生態系とロトカ・ヴォルテラ方程式
地震でゴタゴタしていますが,ちょっと気分転換?の科学記事として
生態系のモデル,あるいは"”食物連鎖=弱肉強食の生存競争"の推移
を表わす数理生物学のモデルを紹介してみます。
以前,カオス(chaos)をもたらす非線型方程式の1つである
ロジスティック方程式(logistic equation)を紹介しました。
それは2006年7/20の記事「人口増加とロジスティック曲線」
ですが,これは人口の増加曲線がロジスティック方程式の解で
近似できると考えたものです。
以下では人口などの1つだけの個体数を対象としたロジスティック
方程式を複数の個体の増減を記述できるものに拡張した競争モデル
:ロトカ・ヴォルテラ(Lotka-Volterra)方程式を紹介します。
まず,過去のブログ記事「人口増加とロジスティック曲線」の必要
部分を再掲します。
※(再掲開始)
まず,全世界,または比較的出入りの少ない閉じた地域の現在の
人口をN人とし,Δt年間にN人とΔtに比例して,kNΔt人
だけ人口が増加するとします。
今の時刻(年)をtとして,年間の人口増加率kがk=b-d(ただし,
bは出生率,dは死亡率)で与えられる単純なモデルを想定するわけ
です。
kが一定であると仮定すると,(t+Δt)年の人口:N1=N+ΔN
はΔN=kNΔtによりN(1+kΔt)となります。
同様に,さらにΔt年後の(t+2Δt)年の人口N2は,
N2=N1+kN1Δt=N1(1+kΔt)=N(1+kΔt)2
です。
結局,時刻(t+nΔt)年の人口Nn人はN(1+kΔt)nになる
と予測されます。
k>0 であれば,正に人口はネズミ算的に増えてゆきますね。
Δtが無限小:dtならΔN/N=kΔtは,dN/dt=kN
を意味します。
この微分方程式を解けばt=0 での人口をN(t=0)=N0として
時刻tにおける人口は,N=N(t)=N0exp(kt)で与えられる
ということになります。
これを見るとk>0 ならt→ ∞ではN→ ∞ですが,逆にk<0
ならN→ 0 なのでやがて絶滅してしまいます。
しかし実際にはΔtの間にはいろいろな災害や環境の変化など
があって,人口増加率kは一定でなくかなりの変化を受けると
考えられます。
一般に人間をも含む生物個体の増加は個体数Nが増えれば増える
ほど妨げられる傾向がありますから,
それは増加率がk=(一定)からk(1-αN)(α>0)になるような
効果で表わすことができます。
このモデルはロジスティックモデル(logistic model)と呼ばれます。
例えば島のような限られた地域に単一の装飾動物のみが生息
していて,そこにある植物を食べることだけで生きているなら,
その生物の数が増加し過ぎると食料が不足し,結果,個体の増加
が抑制されるでしょう。
実は地球全体も食料の限られた領域と考えることができます。
そして,このモデルによると,増加率:k(1-αN)(α>0)において
αN>1なら人口(個体総数)Nは増加し,逆ならNは減少しますね。
これは,Nに対する微分方程式の形では,dN/dt=kN(1-αN)
という非線型微分方程式になります。
これを解くと,N=N(t)=N0/[αN0{1-exp(αt)}+exp(αt)],
あるいは,N(t)=(1/α)/[1+{1/(αN0)-1}exp(-kt)]です。
これの描く(N-t)曲線をロジスティック曲線(logistic-curve)と
呼びます。
(下にその曲線を図示します。:
他のホームページから借用した図なので縦軸は世界人口と特定されて
いますが,単一の生物の個体数で置き換えることもできます。)
これを見ると,t → ∞ の極限では,N → 1/αとなり人口
(個体総数)Nは,ある一定の極限値に到達します。
そして,それ以上は増加も減少もしません。
この,ロジスティックモデルは実際に生態学(ecology)において
個体の増加減少の履歴と一致する例が多々あり,人口にも適用で
きると考えられています。
これは,正に「増え過ぎた生物は抑制される」という自然の摂理
(=神の摂理)を体現するモデルの一つになっています。
人類は,自然界に天敵がいないことや医学の進歩,軍縮などによる
戦争の減少?etc.によって,この摂理を次第に破壊し結果的に生態
系を破壊しつつあると思われます。
やがては,この神の摂理の破壊の報いを受けるかも知れません。
ところで,ロジスティック微分方程式のdt=Δtの刻みを調節
し中心差分の差分方程式として離散化すると,kの値によっては
tが大きいところで解が不安定な人口増減振動をするカオス現象
を起こすことが知られています。
この不安定性は数値解析の目的で"離散化=差分化"を行なったた
めに生じたものですが,現実の現象のモデルとしては時間刻みが
無限小の微分方程式よりも時間刻み有限の差分方程式の方が適切
かも知れません。
カオス(chaos)の例としては上記のロジスティック模型:
xn+1=axn (1-xn)は典型的なものです。
(※注:上記ロジスティックモデル式の差分形は,
ΔN/Δt=kN(1-αN)ですが,この差分方程式の
関数方程式(=数列の漸化式)としての形は,明らかに,
Nn+1=Nn+kNn(1-αNn)Δt
=Nn(1+kΔt-αkNnΔt) です。
そこで,a=1+kΔt,xn =αkNn/(1+kΔt)とおいて,
Nn+1=Nn(1+kΔt-αkNnΔt)の両辺に,
αk/(1+kΔt)を掛けることにより,直ちに
xn+1=axn (1-xn)の形になります。(注終わり※)
xn+1=axn (1-xn)は,時間刻みΔtの選択に相当する
a=1+kΔt,の値の選択によっては,
「リー・ヨーク(Li-Yorke)の定理」にあるカオス発生条件
を満たします。
参考文献:山口昌也 著「カオス入門」(朝倉書店),山口昌也 編著「数値解析と非線型現象」(日本評論社)
(再掲終了)※
さて,本日の新記事としては,上記「ロジスティックモデル」
の内容を要約することから始めます。
まず,全世界,あるいは外部から流出入のない閉じた地域の
個体数(人口)をNとします。
1年当たりの出生率をb,死亡率をdとして個体の増加率:
k=b-dが一定であるとすると,
Δt年間にNに比例して,
ΔN=(kΔt)Nだけ増加するという単純なモデル:
dN/dt=kNを考えることができて,これの解は
N=Nexp(kt)となります。
これから,k=b-d>0 :(出生率)>(死亡率)なら,
個体はネズミ算的に増加し,逆にk<0:(出生率)<(死亡率)
なら絶滅するという単純指数モデルを得ます。
しかし,実際には自然界の外部環境:空気,水,土地や気候などは,
個体数に依らず一定であっても,個体数が増えすぎると食料不足
など他に増加を妨げる環境要素が存在して,現実のk=b-d
=(出生率)-(死亡率)は一定ではありません。
この効果を増加率が個体数Nに比例して減少するとして,
b-d=k(1-αN)(α>0)で表現したものが,
ロジスティック方程式dN/dt=kN(1-αN)です。
例えば,人間のように天敵がいない(※実はウィルスなどバクテリア
まで考えると天敵はいます)とか,肉食動物が侵入しないごく小さな
閉じた地域に1種類の草食動物しかいないというような場合にこの
モデルはかなりうまく適合するようです。
しかし,今まで1種類の"個体=草食動物"しかいなかった地域
に別地域からこの動物を捕えて食料とする個体=肉食動物が
侵入した場合を想定すると事態は変わってきます。
この場合の個体数の増減を記述するために,
"元々いた個体=草食動物"に番号1を付け"他から侵入して
これを捕食する個体=肉小動物"に2を付けて区別して,
各々の個体数をそれぞれN1,N2で記述することにします。
ロジスティックモデルでは個体1の数N1はΔt年間に,
k1N1(1-α1N1)Δtだけ増加するとしたのですが,
これを食べる個体2が存在する場合,この増加率k1(1-α1N1)
がk1(1-α1N1-β12N2/k1)に変わるというモデルを考えます。
すなわち,Δt年間の個体1の増加分ΔN1はN2=0であった頃は
ΔN1=k1N1(1-α1N1)Δtでしたが,
個体2の存在:N2>0 により,これに加えてさらにN1,N2の双方に
比例するβ12N1N2Δtだけの個体1の数N1の減少があると考え,
ΔN1=k1N1(1-α1N1)Δt-β12N1N2Δt
=k1N1(1-α1N1-β12N2/k1)Δt
とするわけです。
こうするとN1に対する時間発展はΔtを無限小のdtとした
微分方程式形では,dN1/dt=k1N1(1-α1N1-β12N2/k1)
となります。
逆に,個体2の方はロジスティックモデルでは増加分が
ΔN2=k2N2(1-α1N2)Δtですが,
これに,捕食による増加の効果β21N2N1Δtを加えて,
dN2/dt=k2N2(1-α2N2+β21N1/k2)とします。
今のところは,k1>0,k2>0,β12>0,β21>0
と仮定しています。
こうして個体1,2の増減を示すモデルとして,
非線型な連立微分方程式:
dN1/dt=k1N1(1-α1N1-β12N2/k1)..(1),
dN2/dt=k2N2(1-α2N2+β21N1/k2)..(2)
が得られました。
次に,これを解くことを考えます。
まず,(1)×β21と(2)×β12を加えると,
β21(dN1/dt)+β12(dN2/dt)
=k1β21N1(1-α1N1)+k2β12N2(1-α1N2)
となります。
つまり,d(β21N1+β12N2)/dt
=(k1β21N1+k2β12N2)-(k1β21α1N12-k2β12α2N22)..(3)
です。
一方,(1)×(k2/N1)-(2)×(k1/N2)から,
(k2/N1)(dN1/dt)-(k1/N2)(dN2/dt)
=k1k2(1-α1N1-β12N2/k1)-k1k2(1-α2N2+β21N1/k2)
=-(k1β21N1+k2β12N2)-k1k2(α1N1-α2N2)
が得られます。
つまり,d(k2logN1+k1logN2)/dt
=-(k1β21N1+k2β12N2)-k1k2(α1N1-α2N2)..(4)
です。
(3)と(4)を加えると,
(d/dt)(β21N1+β12N2+k2logN1+k1logN2)
=-k1k2(α1N1-α2N2-(β21k1α1N12-β12k2α2N22)..(5)
となります。
一般には,これ以上解析的に解くのは困難です。
しかし,基本方程式系:
dN1/dt=k1N1(1-α1N1-β12N2/k1)(1),
dN2/dt=k2N2(1-α2N2+β21N1/k2)(2)
の右辺の増加率において,
N1,N2による2次の効果のうち他の動物による以外の環境による
減衰項:-k1α1N12,-k2α2N12が,被食捕食関係の効果:
-β12N1N2,β21N1N2に比べて無視できるほど小さい場合なら,
α1=α2=0 の近似で解析的方法で解くこともできます。
すなわち,基本方程式(1),(2)は,それぞれ,
dN1/dt=k1N1(1-β12N2/k1)..(1)',
dN2/dt=k2N2(1+β21N1/k2)..(2)'
に変わります。
これはロトカ・ヴォルテラ(Lotka-Volterra)方程式と呼ばれます。
これは,例えば草食動物が食べる草は無尽蔵にあって2種の動物
以外には増加率(生死)に影響を与える外部環境はないとするもの
です。
この方程式系では式(5):
(d/dt)(β21N1+β12N2+k2logN1+k1logN2
=-k1k2(α1N1-α2N2)-(β21k1α1N12-β12k2α2N22)
は,右辺でα1=α2=0 なので,
H≡β21N1+β12N2+k2logN1+k1logN2と置けば
dH/dt=0 になります。
すなわち,H=β21N1+β12N2+k2logN1+k1logN2は,
力学などでのエネルギーのように時間的に一定な保存量
(constant)です。
あるいは,H=log[exp(β21N1+β12N2)]+k2logN1+k1logN2
=log[N1k2N2k1exp(β21N1+β12N2)]なので,
A≡N1k2N2k1exp(β21N1+β12N2)が保存量であるということも
できます。
(β21N1+k2logN1)+(β12N2+k1logN2)=C1(一定),
あるいはN1k2exp(β21N1)×N2k1exp(β21N1)=C2(一定)
(k1>0,k2>0,β12>0,β21>0)ですから,
通常はN1が増えればN2が減少しN2が増えればN1が減少する
という関係にbなっています。
しかし,N1が減少し過ぎるとそれを食べるN2の食料が不足になり,
その増加にブレーキがかかり,その結果N1が増加に転じます。
これは自然界の関係をうまく表現していると思います。
実際に被食捕食関係にある2個体数の年ごとの変動を示す履歴
データがあれば,それとこのモデル式を比較して,例えば,
非線型最小二乗法によりk,βなどのパラメータフィッティング
を行なえばかなり合理的な予測曲線が得られると期待できます。
さて,ここで外部環境の影響も無視しない一般的な
2個体の基本方程式系:
dN1/dt=k1N1(1-α1N1-β12N2/k1)..(1),
dN2/dt=k2N2(1-α2N2+β21N1/k2)..(2)
(k1>0,k2>0,β12>0,β21>0)
に戻ります。
これはパラメータβ12,β21の符号にこだわらず,
(2)式でのβ21>0を-β21>0 と定義し直せば
dN1/dt=k1N1(1-α1N1-β12N2/k1),
dN2/dt=k2N2(1-α2N2-β21N1/k2)となり,
個体1と2の方程式形が同じ(対等な形)になります。
そこで,3個体なら方程式系を,
dN1/dt=k1N1{1-α1N1-(β12N2+β13N3)/k1},
dN2/dt=k2N2{1-α2N2-(β21N1+β23N3)/k2},
dN3/dt=k3N3{1-α3N3-(β31N2+β32N2)/k3}
と拡張すできると考えられます。
さらに,一般にn個体に対する方程式系としては,
dNj/dt=kjNj{1-αjNj-(Σk=1nβjkNk)/kj}
;j=1,2,..、n,ただしβjj=0 ..(6)
と一般化できます。
しかしながら,もしもバクテリア,プランクトンをも含む植物,動物
の全生物を対象とするなら生物の種類nは膨大な数になりますが,
自分以外に全く他の生物と無関係な外部パラメータなどは存在し
得ないので全てのαjをゼロと考えることができます。
すると,全n個体数に対する方程式系:
dNj/dt=kjNj{1-αjNj-(Σk=1nβjkNk)/kj}
(j=1,2,..、n)..(6)
は,dNj/dt=kjNj[1-(Σk=1nβjkNk)/kj]
=Nj(kj-Σk=1nβjkNk)(j=1,2,..、n)
となります。
ここで,N1,N2,..,Nnを未知数とする定数係数の連立1次方程式:
kj-Σk=1nβjkNk=0,つまりΣk=1nβjkNk=kj(j=1,2,..、n)
が解N10,N20,..,Nn0を持つとします。
さらにxj≡log(Nj/Nj0)と置いてtで微分すると.
dxj/dt=(1/Nj)(dNj/dt)=kj-Σk=1nβjkNk
=Σk=1nβjk(Nk0-Nk)=Σk=1nβjkNk0(1-Nk/Nk0)
=Σk=1nβjkNk0{1-exp(xk)}=kj-Σk=1nβjkNk0exp(xk)
です。
一方,d{exp(xj)}/dt=exp(xj)(dxj/dt)ですから,
d{xj-exp(xj)}/dt=dxj/dt-dexp(xj)/dt
=Σk=1nβjkNk0{1-exp(xj)}{1-exp(xk)} です。
それ故,G≡Σj=1nNj0{xj-exp(xj)}と置けば,
dG/dt=Σj=1nΣk=1n[βjkNj0Nk0{1-exp(xj)}{1-exp(xk)}]
=0 を得ます。
なぜなら,右辺を,Σj=1nΣk=1nQjk ;
Qjk≡βjkNj0Nk0{1-exp(xj)}{1-exp(xk)}と書けば,
単なる添字j,kの交換に対して総和は不変なのに,
Qkj≡-Qjkによって符号を変えるからです。
よってG=Σj=1nNj0{xj-exp(xj)}は保存量です。
私が思うに,これは例えばアメリカ大陸西海岸で起きたの地震が
タイムラグもなく瞬時に日本の太平洋岸に津波をもたらすと考
えるような伝播速度を無限大とする拡散型方程式です。
それ故,これは古典力学なら,伝播速度を無限大とするニュートン
力学に相当し伝播速度有限の相対論は考慮されてないようなもの
です。
話は変わりますが,かつてのヨーロッパで論じられていた古典
経済学でも,世界はイギリスやドイツが中心のヨ-ロッパだけ
で閉じていました。
交通,通信手段による伝播は瞬時でタイムラグによる資本主義
の不均等発展の結果としての発展途上国の存在,
今のように自国の矛盾をそうした他国にしわ寄せして生きのびる
という面を無視したものでしたネ。
今,問題としている生態系モデルも,はるか遠方の個体の増減が
当該地域に伝播するまでの速度やタイムラグをパラメータの中
に考慮できるほどの精度はまだないと思います。
また,地球上には金属や鉱石など無機物を食料とするような生命体
は存在しないと思っています。
機械,ロボットの存在が生物に影響を及ぼしても空気や水と同じく
その効果は個々の個体の数には依存しないはずです。
植物も動物の排泄した糞尿など有機肥料のみを糧とするような
自然な生態系では,それは地球自体の経年変化以上には変化しない
はずなのですが,食物連鎖の中に人間が手を加えた化学合成の肥料
などが入るというのはどうなんでしょうかね?
ゴミであっても合成されたものではない糞尿や果物の種,皮,料理
に用いた野菜の残りなど有機ゴミであれば道端に投棄しても自然
に風化して自然に帰るはずなんですが,都会の道端にはもはや土は
なく舗装されてコンクリートばかりだったりします。
参考文献:戸田盛和 著「非線型問題30講」(岩波書店)
PS:3月18日(金)の朝です。
昨年8月に引っ越してから半年余りが経ちました。
部屋の中の物の配置が引越し時のままで別に何も考えていません
でしたが地震を機会に整理をしようと思い付きました。
疲れやすい体で重いものを運ぶのは無理でも1日30分でも1時間
でもコツコツと大きいものも少しずつ動かして自分自身が生活し
やすい空間にしたいと,昨日(17日)から模様替えを始めました。
ついでにブログでの過去記事の整理で訃報や芸能人関連を中心に
使用可能な顔写真の挿入作業も始めました。
PS2:私は,有機物と無機物の区別については,生物が関連する物質を有機物,それ以外を無機物という程度の認識しかありませんでした。
これでは,本文の"また,地球上には金属や鉱石など無機物を食料とするような生命体は存在しないと思っています。"という内容は単に同義語反復の意味でのトートロジーであり無意味でしたね。
なお,化学大事典によれば以下の通りらしいです。これ,定義というにはかなり曖昧ですが,この程度でいいのでしょうか?
(PDF:http://www.prtr.nite.go.jp/prtr/pdf/clasexp.pdf より)
1.無機化合物
比較的小数の簡単な炭素化合物(炭素の酸化物、シアンなど)以外の炭素化合物,すなわち一般に有機化合物と通称している化合物を除いた全ての化合物を言う。
炭素以外の元素のみを含む化合物,及び炭素化合物でも比較的簡単な化合物,例えば酸化物(CO2,CO,C3O2など),シアン(CN)及びシアン化物(C2N2,KCN,Na3Fe(CN)6など),チオシアン酸塩(NaSCNなど),炭酸塩(K2CO3,KHCO2など)などを総称して言う。
ただし,簡単な炭素化合物といっても塩化物(CCl4など),硫化物(CS2など)などでは,いわゆる有機物としての性質が強く,有機化合物に分類されることが多い。
また,シュウ酸塩や酢酸塩のようにいずれにも分類しうるものもある。[化学大事典(共立出版株式会社)より抜粋]
2.有機化合物
有機化合物の定義は歴史的な変遷があり,現在では大体炭素化合物と同意語のように慣用されている。
無数といって良いほどの有機化合物も構成している元素の種類は非常に少なく,C,Hの2元素から成るもの,C,H,OあるいはC,H,Nの3元素から成るもの,及びC,H,N,Oの4元素から成るものが圧倒的に多い。
これら4元素の他に,S,P,ハロゲン(F,Cl,Br,I)を含むものも多く,B,Si等を含むもの,各種金属を含む有機金属化合物も知られている。
現在の慣用では炭素化合物の全てを有機化合物とは言わない。一酸化炭素,二酸化炭素,炭酸及びその塩類などは無機化合物として扱われている。
炭素化合物の内C-H結合を含むものを有機化合物とするという定義もあるが,これも厳密なものではなく,例えばシュウ酸はC-H結合を含まないが有機化合物として取り扱われる。
四塩化炭素,ホスゲン,シアンなどは中間的なもので有機化合物として取り扱うこともあり,無機化合物として取り扱うこともある。[化学大事典(共立出版株式会社)より抜粋]
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コメント
鉄の鱗を持つ巻貝
http://matome.naver.jp/odai/2125965382285276600
が居るそうですが、何をエサにしてるんでしょうね。
投稿: hirota | 2011年3月25日 (金) 13時35分
どうもhirotaさん。TOSHIです。
ご指摘ありがとうございます。
PS2でも追加しましたが私の認識が甘かったようです。
しかし,金属を主食にするとか極端な宇宙的生物などはいないようですから文章の内容,意図にはあまり影響ないようです。
ウイルスの中には生物と規定できるかどうかもわからないものがあるらしいです。
こうしたものについてはある程度曖昧な概念があるのはしかたないかも。。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2011年3月19日 (土) 06時20分
植物は無機物を食料とする生命体じゃないかな?
有機肥料は分解 (無機化) されて窒素分が無機のアンモニアや硝酸イオンになってから利用できるはずだし。
(有機物を吸収できるという説もあるらしい)
投稿: hirota | 2011年3月18日 (金) 12時15分