量子電磁力学の輻射補正(5)(電子自己質量-1 )
輻射補正の続きです。電子の自己質量に入ります。
§8.4 Self-mass of the Electron(電子の自己質量)
図8.4(d)のグラフに対する振幅はe2のオーダーの電子の固有
自己エネルギー部分として知られています。
これについては,4/4の記事「量子電磁力学の輻射補正(1)」
において次のように書きました。
"行列要素Sfi(4d)はSfiBの第2項と電子波動関数の置換:
u~(p1')→ u~(p1')ε0-1∫d4k(2π)-4(-i)(k2+iε)-1
(-ieγν)i(p1'-k-m+iε)-1(-ieγν)i(p1'-m+iε)-1
だけ異なります。"
です。
これと等価な表現として,電子波動関数(4-spinor)がu~(p)から
u~(p)[1+{-iΣ(p)}i(p-m+iε)-1] に輻射補正される
として,補正項の伝播関数の係数が
-iΣ(p)≡(-ie)2ε0-1∫d4k(2π)-4[(-i)/(k2-λ2-iε)]
γν{i/(p-k-m+iε)}γν で与えられるとします。
ただし,λ>0 はk~0 の部分から出現するであろう赤外発散
(Inf(rared divergence)から保護するため便宜上挿入した微小
な光子質量です。
このとき,定義式:
-iΣ(p)=(-ie)2ε0-1∫d4k(2π)-4
[(-i)/(k2-λ2+iε)]γν{i/(p-k-m+iε)}γν]
の右辺のkによる4次積分は明らかに発散します。
何故なら,被積分関数の分母がkについて3次しかないからです。
このうち2次は光子伝播関数,1次は電子伝播関数によるもの
です。
Σ(p)={α/(2π)}∫0∞dz1∫0∞dz2
(z1+z2)-2{2m-pz1z2/(z1+z2)}
exp[i{pz1z2/(z1+z2)-m2z2-λ2z1}]
と書けます。
※(注1):上式を導きます。
まず,(-i)/(k2-λ2+iε)
=∫0∞dz1 exp{iz1(k2-λ2+iε)},および,
i/(p-k-m+iε)=i(p-k+m)/{(p-k)2-m2+iε}
=-(p-k+m)∫0∞dz2 exp{iz2{(p-k)2-m2+iε}]
なる公式により,伝播関数の分母を指数関数の肩に上げます。
Σ(p)=(ie2)ε0-1∫0∞dz1∫0∞dz2∫d4k(2π)-4γν
(p-k+m)γνexp[iz1(k2-λ2+iε)+iz2{(p-k)2-m2}]
です。
さらに,γν(p-k+m)γν=4m-2(p-k)ですから,
Σ(p)=(i8πα)∫0∞dz1∫0∞dz2∫d4k(2π)-4|2m-(p-k)}
exp{i(z1+z2)k2-2i(pk)z2+ip2z2-im2z2-iλ2z2
-ε(z1+z2)} と書けます。
ここにαは微細構造定数でα≡e2/(4πε0)です。
ここで,積分変数の置換;l=k-pz2/(z1+z2)
=k-p+pz1/(z1+z2)を行なえば,
Σ(p)=(i8πα)∫0∞dz1∫0∞dz2∫d4l(2π)-4
{l+2m-pz1/(z1+z2)})
exp[il2(z1+z2)+ip2z1z2/(z1+z2)-im2z2-iλ2z1
-(z1+z2)ε] です。
前に計算して得た公式:
(1)∫d4l(2π)-4{exp{il2(z1+z2)}}={16π2i(z1+z2)2}-1,
(2)∫d4l(2π)-4[lμexp{il2(z1+z2)}]=0,
(3)∫d4l(2π)-4[lμlνexp{il2(z1+z2)}]
={32π2(z1+z2)3}-1gμν
を用いて,∫d4l(2π)-4を実行します。
こうして,Σ(p)={α/(2π)}∫0∞dz1∫0∞dz2
(z1+z2)-2{2m-pz1/(z1+z2)}
exp[i{p2z1z2/(z1+z2)-m2z2-λ2z1+iε(z1+z2)}]
得られました。 (注1終わり)※
このΣ(p)は,Feynmanグラフにおいて任意のp2とpを持つ電子
の内線と質量殻の上にある実電子外線の両方に適用されます。
後者の場合には,自由粒子スピノルの次にp2=m2のpが位置
しますが,このときには自由粒子のDirac方程式:
(p-m)u(p)=0 or (p-m)v(p)=0 が成立します。
これはpをmと置き変えてよいことを意味します。
さて,恒等式:1=∫0∞dγγ-1δ(1-(z1+z2)/γ)を挿入した後
に変数変換:z1→γz1,z2→γz2を行なうと,
Σ(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}∫0∞dγγ-1
exp[iγ{p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)+iε}]
を得ます。
※(注2):上式を導出します。
Σ(p)={α/(2π)}∫0∞dz1∫0∞dz2∫0∞dγγ-1
δ(1-γ(z1+z2)/γ)(z1+z2)-2{2m-pz1/(z1+z2)}
exp[iγ{p2z1z2/(z1+z2)-m2z2-λ2z1+iε(z1+z2)}
です。
積分∫0∞dz1を実行してz1=1-z2とした後,z2を改めてzと
書けば,
Σ(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
exp[iγ{p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)+iε}]
が得られます。 (注2終わり)※
積分:I(p,m,λ)≡∫0∞dγγ-1
exp[iγ{p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)+iε}]
は,対数的に発散します。
そこで,このI(p,m,λ)から"大きい光子質量Λ"を持つ
I(p,m,Λ)を差し引くという切断(cut)を実行します。
そのため,恒等式∫0∞dxx-1{exp(iax)-exp(ibx)}
=log|b/a|(|a+b|/2>(a-b)/2>0) を用います。
※(注3);a=p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)+iε,b
=p2z(1-z)-m2z-Λ2(1-z)+iε}と置けば,
(a-b)/2=(Λ2-λ2)(1-z)/2>0 は明らかです。
一方,(a+b)/2=p2z(1-z)-m2z-(Λ2+λ2)(1-z)/2
より,|a+b|/2>(a-b)/2です。
すなわち,∫0∞dxx-1{exp(iax)-exp(-ibx)}
=∫0∞dx[{isin(ax)-isin(bx)}/x]
+∫0∞dx[{cos(ax)-cos(bx)}/x]
=2∫0∞dx[isin{(a-b)x/2}cos{(a+b)x/2}
-sin{(a-b)x/2}sin{(a+b)x/2}/x]
ですが,
これの最右辺第1項の
∫0∞dx[sin{(a-b)x/2}cos{(a+b)x/2}/x]は,
|a+b|/2>(a-b)/2 ならゼロです。
最右辺第2項は
∫0∞dx[sin{(a-b)x/2}sin{(a+b)x/2}/x]
=-log|a/b|=log|b/a|です。
(数学公式集(岩波全書)を参照※
そこで,切断後のΣ(p)をΣ~(p)と書けば,
Σ~(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}{I(p,m,λ)
-I(p,m,Λ)}ですが,上記の公式により,
I(p,m,λ)-I(p,m,Λ)}
=log|{p2z(1-z)-m2z-Λ2(1-z)}
/{p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)}| です。
故に,Λ>>m,かつλ ~ 0 では,
Σ~(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log[{m2z+Λ2(1-z)-p2z(1-z)}
/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]
~ {α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log[Λ2(1-z)/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]
となります。
これは,さらに
Σ~(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log{Λ2(1-z)/(m2z2)}+{α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log[{m2z2+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]
と書けます。
結局,Σ~(p)~ {3αm/(4π)}log(Λ2/m2)
-{α/(4π)}(p-m)log(Λ2/m2)
+{α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log[{m2z2+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]
を得ます。
※(注4):∫01dz{2m-p(1-z)}log{Λ2(1-z)/(m2z2)}
=∫01dz{m(1+z)-(1-z)(p-m)}log(Λ2/m2)
+∫01dz{2m-p(1-z)}{log(1-z)-2logz} です。
これは,{3m/2-(p-m)/2}log(Λ2/m2)
+2m[-(1-z)log(1-z)+(1-z)]01
-(p/2)[-(1-z)2log(1-z)+(1-z)2/2]01
-2(2m-p)[zlogz-z]01-p[z2logz-z2/2] 01
=(3m/2)log(Λ2/m2)-{(p-m)/2}log(Λ2/m2)+2m-5p/4
となります。
故に,Λ>>mでは,
∫01dz{m(1+z)-(1-z)(p-m)}log(Λ2/m2)
={3αm/(4π)}log(Λ2/m2)-{α/(4π)}(p-m)log(Λ2/m2)
+{α/(2π)}(2m-5p/4)
~ {3αm/(4π)}log(Λ2/m2)-{α/(4π)}(p-m)log(Λ2/m2)
です。 (注4 終わり)※
Σ~(p)の切断Λへの全ての依存性は,この最初の2項:
{3αm/(4π)}log(Λ2/m2)-{α/(4π)}(p-m)log(Λ2/m2)
の中にあります。
残りの項:{α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log[{m2z2+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]
は,(p2-m2)>>mλに対しては容易に評価されます。
すなわち,(p2-m2)>>mλのときには,
{α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log[{m2z2+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]
~ {α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}log{m2z/{m2-p2(1-z)}
と近似されます。
これにより,結局,{α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log[{m2z2+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]
~ (αm/π){(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}
-{α/(4π)}p{(m2-p2)/p2}[1+{(m2+p2)/p2}
log{(m2-p2)/m2}] です。
※(注5):上式を導きます。
∫01dz{2m-p(1-z)}log{m2z/{m2-p2(1-z)}
=∫01dz{(2m-p)+pz}{logm2+logz-log{m2-p2(1-z)}
=(2m-p/2)logm2+(2m-p)[zlogz-z]01
+(p/2)[z2logz-z2/2] 01-{(2m-p)
-(m2-p2)p/m2}(p2)-1[(p2z+m2-p2)
log(p2z+m2-p2)-(p2z+m2-p2)] 01
-(p/2)(p2)-2[(p2z+m2-p2)2
log(p2z+m2-p2)-(p2z+m2-p2)2/2] 01
です。
これはさらに,(2m-p/2)logm2-(2m-p)-p/4
-{(2m-p)-(m2-p2)p/m2}(p2)-1
{m2logm2-(m2-p2)log(m2-p2)-p2}
-(p/2)(p2)-2{m4logm2-(m2-p2) 2log(m2-p2)/2
+m4-(m2-p2)2} となります。
上式の(2m)の係数は,logm2-1-(m2/p2)logm2+1
+{(m2-p2)/p2}log(m2-p2)
={(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2} です。
また,pの係数は-(1/2)logm2+3/4-(m2/p2)+(m2/p2)2logm2
-(m2/p2){(m2-p2)/p2}log(m2-p2)-(1/2)(m2/p2)2logm2
-1/4+(1/2)(m2/p2) です。
これは,(1/2){(m2-p2)/p2}+(1/2){(m2-p2)/p2}
{(m2+p2)/p2}logm2-(1/2){(m2-p2)/p2}{(m2+p2)/p2}
log(m2-p2)と整理され,
結局,-(1/2){(m2-p2)/p2}
[1+{(m2+p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}]となります。
(注5終わり)※
したがって,質量殻の近傍でp2~m2ですがp2-m2>>mλ
のとき,そしてΣ~(p)が自由粒子スピノルの次に位置する
(p=mの)場合,
Σ~(p)~{3αm/(4π)}log(Λ2/m2)-{α/(4π)}(p-m)
[log(Λ2/m2)+4log{(m2―p2)/m2}]と書けます。
※(注6):これは次のように示されます。
まず,Σ~(p)~{3αm/(4π)}log(Λ2/m2)
-{α/(4π)}(p-m)log(Λ2/m2)+(mα/π){(m2-p2)/p2}
log{(m2-p2)/m2}-{α/(2π)}(p/2){(m2-p2)/p2}
[1+{(m2+p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}]) です。
これの最初のΛに関する項以外のλによる特異項を評価します。
(2m)の係数から発生する項は(mα/π){(m2-p2)/p2}
log{(m2-p2)/m2}です。
また,{α/(2π)}×pの係数は,
-(1/2){(m2-p2)/p2}[1+{(m2+p2)/p2}
log{(m2-p2)/m2}] です。
故に,pの項は-{α/(4π)}{(m2-p2)/p2}p
-{α/(4π)}(p-m){(m2-p2)/p2}{(m2+p2)/p2}
log{(m2-p2)/m2}-{mα/(4π)}{(m2-p2)/p2}
{(m2+p2)/p2}log{(m2-p2)/m2} です。
これと,先の(mα/π){(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}
との和を取れば,
-{α/(4π)}{(m2-p2)/p2}p-{α/(4π)}(p-m)
{(m2-p2)/p2}{(m2+p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}
+{mα/(4π)}{(m2-p2)/p2}{(m2+3p2)/p2}
log{(m2-p2)/m2} です。
(m2+p2)/p2~2,(m2+3p2)/p2~4とすれば,
~ -{2α/(4π)}(p-m){(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}
+{4mα/(4π)}{(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2} です。
質量殻の近傍;p~mでは,
(m2-p2)/p2 ~(m2-p2)/m2
=-(p-m)(p+m)/m2 ~ -2(p-m)/m
なることを用いると,再び,(m2+3p2)/p2~4より
~ -{2α/(4π)}(p-m){(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}
-(8α/4π)}(p-m){log{(m2-p2)/m2}
~ -{4α/(4π)}(p-m){log{(m2-p2)/m2}
を得ます。(注6終わり)※
すなわち,切断Λと関わる特異性とは別に,
p2~m2,p2-m2>>mλのときでも4log{(m2―p2)/m2}]
のような対数的特異性があることに注意が必要です。
次に,大きい運動量p2>m2に対しては,光子伝播関数で生じた
ことのアナロジーで,電子が電子と光子に崩壊する仮想的過程
の存在に対応してΣ(p)が複素数になります。
これについては後述します。
また,p2-m2<<mλに対しては,上の
Σ~(p) ~ {3αm/(4π)}log(Λ2/m2)
-{α/(4π)}(p-m)[log(Λ2/m2)+4log{(m2―p2)/m2}]
の最後の対数項log{(m2―p2)/m2}が,|p2-m2|をmλで評価
したようなlog(λ/m)で置き換えられます。
つまり,Σ~(p) ~ {3αm/(4π)}log(Λ2/m2)
-{α/(4π)}(p-m)[log(Λ2/m2)+4log(λ/m)] です。
これは,{α/(2π)}∫01dz{2m-p(1-z)}
log{m2z/{m2-p2(1-z)} の計算から直接証明できます。
※(注7):(証明)∫01dz{2m-p(1-z)}
log[{m2z2+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]
=(2m-p/2)log(m2/p2)+(2m-p)+λ2p/(2m2)}
[{z-λ2/(2m2)}log(z2-λ2z/m2-λ2/m2)
-2{z2-λ2/(2m2)}+(2m/λ){1-λ2/(4m2)}1/2
tan-1{(m/λ)(z-λ2/(2m2))/{1-λ2/(4m2)}1/2}]01
-{(2m-p)+(m2―p2-λ2)p/(2p2)}
[{z+(m2-p2-λ2)p/(2p2)}log{z2
-(m2-p2-λ2)z/p2-λ2/p2}―2{z+(m2-p2-λ2)/(2p2)}
+2λ/|p|]{1-λ2/(4m2)}1/2
tan-1{(|p|/λ){z+(m2-p2-λ2)/(2p2)}
/{1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}12}]01
+(p/2)[(z2-λ2z/m2+λ2/m2)log(z2-λ2z/m2+λ2/m2)
-(z2-λ2z/m2+λ2/m2)-{z2+(m2-p2-λ2)z/p2
+λ2/p2}log{z2+(m2-p2-λ2)z/p2+λ2/p2}
+{z2+(m2-p2-λ2)z/p2+λ2/p2}]01
=(2m-p)log(p2/m2)+{2m-p+λ2p/(2m2)}
{λ2/(2m2)}{log(λ2/m2)-2+2(λ/m){1-λ2/(4m2)}1/2
[tan-1{(m/λ)(1+λ2/(2m2))/{1-λ2/(4m2)}1/2}
+tan-1{{(λ/(2m))/{1-λ2/(4m2)}1/2}
-p+(m2-p2-λ2)p/(2p2)}{1+(m2-p2-λ2)
/(2p2)}log(m2/p2)-{(m2-p2-λ2)/(2p2)}log(λ2/p2)}
-2+2(λ/|p|){1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}1/2
[tan-1{(|p|/λ){1+(m2-p2-λ2)/(2p2)}/(1
-(m2-p2-λ2)/(2p2))1/2}
-tan-1{(m2-p2-λ2)
/(2|p|λ{1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}1/2)
+(p/2) }[-(λ2/m2)log(λ2/m2)-1+λ2/m2
-(m2/p2)log(m2/p2)+(λ2/p2)log(λ2/p2)
+m2/p2-λ2/p2]] です。
(m2-p2)2/m2<<O(λ2)の項を無視すると,λ2p/(2m2)
の項,(m2-p2-λ2)p/(2p2)の項は消えます。
2mの項は,{(m2-p2-λ2)/(2p2)}log(m2/p2)+{λ2/(2m2)}
log(λ2/m2)+{(m2-p2-λ2)/(2p2)}log(λ2/p2)
+2[(λ/m){1-λ2/(4m2)}1/2
[tan-1{(m/λ)(1+λ2/(2m2))/(1-λ2/(4m2))1/2}-(λ/|p|)
{1-(m2-p2-λ2) 2/(4p2λ2)}1/2tan-1{(|p|/λ)
(1+(m2-p2-λ2)/(2p2))/(1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2))1/2}
+(λ/m){1-λ2/(4m2)}1/2[tan-1{{(λ/(2m))/(1-λ2/(4m2))1/2}
+tan-1{(m2-p2-λ2)(2|p|λ)-1}
/(1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2))1/2}] です。
このうち,(第1項+第2項+第3項)
~{(m2-p2)/(2m2)}log(λ2/m2) です。
また,Arctan1=tan-1の項のうちで効くのは,m/λ,|p|/λが
入ってる項だけで,それらの絶対値は最大でもπ/2です。
それ故,(λ/m)→ 0 のときの特異性は対数のそれに比べて,
ほとんどないに等しいものです。よって以下ではtan-1の項は
無視します。
結局,(2m)の項は~(2m){(m2-p2)/(2m2)}log(λ2/m2)
={(m2-p2)/m}log(λ2/m2) です。
一方,pの係数は,
-{(m2-p2-λ2)/(2p2)}log(λ2/m2)+(1/2)log(m2/p2)
-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2)-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2)
-{m2/(2p2)-1/2+λ2/(2m2)-λ2/(2p2)-{m2/(2p2)}
log(m2/p2)+{λ2/(2p2)}log(λ2/p2)+(tan-1の項)
~ -{(m2-p2)/(2p2)}log(λ2/m2)+{(p2-m2)/(2p2)}
log(m2/p2)-(m2-p2)/(2p2)+λ2(p2-m2)/(2m2p2)
+{λ2/(2p2)}log(λ2/p2)-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2)
です。
そして上式の第2項は,log(m2/p2)
=log{1+(m2-p2)/p2}~(m2-p2)/p2より,
{(p2-m2)/(2p2)}log(m2/p2)~-(m2-p2)2/(2m4)~ 0
です。
第3項は(m2-p2)/(2p2)~(m2-p2)/(2m2),第4項は
λ2(p2-m2)/(2m2p2)~λ2(p2-m2)/(2m4) です。
第5,6項は,
{λ2/(2p2)}log(λ2/p2)-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2)
={λ2/(2p2)}log(λ2/p2)-{λ2/(2p2)}log(λ2/m2)
+{λ2/(2p2)}log(λ2/m2)-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2) です。
これは,{λ2/(2p2)}log(m2/p2)-{λ2(m2-p2)/(2m2p2)}log(λ2/m2)
~λ2(m2-p2)/(2m4)-{λ2(m2-p2))/(2m4)log(λ2/m2)}で
すが,,これの第1項は丁度先の第4項と相殺して消えます。
故にpの係数は~-{(m2-p2)/(2m2)}log(λ2/m2)
+(m2-p2)/(2m2)-{λ2(m2-p2))/(2m4)log(λ2/m2)} です。
最後の-{λ2(m2-p2))/(2m4)log(λ2/m2)}は(λ/m)~ 0
で無視できます。
(2m)の項とpの項をまとめると,{(m2-p2)/m}log(λ2/m2)
-(p/2){(m2-p2)/m2}log(λ2/m2)+(1/2){(m2-p2)/m2} ですが,
質量殻の近傍:p~mで(m2-p2)/m2 ~-2(p-m)/m
なる近似を用いると.
~ -2(p-m)log(λ2/m2)+{p(p-m)/m}log(λ2/m2)-(p-m)/m
~ -(p-m)log(λ2/m2)-(p-m)/m です。
これに,全体の係数{α/(2π)を掛けると,(λ/m)→ 0 の特異点で
p=mの近傍では,
~ -{α/(2π)}((p-m)}log(λ2/m2)
=-{4α/(4π)}(p-m)log(λ/m) です。
よって,Σ~(p)~{3αm/(4π)}log(Λ2/m2)
-{α/(4π)}(p-m)[log(Λ2/m2)
-{4α/(4π)}(p-m)log(λ/m)
={3αm/(4π)}log(Λ2/m2)+4log(λ/m)}
を得ます。(証明終わり)
(注7終わり)※
途中ですが,計算が細かくて長いのでここで中断です。
参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell“Relativistic Quantum Mechanics”(McGraw-Hill)
PS:老眼のせいもあって,ただの転記作業でもかなり苦労して
いるン十年前のノートの手書きの式の羅列ですが,これらは
結果の正しい教科書の最終式への当時の私的検算,あるいは
行間を埋めるプロセスです。
結局は間違いはなかったはずなのに,単なる転記だけに満足
せず再び検算せずにはいられない性分のため,ワザワザ逆に
細かいところを間違えて転記したりで必要以上に遅滞が続く
状況です。
(↑ 困ったもんです。)
地震その他で.私物を失なう可能性もあり,日常の日記とは別に
過去の思考体験の覚書きを遺言のようにブログに残そうと意図
してきたことは無駄ではないかも。。。
過去の覚書きばかりではなく,現在進行中,あるいは意図して
いるものももちろんあります。
しかし,主に眼が見えなくて判読の道具を探したりしているうち
にもいろいろと目移りして根気がそがれるせいでしょうか?
最近は,惰性以外に普段と異なる試行は何ひとつ長続きせず,
そのうちやろうとした動機も意欲も忘れたりもする始末です。
病院にでも入院してその他茶飯事から解放されるような環境
でないと読書さえ集中できません。
まあ,ブログ書きは唯一集中してる方です。
| 固定リンク
「114 . 場理論・QED」カテゴリの記事
- くりこみ理論第2部(1)(2020.11.11)
- くりこみ理論(次元正則化)16)(2020.06.13)
- くりこみ理論(次元正則化)(15)(2020.06.07)
- くりこみ理論(次元正則化)(14)(2020.05.31)
- くり込み理論(次元正則化)(13)(2020.05.31)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
-iΣ(p)≡(-ie)^2ε0-1∫d^4k(2π)^-4[(-i)/(k^2-λ^2-iε)]γν{i/(p-k-m+iε)}γνで与えられるとします。
↓
-iΣ(p)=(-ie)^2ε0-1∫d^4k(2π)^-4[(-i)/(k^2-λ^2-iε)]γν{i/(p-k-m+iε)}γνで与えられるとします。
投稿: 凡人 | 2013年4月28日 (日) 20時30分
/{1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}12}]01 ⇨ /{1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}1/2}]01
投稿: hirota | 2013年4月27日 (土) 23時01分