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2012年2月20日 (月)

相対論的場の量子論(正準定式化)(6)

さて,訃報ばかりじゃなく,相対論的場の量子論の続きを書きます。

 

余談ですが,私の1Kの自宅にはベッドのある広い方の部屋の窓側

エアコンが1つあるだけです。

 

狭いので通年は暖房も冷房も,これだけで十分なのですが,ここの

ところ異常に寒いので,帰宅してエアコンを28度の暖房設定で動

かしても,部屋で普通に過ごせるまでには10時間くらいかかる

みたいです。

 

糖尿病,心臓病,その他病気持ちの私は疲れやすく,過ごし

やすい気温のときで帰宅して4時間くらいは,寝るとはなしに

横たわわって身体を休めないと,次の作業をする意欲も体力も

回復しない状態です。

 

そこで部屋内で動けるまでは,必要以外ではベッドで毛布を

かぶってるだけですから,いつでもやらねばという気持ちは

あるのですが,長時間かけてブログ原稿書く気になりません。

 

そうはいってもタマには書かねば,。。

 

というわけで以下,本題です。

 

§1.4 Symmetry and Conservation Law(対称性と保存則)

 

 Lagrangian定式化は古典場の理論によって,正準方程式

(運動方程式)を引き出して.それを量子場に同定するという便利

で系統的な方法を与えてくれます。

 

1つのLagrangianからスタートすれば,場のLagrangian密度

と運動方程式(Euler-Lagrange)の形を不変に保つような,

 

無限小の対称性変換の各々に対して保存則存在し,運動の定数

(=時間的に一定な保存量)が伴なうことが示されます。

 

 これは,「Noether(ネーター)の定理」として知られています。

 

この定理は,自然において観測される選択則が,直接に対する

対称性の要求によって記述されることを許すものであり,

 

新理論を展開していく際には,相互作用項を導入するガイドとして

とても有用なものです。

 

まずは,時間,および空間の一様性という対称性の例を挙げます。

 

要するに,時間tについていつの時点をt=0に取ろうと,また

空間のどこに原点=0 を取ろうと,理論や法則は変わらない

という基本的な相対性原理を示す対称性です。

重要な対称性ですね。

 

これに「Noetherの定理」がどう関わり対対称性が保存則に

いかに反映されるか?を見ます。

1. 平行移動不変性:

 

平行移動は,制限されたPoincare'群(ポアンカレ群)と呼ばわれる

4次元時空の座標変換群に属する1つの変換です。

 

箱の中に閉じ込められているような特別な物理系でないなら,

系のLagrangian密度r(x),∂μφr(x))は,このPoincare

群の変換に属する平行移動の下では,スカラー(不変)です。

 

つまり,まず,x~を平行移動された位置座標,φ~rを平行移動

により変換された座標系から見た場の振幅と考えるとき,

 

平行移動:x→x~によって,r(x),∂μφr(x))から変化した Lagrangian密度を,~(φ~r(x~),∂μφ~r(x~))と書けば,

 

~(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))=r(x),∂μφr(x))

です。

 

 次に,理論の不変性:すなわち,2階常微分方程式の表現による

運動方程式の陽な形が,変換された系の観測者に対しても変換前

と同じであるべきという条件から,

 

~(φ~r(x~),∂μφ~r(x~))=(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))

です。

 

以上から,(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))=r(x),∂μφr(x))

なる等式が得られます。

 

 それ故,無限小平行移動:xμ→x~μ=xμ+εμに対して,

 δr(x~),∂μφr(x~))-r(x),∂μφr(x))

 =εμ(∂/∂xμ)ですが,

 

このδ

r(x~),∂μφr(x~))-(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))

=-(φ~r(x~),∂~μφ~r(x~))+r(x~),∂μφr(x~))

に等しく,

 

 したがってμ(∂/∂xμ)=δ

 =∑r[(∂/∂φr)δφr+{(∂/∂μφr)δ(∂μφr)}]

 です。

 

ただし,δφr≡φr(x~)-φ~r(x~)=φr(x+ε)-φr(x)

=εμ(∂φr/∂xμ)です。

 

(注6-1):(重要):座標系の平行移動:xμ→x~μ=xμ+εμ

対しては,通常は,φ~r(x~)=φ~r(x+ε)=φr(x)です。

(注6-1終わり※)

 

同様に,δ(∂μφr)≡∂~μφr(x~)-∂~μφ~r(x~)

=∂μφr(x+ε)-∂μφr(x)=εν(∂νμφr) です。

 

 以上からμ(∂/∂xμ)

r[(∂/∂φrμ(∂φr/∂xμ)+{(∂/∂μφrν(∂νμφr)}]

を得ます。

 

ここで,Euer-Lagrange方程式:

(∂/∂φr)-(∂/∂xμ){∂/∂(∂φr/∂xμ)}=0

より,∂/∂φr=∂μ{∂/∂(∂μφr)}

を上式に代入すると,

 

 εμ(∂/∂xμ)=∂μr{∂/∂(∂μφr)}εμ(∂φr/∂xν)}

 となります。

 

そこでν(∂/∂xμ)[∑r {∂/∂(∂μφr)}(∂φr/∂xν)]

-ενμν(/∂xμ)]= 0 ですが,ενは任意なので,

 

(∂/∂xμ)[∑r{∂/∂(∂μφr)}(∂φr/∂xν)-gμν]=0

が成立します。

 

そこで,μν≡∑r {∂/∂(∂μφr)}(∂φr/∂xν)-gμν

定義すれば,μν/∂xμ=0 です。

 

そこで,このμνを1つのエネルギー運動量密度テンソル (energy^momentum stress tensor)と名付ければ,

 

νをPν≡∫d3=∫d3[∑rπr(∂φr/∂xν)-g]

定義すると,dν/dt=0 なる保存法則が見出されます。

 

(※ただし,計量テンソル(metric-tensor):gμνは,今対象の平坦

Minkowski時空ではημνと表現することが多いです。)

 

※(注6-2):一応,ν/dt=0 を証明しておきます。

 

μν/∂xμ=0 なので∂/∂x0/∂xkです。

 

テンソルμνはνを固定しておけば,4次元の共変ベクトルなので,

(k=1,2,3)は3次元ベクトルの成分です。

 

この空間ベクトルを-と書けば,/∂xk=-∇

なのでGaussの積分定理によって,

 

ν/dt=∫d3(∂/∂x0)=∫d3

=∫d(Tn)=0 を得ます。

 

(表面積分∫dは無限遠の閉曲面上を想定していますが,

そこでは,=0 です。)

 

(注6-2終わり)※

 

そして,既に見たように00=∑rπrφrdは,系のHamiltonian

密度:一致しています。

 

それ故,P0=∫d300は,系のHamiltonian:Hです。

よって.dP0/dt=0 はdH/dt=0 を意味します。

 

こうして,時間の一様性=時間の平行移動対称性から,

系のエネルギー(場のエネルギー):Hに対するエネルギー

保存則を得ました。

 

同様に,P=-Pk=∫d30k=-∫d3[∑rπr(∂φr/∂xk)]

は場の運動量の成分です。

 

dPk/dt=0 は運動量の保存d/dt=0 を意味します。

これは空間の一様性の反映です。

 

今日は,いつもの半分程度と短かい記事ですが,当座のツナギと

いうことで,取り合えず,ここまでにします。

 

次回予告ですが,まずは3つの直交座標軸の系をどの向きに

選んでも法則,理論は同じであるという空間の等方性という

対称性,つまり,軸の無限小回転に対してLagrangian密度,

および運動方程式が不変であるという対称性変換から角運動量

の保存則を見出すところからです。

 

科学記事もセッセと書かなきゃね。

 

(参考文献:J.D.Bjorken S.D.Drell 「Relativistic Quantum Fields」(McGrawHill)

 

PS:何故か,私の中古PCがここのところとても遅くイライラするので,

OSが古いけどお気に入りのXPであるせいなのかな?と思ってネット

で調べてみると,

 

お金をかけずにできる方法として,まず,デスクトップ画面を

右クリックしてプロパティを左クリックで選択して,カスタマイズ

しないを選び,

画面をwindowsクラシックの青だけの無地の背景にしたら,かなり

改善されました。

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コメント

windows→Windwos

投稿: 凡人 | 2013年3月16日 (土) 22時38分

=∑r[(∂L/∂φr)δφr+{(∂L/∂μφr)δ(∂μφr)}] ⇨ =∑r[(∂L/∂φr)δφr+{∂L/∂(∂μφr)}δ(∂μφr)]
∑r[(∂L/∂φr)εμ(∂φr/∂xμ)+{(∂L/∂μφr)εν(∂ν∂μφr)}] ⇨ ∑r[(∂L/∂φr)εμ(∂φr/∂xμ)+{∂L/∂(∂μφr)}εν(∂ν∂μφr)]
εμ(∂L/∂xμ)=∂μ∑r{∂L/∂(∂μφr)}εμ(∂φr/∂xν)} ⇨ εμ(∂L/∂xμ)=∂μ∑r{∂L/∂(∂μφr)}εν(∂φr/∂xν)}
energy^momentum ⇨ energy-momentum

投稿: hirota | 2013年3月16日 (土) 18時24分

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