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2012年12月 5日 (水)

相対論的場の量子論(正準量子化)(34-2)(34の補遺)

前回,入院前最後の相対論的場の量子論(正準量子化)の記事は,

最後の結論的説明を書かないまま,中途半端に終わったので続き

を補遺として追加します。

 

まず,前記事の最後の部分は,

 

以上から,

Λ^(x,ε)≡∫d3{y2k d^(,t)}/(4π||)}

とおけば,

 

^(ε)Aλ^(x)U^-1(ε)

=Aλ^(x)-(i/2)εμν[Mμν^,Aλ^(,t)]

=Aλ^(x~)-ελσσ^(x)-ελσσΛ^(x,ε)

が得られます。

 

ただしλσが空間回転:εijのみの場合はΛ(x,ε)はゼロ,

または定数です。

 

したがって,このΛ^(x,ε)が,この変換に伴うゲージ変換の

ゲージ関数を与えることがわかります。

 

と書きました。今日はここからの続きです。

 

まず,このゲージ項が必要なことは明らかです。

 

何故なら,Φ^(x)=A0^(x)≡0 のとき,任意のユニタリ変換:

U^に対し,^Φ^(x)U^-1=U^A0^(x)U^-1=0 が成立する

ので

 

変換前の旧Loretz系における状態:|α>が,新Loretz系

(x~μ=xμ+εμνν)においては,あるユニタリ変換:

U^(ε)により,^(ε)|α>に変換されるとすれば,

 

^(ε)Aμ^(x)U^-1(ε)

=Aμ^(x~)-εμνν^(x)-εμννΛ^(x~,ε)

において,

 

μ=0 に対応するものは,左辺=U^A0^(x)U^-1=0 であり.

右辺=-ε0kk^(x)-ε0kkΛ^(x,ε) です。

 

したがって,左辺=右辺が成立するためには,ゲージ項が存在

しなければならないことがわかります。

 

このとき,電磁場Aμ^(x)の行列要素については,

<β|U^(ε)Aμ^(x~)U^(ε)|α>

+∂μ<β|U^(ε)Λ^(x~,ε)U^(ε)|α>

=Sμν(ε)<β|U^(ε)Aν^(x)U^(ε)|α>

が成立します。

 

つまり,U^(ε)Aμ^(x)U^-1(ε)

=Aμ^(x~)-εμνν^(x)-εμννΛ^(x~,ε)

なる構造から,

 

Loretz系での場の演算子:Aμ^(x~)はMaxwell方程式を満足し,

それ故,この量子論定式化においてもMaxwell方程式は共変である

ことがわかります。

場の従うべき基本方程式が不変という意味では,理論は共変である

といえます。

 

※(注1):物理的観測量としての場は,その行列要素:

<β|Aμ^(x)|α>で与えられ,これが古典的場の電磁ポテンシャル

μ(x)に対応していて,Maxwell方程式を満足します。

 

そして,新Loretz系での同じ行列要素は,

<β|U^(ε)Aμ^(x~)U^(ε)|α>

=Sμν(ε)<β|U^(ε)Aν^(x)U^(ε)|α>

で与えられます。

 

これが古典的電磁場のポテンシャル:

A~μ(x~)=Sμν(ε)Aμ(x)に対応しているため,

古典電磁気学において,Maxwell方程式は共変である,という

対応原理が成立しています。

 

(注1終わり)※

  

そして,さらなる要請は,新Loretz系での場を~(x~)と書くと,

 

横波(Coulombゲージ)の条件:∇~~(x~)=0 が保持されること,

 

および,新Loretz系においても,旧Lorentz系と同じ,修正された

正準交換関係が保持されることです。

 

これらのことは,具体的計算から容易に証明できます。

 

※(注2):上記の言明は,:^(x)を,その行列要素:

<β|^(x)|α>と同一視したときの表記を^(x)とし,

 

x~における行列要素:<β|U^(ε)^(x~)U^(ε)|α>を,

~(x~)と見たときの関係です。

 

(x~)=<β|U^(ε)^(x~)U^(ε)|α>であるという

見地からは,

 

~~(x~)=0 は,∇~~(x~)

=<β|U^(ε)∇~^(x~)U^(ε)|α>

により,∇~^(x~)=0 を意味します。

そして,∇~(x~)=∂~kk^(x~)

(∂k+εν)Ak^(xμ+εμνν)

=∂k{Ak^(x)+εμννμk^(x)}+ενk^(x)

 

=∂kk^(x)+(εμk+ε)∂μk^(x)

+εμννμkk^(x)

=∇(x)+εμννμ{∇(x)}0

です。

  

すなわち,確かに∇~^(x~)=0 を得ます。

  

しかし,当時のノートにある通りに書きましたが,

さすがにこれは重箱の隅の蛇足で,ヤリ過ぎです。

   

つまり,関数^(x)が∇^(x)=0 を満たすなら,

この等式はx=xμについての恒等式です。

 

^(x)=0 は任意のxについて成立する等式なので,

xをx~に変えただけの~^(x~)=0 が成立するのは 

確かめるまでもないことでした。

 

x → x~ がLorentz変換でなくても成立することです。

  

 また,場(x~)は,~μをc-数のパラメータとする演算子です。

   

 そこで,lorentz変換に対して単にユニタリ変換を受けるだけ,

   

 つまり,~(x~)=<β|U^(ε)^(x~)U^(ε)|α>

 =S(ε)<β|^(x)|α>より,

 ^(x~)=U^(ε)^(x)U^(ε)となるだけですから

  

 任意の準拠Lorentz系で同時刻交換関係を取れば,

 元の準拠Lorentz系での交換関係:[ , ]はc-数なので,

 U^(ε)[ , ]U^(ε)=[ , ]となるため,

 

 それらが,元の準拠Lorentz系での交換関係と一致するのは

 明らかです。

   

 (注2終わり)※

   

 こうして,各準拠Lorentz系で,^0,かつ,0^=0 の

 輻射ゲージを取って,量子電磁力学

 (QED:Quantum ElectroDynamics)を定式化すると,

  

 相対的に運動している観測者OとO~のそれぞれが認識する状態

 を関連付ける1つのユニタリ変換を確実で合理的なモノとする

ことができるわけです。

   

今日は,ここで終わります。

  

(参考文献):J.D.Bjorken S.D.Drell "Relativistic Quantum Fields" (McGrawHill)

  

PS:勘三郎さんの急死に驚いて前記事の訃報を書かなければ,今朝予定

していた本記事のアップはもっと朝早くできていたはずでした。

 

おかげでアップは出勤前となり,まず文字を拡大したあと,一所懸命に

2時間ほど,出かける時刻をイツモより30分遅らせて添削し編集して後

少しというトコロで,フリーズして

  

わゆるMicrosoftに「送信する?」,「送信しない/?]のエラーメッセージ

が出て.アチャーとなって徒労が決まり,,心残りしながらも夕方帰宅する

までそのままでした。

  

こういうのも心臓に悪いですね。

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114 . 場理論・QED」カテゴリの記事

コメント

やはり、Windowsの場合は、gvimrcに
set iminsert=0
set imsearch=0
を設定するのが正解でした。
どうもすみませんでした。

投稿: 凡人 | 2012年12月13日 (木) 00時33分

xをx~を変えただけの → xをx~に変えただけの
交換関係:{ , ]はc-数 → 交換関係:[ , ]はc-数
ことができうわけです → ことができるわけです

投稿: hirota | 2012年12月10日 (月) 16時55分

>少しというトコロで,フリーズして
http://www.vim.org/ からvimをダウンロードしてインストールし、vimrcファイル等で、
例えば
set ut=300000
と設定すれば、5分以上前の更新内容を失わない様に出来ます。
また、Windowsの場合は、
set iminsert=1
set imsearch=1
も設定した方が良いでしょう。

投稿: 凡人 | 2012年12月 5日 (水) 22時01分

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