輻射補正の頂点補正:Λμ(p',p)(下図)の続きです。
まず,入院等のため,時間的ブランクがあったので前記事の
最後を要約します。
まず,γμ+Λcμ(p',p)
~ γμ[1+{α/(3π)}(q2/m2){log(m/λ)-3/8}]
+{α/(8πm)}[q,γμ](N.R),
or γμ+Λcμ(p',p)
~ γμ[1-(α/π)log(m/λ){log(-q2/m2)-1
+O(|m2/q2|)}]](E.R)という頂点の輻射補正から,
弾性散乱のe2のオーダーまでの赤外発散部分は,
(dσ/dΩ)λ=(dσ/dΩ)0{1-(2α/π)log(λ/m)χ(q2)}
と書けます。軟らかい(k~0の)仮想光子による寄与です。
ここで,(dσ/dΩ)0は.弾性散乱断面積の最低次の寄与です。
他方,2010年7/26の記事「散乱の伝播関数の理論(17)(応用3-2)」
から,制動輻射,つまり同じ状況での実光子(=輻射)を伴なう
非弾性散乱の断面積は,
(dσ/dΩ)brem=(dσ/dΩ)0(2α/π)log(kmax/kmin)χ(q2)
で与えられます。
χ(q2)は,
-q2/m2<<1(N.R)では,χ(q2)≡-(1/3)(q2/m2),
-q2/m2>>1(E.R)では,χ(q2)≡log(-q2/m2)
と定義される量です。
これら2種の式を加えると,双方の発散が相殺してト-タル
で有限になることを示したいのです。
しかし,これらの式は一方は光子が有限な正の微小質量:λ>0
を持つという仮定,他方はエネルギー or 波数kに下限:kminが
存在するという仮定に基づいた,異なる低振動数切断(cutoff)
の手法の結果で得られたものですから,単純に加えることは
できません。
こ の問題点を克服するための処方として,
1.制動輻射の断面積を有限質量:λの光子で再導出するか?,.
2.頂点部分の輻射補正の方でkminより小さいエネルギーの
仮想光子が禁止されると仮定して再計算するか?
のいずれかを選択できます。
ところで,λ>0 の質量:λがあるときにはゼロ質量
では存在し得ない縦波の実光子が出現するという複雑
な問題が生じます。
そこで,ここではこれを避けるため後者2の方法を選択します。
しかし,光子の波数切断:kminの導入は非共変的手続きなので,
頂点の赤外補正への"くりこみ(紫外発散)"部分の効果を確認
するのは,とても繊細(delicate)な作業となります。
実は,このことが,元の頂点補正の計算で低振動数の切断を
共変的なスカラーである質量:λによって行なった主な理由
です。
さて,以下では,結局,λ~ 0,かつkmin~ 0 の極限を考えるの
ですが,ここでは数式化を簡単にするため,その中でも特に
相対的大きさとして,kmin>>λという選択をします。
この選択は,頂点補正:
Λμ(p',p)≡(-ie)2ε0-1∫d4k(2π)-4
{(-i)(k2-λ2+iε)-1γνi(p'-k-m+iε)-1
γμi(p-k-m+iε)-1γν} のd4k積分において,
k<kminの振幅を禁止して.∫kmin∞d4kとすることを
意味します。
これは,結局,頂点補正の計算において,光子の伝播関数
(photon propagator)因子の積分表示:
iDF(x-y;λ)
=∫d4k(-i) exp{-ik(x―y)}/(k2-λ2+iε)の
積分区間を∫d4k→∫kmin∞d4kと修正することに帰着
します。
微小質量:λがあるとした光子伝播関数は,
DF(x-y;λ)=-∫d4k(2π)-4exp{-ik(x-y)}
/(k2-λ2+iε)
=-∫d3k(2π)-3exp{ik(x-y)}
∫-∞∞dk0(2π)-1exp{-ik0(x0-y0)}
/[{k0-(k2+λ2)1/2+iε}{k0+(k2+λ2)1/2-iε}]
です。
まず,k0積分部分:∫-∞∞dk0(2π)-1exp{-ik0(x0-y0)}
/[{k0-ωk+iε}{k0+ωk-iε}] (ωk≡(k2+λ2)1/2}
の具体的計算を行ないます。
これを実行するため,k0を複素数とした複素k0平面上で
実軸(-R,R)に半径Rの半円を加えた外周C上の積分:
∫Cdk0を考え,これがR→∞の極限で∫-∞∞dk0に帰着
できるようにすることを考えます。
k0=Rexp(iφ)=Rcosφ+iRsinφですから,
exp{-ik0(x0-y0)}=exp{-iRcosφ(x0-y0)}
exp{Rsinφ(x0-y0)} です。
そこで,x0-y0>0の場合には,区間(-R,R)の実軸
を通った後に,原点を中心とする半径Rの右回り:φ:0→-π
の下半円周を加えたものを積分経路:Cとします。
こうすれば,R→+∞でRsinφ(x0-y0) → -∞より,
実軸を除く下半円周上では,exp{-ik0(x0-y0)}
/[{k0-ωk+iε}{k0+ωk-iε}] の積分は消えます。
このとき,閉曲線C内の極(pole)はωk-iεのみで,
右回り積分の留数(residue)は,
(-2πi)exp{-iωk(x0-y0)}/(2ωk) です。
一方,x0-y0<0 の場合は,まず,原点中心で半径Rの
左回り:φ:0→πの上半円周を通り,それから区間
(-R,R)の実軸を通る路を積分経路Cとすれば,
やはり,R→+∞で上半円周上の積分は消えます。
今度は閉曲線C内の極は-ωk+iεのみで,左回り積分
の留数は(2πi)exp{iωk(x0-y0)}/(-2ωk) です。
したがって,Cauchyの積分の留数定理により,いずれの場合
でも, ∫-∞∞dk0(2π)-1exp{-ik0(x0-y0)}
/[{k0-ωk+iε}{k0+ωk-iε}]
=(-i)exp{-iωk|x0-y0|}/(2ωk) となります。
そこで,結局,DF(x-y;λ)
=i∫d3k(2π)-3exp{ik(x-y)-i(k2+λ2)1/2|x0-y0|}
/{2(k2+λ2)1/2} です。
この,DF(x-y;λ)をk<kminつまり|k|<kminの領域を
切断して,DF(x-y;kmin)
=DF(x-y;λ)-i∫|k|<kmind3k(2π)-3
exp{ik(x-y)-i(k2+λ2)1/2|x0-y0|}/|}/{2(k2+λ2)1/2}
とします。
さらには,kmin>>λの仮定の下でλを無視して,
DF(x-y;kmin)=i∫|k|≧kmind3k(2π)-3
exp{ik(x-y)-I|k|x0-y0|}/|}/{2|k|}
とします。
DF(x-y;λ)-DF(x-y;kmin)
~ -i∫|k|<kmind3k(2π)-3
exp{ik(x―y)-i(k2+λ2)1/2|x0-y0|}/|}/{2(k2+λ2)1/2}
=∫|k|<kmind4k(2π)-4exp{-ik(x-y)}/(k2-λ2+iε)
です。
この切断による頂点部分の差を,
δΛμ(p',p)≡Λμ(p',p;λ)-Λμ(p',p;kmin)
=-ie2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3
∫dk0(2π)-1γν(p'-k+m)γμ(p-k+m)γν
/[(k2-λ2+iε){(p'-k)2-m2+iε}]{(p-k)2-m2+iε}]
と定義します。
これを具体的に計算するため,まず複素k0平面上に外周Cを
与えてk0外周積分∫Cdk0を実行します。..Pending
δΛμ(p',p)
=-e2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3
γν(p'-k+m)γμ(p-k+m)γν
/{2(k2+λ2)1/2(2kp)(2kp')}
=-e2ε0-1γμ∫|k|<kmind3k(2π)-3(pp')
/{2(k2+λ2)1/2(kp)(kp')} となります。
ただし,δΛμが電子の自由スピノルに挟まれると想定
しています。
※(注1):u~(p')δΛμ(p',p)u(p)を想定しているので
u~(p')(p'-m)=0,(p-m)u(p)=0 より,δΛμの
左端にp'があればこのp'をmと同一視し,右端にpが
あればこのpもmと同一視します。
また,公式:γνaγν=-2a,γνabγν=4ab,
γνabcγν=-2cba,および,
aγμa=2aμa-γμaa=-aγμaより,
aγμa=0 を活用します。
すると,γν(p'-k+m)γμ(p-k+m)γν
=-2(p-k)γμ(p'-k)-2m2γμ+4m(p'μ-kμ)
+4m(pμ-kμ)
=-2pγμp'-2m2γμ+4mp'μ+4mpμ+2pγμk
+2kγμp'-8mkμ です。
ところが,pγμp'=2pμp'-γμpp'
= 2pμp'-2γμpp'+γμp'p
=2pμp'-2γμpp'+ 2p'μp-p'γμp です。
よって,-2pγμp'
~ 4γμpp'-4mpμ-4mp'μ+2m2γμ①
と同定されます。
さらに,pγμk=2pμk-γμkp
=2pμk-2γμkp+kγμp
~ 2pμk-2γμkp+mkγμ です。
また,kγμp'=2kμp'-γμp'k
=2kμp'-2γμp'k+p'γμk
~ 2mkμ-2γμp'k+mγμkですから,
kγμ+γμk=2kμより,
2pγμk+2kγμp'
~-4γμkp-4γμkp'+4pμk+8mkμ② です。
故に,γν(p'-k+m)γμ(p-k+m)γν
=(4γμpp'-4mpμ-4mp'μ+2m2γμ)
-2m2γμ+4mp'μ+4mpμ+(-4γμkp
-4γμkp'+4pμk+8mkμ)
=4γμ(pp'-kp-kp')+4pμk です。
結局は,kmin→ 0 の極限を考えるのですが,被積分関数分母
の2(k2+λ2)1/2(2kp)(2kp')では,|k|<kminの積分領域
でkを無視することはできません。
しかし,分子ではpやp'に比べてk~ 0 としてkを無視できます。
故に,γν(p'-k+m)γμ(p-k+m)γν~ 4γμ(pp')
となります。 (注1終わり)※
ここで,赤外発散補正への紫外発散のくりこみ操作:
Λμ→Λcμの影響としてδΛμ→δΛcμを考えると,前に述べた
ようにとても繊細です。
それはkminによる光子の切断が非共変操作であるからです。
ただし,Ward identity:Λμ(p,p)=-∂Σ(p)/∂pμは,
なお正しいので,自己エネルギー部分が正しく含まれている
なら"Λμのくりこみは必要ない"という前の結論:Z1=Z2を
使用できるはずです。
ところが,光子の伝播関数が変化すると電子自己エネルギー:
Σ(p)も変化します。
実際,この変化は,δΣ(p)=Σ(p,λ)-Σ(p,kmin)
=-ie2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3
∫dk0(2π)-1(k2-λ2+iε)-1{γμ(p-k-m+iε)-1γμ}
で与えられます。
これは,(p2-m2)のオーダーまで計算する必要があります。
というのは,ここではくりこみ定数Z2に対する修正のみが要求
されているからです。今の赤外発散の考察では,紫外発散に必要
な質量補正:δmは必要ありません。
具体的には,頂点部分:δΛμ(p',p)の計算同様,まずk0に
わたる積分:∫dk0を実行すると,(p2-m2)の1次のオーダー
までで次式を得ます。
δΣ(p)=-e2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3
{γμ(p+m)γμ}/[2(k2+λ2)1/2{λ2-2(kp)+(p2-m2)}]
=e2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3{γμ(p+m)γμ}(p2-m2)
/[2(k2+λ2)1/2{λ2-2(kp)}2]+O((p2-m2)2)+O(kmin)
~ e2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3m2(p-m)
/[2(k2+λ2)1/2(kp)2] です。
(O(kmin)はδmの変化を無視できるよう調節する量です。)
※(注2):まず,δΣ(p)=-e2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3
{γμ(p+m)γμ}/[2(k2+λ2)1/2{λ2-2(kp)+(p2-m2)}]
=-e2ε0-1∫|k|<kkmind3k(2π)-3{γμ(p+m)γμ}
[1-(p2-m2){λ2-2(kp)}-1]/[2(k2+λ2)1/2{λ2-2(kp)}]
+O((p2-m2)2) です。
そして,∫|k|<kkmind3k(2π)-3{γμ(p+m)γμ}
/[2(k2+λ2)1/2{λ2-2(kp)}
~ ∫|k|<kmind3k(2π)-3(-2p+4m)}/[2(k2+λ2)1/2
{-2(k2+λ2)1/2p0+2kp}
~ (1/2)∫|k|<kmind3k(2π)-3(p-2m)
/[(k2+λ2)1/2{(k2+λ2)1/2p0-kp}
=(1/2))∫|k|<kmind4k(2π)-4(p-2m)
/{(k2-λ2+iε)1/2(kp)} ~ 0 です。
何故なら,最後の積分はkの奇関数の積分であるからです。
故に,δΣ(p)
~e2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3(p2-m2)γμ(p+m)γμ
/[2(k2+λ2)1/2{λ2-2(kp)}2]で す。
そうして,(p2-m2)γμ(p+m)γμ
=(p-m)(p+m)γμ(p+m)γμ
=(p-m)(p+m)(-2p+4m)~4m2(p-m)であり
{λ2-2(kp)}2(~4(kp)2 です。(注2終わり)※
光子伝播関数の修正による頂点の完全な変動δΛcμ(p',p)
は次のようになります。
すなわち,δΛcμ(p',p)=δΛμ(p',p)+(1/2)δΣ(p')
{1/(p'-m)}γμ+(1/2)γμ{1/(p-m)}δΣ(p)
=-γμe2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3[1/{2(k2+λ2)1/2}]
[(pp')/{(pk)(p'k)}-m2/{2(pk)2}
-m2/{2(p'k)2}] です。
ここでは,図8.10(c),(d)の自己エネルギー部分で半分の寄与
だけを取るという規約を思い起こす必要があります。
これは,内線に比べて外線の波動関数が因子:
Z21/2 ~ 1+(1/2)(Z2-1) で補正されるからです。
※(注3):赤外補正のトータルの頂点部分への寄与はδΛμに
下のグラフ(c),(d)で示される2つの外線のそれぞれの破線
と×の総和である自己エネルギーの補正:δΣの寄与を加えた
もので与えられます。
すなわち,(-ie)δΛcμ(p',p)
=(-ie)δΛμ(p',p)+(1/2)δΣ(p'){1
/(p'-m)})(-ieγμ)
+(1/2))(-ieγμ){1/(p-m)}δΣ(p)です。
(注3終わり)※
したがって.δΛcμをまず非相対論的極限(N.R):
|q2/m2|<<1で評価すると,
δΛcμ(p',p)
~ γμ{α/(3π)}(q2/m2){log(2kmin/λ)-5/6}
となります。
※(注4):弾性散乱の場合,E=E',|p|=|p'|で,
q2=(p'-p)2<<m2より,
(pp')/{(pk)(p'k)}-m2/{2(pk)2}-m2/{2(p'k)2}
=-(1/2){p'/(p'k)-p/(pk)}2 です。
また,k0=k0=ωk=(k2+λ2)1/2です。そして.
pk~ mk0,p'=p+q,q2=0 です。
故に,p'/(p'k)-p/(pk)
=(p+q)/(pk+qk)-p/(pk)
~ [(p+q){1-qk/(pk)}-p]/(pk)
~ q/(pk)-p(qk)/(pk)2 です。
それ故,-(1/2){p'/(p'k)-p/(pk)}2
=-(1/2){q2/(pk)2-2(pq)(qk)/(pk)3
+p2(qk)2/(pk)4} です。
ところが,pq=-pq~|q|2<<m2より,右辺の{}内
の真ん中の項:-2(pq)(qk)/(pk)3は無視できます。
結局,(pp')/{(pk)(p'k)}-m2/{2(pk)2}
-m2/{2(p'k)2}-(1/2){p'/(p'k)-p/(pk)}2
~ -(1/2){-q2/(m2k02)+(qk)2/(m2k04)} です。
したがって,δΛcμ(p',p;kmin)
=δΛμ(p',p)+(1/2)δΣ(p'){1
/(p'-m)}γμ+(1/2)γμ{1/(p-m)}δΣ(p)
=(1/2)γμe2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3[1/{2(k2+λ2)1/2}]
{-q2/(m2k02)+(qk)2/(m2k04)}
=(1/2)γμe2ε0-1∫|k|<kmind3k(2π)-3
[1/{2(k2+λ2)1/2}]{q2/(m2k02)}(k2cos2θ/k02-1),
d3k=|k|2d|k|dΩですからdΩ=d(cosθ)dφ積分
を実行すると,∫dΩ=4π,
∫cos2θdΩ=2π∫-11cos2θd(cosθ)=4π/3より,
∫dΩ[1/{2(k2+λ2)1/2}]{q2/(m2k02)}(k2cos2θ/3k02-1)
={2πq2/(m2k02)}{k2/(3k02)-1}/(k2+λ2)1/2 です。
k0=k0=(k2+λ2)1/2ですから,|k|をkと書いて
δΛcμ(p',p;kmin)
~ γμ(4πα){-q2/(8π2m2)}∫0kmin{k2/(k2+λ2)3/2}
[1-k2/(3(k2+λ2)}dk ~ γμ{α/(2π)}(q2/m2)∫0kmin
{k2/(k2+λ2)3/2}[1-k2/(3(k2+λ2)}dkです。
さらに,∫0kmin{k2/(k2+λ2)3/2}dk
=[-k/(k2+λ2)1/2+log|k+(k2+λ2)1/2|]0kmin
=-kmin/(kmin2+λ2)1/2+log{|kmin+(kmin2+λ2)1/2|/λ}
~ -1+log(2kmin/λ),
∫0kmin{k4/(k2+λ2)5/2}dk
=[-k/(k2+λ2)1/2-(1/3)k3/(k2+λ2)3/2
+log|k+(k2+λ2)1/2|]0kmin
=-kmin/(kmin2+λ2)1/2-(1/3)kmin3/(kmin2+λ2)3/2
+log{|kmin+(kmin2+λ2)1/2|/λ}~-4/3+log(2kmin/λ),
それ故,∫0kmin{k2/(k2+λ2)3/2}[1-k2/(3(k2+λ2)}dk
~ (2/3){log(2kmin/λ)-5/6) です。
以上から,非相対論的極限(N.R)では,
δΛcμ(p',p)
~ γμ{α/(3π)}(q2/m2){log(2kmin/λ)-5/6}
を得ます。 (注4終わり)※
Λcμ(p',p;λ)
~ γμ{α/(3π)}(q2/m2){log(m/λ)-3/8}
+{α/(4πm)}iσμνqνでしたから,
Λcμ(p',p;kmin)=Λcμ(p',p;λ)-δΛcμ(p',p)
により,
Λcμ(p',p;kmin) ~ {α/(2π)}{iσμνqν/(2m)}
+γμ{α/(3π)}(q2/m2)[log{m/(2kmin)}+5/6-3/8]
を得ます。
このシリーズでは,途中何度もPendingをしていて,もしも
読者がおられるなら見苦しくて申し訳ないのですが,正確を
期して真面目に過去にやった計算をチェックしているので
遅々として進まないのです。
ここら辺の計算は何度見ても複雑で地道に行なうと難儀
します。
1940年後半当時,Feynman etc.のように鋭利な頭脳を持つ
人でも微妙な計算間違いをしたとしても不思議でないかも
知れません。
今日はこれで終わります。次回はこの続きとして,まず,
超相対論的ケース(E.R)でのΛcμ(p',p;kmin)の
評価からです。
参考文献:J.D.Bjorken & S.D.Drell
“Relativistic Quantum Mechanics”(McGrawHill)
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