)

 =γ(μ1/2exp[(i/hc)(mc(1-μ2)–1/2μ,)

 +iΣσcos(s){Q-(1/2)σsin(s)}]

 Πmsλ(Q-σsin(s))(17) です。

 

 これは,電子に作用する外的摂動が小さいときの遷移確率の

計算に利用できます。

 

 それぞれ量子数がm,n,速度が=cμ,=cνの電子

で特徴付けられる2つの状態間の遷移を考えます。

 

 電子の位置座標とスピンにかかる相互作用演算子V^の行列要素

は次式で与えられます。

(※V^は0+Vの相互作用ポテンシャルVの意味です。)

 

 すなわち,V(μ,m,ν,n)

 =(1/Ω)∫dexp{(-i/hc)(mc(1-μ2)–1/2μ,)}

 γ*(μ)V^δ(ν)exp{(i/hc)(mc(1-ν2)–1/2ν,)}

 ΠI(s,m,n)(18) です。

 

τμに対する関数σの対応するνに対する関数です。

 

(※:σ=(μ,)/[hc{ks-(μ,s)}](13)に対し,

τ=(ν,)/[hc{ks-(ν,s)}]です。※)

 

δ(ν)は,状態μに対する振幅γ(μ)に対応する状態μに対する

4成分振幅です。

 

(※:δ(ν)はDiracのデルタ関数ではなく,γ(μ)と同じく4成分

の列ベクトル or 4成分Diracスピノールです。※)

 

I(;σ,m,τ,n)

≡∫dQh(Q-σsin(kr))exp{-i(σ-τ)cos(kr)Q

+i(1/2)(σ2-τ2)sin(kr)cos(kr)}hn(Q-τsin(kr))

=exp{-i(m-n)(kr)}K(σ,m,τ,n)(19) です。

 

 ここで,K(σ,m,τ,n)

≡exp{-(σ2-τ2)/2}(m!n!)1/2{-i2-//2(σ-τ)}(m-n)

 Σζ=0l[{-(σ2-τ2)/2}ζ/{(l-ζ)!(|m-n|+ζ)!}](20)

です。

 

 ただし,lはm≦nならl=m,m>nならl=nです。

 

Iの表現(19)を(18)に代入すると,

V(μ,m,ν,n)=(1/Ω)F(K(σ,m,n)

を得ます。

 

ここに,F()≡∫dexp{-i(qr)}γ*(μ)V^δ(ν),

≡(mc/hc){(1-μ2)–1/2μ-(1-ν2)–1/2ν}+

Σ(m-n)s (23)

 

 それ故,単位時間当たりの(μ,m)→ (ν,n)の遷移確率:

Tは次のように書けます。

 

すなわち,T(μ,m,ν,n)

={2π/(hcΩ2)}D[mc2(1-μ2)–1/2-mc2(1-ν2)–1/2

+Σ(m-n)hcωs]|F()|2

ΠK(σ,m,n)2 (24)です。

 

ただし,上の式のD[ ]はDiracのデルタ関数を意味します。

 

 以下では,議論を簡単にするため,(23)の最後と(24)の引数に

おいて最後の電磁項を無視します。

 

 そして,電子のエネルギー・運動量の変化に比べて電磁場の

エネルギー・運動量の変化が小さいという仮定,つまり低振動数

では明らかに正当化される仮定を導入します。

 

 さらに,全てのmがゼロであるような状態:(μ,m)=(μ,0),

つまり自由光量子が全く存在しない初期状態からの遷移を考えます。

 

 その状態から種類s,λの光量子nが放出され,遷移後に電子

が立体角要素:sinθdθdφの中に移動する単位時間当たりの

確率Uは(24),(20)によって,次のように書けます。

 

 U(μ,ν,n)sinθdθdφ

={1/(4π2c4Ω)}sinθdθdφ{m2νc/(1-ν2)}|F()|2

 Πexp{-(σ2-τ2)/2}{(σ-τ)2/2}nsλ/(n!)

(26)です。

 

 この結果は序文で書いた通りに,"任意の有限個数の光量子放出

確率はゼロである。"ことを確証するものです。

 

 これを明示するために,まず光量子が全く放出されないケース:

=0の場合を考えます。

 

 このときには,{(σ-τ)2/2}nsλ/(n!)=1ですから

(26)の指数因子の部分は,単にΠexp{-(σ2-τ2)/2}です。

 

 (13)σ=(μ,)/[hc{ks-(μ,s)}],

τ=(ν,)/[hc{ks-(ν,s)}],および,

  (2)≡2e{πhc/(Ωωs)}1/2より,

 

 Πexp{-(σ2-τ2)/2}

=exp(-2πe2c-1Ω-1Σωs-1[(μ,ε)/{ks-(μ,s)

}-(ν,ε)/{ks-(ν,s)}]2)(27)

となることがわかります。

 

そこで,領域d内には振動モード:Ω(2π)-3が存在する

ことを利用してd積分を実行しλで和を取れば,

 

がゼロのときの(27)右辺の指数の中は,-{e2/(4π2cc)}limω0→0ω0ω1dωsωs-10πsinθsdθs0dφs[{μ/(1-μs)

ν/(1-νs)}2-{μs/(1-μs)-νs/(1-νs)}2]](28)

となります。

 

ここでθsssの極角,μssはμ,νのsに沿う成分です。

そして,dωs積分は上限にω1の切断(cut-off)を持つとしています。

 

(28)の角度にわたる積分:∫0πsinθsdθs0dφsは有限な

正因子を与えますが,一方dωs積分はω0→ 0 の極限で対数発散

します。

 

この結果,(27)は消えます。

 

(注5):つまり,ω0→ 0 でΠexp{-(σ2-τ2)/2}

=exp(-2πe2c-1Ω-1Σωs-1[(μ,ε)/{ks-(μ,s)}

-(ν,ε)/{ks-(ν,s)}]2) → exp(-∞) → 0 です。※ 

 

もしも,(26)のnがゼロと異なる場合,(26)は(27)と有限な因子

しか異ならないのでやはりゼロです。

 

 しかしながら,放出される光量子数とは独立に,電子がμからν

へと遷移する総確率は,個数nにわたる(26)の総和で与えられます。

 

 それを計算すると,

{1/(4π2c4Ω)}sinθdθdφ{m2νc/(1-ν2)}|F()|2

 (29)です。

 

 これは電磁場の相互作用を完全に無視して得る結果と同じです。

 

 こうした結果は電磁場の運動量変化が電子のそれに比べて無視

されるケースであるため物理的には予期されたものです。

 

 したがって,結局,有限個の光量子放出を伴なうμνの確率

はゼロであり,一方,全確率は有限であるという事実から放出される

光量子の平均個数は無限大であると結論されます。

 

 そして,輻射が振動数区間dωs,角度域dθs,dφsに輻射される

(同時に電子が立体角要素sinθdθdφに検出される)平均放射

エネルギーは次式で与えられます。

 

すなわち,{Ω/(2πc)3s2dωssinθsdθsdφs

ΣλΣnsλ=0{ncωsUsinθdθdφ (30)です。

 

これは,{1/(4π2c4Ω)}sinθdθdφ{m2νc/(1-ν2)}

|F()|2・{e2/(4π2c)}[{μ/(1-μs)-ν/(1-νs)}2

-{μs/(1-μs)-νs/(1-νs)}2]}dωssinθsdθsdφs (31)

に比例します。

 

このことは,(26),(13),(2)と

公式:Σn=0{nxn exp(-x)/n!}=x から得られます。

 

(30)の余分なωs因子:ωs2のため,光量子の平均総数は無限大なのに平均総エネルギーは有限です。

 

また,式(31)は丁度,立体角要素sinθdθdφに電子が散乱される

総確率にその方向に古典的に放出される総エネルギーを掛けたもの

に一致しています。

 

低振動数の極限で微細構造定数:e2/(hcc)のベキ展開による和

のエネルギーは,式(31)単独で正しいと仮定されるものと一致して

平均輻射エネルギーの同じ結果へと導きます。

 

もっとも遷移確率に関する限り,ベキ展開手法は,結果を完全に

ミスリードするものではありますが。。。

 

上記考察は,β崩壊の理論の多くの文献ケースにも応用できます。

 

その際には,外的摂動は電子座標には作用しませんが1つの電子

を生成します。上記扱いとの唯一の違いは,電磁場に関する限り,

電子生成と共に核子速度がcμからcνに置き換わることです。

 

散乱と同じく,β崩壊の確率は低振動数輻射を伴なう電子相互

作用によっては変わらず,平均輻射エネルギーはe2/(hcc)の

ベキ展開で計算されるものとよく一致することがわかります。


(※完了)

 

 最後の方では冗長な計算を省略してエッセンスだけにしましたが,

この項についてはこれで終わりです。

 

(参考文献): F.Bloch and A.Nordsieck,

"Note on the Radiative Field of the Electron" Phys.

Rev,Vol.52,p54(1937)

 

(edited by J.Schwinger「(selected papers on)QUANTUM ELECTRODYNAMICS」:Dover books on engineering and

engineering physics)より。

 

PS:最初に書いた発展性がないという意味は,私の頭の中でのこと

であって他意はありません。

 

 赤外発散については,後のYennie-Frauchi-Suuraの70ページ以上

の集大成の論文(D.Yennie S.Frauchi H.suura

"Infrared Divergence Phenomena and High-Energy Processes" Ann.Phys.Vol.13 pp379-452 (1961))でも内容は最初のこの論文

の考察に同等です。

 

 要するに,ゼロ振動数の無限個の実光子の寄与がexp(-∞)で

ゼロ振動数の無限個の仮想光子の寄与がexp(+∞)となるので

実際計算で相殺するという話です。

 

 手法は全く異なりますが紫外発散でのくりこみにおける

Lamb Shiftや異常磁気能率などの輻射補正と同じく,赤外発散

でもexp(-∞)×exp(+∞)が正確に相殺して1になるわけでは

ないために余分の補正因子が得られます。 (以上)

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2010年11月 6日 (土)

カルネアデスの舟板。。。再び

 2009年5月15日に書いた「カルネアデスの舟板」を再掲します。

 要するに,ブログの手抜きです。。。

 
丁度,今旬の話題:中国との尖閣諸島問題,ロシアとの北方四島問題。。

 こうした領土問題が生じたとき,私も含めてよくキレイゴトを言います。

 「そんなのみんな地球人だし別にどちらの国に帰属しようが関係ない。

 別に分け合って仲良くやればいいじゃないか?」という風ですね。

 ジョン・レノンも「イマジン」で似た内容の歌詞を書いています。

理想的にはその通り人間同士仲良くすればいいと思います。

 しかし,現況は食糧の話だけでも世界じゅうの人全員が食べられる

ような理想的社会ではないので,これは悪く言えば「金持ちケンカせず。」

という発想でしょう。

 また,少しはずれるけど,「衣食足りて礼節を知る。」も当てはまる

でしょうか。 

 末端でも飽食している日本という,国内では,ホームレス
になっても

すぐ飢え死にまではしないと思います。

 そこで,「カルネアデスの舟板」が連想されたのです。

 中国という国は日本の10倍の13億人も食べさせていかなきゃならない。

裕福な少数を別にすれば大変だなあ,とか,下司の勘ぐりが働いて。。。

 無人島のようになにもない場所で空腹で死にそうな2人の目の前に

おにぎり1個以外にまったく食べるものがないようなとき,仲良く半分こ

にしますか?

 イヤイヤ,「君とだったら一緒に死のう。」という方もいらっしゃる

でしょうから答を強制はしません。これはあくまで譬えです。

 もっときびしい例でもいいですよ。

 
※さて,以下,再掲記事です。

 「究極の選択」,あるいは「正当防衛」の例として「カルネアデスの舟板」

というのがあります。

 概ね次のようなものですね。これはこの通りの題名の松本清張氏の

著書もあります。

 「1人の人が1枚の舟板をつかんで,かろうじて漂流しながら生きている。

その板は2人が乗ったり,つかまったりすると沈んでしまうけれど,1人だけ

ならつかまっていても沈まないので,彼はそれにつかまっていれば生き

延びられる。

 ところが,そこへもう一人の人が流れてきて,その舟板につかまろうとした

とき,どちらかが相手を蹴落として1人だけ生き残った場合,生き残った側

の相手を蹴落としたという行為を罪に問うことが出来るだろうか?」

という問題です。

 普通の民主的な地域での裁判であれば,彼は「正当防衛」とされて

無罪放免とされるはずです。カンダダ(蜘蛛の糸)にも似てますね。。

 これを初めて知った昔から,私の頭の中に何故かこの課題が残って

いるのは,相手を蹴落とすという話とは逆のことで,,偽善と慈善の判別

に関連していて,自分を犠牲にしても他人を助ける行為の方です。

 カナヅチに毛の生えたような自分ですが,相手を殺して生き残るのは

確かに世間の評価では無罪であっても,私にとっては有罪と思うので,

できたら左の頬も差し出したい。という気分なのですね。

 自分が飢え死にするのを覚悟で,微々たるものでも財産の大部分を

施すのが慈善,2人以上つかまっても大丈夫だからとつかませる余裕

の部分を施すのは偽善に近いかな。。という意味です。ま。。どうでも

イイ話ですが。。。

PS:いや,実は慈善,偽善よりもっと大きな描像である「食物連鎖」,

あるいは「弱肉強食」のことも考えていました。資本主義経済で

言うなら単なる「自由競争」ですが。。。  (キリスト教なら原罪?)

 舟板が大きく立派で漂流者全員がつかまっても沈まない。。。。

国全体,イヤ地球全体(全世界)に全員がつかまって生きていける程

の十分な「生産性(食糧,衣,家など)」があれば本来振り落とされて

沈む人はいないはずなんですが。。。
(再掲終わり)※

 日本も北欧型の高税金の福祉社会をまねるといいのでは?という

ご意見もありますが,北欧諸国の総人口を調べると,ノルウェー:463万人

スウェーデン:904万人,フィンランド:525万人,デンマーク:543万人,です。

 これらの国の総人口は東京都の人口よりも少ないくらいですね。

 また,国土の面積もデンマークを除けば,日本よりもはるかに大きく,

人口密度は1km四方当たり342人という日本を基準にすると,ノルウェー

では,その3.5%,スウェーデンでは5.8%,フィンランドでは4.4%くらいで

日本の1/10以下,デンマークでも36.5%で日本の4割以下です。

 なので,日本のように何でも行列ができて混むようなことはないはず

です。

 人口の規模だけを見ると,東京や大阪くらいなら日本でもすぐに可能

かと思える施策ですが,,現実的に生活活動はそうした規模が何倍fで

あろうと同じというような相似形ではないため,国同士の人口規模の

違いを考えただけでもすぐに当てはまるかどうかは疑問です。

 ついでに,似た話で2009年1月6日の記事「平等と悪平等」から。。

※以下再掲記事です。

 税金の配分に関して,昔読んだ新約聖書の話を思い出しました。

 イエスの説教を聴くために集まった恐らく食べるのにも不自由している

であろう大勢の貧しい人々に対し,説教の途中でイエスが使徒達に「聴衆

にパンを配ってやれ。」と言うのです。

 使徒たちは,「主よ,全員に行きわたるほどのパンはありません。」

と答えます。イエスは奇跡を行う人(神の子?)ですから,どこからかパン

が湧いてきて(イヤ湖でペテロが取った魚?)全員に与えたというような

話ですね。

 まあ,旧約聖書でも,エジプトからモーゼが大勢を連れ帰ったものの

全てを失って不毛の地に帰ったわけですから,たちまち食うに困って,

民衆は逃げてきた苦労も忘れ,「少なくとも生業を持っていて食うには

困らなかったエジプトにいた方がましだった。」などとモーゼに恨み言

や不平不満を言うのです。

 しかし,実はそれから約40年間は食べていくスベは無かったにも

関わらず,天から"マナ"という恵みの"神のパン"がずっと降ってきた

ため,人々が飢えをしのいだという話もあります。。

 イエスは,カナの婚礼で母親マリアのために,唯一個人的にやった

奇跡:「ぶどう酒の奇跡」とか,元々漁師であった使徒が池に網を打って

上げると中には持ち上げられないほどの大量の魚が入っていて,

それを聴衆に分配したこともありましたね。


 聖書にこと細かくは書いてはいないけれど,こうした食べ物について
の奇跡はたびたびあったらしく,説教の内容だけでなく食べ物がもらえる

というのもイエスの人気の背景だったでしょうね。

 このように全員が空腹をしのげるほどのパンや魚があるなら,実際に

平等ということを全う(まっとう)する際に何の問題もありません。

 しかし,何百人も聴衆がいて,もしもパンが数個しかなく増やす魔法も

ないなら,平等であるからといって,1個のパンを百分の一にして全員に
配るとか,あるいは,おにぎりであったとしたら,ゴハン粒を1粒か2粒ずつ

配っても,誰一人として満足を得ることはできないでしょう。

 こうした行為は確かに平等なのですが,「悪平等」と呼ばれますね。

 何百人も空腹な聴衆がいても,例えばおにぎりが10個しかない場合

には,その行為は平等ではないので,クジがはずれたとかでその他の

貰えない大多数は不満でしょうから,彼らには罵られることを承知で,

10人だけを選んで彼らに特別に1個ずつ配る,または1個を半分ずつ

2個にして20人だけに1個ずつ配った方がはるかにましでしょう。

 選挙で落ちるとか多数に罵られるのがイヤで,私から見ればアホで

不毛ですが,あくまで八方美人を通して平等な行為を実行するという

手もあるにはあるでしょうがネ。。。

(再掲終わり)※

 以上,よくやる手抜きでした。。。

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2010年11月 4日 (木)

赤外発散の初期論文(2)

 赤外発散(infrared-catastroph:赤外破局;赤外異変)の初期論文

紹介の続きです。

 前
回最後の,近似解をψ~ψ+=uとすると,

[c(μ,-Σ{Pcos(s)+Qsin(s)})

+mc2(1-μ2)1/2+(1/2)Σ{(P2+Q2)hcωs}-E]u=0

..(10) となります。

 
というところから続けます。(※hc≡h/(2π);hはPlanck定数)

 
序文では,"単にP,Qの関数を加えることで考慮する

ことができます。"と書かれていましたが,それに相当してP,Q

に次のような正準変換を施します。

すなわち,P=P'+σcos(s),

=Q'+σsin(s),',および,

'-Σcsσ{P'cos(s)+Q'sin(s)

+(1/2)σ} (11) とします。

 
(※正準変換ですから,P'とQ'もPとQ正準交換

関係を保存して[P',Q's'λ']=-iδss'δλλ',

[P',P's'λ']=[Q',Q's'λ']=0 に従います。※)

 対応して,波動関数uも,

u(,Q)

=exp[iΣσcos(s){Q'+(1/2)σsin(s)}]

u'(,Q')(12)としてプライムのついたu'で表現します。

 そして,変数σについては,

 σ=(μ,)/[hc{ks-(μ,s)}](13)と選択します。

 すると,u'に対する簡単化された方程式:

[c(μ,')+mc2(1-μ2)1/2+(1/2)Σ(P'2+Q'2)hcωs

-{c/(2hc)}Σ(μ,)2/{ks-(μ,s)}-E]u'=0 (14)

を得ます。

(注3):実際,

[c(μ,-Σ{Pcos(s)+Qsin(s)})

+mc2(1-μ2)1/2+(1/2)Σ{(P,2+Q2)hcωs}-E]u=0

..(10)に,単純に上記の正準変換を代入すると,

 [c(μ,'-Σcsσ

 {P'cos(s)+Q'sin(s)+(1/2)σ}

 -Σ

 [{P'+σcos(s)}cos(s)+{Q'+σsin(s)}

 ×sin(s)])+mc2(1-μ2)1/2 +(1/2)Σ

[(P'2+Q'2+2σ{P'cos(s)+Q'sin(s)}+σ2)

cωs-E]u'=0  となります。

 さらに=(μ,)/[hc{ks-(μ,s)}](13)より

 (μ,)=hcsσ-(μ, hcs)ですから,

 hcωsσ2-c(μ,hcsσ2)=c(μ,σ)

 です。

そこで,[c(μ,')-(c/2)Σ(μ,σ)+mc2(1-μ2)1/2

+(1/2)Σ(P'2+Q'2)hcωs-E]u'=0 を得ます。

再び=(μ,)/[hc{ks-(μ,s)}]を代入すること

により,結局

[c(μ,')+mc2(1-μ2)1/2+(1/2)Σ(P'2+Q'2)hcωs

-{c/(2hc)}Σ(μ,)2/{ks-(μ,s)}-E]u'=0 (14)

を得ます。(注3終わり)※

 (14)の解は,u'=u'(μ,m,)

 =γ(μ1/2exp[(i/hc)(mc(1-μ2)–1/2μ,)]

 Πmsλ(Q') (15),

 

 および,E=E(μ,m,)

 =mc2(1-μ2)-1/2+c(μ,)+Σ(m+1/2)hcωs

 -{c/(2hc)}Σ(μ,)2/{ks-(μ,s)}(16)

 で与えられます。

 ただし,γ(μ)はΛγ=γなる関係式を満たす規格化された

4成分振幅(4元スピノ-ル)であり,

は固定されたμに対して,(15)の関数u'が完全直交系をなす

よう導入された任意ベクトルです。

※(注4):(14)を

[c(μ,')+mc2(1-μ2)1/2+(1/2)Σ(P'2+Q'2)hcωs

-{c/(2hc)}Σ(μ,)2/{ks-(μ,s)}u'=Eu'

と書けば,これはEを固有値とする固有値方程式です。

u'は元々演算子:Λ≡(α,μ)+β(1-μ2)1/2(6)に対し,

Λψ+=ψ+を満たす正エネルギー解:ψ+=uに指数因子を

掛けただけの,u'(,Q)

=exp[-iΣσcos(s){Q'+(1/2)σsin(s)}]

u(,Q')(12')ですから,Λu'=u'を満たします。

 
そこで,Λγ=γを満たすΛの固有ベクトル:γ=γ(μ)

によってu'(,Q)=γ(μ)f(,Q)と表わせる

はずです。

 
また,正準交換関係:[p,q]=-iによって特徴付けられる

力学変数p,qによるHamiltonian:=(1/2)(p2+q2)を

持つ1次元調和振動子の運動方程式:|ψ>=E|ψ>

を考えます。

 
これの一般解:|ψ>は,|n>=En|n>を満たす固有値:

n=n+1/2に属するの固有ベクトル|n>(n=0,1,2,..)

の線形結合:|ψ>=Σnn|n>で与えられることがわかって

います。

 
特に,q-表示(座標表示)を考えてpについてはSchrodinger表現

p=-i(d/dq)を採用し,固有ベクトル:|n>の波動関数hn(q)

つまり固有関数をhn(q)≡<q|n>で与えると,

方程式|n>=En|n>,は定常状態のSchrodinger波動方程式:

(1/2)(-d2/dq2+q2)hn(q)=Enn(q) を意味します。

 
n(q)の座標変数をqの代わりにxとして波動関数をhn(x)

と書けば,これは(1/2)(-d2/dx2+x2)hn=(n+1/2) hn,

つまり,hn"-x2n+(2n+1)hn=0 に帰着します。

(hn(x)=(定係数)×exp(-x2/2)Hn(x)(Hn(x);は

Hermite多項式)と表わせることが知られています。)

 
それ故,調和振動子の総和に相当する電磁場部分の

固有値関係式は,

(1/2)(P'2+Q'2)hmsλ(Q')=(m+1/2)hmsλ(Q')

を満たす全ての固有関数の積:{Πmsλ(Q')}により,

(1/2)Σ(P'2+Q'2){Πmsλ(Q')}

=Σ(m+1/2){Πmsλ(Q')},(m=0,1,2,..)

と表わされます。

 
以上から,

[c(μ,')+mc2(1-μ2)1/2+(1/2)Σ(P'2+Q'2)

cωs-{c/(2hc)}Σ(μ,)2/{ks-(μ,s)}u'=Eu'

の完全な変数分離解がu’=γ(μmsλ(Q')φ()

と書けることがわかります。

 
残りの因子:φ()は,

[c(μ,')+mc2(1-μ2)1/2+Σ(m+1/2)hcωs

-{c/(2hc)}Σ(μ,)2/{ks-(μ,s)}φ()

=Eφ() の解です。

 
パラメータを導入して,エネルギー固有値を

E=E(μ,m,)=mc2(1-μ2)-1/2+c(μ,)

+Σ(m+1/2)hcωs

-{c/(2hc)}Σ(μ,)2/{ks-(μ,s)}と定めれば,

残るφ()の方程式は,[c(μ,')+mc2(1-μ2)1/2]φ()

=[c(μ,)+mc2(1-μ2)-1/2]φ() に帰着します。

 
そこで'φ()={mc(1-μ2)-1/2μ}φ()を,

'=(-ihc)(d/d)なる表現とした線形微分方程式を

解けば,φ()=exp[(i/hc){mc2(1-μ2)-1/2μ+g}]

を得ます。

 

そこで,規格化因子Ω1/2を付加してu'=u'(μ,m,)

=γ(μ1/2exp[(i/hc)(mc(1-μ2)–1/2μ,)]

Πmsλ(Q')(15) を得るわけです。

(注4終わり)※

 以下では,=0 に対する関数u'(μ,m)≡u'(μ,m,0)

=γ(μ1/2exp[(i/hc)(mc(1-μ2)–1/2μ)]Πmsλ(Q'))

のみを考えます。

 
E=E(μ,m)

=mc2(1-μ2)-1/2+Σ(m+1/2)hcωs

-{c/(2hc)}Σ(μ,)2/{ks-(μ,s)} です。

 電子と電磁場の間に相互作用がないときには,

E=mc2(1-μ2)-1/2で,これは運動量がmc2(1-μ2)-1/2μ

の自由電子に相当します。

 
関数h(x)は,調和振動子の方程式:

"-x2+(2m+1)h=0  の規格化された解です。

 そして,u'から元のuに戻し,Q'も元のQに戻すと,

これは(11),(12),(13)からu=u(μ,m)

=γ(μ1/2exp[(i/hc)(mc(1-μ2)–1/2μ,)

+iΣσcos(s){Q-(1/2)σsin(s)}]

Πmsλ(Q-σsin(s)) (17) です。

 この解:(17)の近似的正当性は,微細構造定数:e2/(hcc)

が小さいという条件に依存していないことに着目します。

 

 電磁波放出の反作用(=電子の運動の変化)のみを無視する

近似をしており,(17)にはより大きな質量mを付与することも

可能だからです。

 
(17)を正当化するために小さいと仮定する必要のある数は,

最初の近似においてψ-を計算し,そのノルム(norm)をψ+

ノルム(=1)と比較することで評価できます。

 実際に-のノルムを評価すると,

 norm(ψ-)~ {e2ω1/(mc2)}[f(μ)hcω1/(mc2)

 +g(μ)e2ω1/(mc2)] となります。ただし,ω1はここで

 考慮すべき高角振動数です。

 
また,f,gはμ=v/cだけの関数でありμが小さいとき

にはf~ 1/(3π),g~ {4/(9π2)}μ2,

また,(1-μ2)-1/2大きいときには,

f~ {1/(4π)}(1-μ2),g~{1/(4π2)}(1-μ2)2log{1/(1-μ2)}

のように評価されます。

 
これを見ればわかるように,今の近似展開でのパラメータは決して

微細構造定数:e2/(hcc)ではなく,hc→ 0 の古典極限も可能です。

そして,hc→ 0 の極限では(17)におけるP,Qへのシフト

σcos(s),σsin(s)は,実際に外場の中を一様運動

する電子により生成される電磁場の横波部分を正しく記述して

います。

 
切りがいいので今日はここまでにします。

 

次章では近似解の(17)式を応用して遷移確率と輻射の平均

エネルギーの計算に入ります。

 (
参考文献): F.Bloch and A.Nordsieck,

"Note on the Radiative Field of the Electron "  Phys.Rev,Vol.52,p54(1937) 

(edited by J.Schwinger「(selected papers on) QUANTUM ELECTRODYNAMICS」:Dover books on engineering and

engineering physics)より。

 

PS:依然としてマシン(PC)は不安定です。

 

 中古保証は1ヶ月ですからそろそろ考えないとネ。とはいえ

メチャ安物のマシンですから,ある程度仕方ないか。。

 

 さて,腹がヘッタから夜食でも?と冷蔵庫内を見ても卵が4つ

しかなかったので,2つを使って醤油味の玉子焼きを作りそれを

おかずにご飯を茶碗1杯食べたら眠くなりました。

 

 まだ寝るには早いけど。。

 

PS2:11月5日はMさん(=K.Sさん)の誕生日です。会えないけれど

おめでとう。中旬には岡山県にいる私の母も90回目の誕生日を迎える

予定です。。

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2010年11月 3日 (水)

秋めいてきました。。

 今日は仕事終了後の午後3時半頃に毎年文化の日が最終日?の神保町の神田古本祭りに行ってみました。

(毎週火曜日の手話教室から帰宅して爆睡した後思い立ってこの日記を書いているうち日付けが変わりましたが,今日とは11月2日のことです。)

 祭りといっても,通常は金~日と祝祭日にしか開かれない小宮山書店の1~3冊まで500円のガレージセ-ルが開かれてるくらいで,むしろ普段よりも人が多くて動きにくくて,私にはいつもの本屋めぐりと別に大差ないのですが。。。

 カメラを持っていたので写真を撮ってみました。。。(神保町では10年以上も会社勤めをしていたのですが,ここも水道橋駅に向かう方を中心にかなり様相が変わりましたね。。。)

   

    

 特に古書センター2Fの老舗,中野書店漫画部に久しぶりに行ってみました。

 ガロとか,「冒険ダン吉」,「リボンの騎士」とかも並んでいました。こういうのは高くて手がでませんが。。

 

 玉英堂の自然科学コーナーでは古書価格で1冊3000円くらいだった岩波講座現代物理学のシリ-ズが1冊900円か1000円になっていて驚きました。

 1万円あれば10冊も買えます。。。うーん。。。

 ブックオフの価格破壊のせいか?はたまた理科離れで理系の本の人気がないせいか?恐らく理由は両方でしょう。

 買う方にとっては安いのはいいのですが,売る方にとってはトホホですね。

 明倫館の外の店頭に山積みされている安価本の中に久保亮伍著「大学演習・熱力学・統計力学」が600円で売られていました。

 別に中身も汚れてないし「本当かよ?」と思いました。。

 でも,これは私は学生の頃新本を買って40年も経っていて汚ないけれど,一応持ってるので買わず,以前に手放した吉田耕作著「微分方程式の解法」(岩波全書)の初版が300円だったので,これを買いました。

 2版の古本は店内で2460円で売られてましたが,初版で十分です。

 今日の夜には椎名町で手話教室があるので,この本を買ってすぐに巣鴨駅まで帰り,家に歩いて帰る途中,

 巣鴨名物の「福々まんじゅう」の店「駿河屋」に珍しくお客が並んでいなかったので写真を撮りました。

(お店の方に「何ですか?」と聞かれて写真撮影をとがめられたのかな?と思い,「ブログを書いてるから」と言ったら,何故かお礼を言われました。

 最近は携帯で写真撮る光景はごく普通なのに,お客がいないときにわざわざデジカメで写真を撮る姿は珍しいのかなあ?

 特定の人物じゃなくお店の写真なので断る必要はないと思いましたが昨今は肖像権などの問題がシビアですからね。)

  

 このお店は,下の写真の巣鴨駅に向かって左側の駅北口のロータリー付近の同じ有名な駿河屋「福々まんじゅう」(巣鴨2丁目)とは異なり,この駅の前の線路沿いに,「江戸橋公園(通称:ロケット公園)」に向かう途中の巣鴨1丁目の店の方です。

 この公園のスグ近くの南大塚1丁目に今の私の自宅があります。

   

 ここは,「とげぬき地蔵」から行くにも地蔵通り向かいの巣鴨3丁目の道を入って少し進んで左に曲がり線路の上にかかった橋を渡ればすぐで駅よりも近いです。

 今年,8月引越し前に「巣鴨陽光ハイツ」に住んでいた頃は,「駿河屋」は駅前の店しか知らなかったので分家?なのでしょうか?

 明るいうちはいつ通っても大体お客がいるので近くの人には有名なのでしょう。

(もっとも私は15年以上も地元なので,駅前の有名店でも,チャント開いてる時間なのに誰も客が並んでない閑散時に通りかかることも多いのですが。。。)

 私は,この店では引越し後,家へ帰る途中に「あんまん」を2度買ったことしかありませんが,駅前と同じ味でおいしかったです。

 メニューも同じでシューマイもあるようです。寒くなったので遠くからでも店の饅頭を蒸かす水蒸気が見えますね。

 私は味にも見境なく辛党かつ甘党なので気が向いたら食べたいと思いますが,糖尿病だしおまけに間食はゼイタクな悲しい?金欠病ですからね。

 (今日も食事代で古書を買ったので後悔先に立たず。。。??)

 (※↑どうも,お店自体が駅前からこちらに引っ越したらしいですね。)

PS:秋の紫綬褒章は大体60歳くらいでもらうのでしょうネ。

 田中裕子はまだ50代ですが桂文鎮,風間杜夫など私と同じくらいの歳です。

 一方は勲章,一方はホームレス同然の身です。対照的!。。トホホ

 当然,負け惜しみのヤッカミの遠吠えですが,私はホームレスに近い方で良かったと思っています。(←本当かよ。。??)

 別に太宰治のように良家に生まれたのに,それを恥じて「人間失格」など書いて斜にかまえるほどの才能もないし,純粋に「無芸無能無産のその他大勢,有象無象の一人ですから。」

 って,何で私がイバッテルのか?まあ,マゾかつ変態ですからネ (^^;)。。

 バカにされて嘲笑されているのかも知れないのに「受けてる」と勘違いして喜んでるオプティミストです。

 お金を払ってるから,仕事だから優しく対応されてるのにモテてると勘違いして喜んでるようなヤツです。

 いやいや,そこまで完全に公私を分けることなど人間にはできないことですから

 ウソでも優しくされるとうれしいなあ。。。(←被害妄想ヤローですね。)

 ついでに,11月6日の本田美奈子さん命日も近いので,

 彼女も愛唱していた「アメiイジング・グレイス(Amazing Grace)」,賛美歌でありゴスペル(黒人霊歌)であり,アメリカ第2の国歌とも言われるこの曲の私の拙い訳詞を再掲します。

 (私,普通は昔,高田馬場の将棋道場に通っていた頃に高田馬場駅前の店で試聴して感銘を受けて買ったLeAnn RimesのCDアルバムの中の「Amazing Grace」を聴いていますが。。。) 

 

 現代口語ではむずかしかったので文語調で詞をつけてみました。(2006年5月14日訳す。)

   Amazing Grace(我は主をしりぬ)

1.      Amazing Grace, how sweet the sound

      素晴らしきー主のめぐみー甘きーしらべー

      That saved a wreck like me

      落ちぶれしー我をー救いー

       I once was lost but I'm found

      迷いしときにー我をー導きー

      Was blind but now I see

       盲(めし)いし我にー光明(ひかり)を与えぬー

 2.   'Twas Grace that taught my heart to fear

       主はー我が心にー恐れを教えー

      And Grace my fears relieved

       恐れしーこの身をー救いぬー

      How precious did that Grace appear

      なんとー尊きー主のめぐみー

      The hour I first believed

      我はー主をー識(し)りぬー

3.    Through many dangers,toils and snares

      艱難(かんなん),辛苦,誘惑ーあまたー

      I have already come

       我はー乗り越えー識(し)りぬー

      'Tis Grace have brought me safe thus far

      安らけきー道をー示しし主はー

      And Grace will lead me home

      永遠(とわ)にー我をー導かんー

※PSのPS:

 (努力する意志と実行力も含めた)才能と(時と場所,運(チャンス)も含めた)環境に恵まれた特別な人々と,その他大勢とを比較して,その他大勢またはその味方たらんとする社会性。。

 それと対照的に,その他大勢とは違うという個性の主張,自分は特別な存在たらんとする実存性。。 とは,通常は相容れないものですね。

 私の場合,頭の中では自身の現状や行動原理をそうした相克の存在,またはある種の多数決原理のようなもので合理化しているのでしょうね。("これはすっぱいブドウだ"だったかな??。。。)

 まあ,美しいフレーズですが,「誰であろうと元々世界に一つだけの花。同じものは2つとない特別なオンリー・ワンである。」と言われても,素直には受け取れないでしょうね。(← またまた盗作だ。。)

 盗作ついでに,セーラームーンから続いている日曜朝のアニメ:プリキュアシリーズから,「同じ地球(くに)に生まれたのー,ミラクル・ロマンス」。。。

  人間五十年。。下天のうちをくらぶれば。。。

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2010年11月 2日 (火)

昨今の政治

小田原評定 (おだわらひょうじょう) 

 「長時間の会議をしても、いつまでたっても結論が出ない」ことを揶揄

する言葉。豊臣秀吉の小田原城攻めの際,北条氏ならびに重臣が

「講和するか」「篭城するか」いつまでたっても結論が出ず,結果的

に北条氏の滅亡につながった故事に基づく。

 ( ↑ 「小田原評定とは-はてなキーワード」より引用)

事なかれ主義 (ことなかれ主義)

 解決すべき問題が発生しているのにもかかわらず,それを避けたり

あるいは見て見ぬふりをしたりして係わり合いになるのを避け,決断

をすることなく問題を放置する消極的な考え方。 

  なお,表記については,「事勿れ主義」や「ことなかれ主義」と書かれる

ことも多い。。。そうです。


( ↑ 「事なかれ主義-Wikipedia」より引用)


 英語では,"Safty first"だって?, 何,安全第一?,ちょっと違うだろ? 


 政党とは綱領があって,ほぼ同じ考えの人々が集まるもの,
まったく

バラバラの思想の野合の衆ではない。

 一旦,民主的手続きで選ばれたなら,イチイチ民の顔色を見てグラグラ

せず,中央集権的に事を運ばないでどうする?

 
命令系統がハッキリしなければ立法府も行政府もいらない。。
 
 そんなものは,不要(ブーヤオ。。)だ。。。

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