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2012年1月13日 (金)

相対論的場の量子論(正準定式化)(2)

  正月なのでちょっと間があきましたが「相対論的場の量子論」の続きです。

  

今日は,序文ではなく本題に入ります。

 

ただし,ときどきオリジナルで書くブログ記事の原稿とは違って,昔のノートは,どこが種本の内容でどこが自分の理解のために追加した注釈文なのかがはっきりしていません。

 

そこで元本を出して該当する部分を眺めてみましたが,今日の記事の内容は,ほんどが本文理解のための注釈文のようです。 

 

§1.2 The Canonical Formalism and Quantization Procedure for Particles (粒子の正準定式化と量子化の手法)

 

 まず,粒子力学の古典論の動力学系として保存力場の中の粒子の1次元運動を中心に復習します。

 

 qを1次元運動をする粒子の一般化座標(例えば落下運動の高さz,振り子運動の角度θ)とし,qd≡dq/dtを一般化速度とします。

 

 また,L(q,qd)を系のLagrangian,Jを作用とすると,運動(軌道)q(t)はHamiltonの原理:δJ=δ∫t1t2L(q,qd)dt=0 から決まります。

 

 ただし,座標の微小変分:q(t)→q(t)+δq(t)に対して,

 δq(t1)=δq(t2)=0 という拘束を与えています。(両端固定)

  

 (↓※下はどなたかのホームページからの転載図です。  

  

 始点A(時刻t1)と終点B(時刻t2)を固定して,作用:

 =∫t1t2L(q,qd)dtが最小になる軌道を決める変分問題。

  

 L(q,qd)=T=(1/2)m(qd)2の自由粒子の場合,解は直線軌道です。

 これは光の行路のFermat(フェルマー)の定理と同じですね。)

  

 

 δJ=δ∫t1t2L(q,qd)dt

 =∫t1t2[L(q+δq,(q+δq))d-L(q,qd)]dt

 =∫t1t2{(∂L/∂q)δq+(∂L/∂qd)δqd}dt

 

 =[(∂L/∂qd)δq]t1t2

  ∫t1t2{(∂L/∂q)-d/dt(∂L/∂qd)}δqdt

 =∫t1t2{(∂L/∂q)-d/dt(∂L/∂qd)}δqdt

 です。

 

 そこで,δq(t1)= δq(t2)=0を満たす任意の変分δq(t)に対して, δJ=0 になるという変分法の問題:(※どの方向への仮想変位:δqであろうと両端が固定している限り,実際の軌道ではJは最小値または停留値をとるという「最小作用の原理」)から,

 

 Euler-Lagrangeの方程式:(∂L/∂q)-d/dt(∂L/∂qd)=0

 が得られます。

 

 共役運動量(conjugate momentum)pはp≡∂L/∂qdで定義されます。

  

ここで,運動量pの定義式:∂L/∂qd=pをqdを未知数とする対する方程式と見なします。

  

そして,この方程式が解けて,qdをpとqの関数としてd=qd(p,q)と表わすことができたとします。

 

これは,系の独立変数を(q,qd)から(p,q)へ変更する手順です。

 

結局,Lagrangian関数L(q,qd)がL(p,q)と表わされます。

 

 これによって,p,qの関数としてのHamiltonian:HをL(p,q)と

 qd(p,q)を用いて,H(p,q)≡pqd-Lと定義します。

 

ここまでは,系のLagrangianLをL(q,qd)なる関数形で書きましたが,一般には,Lはq(t)とqd(t)によって間接的にtに依存するだけでなく,陽にtに依存する場合もあるのでL(q,qd,t)と書くのが普通です。

 

これは,以下のような理由からです。

 

LagrangianLはその定式化から,Tを運動エネルギーとして,L=T-Vと書けます。

 

ここで,Tは運動エネルギーで,qdの2次形式です。これは,2次形式の係数も含めて(q,qd)のみの関数ですから,T=T(q,qd)という形です。

  

しかし,Vの方は一般化ポテンシャルと呼ばれ,必ずしも通常のポテンシャルV=V(q)を意味するわけではなく,

 

V=V(q,qd,t)のように,速度qdや時間tを陽に含む場合もあるというのが,L=T-VがL(q,qd,t)なる形になる理由です。

 

逆に,何らかの方法でLの方が既知であれば,V≡T-LによってVを定義したと見ることもできます。

 

(※例えば,電磁場のポテンシャルやLagrangianはそうした例です。)

 

上述のように,一般化ポテンシャルVについて,LagrangianはL=T-Vと表現されますが,今,問題としている系では,拘束が時間tに依存せず,

 

粒子の受ける力をF=-∇Vで与えるポテンシャルVもtにも速度qdにも依存しない通常の保存力場:V=V(q)であると仮定します。

 

dL/dt=(∂L/∂q)(dq/dt)+(∂L/∂qd)(dqd/dt)なる微分式に,Euler-Lagrangeの方程式:(∂L/∂q)=d/dt(∂L/∂qd)を代入します。

  

dL/dt={d/dt(∂L/∂qd)}qd+(∂L/∂qd)(dqd/dt)

=d/dt{(∂L/∂qd)qd}なので,

  

(d/dt){(∂L/∂qd)qd-L}=0 ですからp=∂L/∂qd,

H(p,q)=pqd-Lよって,これはdH/dt=0 を意味します。

 

すなわち,こうした系ではHamiltonian:H(p,q)=pqd-Lは時間に依らない保存量です。(保存力場ではHは系のエネルギーに一致します。)

 

※(注2-1):Legendre変換(変数の変更)

 

 独立変数x,yの関数f(x,y)の全微分は,df=udx+vdy;

 u≡∂f/∂x.v≡∂f/∂yと書けます。

 

独立変数をx,yからu,yに変更し,g≡f-uxなる関数を考えると,

dg=df-udx-xduですが,df=udx+vdyなので,

dg=vdy-xduを得ます。

 

 故に,x=-∂g/∂u,v=∂f/∂y=∂g/∂yです。

 

 こうした,変換をLegendre変換といいます。

 

 (Legendre変換は熱力学ではよく使われています。)(注2-1終わり※)

 

 今の解析力学の問題の場合も,-H(p,q,t)=L-pqdなる変換が,t以外の独立変数をL(q,qdt)のq,qdから,p=∂L/∂qd,qに変更するLegendre変換です。

 

※かつて19世紀に,Lagrangeが創始した解析力学でのLagrangian:LからHamiltonian:Hへの書き換えは,Legendre変換だったのですね。

 

そこで,この場合,qd=∂H/∂p,∂L/∂q=-∂H/∂qです。

 

さて,一般には系の自由度は1(1粒子の1次元運動)ではなく,自由度はN>1の多粒子系です。

 

そこで,Lagrangianは,一般化座標:=(q1,q2,..,qN)と一般化速度:d=(q1d,q2d,..,qNd)の関数として,L=L(,d,t)と表わされ,

共役運動量は=(p1,p2,..,pN);pi≡∂L/∂qidで定義されます。

 

そして,LのLegendre変換であるHamiltonianHは,

H(,,t)=∑iiid-L(,d,t),

or -H=L-pqdと書けます。

 

 Hの全微分は,dH=∑i(∂H/∂pi)dpi+∑i(∂H/∂qi)dqi

 +(∂H/∂t)dt です。

 

一方,H=∑iiid-Lから,dH=∑iiddpi+∑iidqid

-∑i(∂L/∂qi)dqi-∑i(∂L/∂qid)dqid-(∂L/∂t)dt

なる式を得ます。

  

ここで,pidqid=(∂L/∂qid)dqidですから,

dH=∑iiddpi-∑i(∂L/∂qi)dqi-(∂L/∂t)dt

です。

 

 ところが,Euler-Lagrangeの運動方程式:

 ∂L/∂qi-(d/dt)(∂L/∂qid)=0 によって,

 ∂L/∂qi=dpi/dt=pidなので,

  

 結局,dH=∑iiddp1i-∑iiddqi-(∂L/∂t)dtと書けます。

 

 それ故,i(∂H/∂pi)dpi+∑i(∂H/∂qi)dqi+(∂H/∂t)dt

 =∑iiddpi-∑iiddqi-(∂L/∂t)dtです。

 

 よって,運動方程式としてdqi/dt=qid=∂H/∂pi,

 dpi/dt=pid=-∂H/∂qiとを得ます。

 

 これが,Euler-Lagrange運動方程式の,Hamiltonian形式による運動方程式へのLegendre変換に基づいた書き直しです。

  

この最後の形の運動方程式を,Hamiltonの正準方程式といいます。

 

※(注2^2):Poisson括弧式:

 

 =(p1,p2,..,pN),=(q1,q2,..,qN)の関数u,vに対して,

 {u,v}P.B≡∑k{(∂u/∂pk)(∂v/∂qk)-(∂u/∂qk)(∂v/∂pk)}

 をu,vのPoisson括弧式(Poisson Bracket),

  or Poisson括1弧といいます。

 

すると,明らかに{pi,qj}P.B=δij,{pi,pj}P.B={qi,qj}P.B=0

(i,j=1,2,..,N)なる恒等式が成立します。

 

これを基本括弧式といいます。(注2終わり※)

 

 u(,,t)を任意の微分可能な関数とすると,

du/dt=∑i{(∂u/∂pi)pid+(∂u/∂qi)qid}+(∂u/∂t)

=∑i {(∂u/∂qi)(∂H/∂pi)-(∂u/∂pi)(∂H/∂qi)}

+(∂u/∂t)です。

 

すなわち,du/dt=ud={H,u}P.B+(∂u/∂t)を得ます。

  

u=pkならpkd{H,pk}P.B,u=qkならqkd={H,qk}P.Bです。

 

実際,Poisson括弧式の定義から{H,pk}P.B=-∂H/∂qk,および,

{H,qk}P.B=∂H/∂pkなので,

 

kd={H,pk}P.B,qKd={H,qk}P.Bは,Hamiltonの正準方程式:

kd=∂H/∂pk,pkd=-∂H/∂qkと同値です。

 

(※余談ですが,電磁場の場合などゲージ(gauge)不変性を持つ場では,pi=∂L/∂qidを陰関数表示として解くための係数行列:(∂2L/∂qid∂qjd)のJacobian:det:(∂2L/∂qid∂qjd)がゼロの特異行列となるので,

 

方程式:∂L/∂qid=piから,ddd(,)なる形に解くことができません。

 

そのため,Poisson括弧式を修正したDirac括弧式を用いた対応原理で以下の量子化が実行されます。※)

 

(※なお,解析力学については,2006年10/8の記事「WKB近似,ハミルトン・ヤコービ方程式,経路積分」や2007年11/2の記事「解析力学の初歩」, 

2008年5/19の記事「電磁気学と相対論(4)(真空中の電磁気学3)」,

5/30の記事「電磁気学と相対論(6)(真空中の電磁気学5)」,

  

そして,2008年6/22の「ネーターの定理と電磁エネルギー運動量テンソル」と6/27の「ネーターの定理と電磁エネルギー運動量テンソル(補遺)」および,2010年2/6の記事「電磁力学と解析力学

 

などを参照してください。

 

そしてちょっとマニアックな話題ですが2008年2/21,2/25の「非ネーター保存量」,および「非ネーター保存量(続き) 」 もあります。

 

また,飛躍しますが量子化した後にも関連したトピックとしては,

 

2007年5/7の量子化された場と調和振動子(パラ統計)」,

2007年8/7の場の演算子とリー群(Lie群)の生成子」,

2008年2/29のネーターの定理と場理論

 

などあります。※)

   

 さて、本文に戻って量子化(quantization)の手順です。

 

 量子論ではq^はHilbert空間に作用するHermite演算子で,共役運動量は

 p^=-i∂/∂q^(※Schroedinger表現)ですが,これも演算子です。

 

[A,B]≡AB-BAで交換子(commutator)を定義すると,

q-表示の任意の状態関数ψ=Ψ(q)に対して,

 

[p^,q^]ψ=p^(q^ψ)-q^(p^ψ)=-iψですから,

[p^,q^]=-iです。

 

 一方,古典変数のPoisson 括弧式では,{p,q}P.B=1ですね。

 これが量子化のヒントになります。

 (※この対応原理による量子化は,Diracの発見です。)

 

 演算子p^は,もちろんHermite(Hermitian operator)です。

 何故なら,q表示で∫-∞χp^ψdq=-i∫-∞χ(∂ψ/∂q)dq

 =-i[χψ]-∞+i∫-∞∞∞(∂χ/∂q)ψdq=∫-∞(p^χ)ψdq

 だからです。

  

つまり,<χ|p^|ψ>=<p^χ|ψ>=<ψ|p^χ>ですから,

p^はHermitianなのです。

 

 粒子の動力学はH^(p,q)をHamiltonian演算子として,

 H^(p,q)Ψ(t)=i∂Ψ(t)/∂t(Schroedinger方程式)

 で与えられます。

 

 ここでのΨは状態を表わすHilbert空間のベクトル(元)です。

 

 初期状態:Ψ|t=0を任意に与えると,上記のSchroedinger方程式は将来の全ての時刻tの状態における物理量の期待値を決定します。

 

※(注2-3):H^Ψ=i(∂Ψ/∂t)の解;Ψ(t)は,Ψn(t)=unexp(-iEnt)

 で展開され,Ψ(t)=∑nnnexp(-iEnt)=∑nn(t)un(q)

 となります。

 

ここで,H^un=EnnでありΨ(0)を与えると全てのan(0)=cnが定まるのでΨ(t)が完全に定まります。

 

Ψ(0)=∑nnnなのでunが規格化されていれば<un|Ψ>=cnとなるからです。(注2-3終わり)※

 

 粒子の運動は今の時間変化の定式化では,時間に依存しない演算子p,qに対してΨの中に全ての時間依存性が含まれています。

 

 これはSchroedinger表示と呼ばれる表示です。

 

一方,Heisenberg表示では,状態ベクトルΨではなく演算子p^(t),q^(t)の方が時間依存性を有します。

 

Schroedinger表示の状態ベクトル:Ψ(t)を改めてΨ(t)と記し,

Ψ(t)=exp(-iH^t)Ψ(0)≡exp(-iH^t)Ψとします。

 

そして,時間tに依存しないΨ≡Ψ(0)をHeisenberg表示の状態ベクトルと呼びます。

 

ただし,exp(-iH^t)の意味は,exp(-iH^t)

≡∑n=0{(i/n!)(-itH^)n}です。

 

 逆に,時間tには依存しないΨに対して,Ψ(t)=exp(-iH^t)Ψと定義すれば,明らかに i(∂Ψ/∂t)=H^Ψとなって,

 

 Ψ(t)=exp(-iH^t)ΨがSchroedinger方程式に従う

 Schroedinger表示の状態ベクトルとなります。

 

そして,Schroedinger表示の演算子O^はユニタリ変換によって,時間に依存するHeisenberg表示の演算子O^(t)に変換されます。

 

^(t)≡exp(iH^t)O^exp(-iH^t)です。

 

こう変換すれば,

 

Hmn(t)=<ΨHm|O^(t)|ΨHn

=<ΨHm|exp(iH^t)O^exp(-iH^t)|ΨHn

=<exp(-iH^t)ΨHm|O^|exp(-iH^t)ΨHn

=<ΨSm(t)|O^(t)|ΨSn(t)>=OSmn(t)

 

となって,行列要素が変換の前後で不変です。

 

 Heisenberg表示では,時刻t=0 の状態ベクトルΨ=Ψ(0)が既知のときHeisenberg表示の演算子O^(t)の時間発展の方程式を解くことが主題となります。

 

 この演算子に対する方程式は,dO^(t)/dt=i[H^,O^(t)]です。が,これをHeisenbergの運動方程式といいます。

 

 ただし,Schroedinger表示のO^が時間に依存する場合は,

 dO^/dt=i[H^,O^]+∂O^/∂tです。

 

 特に,Hamiltonian演算子:H^については,H^が陽に時間に依らない限り,

 ^(t)≡exp(iH^t)H^exp(-iH^t)=H=Hであり,

 dH^/dt=i[H^,H^]=0 です。

 

※(注2-4):Schroedinger方程式:H^Ψ(t)=i{∂Ψ(t)/∂t}の内容は,

 実際,全てΨ=exp(iH^t)Ψ(t)の中に含まれています。

 

時刻tにおける確率を含む期待値が表示によって変わらない条件:

<Ψ(t)|O^|Ψ(t)>=<Ψ|O^(t)|Ψ>を満たすよう

 

Schoedinger表示の演算子からユニタリ変換:

^(t)≡exp(iH^t)O^exp(-iH^t)で定義される

Heisenberg表示の演算子は,実際O^がtに独立なら

 

dO^/dt=iH^O^-iO^H^=i[H^,O^]

を満たします。

  

逆に,dO^/dt=i[H^,O^]=iH^O^-iO^H^を記号的に積分すれば,O^(t)=exp(iH^t)O^(0)exp(-iH^t)が得られます。

 

 これらの式は同じ演算子O^の時間依存性を示す方程式の解です。

 (注2-4終わり)※

 

 波動関数については,Schroedinger表示の波動関数:

 ψn(q,t)=exp(-iEnt)un(q)に対して,

 Heisenberg表示のそれはψn(q,0)=un(q)です。

 

相対論的場の量子論では,Heisenberg表示の方が便利です。

何故ならLorentz不変性をより容易に見ることができるからです。

 

つまり場の演算子は時間tだけに依存するだけでなく,時空座標に依存する演算子として一般化されたと見ることができます。

 

さて,p^,q^をHeisenberg表示で見ると[p^(t),q^(t)]=-iです。

 

そこで,1つの表示としてp^(t)=-i{∂/∂q^(t)},または

q^(t)=i{∂/∂p^(t)}と定義することができます。

 

 故に,dp^(t)/dt=i[H^,p^(t)],dq^(t)/dt=i[H^,q^(t)]を[p^(t),q^(t)]=-iの正準交換関係の原理と一緒にすると,

 

 これは古典論の方程式dp(t)/dt=-∂H/∂q(t)={H,p(t)}P.B,dq(t)/dt=∂H/∂p(t)={H,q(t)}P.B,および

{p(t),q(t)}P.B=1の焼き直しに見えます。

 

 Heisenberg表示による量子力学の定式化は,古典力学の定式化に方程式の形だけはそっくりです。

 

 古典力学のPoisson括弧:{ , }P.Bを交換関係:[ , ]に変えて,iを掛ければ量子化した方程式が得られます。

 

 {H,p(t)}P.B ~ i[H^,p^(t)],{H,q(t)}P.B ~ i[H^,q^(t)],

 {p(t),q(t)}P.B ~ i[p^(t),q^(t)] or

 

 [H^,p^(t)] ~ (-i){H,p(t)}P.B,

 [H^,q^(t)] ~ (-i){H,q(t)}P.B,

 [p^(t),q^(t)] ~ (-i){p(t),q(t)}P.Bです。

 

そして,この動力学を完全に決定するためには,演算子p^,q^の初期時刻における全ての行列要素を具体的に与える必要があります。

 

古典論において,初期値p(0),q(0)に課せられる初期条件は量子論では,

t=0 で如何なる物理的状態においても満足さるべき正準交換関係:

[p^(t),q^(t)]=-i によって補足されます。

 

※(例):Heisenberg表示で1次元の単純な調和振動子を量子化します。

 

まず,H^=(1/2)(p^2+ω02q^2)です。

 

これから,dp^(t)/dt=p^(t)=i[H^,p^]

=(iω02/2)[q^2,p^}=-ω02q^(t)です。

 

同様に,dq^(t)/dt=q^(t)=i[H^,q^]

=(i/2)[p^2,q^}=p^(t)です。

 

以上から,d2q^(t)/dt2=q^2d(t)-ω02q^(t)=0,

p^(t)=q^d(t)=dq^(t)/dtです。

 ,

この式は古典論の調和振動子の方程式と同じ形です。

 

方程式を座標:p^(t),q^(t)について解くため,慣例に従って

a^≡(2ω0)-1/20q^+ip^),a^≡(2ω0)-1/20q^-ip^)

とおきます。

 

 こうおけば,da^(t)/dt=a^d(t)=(2ω0)-1/20q^d+ip^d)

=(2ω0)-1/20p^-iω02q)=(-iω0)(2ω0)-1/20q^+ip^)

=-iω0a^(t)となります。

 

同様にして,da^(t)/dt=iω0a^(t)です。

 

これらを解けば,a^(t)=a^0exp(-iω0t),

a^(t)=a^0exp(iω0t)となります。

 

ただし,a^0 ,a^0は時間 tには依存しない演算子です。

 

そして,,交換関係は,[a^(t),a^(t)]

=(2ω0)-10q^+ip^,ω0q^-ip^]

=(2ω0)-1(-iω0[q^,p^]+iω0([p^,q^])=1 です。(つづく)

   

※なお,余談の続きですが,物質中の電磁エネルギー運動量テンソルの正しい形はどうなるのか?"という関連記事の問題については,

 2009年1/7の記事「運動物質内の相対論(13)(物質中の電磁エネルギー運動量:前編)」,および1/12の記事「h運動物質内の相対論(14)(物質中の電磁エネルギー運動量:中編)」,1/15の記事「運動物質内の相対論(15)(物質中の電磁エネルギー運動量]後編)」において既に解決済みです。

 

※(参考文献):J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields"(MacGrawHill)

 

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114 . 場理論・QED」カテゴリの記事

コメント

Poisson括1弧といいます。

Poisson括弧といいます。

投稿: 凡人 | 2013年3月24日 (日) 20時11分

=∫t1t2[L(q+δq,(q+δq))d-L(q,qd)]dt ⇨ =∫t1t2[L(q+δq,(q+δq)d)-L(q,qd)]dt

投稿: hirota | 2013年3月21日 (木) 00時28分

 ども。。T_NAKAさん,お久しぶり。。
 TOSJIです。

 ご指摘の係数の誤りについては,その通り確かに誤りです。

 この第2稿はこれで終わりで,現在もう少しで第3稿完成予定ですが,最初はこの調和振動子の項目の再掲とその続きからです。

 草稿作成中にこの係数の間違いに気付いていましたが,スグに直しませんでした。

 すぐ訂正しておきます。すみません。

 理由不明のモチベーション減退や眼のわずらい,根気不足などのせいか,かなり遅筆になっていますが,

 この場の理論については私の原点なので,できればFeynmanグラフの解析性から最後のくりこみ群の入門の項に至るまで原稿を完遂したいです。

 このシリーズを最後まで続けると,ヒョットして記事の番号が2桁を超えるカモ?かなりいくでしょう。。。

 まあ,後数年レベルではこの後,経路積分量子化を含む「ゲージ場の量子論」全部,

 そしてBjorken-DrellのMechanicsの方から.まだブログには書いてない核力の「強い相互作用」の話や

 既に古くなってしまったFermiのcurrent-current相互作用のV-A理論などの「弱い相互作用」の話なども

 生きてる限り,個人的な勉強の履歴,備忘録として書いてゆきたいと思ってます。

 ではまた。。。今日は寒いですね。 

           TOSHI

投稿: TOISHI | 2012年1月20日 (金) 18時59分

私は細々と場の量子論を勉強していますが、この記事は考えをまとめるのに大変タメになりました。
続けていただくと、有りがたいです。
さて、追加された調和振動子の部分で、生成消滅演算子の定義式の係数は

[誤] (ω_0/2)^1/2 → [正] (2ω_0)^-1/2 

ではないでしょうか?

投稿: T_NAKA | 2012年1月19日 (木) 12時44分

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