« またも足に激痛。。心臓も何か痛い。。 | トップページ | 訃報!光本幸子さん。 »

2013年2月24日 (日)

強い相互作用(湯川相互作用)(14)

強い相互作用(湯川相互作用)」のπ-N散乱の続きです。

 

前回最後の,散乱断面積の比が,

σp→πp):σ(πp→π0n):σ(πp→πp)

9:2:1 と計算される理由からです。

 

※(注14-1): まず,前記事で示したように,

χpφ|P3/2^|φ>χ=1です。

 

一方φ0|P3/2^|φ>χ

=χn{φ0φ-(1/3)(τφ0)(τφ)}χp

=χn{(2/3)φ0φ-(1/3)iτ(φ0×φ)}χp

ですが,

 

φ0φφ(3)(φ(1)-iφ(2))/√2=0

φ0×φ(φ(3)×φ(1)-iφ(3)×φ(2))/√2

(φ(2)+iφ(1))/√2=i)(φ(1)-iφ(2))=iφより, 

 

(1/3)iτ(φ0×φ)=(τ1-iτ2)/(3√2)

です。

 

1-iτ2p =2τ-χp=2χnなので.

χn{(2/3)φ0φ-(1/3)iτ(φ0×φ)}χp=√2/3

を得ます。

 

同様にφ|P3/2^|φ>χ 

=χ{(2/3)φφ-(1/3)iτ(φ×φ)}χ

2/3-(1/3)χpτ3χ=1/3 

 

よって,I=3/2のチャネルにおける πp→πp,πp→π0n,

πp→π

の散乱振幅(S行列要素Sfi)の比は,1:√2/3:1/3,

それ故,確率の比は,9:2:1 となることがわかります。

 

あるいは,別解,というと高校生,大学受験の頃の問題解答を思い

出しますが,

 

アイソスピン固有状態を|I,I3>で表現すると,

|π>=|1,1>,|π0>=|1,0>,|π>=|1,-1>

|p>=|1/2,1/2>,|n>=|1/2,-1/2> です。

 

そこで,これらの合成から得られる状態のうち,

I=3/2の固有状態は,

|3/2,3/2>=|1,1>|1/2,1/2>=|πp>,

 

3 |3/2,1/2>=√2 |1,0>|1/2,1/2>+|1,1>|1/2,―1/2>

より,

|3/2,1/2>=(√2/√3)|π0p>+(1/√3)|πp>,

 

同様に,|3/2,-1/2>

(√2 /√3)|1,0>|1/2,-1/2>+(1/√3)|1,-1>|1/2,1/2>

(√2/√3)|π0n>+(1/√3)|πp>,

 

|3/2,-3/2>=|1,-1>|1/2,-1/2>=|πn>

です。

 

参考のために,I=1/2の固有状態の合成表現も羅列すると,

|1/2,1/2>

=-(1/√3)|1,0>|1/2,1/2>+(√2/√3))|1,1>|1/2,-1/2>

=-(1/√3)|π0p>+(√2/√3))|πn>,

 

|1/2,-1/2>

=-(√2/√3)|1,-1>|1/2,1/2>+(1/√3))|1,0>|1/2,-1/2>

=-(√2/√3)|πp>+(1/√3))|π0n>

です。

 

以上から,逆に.

 

p>=|3/2,3/2>,|πn>=|3/2,-3/2>,

 

0p>=(√2/√3)|3/2,1/2>-(1/√3)|1/2,1/2>,

p>=(1/√3)|3/2,-1/2>-(√2/√3)|1/2,-1/2>,

 

0n>=(√2/√3)|3/2,-1/2>+(1/√3)|1/2,-1/2>,

n>=-(1/√3)|3/2,1/2>-(√2/√3)|1/2,1/2>

です。

 

よって,I=3/2のチャネルのみでは,

<π|33p>:<π0n|33p>:<πp|33p>

1:√2/3:1/3 です。

 

(注14-1終わり)※

 

このエネルギー領域では,散乱は主として,I=J=3/2チャネル

を通るという,これらの示唆で,

[dσ33p)/dΩ] C.M.~ {4f2/(3ωμ2)}24(1+3cos2θ)

の妥当性を,2つの一般的な観測の助けを借りて拡張することを

試みます。

 

まず,[dσ33p)/dΩ] C.M.~ {4f2/(3ωμ2)}24(1+3cos2θ)

のエネルギー依存性は,ω→ ∞(q→ ∞)に対して,σ→ ∞を予測

するため,低イエネルギー閾値の近傍を除いては,非現実的である

ことに着目します。

 

実際の全断面積σの大きさには,ユニタリ性(確率の保存)の結果

として,上限が存在します。 

 

純粋に伝播関数の理論の枠内でS行列のユニタリ性を論じるのは,

むずかしいので,ここでは,単に非相対論的散乱理論の一般結果の

いくつかを用いることにします。

 

1.与えられたチャネルに対して,散乱振幅は次の形を取る。

 t ∝ (1/q)exp(iδ)sinδ=1/{q(cotδ-i)}

 

 ただし,qは慣性中心系(重心系)での各粒子の運動量で,δは

 対象のチャネルでの位相のずれ(phase-shift)です。

 

 もしも同じ量子数について匹敵する非弾性チャネルがないなら,

 δは実数です。 

 

※(注14-2):中心対称ポテンシャルによる散乱の散乱状態の

 波動関数:Ψ()は,r→ ∞ で,

 Ψ() ~ exp(iqr)+f(θ) exp(i')/r

 の右辺のような漸近形を持ちます。

 

この式で定義される散乱振幅:f(θ)は,

角運動量lの部分波に展開されて,

 

(θ)={1/(2iq)}Σl=0(2l+1){Sl(q)-1}Pl(cosθ)

{1/(2q)}Σl=0(2l+1)Tl(q)Pl(cosθ)

と表わすことができます。

 

ただし,Sl(q)=1+iTl(q)です。

 

そして,位相のずれδlは,Tl(q)=2exp(iδl)sinδl

で定義されます。

 

散乱が弾性散乱のときは,|Sl(q)|=1なので,

l(q)が微小とすれば,

 

{1-iTl(q)}{1+iTl(q)}~1+i{Tl(q)-Tl(q)}から,

l(q)は実数であり,

l(q)=exp(iδl)sinδl ~ δlより,位相のずれ:δlも実数です。

 

(θ)の展開でl=1のP波の成分をt,その位相のずれδ1を単に

δと書けば,t=(3/2)(1/q)exp(iδ)sinδcosθ

 

そして,exp(iδ)sinδ=sinδ/exp(-iδ)

=sinδ/(cosδ-isinδ)

1/(cosδ/sinδ-i)=1/(cotδ-i)ですから.

 

 t=(3/2)cosθ[1/{q(cotδ-i)}]となります。

 

 したがって,t ∝ (1/q)exp(iδ)sinδ=1/{q(cotδ-i)}

 が示されました。

 

(注14-2終わり)※

 

2.軌道角運動量が~lで,全角運動量J=l+1/2のチャネルの

 全断面積への寄与は,次のように限定される。

 

 すなわちtotJ,l≦{4π(2J+1)/2}/q2 です。

 

※(注14-3): 入射波の方向をz軸に取り,exp(iqr)=exp(iqz)

 の場合,r~∞で,exp(iqr)=exp(iqz)

{1/(2iqr)}[Σl=0(2l+1){exp(iqr)-(-1)lexp(-iqr)}

 Pl(cosθ)] ですが,

 

J=l+1/2で,Jz=J3=±1/2の場合:

 

J=l1/2=l-1/2:l≡J-1/2=l,l≡J+1/2=l+1

です。

 

|J,1/2>=|l+1/2,1/2>

{(l++1)/(2l+1)}1/2l+0χ+{l/(2l+1)}1/2l+1χ- 

|J,-1/2>=|l+1/2,-1/2>

{(l+1)/(2l+1)}1/2l+0χ+{l/(2l++1)}1/2l+-1χ ,

 

|J,1/2>=|l-1/2,1/2>

{l/(2l-+1)}1/2l0χ-{{(l-+1)/(2l+1)}1/2l1χ 

 

|J,-1/2>=|l+1/2,-1/2>

=-{l/(2l+1)}1/2l0χ+{{(l+1)/(2l+1)}1/2l-1χ+

 

さて,Spinのない粒子の場合は,

r~ ∞ で,Ψ

{1/(2iqr)}[Σl=0(2l+1){Sexp(iqr)-(-1)lexp(-iqr)}

l(cosθ)]

exp(iqz)

+{exp(iqr)/(2iqr)}[Σl=0(2l+1)(S-1)Pl(cosθ)]

であり,

 

(θ)={1/(2iq)}[Σl=0(2l+1)(S-1)Pl(cosθ)]

(1/q)}[Σl=0(2l+1)exp(iδl)sinδll(cosθ)]

です。

 

一方,Spin:1/2がある場合は,

まず,軌道角運動量がl固定なら,

 

|l+1/2,1/2>

{(l+1)/(2l+1)}1/2l0χ++{l/(2l+1)}1/2l1χ-

|l-1/2,-1/2>

=-{l/(2l+1)}1/2l0χ+{{(l+1)/(2l+1)}1/2l-1χ+より,

 

(2l+1)1/2l0χ=(l+1) 1/2|l+1/2,1/2>-l1/2|l-1/2,1/2>,

 

故に,(2l+1)Pl(cosθ)χ

(4π) 1/2{(l+1)1/2|l+1/2,1/2>-l1/2|l-1/2,1/2>,

 

同様に,(2l+1)Pl(cosθ)χ

(4π) 1/2{(l+1)1/2|l+1/2,-1/2>+l1/2|l-1/2,-1/2>

です。 

 

Ψ {1/(2iqr)}

l=0(2l+1){Sexp(iqr)-(-1)lexp(-iqr)}l(cosθ)]

ですから,

 

lが保存される散乱の場合,Jz=J3=±1/2の寄与は,前方散乱

以外では,r~∞で,J=l+1/2とJ=l-1/2,重ね合わせとなり,

 

例えば,Ψχ

{exp(iqr)1/(2iqr)}[Σl=0(2l+1)(S-1)Pl(cosθ)χ]

{exp(iqr)1/(2iqr)}(4π)1/2

l=0[(S-1){(l+1)1/2|l+1/2,1/2>+l1/2|l-1/2,-1/2>}])

と書けます。

 

しかし,今の散乱では,Jが保存されるため,Jz=J3=±1/2の場合

の寄与は,J=l+1/2=l--1/2で与えられる軌道角運動量のペア

+とl-の波に分割されます。

 

前方散乱以外では,r~ ∞ で,

Ψ {1/(2iqr)}exp(iqr)(4π)1/2

l=0{(Sl+-1)(l++1)1/2|l+1/2,1/2>

(S-1)l1/2|l--1/2,1/2>}],および,

 

Ψ {1/(2iqr)}exp(iqr)(4π)1/2

l=0{(Sl--1)(l+1)1/2|l+1/2,-1/2>

(Sl--1)(l+1)1/2|l--1/2,-1/2>}]

です。 

 

ただしl=0のlはl=l=l+1としました。

 

ここで,f≡(Sl±-1)/(2iq)=exp(iδl±)sinδl±/q

と定義すると,

 

(θ)(4π)-1/2

=Σl=0{(Sl+-1)(l+1)1/2|l+1/2,1/2>

(S-1)l1/2|l-1/2,1/2>}

=Σl=0((2l+1)-1/2

{fl+(l+1)Yl+0χ+fl+{l+(l+1)}1/2l+1χ]

(2l+1)-1/2[f-l-0χ-fl-{l(l+1)}1/2l-1χ])

 

=Σl=0((2l-1)-1/2[fl-1lYl-10χ+fl-1{l(l-1)}1/2l-11χ-]

(2l+1)-1/2[flY0χ-f{l(l+1)}1/21χ-])

 

同様に,f(θ)(4π)-1/2

=Σl=0((2l-1)-1/2[fl-1lYl-10χ+fl-1{l(l-1)}1/2l-1-1χ]

(2l+1)-1/2[flY0χ-f{l(l+1)}1/2-1χ])

 

したがってtot±=∫|f(θ)±|2dΩ

4πΣl=0[(2l-1)-1{l2+l(l-1)}|fl-1|2

+(2l+1)-1{l2+l(l+1)}|f|2]

=4πΣl=0l{|fl-1|2+|f|2} を得ます。

 

 故に,全断面積への固定J値のみの寄与は,

 4πl{|fl-1|2+|f|2}={4π(2J+1)/(2q2)}

 ×{|sinδl-1|2+|sinδ|2} です。

 

 そこで,σtotJ±4π(2J+1)/(2q2)が得られました。

 

(注14-3終わり)※

 

今回は,本文は少しで,非相対論的散乱理論に関する注ばかりですが

長くなったので,ここで一旦終わります。

 

(参考文献):J.D.Bjorken S.D.Drell "elativistic Quantum Mechanics" (McGrawHill)

PS:2/26出勤1時間前の朝5時です。

 

昨夜も22時から23時まで左足激痛で七転八倒いましたが,

今日は歩いて出勤できそうです。

 

今回は,何故か記事を修正するたびにフリ-ズするので,

ここで投げ出します。終わります。

|

« またも足に激痛。。心臓も何か痛い。。 | トップページ | 訃報!光本幸子さん。 »

115. 素粒子論」カテゴリの記事

111. 量子論」カテゴリの記事

コメント

フr-ズ→フリーズ?
そういえば、明日は3.11ですが、政府や原子力村やの人たちは、福島の事故収束のための作業者が明らかに不足している状況をどするつもりなんでしょうね・・・
まあ、作業者不足をどうにか出来なければ、多分日本は終了して、hirotaさんの苦労も人魚の泡じゃなくて汚染水の泡でもなくて水の泡になると思うんですが・・・

投稿: 凡人 | 2013年3月10日 (日) 22時57分

{1-iTl(q)*}{1+iTl(q)|~ → {1-iTl(q)*}{1+iTl(q)}~
1//(cosδ/sinδ-i)=1//(cotδ-i) → 1/(cosδ/sinδ-i)=1/(cotδ-i)
t=(3/2)cosθ[1/{q(cotδ-i)} → t=(3/2)cosθ[1/{q(cotδ-i)}]
={l^/(2l-+1)}1/2Yl-0χ+-{{(l-+1)/(2l-+1)}1/2Yl-1χ- → ={l-/(2l-+1)}1/2Yl-0χ+-{(l-+1)/(2l-+1)}1/2Yl-1χ-
+{{(l-+1)/(2l-+1)}1/2Yl--1χ+ → +{(l-+1)/(2l-+1)}1/2Yl--1χ+
=(1/q)}[Σl=0∞(2l+1)exp(iδl)sinδlPl(cosθ)] → =(1/q)[Σl=0∞(2l+1)exp(iδl)sinδlPl(cosθ)]
+{{(l+1)/(2l+1)}1/2Yl-1χ+より, → +{(l+1)/(2l+1)}1/2Yl-1χ+より,
=(4π) 1/2{(l+1)1/2|l+1/2,1/2>-l1/2|l-1/2,1/2>, → =(4π) 1/2{(l+1)1/2|l+1/2,1/2>-l1/2|l-1/2,1/2>},
=(4π) 1/2{(l+1)1/2|l+1/2,-1/2>+l1/2|l-1/2,-1/2> → =(4π) 1/2{(l+1)1/2|l+1/2,-1/2>+l1/2|l-1/2,-1/2>}
~ {exp(iqr)1/(2iqr)}[Σl=0∞(2l+1)(Sl-1)Pl(cosθ)χ+ → ~ {exp(iqr)1/(2iqr)}[Σl=0∞(2l+1)(Sl-1)Pl(cosθ)]χ+
-(Sl--1)l1/2|l--1/2,1/2>},および, → -(Sl--1)l1/2|l--1/2,1/2>}],および,
+(Sl--1)(l-+1)1/2|l--1/2,-1/2>} → +(Sl--1)(l-+1)1/2|l--1/2,-1/2>}]
=Σl=0∞{{(Sl+-1)(l++1)1/2|l++1/2,1/2> → =Σl=0∞{(Sl+-1)(l++1)1/2|l++1/2,1/2>
+[(2l+1)-1{l2+l(l+1)}|fl|2] → +(2l+1)-1{l2+l(l+1)}|fl|2]
4πl{|fl-1|2+|fl|2}=4π(2J+1)/(2q2)} → 4πl{|fl-1|2+|fl|2}=4π{(2J+1)/(2q2)}
σtotJ±≦4π(2J+1)/(2q2)} → σtotJ±≦4π{(2J+1)/(2q2)}

投稿: hirota | 2013年2月26日 (火) 02時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 強い相互作用(湯川相互作用)(14):

« またも足に激痛。。心臓も何か痛い。。 | トップページ | 訃報!光本幸子さん。 »