ヒッグス粒子が発見されたらしいです。
スイスのCERNでHiggs粒子が発見された模様です。
→ http://news.mynavi.jp/news/2011/12/14/063/
質量は約126GeVということらしいですね。
元々,完全なゲージ対称性が成立していたなら,本来素粒子の質量はゼロですが,現実には観測される実在粒子の質量はゼロではありません。
まあ,だからこそ,私たちの身体も重力を受けて体重があるのですね。
もっとも,ヒッグスメカニズム自体は私が学生時代の35年くらい前には既に主流でしたから目新しくもない話ですが,
それを裏付けるとても重い100GeV程度のHiggs粒子を発見するには,宇宙線の観測に頼るのでなく加速器に頼るのなら現在のCERN規模が必要でした。
既存の理論が正しいなら,いずれは発見されると考えられていました。
Higgs理論は次のような,南部・,Goldstone模型に始まる「自発的対対称性の破れ(spontaneously symmetry breakdown)」という現象の仮説が,その基礎になっています。
元々は,およそ関係ないような,金属の固体物性の話ですが,
通常の金属は,常温ではどの方向も対等という対称性があります(これは無秩序でエントロピー最大の状態)が,極低温では,そうした等方性が破れ,電子のスピンが集団で特定方向に揃うため磁気が発生するという現象があります。
これと,同じく,われわれの宇宙はその創世期には高温であると考えられていますが,,現在では宇宙空間の温度は極低温の絶対2.7度(零下-270度)です。
その初期高温宇宙では完全に成立していたはずの質量ゼロのゲージ対称性が,宇宙が次第に膨張する過程,または急膨張の「インフレーション」の過程などのため極度に,冷えて低温になっていった際に,
,金属固体の例のような「自発的に対称性の破れ]が生じたと考えられます。
こうしたことに伴って,介在するゲージ場=ゼロ質量のゲ^ジ粒子を中心に質量を獲得するプロセスをHiggsや構(ヒッグス・メカニズム)といいます。
この過程の結果,ゼロ質量や有質量の,ゲージオンの他に,,必然的にHiggs粒子と呼ばれる有質量粒子の存在することが予言されます。
例えば,既に有名な電弱の「Weinberg-Salam模型」では,破れていない1自由度に対応する光子(電磁場)以外に,元々質量ゼロの弱ゲージボソンは確かに質量を獲得しますが,それに伴なうHiggs粒子は未発見です。
今回の発見が100%真実なら,,ゲージ理論の信憑性の確認においては,画期的なことですね。
PS:Higgs現象は概念的には空間にHIggs場(Higgs粒子)が充満しているため,本来は自由に運動できるゼロ質量粒子が動きにくくなることで表現されます。
まるで,,抵抗を受けて慣性質量があるかのごとく挙動するという意味では,かつてアインsyタインの相対性理論によって存在意義を否定された「エーテル」の現在版の復活とでも呼ぶべき現象ですね。
本ブログでの関連記事としては,2006年12/17の「高密度下でのφメソンの質量減少を確認(KEK)」,
2008年5/19の記事「電磁気学と相対論(4)(真空中の電磁気学3)」,
および,2008年10/8の記事「南部先生おめでとうございます。(ノーベル賞)」
,2009年4/24の「水の波(1)(微小振幅波)」,
さらに,2009年82の記事「「とうとう命運尽きたか?」,
2010年3/20の記事「最近考えていること(場の理論等覚え書き)」など
があります。これらも参照してください。
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コメント
ヒッグス粒子の存在が実証されたとすれば、標準理論の正しさがこれまで以上に証明された事になるので、それはそれで画期的な事ですが、ニュートリノが光速を超えた実験結果が出たときと同様、福島原発事故から世の中の耳目をそらすようにする為に、意図的に盛り上げているとしか思えないと考えているのは私だけでしょうか?
投稿: 凡人 | 2011年12月15日 (木) 23時49分