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2013年3月 8日 (金)

強い相互作用(湯川相互作用)(15)

強い相互作用(湯川相互作用)」のπ-N散乱の続きです。

 

前記事では本文は少しで,その説明のための(注)が大部分でした。

 

実は今回もそうなのですが。。

 

まずは,改めて(注)以外の本文を再掲載するところから始めます。

 

(※再掲開始)

 

この低エネルギー領域では,散乱は主としてI=J=3/2チャネル

を通るというこれらの示唆で,

 

[dσ33p)/dΩ] C.M.~ {4f2/(3ωμ2)}24(1+3cos2θ)

なる表現式の妥当性を,2つの一般的な観測の助けを借りて

拡張することを試みます。

 

ただし,ω=q2/(2μ)です。

 

まず,[dσ33p)/dΩ] C.M.~ {4f2/(3ωμ2)}24(1+3cos2θ)

のエネルギー依存性は,ω→ ∞(q→ ∞)に対し,σ→ ∞を予測

するため,低エネルギー閾値の近傍を除いては,非現実的である

ということに着目します。

 

実際の全断面積σの大きさには,ユニタリ[性(確率の保存)の結果

として,無限大ではなく上限が存在するはずです。

 

純粋に伝播関数の理論の枠内でS行列のユニタリ性を論じるのは,

かなり,むずかしいので,ここでは,単に非相対論的散乱理論の一般

結果のいくつかを用いることにします。

 

1. 与えられたチャネルに対して,散乱振幅tは次の形を取る。

t ∝ (1/q)exp(iδ)sinδ=1/{q(cotδ-i)}

 

 ただし,qは慣性中心系(重心系)での各粒子の運動量であり,

 δはチャネルの位相のずれ(phase-shift)です。

 

 もしも同じ量子数について匹敵する非弾性チャネルがないなら

 δは実数です。

 

 2.軌道角運動量が~lで,全角運動量J=l+1/2のチャネルの

 全断面積への寄与はtotJ,l≦{4π(2J+1)/2}/q2 のように限定

 される。

 

 (再掲終了※)

 

 さて,ここからが今回の記事です。

 

 3.有効距離展開 (2l+1)cotδ=a+bω+cω2+..

 が低エネルギーで良い近似を与える。

 

※(注15-1):中心対称ポテンシャル:V=V(r);r≡||

 の中にある質量がμの1粒子に対する定常Schoroedinger方程式

 は,粒子の波動関数をΨ()として単位を陽に書くと,

 

 {-hc22/(2μ)+V(r)}Ψ()=EΨ()

 です。

 

 ただし,hc≡h/(2π);hはPlanck定数です。

 

 これの一般解は,極座標を(r,θ,φ)として,

 Ψ()=Ψ(r,θ,φ)=ΣlmlmΨlm(r,θ,φ)

 =Σlmlml(r)Ylm(θ,φ)と,

 球面調和関数:Ylm(θ,φ)の線型結合に

 展開されます。

 

 特に,E=hcωk=hc22/(2μ)に対する解を,

 Ψ,lm()=ul(kr)Ylm(θ,φ) 

 と書くことにします。

  

 ここで,式中のPlank定数hcの存在は煩わしいので,

 (r)≡2μV(r)/hc2 でU(r)を定義した後に,

 hcを1とする自然単位に単位を変えて,運動量=hc

 を波数と同一視し,以下ではでなく,もっぱら

 いう表記を用いることにします。

 

 改めて,E=ω=q2/(2μ)に対する解を,

 Ψ,lm()=ul(qr)Ylm(θ,φ)とすると,

 定常Schoroedinger方程式は少し簡単になって,

 Helmholtz型の方程式:

 {-∇2+U(r)}Ψq,lm()Ψ()=2μωΨ()

 となります。

 

 そこで,動径関数:ul=ul(qr)は,方程式:

 {-d2/dr2+U(r)+l(l+1)/r2 }(rul)=q2rul

 を満たすことがわかります。

 

 特にU=0 のとき,運動量がでz軸の正の向きに進んでいた

 1自由粒子平面波:Cexp(iqz)が,中心対称ポテンシャル:

 U(r)≡2μV(r)の存在によって散乱され(+)()に

 変わったという描像を想定します。(※Cは規格化定数です。)

 

散乱波は,r≡||→ ∞ で外向き球面波の境界条件:

Ψ(+)()r→∞→ C[exp(iqz)+f(θ,φ)exp(iqr)/r]

を満たします。

 

 他方,原点付近:r=||→ 0 で満たすべき境界条件は,

 R→ 0 において,∫0R|ul(qr)|22dr=O(R3)

 となること:

 

 つまり,波動関数が原点において微小体積に比例する確率を与える

 という有限確率密度の条件を課すと,

 

 r=|| → 0 で|ul(0)|<∞であり,{rul(qr)} → 0 です。

 

 ポテンシャル散乱における通常のポテンシャルUは,

 r→ 0 で,|r2U(r)| → 0 を満たすため,

 (※Coulombポテンシャルは例外),

 

 軌道角運動量lがゼロでないときは,これを遠心力l(l+1)/r2

 と比較して無視し,また,右辺のq2rul(l+1)/r2)(rul)

 と比較して無視します。

 

 すると,r→ 0 では,波動方程式:

 {-d2/dr2+U(r)+l(l+1)/r2}(rul)=q2rul

 は,[-d2/dr2+l(l+1)/r2](rul)=0

 と近似されます。

 

 これの解で,r→ 0 でrul → 0 となる条件を見たすものを採用

 すると,Aを積分定数としてrul=Arl+1です。

 

 そこで,r=0 の近傍では,動径関数は,

 ul(qr) ∝ (qr)l なる性質を有すると考えられます。

 

 さらに, r→ ∞ での外向き波境界条件では,

 中心対称ポテンシャル散乱の場合,

 (θ,φ)はφに依存しないので,これをf(θ)と書けば,

 

 外向き散乱波の境界条件は,

 Ψ(+)()r→∞→ C[exp(iqz)+f(θ)exp(iqr)/r]

 となります。

 

 そして,平面波exp(iqz)は,Ylm(θ,φ)の,φに依存しない

 場合球面調和関数であるLegendre多項式:Pl(cosθ)に

 よって部分波展開されて,

 

 exp(iqz)=Σl=0(2l+1)ill(qr)Pl(cosθ)

 となります。

 

 ただし,l(x)2種類の球面Besssel関数:

 l(x)≡{π/(2x)-1/2l+1/2(x),

 nl(x)≡{π/(2x)-1/2l+1/2(x)

 のx=0 で有限な方です。

 

 Jl+1/2(x),Nl+1/2(x)は,Besselの微分方程式の,

 パラメータνがν=l+1/2の場合の2つの独立な解の組

 の1つで,Jl+1/2(x)はBessel関数.Nl+1/2(x)はNeumann関数

 と呼ばれる関数です。

 

 このPl(cosθ)による展開での動径関数の係数である

 球面Bessel関数l(qr)は,

 

 r→∞で,{1/(qr)}sin(qr-lπ/2){1/(2iqr)}

 ×[exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]

 なる漸近形を有します。 

 

 したがって,自由平面波はr→ ∞ では, 

 exp(iqz)=Σl=0(2l+1)ill(qr)Pl(cosθ)

 {1/(qr)Σl=0(2l+1)ilsin(qr-lπ/2)Pl(cosθ)

 

 ={1/(2iqr)}Σl=0(2l+1)ill(cosθ)

 ×[exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]

 となります。

 

 他方,散乱波の部分波展開は,

 Ψ(+)()=C[Σl=0(2l+1)illl(qr)Pl(cosθ)]

 と表現できます。 

 

 これは,r→∞では,自由平面波:

 exp(iqz) → {C/(2iqr)}Σl=0(2l+1)ill(cosθ)

 ×[exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]

 が外向き波の部分のみ変形を受けると想定して,

 

 r→∞で,

 Ψ(+)()→{C/(2iqr)}Σl=0(2l+1)ill(cosθ)

 ×[Sl(q)exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]

 に変わるとして,部分波のS行列因子:Sl(q)を定義します。

 

 さらに特に,位相のずれ:δlを,Sl(q)≡exp(2iδl)

 で導入します。

 

 (※今のところ,必ずしもδlを実数であるとは仮定してないので,

 l(q)≡exp(2iδl)と書くことができる複素数δlが常に存在する

 はずです。)

 

 すると,r→∞で,

 Ψ(+)()→{C/(2iqr)}Σl=0(2l+1)ill(cosθ)

 {C/(2iqr)}Σl=0[(2l+1)ill(cosθ)exp(iδl)

 ×[exp{i(qr-lπ/2+δl)}-exp{-i(qr-lπ/2+δl)}

 

 ={C/(qr)}Σl=0(2l+1)ilexp(iδl)sin(qr-lπ/2+δl)

 Pl(cosθ) となります。

 

 Ψ(+)()=C[Σl=0(2l+1)illl(qr)Pl(cosθ)]

 でしたから,

 

 このことは,Cll(qr)が,r→∞で,

 ll(qr)→{1/(qr)} exp(iδl)sin(qr-lπ/2+δl)

 なる漸近形を持つことを意味します。

 

 個別因子的には,Cl=exp(iδl),かつ,

 l(qr)→{1/(qr)}sin(qr-lπ/2+δl)

 と解釈されます。 

 

 そして,Sl(q)=1+2iTl(q)=exp(2iδl)から,

 T行列因子は,l(q)={Sl(q)-1}/(2i)

 ={exp(2iδl)-1}/(2i)=exp(iδl)sinδl

 となります。

 

 以上から(+)()→r→∞C[exp(iqz)+f(θ)exp(iqr)/r]

 {C/(2iqr)}Σl=0(2l+1)ill(cosθ)

 ×[Sl(q)exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]

 

 =C[exp(iqz)

 +{1/(2iqr)}Σl=0(2l+1){Sl(q)-1}exp(iqr)Pl(cosθ)

 =C[exp(iqz)

 +{1/(qr)}Σl=0(2l+1)Tl(q)exp(iqr)Pl(cosθ)

 

 と書けますから,

 

 f(θ)の展開は,

 f(θ)=(1/q)Σl=0(2l+1)Tl(q)exp(iqr)Pl(cosθ)

 =(1/q)Σl=0(2l+1) exp(iδl)sinδlexp(iqr)Pl(cosθ)

 となります。

  

 ところで,既に2007年8/21の過去記事:

 「S行列とレッジェ理論(1)」でも示したように,

 

 摂動近似でのBorn級数展開によって得られる同じ散乱振幅

 f(θ)の表現は,

 

 f(θ)=f(,'){-1/(4π)}C-1

 ∫exp(-i')U((+)()d3]q'=q です。

 

 ただし,U()=2μV() です。

 

 公式:exp(iqz)=Σl=0(2l+1)ill(qr)Pl(cosθ)

 より,散乱粒子の運動量'がとなす角をβとすると,

 |'|=qなので,exp(-i')

 =Σl=0(2l+1)(-i)ll(qr)Pl(cosβ)

 なる展開式を得ます。

 

 他方,入射粒子の運動量となす角をαとすると,

 Cl=exp(iδl)より,-1Ψ(+)()

 =Σl'=0(2l'+1)il'exp(iδl’)ul'(qr)Pl'(cosα)

 です。 

 

 これらの展開式を,(θ)=f(,'){-1/(4π)}C-1

 ×∫exp(-i')U((+)()d3]q'=q

 の右辺に代入して積分を実行します。 

 

 q'がとなす極角をθ,偏角をφとすると,

 l(cosβ)=Pl(cosα)Pl(cosθ)

 m=1l{(l-m)!/(l+m)!}Plm(cosα)Plm(cosθ)cos(mφ)

 ですが,

 

 3=r2drdΩのうち,dΩ=d(cosα)dφの立体角部分の

 積分を実行すると,dφ積分の実行により,上のPl(cosβ)の表現

 の右辺におけるcos(mφ)の項は消えて,実質的には,

 Pl(cosβ)=Pl(cosα)Pl(cosθ)です。

 

 そこで,Pl(cosβ)Pl’(sosα)=Pl(cosα)Pl(cosθ)Pl’(cosα)

 ですが,Legendre多項式には,

 ∫Pl(cosα)Pl’(cosα)d(sosα)={2/(2l+1)}δll'

 なる直交性があるため,結局,

 

 f(θ)=Σl=0(2l+1)exp(iδl)Pl(cosθ)

 ×[∫0U(r)jl(qr)ul(qr)r2dr]

 なる表式が得られます。

 

 これを,前に得た表式:

 f(θ)=(1/q)Σl=0(2l+1)exp(iδl)sinδl

 exp(iqr)Pl(cosθ)に等置することによって,

 

 sinδl=q∫0U(r)jl(qr)ul(qr)r2dr

 となることがわかりります。

 

 既に,r→ 0 のときr2U(r)→0を満たす普通のポテンシャル

 なら,r→   0 でul(qr) ∝(qr)l,jl(qr) ∝ (qr)l

 となることがわかっているので,

 

 sinδl=q∫0U(r)jl(qr)ul(qr)r2drから,

 低エネルギー極限のq→ 0 に対して,sinδl ∝q2l+1

 を得ます。

 

 そして,第1Born近似ではul(qr)~jl(qr)ですから,

sinδl ~ q∫0U(r){jl(qr)}22drです。

 

ここで,jl(qr)の満たす方程式と,そのGreen関数:

l(r,r';q)の満たす方程式を並べて陽に書くと,

 (1/r)d2(rjl)/dr2+{q2-l(l+1)/r2}jl=0,および,

 (1/r)d2(rGl)/dr2+{q2-l(l+1)/r2}Gl(

 =(1/r)δ(r-r') です。

 

そこで,ul(qr)≡cosδll(qr)

+∫0l(r,r';q)U(r')ul(qr')r'2dr'

とおけば,

 

l(qr)は,

(1/r)d2(rul)/dr2+{q2-l(l+1)/r2}ul=U(r)ul:

 

つまり,

{-d2/dr2+U(r)+l(l+1)/r2}(rul)=q2rul

を満たす1つの解をなすことがわかります。

 

さらに,このul(qr)が,散乱波の境界条件:

 ul(qr)→{1/(qr)}sin(qr-lπ/2+δl)

 を満たすためには.Green関数が,

 Gl(r,r';q)=-qjl(qr)nl(qr') (r<r')

 Gl(r,r';q)=-qnl(qr)jl(qr') (r>r')

 で与えられることが必要です。

 

 こうすれば,r→∞では,

l(qr)→{1/(qr)}cos(qr-lπ/2)なので,

 

l(qr)=cosδll(qr)

+∫0l(r,r';q)U(r')ul(qr')r'2dr'

{1/(qr)}[cosδlsin(qr-lπ/2)

cos(qr-lπ/2)

×[q0U(r')jl(qr')ul(qr')r'2dr’]

となります。

 

ここで,先に得た,

sinδl=-q∫0U(r)jl(qr)ul(qr)r2drなる表式

により,結局,

 

l(qr) → {1/(qr)}[cosδlsin(qr-lπ/2)

cos(qr-lπ/2)sinδl] 

={1/(qr)}sin(qr-lπ/2+δl)

という望ましい結果に導かれます。

 

そして,ul(qr)=cosδll(qr)

+∫0l(r,r';q)U(r')ul(qr')r'2dr'

の両辺をcosδlで割り,ul~(qr)≡ul(qr)/cosδl

とおくと,

l~(qr)=jl(qr)+

0l(r,r';q)U(r')ul~(qr')r'2dr' です。

 

r→ ∞では,

l~(qr) → {1/(qrcosδl)}sin(qr-lπ/2+δl)

{1/(qr)}[sin(qr-lπ/2)+tanδlcos(qr-lπ/2)]

となりますから,

 

tanδl=-q∫0U(r)jl(qr)ul~(qr)r2dr

なる表式を得ます。

 

散乱のポテンシャル:V(r),またはU(r)にある有効レンジa

が存在して,r>aでは, U(r) ~ 0 と見なせるとき,

 

r>aでは,ul(qr)は,U(r)=0 の場合の方程式の解:

l(qr),nl(qr)の線型結合で与えられるはずですが,

 

r→ ∞ で,jl(qr) → {1/(qr)}sin(qr-lπ/2),

l(qr) → {1/(qr)}sin(qr-lπ/2)なので,

l(qr)=cosδll(qr)-sinδll(qr) です。

 

そして,r=aでの接続条件:

[(dul/dr)/ul]r=a+0=[(dul/dr)/ul]r=a-0

を満たす,r≦aでのul(qr)も得られたと仮定し,

εl≡[(dul/dr)/ul]r=a-0 とおきます。

 

l'(x)=djl/dx,nl'(x)=dnl/dxとすれば,

r=aでの接続条件から,

 

εl=[(dul/dr)/ul]r=a+0

=q{cosδll'(qa)-sinδll'(qa)}

/{cosδll(qa)-sinδll(qa)}

 

{qjl'(qa)-qtanδll'(qa)}

/{jl(qa)-tanδll(qa)} です。

 

これを,tanδについて解いて,tanδl

={qjl‘(qa)-εll(qa)}/{qnl‘(qa)-εll(qa)}

です。 

 

半径aの剛体球による散乱というモデルを考えると,

波動関数はr<aではゼロで,r=a+0でゼロから出発

します。

 

そこで,r=aにおいてr>aとの連続性から,

l(qa)=cosδll(qa)-sinδll(qa)=0 なので,

tanδl=jl (qa)/nl (qa) を得ます。

 

qa<<1:a<<λのような剛体粒子による散乱では,

l(qa)~ 2ll!(qa)l/(2l+1)!

l(qa)~-(2l)!/{2ll!(qa)l+1}なので,

tanδl ~ -(qa)2l+1×22l(l!)2/{(2l)!(2l+1)!}

です。 

 

それ故,剛体模型が妥当なら,

2l+1cotδl ~ q2l+1l ∝ -a-(2l+1) です。

 

例えばl=1のP波では,q3cotδl ∝ -1/a3です。

 

2l+1cotδlは低エネルギー極限では,有効距離aのみに依存し,

qには依存しません。 

 

これは,より大きいqについてはq2 or ωで展開されて良い

近似を与え,この展開は有効距離展開と呼ばれます。

 

余談的話ですが,l=1のP波では,

tanδl ~ sinδl ~ δl∝ q33です。

 

そして,散乱される波(粒子)の波長λに対して,

運動量qはq=1/λで与えられます。 

 

ちなみに,散乱の全断面積の位相のずれ:δlによる表現は.

σtot(4π/q2l=0(2l+1)sin2δl ですから,

P波が主体の波ならtot ∝q46∝a64です。

 

太陽光などの光の散乱は,光子はベクトル粒子なので,

これは正に角運動量が1のP波に相当します。

 

qa<<1,a<<λの空気分子のような微細粒子による

光の散乱の大きさは,光の波長λの4乗に反比例していて,

可視光なら紫や青い光が赤い光よりも,はるかに大きい散乱

を受けるという,よく知られたRayleigh散乱の性質をも表現

しています。

  

これらについては,光(電磁波)の古典散乱につい書いた

2009年10/20の記事:「光(電磁波)の散乱(2)

を参照してください。

 

(注15-1終わり)※

 

今回も,非相対論的な散乱理論の話ばかりです。

 

昔のことで,ノートに参考文献も書いていませんでしたし

記憶もハッキリとはしませんが,種本は恐らく当時多用して

ボロボロになり現在はどこかに紛失している,砂川重信著の

岩波全書「散乱の量子論」だと思います。

 

今日はこれで終わります。

1つの記事としては長くなり過ぎました。

 

(参考文献):J.D.Bjorken S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics" (McGrawHill)

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コメント

低イエネルギー→低エネルギー
猫でもわかる核分裂と核融合の説明を↓でしてみたんですがどうですかね?
http://mb2.jp/_tetsugaku/650.html

投稿: 凡人 | 2013年3月13日 (水) 00時36分

jl(x)≡{π/(2x)-1/2Jl+1/2(x) ⇨ jl(x)≡{π/(2x)}1/2Jl+1/2(x)
nl(x)≡{π/(2x)-1/2Nl+1/2(x) ⇨ nl(x)≡{π/(2x)}1/2Nl+1/2(x)
=Σl'=0∞(2l'+1)i'’exp(iδl’)ul'(qr)Pl'(cosα) ⇨ =Σl'=0∞(2l'+1)i^l' exp(iδl')ul'(qr)Pl'(cosα)
Pl(cosβ)Pl’(sosα)=Pl(cosα)Pl(cosθ)Pl’(sos ) ⇨ Pl(cosβ)Pl'(cosα)=Pl(cosα)Pl(cosθ)Pl'(cosα)
∫Pl(cosα)Pl’(cosα)d(sosα)={2/(2l+1)}δii ⇨ ∫Pl(cosα)Pl'(cosα)d(cosα)={2/(2l+1)}δl,l'
Gl(r,r';q)=-qjl(qr)nl(qr')(r<r) ⇨ Gl(r,r';q)=-qjl(qr)nl(qr')(r<r')
jl(qr) → {1/(qr)}[sin(qr-lπ/2) ⇨ jl(qr) → {1/(qr)}sin(qr-lπ/2)
nl(qr) → {1/(qr)}[sin(qr-lπ/2 ⇨ nl(qr) → {1/(qr)}sin(qr-lπ/2)
nl'(x)=djl/dx ⇨ nl'(x)=dnl/dx

投稿: hirota | 2013年3月11日 (月) 14時12分

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