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2012年5月10日 (木)

続・数学の問題(入院中ニトライ)

 ブログネタも同じようなものばかりで特徴あるものは少ないので,退院直後にアップした「数学(算数?)の問題」の続きを書きます。

 

 前の記事では,最初の問題は入院初日の4/17の午後に解いた,と書きましたが,実は入院初日の17日は検査とか,必要品の買い物などやるべきことがたくさんありました。

 

 雑用を済ませた後,問題を見て考えて本に書いてあるヒントを見るのも癪なので,完全解答には17日の消灯後の夜中までかかりました。

 

入院中の日記を兼ねたノートによれば,次の18日には3問に挑戦していますが,18日中に解けたのは次の2問でした。

 

最初の問題を問1として番号を付けます。

 

問2.  0<a,b,c≦1のとき,次の不等式が成り立つことを示せ。

 

/(b+c+1)+b/(c+a+1)+c/(a+b+1)

+(1-a)(1-b)(1-c)≦1

 

(解答)まず,一般性を失なうことなく,a,b,cの大小関係を,

 0<a≦b≦c≦1と仮定する,ことができます。

 

 この条件下では,(a+b+1)≦(c+a+1)≦(b+c+1)ですから,

 1/(a+b+1)≧1/(c+a+1)≧1/(b+c+1) です。

 

そこで,a/(b+c+1)+b/(c+a+1)+c/(a+b+1)

(a+b+c)/(a+b+1)=1+(c-1)/(a+b+1)です。

 

 したがって,1+(c-1)/(a+b+1)+(1-a)(1-b)(1-c)≦1を示せば十分です。

 

 よって,(1-c){(1-a)(1-b)-1/(a+b+1)}≦0 を示せば十分ですが,(1-c)>0 なので,{(1-a)(1-b)-1/(a+b+1)}≦0 を示せばいいことになります。

 

結局,{1-(a+b+1)(1-a)(1-b)}≧0 を示せばいいです。

 

上式の左辺=-(a+b){1-(a+b)+ab}+{a+b-ab}

 =(a+b)2-ab(a+b)-abですが,

 

 正の数の相加平均は相乗平均より大きいので,(a+b)≧2a1/21/2

 ですから,結局,(左辺)≧(3ab-2a3/23/2) です。

 

そこで,簡単のためにX≡a1/21/2 とおくと,0<X≦1です。

 

そして,Xの関数f(X)≡3X2-2X3を考えると,f(0)=0であり,

0<X≦1では,df/dX=6X(1-X)≧0 なので,この範囲では

f(X)は単調非減少です。

 

故に,(X)≧0 (0<X≦1)と結論されます。

 

以上から,f(ab)=3ab-2a3/23/2)≧0,であり,そして,

(a+b)2-ab(a+b)≧f(ab)なので,

(a+b)2-ab(a+b)≧0,です。

したがって,-(1-c){(1-a)(1-b)-1/(a+b+1)}≦0 より,

 

/(b+c+1)+b/(c+a+1)+c/(a+b+1)

+(1-a)(1-b)(1-c)≦1

 

が証明されました。 (終わり)

  

(※PS:今思うと,

(a+b)2-ab(a+b)-ab≧3ab-ab(a+b)

=ab(3-a-b)=ab{1+(1-a)+(1-b)}>0 ですから,

微分までやることはなかったですね。

 

当時(3週間前)は,今より頭が柔らかくなかったようです。※)

  

問3.  任意の正の整数kに対して,S={21―1,..,22k-1}の元の

少なくとも1つは,(2k+1)で割り切れることを示せ。

 

(解答)まず,集合Sの位数,つまりSの元:21―1,..,22k-1の個数は

丁度 2kです。

 

そして,Sの各々の元を(2k+1)で割ったときの余りrは,

r=0,1,2,..,2k のいずれかです。

 

Sの元を(2k+1)で割ったときの余りがrであることを,

2n―1≡r mod(2k+1) (n=1,..,2k)と表現します。

 

仮にSの元の全てが(2k+1)で割り切れないとすると,

2n―1≡0 mod(2k+1),かつ1≦n≦2kを満たすnは存在しません。

 

ところが,もしも2p―1と2q―1の余りが等しいとすれば,つまり,

2―1≡2q―1 mod(2k+1)を満たすp,q(1≦q<p≦2k)が存在

するとすれば,2p-2q≡0 mod(2k+1)なので,

 

2q(2p-q-1)≡0 mod(2k+1)となりますが,偶数の2qが奇数の(2k+1)

で割り切れることはないので,これは,2p-q-1≡0 mod(2k+1)である

こと:(2p-q-1)が(2k+1)で割り切れることを意味します。

 

しかし,1≦(p-q)≦2kですから,1≦n≦2kを満たすnについて,2n―1≡0 mod(2k+1)となるnは存在しないという仮定から,

 

2―1≡2q―1 mod(2k+1)を満たすp,q(1≦q<p≦2k)は存在し

ません。

 

以上から,S={21―1,..,22k-1}の2k個の元を(2k+1)で割った余り

rは全て異なると結論されます。

 

しかも,(2k+1)では割り切れないのですから,余りrは.1,2,.,.2kのいずれかの2k個であって,しかもこれら全てを尽くします。

 

しかし,このことから2n―1≡2k mod(2k+1),かつ1≦n≦2kなるnが少なくとも1つ存在します。

 

このとき,2n≡2k+1≡0 mod(2k+1)ですから,この2nは(2k+1)で割り切れるはずです。

  

2のベキ乗の因数しか持たない2nが,奇数の(2k+1)を因数とするはずはないので,これは矛盾です。

 

そこで,1≦n≦2kを満たすnについて,2n―1≡0 mod(2k+1)となるnは存在しない,という仮定の方が誤りということになります。

 

謂わゆる背理法ですが,これで成立を証明すべき命題の真なることが示されました。(終わり)

 

そして,次の問4は18日中には解けず,結局,翌19日に最後にはヒント(ほぼ答)を見てしまいました。

  

この問4については本日は問題だけをアップしておきます。

 

問4. {xn}を,x1=x,(xはx>1なる実数),xn+1=xn2+xn ,

で定義される数列とする。

 

このとき,級数和:S=Σn=1{1/(1+xn)}を求めよ。

  

という問題です。

  

 これ以後もありますが,私は気紛れなのでブログでこの続きを書くかどうかはわかりません。

 

 でも,整数,数式や数列関連の問題を解くのが得意というわけではなく,ただそれを考えるのが好きな変態?であることは再認識しました。

  

(↑※入院のヒマつぶしに,算数や高校数学の難問?を考えるのはある種の変態(or オタク?)でしょう。)

 

私の弱点は空間図形などのパターン認識がからむ問題です。

 

私は,2次元でも地図を見てもわからず,しょっちゅう他人に聞かないとたどりつけないことが多々ある方向音痴です。(※左脳は何とか機能していても右脳はダメかな。。。)

  

一応,これも入院中の日記の1つをアップしたつもりですが,この手の記事は引用文献を書かないと単なる盗作ですから,タネ本を下に明示しておきます。

 

では,またね。

 

(参考文献):秋山仁+ピーターフランクル共著「(完全攻略)数学オリンピック(増補版)」(日本評論社)

 

PS:難問というと昔,「明聖アカデミー」という御茶ノ水の現役高校生専門予備校のアルバイトで,RQC(randomquestion corner)という教室で何でも質問を聞く講師というのをやってた時代を思い出します。

 

 その予備校の当時の数学主任のH先生の個別指導の宿題で出された数学難問集をRQCで毎回質問する高3なのに中学生のように見える小さくてかわいい女子高生がいて,他のまだ大学生の講師たちと解き方など相談していたことを思い出します。

 

 当時,私は9年間住んでいた江東区の木場から豊島区巣鴨に転居したばかりの40代中半から,50歳代にかかる頃でした。

  

 結局,彼女=K野さん,については,その後,正社員のH先生からアルバイトの私が数学の個別指導を引き継いだのですが,

  

 何と彼女の第一志望は千葉大教育学部で,第二志望は明治大学文系ということでしたから,数学が必要といってもセンター試験だけです。

 

 確かに難問をたくさん解く,考えるという勉強法もありますが,私はセンター試験の過去問を解く訓練をすれば十分と考えました。

 

 何ゆえに,自力ではほとんど解けず,毎回RQCで質問するような難問の宿題ばかりを出していたのか?とそのときは疑問に思いましたね。

 

 結局,その彼女,現役のときは千葉大を落ちて,数学は関係ない明治大には合格したので,私はK野ちゃんの何らかお役に立ったのか,邪魔をしたのかは不明です。

   

 なつかしいですね。

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コメント

 どもアーデルハイドさん。TOSHIです。

>明聖アカデミー倒産したんですね。
>しかも生徒から預かった学費も返せず。
 まるで詐欺みたいに

 その通りです。

 全く教育とは無関係に見える営業が
生徒を集めて親から授業料を前払いで
取るシステムですから,

 資金繰りがオカシクなると,取り付け
騒ぎになって,当然詐欺同然でしょう。 

 おかげで,そこの数学主任になり当時
私に池袋の電子専門学校の物理などの
非常勤講師の口を譲ってもらった

 友達のS田先生は,それ以後,行方不明
で私とは音信不通になりました。

 彼などは胡散臭い経営サイドとは全く
無関係で,純粋に人がよくて教育熱心な
名物教師でしたが。。。

 ではまた。。    TOSHI

投稿: TOSHI | 2012年5月12日 (土) 21時50分

明聖アカデミー倒産したんですね。しかも生徒から預かった学費も返せず。まるで詐欺みたいに。

投稿: アーデルハイド | 2012年5月12日 (土) 01時16分

この記事へのコメントは終了しました。

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