« 入院中に撮った写真等 | トップページ | 順天大付属病院で検査。道すがら花の写真 »

2012年5月 8日 (火)

相対論的場の量子論(正準定式化)(14)

 相対論的場の量子論の続きです。

 

 前記事では,同一の時空点における局所演算子積:A^B^

 =A^(x)B^(x)の特異性のため,A^B^の真空期待値:

 <Φ0|A^B^|Φ0>に出現する無限大の零点エネルギー

 を簡単に除去する手段として,

 

 記号:A^B^:で表記される正規順序積(normal-ordering)を

 定義する,ところで終わりました。

 

 さて,今日はその続きとして,まず,積:φ^φ^=φ^(x)φ^(x)

 の正規順序積を取ります。

 

 これは,:φ^φ^:=φ(-)(-)^+2φ(-)(+)^

 +φ(+)(+)^ですが,これの真空期待値がゼロとなって

 消えることは明らかです。

   

 すなわち,

 φ(-)(-)^

 =∫d33'a^()a^(')fk(x)fk'(x), 

 φ(-)(+)^=∫d33'a^()a^(')fk(x)fk'(x),

 

 φ(+)(+)^=∫d33'a^()a^(')fk(x)fk(x)

 であり,かつ,a^(')|Φ0>=0 ですから,

 

 <Φ0|:φ^φ^:|Φ0>=∫d33'

 [<Φ0|a^()a^(’)|Φ0k(x)fk(x)]

 となりますが,

 

 ここで,a^()|Φ0>=0 のHermite共役を取れば,

 <Φ0|a^+()=0 となるため,

  

 <Φ0|a^()a^(')|Φ0>=0 となって,

 結局,<Φ0|:φ^φ^:|Φ0>=0 を得ます。

  

したがって,一般に,x1(x)φ^(x)}{Σy2(y)φ^(y)},

または,x{C1(+)(x)φ(+)^(x)+C1(-)(x)φ(-)^(x)}]

×y{C2(+)(y)φ(+)^(y)+C2(-)(y)φ(-)^(y)}]

で表わされるような,任意の双1次演算子積について,

 

正規順序を取れば,その真空期待値はゼロとなって消えます。

 

先に,離散的表現でのエネルギー・運動量演算子:

μ^=(1/2)Σμ(a^a^++a^+^)

=Σμ(a^+^+1/2)に対して,

 

これの代わりに無限大を差し引いて真空期待値がゼロとなる

新しい演算子:P'μ^≡Pμ^-<Φ0|Pμ^|Φ0

=Σμ^+^を定義して,これをPμ^に置き換える,

と述べました。

 

いかし,実際の連続的表現での運動量演算子:

j^=-∫d3π(,t)(∂φ(,t)/∂xj)

=(1/2)∫d3[kj{a^()a^+()+a^+()a^()}]

に,正規順序(normal-ordering)を適用すれば,

 

:Pj^:=-∫d3:π(∂φ/∂xj):=∫d3kkja^+()a^()

=P'j^となって,正規順序を取ることが,上の離散表現での無限大

引き算と同じ操作を意味することは明らかです。

 

(注14-1) :Pj^:=:-∫π(∂φ/∂xj)d3:

 =-∫d3:π(∂φ/∂xj):

 =-∫d3:{φ(+)d+φ(-)d}|(∂φ(+)/∂xj)+(∂φ(-)/∂xj)}:

 

 =-∫d3(-)d(∂φ(-)/∂xj)+(∂φ(-)/∂xj(+)d

 +φ(-)d(∂φ(+)/∂xj)+φ(+)d(∂φ(+)/∂xj)}

 =Pj^+∫d3(+)d,(∂φ(-)/∂xj)] です。

 

 然るに, 

 [φ(+)d,(∂φ(-)/∂xj)][∫d3∫d3'

=[(-iωk)a^()fk(x),(ik'j)a^(')fk'(x)]

=-(1/2)∫d33'(2π)-3kωk')-1/2kk'j)

[a^(),a^+(')]×exp{i(')-i(ωk-ωk')t}

です。

 

故に,∫d3(+)d,(∂φ(-)/∂xj)]

=-(1/2)∫d33'(ωkωk')-1/2kk'j)[a^(),a^+(')]

×δ3(')exp{-i(ωk-ωk')t} 

=-(1/2)∫d3{kj[a^(),a^+()]}

です。

 

 また,Pj^

 =(1/2)∫d3[kj{a^()a^+()+a^+()a^()}]

 です。

 

 したがって,

 

:Pj^:=Pj^+∫d3(+)d,(∂φ(-)/∂xj)]

 =(1/2)∫d3[kj{a^()a^+()+a^+()a^()

 -[a^()a^+()]}

 =∫d3{kja^+()a^ ()}=P'j^

  

 を得ます。 (注14-1終わり)※

 

同様に,:P0^:=P'0^=H'^=∫d3ka^+()a^()}

となることも示すことができます。

 

ここでは,正規順序の唯一の効果は,理論から零点エネルギーを

除去し真空状態Φ0をエネルギーゼロの状態として定義できるこ

とです。

 

先に,離散表現:Pμ^=Σμ(a^+^+1/2)で与えた,

エネルギー・運動量の固有値と固有状態の関係:

μ^Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

=Σ(n+1/2)kμΦ(nk1,nk2,..,nkr,..),および,

 

P'μ^≡Pμ^-<Φ0|Pμ^|Φ0>=Σμ^+^

から,P'μ^の固有値を見出すことができます。

 

すなわち,

P'μ^Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)=ΣμΦ(nk1,nk2,..,nkr,..)

(nkr=0,1,2,..) です。

 

各nomal-mode:に対する異なる固有状態は,n個の量子に相当

する4元運動量kμを与えます。

 

各々のについて,その固有状態は,Einsteinの関係式:

μμ=m2 に従う4元運動量kμと質量mを有すると

見えます。

 

ここに至って,正準量子化の手続きから,質量mを持つ1個,2個と

個数を数えられるような1つの粒子描像の出現が見られます。

 

各非負の整数n番目の運動量状態の占有数(occupation-number)

と呼ばれます。

 

そして,この量子個数(占有数):nの総目録{nk1,nk2,..,nkr,..}

が量子状態:Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)を完全に決定します。

 

ここで,N^≡a^で定義される個数演算子:N^

導入すれば便利です。これは非負の整数固有値を取ります。

 

すなわち,N^Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

=nΦ(nk1,nk2,..,nkr,..) (nkr=0,1,2,..) です。

 

(注14-2):Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)=ΠkΦk(nk)であり,

 Φ(n)≡(n!)-1/2(a^)kΦ(0)です。

 

 まず,N^Φ(0)=0 は明らかです。

 

 そして,N^Φ(1)=N^^+Φ(0)

 =a^+^+Φ(0)=^+[a,^+(0)

 =a^+Φ(0)=Φ(1)です。

 

 それ故,Φ(1)は固有値1に属するN^-固有状態です。

 

 ここで,仮に,Φ(nk)が,固有値nkに属するN^-固有状態

 であること:N^Φ(nk)=nΦ(nk)が成立している,と

 すると,

 

 N^Φ(nk+1)=N^(nk+1)-1/2^+Φ(nk)

 =(nk+1)-1/2^+N^Φ(nk)

 +(nk+1)-1/2^+[a,a^+(nk)

 =(nk+1)(nk+1)-1/2^+Φ(nk)

  

 つまり,N^Φ(nk+1)=(nk+1)Φ(nk+1)

 を得ます。

 

 それ故,帰納法によって,

 N^Φ(nk)=nΦ(nk) (nkr=0,1,2,..)が成立する

 と結論されます。

 

したがって,N^Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)=N^ΠkΦk(nk)

=ΣkΦk(nk)です。

 

(注14-2終わり)※

 

そして,正規順序を取ったエネルギ-・運動量演算子を

'μ^でなく,primeをはずして改めてPμ^と表記する

ことにすれば,個数演算子^を用いて,

μ^Σkμ^と書けます。

 

そして,交換関係,[a^,a'^+]=δkk',

[a^,a'^]=[a^+,a'^+]=0 から,

 

個数演算子:^≡a^+^とa^,a^+の交換関係が,

次のように書けることを示すことができます。

 

すなわち,まず,[N^,a'^+]=[a^+^,a'^+]

=a^+[a^,a'^+]+[a^+,a'^+]aより,

[N^,a'^+]=δkk'^+=δkk'k'^+  です。

 

他方,[N^,a'^]=-δkk'^=-δkk'' です。

 

これらと,Pμ^Σkμ^とを関連付けると,a^+

4元運動量がμの1量子を生成する生成演算子

(creation operator)を意味すると考えられます。

 

つまり,a^+は4元運動量がkμの量子個数がnkの状態から,

同じ4元運動量で量子個数が(nk+1)の状態を創出すること

を示していると考えられます。

 

すなわち,

μ^a^+Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

=a^(Pμ^+kμ)Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

k'k'μk’+kμ)a^+Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

です。

 

(注14-3):何故なら,

 Pμ^a^+Σk''μN^k'^

Σk'k'μ^N^' Σk(k'μ[N'^,a^]

=a^(Pμ^+kμ)

です。

 

それ故,Pμ^a^Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

 =k'k'μk’+kμ)a^Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

 を得ます。

 

(注14-3終わり)※

 

同様に,^は4元運動量がkμの1量子を消滅させる消滅演算子

(annihilation operator)を意味します。

 

^は4元運動量がkμの量子個数がnk(≧1)の状態から,量子個数が(nk-1)の状態を創出します。

 

しかし,特に,量子個数nkがゼロの状態(nk=0)にa^を作用させると,その状態そのものが消えてしまいます。

 

すなわち,

μ^a^Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

=a^(Pμ^-kμ)Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

k'k'μk’-kμ)a^Φ(nk1,nk2,..,nkr,..)

です。

 

演算子a^,およびa^の行列要素のうちでゼロでないものは,

占有数がn'k=nk±1の量子個数:n'kを持つ状態とnkを持つ状態

とを結び付けるものだけです。

 

すなわち,以下,Diracのブラケット(bra-c-ket)表示を用いて,

状態φk(nk)を|nk>と表示すれば,

 

<n'k|a^|nk>≡<φk(n'k)|a^|φk(nk)>

=(nk)1/2δn'kk-1,

 

<n'k|a^|nk>≡<φk(n'k)|a^k(nk)>

=(nk+1)1/2δn'kk+1

 

です。

 

(注14-3):何故なら,|n>=Φ(n)≡(n!)-1/2(a^)kΦ(0)

ですが,これは,<n'|n>=<φk(n'k)|φk(nk)>=δn'kk

と規格化されています。

 

そこで,<n'+1|n>=<φk(n'k+1)|φk(nk)>

=δn'kk-1より,

 

(n'k+1)-1/2<a^φk(n'k)|φk(nk)>

=(n'k+1)-1/2<n'k|a^|nk=δn'kk-1 です。

 

故に,<n'k|a^|nk>=(n'k+1)1/2δn'kk-1 を得ます。

 

他方,<n'|n+1>=δn'kk+1より,

(nk+1)-1/2<n'k| a^|nk)>=δn'kk+1なので,

<n'k|a^|nk>=(nk+1)1/2δn'kk+1 を得ます。

 

(注14-3終わり)※

 

 かなり,長くなったし切りがいいので,今日はここまでにします。

 

(参考文献:J.D.Bjorken & S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields" (MacGrawHill)

|

« 入院中に撮った写真等 | トップページ | 順天大付属病院で検査。道すがら花の写真 »

114 . 場理論・QED」カテゴリの記事

コメント

φ(+)^φ(+)^=∫d3kd3k'a^+(k)a^+(k')〜 → φ(+)^φ(+)^=∫d3kd3k'a^(k)a^(k')〜
[φ(+)d,(∂φ(-)/∂xj)][∫d3k∫d3k'=[ → [φ(+)d,(∂φ(-)/∂xj)]=∫d3k∫d3k'[
2つ目の(注14-3) → (注14-4)
=δn'knk-1 です。故に,<n'k|ak^+|nk>=(n'k+1)1/2δn'knk-1 → =δn'knk-1 です。故に,<n'k|ak^|nk>=(nk)1/2δn'knk-1
(nk+1)-1/2<n'k| ak^|nk)>=δn'knk+1なので,<n'k|ak^|nk>= → (nk+1)-1/2<n'k|ak^+|nk)>=δn'knk+1なので,<n'k|ak^+|nk>=

投稿: hirota | 2013年3月 3日 (日) 22時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 相対論的場の量子論(正準定式化)(14):

« 入院中に撮った写真等 | トップページ | 順天大付属病院で検査。道すがら花の写真 »