相対論的場の量子論(正準定式化)(6)
さて,訃報ばかりじゃなく,相対論的場の量子論の続きを書きます。
余談ですが,私の1Kの自宅にはベッドのある広い方の部屋の窓側
にエアコンが1つあるだけです。
狭いので通年は暖房も冷房も,これだけで十分なのですが,ここの
ところ異常に寒いので,帰宅してエアコンを28度の暖房設定で動
かしても,部屋で普通に過ごせるまでには10時間くらいかかる
みたいです。
糖尿病,心臓病,その他病気持ちの私は疲れやすく,過ごし
やすい気温のときで帰宅して4時間くらいは,寝るとはなしに
横たわわって身体を休めないと,次の作業をする意欲も体力も
回復しない状態です。
そこで部屋内で動けるまでは,必要以外ではベッドで毛布を
かぶってるだけですから,いつでもやらねばという気持ちは
あるのですが,長時間かけてブログ原稿書く気になりません。
そうはいってもタマには書かねば,。。
というわけで以下,本題です。
§1.4 Symmetry and Conservation Law(対称性と保存則)
Lagrangian定式化は古典場の理論によって,正準方程式
(運動方程式)を引き出して.それを量子場に同定するという便利
で系統的な方法を与えてくれます。
1つのLagrangianからスタートすれば,場のLagrangian密度
Lと運動方程式(Euler-Lagrange)の形を不変に保つような,
無限小の対称性変換の各々に対して保存則存在し,運動の定数
(=時間的に一定な保存量)が伴なうことが示されます。
これは,「Noether(ネーター)の定理」として知られています。
この定理は,自然において観測される選択則が,直接Lに対する
対称性の要求によって記述されることを許すものであり,
新理論を展開していく際には,相互作用項を導入するガイドとして
とても有用なものです。
まずは,時間,および空間の一様性という対称性の例を挙げます。
要するに,時間tについていつの時点をt=0に取ろうと,また
空間のどこに原点x=0 を取ろうと,理論や法則は変わらない
という基本的な相対性原理を示す対称性です。
重要な対称性ですね。
これに「Noetherの定理」がどう関わり対対称性が保存則に
いかに反映されるか?を見ます。
1. 平行移動不変性:
平行移動は,制限されたPoincare'群(ポアンカレ群)と呼ばわれる
4次元時空の座標変換群に属する1つの変換です。
箱の中に閉じ込められているような特別な物理系でないなら,
系のLagrangian密度L(φr(x),∂μφr(x))は,このPoincare
群の変換に属する平行移動の下では,スカラー(不変)です。
つまり,まず,x~を平行移動された位置座標,φ~rを平行移動
により変換された座標系から見た場の振幅と考えるとき,
平行移動:x→x~によって,L(φr(x),∂μφr(x))から変化した Lagrangian密度を,L~(φ~r(x~),∂μφ~r(x~))と書けば,
L~(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))=L(φr(x),∂μφr(x))
です。
次に,理論の不変性:すなわち,2階常微分方程式の表現による
運動方程式の陽な形が,変換された系の観測者に対しても変換前
と同じであるべきという条件から,
L~(φ~r(x~),∂μφ~r(x~))=L(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))
です。
以上から,L(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))=L(φr(x),∂μφr(x))
なる等式が得られます。
それ故,無限小平行移動:xμ→x~μ=xμ+εμに対して,
δL≡L(φr(x~),∂μφr(x~))-L(φr(x),∂μφr(x))
=εμ(∂L/∂xμ)ですが,
このδLは
L(φr(x~),∂μφr(x~))-L(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))
=-L(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))+L(φr(x~),∂μφr(x~))
に等しく,
したがって,εμ(∂L/∂xμ)=δL
=∑r[(∂L/∂φr)δφr+{(∂L/∂μφr)δ(∂μφr)}]
です。
ただし,δφr≡φr(x~)-φ~r(x~)=φr(x+ε)-φr(x)
=εμ(∂φr/∂xμ)です。
※(注6-1):(重要):座標系の平行移動:xμ→x~μ=xμ+εμ
に対しては,通常は,φ~r(x~)=φ~r(x+ε)=φr(x)です。
(注6-1終わり※)
同様に,δ(∂μφr)≡∂~μφr(x~)-∂~μφ~r(x~)
=∂μφr(x+ε)-∂μφr(x)=εν(∂ν∂μφr) です。
以上から,εμ(∂L/∂xμ)=
∑r[(∂L/∂φr)εμ(∂φr/∂xμ)+{(∂L/∂μφr)εν(∂ν∂μφr)}]
を得ます。
ここで,Euer-Lagrange方程式:
(∂L/∂φr)-(∂/∂xμ){∂L/∂(∂φr/∂xμ)}=0
より,∂L/∂φr=∂μ{∂L/∂(∂μφr)}
を上式に代入すると,
εμ(∂L/∂xμ)=∂μ∑r{∂L/∂(∂μφr)}εμ(∂φr/∂xν)}
となります。
そこで,εν(∂/∂xμ)[∑r {∂L/∂(∂μφr)}(∂φr/∂xν)]
-ενgμν(∂L/∂xμ)]= 0 ですが,ενは任意なので,
(∂/∂xμ)[∑r{∂L/∂(∂μφr)}(∂φr/∂xν)-gμνL]=0
が成立します。
そこで,Tμν≡∑r {∂L/∂(∂μφr)}(∂φr/∂xν)-gμνL
と定義すれば,∂Tμν/∂xμ=0 です。
そこで,このTμνを1つのエネルギー運動量密度テンソル (energy^momentum stress tensor)と名付ければ,
PνをPν≡∫d3xT0ν=∫d3x[∑rπr(∂φr/∂xν)-g0νL]と
定義すると,dPν/dt=0 なる保存法則が見出されます。
(※ただし,計量テンソル(metric-tensor):gμνは,今対象の平坦
なMinkowski時空ではημνと表現することが多いです。)
※(注6-2):一応,dPν/dt=0 を証明しておきます。
∂Tμν/∂xμ=0 なので∂T0ν/∂x0=-∂Tkν/∂xkです。
テンソルTμνはνを固定しておけば,4次元の共変ベクトルなので,
-Tkν(k=1,2,3)は3次元ベクトルの成分です。
この空間ベクトルを-Tと書けば,∂Tkν/∂xk=-∇T
なのでGaussの積分定理によって,
dPν/dt=∫d3x(∂T0ν/∂x0)=∫d3x∇T
=∫dS(Tn)=0 を得ます。
(表面積分∫dSは無限遠の閉曲面上を想定していますが,
そこでは,T=0 です。)
(注6-2終わり)※
そして,既に見たようにT00=∑rπrφrd -Lは,系のHamiltonian
密度:H に一致しています。
それ故,P0=∫d3xT00は,系のHamiltonian:Hです。
よって.dP0/dt=0 はdH/dt=0 を意味します。
こうして,時間の一様性=時間の平行移動対称性から,
系のエネルギー(場のエネルギー):Hに対するエネルギー
保存則を得ました。
同様に,Pk=-Pk=∫d3xT0k=-∫d3x[∑rπr(∂φr/∂xk)]
は場の運動量Pの成分です。
dPk/dt=0 は運動量の保存dP/dt=0 を意味します。
これは空間の一様性の反映です。
今日は,いつもの半分程度と短かい記事ですが,当座のツナギと
いうことで,取り合えず,ここまでにします。
次回予告ですが,まずは3つの直交座標軸の系をどの向きに
選んでも法則,理論は同じであるという空間の等方性という
対称性,つまり,軸の無限小回転に対してLagrangian密度L,
および運動方程式が不変であるという対称性変換から角運動量
の保存則を見出すところからです。
科学記事もセッセと書かなきゃね。
(参考文献:J.D.Bjorken S.D.Drell 「Relativistic Quantum Fields」(McGrawHill)
PS:何故か,私の中古PCがここのところとても遅くイライラするので,
OSが古いけどお気に入りのXPであるせいなのかな?と思ってネット
で調べてみると,
お金をかけずにできる方法として,まず,デスクトップ画面を
右クリックしてプロパティを左クリックで選択して,カスタマイズ
しないを選び,
画面をwindowsクラシックの青だけの無地の背景にしたら,かなり
改善されました。
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コメント
windows→Windwos
投稿: 凡人 | 2013年3月16日 (土) 22時38分
=∑r[(∂L/∂φr)δφr+{(∂L/∂μφr)δ(∂μφr)}] ⇨ =∑r[(∂L/∂φr)δφr+{∂L/∂(∂μφr)}δ(∂μφr)]
∑r[(∂L/∂φr)εμ(∂φr/∂xμ)+{(∂L/∂μφr)εν(∂ν∂μφr)}] ⇨ ∑r[(∂L/∂φr)εμ(∂φr/∂xμ)+{∂L/∂(∂μφr)}εν(∂ν∂μφr)]
εμ(∂L/∂xμ)=∂μ∑r{∂L/∂(∂μφr)}εμ(∂φr/∂xν)} ⇨ εμ(∂L/∂xμ)=∂μ∑r{∂L/∂(∂μφr)}εν(∂φr/∂xν)}
energy^momentum ⇨ energy-momentum
投稿: hirota | 2013年3月16日 (土) 18時24分