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2011年5月 9日 (月)

量子電磁力学の輻射補正(8)(頂点補正-2)

 輻射補正の頂点補正;Λμ(p',p)(下図)の続きです。

 

 頂点補正:Λμ(p',p)

 ≡(-ie)2ε0-1∫d4k(2π)-4{(-i)(k2-λ2+iε)-1

 γνi('--m+iε)-1γμi(-m+iε)-1γν}

 は,

 Feynmanの積分公式:

 1/(a12..an)={1/(n-1)!}{∫0dz1dz2..dzn

 δ(1-Σii)/(Σjjj)n} を適用して切断Λを導入すると,

 次のようになります。

 

 すなわち,Λμ(p',p)

={α/(4π)}γμ{log(Λ2/m2)+O(1)}

+{α/(2π)}γμ000dz1dz2dz3

 δ(1-Σi=13i)log[{m2(1-z1) 2+λ212}

/{m2(1-z1)2+λ212-q223-iε}]

 

 -{α/(4π)}∫000dz1dz2dz3

 δ(1-Σi=13i)[γν{'(1-z2)-3+m}

γμ{(1-z3)-'z2+m}γν]

/{m2(1-z1)2+λ212-q223-iε}

です。

 

 ※(注):Λμ(p',p)=(-ie)2ε0-1

 ∫d4k(2π)-4{(-i)(k2-λ2+iε)-1γνi('--m+iε)-1

 γμi(-m+iε)-1γν}

 =-ie2ε0-1∫d4k(2π)-4f(k)

 /[(k2-λ2+iε){(p'-k)2-m2+iε}{(p-k)2-m2+iε}]

 です。

 

 ただし,f(k)≡γν('-+m)γμ(+m)γν

 です。

 

 そこで,Feynman積分公式から,{(2π)4ε0/(-ie2)}Λμ(p',p)

 =2∫000dz1dz2dz3

 δ(1-zi-z2-z3)∫d4kf(k)

 /[(k2-λ2)z1+{(p'-k)2-m2}z2+{(p-k)2-m2}z3+iε]3

 

 =2∫000dz1dz2dz3δ(1-zi-z2-z3)

∫d4f(k)

/{k2-2kp'z2-2kpz3-λ21+(p'2-m2)z2

+(p2-m2)z3+iε}3 です。

 

 ここで,l=k-p'2-pz3⇔k=l+p'z2+pz3として

積分変数kをlに置換すれば,

2=k2-2kp'z2-2kpz3+p' 222+p232+2p'pz23,

故にk2-2kp'z2-2kpz3=l2-p' 222-p232-2p'pz23

す。

 

 そして,新積分変数の文字lを改めて文字kに戻すと,

 上式の右辺

2∫000dz1dz2dz3δ(1-zi-z2-z3)

∫d4kf(k+p'z2+pz3)

/{k2+(p'2-m2)z2(1-z2)+(p2-m2)z3(1-z3)+q223

-m2(1-z1)2-λ21+iε}3 を得ます。

 

 ただし,q2≡(p'-p)2=2m2-2p'pとし,

 -m2(2z23+z22+z32)=-m2(z2+z3)2=-m2(1-z1)2

 なる式変形を行ないました。

 

 分子の陽な形は,f(k+p'z2+pz3)

 =γν{'(1-z2)-3+m}γμ

 {(1-z3)-'z2+m}γν です。

 

 以下,具体的に右辺の積分を実行します。

 

 まず,c≡-(p'2-m2)z2(1-z2)-(p2-m2)z3(1-z3)

 -q223+m2(1-z1)2+λ21と置いて4次元積分:

 -∞4{1/(k2-c+iε)3} を計算してみます。

 

 -∞4{1/(k2-c+iε)3}

=∫-∞3-∞dk0{1/(k2-c+iε)3}ですが,dk0部分

は,収束するなら∫-∞dk0{1/(k2-c+iε)3}

=(1/2)(∂2/∂c2)∫-∞dk0{1/(k2-c+iε)}

です。

 

 そして複素関数論の留数定理から,

-∞dk0{1/(k2-c+iε)}

=∫-∞dk0{1/[{k0-(||2+c)1/2+iε}

{k0+(||2+c)1/2-iε}]=(-πi)/(||2+c)1/2

を得ます。

 

 それ故,∫-∞dk0{1/(k2-c+iε)3}

=(-πi)(-1/2)(-3/2)(||2+c)-5/2

=(-3πi/8)(||2+c)-5/2です。

 

 そして,∫-∞3(||2+c)-5/2

=4π∫0dk{k2/(k2+c)5/2}

=4π[∫0dk{1/(k2+c)3/2}-c∫0dk{1/(k2+c)5/2}]

です。

 

 k≡||=1/2ρと置けば公式集から引用できて,

-∞3(||2+c)-5/2

=(4π/c)[∫0dρ{1/(ρ2+1)3/2}-∫0dρ{1/(ρ2+1)5/2}]

=(4π/c)[Γ(1)Γ(1/2)/{2Γ(3/2)}-Γ(2)Γ(1/2)/{2Γ(5/2)}]

が得られます。

 

 つまり,∫-∞3(||2+c)-5/24π/(3c)です。

 

 以上から,結局∫-∞4{1/(k2-c+iε)3}

=-iπ2/(2c) が得られました。

 

この結果と,先述のf(k+p'z2+pz3)

=γν{'(1-z2)-3+m}γμ

|(1-z3)-'z2+m}γν を用いて積分:

-∞4kf(k+p'z2+pz3)/(k2-c+iε)3

を評価します。

 

被積分関数の分子f(k+p'z2+pz3)において,"kに無関係

な項=定数項"の因子に対する積分は,上記の

-∞4{1/(k2-c+iε)3}=-iπ2/(2c)を(2π)-4

倍した値に定数項を乗じたものです。

 

また,kの1次の項に対する積分は,被積分関数全体としてkの

奇関数の寄与となるため,全k空間の積分の結果として消えます。

 

残るkの2次の項は,分子が

γνγμγν=-2γμ=-2kρσγργμγσ

で与えられますが,この項の

-∞4kf(k+p'z2+pz3)/(k2-c+iε)3への寄与は

明らかに(対数)発散します。

 

この積分については切断Λを導入して評価します。

 

そのため,まずp'2=p2=m2 とします。

 

計算の便宜上,kの2次因子に対応する部分の積分ついては

Feynman積分公式を使用せず,それを得る過程での指数関数表現

に戻ります。

 

しかも,取りあえずは1の挿入であるδ(1-zi-z2-z3)の

寄与:zi+z2+z3=1 を考慮せず

,指数部分exp{i(Σjjj+iε)}のΣjjjを元の陽な表現

に戻します。

 

すなわち,p'2=p2=m2より,

Σjjj=k2(zi+z2+z3)-2kp'z2-2kpz3

-λ21+(p’2-m2)z2+(p2-m2)z3+iε

=k2(zi+z2+z3)-2kp'z2-2kpz3-λ21+iε

です。

 

ここで,l=k-(p'z2+pz3)/(zi+z2+z3)として

積分変数をkからlに置換すると,

Σjjj=l2(zi+z2+z3)-{m2(z22+z32)

+2p'pz23}/(zi+z2+z3)-λ21+iε

2(zi+z2+z3)-{m2(z2+z3)2-q223}

/(zi+z2+z3)-λ21+iε です。

 

再び,積分変数記号lを改めて記号kに戻します。

 

そして,先の公式:(1)∫d4k(2π)-4exp{ik2(a+iε)

=(16π2ia2)-1,(2)∫d4k(2π)-4μexp{ik2(a+iε)}

=0 ,  (3)∫d4k(2π)-4μνexp{ik2(a+iε)}

=(32π23)-1μν を用います。

 

すると,ε0Λμ(p',p)/e2のkの2次の項は,

000dz1dz2dz3

∫d4(2π)-4[(-2kρσγργμγσ)exp{i(Σjjj+iε)}

000dz1dz2dz3

(8π2)-1γμ(zi+z2+z3)-3exp[-i{m2(z2+z3)2+q223}

/(zi+z2+z3)+λ21-iε] となります。

 

右辺は,1=∫0dγγ-1δ(1-(zi+z2+z3)/γ)の挿入

により0dγγ-1000dz1dz2dz3

(8π2)-1γμ(zi+z2+z3)-3

δ(1-(zi+z2+z3)/γ)exp[-i{m2(z2+z3)2-q223}

/(zi+z2+z3)+λ21-iε] と書けます。

 

これは,zj→γzj(j=1,2,3)の置換(scale変換)によって,

 

0dγγ-1000dz1dz2dz3

(2)-1γμ(zi+z2+z3)-3δ(1-zi-z2-z3)

exp[-iγ{m2(z2+z3)2-q223}

/(zi+z2+z3)+λ21-iε]

 

={γμ/(8π2)}∫01dz101-z1dz2

0dγγ-1 exp[-iγ{m2(1-z1)2-q223+λ21-iε}

となります。

 

ただし,最後の式ではz3=1-zi-z2です。

 

この段階で,切断として上式でΣjjjの光子質量の平方:λ2

をΛ2で置き換えたもの:Σjjjとして

2(zi+z2+z3)2-{m2(z2+z3)2-q223}/(zi+z2+z3)

-Λ21+iε としたものを,元の上式から引いて計算結果を

有限化する手続きを行います。

(※こうした有限化の手続きを正則化(regulation)と呼びます。)

すると,与式は

{γμ/(8π2)}∫01dz101-z1dz2

0dγγ-1(exp[-iγ{m2(1-z1)2-q223+λ21-iε}]

-exp[-iγ{m2(1-z1)2-q223+Λ21-iε}]

となります。

以前に用いた恒等式:0dxx-1{exp(iax)-exp(ibx)}

=log|b/a| (if |a+b|/2>(a-b)/2) を用いると,


 与式={γμ/(8π2)}∫01dz1

01-z1dz2log({Λ21+m2(1-z1)2-q223}2

/[m2(1-z1)2+λ21-q223])

 ={γμ/(16π2)}log(Λ2/m2)

+{γμ/(8π2)}∫01dz1

01-z1dz2log([m21+m2{m2(1-z1)2-q223-iε}/Λ2}

/{m2(1-z1)2+λ21})

+{γμ/(8π2)}∫000dz1dz2dz3δ(1-Σii)

log[{m2(1-z1)2+λ21}/{m2(1-z1)2-q223-iε}]

です。

 
故に,これのΛμ(p',p)への寄与は,e20=4πα倍して

{α/(4π)}γμ{log(Λ2/m2)+O(1)}

+{α/(2π)}γμ000dz1dz2dz3

δ(1-Σii)log[{m2(1-z1)2+λ21}

/{m2(1-z1)2-q223-iε}] ① です。

 
また,f(k+p'z2+pz3)

=γν{'(1-z2)-3+m}γμ

|(1-z3)-'z2+m}γνの定数項からのΛμ(p',p)

への寄与はFeynman積分によって次のようになります。

 すなわち,(-ie20-1(-iπ2/2)(2π)-42∫000

dz1dz2dz3δ(1-Σii)[γν

{'(1-z2)-3+m}γμ{(1-z3)-'z2+m}γν

/(c-iε)] です。

 
これは,c=-(p'2-m2)z2(1-z2)

-(p2-m2)z3(1-z3)-q223+m2(1-z1)2+λ21

=m2(1-z1)2+λ21-q223 により,

 
-{α/(4π)}∫000dz1dz2dz3δ(1-Σii)

ν{'(1-z2)-3+m}γμ{(1-z3)-'z2+m}

γν/{m2(1-z1)2+λ21-q223-iε}]  ②

と書けます。

 
そして,Λμ(p',p)=①+②です。(注終わり)※

 短いですが,計算チェックに疲れたのでまたまた休憩です。

 
参考文献: J.D.Bjorken & S.D.Drell

"Relativistic Quantum Mechanics"(McGraw-Hill)

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コメント

δ(1-zi-z2-z3) ⇨ δ(1-z1-z2-z3)
|p(1-z3)-k-p'z2+m} ⇨ {p(1-z3)-k-p'z2+m}
zi+z2+z3 ⇨ z1+z2+z3
-z1)2-q2z2z3}/2[m2(1-z1)2+λ2z1-q2z2z3]) ⇨ -z1)2-q2z2z3}/[m2(1-z1)2+λ2z1-q2z2z3])

投稿: hirota | 2013年5月 7日 (火) 22時57分

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