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2011年4月27日 (水)

量子電磁力学の輻射補正(5)(電子自己質量-1 )

 輻射補正の続きです。電子の自己質量に入ります。


 
§8.4 Self-mass of the Electron(電子の自己質量)

 図8.4(d)のグラフに対する振幅はe2のオーダーの電子の固有

 自己エネルギー部分として知られています。

 これについては,4/4の記事「量子電磁力学の輻射補正(1)

 において次のように書きました。


 
"行列要素Sfi(4d)はSfiBの第2項と電子波動関数の置換:

 u~(p1')→ u~(p1')ε0-1∫d4k(2π)-4(-i)(k2+iε)-1

 (-ieγν)i(1'--m+iε)-1(-ieγν)i(1'-m+iε)-1

 だけ異なります。"

 
です。


 
これと等価な表現として,電子波動関数(4-spinor)がu~(p)から

u~(p)[1+{-iΣ(p)}i(-m+iε)-1] に輻射補正される

として,補正項の伝播関数の係数が

-iΣ(p)≡(-ie)2ε0-1∫d4k(2π)-4[(-i)/(k2-λ2-iε)]

γν{i/(-m+iε)}γν で与えられるとします。

 
 ただし,λ>0 はk~0 の部分から出現するであろう赤外発散

 (Inf(rared divergence)から保護するため便宜上挿入した微小

 な光子質量です。

  
このとき,定義式:

 -iΣ(p)=(-ie)2ε0-1∫d4k(2π)-4

 [(-i)/(k2-λ2+iε)]γν{i/(-m+iε)}γν]

 の右辺のkによる4次積分は明らかに発散します。
 

 何故なら,被積分関数の分母がkについて3次しかないからです。

 このうち2次は光子伝播関数,1次は電子伝播関数によるもの

 です。

 
Σ(p)={α/(2π)}∫0dz10dz2

(z1+z2)-2{2m-12/(z1+z2)}

exp[i{12/(z1+z2)-m22-λ21}]

と書けます。


 ※
(注1):上式を導きます。

 
まず,(-i)/(k2-λ2+iε)

=∫0dz1 exp{iz1(k2-λ2+iε)},および,

i/(-m+iε)=i(+m)/{(p-k)2-m2+iε}

 =-(+m)∫0dz2 exp{iz2{(p-k)2-m2+iε}]

なる公式により,伝播関数の分母を指数関数の肩に上げます。

 
Σ(p)=(ie20-10dz10dz2∫d4k(2π)-4γν

(+m)γνexp[iz1(k2-λ2+iε)+iz2{(p-k)2-m2}]

です。

 
さらに,γν(+m)γν=4m-2()ですから,

Σ(p)=(i8πα)∫0dz10dz2∫d4k(2π)-4|2m-()}

exp{i(z1+z2)k2-2i(pk)z2+ip22-im22-iλ22

-ε(z1+z2)} と書けます。

 
ここにαは微細構造定数でα≡e2/(4πε0)です。

 
ここで,積分変数の置換;l=k-pz2/(z1+z2)

=k-p+pz1/(z1+z2)を行なえば,

Σ(p)=(i8πα)∫0dz10dz2∫d4l(2π)-4

{+2m-1/(z1+z2)})

exp[il2(z1+z2)+ip212/(z1+z2)-im22-iλ21

-(z1+z2)ε] です。

 

前に計算して得た公式:

(1)∫d4l(2π)-4{exp{il2(z1+z2)}}={16π2i(z1+z2)2}-1,

(2)∫d4l(2π)-4[lμexp{il2(z1+z2)}]=0,

(3)∫d4l(2π)-4[lμνexp{il2(z1+z2)}]

={32π2(z1+z2)3}-1μν

を用いて,∫d4l(2π)-4を実行します。

 

こうして,Σ(p)={α/(2π)}∫0dz10dz2

(z1+z2)-2{2m-1/(z1+z2)}

exp[i{p212/(z1+z2)-m22-λ21+iε(z1+z2)}]

得られました。 (注1終わり)※

 
このΣ(p)は,Feynmanグラフにおいて任意のp2を持つ電子

の内線と質量殻の上にある実電子外線の両方に適用されます。

 
後者の場合には,自由粒子スピノルの次にp2=m2が位置

しますが,このときには自由粒子のDirac方程式:

(-m)u(p)=0 or (-m)v(p)=0 が成立します。

これはをmと置き変えてよいことを意味します。

 
さて,恒等式:1=∫0dγγ-1δ(1-(z1+z2)/γ)を挿入した後

に変数変換:z1→γz1,z2→γz2を行なうと,

Σ(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}∫0dγγ-1

exp[iγ{p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)+iε}]

を得ます。

 
(注2):上式を導出します。

 
Σ(p)={α/(2π)}∫0dz10dz20dγγ-1

δ(1-γ(z1+z2)/γ)(z1+z2)-2{2m-1/(z1+z2)}

exp[iγ{p212/(z1+z2)-m22-λ21+iε(z1+z2)}

です。

 
積分∫0dz1を実行してz11-z2とした後,z2を改めてzと

書けば,

Σ(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

exp[iγ{p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)+iε}]

が得られます。 (注2終わり)※

 
積分:I(p,m,λ)≡∫0dγγ-1

exp[iγ{p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)+iε}]

は,対数的に発散します。

 
そこで,このI(p,m,λ)から"大きい光子質量Λ"を持つ

I(p,m,Λ)を差し引くという切断(cut)を実行します。

 
そのため,恒等式∫0dxx-1{exp(iax)-exp(ibx)}

=log|b/a|(|a+b|/2>(a-b)/2>0) を用います。


 
※(注3);a=p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)+iε,b

 =p2z(1-z)-m2z-Λ2(1-z)+iε}と置けば,

 (a-b)/2=(Λ2-λ2)(1-z)/2>0 は明らかです。

  一方,(a+b)/2=p2z(1-z)-m2z-(Λ2+λ2)(1-z)/2

より,|a+b|/2>(a-b)/2です。
 

すなわち,∫0dxx-1{exp(iax)-exp(-ibx)}

0dx[{isin(ax)-isin(bx)}/x]

+∫0dx[{cos(ax)-cos(bx)}/x]

=2∫0dx[isin{(a-b)x/2}cos{(a+b)x/2}

 -sin{(a-b)x/2}sin{(a+b)x/2}/x]

ですが,

これの最右辺第1項の

0dx[sin{(a-b)x/2}cos{(a+b)x/2}/x]は,

|a+b|/2>(a-b)/2 ならゼロです。

 

最右辺第2項は

0dx[sin{(a-b)x/2}sin{(a+b)x/2}/x]

=-log|a/b|=log|b/a|です。

(数学公式集(岩波全書)を参照※

 
そこで,切断後のΣ(p)をΣ~(p)と書けば,

Σ~(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}{I(p,m,λ)

-I(p,m,Λ)}ですが,上記の公式により,

 I(p,m,λ)-I(p,m,Λ)}

 =log|{p2z(1-z)-m2z-Λ2(1-z)}

 /{p2z(1-z)-m2z-λ2(1-z)}|  です。

 

故に,Λ>>m,かつλ ~ 0 では,

Σ~(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log[{m2z+Λ2(1-z)-p2z(1-z)}

/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]

~ {α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log[Λ2(1-z)/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]

となります。

 

これは,さらに

Σ~(p)={α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log{Λ2(1-z)/(m22)}+{α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log[{m22+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]

と書けます。

 

結局,Σ~(p)~ {3αm/(4π)}log(Λ2/m2)

-{α/(4π)}(-m)log(Λ2/m2)

+{α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log[{m22+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]

得ます。


 
(注4):∫01dz{2m-(1-z)}log{Λ2(1-z)/(m22)}

=∫01dz{m(1+z)-(1-z)(-m)}log(Λ2/m2)

+∫01dz{2m-(1-z)}{log(1-z)-2logz} です。

 これは,{3m/2-(-m)/2}log(Λ2/m2)

+2m[-(1-z)log(1-z)+(1-z)]01

-(/2)[-(1-z)2log(1-z)+(1-z)2/2]01

-2(2m-)[zlogz-z]01[z2logz-z2/2] 01

=(3m/2)log(Λ2/m2)-{(-m)/2}log(Λ2/m2)+2m-5/4

となります。 

 
故に,Λ>>mでは,

01dz{m(1+z)-(1-z)(-m)}log(Λ2/m2)

={3αm/(4π)}log(Λ2/m2)-{α/(4π)}(-m)log(Λ2/m2)

+{α/(2π)}(2m-5/4)

~ {3αm/(4π)}log(Λ2/m2)-{α/(4π)}(-m)log(Λ2/m2)

です。 (注4 終わり)※

 Σ~(p)の切断Λへの全ての依存性は,この最初の2項:

{3αm/(4π)}log(Λ2/m2)-{α/(4π)}(-m)log(Λ2/m2)

の中にあります。

 残りの項:{α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log[{m22+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]

は,(p2-m2)>>mλに対しては容易に評価されます。 

 すなわち,(p2-m2)>>mλのときには,

{α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log[{m22+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]

~ {α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}log{m2z/{m2-p2(1-z)}

と近似されます。


 これに
より,結局,{α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log[{m22+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]

(αm/π){(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}

-{α/(4π)}{(m2-p2)/p2}[1+{(m2+p2)/p2}

log{(m2-p2)/m2}] です。

 
(注5):上式を導きます。
 ∫01dz{2m-(1-z)}log{m2z/{m2-p2(1-z)}

=∫01dz{(2m-)+z}{logm2+logz-log{m2-p2(1-z)}


 
(2m-/2)logm2+(2m-)[zlogz-z]01

+(/2)[z2logz-z2/2] 01-{(2m-)

-(m2-p2)/m2}(p2)-1[(p2z+m2-p2)

log(p2z+m2-p2)-(p2z+m2-p2)] 01

-(/2)(p2)-2[(p2z+m2-p2)2

log(p2z+m2-p2)-(p2z+m2-p2)2/2] 01 

です。

 これはさらに,(2m-/2)logm2-(2m-)-/4

-{(2m-)-(m2-p2)/m2}(p2)-1

{m2logm2-(m2-p2)log(m2-p2)-p2}

-(/2)(p2)-2{m4logm2-(m2-p2) 2log(m2-p2)/2

+m4-(m2-p2)2} となります。 


 上式の(2m)の係数は,logm2-1-(m2/p2)logm2+1

+{(m2-p2)/p2}log(m2-p2)

={(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2} です。

 また,の係数は-(1/2)logm2+3/4-(m2/p2)+(m2/p2)2logm2

-(m2/p2){(m2-p2)/p2}log(m2-p2)-(1/2)(m2/p2)2logm2

-1/4+(1/2)(m2/p2) です。

 

これは,(1/2){(m2-p2)/p2}+(1/2){(m2-p2)/p2}

{(m2+p2)/p2}logm2-(1/2){(m2-p2)/p2}{(m2+p2)/p2}

log(m22)と整理され,

結局,-(1/2){(m2-p2)/p2}

[1+{(m2+p2)/p2}log{(m22)/m2}]となります。

(注5終わり)※

 したがって,質量殻の近傍でp2~m2ですがp2-m2>>mλ

のとき,そしてΣ~(p)が自由粒子スピノルの次に位置する

(=mの)場合,


 Σ~(p)~{3αm/(4π)}log(Λ2/m2)-{α/(4π)}(-m)

[log(Λ2/m2)+4log{(m2―p2)/m2}]と書けます。

 
※(注6):これは次のように示されます。

 まず,Σ~(p)~{3αm/(4π)}log(Λ2/m2)

-{α/(4π)}(-m)log(Λ2/m2)+(mα/π){(m2-p2)/p2}

log{(m2-p2)/m2}-{α/(2π)}(/2){(m2-p2)/p2}

[1+{(m2+p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}]) です。

 これの最初のΛに関する項以外のλによる特異項を評価します。

 (2m)の係数から発生する項は(mα/π){(m2-p2)/p2}

log{(m2-p2)/m2}です。

 また,{α/(2π)}×の係数は,

(1/2){(m2-p2)/p2}[1+{(m2+p2)/p2}

log{(m2-p2)/m2}] です。

 故に,の項は-{α/(4π)}{(m2-p2)/p2}

{α/(4π)}(-m){(m2-p2)/p2}{(m2+p2)/p2}

log{(m2-p2)/m2}-{mα/(4π)}{(m2-p2)/p2}

{(m2+p2)/p2}log{(m2-p2)/m2} です。

 これと,先の(mα/π){(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}

との和を取れば,

-{α/(4π)}{(m2-p2)/p2}{α/(4π)}(-m)

{(m2-p2)/p2}{(m2+p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}

+{mα/(4π)}{(m2-p2)/p2}{(m2+3p2)/p2}

log{(m2-p2)/m2} です。

 (m2+p2)/p2~2,(m2+3p2)/p2~4とすれば,

{2α/(4π)}(-m){(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}

+{4mα/(4π)}{(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2} です。

 質量殻の近傍;~mでは,

(m2-p2)/p2 ~(m2-p2)/m2

=-(-m)(+m)/m2 ~ -2(-m)/m 

なることを用いると,再び,(m2+3p2)/p2~4より

 {2α/(4π)}(-m){(m2-p2)/p2}log{(m2-p2)/m2}

-(8α/4π)}(-m){log{(m2-p2)/m2}

~ -{4α/(4π)}(-m){log{(m2-p2)/m2}

を得ます。(注6終わり)※

 すなわち,切断Λと関わる特異性とは別に,

2~m2,p2-m2>>mλのときでも4log{(m2―p2)/m2}]

のような対数的特異性があることに注意が必要です。

 次に,大きい運動量2>m2に対しては,光子伝播関数で生じた

ことのアナロジーで,電子が電子と光子に崩壊する仮想的過程

の存在に対応してΣ(p)が複素数になります。
 これについては後述します。

 
また,p2-m2<<mλに対しては,上の

Σ~(p) ~ {3αm/(4π)}log(Λ2/m2)

-{α/(4π)}(-m)[log(Λ2/m2)+4log{(m2―p2)/m2}]

の最後の対数項log{(m2―p2)/m2}が,|p2-m2|をmλで評価

したようなlog(λ/m)で置き換えられます。

 つまり,Σ~(p) ~ {3αm/(4π)}log(Λ2/m2)

-{α/(4π)}(-m)[log(Λ2/m2)+4log(λ/m)] です。

 これは,{α/(2π)}∫01dz{2m-(1-z)}

log{m2/{m2-p2(1-z)} の計算から直接証明できます。

 
(注7):(証明)∫01dz{2m-(1-z)}

log[{m22+λ2(1-z)}/{m2z+λ2(1-z)-p2z(1-z)}]

 (2m-/2)log(m2/p2)+(2m-)+λ2/(2m2)}

[{z-λ2/(2m2)}log(z2-λ2z/m2-λ2/m2)

-2{z2-λ2/(2m2)}+(2m/λ){1-λ2/(4m2)}1/2

tan-1{(m/λ)(z-λ2/(2m2))/{1-λ2/(4m2)}1/2}]01

 -{(2m-)+(m2―p2-λ2)/(2p2)}

[{z+(m2-p2-λ2)/(2p2)}log{z2

-(m2-p2-λ2)z/p2-λ2/p2}―2{z+(m2-p2-λ2)/(2p2)}

+2λ/|p|]{1-λ2/(4m2)}1/2

tan-1{(|p|/λ){z+(m2-p2-λ2)/(2p2)}

/{1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}12}]01

 +(/2)[(z2-λ2z/m2+λ2/m2)log(z2-λ2z/m2+λ2/m2)

-(z2-λ2z/m2+λ2/m2)-{z2+(m2-p2-λ2)z/p2

+λ2/p2}log{z2+(m2-p2-λ2)z/p2+λ2/p2}

+{z2+(m2-p2-λ2)z/p2+λ2/p2}]01

 =(2m-)log(p2/m2)+{2m-+λ2/(2m2)}

2/(2m2)}{log(λ2/m2)-2+2(λ/m){1-λ2/(4m2)}1/2

[tan-1{(m/λ)(1+λ2/(2m2))/{1-λ2/(4m2)}1/2}

+tan-1{{(λ/(2m))/{1-λ2/(4m2)}1/2}

 -+(m2-p2-λ2)/(2p2)}{1+(m2-p2-λ2)

/(2p2)}log(m2/p2)-{(m2-p2-λ2)/(2p2)}log(λ2/p2)}

-2+2(λ/|p|){1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}1/2

[tan-1{(|p|/λ){1+(m2-p2-λ2)/(2p2)}/(1

-(m2-p2-λ2)/(2p2))1/2}

-tan-1{(m2-p2-λ2)

/(2|p|λ{1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}1/2)

 +(/2) }[-(λ2/m2)log(λ2/m2)-1+λ2/m2

-(m2/p2)log(m2/p2)+(λ2/p2)log(λ2/p2)

+m2/p2-λ2/p2]] です。

 (m2-p2)2/m2<<O(λ2)の項を無視すると,λ2/(2m2)

の項,(m2-p2-λ2)/(2p2)の項は消えます。

 2mの項は,{(m2-p2-λ2)/(2p2)}log(m2/p2)+{λ2/(2m2)}

log(λ2/m2)+{(m2-p2-λ2)/(2p2)}log(λ2/p2)

2[(λ/m){1-λ2/(4m2)}1/2

[tan-1{(m/λ)(1+λ2/(2m2))/(1-λ2/(4m2))1/2}-(λ/|p|)

{1-(m2-p2-λ2) 2/(4p2λ2)}1/2tan-1{(|p|/λ)

(1+(m2-p2-λ2)/(2p2))/(1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2))1/2}

+(λ/m){1-λ2/(4m2)}1/2[tan-1{{(λ/(2m))/(1-λ2/(4m2))1/2}

+tan-1{(m2-p2-λ2)(2|p|λ)-1}

/(1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2))1/2}] です。

 このうち,(第1項+第2項+第3項)

~{(m2-p2)/(2m2)}log(λ2/m2)  です。

 また,Arctan1=tan-1の項のうちで効くのは,m/λ,|p|/λが

入ってる項だけで,それらの絶対値は最大でもπ/2です。

 それ故,(λ/m)→ 0 のときの特異性は対数のそれに比べて,

ほとんどないに等しいものです。よって以下ではtan-1の項は

無視します。

 結局,(2m)の項は~(2m){(m2-p2)/(2m2)}log(λ2/m2)

={(m2-p2)/m}log(λ2/m2)  です。 

 一方,の係数は,

-{(m2-p2-λ2)/(2p2)}log(λ2/m2)+(1/2)log(m2/p2)

-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2)-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2)

-{m2/(2p2)-1/2+λ2/(2m2)-λ2/(2p2)-{m2/(2p2)}

log(m2/p2)+{λ2/(2p2)}log(λ2/p2)+(tan-1の項)

 
~ -{(m2-p2)/(2p2)}log(λ2/m2)+{(p2-m2)/(2p2)}

log(m2/p2)-(m2-p2)/(2p2)+λ2(p2-m2)/(2m22)

+{λ2/(2p2)}log(λ2/p2)-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2)

です。

 そして上式の第2項は,log(m2/p2)

=log{1+(m2-p2)/p2}~(m2-p2)/p2より,

{(p2-m2)/(2p2)}log(m2/p2)~-(m2-p2)2/(2m4)~ 0

です。

 第3項は(m2-p2)/(2p2)~(m2-p2)/(2m2),第4項は

λ2(p2-m2)/(2m22)~λ2(p2-m2)/(2m4) です。

 第5,6項は,

2/(2p2)}log(λ2/p2)-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2)

2/(2p2)}log(λ2/p2)-{λ2/(2p2)}log(λ2/m2)

+{λ2/(2p2)}log(λ2/m2)-{λ2/(2m2)}log(λ2/m2) です。

 これは,{λ2/(2p2)}log(m2/p2)-{λ2(m2-p2)/(2m22)}log(λ2/m2)

~λ2(m2-p2)/(2m4)-{λ2(m2-p2))/(2m4)log(λ2/m2)}で

すが,,これの第1項は丁度先の第4項と相殺して消えます。

 故にの係数は~-{(m2-p2)/(2m2)}log(λ2/m2)

+(m2-p2)/(2m2)-{λ2(m2-p2))/(2m4)log(λ2/m2)} です。

 最後の-{λ2(m2-p2))/(2m4)log(λ2/m2)}は(λ/m)~ 0

で無視できます。

 (2m)の項との項をまとめると,{(m2-p2)/m}log(λ2/m2)

-(/2){(m2-p2)/m2}log(λ2/m2)+(1/2){(m2-p2)/m2} ですが,

質量殻の近傍:~mで(m2-p2)/m2 ~-2(-m)/m

なる近似を用いると.

 ~ -2(-m)log(λ2/m2)+{(-m)/m}log(λ2/m2)-(-m)/m

~ -(-m)log(λ2/m2)-(-m)/m です。

 これに,全体の係数{α/(2π)を掛けると,(λ/m)→ 0 の特異点で

=mの近傍では,

~ -{α/(2π)}((-m)}log(λ2/m2)

=-{4α/(4π)}(-m)log(λ/m)  です。

 よって,Σ~(p)~{3αm/(4π)}log(Λ2/m2)

-{α/(4π)}(-m)[log(Λ2/m2)

-{4α/(4π)}(-m)log(λ/m)

={3αm/(4π)}log(Λ2/m2)+4log(λ/m)}

を得ます。(証明終わり)

(注7終わり)※

 途中ですが,計算が細かくて長いのでここで中断です

参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell“Relativistic Quantum Mechanics”(McGraw-Hill)

PS:老眼のせいもあって,ただの転記作業でもかなり苦労して

いるン十年前のノートの手書きの式の羅列ですが,これらは

結果の正しい教科書の最終式への当時の私的検算,あるいは

行間を埋めるプロセスです。

 結局は間違いはなかったはずなのに,単なる転記だけに満足

せず再び検算せずにはいられない性分のため,ワザワザ逆に

細かいところを間違えて転記したりで必要以上に遅滞が続く

状況です。

(↑ 困ったもんです。)

 地震その他で.私物を失なう可能性もあり,日常の日記とは別に

過去の思考体験の覚書きを遺言のようにブログに残そうと意図

してきたことは無駄ではないかも。。。

 過去の覚書きばかりではなく,現在進行中,あるいは意図して

いるものももちろんあります。

 しかし,主に眼が見えなくて判読の道具を探したりしているうち

にもいろいろと目移りして根気がそがれるせいでしょうか?

 最近は,惰性以外に普段と異なる試行は何ひとつ長続きせず,

そのうちやろうとした動機も意欲も忘れたりもする始末です。

 病院にでも入院してその他茶飯事から解放されるような環境

でないと読書さえ集中できません。

 まあ,ブログ書きは唯一集中してる方です。

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-iΣ(p)≡(-ie)^2ε0-1∫d^4k(2π)^-4[(-i)/(k^2-λ^2-iε)]γν{i/(p-k-m+iε)}γνで与えられるとします。

-iΣ(p)=(-ie)^2ε0-1∫d^4k(2π)^-4[(-i)/(k^2-λ^2-iε)]γν{i/(p-k-m+iε)}γνで与えられるとします。

投稿: 凡人 | 2013年4月28日 (日) 20時30分

/{1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}12}]01 ⇨ /{1-(m2-p2-λ2)2/(4p2λ2)}1/2}]01

投稿: hirota | 2013年4月27日 (土) 23時01分

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