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2013年2月 8日 (金)

強い相互作用(湯川相互作用)(13)

強い相互作用(湯川相互作用)」のπ-N散乱の続きです。

 

このところ,巣鴨駅で朝7時過ぎの電車に乗るため,7時前後に

自宅から出かけて,見習い仕事の後,17時前には帰宅し,軽い

夕食を取った後,いつのまにか疲れて爆睡していて,

 

目覚めてからやっと自分の時間で,まだ眠いと感じれば再び寝て,

そうでなければ朝まで起きていてそのまま出勤という生活になっ

ています。

 

"家族"に逢いに飲み屋に行くとしても,金もないのですが,まだ

普通に週末くらいに行くしか,心も身体も余裕がありませんね。

 

帰宅直後に何か作業しようとしても長続きせず,ベッドに横た

わってしまいます。帰宅直後は部屋が寒いこともありますが。

 

今日は,昨夜10時頃まで起きていて寝た後,朝4時前に目覚め,

比較的時間があったので,毎日1~2時間ずつ書きためていた

原稿をアップします。

 

今日は,これまでの湯川モデルに基づく散乱振幅の近似計算結果

を用いて,実験と比較することが可能な散乱断面積を試算する節

に移行します。

 

§10.8π-N散乱の断面積

(Cross Sections for Pi-Nucleon Scattering)

 

固定された初期,終期spinに対して,散乱の微分断面積は,

dσ=||2/(2ω1|q1p1|)(M/E1)

(2ω2)-132(M/E2)d32(2π)-2δ4(q2+p2-q1-p1)

で与えられます。

 

※(注13-1):散乱振幅:Sfiと不変振幅,の関係は,今のπ-N散乱

 では,Sfi(2π)-6{M2/(4E12ω1ω2)}1/2

 (2π)4δ4(q2+p2-q1-p1)です。 

 

 それ故,衝突領域全体の体積をV,衝突時間をTとすると,

 

 単位時間,単位体積当たりの遷移確率は,

 (VT)-1|Sfi|2=(2π)-12{M2/(4E12ω1ω2)}

 ×{(2π)4δ4(q2+p2-q1-p1)}2||2

 で与えられます。

 

 ところが,{(2π)4δ4(q2+p2-q1-p1)}2

 =(2π)4δ4(q2+p2-q1-p1)(2π)4δ4(0)であり,

 慣例通り,V=(2π)3δ3(0),T=2πδ(0)とすることで,

 

 (VT)-1|Sfi|2

 (2π)-8{M2/(4E12ω1ω2)}δ4(q2+p2-q1-p1)||2

 と書けます。 

 

 そして,入射粒子の流束密度:つまり,標的Nに向かって進む入射

 粒子πの単位面積当たり単位時間当たりの粒子数:Jincは,

 

 入射粒子数πの密度ρがρ=1/Vで与えられるように規格化されて

 いるため,inc =ρ|q1p1|=|q1p1|/V です。

 

入射粒子:π1個当たり,標的粒子:N1個当たりの値を求めるには,

全体をこれらの両方で割る必要があります。 

 

さらに,散乱後のπ,および,Nの状態密度は,それぞれ,

V(2π)-332,および,(2π)-33です。

 

以上から,この散乱の微分断面積dσは,

dσ

(VT)-1|Sfi|2{|q1p1|/V}-1(1/V)-12(2π)-63232

(2π)-14{M2/(4E12ω1ω2)}δ4(q2+p2-q1-p1)2

×||2|q1p1|-143232

で与えられることがわかります。

 

残ったVの因子は,実際には領域Vは無限大で規格化はデルタ関数

式なので,Vを(2π)3で置き換えればよいため,結局,

 

dσ=(2π)-2δ4(q2+p2-q1-p1){M2/(4E12ω1ω2)}

||2|q1p1|-13232 

が得られるわけです。

 

(注13-1終わり)※

 

得られた,断面積:dσ

||2/(2ω1|q1p1|)(M/E1)(2ω2)-132(M/E2)d32

(2π)-2δ4(q2+p2-q1-p1) から,

 

重心系でM → ∞の非相対論的極限では,

(dσ/dΩ)C.M.~ {1/(16π2)}||2

となることがわかります。

 

※(注13-2):質量がm,4元運動量がpμ=(E,)の粒子については,

 公式:(2E)-13=∫-∞4pδ(p2-m2)θ(p0) が成立します。

 

それ故,∫d32(2E2)-1δ4(q2+p2-q1-p1)

=∫-∞42δ4(q2+p2-q1-p1)δ(p22-M2)θ(p20)

=δ((q1+p1-q2)2-M2)θ(ω1+E1-ω2) です。

 

そして,

(q1+p1-q2)2-M2

=μ2+M2+μ2+2p11-2p12-2q12-M2

2+2E1ω1-2E1ω2-2ω1ω2-211+212+212

です。

 

重心系なので,11=0:1=-1ですから,結局,

(q1+p1-q2)2-M2

=-2ω2(E1+ω1)+2(12+μ2)+2ω11

=-2(E1+ω1)+2ω1(E1+ω1)

2(ω1-ω2)(E1+ω1) 

となります。

 

したがって,δ((q1+p1-q2)2-M2)

=δ((ω1-ω2)(E1+ω1))

=δ1-ω2)/(E1+ω1)-1 です。

 

そして,(2ω2)-132=(2ω2)-122dq2dΩ

=(1/2)q2dω2dΩ です。

 

(※ 何故なら,q2≡|2|ですが,ω22=q12+μ2より,

2dω2=2q2dq2で,故に,(1/2)q2dω2=(2ω2)-122dq2

となるからです。)

 

因子:θ1+E1-ω2)はdω2の積分範囲が,ω2 ≦ω1+E1:

つまり,∫-∞ω1+E1dω2であるべきことを示しています。

 

さらに,因子:|q1p1|-1では,q111,q11/E1

であり,重心系なので1=-1ですから,

q1p11(1/ω1+1/E1) です。

 

以上から,dσの||2を除く因子は,

{2q1(1+ω1/E1)}-1(M/E1)(q2/2){M/(E1+ω1)}(2π)-2dΩ

ですが,

 

低エネルギーの静的近似では1<<E1 2<<E2,

1 ~ E2  , ω1=(q12+μ2)1/2=ω2=(q22+μ2)1/2

より,1 ~ q2ですから,

 

結局,重心系(Center of mass frame)のπ-N散乱の静的近似

では,この因子が,

{2q1(1+ω1/E1)}-1(M/E1)(q2/2){M/(E1+ω1)}(2π)-2dΩ

(16π2)-1dΩとなるため,

 

πに対して,dσ/dΩ ~ {1/(16π2)}||2 なる表現

が得られました。 (注13-2終わり)※

 

この重心系でM → ∞の非相対論的極限の微分断面積の表現式:

(dσ/dΩ)C.M.~ {1/(16π2)}||2 に,

 

先に求めた,不変振幅の近似式:

(-ig02/M)[u(22]

φ2|(P1/2^+P3/2^)|φ1>]u(11

{ig02/(4M2ω)}(4πq2/3)u(22

φ2,2|(811^+231^+213^-433^)|φ1,1>u(11

 

を代入して,∫dΩ Qi^|>< |Qj^=Qjij etc.

を適用します。

 

特殊な散乱過程に対してdσ/dΩを評価するため,適切な

π中間子のアイソスピン波動関数φiと運動量i,および,

対応する核子Nのアイソスピンχiを上記の不変振幅:の表現

に挿入します。

 

π中間子のspinはゼロですが,核子のspinは1/2ですから,特殊な

spinに偏極していない断面積については,いつものように核子の

spinにわたる総和を取ります。

 

例として,

π-p散乱(I3=3/2なので,I=3/2チャネルのみが寄与する)

考えます。

 

におけるP波の項:

{ig02/(4M2ω)}(4πq2/3)u(22

φ2,2|(811^+231^+213^-433^)|φ1,1>u(11

において,I=J=3/2(L=1)を除く全ての寄与を無視すると,

 

11^≡Pi/2^Q1/2^,13^≡Pi/2^Q3/2^,31^≡P3/2^Q1/2^,

33^≡P3/2^Q3/2^より,

 

χpφ2,2|33^|φ1,1>χp

={3/(4πq2)}{21-(1/3)(σq2)(σq1)}

です。 

 

※(注13-2):χpφ2|P3/2^|φ1>χp

 =χp{φ2φ1-(1/3)(τφ2)(τφ1)}χp

 =χp{(2/3)φ2φ1-(1/3)iτ(φ2×φ1)}χp です。

 

ここで,アイソスピン波動関数(場の演算子)のベクトル表現は,

 

φ123);φ1≡(φ+φ-)/√2,φ2≡i(φ-φ-)/√2,

φ3=φ0, or φ≡(φ1-iφ2)/√2,φ=φ=(φ1+iφ2)/√2,

φ0=φ3

であったことを思い起こします。

 

しかし,1粒子状態のケット・べクトルとしては,φ123

対応するものを,|φ(1)>,|φ(2)>,|φ(3)>と書けば,

 

π中間子の状態を示す |φ>は,

|φ>=(|φ(1)>+i|φ(2)>)/√2

で与えられます。

 

(※つまり,軌道部分の波動関数をφ(,t)とすると, 

例えば,|φ(1)>の波動関数は.軌道部分とアイソスピン部分

直積として,φ(,t)(1,0,0)=(φ(,t),0,0)を意味し,

 

また,内積<φ(1)|φ(1), 

φ(1)|φ(1)>=(1,0,0)t(1,0,0)∫d3φ(,t)φ(,t)

を意味します。)

 

今の場合のベクトルの内積:φ2φ1φ2|φ1>を意味し,

φ(i)は実ベクトルであって,φ(i)φ(j)=<φ(i)|φ(l>=δij

規格化されています。

 

そこで,φ1=(φ(1)+iφ(2)/√2, φ2=(φ(1)-iφ(2))/√2

なので,φ2φ1(1/2)(φ(1)-iφ(2))(φ(1)+iφ(2))

(1/2)(<φ(1)|φ(1)>+<φ(2)|φ(2)>)=1 です。

 

また,φ2×φ1(1/2)(φ(1)-iφ(2))×(φ(1)+iφ(2))

(i/2)(φ(1)×φ(2)φ(2)×φ(1))=i(0,0,1)なので, 

(φ2×φ1)=τ3です。

 

以上からpφ2|P3/2^|φ1>χp

=χp{2/3+(1/3)τ3p=χpχp1

を得ます。

 

しかし,アイソスピンの固有状態を|I,I3>で表現すると,

|3/2,3/2>=|φ1>χpであり,3/2^はアイソスピンの射影

演算子ですから,

 

χpφ2|P3/2^|φ1>χp=<3/2,3/2|P3/2^|3/2,3/2>=1

となるのは,こうした煩雑な計算をする必要もなく,実は,

定式化から自明なこと でしたね。

 

そして,一方,2|Q3/2^|1

={3/(4πq2)}{21-(1/3)(σq2)(σq1)}

ですから,

 

χpφ2,2|33^|φ1,1χp

=χpφ2,2|P3/2^Q3/2^|φ1,1χp

=χpφ2|P3/2^|φ1>χp2|Q3/2^|1

{3/(4πq2)}{21-(1/3)(σq2)(σq1)}

を得ます。 

 

(注13-2終わり)※

 

核子Nの終状態のspinにわたる総和を取り,始状態spinにわたって

平均すると,π-p散乱のP波では,

 

~ -{ig02/(4M2)}(4πq2/3)u(22

(4/ω){3/(4πq2)}{21-(1/3)(σq2)(σq1)}

なので,

 

(1/2)Σspins||2=(1/2){g02/(4M2)}2(4/ω)2

Σspins|u(2){21-(1/3)(σq2)(σq1)}u(1)|2

{g02/(M2ω)}2(1/2)Tr[{21-(1/3)(σq2)(σq1)}

{21-(1/3)(σq2)(σq1)}]

 

{g02/(3M2ω)}2{2212+3(21)2}

を得ます。 

 

※(注13-3):

 Σspins|u(2){21-(1/3)(σq2)(σq1)}u(1)|2

=Σ1,s2[u(2)α{(21)δ-(1/3)(σq2)(σq1)}αβ

u(1)β(1)γ{(21)δ-(1/3)(σq1)(σq2)}γδu(2)δ]

です。

 

ただし,δは2×2単位行列です。

 

()は,

u(p,s)≡(u(),u())=(u(s),σpu(s)/M)

で定義された2成分spinorであり,

 

s=±1/2(spinのup,down)に応じて,()=(1,0),(0,1)

であることを思い起こすと,

 

Σ=±1/2()α()β={(1,0)(1,0)+(0,1)(0,1)}

=δαβ ですから,

Σs1,s2[u(2)αu(1)β(1)γu(2)δ]=δδαδβγ

より,

 

Σ1,s2[u(2)α{(21)δ-(1/3)(σq2)(σq1)}αβu(1)β

(1)γ{(21)δ-(1/3)(σq1)(σq2)}γδu(2)δ]

{(21)δ-(1/3)(σq2)(σq1)}αβ

{(21)δ-(1/3)(σq1)(σq2)}βα

 

=Tr[{(21)δ-(1/3)(σq2)(σq1)}

{(21)δ-(1/3)(σq1)(σq2)}]

です。

 

それ故,

Σspins|u(2){21-(1/3)(σq2)(σq1)}u(1)|2

=Tr[(21)2δ

-(1/3)[(σq2)(σq1)+(σq1)(σq2)](21)

(1/9)(σq2)(σq1)(σq1)(σq2)]

=Tr[(1/3){(21)2+(1/3)2212}δ]

(2/9){2212+3(21)2} 

が得られました。

(注13-3終わり)※

 

この結果:

<||2>=(1/2)Σspins||2 

{g02/(3M2ω)}2{2212+3(21)2}

={g02/(3M2ω)}24(1+3cos2θ) ,

(dσ/dΩ)C.M.~ {1/(16π2)}<||2

に代入すれば,

 

慣性中心系(重心系)でのπp散乱の微分断面積への

I=J=3/2 の寄与として次式を見出すことができます。

 

すなわち,

[dσ33p)/dΩ] C.M. ~ {4f2/(3ωμ2)}24(1+3cos2θ)

です。

 

ここで,以前のように,f2≡{g02/(4π)}{μ/(2M)}2

を導入しました。

 

しかし,この式は,ほとんど当てになりません。

 

何故なら,これは既にS波散乱で,オーダーをうまく評価できず

失敗したBorn近似に基づいているからです。

 

しかしながら,これは散乱角θに対する角分布:(1+3cos2θ)を

予測しているのが重要な利点です。

 

この角分布は,π中間子のエネルギーの150 ~ 200MeVの領域で

近似的に実験との一致が見られています。 

 

さらに,このエネルギー領域では,散乱断面積の比が計算値の

それに近い,と評価されています。

 

つまり,I=J=3/2のみのチャネルの散乱で総断面積の比が,

σp→πp):σ(πp→π0n):σ(πp→πp)

9:2:1 と計算されることが,近似的に実験結果と一致する

ことがわかっています。

 

これは,πと核子Nの間の謂わゆる強い相互作用に,確かに,

アイソスピン(isotopic-spin:荷電スピン)の対称性が存在

ることの1つの証拠を与えるものですが,

 

長くなり過ぎたので,これらの説明は次回に譲ることにして,

今日はここまでにします。

 

(参考文献):J.D.Bjorken S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics" (McGrawHill)

 

PS:今日はまた,健康診断を予約していて,その後,その医院から

出社ということで朝9時前後に自宅を出ればいいので余裕です。

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コメント

<φ2|P3/2^|q1> → <φ2|P3/2^|φ1>

投稿: hirota | 2013年2月14日 (木) 00時33分

全体のの体積 → 全体の体積
Pi/2^ → P1/2^
ベクトryの内積φ2*φ1ば → ベクトルの内積φ2*φ1は
φ(i)φ(j)=<φ(i)|φ(l> → φ(i)φ(j)=<φ(i)|φ(j)>
φ1=(φ(1)+iφ(2)/√2, φ2*=(φ(1)-iφ(1))/√2 → φ1=(φ(1)+iφ(2))/√2, φ2*=(φ(1)-iφ(2))/√2
φ(1)×φ12)-φ(2)×φ11) → φ(1)×φ(2)-φ(2)×φ(1)
{g02/(3M2ω)q4 → {g02/(3M2ω)}2q4
f2≡{g02/(4π)}|μ/(2M)}2 → f2≡{g02/(4π)}{μ/(2M)}2

投稿: hirota | 2013年2月13日 (水) 00時39分

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