タキオンと因果律(再掲)
新年になりましたが.作年12月後半からっずとと科学記事がないのも
私のブログらしくなくてサビしいと感じたので,私得意の手抜きとして
昔の記事を再掲載してツナギにしたいと思います。
ブログを始めてまだ3ヶ月くらいの2006年6/29の過去記事
「タキオンと因果律」を再掲します。
この記事は.このところずっと古典電磁気学を復習していて,過去の
シリーズ「電磁気学と相対論」や「電場と電束密度,磁場と磁束密度」
をチェックしているうちに遭遇し,
参考文献が記述してなかったので.我ながら元ネタは何だろうか?
と数日間探しているうち,やっとメラーの「相対性理論」の中に
あることを発見できたモノです。
元ネタを探していたのは図を挿入するためで,元本には恐らく図がある
と思い.それを参考にするかスキャナーで取り込めると期待していたか
らです。
結局.年末に元ネタはわかりましたが,図はなかったので自分で描こう
としました。
しかし,作成中にワードがオカシクなって全部消えたので頭来てPending
にしていて気分落ち着いたので.さっき文章だけアップした後でボチボチ
描いて挿入しました。
再掲記事でなく元記事に挿入するためなので,後で入れときます。
ある意味.今年の初仕事ですね。
※以下,再掲載記事です。
相対論ではタキオン(超光速粒子)の存在は否定されません。
これは虚数の質量を持ち光速より遅い速度では走ることができず,
エネルギーを貰えば貰うほど速度が遅くなるという不思議な粒子
です。
これが存在すると,因果律(原因の方が結果より前:という基本法則)
が破られます。
因果律が破られる事実は具体的には次のように示されます。
まず,ある座標系,これを仮に静止系Sとします。
この系に対して,x軸の正の向きに相対的に等速度運動している系S'
を考えます。
それは宇宙船に固定された系であるとしてもかまいません。
ただし,これはタキオンではないのでその速度の大きさvは
光速cより小さいとします。
静止系Sと運動系S'の双方の時刻ゼロ(t=t'=0 )に,双方
の座標系の原点が一致する(x=x'=0 となる)ように座標系
を取ります。
そして,x 軸の正の向き(=右向き)に運動する系S'の原点に
固定されている宇宙船から,時刻ゼロ(t=t'=0 )に光速より
速いタキオン信号をこの運動系でのx軸であるx'軸の負の向き
に発信します。
この信号を原点よりも左遠方のある位置で受け取った静止S系
にいる人が,受け取ったと同時に別のタキオン信号をx軸の正の
向きに返して,最初から静止S系の原点にじっとしていた別の人
が受け取るとします。
相対論のLorentz変換を使って,これを計算すると,最後に戻した
信号が静止していた原点にいる人に到達する時刻が静止系で負
になります。
そこで,じっと原点に静止していた観測者が時刻ゼロにすれ違った
宇宙船が信号を発するよりも前に,戻ってきたタキオン信号を受け
取ることになります。
つまり,信号を発する前に信号が返ってくるという不思議なことに
なりますから,これは未来の情報が過去に伝わるという現象の例に
なっています。
これで因果律は破れます。
では具体的な計算を見てみましょう。
宇宙船の速さをv<c,タキオンの速さをw>cとして2次元
のLorentz変換で計算します。
一般的に扱うために宇宙船から発射するタキオン信号の速さを
w1,受け取ってから返すタキオン信号の速さをw2とします。
ただし,w1,w2>cです。
最初にタキオンを発信するときの位置は,原点x=x'=0 で,
そのときの時刻はt=t'=0 です。
ただし,前の説明段階でも述べたように,信号を受けて返す人の
慣性系(静止系)をS,それに対して速度vで運動し宇宙船が静止
して見える慣性系をS'として,S系の2次元座標を(x,t),
S'系での同じ点の座標を(x',t')としています。
そして,宇宙船から発信された最初の信号が左遠方の別の人に届
くまでの時間(届く時刻)を宇宙船S'系の時刻でt1'とします。
すると,届いたときの点のx'座標は,明らかにx1'=-w1t1'
です。
このとき,静止している観測者の系からみた位置での時刻は,
t1=γ(t1'-vw1t1'/c2)=γt1'(1-vw1/c2) です。
ただし,γ={1-(v/c)2}-1/2です。
そして,観測者の系からみた位置座標は,
x1=γ(x1'+vt1')=γt1'(v-w1)
です。
この時刻t1に,位置x1から速度w2で信号を返します。
この信号が原点に静止している別のS系の観測者に届く時刻を,
その原点に静止している人の時刻でt2とし,これを求めます。
x1+w2(t2-t1)=0 (原点)ですから,これに,
x1=γt1'(v-w1),t1=γt1'(1-vw1/c2)を代入
すると,γt1'(v-w1)+w2t2-γw2t1'(1-vw1/c2)=0
となります。
これを解けば,t2=γt1'{1-vw1/c2+(w1-v)/w2}
を得ます。
したがって,例えばw1>c2/vかつw2>(w1-v)であれば,
2<0 ですから,信号を発信した時刻t=0 より前に,まだ発信
してもいない信号が返って来ることになり,これは因果律を破
ってしまいます。
もしも,w1=w2=wならt2=γt1'{2-v(w/c2+1/w)}
です。
そこで,w>c2(1+1/γ)/vの条件でt2<0 になりますから,
発信信号と返信信号のタキオンの速さが全く同じであるとし
ても因果律を破ることが可能です。
w=cの臨界値,つまり信号がタキオンではなくて真空中の光
=電磁波"なら,受けて返した信号が原点に届く時刻は,
t2=2γt1'(1-v/c)であり,このt2はv<cなら正,
v=cならゼロです。
この例では,光速を超えるだけでは因果律が破られるとは限らず,
もうちょっと大きい速度のタキオンが必要なようです。
(※これはチョッと計算を間違えたかな?)
しかし,宇宙船の速度vも光速に近くなれば信号速度が光速を超
えただけで因果律が成立しないことにはなりますね。
もしも,どこかに計算間違いありましたら,ご指摘ください。
PS:ここで用いたLorentz変換は光速度不変に基づくもので,
相対論的運動学(幾何学)の式です。
力学(mechanics or dynamics)を導入せず,運動学(kinematics)
だけの話なら,議論に質量は入ってこないので虚数質量という
問題も生じません。
また,S'系のSに対する相対速度の大きさvがv<cを満たす
なら.γ={1-(v/c)2}-1/2も普通の実数です。
この例では,信号速度の大きさwについてw>cであっても,
宇宙船の速度の大きさvが超光速,つまり,v>cでない限り
はγが虚数になることはないので普通に計算できて因果律の
議論ができるのですね。
(再掲記事終わり※)
PS:バカヤロー。。
ほんのちょっとだからよかったものの。アップした記事の
修正・編集をしている最中にwindowsのシャットダウンなんか
するなよな。。
偶然どっかのキイに触ったかも知れないけれど,オレにホットキイ
なんか余計なお世話で必要ないからネ。。
こいつは,初春(はる)から極めてエンギが悪い。。
さて,今から日本テレビで箱根駅伝でも見ます。
日テレでは高校サッカー中継もあるみたいです。
私の故郷の岡山県代表はどこだろう。。普通は作陽高校ですが。。。
年末の高校駅伝も例年通り,男子は倉敷.女子は興譲館で優勝では
ないけどそぞれ.4位.2位とそこそこ活躍したようです。
高校野球の秋の神宮大会でも関西高校が準優勝と,これまでのお隣
の広島県ほどではないですが.いくつかのスポーツで全国区になりつ
つあるようです。
自分の馴染み」深い愛着のある地域や人々を愛すること,故郷を愛することは
必ずしもナショナリズムじゃなくて,,たとえいつか世界連邦のように国家が発展
的に消滅して地球が1つになったとしても残る感情でしょうね。
| 固定リンク
「105. 相対性理論」カテゴリの記事
- 記事リバイバル⑪(ロ-レンツ変換の導出)(2019.01.16)
- タキオンと因果律(再掲)(2013.01.02)
- Diracの空孔理論(2)(荷電共役)(2011.12.20)
- Diracの空孔理論(1)(2011.11.29)
- 水素様原子の微細構造(補遺5-2)(2011.11.23)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント