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2011年3月

2011年3月31日 (木)

散乱の伝播関数の理論(21)(応用6補遺)」

 今日はかなり前の2010の9/6の記事「散乱の伝播関数の理論(20)(応用6)」の続きです。

前の記事はずいぶん中途半端なところで終わっています。

 

それからPCクラッシュなどももあって半年余りが経ってますが続きを記述します。

以下は前と同じくBjorken-Drellのテキストの内容に関する自分自身のノートからのまとめですが,まずは必要な部分を再掲します。

※(再掲開始)

電子-電子散乱(Möller散乱)では電子の同等性のため2つのgraphがあります。これらの過程に対するgraphsを下図7.13に示します。 

電子-電子散乱の振幅はSfiM=(e2202)(E121'E2')-1/2[{u~(p1')(-iγμ)u(p1)}{u~(p2')(-iγμ)u(p2)}(-i){(p1-p1')2+iε}-1-{u~(p1')(-iγμ)u(p2)}{u~(p2’)(-iγμ)u(p1)}(-i){(p1-p2')2+iε}-1](2π)4δ4(p1'+p2'-p1-p2)で与えられます。

 

ただし,便宜上スピン添字:si,sj'etc.は伏せました。

これには,交換項が入ったときに (1/√2)や1/2のような追加の規格化因子は導入されていません。

 

つまり,Sfiから微分断面積を作る法則は始状態,または終状態に同種粒子が存在することによっては変わりません。

ただ,既に対消滅過程で述べたように,終状態に同種粒子が存在するとき全断面積を得るための積分においてはσ~=(1/2)∫(dσ~/dΩ)dΩのように1/2因子が含まれる必要があることには注意を要します。

始状態(初期状態)では同種粒子に対して特別な因子は現われません。何故なら,入射流束(flux)は粒子が異種か同種かを問わず不変だからです。電子・電子散乱はこの法則の明確で単純な例になっています。

なお,SfiMの右辺"第2項=交換項"は移行運動量(momentum-transfer: p1'-p1)が小さい前方散乱の近傍では無視できます。この極限では散乱は正確にCoulomb散乱振幅に等しくなり粒子の統計には依りません。

さて,今まで通りのやり方で偏りのない電子の散乱に対する微分断面積が得られます。

すなわち,慣性中心系(重心系)では,dσ~=ε0-244/{E4(2β)}∫d31'd32'(2π)-2δ4(p1'+p2'-p1-p2)(1/4)(16m4)-1[{1/(p1'-p1)2}2{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν}-(p1'-p1)-2(p2'-p1)-2{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(2'+m)γμ(2+m)γν}+(p1'⇔p2'の交換項)]です。

Eは慣性中心系での各粒子のエネルギー,βはその速度です。2つの初期電子の相対速度は2βです。

 相対論的エネルギーではこの2βは光速の2倍の値に近づきますが,特殊相対性理論と矛盾するものではありません。事実,1つの電子の速度を他の電子から見るなら決して光速は超えません。  

 そして,(p1'⇔p2'の交換項)はdσ~における右辺最初の2項からp1'とp2'を交換して得られる2つの付加項の存在を示しています。

 直接散乱と交換散乱の双方において出現する干渉項は唯1つの長いトレース因子を含みます。

 

 2010年6/14の「散乱の伝播関数の理論(11)(応用1-1)」で与えたγ行列に関する定理を用いて具体的にトレース因子を評価すると,

 

 {Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν}=32{(p12)2+(p12')2-2m2(p11(-m2)}を得ます。

故に,dσ~=ε0-244/{E4(2β)}(1/2)∫d31'd32'(2π)-2δ4(p1'+p2'-p1-p2)[{1/(p1'-p1)2}2{(p12)2+(p12')2-2m2(p11'-m2)}+(p1'-p1)-2(p2'-p1)-2(p12)(p12-2m2)+{1/(p2'-p1)2}2{(p12)2+(p11')2-2m2(p12'-m2)}+(p2'-p1)-2(p1'-p1)-2(p12)(p12-2m2)]です。

 そこで,散乱の微分断面積として(dσ~/dΩ)M={α2/(4E2)}{(E2+p2)/p2}2[4/sin4θ-3/sin3θ+{p2/(E2+p2)}2(1+4/sin4θ)]を得ます。

特に,E>>mでp~Eの高エネルギー極限では(dσ~/dΩ)M~{α2/(4E2)}(3+cos2θ)2/sin4θとなります。

(dσ~/dΩ)M={α2/(8E2)}[{1+cos4(θ/2)}/sin4(θ/2)+2/{sin2(θ/2)cos2(θ/2)}+{1+sin4(θ/2)}/cos4(θ/2)]とも書けます。

 これはm2が無視できるときにのみ正しい式です。

 これらはメラー(Möller)の公式と呼ばれています。(再掲終了)※

 

次に電子-陽電子散乱です。

 

Möllerの公式から,これの断面積を得るために代入則に訴えます。

 

前の2010年8/27の記事「散乱の伝播関数の理論(19)(応用5)」では次のような代入を実行しました。

 

すなわち,(ε,k)⇔(ε1,-k1),(ε',k')⇔(ε2,+k2),かつ(pi,si)⇔(p,s),(pf,sf)⇔(-p,s)なる交換 or 代入です。

 

これによってCompton散乱の振幅:SfiCompと対消滅の振幅:SfiPairが互いに変換し合うことを見ました。

 

電子-陽電子散乱の過程はBhaBha散乱と呼ばれていますが,これのFeynman-diagramは以下の図7.15に示されるものです。

先述の電子-電子散乱の振幅:SfiM=(e2202)(E121'E2')-1/2[{u~(p1')(-iγμ)u(p1)}{u~(p2')(-iγμ)u(p2)}(-i){(p1-p1')2+iε}-1-{u~(p1')(-iγμ)u(p2)}{u~(p2')(-iγμ)u(p1)}(-i){(p1-p2')2+iε}-1](2π)4δ4(p1'+p2'-p1-p2)において,

 

前例に習ってp1⇔p1,p1'⇔p1',p2⇔-q1',p2'⇔-q1なる交換(代入)を行ないます。

 

さらに,以前の規則:S=1-iεf∫d4yψf~(y)A(y)ψi(y)に従って全体にかかる符号のチェンジを行ないます。

 

すると,BhaBha散乱振幅としてSfiB=(e2202)(Ep1p1'qiq1')-1/2[{u~(p1')(-iγμ)u(p1)}{v~(q1')(-iγμ)v(q1)}(-i){(p1-p1')2+iε}-1-{u~(p1')(-iγμ)v(q1')}{v~(q1)(-iγμ)u(p1)}(-i){(p1+q1)2+iε}-1](2π)4δ4(p1'+q1'-p1-q1)が得られます。

 

上式の右辺第1項はSfiMの右辺第1項に類似した電子-陽電子の直接散乱を表わし,"第2項=消滅・生成項"は交換散乱に対応しています。

 

これら2つの間の相対的(-)符号はSfiMへの代入に起因します。

 

fiMの式における終状態での電子の交換反対称性は,SfiBの式では入射正エネルギー電子(p1)と(時間に逆行する)"入射"負エネルギー電子(-q1'),または散乱電子p1'と(-q1)の反対称性になります。

 

この反対称性を空孔理論の言葉で理解するため,相互作用前の時刻の初期状態が正エネルギー電子p1を含み負エネルギーの海が負エネルギー状態(-q1)の空孔以外には全て満たされていることに着目します。

 

特に,負エネルギー電子は状態(-q1')にあり,そこで Fermi統計によって初期状態はp1と(-q1')の交換の下で反対称です。

 

同様なことは終状態にもいえます。

 

電子陽電子の質量中心系(重心系)での散乱断面積を得るために,代入p1⇔p1,p1'⇔p1',p2⇔-q1',p2'⇔-q1を以下の電子-電子散乱の式に適用します。

 

すなわち,電子-電子散乱ではdσ~M=ε0-244/{E4(2β)}∫d31'd32'(2π)-2δ4(p1'+p2'-p1-p2)(1/4)(16m4)-1[{1/(p1'-p1)2}2{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(2'+m)γμ(2+m)γν}-(p1'-p1)-2(p2'-p1)-2{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(2'+m)γμ(2+m)γν}+(p1'⇔p2'の交換項)]です。

 

電子-陽電子散乱ではdσ~B=ε0-244/{E4(2β)}∫d31'd31'(2π)-2δ4(p1'+q1'-p1-q1)(1/4)(16m4)-1[{1/(p1'-p1)2}2{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(m-1μ(m-1')γν}-(p1'-p1)-2(p1+q1)-2{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(m-1μ(m-1')γν}+(p1'⇔-q1の交換項)]です。

 

Möller散乱,つまりE>>mとしてトレ-ス計算を実行すれば,(dσ~/dΩ)B={α2/(8E2)}[{1+cos4(θ/2)}/sin4(θ/2)-2cos4(θ/2)/sin4(θ/2)+(1+cos2θ)/2]を得ます。

 

※(注):{Tr(1'+m)γμ(1+m)γν}{Tr(m-1μ(m-1')γν}=-32(p11')(p11'+2m2)です。

 

これの最右辺は明らかにp1'⇔-q1に対して変化しません。

 

よって,{Tr(m-1μ(1+m)γν}{Tr(1'+m)γμ(m-1')γν}=-32(p11')(p11'+2m2)です。

  

また,Tr(1'+m)γμ(1+m)γν(m-1μ(m-1')γν=-32{(p12)2-2m2(p12)-m4+m4}=-32(p11')(p11'+2m2)です。

 

これもp1'⇔-q1に対して変化しません。

  

そして,E>>mの相対論的極限での質量中心系:11,1'=1'では(p1'-p1)2=2m2-2p1'p1~2(m2+E22cosθ)~2(1-cosθ) ~ -4E2sin4(θ/2)です。

 

また,(p11)2=2m2+2p11~2(m2+E22) ~ 4E2,そしてp11'~E22cosθ~2E2cos2(θ/2)です。

 

したがって,(dσ~/dΩ)B={α2/(2E2)}{1/(16E4)}[4E4{1+cos4(θ/2)}/sin4(θ/2)-8E4cos4(θ/2)/sin4(θ/2)+4E4{cos4(θ/2)+sin4(θ/2)}]です。

  

故に(dσ~/dΩ)B={α2/(8E2)}[{1+cos4(θ/2)}/sin4(θ/2)-2cos4(θ/2)/sin4(θ/2)+(1+cos2θ)/2]です。(注終わり)※

  

このシリーズはこれで終わりますが,続いて題名を変更して輻射補正(繰り込み)の最低次の計算に移る予定です。 

 

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics" (McGrawHill)

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2011年3月27日 (日)

普通の日記です。

 今日は久しぶりの寝て曜日です。例によって不眠症なので朝5時には目覚め,科学ブログの原稿をワードで書いたりネット将棋をしたりしてました。

 心に余裕があったので,11時過ぎには久しぶりにカレーでも作ろうと思い冷蔵庫を見ると,10人前のカレールウと玉ねぎとジャガイモはありましたが,肉がありません。

 そこで,ジャガイモ2個と大き目の玉ネギ1個に肉の代わりに薄いハム4枚を刻んで入れて5人前(5食分)を作ることにし12時半頃にはできあがりました。

 しかし,朝7時半頃にお茶漬けを食べたとはいえ何故かあまり食欲がありません。でも大好きなカレ-ライスなのでご飯を大皿に盛ってカレーをかけると一気に食べることができました。

 その後14時過ぎから,故郷岡山の関西を応援しようとNHKで選抜高校野球の第3試合の東海大相模との1回戦を見ていると何と予想外のボロ負けです。これで創志学園と広島の総合技術に続き中国地区は全滅です。

 応援も無駄で,何故かまた食欲がわいたので,夕食には少し早いがカレーを少なめに皿1杯食べましたが,しばらくすると極端な脱力感に襲われました。

 これは,経験上低血糖の症状ですが普通以上に食べてるので変です。

 しかし,一応念のため角砂糖をいくつか食べたり,さらにカレーライスも茶碗1杯程度食べたりしましたが,胃のあたりの不快さは変わりません。

 確か不眠症による睡眠不足もこれと似た症状なので寝ることにしました。

 自然に寝入ってしまいましたが,20時半頃,ひどい嘔吐に襲われて目覚め,せっかく食べたカレーライスをあわててベッド上に敷いた新聞紙の上に全部吐いてしまいました。そうです,単に食べ過ぎだったようです。

 前から食が細く胃が小さいのはわかっていますが,このところ昼の食堂以外の自宅ではお茶漬け,卵かけご飯,味噌汁ぶっかけご飯など流動食に近いものばかりだったので胃がビックリしたのかもしれません。

 とにかく嘔吐でサッパリして気分の不快感は去りました。

 ここ2,3年飲酒をしても吐くことはなかったので吐く苦しさは久しぶりですが,胃の中に吐くものが充分あったので前ほど苦しくなかったです。

 でも,食べ過ぎに気づかず低血糖症と間違えるなんてやはり変です。

 また,昨日あたりから,右目は膜が張り付いたようにほぼ完全にぼやけています。左目をふさぐと明暗しかわかりません。

 23日に視力検査したときは右目は0.4でしたから検査時にはある程度見えていたはずですから,これは再び眼底出血でしょう。

 医者は11月の最初からレーザー手術なしでも眼底出血は自然治癒するだろうし心臓病の血液をサラサラにする薬と競合するからと血を止める薬も何も処方されません。

 でも出血した血が視野をさえぎっているなら血を止める薬じゃなくて血液をサラサラにする薬を追加したほうがいいんじゃないかと思います。

 どうも内科といい眼科といい月1回の定期診察を受けて数日すると調子悪いですが,行ったばかりなのでまた連絡をして行くのは億劫です。(両方ともヤブじゃないの?)

 それに帝京大病院の眼科などは救急でないなら予約取る必要あって緊急連絡でもいつになるかわかりませんしね。

 今夜は日曜日のみ営業していて金がなくても毎週飲みに行く習慣となっているお店が,中国人ママ2人とも2週間ほど上海に里帰り(日本から逃げた?)ということで休みなので,おとなしく静養して明日にそなえます。

 吐いたので,普通にjおなかが減ってきたのでお茶漬けでも食べます。

PS:今日はこれまで2回もPCが反応しなくなりワードで30分間書いた文章も全部消えたりしてマシンも不調,野球も期待はずれでついてないみたいです。

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被災地へのお見舞い

 昨日土曜日の勤務先での朝礼によれば,手作りの唐辛子を用いたカイロ?,発泡スチロールを利用した簡易足温器などの防寒グッズその他にお見舞いカードそして私もいくつか折った千羽鶴を添えて宮城県の石巻に送ったということでした。

 これらは,何も持たない我々が被災地に対してせめてできることとして,先日から少しずつ作っていたものです。ささやかですが。。。

 我々の仲間にも宮城県気仙沼出身で実家が流され避難してきた母親を引き取り,弟さんは行方不明の方とか福島県出身でご両親が原発の被爆地域におられるらしい方もいます。

 決して「対岸の火事」で済まされるようなことではないです。

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2011年3月24日 (木)

リズ,死去!!

 絶世の美女:Elizabeth Taylor(エリザベス・テーラー)さんが亡くなられました。 →毎日JP: http://mainichi.jp/select/world/news/20110324ddm041060026000c.html

 1932年生まれの79歳でした。

 今となっては,リバイバルで見た「緑園の天使」やジェームス・ディーンの関係で見た「ジャイアンツ」を思い出すくらいですね。。あと,ゲーブルとの「じゃじゃ馬ならし」もありました・

  

      冥福をお祈りします。 合掌!!

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眼科検診

 昨日(23日)は1月26日以来の眼科の検診に板橋区加賀2丁目の帝京大付属病院に行ってきました。

 2ヶ月も経って予約の紙をなくし予約時刻を電話で聞くのも億劫でしたので大体前と同じ10時~10時半と見当をつけて朝9時半頃に家を出ましたが

 帝京大付属病院に行くには障害者フリーの都営三田線の新板橋駅から約300mのJR板橋駅から王子行き国際興行バス(210円)が出ていて子供料金110円で乗れるのですが,110円の倹約と足の健康のために,三田線板橋本町駅に行きそこから15分くらい歩いて病院に向かいました。

 途中,いつものように仲宿のリサイクル店前を通りました。(帰りも通りました)

 ここは店内に陳列できないほど品が豊富にあって,昨日は2500円のCDラジカセ,3000円の冷蔵庫,1000円から1500円の大きな引き出しつき収納ボックスなど必要はないのですが金があれば買い物中毒症状が出そうでした。

 病院の受付マシンで受付すると朝9時の予約でしたが,これは無理です。眼圧や視力検査は11時頃でしたが,結局12時半に診察の番がきました。

 まあ,病院診察は一日仕事と思っているので勤務もお休みをとってきてリュックに本を3冊も入れてきて読書に夢中で呼ばれても気づかないほどでしたから読書や昼寝にもってこいで待たされる時間は有難いくらいですね。

 しかし,午前中で終了のはずの主治医もまだ患者は残ってて昼食取るのもかなり先になるみたいでいつも大変なようです。

 私は以前の旧建物時代の別の科での診察のときにもノートPCでのネット閲覧に夢中になっていて呼ばれても気付かず,やっと気付いてもPCの自動切断がまだなのに再び呼ばれ,「ちょっと待って下さい」とやって医師と看護士に顰蹙を買ったのではないか?ということもありました。

 今の眼科診察は11月初めに糖尿病のため右目の眼底出血があり,それ以来1一月か二月に1回診察を受けていて,眼底を見るため視力検査の後で瞳孔を開かせる目薬をさされます。

 それから6時間くらいは,まわりがぼやけて見えます。

 近くはまだましなのですが,それでも読書するのは老眼鏡をかけても大きい字以外は判読するのが難儀ですから11時半頃から居眠りをしてました。

 この目薬のせいで診察後に池袋に行くか?神保町に行くか?それとも王子経由で秋葉原まで足をのばしてみるか?とか前もって予定を立てても結局は無駄になります。

 16時頃までは足元以外ほとんど見えないので,心臓病と足の神経症,動脈硬化のせいで坂を歩くのがつらいのと相俟って,どこかに行く気は失せてしまって眼科診察の後は直帰し見えるまで自宅で仮眠する習慣となりました。

 診察ですが右目に変化はなく視力は前と同じで裸眼で左0.6,右0.4,矯正で左は1.0ですが右は矯正されないという結果で,メガネなどは無駄で視力を良くしたいなら白内障を手術してみるくらいだろうと言われました。

 まあ,今の白内障の手術は簡単に終わるらしいけれど今手術を受ける気にもならないので,また普通に来月診察にくるということで帰りました。

 私の現在の病気は,軽いうつ病以外は糖尿病が全ての源らしいですが,虚血性心不全,糖尿性網膜症,糖尿性神経症,足の動脈硬化,腎性貧血などです。

 頭が悪い,顔が悪い,性格が悪いというのもありますが。。。

PS:しかし,放射性物質による今の汚染レベルの牛乳であれば,現在国内で年間平均最大消費の長野県人の年間量でも,その8倍くらい飲まないと危険じゃないので現実的じゃない?なんて,どこかの学者がTVでなんでエラソーに語ってるのだろう。

 人は牛乳だけ飲むわけじゃなく,もっと汚染レベルは低く量も少ないかもしれないがホウレン草もキャベツも食べるだろうし,汚染水道水も飲み,海洋汚染されてるであろう海の魚なども食べるでしょう。

 トータルの複合汚染の効果をごまかして無理やり放射能安全神話を作ろうとする余り,ことさら野菜だけとか肉だけとか個別事細かく安全性を強調するのはよくある詭弁を用いてるように見えるのですが。。

 「ただちに」影響があるものではないって当たり前の話です。

 タバコが発癌物質としてその喫煙,副流煙が肺がんに影響あるっていうのも何年,何十年も続けての話ですから「ただちに」ではないですが,だからといってそれを吸っても全然大丈夫ということではないです。

 (イヤ,私は別にガンになってもこれ以上心臓が悪くなってもいいのでタバコは吸いたいし,放射能に汚染されてても安ければ食べたいのですが。。(汗))

 腐りかけの鯛であろうと,少しマズくても食べても大丈夫でしょうが,他に食べるものがあるうちは大丈夫,大丈夫と言って勧めることはしません。

 これは百歩譲っても,まだまだ事故と後処理のマズさが続き10倍以上も汚染が進んだらどうなんですか?現状の小賢しい疫学なんか聞きたくないです。

 (人が未だ制御できない資源なのに,それをダマシダマシ利用しようとした報いでしょうか?"都知事の失言?=天罰"という意味ではないですが。。)

 別に比較的衣食住に不自由なく,ある意味で将来の健康の心配をする余裕もある飽食日本の市民層に無用な危機意識をあおって,パニックや誤った買占めなどの混乱を起こす必要はないと思います。(風評被害??)

 しかし,現実には地震で家も仕事も失っている人がゴマンといるようですし,これにさらに追い打ちで原発事故です。

 国内の農業保護も大切でしょうが,それどころじゃないのでこの際ですから利権抜きで米国産牛肉をたくさん輸入したらどうでしょうか?とか言いたいことはたくさんあります。

 モノゴトには全て裏表があり両刃の剣,一方を立てれば一方が立ちません。

 今の状況でも危険をあおれば無用のパニックが起こり,逆にそれを避けるため事実を隠蔽して安全を強調すれば,楽観,事実誤認のために手遅れになることもありますよネ。

 自分自身が他人に配るべき何モノをも持ち合わせていないからお気楽に言えるのかもしれませんが,リビア,イエメン,バーレーンなども含め,持てる者が持たざる者へ無償で分配すべき時期にきているのではないでしょうか?

 スポーツ選手や著名人を中心とする募金活動。。パフォーマンスとの批判もありますが何でもいいです。お金は大事だヨ。。。 

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2011年3月21日 (月)

日常生活

 週末から日常生活を取り戻しました。まだ,スーパーには保存できて非常時に手間がかからず食べられる種類の食料はいつも売り切れですが。。。 

 日曜日には空いていた隣にどなたかが引っ越して来られたようです。

 最近,向かいのご隠居さんに聞いた話では部屋を見に来た方は日本人でも中国人でもないということでしたが,夕方通りがかりにちょっとあいさつした感じでは日本人だと思いました。

 ご隠居さんの話では両隣の間取りは真ん中の私の部屋よりもいくらか広いということで(何故知ってるんだ?)カップルが住むことが多いとか。。

 私も丁度模様替えでガタガタしてたので騒音はお互いさまでしょう。でも隣のセキ払いが聞こえるのは相当安普請ですね。

 居室時に声も音もせずシーンとしている状態は自分自身の耳に自分の生活音が聞こえて落ち着かないし,また淋しいので何気に小中音量でTVをかけっぱなしているのですが,隣のセキ払いが聞こえるのでは逆に私のTV音でさえ隣に聞こえるかも知れません。

 まあ,こういうのは経験上お互い長く住んでいると自然に慣れていつもの音なら聞こえていても聞こえなくなるはずですネ。

 私は独身一人暮らしだし自分の部屋の中では70~80%は自由であると思っています。

 困っていれば助けてあげたいという気持ちはありますが今のところ自分自身の生活に忙しいので隣人を気にする余裕もありません。

 模様替えに忙しくて週末は科学ブログを書くひまもなかったです。

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2011年3月17日 (木)

生態系とロトカ・ヴォルテラ方程式

地震でゴタゴタしていますが,ちょっと気分転換?の科学記事として

生態系のモデル,あるいは"”食物連鎖=弱肉強食の生存競争"の推移

を表わす数理生物学のモデルを紹介してみます。

  

以前,カオス(chaos)をもたらす非線型方程式の1つである

ロジスティック方程式(logistic equation)を紹介しました。

 

それは2006年7/20の記事「人口増加とロジスティック曲線

ですが,これは人口の増加曲線がロジスティック方程式の解で

近似できると考えたものです。

 

以下では人口などの1つだけの個体数を対象としたロジスティック

方程式を複数の個体の増減を記述できるものに拡張した競争モデル

:ロトカ・ヴォルテラ(Lotka-Volterra)方程式を紹介します。

 

まず,過去のブログ記事「人口増加とロジスティック曲線」の必要

部分を再掲します。

 

(再掲開始)

 

まず,全世界,または比較的出入りの少ない閉じた地域の現在の

人口をN人とし,Δt年間にN人とΔtに比例して,kNΔt人

だけ人口が増加するとします。

 

今の時刻(年)をtとして,年間の人口増加率kがk=b-d(ただし,

bは出生率,dは死亡率)で与えられる単純なモデルを想定するわけ

です。

 

kが一定であると仮定すると,(t+Δt)年の人口:N1=N+ΔN

はΔN=kNΔtによりN(1+kΔt)となります。

 

同様に,さらにΔt年後の(t+2Δt)年の人口N2は,

2=N1+kN1Δt=N1(1+kΔt)=N(1+kΔt)2

です。

 

結局,時刻(t+nΔt)年の人口Nn人はN(1+kΔt)nになる

と予測されます。

 

k>0 であれば,正に人口はネズミ算的に増えてゆきますね。

 

Δtが無限小:dtならΔN/N=kΔtは,dN/dt=kN

を意味します。

 

この微分方程式を解けばt=0 での人口をN(t=0)=N0として

時刻tにおける人口は,N=N(t)=N0exp(kt)で与えられる

ということになります。

 

これを見るとk>0 ならt→ ∞ではN→ ∞ですが,逆にk<0

ならN→ 0 なのでやがて絶滅してしまいます。

 

しかし実際にはΔtの間にはいろいろな災害や環境の変化など

があって,人口増加率kは一定でなくかなりの変化を受けると

考えられます。

 

一般に人間をも含む生物個体の増加は個体数Nが増えれば増える

ほど妨げられる傾向がありますから,

それは増加率がk=(一定)からk(1-αN)(α>0)になるような

効果で表わすことができます。

 

このモデルはロジスティックモデル(logistic model)と呼ばれます。

 

例えば島のような限られた地域に単一の装飾動物のみが生息

していて,そこにある植物を食べることだけで生きているなら,

その生物の数が増加し過ぎると食料が不足し,結果,個体の増加

が抑制されるでしょう。

 

実は地球全体も食料の限られた領域と考えることができます。

 

そして,このモデルによると,増加率:k(1-αN)(α>0)において

αN>1なら人口(個体総数)Nは増加し,逆ならNは減少しますね。

 

これは,Nに対する微分方程式の形では,dN/dt=kN(1-αN)

という非線型微分方程式になります。

 

これを解くと,N=N(t)=N0/[αN0{1-exp(αt)}+exp(αt)],

あるいは,N(t)=(1/α)/[1+{1/(αN0)-1}exp(-kt)]です。

 

 これの描く(N-t)曲線をロジスティック曲線(logistic-curve)と

 呼びます。

 (下にその曲線を図示します。:

 他のホームページから借用した図なので縦軸は世界人口と特定されて

 いますが,単一の生物の個体数で置き換えることもできます。)

これを見ると,t → ∞ の極限では,N → 1/αとなり人口

(個体総数)Nは,ある一定の極限値に到達します。

 

そして,それ以上は増加も減少もしません。

 

この,ロジスティックモデルは実際に生態学(ecology)において

個体の増加減少の履歴と一致する例が多々あり,人口にも適用で

きると考えられています。

 

これは,正に「増え過ぎた生物は抑制される」という自然の摂理

(=神の摂理)を体現するモデルの一つになっています。

 

人類は,自然界に天敵がいないことや医学の進歩,軍縮などによる

戦争の減少?etc.によって,この摂理を次第に破壊し結果的に生態

系を破壊しつつあると思われます。

 

やがては,この神の摂理の破壊の報いを受けるかも知れません。

 

ところで,ロジスティック微分方程式のdt=Δtの刻みを調節

し中心差分の差分方程式として離散化すると,kの値によっては

tが大きいところで解が不安定な人口増減振動をするカオス現象

起こすことが知られています。

 

この不安定性は数値解析の目的で"離散化=差分化"を行なったた

めに生じたものですが,現実の現象のモデルとしては時間刻みが

無限小の微分方程式よりも時間刻み有限の差分方程式の方が適切

かも知れません。

 

カオス(chaos)の例としては上記のロジスティック模型:

n+1=axn (1-xn)は典型的なものです。

(※注:上記ロジスティックモデル式の差分形は,

ΔN/Δt=kN(1-αN)ですが,この差分方程式

関数方程式(=数列の漸化式)としての形は,明らかに,

 

n+1=Nn+kNn(1-αNn)Δt

=Nn(1+kΔt-αkNnΔt) です。

 

そこで,a=1+kΔt,xn =αkNn/(1+kΔt)とおいて,

 

n+1=Nn(1+kΔt-αkNnΔt)の両辺に,

αk/(1+kΔt)を掛けることにより,直ちに

n+1=axn (1-xn)の形になります。(注終わり※)

  

n+1=axn (1-xn)は,時間刻みΔtの選択に相当する

a=1+kΔt,の値の選択によっては,

リー・ヨーク(Li-Yorke)の定理」にあるカオス発生条件

を満たします。

 

参考文献:山口昌也 著「カオス入門」(朝倉書店),山口昌也 編著「数値解析と非線型現象」(日本評論社)

(再掲終了)※

 

 さて,本日の新記事としては,上記「ロジスティックモデル」

 の内容を要約することから始めます。

 

 まず,全世界,あるいは外部から流出入のない閉じた地域の

 個体数(人口)をNとします。

 

 1年当たりの出生率をb,死亡率をdとして個体の増加率:

 k=b-dが一定であるとすると,

 

 Δt年間にNに比例して,

 ΔN=(kΔt)Nだけ増加するという単純なモデル:

 dN/dt=kNを考えることができて,これの解は

 N=Nexp(kt)となります。

 

 これから,k=b-d>0 :(出生率)>(死亡率)なら,

 個体はネズミ算的に増加し,逆にk<0:(出生率)<(死亡率)

 なら絶滅するという単純指数モデルを得ます。

 

 しかし,実際には自然界の外部環境:空気,水,土地や気候などは,

 個体数に依らず一定であっても,個体数が増えすぎると食料不足

 など他に増加を妨げる環境要素が存在して,現実のk=b-d

 =(出生率)-(死亡率)は一定ではありません。

 

 この効果を増加率が個体数Nに比例して減少するとして,

 b-d=k(1-αN)(α>0)で表現したものが,

 ロジスティック方程式dN/dt=kN(1-αN)です。

 

 例えば,人間のように天敵がいない(※実はウィルスなどバクテリア

 まで考えると天敵はいます)とか,肉食動物が侵入しないごく小さな

 閉じた地域に1種類の草食動物しかいないというような場合にこの

 モデルはかなりうまく適合するようです。

 

 しかし,今まで1種類の"個体=草食動物"しかいなかった地域

 に別地域からこの動物を捕えて食料とする個体=肉食動物が

 侵入した場合を想定すると事態は変わってきます。

 

 この場合の個体数の増減を記述するために,

 "元々いた個体=草食動物"に番号1を付け"他から侵入して

 これを捕食する個体=肉小動物"に2を付けて区別して,

 各々の個体数をそれぞれN1,N2で記述することにします。

 

 ロジスティックモデルでは個体1の数N1はΔt年間に,

 k11(1-α11)Δtだけ増加するとしたのですが,

 これを食べる個体2が存在する場合,この増加率k1(1-α11)

 がk1(1-α11-β122/k1)に変わるというモデルを考えます。

 

 すなわち,Δt年間の個体1の増加分ΔN1はN2=0であった頃は

 ΔN1=k11(1-α11)Δtでしたが,

  

 個体2の存在:N2>0 により,これに加えてさらにN1,N2の双方に

 比例するβ1212Δtだけの個体1の数N1の減少があると考え,

 ΔN1=k11(1-α11)Δt-β1212Δt

 =k11(1-α11-β122/k1)Δt

 とするわけです。

 

 こうすると1に対する時間発展はΔtを無限小のdtとした

 微分方程式形では,dN1/dt=k11(1-α11-β122/k1)

 となります。

 

 逆に,個体2の方はロジスティックモデルでは増加分が

 ΔN2=k22(1-α12)Δtですが,

 これに,捕食による増加の効果β2121Δtを加えて,

 dN2/dt=k22(1-α22+β211/k2)とします。

 

 今のところは,k1>0,k2>0,β12>0,β21>0

 と仮定しています。

 

 こうして個体1,2の増減を示すモデルとして,

 非線型な連立微分方程式:

 dN1/dt=k11(1-α11-β122/k1)..(1),

 dN2/dt=k22(1-α22+β211/k2)..(2)

 が得られました。

 

 次に,これを解くことを考えます。

 

 まず,(1)×β21と(2)×β12を加えると,

 β21(dN1/dt)+β12(dN2/dt)

 =k1β211(1-α11)+k2β122(1-α12)

 となります。

 

 つまり,d(β211+β122)/dt

 =(k1β211+k2β122)-(k1β21α112-k2β12α222)..(3)

 です。

 

 一方,(1)×(k2/N1)-(2)×(k1/N2)から,

 (k2/N1)(dN1/dt)-(k1/N2)(dN2/dt)

 =k12(1-α11-β122/k1)-k12(1-α22+β211/k2)

 =-(k1β211+k2β122)-k1211-α22)

 が得られます。

 

 つまり,d(k2logN1+k1logN2)/dt

 =-(k1β211+k2β122)-k1211-α22)..(4)

 です。

 

 (3)と(4)を加えると,

 (d/dt)(β211+β122+k2logN1+k1logN2)

 =-k1211-α22-(β211α112-β122α222)..(5)

 となります。

 

 一般には,これ以上解析的に解くのは困難です。

 

 しかし,基本方程式系:

 dN1/dt=k11(1-α11-β122/k1)(1),

 dN2/dt=k22(1-α22+β211/k2)(2)

 の右辺の増加率において,

 

 1,N2による2次の効果のうち他の動物による以外の環境による

 減衰項:-k1α112,-k2α12が,被食捕食関係の効果:

 -β12122112に比べて無視できるほど小さい場合なら,

 α1=α2=0 の近似で解析的方法で解くこともできます。

 

 すなわち,基本方程式(1),(2)は,それぞれ,

 dN1/dt=k11(1-β122/k1)..(1)',

 dN2/dt=k22(1+β211/k2)..(2)'

 に変わります。

 

 これはロトカ・ヴォルテラ(Lotka-Volterra)方程式と呼ばれます。

 

 これは,例えば草食動物が食べる草は無尽蔵にあって2種の動物

 以外には増加率(生死)に影響を与える外部環境はないとするもの

 です。

 

 この方程式系では式(5):

 (d/dt)(β211+β122+k2logN1+k1logN2

 =-k1211-α22)-(β211α112-β122α222)

 は,右辺でα1=α2=0 なので,

 

 H≡β211+β122+k2logN1+k1logN2と置けば

 dH/dt=0 になります。

 すなわち,H=β211+β122+k2logN1+k1logN2は,

 力学などでのエネルギーのように時間的に一定な保存量

 (constant)です。

 

 あるいは,H=log[exp(β211+β122)]+k2logN1+k1logN2

 =log[N1k22k1exp(β211+β122)]なので,

 

 A≡N1k22k1exp(β211+β122)が保存量であるということも

 できます。

 

 211+k2logN1)+(β122+k1logN2)=C1(一定),

 あるいはN1k2exp(β211)×N2k1exp(β211)=C2(一定)

 (k1>0,k2>0,β12>0,β21>0)ですから,

 

 通常はN1が増えればN2が減少しN2が増えればN1が減少する

 という関係にbなっています。

 

 しかし,N1が減少し過ぎるとそれを食べるN2の食料が不足になり,

 その増加にブレーキがかかり,その結果N1が増加に転じます。

 

 これは自然界の関係をうまく表現していると思います。

 

 実際に被食捕食関係にある2個体数の年ごとの変動を示す履歴

 データがあれば,それとこのモデル式を比較して,例えば,

 非線型最小二乗法によりk,βなどのパラメータフィッティング

 を行なえばかなり合理的な予測曲線が得られると期待できます。

 

 さて,ここで外部環境の影響も無視しない一般的な

 2個体の基本方程式系:

 dN1/dt=k11(1-α11-β122/k1)..(1),

 dN2/dt=k22(1-α22+β211/k2)..(2)

 (k1>0,k2>0,β12>0,β21>0)

 に戻ります。

 

 これはパラメータβ1221の符号にこだわらず,

 (2)式でのβ21>0を-β21>0 と定義し直せば

 dN1/dt=k11(1-α11-β122/k1),

 dN2/dt=k22(1-α22-β211/k2)となり,

 個体1と2の方程式形が同じ(対等な形)になります。

 

 そこで,3個体なら方程式系を,

 dN1/dt=k11{1-α11-(β122+β133)/k1},

 dN2/dt=k22{1-α22-(β211+β233)/k2},

 dN3/dt=k33{1-α33-(β312+β322)/k3}

 と拡張すできると考えられます。

 

 さらに,一般にn個体に対する方程式系としては,

 dNj/dt=kjj{1-αjj-(Σk=1nβjkk)/kj}

 ;j=1,2,..、n,ただしβjj=0 ..(6)

 と一般化できます。

 

 しかしながら,もしもバクテリア,プランクトンをも含む植物,動物

 の全生物を対象とするなら生物の種類nは膨大な数になりますが,

 自分以外に全く他の生物と無関係な外部パラメータなどは存在し

 得ないので全てのαjをゼロと考えることができます。

 

 すると,全n個体数に対する方程式系:

 dNj/dt=kjj{1-αjj-(Σk=1nβjkk)/kj}

 (j=1,2,..、n)..(6)

 は,dNj/dt=kjj[1-(Σk=1nβjkk)/kj]

 =Nj(kj-Σk=1nβjkk)(j=1,2,..、n)

 となります。

 

ここで,N1,N2,..,Nn未知数とする定数係数の連立1次方程式:

j-Σk=1nβjkk=0,つまりΣk=1nβjkk=kj(j=1,2,..、n)

が解N10,N20,..,Nn0を持つとします。

 

さらにxj≡log(Nj/Nj0)と置いてtで微分すると.

dxj/dt=(1/Nj)(dNj/dt)=kj-Σk=1nβjkk

=Σk=1nβjk(Nk0-Nk)=Σk=1nβjkk0(1-Nk/Nk0)

=Σk=1nβjkk0{1-exp(xk)}=kj-Σk=1nβjkk0exp(xk)

です。

 

一方,d{exp(xj)}/dt=exp(xj)(dxj/dt)ですから,

d{xj-exp(xj)}/dt=dxj/dt-dexp(xj)/dt

=Σk=1nβjkk0{1-exp(xj)}{1-exp(xk)} です。

  

それ故,G≡Σj=1nj0{xj-exp(xj)}と置けば,

dG/dt=Σj=1nΣk=1njkj0k0{1-exp(xj)}{1-exp(xk)}]

=0 を得ます。

  

なぜなら,右辺を,Σj=1nΣk=1njk ;

jk≡βjkj0k0{1-exp(xj)}{1-exp(xk)}と書けば,

単なる添字j,kの交換に対して総和は不変なのに,

kj≡-Qjkによって符号を変えるからです。

 

よってG=Σj=1nj0{xj-exp(xj)}は保存量です。

 

私が思うに,これは例えばアメリカ大陸西海岸で起きたの地震が

タイムラグもなく瞬時に日本の太平洋岸に津波をもたらすと考

えるような伝播速度を無限大とする拡散型方程式です。

 

それ故,これは古典力学なら,伝播速度を無限大とするニュートン

力学に相当し伝播速度有限の相対論は考慮されてないようなもの

です。

 

話は変わりますが,かつてのヨーロッパで論じられていた古典

経済学でも,世界はイギリスやドイツが中心のヨ-ロッパだけ

で閉じていました。

 

交通,通信手段による伝播は瞬時でタイムラグによる資本主義

の不均等発展の結果としての発展途上国の存在,

今のように自国の矛盾をそうした他国にしわ寄せして生きのびる

という面を無視したものでしたネ。

 

今,問題としている生態系モデルも,はるか遠方の個体の増減が

当該地域に伝播するまでの速度やタイムラグをパラメータの中

に考慮できるほどの精度はまだないと思います。

 

また,地球上には金属や鉱石など無機物を食料とするような生命体

は存在しないと思っています。

 

機械,ロボットの存在が生物に影響を及ぼしても空気や水と同じく

その効果は個々の個体の数には依存しないはずです。

 

植物も動物の排泄した糞尿など有機肥料のみを糧とするような

自然な生態系では,それは地球自体の経年変化以上には変化しない

はずなのですが,食物連鎖の中に人間が手を加えた化学合成の肥料

などが入るというのはどうなんでしょうかね?

 

ゴミであっても合成されたものではない糞尿や果物の種,皮,料理

に用いた野菜の残りなど有機ゴミであれば道端に投棄しても自然

に風化して自然に帰るはずなんですが,都会の道端にはもはや土は

なく舗装されてコンクリートばかりだったりします。

 

参考文献:戸田盛和 著「非線型問題30講」(岩波書店)

 

PS:3月18日(金)の朝です。

 

昨年8月に引っ越してから半年余りが経ちました。

 

部屋の中の物の配置が引越し時のままで別に何も考えていません

でしたが地震を機会に整理をしようと思い付きました。

 

疲れやすい体で重いものを運ぶのは無理でも1日30分でも1時間

でもコツコツと大きいものも少しずつ動かして自分自身が生活し

やすい空間にしたいと,昨日(17日)から模様替えを始めました。

 

ついでにブログでの過去記事の整理で訃報や芸能人関連を中心に

使用可能な顔写真の挿入作業も始めました。

PS2:私は,有機物と無機物の区別については,生物が関連する物質を有機物,それ以外を無機物という程度の認識しかありませんでした。

 これでは,本文の"また,地球上には金属や鉱石など無機物を食料とするような生命体は存在しないと思っています。"という内容は単に同義語反復の意味でのトートロジーであり無意味でしたね。

 なお,化学大事典によれば以下の通りらしいです。これ,定義というにはかなり曖昧ですが,この程度でいいのでしょうか?

(PDF:http://www.prtr.nite.go.jp/prtr/pdf/clasexp.pdf より)

1.無機化合物

 比較的小数の簡単な炭素化合物(炭素の酸化物、シアンなど)以外の炭素化合物,すなわち一般に有機化合物と通称している化合物を除いた全ての化合物を言う。

 炭素以外の元素のみを含む化合物,及び炭素化合物でも比較的簡単な化合物,例えば酸化物(CO2,CO,C32など),シアン(CN)及びシアン化物(C22,KCN,Na3Fe(CN)6など),チオシアン酸塩(NaSCNなど),炭酸塩(K2CO3,KHCO2など)などを総称して言う。

 ただし,簡単な炭素化合物といっても塩化物(CCl4など),硫化物(CS2など)などでは,いわゆる有機物としての性質が強く,有機化合物に分類されることが多い。

 また,シュウ酸塩や酢酸塩のようにいずれにも分類しうるものもある。[化学大事典(共立出版株式会社)より抜粋]

2.有機化合物

 有機化合物の定義は歴史的な変遷があり,現在では大体炭素化合物と同意語のように慣用されている。

 無数といって良いほどの有機化合物も構成している元素の種類は非常に少なく,C,Hの2元素から成るもの,C,H,OあるいはC,H,Nの3元素から成るもの,及びC,H,N,Oの4元素から成るものが圧倒的に多い。

 これら4元素の他に,S,P,ハロゲン(F,Cl,Br,I)を含むものも多く,B,Si等を含むもの,各種金属を含む有機金属化合物も知られている。

 現在の慣用では炭素化合物の全てを有機化合物とは言わない。一酸化炭素,二酸化炭素,炭酸及びその塩類などは無機化合物として扱われている。

 炭素化合物の内C-H結合を含むものを有機化合物とするという定義もあるが,これも厳密なものではなく,例えばシュウ酸はC-H結合を含まないが有機化合物として取り扱われる。

 四塩化炭素,ホスゲン,シアンなどは中間的なもので有機化合物として取り扱うこともあり,無機化合物として取り扱うこともある。[化学大事典(共立出版株式会社)より抜粋]

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2011年3月16日 (水)

春の選抜高校野球組み合わせ

 こんなときに何ですけど昔から結構高校野球おタクなので。。。

 3月23日から甲子園球場で行われる予定の第83回選抜高校野球の組み合わせです。3月15日に抽選会がありました。

 組み合わせはスポニチ のホームページhttp://www.sponichi.co.jp/baseball/highschool/2011/spring/kumiawase.html 

からの転載です。

 わが故郷岡山県からは関西,創志学園の2校出場です。

 亡父の母校岡山東商が平松投手を擁して優勝したのは1965年(昭和40年)でした。それ以来岡山勢はベスト4止まり,目の黒いうちに1回くらい優勝したらどやねん?

         http://www.sponichi.co.jp/baseball/highschool/2011/spring/images/yama.gif

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都市での停電

 予告なし(というか曖昧予告)で突然停電ではエレベーター閉じ込めもあり得ますね。いや,命には別状なくて良かったです。たまたま突然の電源切断に対応してない不良コンピュ-タ制御のエレベータならアブナイですよ。

 自家発電を持たない自宅での家族などの介護者による電池以外の電気機器による医療行為.例えば誤嚥性肺炎の高齢者の痰の吸引の機器が停電で突然止まったら命を亡くします。

 評論家的立場とはいえ。。エエカゲンにせいよ。。。

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2011年3月14日 (月)

地震に関する過去の科学記事(バックナンバー)

 この際ですから,地震関係の過去の科学記事を紹介しておきます。

(↑ははーん?なるほど手抜きだね。)

 まず,2006年11/4の「結晶内での弾性波(地震波)」です。

 そして,2009年9/8の「定量的地震学1」,9/15の「定量的地震学2」,9/23の「定量的地震学3」,9/29の「定量的地震学4」,11/17の「定量的地震学5」,11/19の「定量的地震学6」です。

 この後,このシリーズをなぜ途中で中断したのかという理由はよく覚えていませんが,4から5の間があいてるのは10月から介護ヘルパー2級をとるために学校に通っていた時期と丁度一致しています。

 さらには,,2009年12/10の「震源の探知(大森公式等)」があります。

 最後の小記事については丸々転載しておきます。

 (転載開始)↓

 2009年12月10日 「震源の探知(大森公式等)」

今日は,ちょっと手抜きのツナギで2006年11/14の記事 「結晶内での弾性波(地震波)」の続きとして,中学か高校の地学で習った簡単な知識を披瀝してお茶をにごします。

 年末,体調はよくも悪くもないですがヒマ人なりに予定がこみ合っていて貧乏なこともありフリ-マンをエンジョイというわけにはいきません。

 ではまず,記事の再掲から始めます。

 (※再掲)

 今日は等方的とは限らない一般の結晶内での弾性波,特に地震波について考察してみます。

弾性体の密度をρ,応力テンソルを{σjk},それを構成する部分の局所的速度を={uj}とすると,この弾性体が従うべき運動方程式は流体方程式と同じくρd2j/dt2=∂σjk/∂xkで表与えられます。

 

そして,歪み速度テンソル{ujk}をjk≡(∂uj/∂xk∂uk/∂xj)/2で定義すれば,これは{σjk}と同じく反対称の単なる回転を除いた対称テンソルです。これは6個の独立成分を持ちます。

 

線形弾性体近似では,フック(Hooke)の法則:σjk=Cjklmlmが成立するため,先の運動方程式はρd2j/dt2=Cjklm(∂2m/∂xk∂xl)となります。

jklmは,一般に81個の成分を持ちますが,{σjk}も{jk}も対称テンソルなのでjとk,lとmについて対称ですから,独立成分は6×6=36個となります。

  

また,歪みエネルギーWはΔW=σjkΔjkから求まり,対称2次形式W=(1/2)jklmjklmになるので,jklm,kとl,mの交換についても対称であり,結局,その独立成分は(30/2)+6=21個となります。

この方程式の平面波の解をj=u0jexp[i(kr-ωt)]として代入すると,ρω2j=Cjklmklmとなります。これを書き直すと(ρω2δjm-Cjklmkl)um0 となります。

 

この1次方程式が自明でない解を持つためには,3行3列の行列係数:(ρω2δjm-Cjklmkl) (j,m=1,2,3)の行列式がゼロ,すなわち,det(ρω2δjm-Cjklmkl)=0 が成立する必要があります。

 

そして,ω2を未知数としてこの方程式を解けば,ω2の3個の解が得られ,それらはの関数となります。

ところで,もしも結晶が等方性弾性体であれば,歪みエネルギーW=(1/2)jklmjklmは座標系の回転に対して不変なスカラーであるはずですが,jkの2次形式の形で得られる独立な不変スカラーはukk2jkjkのみです。

 

そこで,適当な係数λ,μを選んでW=(1/2)λukk2+μjkjkと書けるはずです。そこで,応力テンソル{σjk}={Cjklmlm}はσjk=λullδjk+2μujkと書けます。ここに弾性定数λ,μはラメ(Lame)の定数と呼ばれています。

このときには運動方程式もρd2/dt2(λ+μ)∇(∇)+μ∇2と,簡単になります。

 

先に挙げた1次方程式の係数の行列要素はρω2δjm-Cjklmkl(ρω2-μ2jm(λ+μ)jmとなります。

 

の向きをx軸の正の向きに取ると,k1=k=||,k2=k30 ですから,行列[(ρω2-μ2jm(λ+μ)jm]は対角成分が[ρω2(λ+2μ)k2]と2つの(ρω2-μk2)の対角行列になります。

 

したがって,det(ρω2δjm-Cjklmkl)=0 の解はVP2≡(ωP/k)2(λ+2μ)/ρ,VS2S/k)2=μ/ρとなります。

 

それぞれの速度に対応する平面波は,速度Pで波の伝播方向への振動である"縦波=P波"と,速度VSで波の伝播方向に垂直な方向の振動である"横波=S波"です。

 

しかし,もしも異方性の弾性体の場合ならω>0 の3つの解ω()はの関数として1次の同次式ではあっても,単なる1次関数になるとは限らず,弾性波は一般に分散性の波でもあると思われます。

 

そこで,伝播速度は"単一波の速度=位相速度"ではなく,群速度=∂ω/∂で与えられると考えられます。

ところで,σjkやujk[σ]=t112233233112)のように6次元の列ベクトルで表わすボイト(Vogit)の表記という表記法があります。

 

この表記で表現すると,フックの法則は[σ]=C[u]と簡単になります。ここでCは6行6列のテンソル行列です。

 

また,このとき,特に結晶が等方性弾性体ならCの成分のうちで独立なのはやはり2つだけで,先に述べたラメの定数はλ=C12,μ=C44=(C11-C12)/2と表わされます。

例えば結晶が立方体構造をしている立方晶系では独立成分は3つです。つまり,C11=C22=C33,C12=C23=C31,かつ4~6行の成分は4~6列しか成分のない対角行列であってC44=C55=C66であり,結局,この結晶構造を示すにはC11とC12とC44の3つだけあれば十分である,ということになります。

この条件ではx軸をの向きに取り,先のdet(ρω2δjm-Cjklmkl)= 0 でのCjklmをボイトの表記でCを表わせば,ξ=(ω/k)2,a=C11/ρ,b=C44/ρ,c=C12/ρとして(ξ-a)(ξ-b)2=0 ですから,解はξ=a,bとなります。

 

つまり速度をVP,VSとすると,VP2=C11/ρとVS2=C44/ρの2つの速度が得られます。これは等方性弾性体でのC44=μ,C11=λ+2μのケースと一致しています。

一方,六方晶系ではC11=C22で,C13=C23,また4~6は対角行列でC44=C55,C66=(C11-C12)/2ですから,結局のところC11,C12,C13,C33,C44の5つだけがあれば十分となります。

 

結果だけ書くと,VP2=C11/ρ,およびVS2=C44/ρ,(C11-C12)/(2ρ)となり,"横波=S波"には2つの速度があるので地震の観測ではS波のほうに2重の波が観測されると予測されます。

 

ただし,異方性の結晶では一般に波は完全にS波とP波になるように行列が対角形になるとは限らないので,これらの計算においては偶々波の進行方向が結晶の対称軸と一致したり直交していたりする特別なケースだけしか扱っていません。

 

一般的な扱いについては,暇があってその気になればまた記事にするかもしれません。

参考文献;ランダウ=リフシッツ 著「弾性理論」(東京図書),角谷典彦 著「連続体力学」(共立出版)

(再掲終了※)

 と書きましたが,ここからもっと身近な地震の話題へとつなげます。

等方性媒質を仮定すると,P{(λ+2μ)/ρ}1/2,VS=(μ/ρ)1/2ですからVP>VSです。

そこで,震源Oから地震を感知する場所:AまでP波,およびS波が到着するまでの時間を,それぞれTP,およびTSと書けばTP=∫OA(1/VP)ds,TS=∫OA(1/VS)dsです。

 

P>VSですから,TS>TPとなります。

つまり,まず縦揺れのP波だけが到着しその後に横揺れS波も到着して両方が重ね合わされた大きい揺れが始まるのですね。

特にOA間の到るところで媒質が同じ均等な弾性体であれば,この区間でP,VSが一定です。

 

そこで,このときにはOA間の波の進行距離(直線距離でなくてもよい)をdAOAdsとするとTPA/VP,TSA/VSです。

これから,引き算するとTS-TP(A/VSA/VP)=A(1/VS-1/VP)です。

 

それ故,TSP≡TS-TP,k≡(1/VS-1/VP)-1=VPS/(VP-VS)と定義すればA=kTSPという比例関係の公式を得ます。

 この式は発見者の大森房吉氏(1918)の名前を取って,大森公式(Ohmori's law)と呼ばれます。

 

    (下図は中越地震本震の地震計記録からです。)

 

     

こうした等方的で均質な媒質を伝わる場合,弱いP波だけが来て「あ,ひょっとして地震かな?」と思ってから本格的で大きな揺れがくるまでの初期微動の時間をTSPとするとその地点Aから震源Oまでの距離AはTSPに比例します。

初期微動時間が長いほど震源までの距離(地理的な距離だけでなく震源深さまでも含めた距離)が長いということが言えます。もしも震源が直下にあれば縦揺れは上下震動,横揺れは左右震動になります。

さて,標高hが違う3地点A,B,Cがありその座標がそれぞれ(xA,yA,hA),(xB,yB,hB) (xC,yC,hC)であるとき,上記のような公式に基づいて初期震動時間の観測から観測点から震源までの距離A,B,Cが全てわかったとします。

このとき,未知の震源Oの座標を(xO,yO,hO)と仮定すれば地震波が全て直進ならA2(xA-xO)2+(yA-yO)2+(hA-hO)2,B2(xB-xO)2+(yB-yO)2+(hB-hO)2,C2(xC-xO)2+(yC-yO)2+(hC-hO)2が成立します。

これは3つの未知数xO,yO,hOに対する3つの連立2次方程式ですから解くことが可能です。つまり,正確に震源までの距離を観測できる点が3個あれば原理的には震源の位置がわかります。これは3点法と呼ばれるものですね。

普通,震源の高さhOは海抜で測って負の数であり震源は地中または海中にあります。

大森公式A=kTSPは地震に対する公式で大森係数と呼ばれるk=VPS/(VP-VS)は8(km/s)程度の値ですが,この式は雷における音と光の2つのように速さの異なる2つの信号が届く現象では全く同じ公式が成立します。

ただし,雷の場合は光速がc~30万km/s,空気中の音速がv~340m/sでc>>vなのでk=cv/(c-v)~cv/c=vですから,事実上A~vTなのでほとんど光速は関係なしです。(Tは光が見えてから音が聞こえるまでの時間です。)

 

例えば,ピカッと光ってから雷の音が聴こえるまでの時間が1秒なら,自分から340m程度離れたところ(空中かもしれません)で"放電=落雷"があったと推測されます。

    

PS:>私のマノン・レスコーたちへ 

 病気とか事故に会っていなければどこで誰と遊んでいてもいいけれど,連絡つかない状況だととにかく心配です。大丈夫かなあ。。。。)

 ("マゾ, ロリコン, 準デブ専, メガネフェチ=変態"のTOSHIより。。)

(T.ウッズも聖人君子ではなく適当にストレスを解消しているらしいので安心しました。あれだけの収入を得る能力があれば大勢の家族を養えますね。

 性欲のある健康な男だし,大有名人で品行方正キャラが売り物なら日本だと風俗通いもままならないので女遊びは囲い込むしか仕方ないとして,もしもプロテスタントならマドンナの養子のように大勢を扶養するのはむしろ義務かな?)

PS2:ドクちゃんって日本が好きなんだ。。??

 国ではなくて故郷(くに)が好きなんでしょ?

 http://news.aimu-net.com/read.cgi/wildplus/1257045443/

PS3:「陳情政治」からいきなり「非陳情政治」へと革命的に移行するのではなく,途中で1人(小沢さん)に権力が集中するシステムを経る。。

 共産革命でも過渡期ではプロレタリア独裁(現実には中国では毛沢東,ロシアではレーニンの1人独裁)です。それはそれでマヌーバとしてありなのでしょうが独裁者がプラトン的(プラトニック)に正しい哲人でいるうちはいいけど,うまく移行できないと"元の木阿弥"か,もっと悪くなります。

 小沢氏が中国に大挙して出かけていって米国にブラフかけて「ポッポ政権」を裏で後押ししてるのかも知れないけど,うまくいくのかねえ。基地問題。。

 朝っぱらから女子アナが「吉宗は何将軍?」と聞かれて「暴れん坊将軍?」と答えていました。それでもいいんだろうけど,ニュース番組なので一応「米(コメ)将軍だろ?」とツッコミたくなりました。。。アハハ

 ↑(転載終了)

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2011年3月12日 (土)

続・大地震

 2日目に入り私も余震慣れして少しの揺れには驚きません。まあ,東北に比べると東京は大したことないだろうと,たかをくくっています。どうも梅干しだけが未だに不明なんです。(←発見!,ケースごとゴミ箱に落ちてて無事でした。)

 被災状況が明らかになり死者不明者続々です。

 午後3時過ぎの三陸海岸での津波映像を見ると,以前にゆっくりに見える高波が人々や建物,車を次々に飲み込んで行くインドネシアのスマトラ沖大地震の津波映像を思い出して,背筋が凍るものを感じました。

 マグニチュードが8.8ということで震源の規模では明治以来の観測史上最大で阪神淡路震災震源の規模をはるかに超えています。

 震源のエネルギーをE(ジュール)としマグニチュードをMとすると常用対数の表現でlog10E=1.5M+4.8,つまり,E=10(1.5M+4.8)だそうですから,マグニチュードが1増えるごとにエネルギーは101.5=√1000=31.62倍になる勘定です。

 今回のM=8.8は,チリ地震の9.5,スマトラ地震の9.0よりは小さいようですが,阪神淡路の6.9よりも1.9も大きいので,60倍くらいの規模です。

 しかし,普通に考えると実際の震度は大体は震源までの距離の二乗に反比例するでしょうから震源の深さや沖なら陸地までの距離に関係します。

 また被害の程度は直下型の縦揺れや人口密度の大きい都市だと大きいと予想されるし,また住居の耐震構造とかライフラインにも依存しますから,単純に数値だけではないでしょう。

 今回,東京は最大で震度5くらいですが東北では震度7や6強ということで,震度が同じくらいで5千人も死者が出た阪神淡路大震災を思いだします。

 神戸の方での被害は火事と倒壊が中心でしたが,どうも今回は津波が中心らしく,しかし死者が匹敵しそうな勢いで増えてるのは不気味です。連鎖反応か?長野でも大きな地震がありました。→日本沈没か??

 原発も大丈夫と保証して建設した手前,政府を含め被害を小さめに発表したい当事者の思惑が仇にならなきゃいいが。。と感じています。

 福島や新潟の原発は主に東電が東京の電力供給のため建てたんですから責任は東京都心の方にあるはずです。

 とりあえず今夜の計画停電に備えて電池を電源とする懐中電灯とラジオは枕元に容易しました。

 暖房は電気だけですが,ここは東京だし自宅にいるだけなので一晩や二晩なら毛布とフトンだけで十分でしょう。

 当面金も力もない私にできることなさそうだし自家発電?でもするかな。。。

 そういえば,ずいぶん昔筑波の気象研の依頼で数値計算で緊急時の放射能拡散の5%?濃度コンターを作成した記憶あります。。

PS:停電は週明けからみたいですね。

 NPO手話協会の掲示板によれば13日(日)のNPO手話検定は仙台会場を除いて予定通り実施されるようです。

 私の6級会場は帝京大学(板橋区加賀)で12時に入場,13時から13時50分のマークシートです。受験料3500円を払ってるので受けたいと思っています。

PS2:3月14日(月)朝です。ホワイト・デーどころじゃないです。

 昨日午後には予定通り手話検定受けてきました。

 前から2番目の席にすわってスクリーンの手話はよく見えたけれど電気消されて暗いこともあって手元の問題用紙の選択肢の文字がうまく判読しにくく合格不合格ギリギリかも。。。

 不勉強で過去問の何も知らず6級でもむずかしいと思いました。ペーパーテストは入社試験も含め10年以上ぶりです。。

 そして,帰宅仮眠後,昨夜も予定通り毎日耀の飲み屋に行ってきました。丁度出かける直前の21時頃にも茨城県沖を震源とする余震がありました。

 店に着くと客は私とあと1人酒ではなくコーヒ-と歌のご隠居さんに,後から常連のウーロン茶の個人タクシーの人。。予想通り少ないですが,とにかく無事でよかったです。。。

 夜1時を過ぎて家へと帰ってるところ,白山通りの信号待ちで金耀から休んでいるというスナック「コバ」のママ優子さんとバッタリ会いました。自転車です。

 24時間開いている駅前の西友に行った帰りでトレペを買いに行ったけど全く置いてなくて他にもどこにも無くて困っているそうです。

 さて,東日本地震から4日目の朝です。

 マグニチュードが8.8から9.0に修正されました。震源のエネルギーが100.3倍=約2倍に修正されただけですがどうでもいいです。

 ネットのニュースで,国内や海外からのいろいろなお見舞いのメッセージを読んでいるうちに,大勢が亡くなったという現実感が増してきて思わず涙が出てきました。うーーむ。。

 「死者は万人単位」宮城県知事が見通しだそうです。イヤ-,嬉しくない記録ですが阪神淡路大震災をも超えそうです。

 計画停電実施だって? オイオイ。。昔よく停電があった時代のようにただ電気つかなくて真っ暗になるだけじゃないんだよ。

 2000年問題のときも心配されたけれど,今や都市機能のほとんどはコンピューターに支配されているんだよ。。

 安易にやると,エレベーターだけじゃなく銀行ATMも交差点の信号機も止まったりして大混乱必至です。政治屋さんの関係者もそこんとこよろしく。。

 原子炉なんかオシャカになってもいい。東電の利害より人命を優先させろ。

 起きてしまったことは仕方ないので,大丈夫,問題ないの前提ではなくあるがままを赤裸々に発表しろ。。。。パニックなど起きないから。。

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2011年3月11日 (金)

大地震!!

 今日,15時前三田線で白山から巣鴨駅に着いて駅前広場の案内掲示板前の石垣に腰掛けて一休みしてるところに地震がきました。

 少し離れた向かいの地蔵通りに向かう道への信号付近に座っている中年男性と「地震ですね。」と話しているとドンドン横揺れが大きくなりました。思わず足を踏ん張ってましたが無駄なことです。

 しかし,駅前広場の端で楽しげに騒いでいる女子高生の群れはまだ気づかず,同じ感じではしゃいでました。

 さすがに,交番前の電信柱?がカタカタゆれ始めると悲鳴に変わりました。駅前の通行人が歩みを止めたため人だかりとなり,悲鳴がおきて気分が悪くなったというj老女性などが座りはじめました。

 かなり長い揺れを感じて逃げたり騒いだりして移動しようとする人たちには,ここは学校のような避難場所と同じような比較的安全な場所だし揺れは必ず止まるから。。と声をかけてじっとしてるよう勧めたりしてるうちに本当に止まりました。

 私は普段から余命幾獏もないとか,永眠したいとかの冗談?を言ってるくらいなので,こういうときも普通よりは落ち着いていたみたいです。

 それからも当分余震が続くので,私は覚悟を決めてポケットからいつも持ち歩いているデジカメを取り出しシャッターを押しました。

 取り合えず,時系列的に自宅に帰るまでの写真をアップしておきます。

 ↓最初の地震が治まった直後から(巣鴨駅15時丁度くらい)

 人が集まってきてじっと動きません。。

     

     

      

     

      

     

 ↓巣鴨駅北口交番方向。。。。(15時5~10分頃),14時50分頃の本震時には左手の鉄製の柱も交番も大きく横揺れしていました。そのときには私は直下型(縦揺れ)ではないから大丈夫と叫んでました。

      

      

      

      

   ↓余震が小さくなったので巣鴨駅南口ロータリーを通って一番街へ。。(15時10分頃),歩きながら知人や親戚に携帯をかけてみるも全く通じず。

      

      

      

 ↓16年余り住んでいた旧居「巣鴨陽光ハイツ」の付近ではお店からも人が出てザワザワと。。喫茶「伯爵」では内部で何か倒れたと言ってました。

      

 ↓一番街裏ののスナック通り,いつも一軒だけ昼間からマスターがいろいろと準備中のスナック「美代」が開いてたのでのぞいて見ました。(15時15分頃)

 巣鴨駅南口のサミットの地下で買い物中に地震に遭いお店に帰ってみると,まだブラウン管の大きなカラオケモニターや棚の一部など上にあったものが落ちたり倒れたりしていたとのこと。。モニターは割れてはいませんでした。

      

 ↓旧居のセブンイレブンがあるマンションに入ってみるとエレベーターがとまっていました。外に出ると隣のガソリンスタンドの間の中華料理店から出た人などの人集り。。また余震が起きたようです。(15時15~20分)

     

 ↓帰り道,P&Rという会社から人が大勢飛び出てきました。。(15時20分頃)

     

  ↓ビル全体がまだかなり揺れています。

     

     

     

     

     

 ↓家の近くの江戸橋公園(通称ロケット公園),大勢避難していました。あからさまに人が写ってしまうとまずいので,カメラを斜め上に向け撮影しました。

 家族全員で避難している人たち,呆然と立ってる人が多かったです。(15時25頃)

     

 ↓帰宅(南大塚一丁目の新居アパート。。旧居からは通常は徒歩8分)。。。

 重いアナログプレーヤーがオーディオ,ラックから落ちてはいないけれど壁まですべって傾いて寄りかかっていました。(15時30分過ぎ)

     

 ↓お湯が満タンの4リットル入りのポットは本箱のおかげで落ちずに端の方に止まってました。

 また40枚入り3段のCDラックの上2段とその上の木のブックエンドが本ごと全て落下して散乱していて最初はガラスの引戸に引っかかってました。

 コーヒーカップ,コップやどんぶりなど全部落下していましたが下にはクッションを敷き詰めてたので何も割れず,水もほとんどこぼれず,ただ醤油が落ちて少しこぼれていただけでした。ラッキー。。。

        

 まだ,余震も多いし,部屋をなおすのにバタバタしています。

 今のところ,私は全く無事で安い中古モニターに少しキズがついたと見える他には実害はありませんが,これを書いてる最中にも余震続きです。

 皆さんは大丈夫でしょうか?

PS:夜中も断続的に起きる震度2くらいの余震を無視して就寝後,何事も無く12日朝起床してニュース見てます。(12日朝7時~7時半頃)

 警察庁によれば死者・不明は900人を超えるらしくNZ地震の200人前後をはるかに超えてます。悲惨な。。。福島原発も心配なことです。

 こういうときにジョークを言うのは不謹慎ですが,避難所に泊まってればタダで食事にありつけたかも。皮肉なことに菅内閣はこれで少し延命ですかネ?

 今日も出勤予定ですが普通に土曜日時刻に都バスは来て会社も普通にやってるのでしょうか?

 それよりも障害者が多いので家族のようなみんなが心配です。

PS2:帰宅しました。都バスはほぼ時間通りにきましたがイツモと違ってほぼ満員,しかも目的地の白山2丁目(小石川植物園)では降りるのが私1人だったので少しあわてました。

 今日はまだ余震あって交通が止まるかもしれないと帰らされました。イヤ,私は歩いて30分くらいで徒歩で帰れるのですがネ。。。

 食堂も休みだからということで帰りました。振り替えもなく時給なので1日分損しましたが無事な人々に会えて話も聞けたので良しとします。

 帰りに巣鴨駅前のサミットでパンとバナナを買ったら,まだ昼前でもないのに長蛇の列でした。

 昔のオイルショックの時のようにトレペ,ティッシュや食料を大量に買いこんでるみたいです。イヤ,コンビニなら並ばなくてもいいのですが,現金はなくてポイント少々があるだけなので仕方ないです。

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2011年3月10日 (木)

日記(3月10日のPS)

 今朝は中途半端に前記事「線型代数のエッセンス(14)」をupして,いざ編集しようとした途端にブログサイトがメンテナンス中となったため,そのままにして出勤しました。

 

 帰りには,白山3丁目(御殿町)近くにある巣鴨での飲み友達の製本所に寄り,そこからはバスの時間が合わなかったこともあって氷川神社,千石2丁目,3丁目あたりを散歩しながら帰りました。

 

   ↓紙工所内の製本機械。。。

  

    

 

 ↓氷川神社 at 湯立坂下バス停付近(氷川下)

 

    

  

 

    

  

    

      

    

    

  

  ↓猫又坂の袖石(重要文化財) at 千石2丁目(不忍通りの坂)

    

    

 

  

    

 

 ↓千石4丁目宮下公園近くの民家脇の花壇で。。。

 

    

 

    

 

    

 

※ 前々記事にPSをつけると長過ぎるので別仕立てにしました。そうそう,今日は東京大空襲の日でしたね。

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坂上二郎さん逝く

 坂上二郎さんが脳梗塞再発の末に本日10日朝亡くなられました。

76歳でした。→ MSN産経新聞ニュース「坂上二郎氏死去」  

                            

 安らかにお眠りください。ご冥福をお祈りします。

              合掌!!

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線型代数のエッセンス(14)(ユニタリ空間-5)

 線型代数のエッセンスの§4.ユニタリ空間の続きです。

[定義4-65]:A^をユニタリ空間の対称変換(A^+=A^)とする。に対して(A^,)≧0 のとき,A^は負でない(nonnegative:非負である)という。

 このとき,特に"(A^,)=0 ⇔0 "であるなら,A^は正(positive),or 正定符号(positive-definite:正定値)であるという。

 

(注):A^が対称変換(A^+=A^)のとき,(A^,)*=(,A^)=(A^,)より,(A^,)が実数であることは保証されています。※

[定理4-66]:ユニタリ空間の負でない(非負の)変換の負でない実数を係数とする1次結合は負でない変換である。(← 自明)

[定理4-67]:A^をユニタリ空間の任意の1次変換とすると,A^A^+,およびA^+A^は共に負でない対称変換(nonnegative-Hermite)である。

(証明)A^をユニタリ空間の任意の1次変換とします。

まず,(A^A^+)+=(A^+)+A^+=A^A^+,(A^+A^)+=A^+(A^+)+=A^+A^ですからA^A^+,A^+A^は確かに対称変換です。

次に,∀に対して(A^A^+,)=(A^+,A^+)=|A^+x|2≧0,(A^+A^,)=(A^,A^)=|A^x|2≧0 も明らかです。

 

(証明終わり)

[定理4-67の系]:任意の対称変換の平方は負でない対称変換である。

(証明)A^+=A^なのでA^2=A^+2=A^A^+=A^+A^ですから,定理によって自明です。(証明終わり)

[定理4-68]:ユニタリ空間の負でない対称変換の固有値は負でない実数である。

(証明)A^をユニタリ空間の負でない1次変換とします。

=α(,0)とすれば,(A,)=α(,)=α|a|2≧0 であり|a|20 なのでα≧0 を得ます。(証明終わり)

[定理4-69]:ユニタリ空間の対称変換A^の固有値が全て負でない実数ならA^は負でない1次変換である。

(証明)A^はn次のユニタリ空間の対称変換でA^の全ての固有値(重複を含めたA^のn次固有多項式の根)をα12,..,αnとします。

そして12,..,αnのそれぞれに属する固有ベクトルを正規化したの正規直交基を1,2,..,nとします。

=Σj=1nξjjと書けます。

  

このについては,(A^,)=(A^(Σj=1nξjj),Σk=1nξkk)=Σj=1nΣk=1nξjξk*(A^j,k)=Σj=1nΣk =1nξjξk*αj(j,k)=Σj=1nΣk =1nξjξk*αjδjk=Σj=1nαjj|2と書けます。

  

仮定によってαj0 (j=1,2,..,n)ですからに対して(A^,)≧0 です。(証明終わり)

[定理4-70]:ユニタリ空間の負でない対称変換A^が正定符号である。⇔ A^は正則な変換である。

(証明)A^はn次のユニタリ空間の対称変換でA^の全ての固有値(重複を含めたA^のn次固有多項式の根)をα12,..,αnとします。

^は対称変換ですからAの行列は対角成分が固有値α12,..,αnの対角行列に同値ですから,その行列式は|A|=detA=α1α2..αnで与えられます。

 したがって,A^が正則でない:|A|=0 なら,あるjについてはαj=0 となります。

 

 それ故,α12,..,αnの固有ベクトルを正規化したの正規直交基1,2,..,nに対して,このjについては(Aj,j)=αj=0 となるため,A^は正定符号ではありません。

 一方,A^が正則:|A|≠0 なら,αj>0 (j=1,2,..,n)ですからの任意の元:=Σj=1nξjjに対して(A^,)=Σj=1nαjj|2>0 が成立します。

 しかも,(A^,)=0 となるのはξj=0 (j=1,2,..,n),つまり0 のときだけですからA^は正定符号です。(証明終わり)

[定理4-71]:ユニタリ空間の負でない対称変換A^に対してA^=B^2を満足する負でない対称変換B^が唯一つに限って存在する。さらにA^と可換な1次変換は全てB^とも可換である。

(証明)A^はn次のユニタリ空間の対称変換でA^の全ての固有値(重複を含めたA^のn次固有多項式の根)をα12,..,αnとします。

そして12,..,αnのそれぞれに属する固有ベクトルを正規化したの正規直交基を1,2,..,nとします。

このとき,αj≧0なので1次変換B^をB^j≡αj1/2j(j=1,2,..,n)によって定義します。

 

すると,B^の固有値は明らかにαj1/2(j=1,2,..,n)であり,固有値が全て負でないのでB^は負でない対称変換です。

しかも,B^2j=αjj=A^j(j=1,2,..,n)が成立しますからA^=B^2です。

 

次に1次変換X^がA^=B^2と可換であるとします。

 

すなわち,A^X^=X^A^とします。A^,B^,X^の1,2,..,nとによる行列A,B,Xは適当な配列に対して,

 

可換条件:A^X^=X^A^:XA=AXはαjjk=Xjkαk (j,k=1,2,..,s),つまり(αj-αk)Xjk=0 を意味します。

 

この行列の細胞表現ではj≠kならαj≠αkなのでj≠kならXjk=0 であり,Xの非対角成分はゼロです。

 

それ故,行列X,BX,XBの具体的な形が次のように書けます。

以上から,B^X^=X^B^を得ました。

 

次にB^とは別に,A^=C^2で負でない対称変換C^があるとします。

 

先のA^の行列表現Aのs×s個の細胞分割に対応して,空間12..sとA^の不変部分空間j(j=1,2,..,s)の直和に分解されます。

 

明らかにC^A^=A^C^ですからjはC^に対しても不変です。

  

またC^は対称変換なので各部分空間jにおいてC^の固有ベクトルから成る正規直交基が存在します。それらに対応するC^の固有値をγj1j2,..,γとします。

  

また,A^,B^,C^の不変部分空間に誘導される変換をAj^,Bj^,Cj^と書きます。

 

するとAj^=αjj^,Bj^=αj1/2j^,かつAj^=Cj^2なのでγj12=γj22=..,γ2=αjです。

 

したがって,Cj^=αj1/2j^=Bj^です。

 

それ故,C~=B^であり一意性も示されました。(証明終わり)

 

[定理4-72]:ユニタリ空間の互いに可換な負でない対称変換の積は負でない対称変換である。

  

(証明)A1^,A2^をユニタリ空間の互いに可換な負でない対称変換とします。

 

 [定理4-71]によりA1^=B1^2,A2^=B2^2を満たす負でない対称変換B1^,B2^が存在して,これらも可換です。

 

 故に,A1^A2^=B1^22^2=B1^B2^B1^B2^=(B1^B2^)2が成立します。

 

 ところで,B1^B2^=B2^B1^なので[定理4-58](ⅲ)よりB1^B2^は対称であり,負でないことも明らかですから,[定理4-67の系]によってA1^A2^は負でない対称変換です。(証明終わり)

 

[定理4-73]:ユニタリ空間の任意の1次変換A^はある対称変換B^,C^によってA^=B^+iC^の形に表わすことができる。

 

 また,実ユニタリ空間の任意の1次変換A^はある対称変換B^,反対称変換C^によってA^=B^+C^の形に表わすことができる。

  

(証明)B^≡(A^+A^+)/2,C^≡(A^-A^+)/(2i)と置けばA^=B^+iC^でありB^+=(A^++A^)/2=B^,C^+=(A^+-A^)/(-2i)=C^となってB^,C^は対称であることがわかります。

 

 また,B^≡(A^+A^+)/2,C^≡(A^-A^+)/2と置けばA^=B^+C^であり,B^+=(A^++A^)/2=B^,C^+=(A^+-A^)/2=-C^となってB^は対称,C^は反対称であることがわかります。(証明終わり)

  

[定理4-74](補助定理):ユニタリ空間の1次変換A^,B^がベクトルの長さを同じように変える:つまり∀に対し(A^,A^)=(B^,B^なら,あるユニタリ変換U^が存在してB^=U^A^と書ける

 

(証明)≡A^,≡B^とします。

 

 ∀に対し,あるが存在して=A^です。このとき,≡B^とすればに対して一意的です。

 

 何故なら,もし=A^1ならA^(1)=0 ですが,仮定により(A^(1),A^(1))=(B^(1),B^(1))=0 なのでB^(1)=0 よりB^=B^1となるからです。

 

 そこで,変換V^を上述のようにに対応させるからへの写像:=V^として定義します。

 

 そしてA^とB^は対等なので同様にに対して一意的ですから,V^は1対1写像です。

 

 この定義から,あるについてV^A^=B^です。

 

 次に1,2,α,β∈とします。そして,1=A^1,2=A^2 (ただし1,2)とします。

 

 このとき,V^(α1+β2)=V^(αA^1+βA^2)=B^(α1+β2)=αB^1+βB^2=αV^1+βV^2なのでV~は1次変換です。

 

 また,(V^1,V^1)=(V^A^1,V^A^1)=(B^1,B^1)=(A^1,A^1)=(1,1)です。

 

 以上からV^はからへの同型写像です。

 

 次に,およびそれぞれの直交補空間,およびを考えます。です。

 

 ところがが同型:dim=dimなので,dim=dimですからも同型です。

 

 それ故,からへの同型写像W^が存在するはずです。

 

 つまり,a',"∈,α,β∈ならW^a',W^"∈でW^(α'+β")=αW^'+W^",かつ(W^a',W^")=(a',")を満たす変換W^が存在します。

 

 そして,∀'+x",'∈,"∈と常に一意的に直和分解できますから変換U^をU^≡V^'+W^"で定義します。

 

 すると,∀,,α,β∈に対しU^(α+β)=V^(α'+β')+W^(α"+β")=αU^+βU^が成立するため,変換U^は線型です。

 

 また,(U^,U^)=(V^'+W^",V^'+W^")=(V^',V^')+(W^",W^")=(',')+(",")=(,)です。

 

 したがってU^はユニタリです。さらにU^A^=V^A^=B^ですから,B^=U^A^を得ます。(証明終わり)

 

[定理4-75]:ユニタリ空間の任意の1次変換A^はユニタリ変換U^(U^+=U^-1)と負でない対称変換D^(D^+=D^)の積としてA^=U^D^と一意的に分解される。この分解を極分解という。

  

(証明)A^をユニタリ空間の任意の1次変換とすると,[定理4-67]よりA^+A^は負でない対称変換です 。

  

 それ故,[定理4-72]からA^+A^=D^2を満たす負でない対称変換D^が存在して一意的です。

 

 そして,∀∈Lに対して(A^,A^)=(,A^+A^)=(,D^2)=(D^,D^)ですから,[定理4-73]によりA^=U^D^,U^+=U^-1と書けます。

  

 逆に,U^+=U^-1,D^+=D^でA^=U^D^ならA^+=D^U^-1よりA^+A^=D^2です。D^を非負に限るとこれを満たすD^は一意的です 。

 

 そして,A^が正則ならD^も正則なのでU^=A^D^-1となりU^も一意的です。

 

 A^が正則でないならD^も正則でないのでD^は負ではないですが正定符号ではないため,A^,D^は共にゼロ固有値を持ちます。

 

 ゼロ固有値以外の不変部分空間ではA^に対してU^は一意ですがそれ以外では不定です。??(証明終わり)

 

[定理4-75の系]:ユニタリ空間の任意の1次変換A^は負でない対称変換D^(D^+=D^)とユニタリ変換U^(U^+=U^-1)の積としてA^=D^U^と一意的に分解される。

 

(証明)[定理4.75]の証明においてA^+A^=D^2の代わりにA^A^+=D^2とするだけです。(終わり)

 

[定理4.76](Cayley変換):ユニタリ空間の対称変換をA^(A^+=A^)とすると,A^±iE^は逆を持ち,U^≡(A^-iE^)(A^+iE^)-1で与えられる変換U^はユニタリである。

 

 このU^は固有値として1を持たず,またA^=-i(U^+E^)(U^-E^)-1はと表わされる。

 

 逆に,U^がU^+=U^-1を満たし1に等しい固有値を持たないならU^-E^は可逆でA^≡-i(U^+E^)(U^-E^)-1は対称でありU^はU^≡(A^-iE^)(A^+iE^)-1で与えられる。

 

(証明)まず,A^+=A^よりA^の固有値は実数であって±iではないので|A±iE|≠0 ですからA^±iE^は正則です。

 

 そして,(A^+iE^)(A^-iE^)=A^2-iA^+iA^+E^=(A^-iE^)(A^+iE^)です。これから(A^+iE^)-1と(A^-iE^)-1も可換です 。

 

 そこで,U^≡(A^-iE^)(A^+iE^)-1とするとU^+=(A^+iE^)+-1(A^+iE^)+=(A^-iE^)-1(A^+iE^)よりU^U^+=E^が成立することは自明です。

 

 次にU^-E^=(A^-iE^)(A^+iE^)-1-E^なので,(U^-E^)(A^+iE^)=-2iE^です。

 

 故に,(U^-E^)-1=(A^+iE^)/(-2i)です。|U-E|≠0 なのでU^は固有値として1を持ちません。

 

 しかも,(U^-E^)A^=-2iE^-iE^(U^-E^)=-iE^(U^+E^)より,A^=-i(U^+E^)(U^-E^)-1となります。

 

 逆も同じように直線的なので以下省略します。(証明終わり)

 

 この線型代数シリーズはここで一区切りにします。

 

参考文献:ア・イ・マリツェフ(柴岡康光 訳)「線型代数学」(東京図書)

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2011年3月 9日 (水)

手話講習入門コース終了

 昨日3月8日に平成22年度豊島区手話講習会入門コースの修了式に出席し修了証を頂いてきました。

(↓本当はピンク色なのですが,今部屋の複合機がこわれていてスキャンできないのでデジカメで写真を撮り色が変ですが加工してません。) 

       

 夜18時45分開始だったので17時20分頃余裕を持って家を出たのですが途中公園付近で買い物帰りらしい向かいの家の80歳くらいの話好きなご隠居(女性)に出会い,つい長話したので10分遅れちょうど修了証授与の自分の番(19番)に間に合いました。

 入門コース17名(22名中),応用コース10名(17名中),専門コース8名(?中)が夜コースの修了対象者で欠席者も数名いました。

 4月末開始から夏休み,冬休み,祝休日を除き毎週火曜日の修了式を含む37回の講習中,私は追加応募で5月8日の第3回目から出て1時間近い遅刻もありましたが2回休みの33回出席でした。 

 まだまだ,実際毎日聴覚障害者が15人くらいいいる職場でも,ほとんど通じなくて私が手話をやってもはなから信用されてない状態です。

 23年度4/26開始の応用コース(夜)も申し込んできました。

 そうそう,13日(日)はNPOの手話検定6級を受けるのでした。

 私が手話を何度教えられても理解できなかったりするのは,不真面目なわけじゃなく,右脳に関わる?平面,空間のパターン認識が常人よりも劣っているか病気なのかも。。

 修了証授与の後は豊島区の福祉課長のあいさつ,協力者(講師+講師補助)のあいさつ,各コース代表の手話でのあいさつ,次年度の案内で19時半頃終わり記念撮影をしました。

 その後,ほぼ全員で椎名町駅前の「わたみん家」にくりだし再会を楽しみに22時半ころまで飲みました。

      

 本日はお休みで少々遅れますが朝から定期診断に武里に行く必要があるのでこのくらいにします。。

 (飲み会会費がなかったので昨日急遽読まないと思われる専門書を8冊リュックに入れて神保町古書店で売りました。

 しかし春日部(武里)への通院の交通費の帰りの分が足りなくなりました。まあ行けば何とかなるでしょう。)

PS:なんとか春日部から帰ってきました。(主治医に千円借りました。)

 数値上ではこれまでにないくらい糖尿病はかなり悪化しているようです。そもそも,現在の医学では薬と食餌療法ではこの病気は治らないはずです。

 食事制限していないって?そりゃはしご酒をする日もありますが,平均して3食満足に食べてませんから,栄養失調でカロリーも足りてるとも思えません。どうしたものでしょうか?

 話変わりますが,手話について復習や予習をほとんどしなかったですから不真面目なのかもしれません。

 しかし,私の勉強法は小学校から,浪人の予備校時代も含めて基本的に学校の授業に集中するのみでした。

 時代がかなり昔でもあり貧乏でもあったので,予備校も含め1つの学校以外に塾に行くだの家庭教師を受けるだのはナシです。復習,予習も苦手でした。

 逆に,大学以後は,質問をしたいとき以外は先生関係なくほぼ独学です。

 文系科目や数学の講義ははるかにましとして,自然科学系科目の講義は例えば最初から波動関数が。。云々と始まるような不親切なものでした。

 波動関数って何?。。定義もしない言葉から講義をされたのではチンプンカンプン。。。

 多くの講義では講義だけで理解しようという自分流は通用せず,そういうのは以後出席だけは要求されるので,内職するか寝ていました。

 実際の独学でもテキストを繰り返し読むというのではなく途中でわからなくなるとわかるまでストップ。。だいたいその本だけで全てがわかるっていうのは無理ですから別の文献まで調べていくと際限ないほど続く自分流でした。

PS2:さっきケーブルテレビ囲碁将棋チャンネルを午前2時の放送修了前にチラッと見たら北島忠雄先生の仕掛けのテクニックという講座が放映されていてつい見入ってしまいました。

 最近は男女のプロの対局も講座もめったに見なくなりましたが北島さん,テレビで見ても男前で持ち前のやさしさがにじみ出てました。。。

 

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2011年3月 6日 (日)

線型代数のエッセンス(13)(ユニタリ空間-4)

線型代数のエッセンスの§4.ユニタリ空間の続きです。

[定義4-46](ユニタリ変換):ユニタリ空間のそれ自身の上への同型写像をこの空間のユニタリ変換(unitary transformation)という。

 すなわち,ユニタリ空間の正則な1次変換U^がのユニタリ内積を保存するとき:つまり∀,に対して(U^,U^)=(,)を満足するとき,U^をのユニタリ変換という。

[定理4-47](ユニタリ変換):U^がユニタリ変換ならU^+=U^-1である。逆も成立する。

(証明) U^がユニタリ変換なら∀,に対して(,)=(U^,U^)=(,U^+U^)ですから,U^+U^=E^を得ます。

そこでU^+=U^-1でありU^U^+=E^も成立するのでU^は正規変換でもあります。

逆に,U^+=U^-1ならU^+U^=E^より,∀,に対して(U^,U^)=(,U^+U^)=(,)なのではユニタリ変換です。

 

(証明終わり)

[定理4-48]:ユニタリ空間において正規直交座標系を任意に選ぶとき,これに対するユニタリ変換U^の行列をUとすればU+U=UU+=E,つまりU+=U-1である。

 

 逆に,U+=U-1ならU^=U^-1である。

(↑同型対応によって自明なので証明略)

[定理4-49]:ユニタリ空間の1次変換U^がベクトルの長さ(ノルム)を変えないならU^はユニタリである。

(証明)U^がベクトルの長さを変えないなら∀,,∀λ∈に対して(+λ,+λ)=(U^(+λ),U^(+λ)),かつ(,)=(U^,U^),(,)=(U^,U^)です。

(+λ,+λ)=(U^(+λ),U^(+λ))は(,)+λ(,)+λ*(,)+λλ*(,)=(U^,U^)+λ(U^,U^)+λ*(U^,U^)+λλ*(U^,U^)と変形されます。

 

これはλ(,)+λ*(,)=λ(U^,U^)+λ*(U^,U^)を意味します。

 λ=1とおけば(,)+(,)=(U^,U^)+(U^,U^),λ=iとおけば(,)-(,)=(U^,U^)-(U^,U^)が得られます。

したがって,(,)=(U^,U^)を得ますから[定義4-46]によってU^がユニタリ変換であることがわかります。(証明終わり)

[定理4-50]:ユニタリ空間の1次変換U^がユニタリである⇔ U^は正規直交基を正規直交基にうつす。

(証明)ベクトル系:1,2,..,nをユニタリ空間の正規直交基とすると,U^がユニタリなら(U^i,U^j)=(i,j)=δij(i,j=1,2,..,n)より系:U^1,U^2,..,U^nの正規直交基です。

逆に(U^i,U^j)=δij(i,j=1,2,..,n)なら,の任意の2元:=α11+α22+..+αnn=Σj=1nαjj,=β11+β22+..+βnn=Σj=1nβjjについて(U^,U^)=Σj=1nαjβj*=(,)が成立するため,U^はユニタリです。(証明終わり)

[定理4-51]:(ⅰ)恒等変換はユニタリである。(ⅱ)ユニタリ変換の積はユニタリである。(ⅲ)ユニタリ変換の逆変換はユニタリである。

(証明)(ⅰ),(ⅲ)は自明です。(ⅱ)U^,V^をユニタリ変換とするとU^+=U^-1,V^+=V^-1ですから,(U^V^)+=V^+U^+=V^-1U^-1=(U^V^)-1よりU^V^もユニタリです。

(証明終わり)

[定義4-52](ユニタリ同値):,1を2つのユニタリ空間としA^,およびA^1をそれぞれ,および1の上の1次変換とする。

 

 A^をA^1にうつすから1への同型写像が存在するとき,A^とA^1とは同型または相似,あるいはユニタリ同値(unitary-equivalent)であるという。

 特に,1のとき,同型写像はユニタリ変換:U^でA^1=U^A^U^-1である。

 

 これは正規直交基に対する行列の形ではUがユニタリ行列でA=UAU-1と表現される。

この場合,行列AとA1は相似,またはユニタリ同値であるという。

(注):すなわち,∀に対しy=A^のとき1=f(),y1=f()なるから1への同型写像f:1があって,1A^11が満たされるならA^とA^1は相似,または同型であるというわけです。

,1はユニタリ空間なのでfが同型写像という意味は線型写像であるだけでなく,ユニタリ内積を保存することを意味します。

  

つまり,(,)=(f(),f())1です。ただし1におけるユニタリ内積をにおけるそれと区別するために( , )1と表現しました。

 1のとき,1=f(),y1=f()なる同型写像fは"内積を保存する同型写像=ユニタリ変換":U^に置き換えられ1=U^,1=U^です。

に対しy=^でかつ1=U^,1=U^であり,1A^11が満たされるなら,y=A^U^y=A^1U^,かつU^y=U^A^なので,A^1U^x=U^A^ or A^1U^U^A^,つまりA^1U^A^U^-1です。(注終わり)※

[定理4-53]:ユニタリ空間の1次変換A^,B^が同型である。⇔ に適当な2つの正規直交基が存在してその一方によるA^の行列が他方によるB^の行列に一致する。

(証明)(→)A^,B^が同型:ユニタリ変換U^が存在してB^U^A^U^-1と書けるとします。このときA^U^-1B^U^です。

そこで,正規直交基1,2,..,nによる行列Aは(A^1,A^2,..,A^n)=(1,2,..,n)Aで与えられます。

  

これは(U^-1B^U^1,U^-1B^U^2,..,U^-1B^U^n)=(1,2,..,n)A,つまり,(B^U^1,B^U^2,..,B^U^n)=(U^1,U^2,..,U^n)Aを意味します。

最後の等式は,正規直交基(U^1,U^2,..,U^n)=(1,2,..,n)Uに対する変換B^の行列が(1,2,..,n)によるA^の行列Aに一致することを示しています。

(←)2つの正規直交基1,2,..,n,および1',2',..,n'に対して(A^1,A^2,..,A^n)=(1,2,..,n)A,および(B^1',B^2',..,B^n')=(1',2',..,n')Aが成立するとします。

そこで(1',2',..,n')=(1,2,..,n)U=(U^1,U^2,..,U^n)とおけば,U^-1B^U^=A^が成立しますが,(1,2,..,n),および(1',2',..,n')が共に正規直交基なのでU^はユニタリです。(証明終わり)

[定理4-54]:ユニタリ空間の2つの正規な1次変換A^,B^が同型(ユニタリ同値)であるためには,それらの固有多項式が一致することが必要かつ十分である。

(証明)(必要性):ユニタリ変換U^が存在してB^U^A^U^-1と書けるため固有多項式は|λE-B|=|λE-UAU-1|=|λE-A|です。

(十分性):A^とB^の固有多項式が同じなら両者の固有値は全て一致します。さらに共に正規変換ならの適当な2つの正規直交基によって,A^B^には同一の対角線型行列が対応します。

したがって,上記の[定理4-53]により正規変換A^とB^は同型(ユニタリ同値)であることがわかります。(証明終わり)

[定理4-54の系]:A,Bがそれらの共役A+,B+とそれぞれ可換な行列(正規行列)であってAとBがユニタリ同値である。⇔A,Bの固有多項式(全ての固有値)が一致する。(← 自明)

[定理4-55]:ユニタリ空間の正規変換A^(A^A^+=A^+A^)に対しては,ユニタリ行列Uが存在してUAU-1=UAU+を対角線型にすることができる。

(証明)前記事最後に記した [定理4-44]:"ユニタリ空間においては正規変換A^の各々に対し,A^の固有ベクトルからつくられる正規直交基が存在し,この基底においてA^の行列Aは対角線型となる。"

 によって正規変換A^に対しては固有ベクトルからつくられる正規直交基:1',2',..,n'による行列表現:(A^1',A^2',..,A^n')=(ρ11',ρ22',..,ρnn')=(1',2',..,n')BではBは対角成分がA^の固有値(ρ12,..,ρn)で与えられる対角行列です。

他方,別のある正規直交基:1,2,..,nに対しては行列Aにより((A^1,A^2,..,A^n)=(1,2,..,n)Aと書けます。

このとき,A^が正規変換:A^A^+=A^+A^なので,それに同型対応するA,Bも行列としてそれらの共役A+,B+とそれぞれ可換,つまりA,Bは共に正規行列です。

 

しかもA,Bの固有多項式は一致します。

そこで,上記の[定理4-54の系]:"A,Bがそれらの共役A+,B+とそれぞれ可換な行列(正規行列)であってAとBがユニタリ同値である。⇔ A,Bの固有多項式(全ての固有値)が一致する。"

 によってAとBはユニタリ同値ですから,あるユニタリ行列UによってBUA^U-1と書けます。(証明終わり)

[定理4-55の系]:ユニタリ行列A(AA+=A+A=E)に対してはユニタリ行列Uが存在してUAU-1=UAU+を対角線型にすることができる。

 

(↑ユニタリ行列Aは正規行列なので[定理4-55]から明らかです。)

[定理4-56]:ユニタリ変換の固有多項式の根の絶対値は1である。

(証明)をユニタリ空間,U^をユニタリ変換とします。が固有値αに属するU^の固有ベクトルならU^=αですから,(,)=(U^,U^)=αα*(,)です。

 

 したがってαα*=1ですが,これは|α|2=1,つまり|α|=1なることを意味します。(証明終わり)

※ユニタリ変換の固有値αは全てα=exp(iθ)(θは実数)の形です。

[定義4-57](対称変換):ユニタリ空間の1次変換をA^とする。

 

 A^+=A^のとき,この変換A^を対称(symmetric),またはHermite(エルミート)であるという。

すなわち,"(A,)=(,A) for ∀,"⇔ A^が対称である。

※対称変換は明らかに正規変換です。 

[定理4-58](対称変換の性質):A^,B^はユニタリ空間Lの対称変換:A^+=A^,B^+=B^とする。

このとき,(ⅰ)(A^+B^)+=A^++B^+=A^+B^ (ⅱ)α∈(実数)に対して(αA^)+=α*A^+=αA^ (ⅲ)(A^B^)+=A^B^⇔ A^B^=B^A が成立する。

(証明)(ⅰ),(ⅱ)は自明,(ⅲ)も(A^B^)+=B^+A^+ですから明らかです。(証明終わり)

[定理4-59](対称変換の性質):A^がユニタリ空間の対称変換:A^+=A^ならA^の固有値は実数である。

(証明)が固有値αに属するA^の固有ベクトルならA^=αですから,(,)=(,A^)=α*(,)=(A^,)=α(,)が成立します。

 

 よってα*=αですが,これはαが実数なることを意味します。

 

(証明終わり)

[定理4-59の系]:Hermite行列の固有多項式の根は全て実数である。(正規直交基に対しては対称変換はHermite行列に同型対応するので自明)

[定理4-60]:ユニタリ空間の対称変換は適当な正規直交基に対して実対角行列をもつ。

 

 すなわち,任意のHermite行列A(A+=A)は適当なユニタリ行列UによってUAU-1が対角行列になるようにできる。(←自明)

[定義4-61](反対称変換):ユニタリ空間の1次変換をA^とする。

 A^+=-A^のとき,変換A^を反対称(anti-symmetric),または交代(alternative)という。

 

 すなわち,"(,A)=-(A,)=for ∀,"⇔ A^が反対称である。

※反対称変換は明らかに正規変換です。 

[定理4-62](反対称変換の性質):A^がユニタリ空間Lの反対称変換:A^+=-A^⇔A^=iB^なる対称変換B^(B^+=B^)が存在する

(証明)(←)A^+=(iB^)=-iB^=-A^です。(→)B^≡-iA^とおくとB^+=iA^+=-iA^=B^です。(証明終わり)

[定義4-63](反Hermite):A+=-Aを満たす行列を反Hermite行列,あるいはHermite反対称行列という。

[定理4-64](反対称変換の性質):A^がユニタリ空間の反対称変換:A^+=-A^ならA^の固有値はゼロまたは純虚数である。

(証明)が固有値αに属するA^の固有ベクトルならA^=αですから(,)=(,A^)=α*(,)=-(A^,)=-α(,)です。

 

 したがってα*=-αですが,これはαがゼロまたは純虚数なることを意味します。(証明終わり)

 途中ですが長くなったので,ここでまた一休みです。

参考文献:ア・イ・マリツェフ(柴岡康光訳)「線型代数学」(東京図書)

 

PS:たまの「寝てようび」なのに貧乏症が出ていますが,そろそろ毎週日曜だけ飲める飲み屋で骨休めしようと思います。

 

 ところで,前にどこかで聞いたことがありますが,日本の庶民の食文化が一汁一菜の質素なものであり,欧米のようなものでないのは,パン等に比べ主食の"米=銀シャリ"があまりにウマ過ぎるためだそうです。

 

 おかずが塩だけのおにぎりでもウマいためであるということですが,これはよく実感しています。

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雨降ってもヂかたまらない。

 小向ちゃん。フックラして健康的で色っぽくなりましたねえ。。

 解党主義的政党など皆解党してしまえ。。。

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2011年3月 3日 (木)

線型代数のエッセンス(12)(ユニタリ空間-3)

線型代数のエッセンスの§4.ユニタリ空間の続きです。

[定義4-32](汎関数):を複素数体の上の任意の有限次元線型空間とする。の各々にf()∈を対応させる写像f:があるとき,この→f()の対応fをの上で定義された汎関数(functional)という。

[定義4-33](線型汎関数):を複素数体の上の任意の有限次元線型空間とする。の上の汎関数fが∀,,∀α,β∈に対しf(α+β)=αf()+βf()を満たすとき,汎関数fは線型汎関数であるという。

[定義4-34](共役空間):を複素数体の上の任意の有限次元線型空間とするとき,の上の線型汎関数全体の集合*:すなわち*≡{f|fはの上の線型汎関数}をの共役空間(conjugate space),または双対空間(dual space)という。

[定理4-35]:を複素数体の上の任意の有限次元線型空間とするとき,その共役空間*はf∈*の複素数値f()の和と積で定義される演算について線型空間をなす。

(証明) *の元の和とその複素数倍の積演算について以下の線形空間の公理が満たされるのは明らかです。

(ⅰ)f+g=g+f (f,g∈*),(ⅱ)(f+g)+h=f+(g+h) (f,g,h∈*),(ⅲ)∀f,g∈に対してf+φ=gを満たすφ∈*が存在する。このφをg-fと書く。(ⅳ)α(βf)=(αβ)f (α,β∈,f∈*),

(ⅴ)α(f+g)=αf+αg (α∈,f,g∈*),(ⅵ) (α+β)f=αf+βf (α,β∈,f∈*),(ⅶ)∀f∈*に対し1・f=f

(証明終わり)

[定理4-35]:を任意の有限次元線型空間とし(1,2,..,n)をにおけるある座標系とする。の数の列α12,..,αnを全く任意に与えたとき,の上で定義された線型汎関数f∈*でf(j)=αj(j=1,2,..,n)を満足するものが1つ,しかも唯1つに限って存在する。

(証明)=ξ11+ξ22+..+ξnn=Σj=1nξjjに対してf()≡α1ξ1+α2ξ2+..+αnξn=Σj=1nαjξjと定義すればf(j)=αj(j=1,2,..,n)です。

 さらに=η11+η22+..+ηnn=Σj=1nηjjとすれば,α,β∈に対してα+β=(αξ1+βη1)1+(αξ2+βη2)2+..+(αξn+βηn)n=Σj=1n(αξj+βηj)jです。

それ故,f(α+β)=Σj=1nαj(αξj+βηj)=α(Σj=1nαjξj)+β(Σk=1nαkηk)=αf()+βf()が成立します。

 

したがってfはの線型汎関数です。

 次にgをg(j)=αj(j=1,2,..,n)を満たすの上の線型汎関数とすると,=ξ11+ξ22+..+ξnn=Σj=1nξjjに対して常にg()=α1ξ1+α2ξ2+..+αnξn=Σj=1nαjξj=f()となるのでg=fです。(証明終わり)

[定理4-36]:を有限次元ユニタリ空間とする。このとき以下の命題が成立する。

(ⅰ)に対してfa()≡(,)とするとfaの上の線型汎関数である。

(ⅱ)異なるには異なるfaが対応する。つまり,,ならfa≠fbである。

(ⅲ)の上の任意の線型汎関数f∈*に対してf=fa,つまり"f()=(,) for ∀"を満たすが唯一つ存在する。

(証明)(ⅰ)自明

 

(ⅱ)fa=fb:つまり"(,)=(,) for ∀"なら,(,)=0 より,(,)=0 なのでを得ます。

 

 よって,ならfa≠fbです。

  

(ⅲ)の正規直交基底を1,2,..,nとします。

f∈*が任意に与えられたときj≡f(j)*(j=1,2,..,n)によって≡γ11+γ22+..+γnn=Σj=1nγjjとおけば,=ξ11+ξ22+..+ξnn=Σj=1nξjjに対して,(,)=γ1*ξ1+γ2*ξ2+..+γn*ξn=Σj=1nγj*ξjです。

一方,f(j)=γj*(j=1,2,..,n)ですから=ξ11+ξ22+..+ξnn=Σj=1nξjjに対してf()=γ1*ξ1+γ2*ξ2+..+γn*ξn=Σj=1nγj*ξjです。

  

以上からf()=(,)が成立します。

 

これを満たすが唯一(unique)であることは,(ⅱ)によって明らかです。(証明終わり)

[定義4-37](共役変換):A^をユニタリ空間の上の1次変換とする。

に対してfy()=(A^,)はについての線型汎関数なので,に対応してyが一意的に存在しfy()=(A^,)=(,y)が成立する。

yだけでなくA^に対して一意的なので,yを対応させる変換をA^の共役変換(conjugate transformation)といいA^+で表わす。

つまり,y=A^+であり(A^,)=(,A^+)である。

[定理4-38]:A^をユニタリ空間の上の1次変換とするとき,その共役A^+も空間の上の1次変換である。

さらに,A^,B^をユニタリ空間の上の1次変換,αを任意の複素数とすると以下の性質が成り立つ。

(ⅰ)(A^+)+=A^ (ⅱ)(αA^)+=α*A^+

(ⅲ)(A^+B^)+=A^++B^+ (ⅳ)(A^B^)+=B^+A^+

(ⅴ)E^+=E^,O^+=O^

(証明)まず,,として,A^+の定義式を(,A^+)=(A^,)と書きます。

これに,,α,β∈として=α+βを代入すると,(,A^++β))=(A^+β)=α*(A^,)+β*(A^,)=α*(,A^+)+β*(,A^+)=(,αA^++βA^+)となります。

 つまり(,A^++β))=(,αA^++βA^+)ですから,(A^,)=(,y)を満たすy=A^+の一意性によりA^++β)=αA^++βA^+を得ます。

 

 よってA^+は空間の上の1次変換です。

(ⅰ)(,(A^+)+)=(A^+,)=(,A^+)*=(A^,)*=(,A^+)です。故に(A^+)+=A^を得ます。

 

(ⅱ)(,(αA^)+)=(αA^,)=α(A^,)=α(,A^+)=(*A^+)です。故に(αA^)+=α*A^+を得ます。

(ⅲ)(,(A^+B^)+)=((A^+B^),)=(A^,)+(B^,)=(,A^+)+(,B^+)=(,(A^++B^+))です。故に(A^+B^)+=A^++B^+です。

(ⅳ)(,(A^B^)+)=(A^B^,)=(A^(B^),)=(B^,A^+)=(,B^+A^+)です。故に(A^B^)+=B^+A^+を得ます。

(ⅴ)(,E^+)=(E^,)=(,)=(,E^),および,(,O^+)=(O^,)=0=(,O^)です。故にE^+=E^,および,O^+=O^です。(証明終わり)

[定理4-39]:ユニタリ空間の正規直交基に対する1次変換A^の行列をAとすると,共役変換A^+の行列はエルミート共役行列(Hermitian conjugate matrix):A+である。

(証明)の正規直交基を1,2,..,nとしA=(αij)とすると,変換の行列の定義によって(A^1,A^2,..,A^n)=(1,2,..,nと)A,またはA^j=Σi=1nαijiです。

 そして,正規直交性:(i,j)=δijから(A^j,k)=αkj=(j,A^+k)=(A^+k,j)*です。よって(A^+k,j)=αkj*,あるいは(A^+j,k)=αjk*です。

 したがって,A^+j=Σi=1nαji*iなのでA^+の行列は(A^+)ij=(αji*),つまりt*=A+で与えられることがわかります。

(証明終わり)

[定義4-40](正規変換):ユニタリ空間の1次変換A^でその共役A^+と可換なもの:つまりA^A^+=A^+A^を満たすA^を正規変換(normal transformation)という。

[定理4-41]:ユニタリ空間の正規変換A^の正規直交座標系における行列をAとするとAA+=A+Aが成立する。

(↑A^,A^+ ⇔A,A+は同型対応なので自明です。)

[定理4-42]:A^をユニタリ空間の正規変換とする。ρがA^の固有値であるときρ*はA^+の固有値になり,A^の固有値ρに属する固有ベクトルはA^+の固有ベクトルであって固有値ρ*に属する。 

(証明)A^A^+=A^+A^,かつA^=ρ()とします。

 A^=ρは,(A^-ρE^)0 とも書けます。

 また,A^A^+=A^+A^から(A^-ρE^)(A^-ρE^)+=(A^-ρE^)+(A^-ρE^)です。

 よって,0=((A^-ρE^),(A^-ρE^))=(,(A^-ρE^)+(A^-ρE^))=(,(A^-ρE^)(A^-ρE^)+)=((A^-ρE^)+,(A^-ρE^)+)です。

 

 したがって,(A^-ρE^)+0 ,すなわちA^+=ρ*を得ます。

 

(証明終わり)

[定理4-43]:ユニタリ空間の正規変換A^の異なる固有値に属する固有ベクトルは互いに直交する。

(証明) A^A^+=A^+A^,かつA^=ρ,A^=σ (,;ρ,σ∈)でρ≠σとします。

このとき,ρ(,)=(A^,)=(a,A^)=σ(,),すなわち,(ρ-σ)(,)=0 ですが,仮定からρ≠σなので(,)=0 です。

 

(証明終わり)

[定理4-44]:ユニタリ空間においては正規変換A^の各々に対し,A^の固有ベクトルからつくられる正規直交基が存在し,この基底におけるA^の行列Aは対角線型(diagonal-linear)となる。

(証明)ユニタリ空間において,まず正規変換A^の1つの固有ベクトル1を任意に取り,1に直交するの部分空間を1とします。

すなわち,A^A^+=A^+A^,A^1=ρ11(10),1≡{|(1,)=0}です。

 すると,∀1に対して,(1,A^)=(A^+1,)=ρ1*(1,)=0 ですからA^1となり1はA^に関して不変な部分空間(A^11)であることがわかります。

 そこで,A^11により1の中にまたA^の固有ベクトル2が存在します。A^2=ρ22(20)です。

 

 それ故,2≡{|(2,)=0}とすると,これもA^に関しての不変部分空間(A^22)を構成します。

さらに,部分空間2'を2'≡12で定義すれば,A^11,かつA^22によってA^2'⊂2'です。つまり2'は1の不変部分空間となります。

 したがってまた,2'の中にA^3=ρ23(30)なるA^の固有ベクトル3を見出すことができますから,さらに3と直交する2'の不変部分空間3'=123をつくることができます。

 こうしてA^の固有ベクトル1,2,3と,これのそれぞれに直交する不変部分空間の列12'⊃3'をつくることができました。

 

 この手続きを繰り返せば,結局,の直交基底:1,2,..,nが得られ,さらにjj/|aj|(j=1,2,..,n)と正規化(normalize)すれば,これらをの正規直交基1,2,..,nとすることができます。

 すなわち,A^j=ρjj,(i,j)=δij(j=1,2,..,n)満たすA^の全ての固有ベクトルの系:1,2,..,nが得られます。

 

 したがって,(A^1,A^2,..,A^n)=(ρ1122,..,ρnn)=(1,2,..,n)Aと表現されるのでA^の行列Aは,

 なる形の対角行列 or 対角線型の行列で与えられます。

正規直交基1,2,..,nに対する正規変換A^の行列Aは,互いに異なるとは限らないn個の固有値:ρ12,..,ρnを対角成分とする対角線型の行列になります。(証明終わり)

(注1):[定理4-44]は正規行列は常に複素数を対角成分とする対角行列に相似変換可能なことを述べています。(注1終わり)※

[定理4-45]:零空間でない実線型空間の1次変換A^はいずれも次元が1か2のA^に関する不変部分空間を少なくとも1つは持っている。

(証明)n次元実線型空間の1次変換A^の固有多項式φ(λ)は係数が全て実数のn次多項式です。

それ故,代数方程式φ(λ)=0のn個の解は全て実根と互いに共役な虚根のペアで与えられます。

 n次方程式φ(λ)=0が実根λ=r∈を持てば,A^の行列Aに対してA[1]=r[1]を満たし,一般に成分が複素数のn次元列ベクトルのAの固有ベクトル[1]を見出すことができます。

Aは実行列なので,A[1]=r[1]からA[1*]=A*[1*]=r[1*]が成立することがわかります。

よって[]≡([1]+[1*])/2と定義すれば,[]はA[]=r[],[*]=[]を満たす実成分のn次元列ベクトルです。

 

故に,これに同型対応するn次元実線型空間のベクトルが存在します。

そこでの部分空間11≡{|=pa(p∈)}で定義すれば,これは0 のみで張られる実線型空間のA^に関する1次元不変部分空間となります。

一方,n次方程式φ(λ)=0 が実根を持たないとき互いに共役な虚根のペアをλ=α,α*とすればn次元列ベクトル[1]が存在してA[1]=α[1],かつA*[1*]=A[1*]=α*[1*]です。

[]≡([1]+[1*])/2,[]≡([1]-[1*])/(2i),とすると[],[]は共に実成分のn次元列ベクトルで,[1]=[]+i[],[1*]=[]-i[]です。

故に,A[]=(α[1]+α*[1*])/2={(α+α*)/2}[]-{(α-α*)/(2i)}[],A[]={(α+α*)/2}[]+{(α-α*)/(2i)}[]を満たしますが係数{(α+α*)/2},{(α-α*)/(2i)}は実数です。

そこで,[],[]にそれぞれ同型対応するn次元実線型空間のベクトル,が存在します。

したがって,この場合はの部分空間11≡{|=p+q(p,q∈)}で定義すれば,これはa,bのみで張られる実線型空間のA^に関する2次元不変部分空間となります。(証明終わり)

(注2):[定理4-45]は,実行列なら常に1次か2次のブロック対角行列に相似変換できることを述べています。(注2終わり)※

今日はここまでにします。 

参考文献:ア・イ・マリツェフ(柴岡康光訳)「線型代数学」(東京図書)

 

PS:比較的遠くまで出かける必要がある日には,夏は猛暑,冬は最近の東京じゃめったには降らない雪とか,さんざん天候に災いされて自分,ずい分運が悪いようですが,

 

 偶々,昨日朝に命綱のお米が切れて千円さえ借りる相手もなく米を2kgも買う金もなくて,本日3日の15時頃帰宅中の巣鴨駅でどうしたものか?と案じてるところに,天の助け,毎週日曜日に通っている飲み屋のりくちゃん(現在の保護者?)にバッタリ出くわしました。

 

(↑2009年1/10の過去記事「私の保護者」を参照)

 

 彼女に千円貸してもらって当面の虎口を脱することができそうです。私に千円以上与えてもスグにムダに使ってしまうことなど彼女は熟知しています。

 

 「捨てる神あれば拾う神あり。」イヤ,パスモに280円は残ってますが。。

 

 どうしようもないときには必ずといっていいほど助けが現われる。。やはり私は運がいいのでしょうか?

 

 都バスは障害者割引でゼロ円,出勤日にはお昼は食堂で食べて給料から引かれますが,その他お米さえあれば家賃,光熱費後払いで,ほぼゼロ円でずっと暮らせることは暮らせます。

 

 お米が2kgで12合くらい,1日2合を食べるかどうかなので何もなければ1週間以上は大丈夫ですってナサケナイ暮らししてるなあ。>自分

 

 西友で最安値の2kg,699円のお米は嬉しかったのですが,個人的貧乏人の消費者としてはTPPでも実行されるともっと有難いです。

 

 現在,米国内では米5kgが300円くらいなのに日本に輸入されると関税が約800%近くもかけられ約9倍の5kgが2500円前後の売価になるというカリフォルニア米(米国産のコシヒカリ,あきたこまちなど)が,米国内と同じように5kg300円で売られるなら全く違います。

 

 ただし,関税が撤廃されても需要の少ない米国の安い価格が日本でそのままの米価ではないでしょうが,恐らく安い米なら10kgでせいぜい1000円くらいと考えられるので計算上は1年間ト-タルでも主食のお米が1万円くらいで賄えることになります。

 

 これだと,私のようにエンゲル係数がほぼ100%の最低生活では,家賃,光熱費以外は年間数万円の出費で済む勘定になります。

  

 TPPは私のような単純な消費者という立場でなく,日本の生産者:特に農業で米を作っている農家などには大打撃となります。

 

 米作りが主体では食べていけず関税の高い米作等に従事する意欲が極度に失せて,食糧の国内自給率がほとんどゼロにもなりかねません。

 

 農業に限らず,生産者が打撃を受けると経済的には国の税収なども影響を受けて国民というか消費者の経済にも響くので複雑?みたいですね。

  

PS2:さて,昨日(2日)もつい気紛れで小石川植物園前の教会のところから自宅まで真っ直ぐ帰れる住宅街の静かな道をプラプラと歩いていると前からパトカーが来て何とはなくすれ違った後,しばらくして

 

 そのパトカーが何故か引き返してきて久しぶりに警官に職質されました。

 

 職質の種類が,何となく真昼間に寒空の中をよろよろと歩くジジイへの配慮,心配系,おまわり的親切系に見えたので,本来警官は全然スキくないけど珍しく素直に答えてあげましたネ。

 

 昨日の雨上がりの帰り道の軒先で見かけた,スミレの鉢植えについ立ち止まってシャッターを押しました。↓ 

 

      

      

      

   

      

 

      

      

 

        

 

      

 

      

 

 まだ,花を愛でる程度の余裕があるというか?イヤ,その程度の心の癒ししか求め得ないというか。。ですね

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2011年3月 1日 (火)

手話講習講義最終の日

 今夜は豊島区手話講習入門コース夜の部の36週目,講義は最終日です。

 翌週火曜日の8日は講義はなく同じ教室で応用コース,上級コースと共に修了式の予定です。そこで少し早めの今,17時頃出かけようと思います。

 これとは別に3月13日(日)にはNPOの手話検定6級を受けにお昼頃,板橋区加賀の帝京大学会場に行く予定です。

 来年春からも豊島区手話講習応用コース,を受ける予定なので先生は応用コ-スに変わるけどほとんどのクラスメートとは,また机を並べると思います。

 たまたま,っ職場からの帰りに,昨日はM島さん,今日はN村さんと同僚の聾の女性二人と手話で会話して少し通じたと思います。

 いつもは手話が通じなくても,いい加減な身振りや地図,紙とペンなど道具に頼って安易に会話していたのですが,ちょっと手話辞書などを駆使してマトモにトライしてみました。

PS:冷たい雨も降って天候もフトコロもかなり寒いので,20時45分頃に終わってから全く寄り道をせず,都バスを乗り継いで,たった今,ちょうど22時頃帰宅したところです。

PS:今,3月2日の夜です。

 今日も寒いので,まっすぐ帰宅して家にこもってます。

 TV朝日番組での池上さん,統一地方選挙解説の最後に,「大事な選挙ですからぜひ選挙に注目してください。」って,「選挙に行って投票してください。」と言わない配慮はやはりエライなと感じました。

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