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2011年7月 9日 (土)

指数関数,三角関数の構成的定義

 T_NAKAさんのブログ「T_NAKAの阿房ブログ」の最近のEulerの公式関連の記事に刺激されたこともありますが,

  

 ここのところ,私の科学記事は物理学それも素粒子論の「量子電磁力学のくりこみの具体的計算」と,かなり偏ってきているので,数学,それも19世紀の解析学(analysis)で息抜き?をします。

 

 手抜き(=息抜き?)をして40年くらい前の大学3~4年の頃の化石的ノートからです。

 

 種本はもうボロボロになったW.Rudinの"Principles of Mathematical Analysis"(McGrawHill)のReprint版です。

 

 当時は"学生運動部,暴力学生科"に属していたこともあり,物理学科3年生で必修2科目=たった4単位足りなくて留年となりました。

 

 この2回目の3年生のときは,物理は2科目とヒマなので数学科にもぐりこんで講義を受けましたが,そのときの教科書がこれです。

 

 これ,後に邦訳で「現代解析学」として出版されています。

 

(↑このときの数学科の講義を受けた1年間は,後で非常に役に立っています。昔から転んでもタダでは起きないので。。。)

 

 さて,この項では複素関数論の知見を極力用いずに,単に実数体での議論を複素数体に拡張した話として論じます。

 

 そこで,ほとんどはに,z∈をx∈に読み替えても成立する話です。

 

[補助定理](級数論から):Rをある非負の実数とし,級数Σn=0nn (z∈)が|z|<Rに対して収束するとき,

 

 f(z)≡Σn=0nnとおけば,∀0<ε<Rに対して,上記級数は{z∈:|z|≦R-ε}で一様収束する。

 

 また,f(z)は{z∈:|z|<R}において連続かつ微分可能であってf'(z)≡df/dz=Σn=1ncnn-1 である。

 

(証明):Rより小さい実数ε>0 が任意に与えられたとします。

  

 |z|≦R-εなら|cnn|≦|cn(R-ε)n|であり仮定によってΣn=0n(R-ε)nは収束します。

  

 故に優級数の法則によりΣn=0nnは{z∈:|z|≦R-ε}で絶対かつ一様収束します。

  

 一方,limn→∞1/n=1なのでlimsup(n|cn|)1/n=limsup(|cn|)1/n=1/Rです。

  

 したがって,Σn=1ncnn-1 も{z∈:|z|≦R-ε}で絶対かつ一様収束します。

 

 sn(z)=Σk=0nkkとおけば,これは明らかに{z∈:|z|≦R-ε}で連続かつ微分可能です。

  

 f(z)=limn→∞n(z)が一様収束なので,f(z)は{z∈:|z|≦R-ε}で連続です。

   

 また,sn'(z)=Σk=1nkckk-1であり,これは{z∈:|z|≦R-ε}で連続です。

  

 この領域でsn(z)がsn(z)→f(z)と各点収束し,sn'(z)→g(z)と一様収束するなら,f'(z)=g(z)=limn→∞n'(z)=Σn=1ncnn-1 でありg(z)=f'(z)は連続です。(証明終わり)

  

(※(注0):優級数の法則というのは,実数の空間が絶対値をノルムとして完備なノルム空間,すなわち数列(点列)のCauchy列が収束するなら列も収束する空間なので,

 

 |an|≦|bn|(bnがanの優級数)でΣnnが収束するなら,|Σn=mn|≦|Σn=mn|→0 より,Σnnも収束するという法則です。※)

  

[定義1](指数関数):複素数体の上の関数E(z)を右辺の級数が収束するなら,E(z)≡Σn=0n(z)=Σn=0n/n!で定義する。(un(z)≡zn/n!)

 

[Eの性質]:∀z∈について,{|z|n+1/(n+1)!}/(|z|n/n!)=|z|/(n+1)→ 0 as n→∞ なので,

 

 十分大きいnに対し,limsup|un+1(z)/un(z)|<1です。

 

 故に,Σn=0n=Σn=0n/n!は∀z∈に対して絶対収束して有限確定値を取ります。

 

 定義式の級数の収束半径は∞であり,絶対かつ一様に収束します。

 

 絶対収束する級数の掛け算則によれば,

 

 (z)E(w)=(Σn=0n/n!)(Σm=0m/m!)

=Σn=0(1/n!)Σk=0n [nk=0nkn-k]=Σn=0(z+w)n/n!です。

 

 故に,∀z,w∈に対しE(z+w)=E(z)E(w)が成立します。

 

 これから,E(z)E(-z)=E(0)=1です。

  

 このことから,また,∀z∈についてE(z)≠0 です。

  

 そして,特にx∈ならE(x)=Σn=0n/n!ですが,右辺の級数はx>0 なら正ですからE(x)>0 です。

   

 そこで,E(x)E(-x)=E(0)=1より,E(-x)=1/E(x)>0 ですから,結局∀x∈についてE(x)>0 です。

  

 定義によって,x→+∞に対してE(x)>1+x→+∞ですからE(x)=1/E(-x)よりx→-∞に対してE(x)→0 です。

  

 x>0のとき,E(x)=Σn=0n/n!の右辺各項は1を除いて全て単調増加するので,0<x<yならE(x)<E(y)です。故に,0<x<yならE(-x)>E(-y)です。

  

[定理1]:微分係数:E'(z)は常に存在してE'(z)=E(z)である。

  

(証明):{E(z+h)-E(z)}/h={E(z)E(h)-E(z)}/h=E(z)[{E(h)-1}/h]です。

  

 ところが,{E(h)-1}/h=Σn=1n-1/n!=1+h/2!+h2/3!+..ですから,limh→0[{E(h)-1}/h]=1=E'(0)です。

    

 故に,E'(z)=limh→0{E(z+h)-E(z)}/h=E(z)imh→0[{E(h)-1}/h]=E(z)です。(証明終わり)

  

 E(z+w)=E(z)E(w)から,帰納法によってE(z1+z2+..+zn)=E(z1)E(z2)..E(zn)です。

 

 特に,z1=z2=..=zn=zならE(nz)={E(z)}nです。

  

さらに,E(nz)={E(z)}nにおいて,z=1とおけばE(n)={E(1)}nを得ます。

  

 ところが,数eの定義から,E(1)=Σn=1(1/n!)=1+1+1/2!+1/3!+..=eですから,結局,nが自然数ならE(n)=enです。

  

 そしてE(-n)=1/E(n)ですから,E(-n)=1/en =e-nであり,またE(0)=1=e0です。

  

 結局nが整数ならE(n)=enという結論を得ます。

  

(注1):実数(超越数)eの定義は,このRudinのテキストではe≡Σn=1(1/n!)ですが,テキストによってはe≡limn→∞(1+1/n)nが定義です。

  

 私も高校では後者の定義を習いました。

 

 これらの定義が等価であることを示すために,数列{sn},{tn}をそれぞれsn≡Σk=1n(1/k!),tn≡(1+1/n)nとおきます。

  

n≡Σk=1n(1/k!)は,陽な外延的表現ではsn1+1+1/2!+1/3!+..+1/n!です。

  

他方,二項定理によりtn=Σk=0n nk(1/nk)=Σk=0n{1/(nkk!)}n(n-1)(n-2)..(n-k+1)

   

=Σk=0n[(1-1/n)(1-2/n)..{1-(k-1)/n}/k!]

 

=1+1+(1-1/n)/2!+(1-1/n)(1-2/n)/3!+//+[(1-1/n)(1-2/n)..{1-(n-1)/n}/n!です。

  

 故に,tn≦snですからlimsuptn≦limsupsnです。

 

 一方,n≧mなら

 

n1+1+(1-1/n)/2!+..+[(1-1/n)(1-2/n)..{1-(n-1)/n}/n! ≧1+1+(1-1/n)/2!+..+[(1-1/n)(1-2/n)..{1-(m-1)/n}/m!です。

  

 この式の右辺でmを固定して,n→∞の極限を取ると,

 

 liminftn≧1+1+1/2!+..+l/m!=smを得ます。

  

 よって,m→∞としてliminftn≧liminfsnが得られます。

 

nは収束することがわかっており,そこでlimsupsn=liminfsn=limn→∞nです。

  

そこで,e≡1+1+1/2!+1/3!+..=limsnという定義からは,

  

e=limsupsn=liminfsnですから,e≦liminftn≦limsuptn≦eとなりlimsupsn=liminfsn=eとなります。

  

したがって,limn→∞n=limn→∞(1+1/n)n=eであり,両者の定義は一致します。(注1終わり)※

  

 次に,pを正の有理数としてp=n/mとします。

 

 n,mは自然数です。

  

 有理数体を,整数環を,自然数(正整数全体)をとする慣例記法を採用すれば,p=n/m∈,(p>0),n,m∈です。

  

 このとき,{E(p)}m=E(mp)=E(n)=enです。

  

よって,p∈,p>0ならE(p)=en/m=epです。

  

(-p)=1/E(p)よりE(-p)=e-pですから,結局,∀p∈に対してもE(p)=epを得ます。

  

 ところで,a>1なるa∈と∀x∈に対しては,a=supapが成立します。

  

 apの上限:supapとはsup{ap:p∈,p<x}を意味します。

  

そこでx∈についてもexsup{ep:p∈,p<x}です。

  

関数E(x)の連続性と単調性とE(p)=ep (p∈)から,∀x∈に対してE(x)=ex=exp(x)を得ます。

  

後は,一致の定理,または解析接続によって,

  

∀z∈に対してE(z)=ez=exp(z)を得ます。

  

ただし,複素関数論の詳細についてはここでは言及しません。

 

以下では,E(z)をez,またはexp(z)と書きます。

  

それ故,ez=exp(z)=Σn=0n/n!です。

  

 さて,x∈のときの指数関数exp(x)=Σn=0n/n!の性質を列挙しておきます。

   

[定理2]:   

(a)関数exp(x)はの上で連続で微分可能である。 

(b){exp(x)}'=exp(x) 

(c)関数exp(x)はの上で単調増加連続である。

   

(d)exp(x+y)=exp(x)exp(y) 

(e)limx→∞exp(x)=∞,limx→-∞exp(x)=0 

(f)limx→∞{xnexp(-x)}=0 (n∈J)

 

 (f)以外は,ほぼ自明なので(f)のみの証明を与えておきます。

 

((f)の証明):x>0なら,exp(x)>xn+1/(n+1)!⇔ exp(-x)<(n+1)!/xn+1です。

  

故に,0<xnexp(-x)<n+1)!/xなので,

limx→∞nexp(-x)=0です。(証明終わり)

  

[定義2](対数関数):EはRの上で厳密に単調増加で微分可能なので,やはり厳密に単調増加で微分可能な逆関数Lを持ちます。

  

 すなわち,E(L(y))=y(y>0),あるいは同じことですがL(E(x))=xです。

  

 つまり,L(y)はE(x)=yなるxで定義されます。

  

[Lの性質]:

  

 E(L(y))=yの両辺をyで微分すると,

 

 E'(x)=dE(x)/dx=E(x)なので,合成関数の微分則(chain-rule)によりE(L(y))L'(y)=1です。

  

 すなわち,yL'(y)=1なのでLの微分係数はL'(y)=dL(y)/dy=1/yです。

    

 また,L(E(x))=xよりL(E(0))=0,つまりL(1)=0 です。

   

 それ故,微分の逆演算としての積分法の基本定理により,

 L(y)=∫1yL'(x)dx=∫(1/x)dxです。1y

   

 次に,u=E(x),v=E(y)と書けば,L(uv)=L(E(x)E(y))=L(E(x+y))=x+yです。

  

 x=L(u),y=L(v)ですから,L(uv)=L(u)+L(v)(u,v>0)が成立します。

  

 L(x)はE(x)=exp(x)の逆関数ですから,通常L(x)をlogxと書き,xの対数関数と呼びます。

  

 さて,対数関数の他の性質ですが,[定理2](e)のlimx→∞exp(x)=∞,limx→-∞exp(x)=0 ,および関数E,Lの単調性から,

  

 y=E(x)→∞とx=L(y)→∞は同値,またy=E(x)→0 とx=L(y)→-∞は同値です。

  

 そこで,x→∞に対しlogx→∞,x→0 に対しlogx→-∞です。

  

 また,x>0 としてE(nL(x))={E(L(x))}n=xnです。

  

 これはn∈の場合ですが,同じくx>0,m∈として,

   

 E(L(x)/m)=x1/mです。何故なら,両辺をm乗するとE(L(x))=xとなるからです。

   

 よってx>0 なら∀p∈に対してxp=E(pL(x))=exp(plogx)=eplogxですから,

  

 ∀α∈に対して,

  

 xα≡E(αL(x))=exp(αlogx)=eαlogx

 でx(x>0)のα乗:xαを定義します。

 

(※余談ですが,x>0でなかったり複素数x=zなら,logxは一般に一価でなく多価です。

 

 つまり,通常の意味では関数でさえないのでxαも多価で,一意的定義にはなりません。まあ,(-1)1/2=±iとかは複素数を考えないなら存在しないですが。。

   

 しかし,α=n(nが整数)なら,x<0でx=-y(y>0)でも,logx=logy+i(2k+1)πなのでn=exp(αlogx)=exp(nlogy+in(2k+1)π=exp(nlogy+inπ)=(-1)nnで通常のxnの定義に一致するため問題ないのですが。。※)

    

 この定義を用いると,xαの微分係数は,

   

 (xα)'=E(αL(x))(α/x)=αxα-1で与えられます。

   

 かくして,整数nに対する微分法則:(xn)'=nxn-1は,nが整数でなく一般の実数αのケースでも成立することがわかります。

    

 そこで,α≠-1なら∫xαdx=xα+1/(α+1)+Cであり,

 また,α=-1なら∫xαdx=∫(1/x)dx=logx+Cです。

    

 さらにα>0 ならx→∞に対してxlogx→0 です。

    

 何故なら,0<ε<αとすると,

 

 xlogx=x∫t-1dt<x∫tε-1dt=x(xε-1)/ε<xε-α/ε→0 となるからです。

      

[定義3](三角関数):∀x∈に対してC(x)={E(ix)+E(-ix)}/2,S(x)={E(ix)-iE(-ix)}/(2i)と定義する。

 

[C,Sの性質}:

  

上記のC(x),S(x)の定義が,歴史的に幾何学的考察から定義されたcosx,sinxに一致することを以下に示そうと思います。

 

まず,∈CについてΣn=0m(z)n/n!={Σn=0mn/n!}ですから,

  

E(z)の定義によりlimm→∞|E(z)-Σn=0m(z)n/n!|=limm→∞|E(z)-Σn=0mn/n!|=0 です。 (上添字 * は複素共役(complex-conjugate)を意味します。)

 

したがって,E(z)=E(z)です。

 

故に∀x∈についてE(-ix)=E(ix)ですからC(x),S(x)は実数xの実数値関数です。

 

定義から明らかに,exp(ix)=E(ix)=C(x)+iS(x)です。

 

C(x),S(x)は,それぞれE(ix)=exp(ix)の実部と虚部です。

 

また.|E(ix)|2=E(ix)E(ix)=E(ix)E(-ix)=1ですから,||E(ix)|=1で,C(x)2+S(x)2=1が成立します。

 

そして,これから|C(x)|≦1,|S(x)|≦1,あるいは-1≦C(x)≦1,-1≦S(x)≦1です。

   

さらに,E(0)=C(0)+iS(0)=1より,C(0)=1,S(0)=0 です。

 

また,C'(x)={iE'(ix)-iE'(-ix)}/2=-{E(ix)-iE(-ix)}/(2i),C'(x)={iE'(ix)+iE'(-ix)}/(2i)={E(ix)+E(-ix)}/2です。

 

つまり,C'(x)=-S(x),S'(x)=C(x)です。

 

故に,∫S(x)dx=-C(x)+C,∫C(x)dx=S(x)+Cが成立します。ただし,紛らわしいですが右辺のCは積分定数です。

 

[定理3]:C(x)=0を満たす正の実数xが存在する。

 

(証明)帰謬法で証明するため,まずC(x)=0 かつx>0 を満たすx∈が存在しないと仮定します。

  

すると,C(0)=1でCは連続ですから,∀x>0 に対しC(x)>0 となります。

 

つまり,x>0 なら,S'(x)=C(x)>0 なので,この領域でSは単調増加であり,S(0)=0 です。それ故,x>0 ならS(x)>0 です。

 

よって,0<x<yならS(x)(y-x)<∫xyS(t)dt=C(x)-C(y)≦2です。

 

つまり,あるa>0 を固定してA=S(a)と置けば,A>0 であって,b>aのとき,A(b-a)≦2,b≦(a+2/A)が成立します。

 

しかし,b>aなるbはいくらでも大きい値を取ることができるので,十分大きいbに対し,この不等式は矛盾を生じます。

 

したがって,C(x)=0,かつx>0 を満たすx∈が存在しないという元の仮定が否定されます。(証明終わり)

 

さて,x0をC(x0)=0 を満たす最小の正の数とします。こうしたx0>0 は確かに存在します。

 

何故なら,C(0)≠0であり{x>0|C(x)=0}は関数Cの連続性から閉集合ですから,この集合には最小値があります。

 

つまり,{0}はにおいて閉集合ですから,C(x)の連続性から{0}の逆像-1({0})は閉集合でx>0 の領域の部分集合も閉集合です。

 

ここで,数πをπ≡2x0で定義します。

 

こう定義すればC(x0)=0 はC(π/2)=0 と書けます。

   

C(π/2)={E(πi/2)+E(-πi/2)}/2=0ですから,E(-πi/2)}/2=-E(πi/2)です。

 

そこで,S(π/2)={E(πi/2)-E(-πi/2)}/(2i)

=E(πi/2)/iであり,しかもS(π/2)=は実数です。

 

ところが,|E(πi/2)/i|=1ですから,S(π/2)は絶対値が1の実数なので,+1か-1のどちらかに等しいはずです。

 

しかし,区間(0,π/2)ではS'(x)=C(x)>0 より,Sは単調増加であってS(0)=0 ですからS(π/2)>0 です。

 

よって,S(π/2)=1と結論されます。

 

そこで,S(π/2)=E(iπ/2)/i=1 により,E(iπ/2)=iです。

 

したがって,E(πi)={E(πi/2)}2=i2=-1 であり,さらに,

E(2πi)={E(πi)}2=i2=1です。

 

したがって,∀z∈についてE(z+2πi)=E(z)E(2πi)=E(z)が成立します。

 

※(注2):E(πi)=-1 は,形の上ではEulerの公式:exp(iπ)=-1ですが,ここで定義した数π≡2x0が謂わゆる円周率のπに一致するかどうかは未だ不明です。(注2終わり)※

 

[定理4]:(a)Eは周期的であって,周期は2πiである。

 

(b)CとSは周期的であって周期は2πである。

 

(c) 0<t<2πならE(it)≠1である。

 

(d)z∈,|z|=1のとき,∃1t∈[0,2π]:z=E(it) 

(↑※∃1とは存在して一意的,exist uniquelyの意味です。)

 

(証明)(a)既に上で証明した。

 

(b)E(z)が周期2πiの周期関数なのでE(ix),E(-ix)は周期2πの周期関数です。そこでC(x+2π)=C(x),S(x+2π)=S(x)です。

 

 しかし,実関数の周期はこうした周期的性質を満たす最小の正の数を意味します。

 

 S(x)=0 を満たすxはS(0)=0,S(π)=0よりx=0,x=πの順ですからSの周期はπの倍数ですが,S(π/2)=1,S(3π/2)=-1ですから周期はπではありません。Cについても同様です。

 

 したがって,C,Sの周期(最小周期)は2πです。

 

(c) 0<t<π/2のとき,

  

 E(it)=x+iyと置くと,x=C(t),y=S(t)ですが, 

 x2+y2=1で 0<x<1,0<y<1です。

   

 そして,E(4it)=(x+iy)4=x4-6x22+y4+4ixy(x2-y2)です。もしもE(4it)∈ならxy≠0 によりx2-y2=0です。

 

 一方,x2+y2=1 なので,x2=y2=1/2です。

  

 故にE(4it)∈ならE(4it)=-1です。

 

 0<4t<2πより,この4tを改めてtと書けば,0<t<2πでE(it)∈ならE(it)=-1ですから,E(it)≠1です。

 

(d) 0≦t1<t2≦2πなら,0<t2-t1<2πなので,

 E(it2){E(it1)}-1=E(it2-it1)≠1です。つまりE(it2)≠E(it1)です。

 

故に,E(it)=zを満たすtは,この範囲で存在すれば一意的です。

 

次に,z1=x1+iy1,x1≧0,y1≧0,x12+y12=1とします。

 

C'(t)=-S(t)<0 より,関数C(t)は[0,π/2]の上で 1から0 まで単調減少なのでC(t1)=x1を満たすt1∈[0,π/2]が存在します。

一方,C(t1)2+S(t1)2=1でt1∈[0,π/2]よりS(t1)≧0 ですからx12+y12=1でx1=C(t1) y1≧0 から,1=S(t1)です。

  

よって,z1=E(it1)です。

  

一般に,z=x+iy,|z|=1のとき,x<0,y≧0 ならz1=-iz,x<0,y<0 ならz1=-z,x≧0,y<0 ならz1=izと置けば,z1=E(it1),0≦t1≦π/2を満たすt1が存在します。

 

しかも,i=E(πi/2),-1=E(πi),-i=E(3πi/2)で,0<t1+3π/2≦2πですが,

 

x<0 なら,y1=-x>0 よりt1+3π/2≠2πです。

 

故に,z=E(it)(0≦t≦2π)と書けます。(証明終わり)

  

以上から,γ(t)=E(it)=exp(it)(0<t<2π)は,その値域がGauss面上(複素平面上)の単位円に等しい単純閉曲線を作ることがわかります。

 

そしてγ'(t)=iE(it)=iexp(it)より|γ'(t)|=1で,その長さV(γ)はV(γ)=∫0|γ'(t)|dt=2πです。

 

それ故,単位円の周の長さが2πに等しいことがわかります。

 

つまり,先にπ≡2x0で定義した数πが通常の幾何学的円周率に等しいことがわかりました。

 

一方,∫0t0|γ'(t)|dt=t0でですから,tが0 からt0まで増加するに従って,複素平面上の点γ(t)は長さt0の円弧を描きます。

  

以上から,頂点がz1=0,z2=γ(t),z3=C(t)の三角形を考えることにより,C(t),S(t)はそれぞれcost,sintと同じであることがわかりました。 

参考文献:Walter Rudin "Principles of Mathematical Analysis"(McGrawHIll)

 

PS1:今から1時間後の朝8時45分に,"たいと"さんがワンボックスの車で迎えに来てくれて湯河原の「杉の宿」まで,毎年恒例「将棋チェスネット」の"夏のオフ会=将棋合宿"に行くため,

 

ここでPending...にします。

 

タイプミスなどを直していたけどもう時間がない。。

  

ただし,体調は良好です。内科の主治医も一緒に来るしね。。

PS2:その後,帰ってからPending部分を追加しました。

 なお,退院後一ヶ月で右目はかなり見えてきましたが,なぜか左目がかゆい。

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304. 解析学」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。今日も暑いですね!coldsweats01

オイラーの公式は、私が初めて出会ったのは、関数論の授業で、普通の数学の本にある伝統的な説明、つまり、
exp(ix)≡cos(x)+isin(x)
という正則関数を定義して、この関数が実数指数と同じ指数法則、微分公式を満たすということを延々とやるものでした。

ですから、ちょっと、テイラー展開の方法は説明をはしょれるけれど(物理数学の本の方針と思うけど、厳密さを犠牲にして要点を分かりやすくした説明とは思うけれど)、厳密さに欠けて、ちょっと考えると素人騙しみたいで、いつも心のどこかで気持ち悪いと思ってました。
ここで、Toshiさんが書かれたような、絶対収束の議論をせずに、無限項を項別微分したり、項を入れ替えたりすることは、論理的に飛躍がありすぎて、多分、初心者(初めて出会う学生)であるほど、テイラー展開の安直な説明"だけ"だったら納得しないと思うのです。
1-1+1-1+1-1+1・・・→発散
(1-1)+(1-1)+(1-1)+・・・→0+0+0・・・=0
他にもいい例あったかもしれないけど・・・。

exp(ix)≡X(x)+iY(x)
をexp(ix)が実数指数関数と同じ指数法則、微分公式を満たすような関数と定義すると、X(x)=cos(x)、Y(x)=sin(x)となる手法(T-NAKAさんと、その元のとねさんの紹介されたサイトと類似したアイデアと思うのですが)、
下記のp249-250にありましたョ。

http://www.des.upatras.gr/physics/sfetsos/Math-Methods-%20Physics,%20T.L.Chow.pdf#search='Tai L.Chow, Eurer'

この本(の和訳)は、多少、ToshiさんEmanさんの議論にもおぼろげながら(笑)ちょっとだけついていけるので、便利な本と思っているのですが、こうしてネットで全文見えるのにはちょっと驚きデス。

投稿: せいたかのっぽ | 2011年7月 9日 (土) 14時54分

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