「強い相互作用(湯川相互作用)」のπ-N散乱の続きです。
前記事では本文は少しで,その説明のための(注)が大部分でした。
実は今回もそうなのですが。。
まずは,改めて(注)以外の本文を再掲載するところから始めます。
(※再掲開始)
この低エネルギー領域では,散乱は主としてI=J=3/2チャネル
を通るというこれらの示唆で,
[dσ33(π+p)/dΩ] C.M.~ {4f2/(3ωμ2)}2q4(1+3cos2θ)
なる表現式の妥当性を,2つの一般的な観測の助けを借りて
拡張することを試みます。
ただし,ω=q2/(2μ)です。
まず,[dσ33(π+p)/dΩ] C.M.~ {4f2/(3ωμ2)}2q4(1+3cos2θ)
のエネルギー依存性は,ω→ ∞(q→ ∞)に対し,σ→ ∞を予測
するため,低エネルギー閾値の近傍を除いては,非現実的である
ということに着目します。
実際の全断面積σの大きさには,ユニタリ[性(確率の保存)の結果
として,無限大ではなく上限が存在するはずです。
純粋に伝播関数の理論の枠内でS行列のユニタリ性を論じるのは,
かなり,むずかしいので,ここでは,単に非相対論的散乱理論の一般
結果のいくつかを用いることにします。
1. 与えられたチャネルに対して,散乱振幅tは次の形を取る。
t ∝ (1/q)exp(iδ)sinδ=1/{q(cotδ-i)}
ただし,qは慣性中心系(重心系)での各粒子の運動量であり,
δはチャネルの位相のずれ(phase-shift)です。
もしも同じ量子数について匹敵する非弾性チャネルがないなら
δは実数です。
2.軌道角運動量が~lで,全角運動量J=l+1/2のチャネルの
全断面積への寄与は,σtotJ,l≦{4π(2J+1)/2}/q2 のように限定
される。
(再掲終了※)
さて,ここからが今回の記事です。
3.有効距離展開 q(2l+1)cotδ=a+bω+cω2+..
が低エネルギーで良い近似を与える。
※(注15-1):中心対称ポテンシャル:V=V(r);r≡|x|
の中にある質量がμの1粒子に対する定常Schoroedinger方程式
は,粒子の波動関数をΨ(x)として単位を陽に書くと,
{-hc2∇2/(2μ)+V(r)}Ψ(x)=EΨ(x)
です。
ただし,hc≡h/(2π);hはPlanck定数です。
これの一般解は,極座標を(r,θ,φ)として,
Ψ(x)=Ψ(r,θ,φ)=ΣlmalmΨlm(r,θ,φ)
=ΣlmalmRl(r)Ylm(θ,φ)と,
球面調和関数:Ylm(θ,φ)の線型結合に
展開されます。
特に,E=hcωk=hc2k2/(2μ)に対する解を,
Ψk,lm(x)=ul(kr)Ylm(θ,φ)
と書くことにします。
ここで,式中のPlank定数hcの存在は煩わしいので,
U(r)≡2μV(r)/hc2 でU(r)を定義した後に,
hcを1とする自然単位に単位を変えて,運動量q=hck
を波数kと同一視し,以下ではkでなく,もっぱらqと
いう表記を用いることにします。
改めて,E=ωq=q2/(2μ)に対する解を,
Ψq,lm(x)=ul(qr)Ylm(θ,φ)とすると,
定常Schoroedinger方程式は少し簡単になって,
Helmholtz型の方程式:
{-∇2+U(r)}Ψq,lm(x)Ψ(x)=2μωqΨ(x)
となります。
そこで,動径関数:ul=ul(qr)は,方程式:
{-d2/dr2+U(r)+l(l+1)/r2 }(rul)=q2rul
を満たすことがわかります。
特にU=0 のとき,運動量がqでz軸の正の向きに進んでいた
1自由粒子平面波:Cexp(iqz)が,中心対称ポテンシャル:
U(r)≡2μV(r)の存在によって散乱され,Ψq(+)(x)に
変わったという描像を想定します。(※Cは規格化定数です。)
散乱波は,r≡|x|→ ∞ で外向き球面波の境界条件:
Ψq(+)(x)r→∞→ C[exp(iqz)+f(θ,φ)exp(iqr)/r]
を満たします。
他方,原点付近:r=|x|→ 0 で満たすべき境界条件は,
R→ 0 において,∫0R|ul(qr)|2r2dr=O(R3)
となること:
つまり,波動関数が原点において微小体積に比例する確率を与える
という有限確率密度の条件を課すと,
r=|x| → 0 で|ul(0)|<∞であり,{rul(qr)} → 0 です。
ポテンシャル散乱における通常のポテンシャルUは,
r→ 0 で,|r2U(r)| → 0 を満たすため,
(※Coulombポテンシャルは例外),
軌道角運動量lがゼロでないときは,これを遠心力l(l+1)/r2
と比較して無視し,また,右辺のq2rulもl(l+1)/r2)(rul)
と比較して無視します。
すると,r→ 0 では,波動方程式:
{-d2/dr2+U(r)+l(l+1)/r2}(rul)=q2rul
は,[-d2/dr2+l(l+1)/r2](rul)=0
と近似されます。
これの解で,r→ 0 でrul → 0 となる条件を見たすものを採用
すると,Aを積分定数としてrul=Arl+1です。
そこで,r=0 の近傍では,動径関数は,
ul(qr) ∝ (qr)l なる性質を有すると考えられます。
さらに, r→ ∞ での外向き波境界条件では,
中心対称ポテンシャル散乱の場合,
f(θ,φ)はφに依存しないので,これをf(θ)と書けば,
外向き散乱波の境界条件は,
Ψq(+)(x)r→∞→ C[exp(iqz)+f(θ)exp(iqr)/r]
となります。
そして,平面波exp(iqz)は,Ylm(θ,φ)の,φに依存しない
場合の球面調和関数であるLegendre多項式:Pl(cosθ)に
よって部分波展開されて,
exp(iqz)=Σl=0∞(2l+1)iljl(qr)Pl(cosθ)
となります。
ただし, jl(x)は2種類の球面Besssel関数:
jl(x)≡{π/(2x)-1/2Jl+1/2(x),
nl(x)≡{π/(2x)-1/2Nl+1/2(x)
のx=0 で有限な方です。
Jl+1/2(x),Nl+1/2(x)は,Besselの微分方程式の,
パラメータνがν=l+1/2の場合の2つの独立な解の組
の1つで,Jl+1/2(x)はBessel関数.Nl+1/2(x)はNeumann関数
と呼ばれる関数です。
このPl(cosθ)による展開での動径関数の係数である
球面Bessel関数jl(qr)は,
r→∞で,{1/(qr)}sin(qr-lπ/2)={1/(2iqr)}
×[exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]
なる漸近形を有します。
したがって,自由平面波はr→ ∞ では,
exp(iqz)=Σl=0∞(2l+1)iljl(qr)Pl(cosθ)
→ {1/(qr)Σl=0∞(2l+1)ilsin(qr-lπ/2)Pl(cosθ)
={1/(2iqr)}Σl=0∞(2l+1)ilPl(cosθ)
×[exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]
となります。
他方,散乱波の部分波展開は,
Ψq(+)(x)=C[Σl=0∞(2l+1)ilClul(qr)Pl(cosθ)]
と表現できます。
これは,r→∞では,自由平面波:
Cexp(iqz) → {C/(2iqr)}Σl=0∞(2l+1)ilPl(cosθ)
×[exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]
が外向き波の部分のみ変形を受けると想定して,
r→∞で,
Ψq(+)(x)→{C/(2iqr)}Σl=0∞(2l+1)ilPl(cosθ)
×[Sl(q)exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]
に変わるとして,部分波のS行列因子:Sl(q)を定義します。
さらに特に,位相のずれ:δlを,Sl(q)≡exp(2iδl)
で導入します。
(※今のところ,必ずしもδlを実数であるとは仮定してないので,
Sl(q)≡exp(2iδl)と書くことができる複素数δlが常に存在する
はずです。)
すると,r→∞で,
Ψq(+)(x)→{C/(2iqr)}Σl=0∞(2l+1)ilPl(cosθ)
={C/(2iqr)}Σl=0∞[(2l+1)ilPl(cosθ)exp(iδl)
×[exp{i(qr-lπ/2+δl)}-exp{-i(qr-lπ/2+δl)}
={C/(qr)}Σl=0∞(2l+1)ilexp(iδl)sin(qr-lπ/2+δl)
Pl(cosθ) となります。
Ψq(+)(x)=C[Σl=0∞(2l+1)ilClul(qr)Pl(cosθ)]
でしたから,
このことは,Clul(qr)が,r→∞で,
Clul(qr)→{1/(qr)} exp(iδl)sin(qr-lπ/2+δl)
なる漸近形を持つことを意味します。
個別因子的には,Cl=exp(iδl),かつ,
ul(qr)→{1/(qr)}sin(qr-lπ/2+δl)
と解釈されます。
そして,Sl(q)=1+2iTl(q)=exp(2iδl)から,
T行列因子は,Tl(q)={Sl(q)-1}/(2i)
={exp(2iδl)-1}/(2i)=exp(iδl)sinδl
となります。
以上から,Ψq(+)(x)→r→∞C[exp(iqz)+f(θ)exp(iqr)/r]
={C/(2iqr)}Σl=0∞(2l+1)ilPl(cosθ)
×[Sl(q)exp{i(qr-lπ/2)}-exp{-i(qr-lπ/2)}]
=C[exp(iqz)
+{1/(2iqr)}Σl=0∞(2l+1){Sl(q)-1}exp(iqr)Pl(cosθ)
=C[exp(iqz)
+{1/(qr)}Σl=0∞(2l+1)Tl(q)exp(iqr)Pl(cosθ)
と書けますから,
f(θ)の展開は,
f(θ)=(1/q)Σl=0∞(2l+1)Tl(q)exp(iqr)Pl(cosθ)
=(1/q)Σl=0∞(2l+1) exp(iδl)sinδlexp(iqr)Pl(cosθ)
となります。
ところで,既に2007年8/21の過去記事:
「S行列とレッジェ理論(1)」でも示したように,
摂動近似でのBorn級数展開によって得られる同じ散乱振幅
f(θ)の表現は,
f(θ)=f(q,q')={-1/(4π)}C-1
∫exp(-iq'x)U(x)Ψq(+)(x)d3x]q'=q です。
ただし,U(x)=2μV(x) です。
公式:exp(iqz)=Σl=0∞(2l+1)iljl(qr)Pl(cosθ)
より,散乱粒子の運動量q'がxとなす角をβとすると,
|q'|=qなので,exp(-iq'x)
=Σl=0∞(2l+1)(-i)ljl(qr)Pl(cosβ)
なる展開式を得ます。
他方,入射粒子の運動量qがxとなす角をαとすると,
Cl=exp(iδl)より,C-1Ψq(+)(x)
=Σl'=0∞(2l'+1)il'exp(iδl’)ul'(qr)Pl'(cosα)
です。
これらの展開式を,f(θ)=f(q,q')={-1/(4π)}C-1
×∫exp(-iq'x)U(x)Ψq(+)(x)d3x]q'=q
の右辺に代入して積分を実行します。
q'がqとなす極角をθ,偏角をφとすると,
Pl(cosβ)=Pl(cosα)Pl(cosθ)
+2Σm=1l{(l-m)!/(l+m)!}Plm(cosα)Plm(cosθ)cos(mφ)
ですが,
d3x=r2drdΩのうち,dΩ=d(cosα)dφの立体角部分の
積分を実行すると,dφ積分の実行により,上のPl(cosβ)の表現
の右辺におけるcos(mφ)の項は消えて,実質的には,
Pl(cosβ)=Pl(cosα)Pl(cosθ)です。
そこで,Pl(cosβ)Pl’(sosα)=Pl(cosα)Pl(cosθ)Pl’(cosα)
ですが,Legendre多項式には,
∫Pl(cosα)Pl’(cosα)d(sosα)={2/(2l+1)}δll'
なる直交性があるため,結局,
f(θ)=Σl=0∞(2l+1)exp(iδl)Pl(cosθ)
×[∫0∞U(r)jl(qr)ul(qr)r2dr]
なる表式が得られます。
これを,前に得た表式:
f(θ)=(1/q)Σl=0∞(2l+1)exp(iδl)sinδl
exp(iqr)Pl(cosθ)に等置することによって,
sinδl=q∫0∞U(r)jl(qr)ul(qr)r2dr
となることがわかりります。
既に,r→ 0 のときr2U(r)→0を満たす普通のポテンシャル
なら,r→ 0 でul(qr) ∝(qr)l,jl(qr) ∝ (qr)l
となることがわかっているので,
sinδl=q∫0∞U(r)jl(qr)ul(qr)r2drから,
低エネルギー極限のq→ 0 に対して,sinδl ∝q2l+1
を得ます。
そして,第1Born近似ではul(qr)~jl(qr)ですから,
sinδl ~ q∫0∞U(r){jl(qr)}2r2drです。
ここで,jl(qr)の満たす方程式と,そのGreen関数:
Gl(r,r';q)の満たす方程式を並べて陽に書くと,
(1/r)d2(rjl)/dr2+{q2-l(l+1)/r2}jl=0,および,
(1/r)d2(rGl)/dr2+{q2-l(l+1)/r2}Gl(
=(1/r)δ(r-r') です。
そこで,ul(qr)≡cosδljl(qr)
+∫0∞Gl(r,r';q)U(r')ul(qr')r'2dr'
とおけば,
ul(qr)は,
(1/r)d2(rul)/dr2+{q2-l(l+1)/r2}ul=U(r)ul:
つまり,
{-d2/dr2+U(r)+l(l+1)/r2}(rul)=q2rul
を満たす1つの解をなすことがわかります。
さらに,このul(qr)が,散乱波の境界条件:
ul(qr)→{1/(qr)}sin(qr-lπ/2+δl)
を満たすためには.Green関数が,
Gl(r,r';q)=-qjl(qr)nl(qr') (r<r')
Gl(r,r';q)=-qnl(qr)jl(qr') (r>r')
で与えられることが必要です。
こうすれば,r→∞では,
nl(qr)→{1/(qr)}cos(qr-lπ/2)なので,
ul(qr)=cosδljl(qr)
+∫0∞Gl(r,r';q)U(r')ul(qr')r'2dr'
→ {1/(qr)}[cosδlsin(qr-lπ/2)
-cos(qr-lπ/2)
×[q∫0∞U(r')jl(qr')ul(qr')r'2dr’]
となります。
ここで,先に得た,
sinδl=-q∫0∞U(r)jl(qr)ul(qr)r2drなる表式
により,結局,
ul(qr) → {1/(qr)}[cosδlsin(qr-lπ/2)
+cos(qr-lπ/2)sinδl]
={1/(qr)}sin(qr-lπ/2+δl)
という望ましい結果に導かれます。
そして,ul(qr)=cosδljl(qr)
+∫0∞Gl(r,r';q)U(r')ul(qr')r'2dr'
の両辺をcosδlで割り,ul~(qr)≡ul(qr)/cosδl
とおくと,
ul~(qr)=jl(qr)+
∫0∞Gl(r,r';q)U(r')ul~(qr')r'2dr' です。
r→ ∞では,
ul~(qr) → {1/(qrcosδl)}sin(qr-lπ/2+δl)
={1/(qr)}[sin(qr-lπ/2)+tanδlcos(qr-lπ/2)]
となりますから,
tanδl=-q∫0∞U(r)jl(qr)ul~(qr)r2dr
なる表式を得ます。
散乱のポテンシャル:V(r),またはU(r)にある有効レンジa
が存在して,r>aでは, U(r) ~ 0 と見なせるとき,
r>aでは,ul(qr)は,U(r)=0 の場合の方程式の解:
jl(qr),nl(qr)の線型結合で与えられるはずですが,
r→ ∞ で,jl(qr) → {1/(qr)}sin(qr-lπ/2),
nl(qr) → {1/(qr)}sin(qr-lπ/2)なので,
ul(qr)=cosδljl(qr)-sinδlnl(qr) です。
そして,r=aでの接続条件:
[(dul/dr)/ul]r=a+0=[(dul/dr)/ul]r=a-0
を満たす,r≦aでのul(qr)も得られたと仮定し,
εl≡[(dul/dr)/ul]r=a-0 とおきます。
jl'(x)=djl/dx,nl'(x)=dnl/dxとすれば,
r=aでの接続条件から,
εl=[(dul/dr)/ul]r=a+0
=q{cosδljl'(qa)-sinδlnl'(qa)}
/{cosδljl(qa)-sinδlnl(qa)}
={qjl'(qa)-qtanδlnl'(qa)}
/{jl(qa)-tanδlnl(qa)} です。
これを,tanδについて解いて,tanδl
={qjl‘(qa)-εljl(qa)}/{qnl‘(qa)-εlnl(qa)}
です。
半径aの剛体球による散乱というモデルを考えると,
波動関数はr<aではゼロで,r=a+0でゼロから出発
します。
そこで,r=aにおいてr>aとの連続性から,
ul(qa)=cosδljl(qa)-sinδlnl(qa)=0 なので,
tanδl=jl (qa)/nl (qa) を得ます。
qa<<1:a<<λのような剛体粒子による散乱では,
jl(qa)~ 2ll!(qa)l/(2l+1)!
nl(qa)~-(2l)!/{2ll!(qa)l+1}なので,
tanδl ~ -(qa)2l+1×22l(l!)2/{(2l)!(2l+1)!}
です。
それ故,剛体模型が妥当なら,
q2l+1cotδl ~ q2l+1/δl ∝ -a-(2l+1) です。
例えばl=1のP波では,q3cotδl ∝ -1/a3です。
q2l+1cotδlは低エネルギー極限では,有効距離aのみに依存し,
qには依存しません。
これは,より大きいqについてはq2 or ωで展開されて良い
近似を与え,この展開は有効距離展開と呼ばれます。
余談的話ですが,l=1のP波では,
tanδl ~ sinδl ~ δl∝ q3a3です。
そして,散乱される波(粒子)の波長λに対して,
運動量qはq=1/λで与えられます。
ちなみに,散乱の全断面積の位相のずれ:δlによる表現は.
σtot=(4π/q2)Σl=0∞(2l+1)sin2δl ですから,
P波が主体の波なら,σtot ∝q4a6∝a6/λ4です。
太陽光などの光の散乱は,光子はベクトル粒子なので,
これは正に角運動量が1のP波に相当します。
qa<<1,a<<λの空気分子のような微細粒子による
光の散乱の大きさは,光の波長λの4乗に反比例していて,
可視光なら紫や青い光が赤い光よりも,はるかに大きい散乱
を受けるという,よく知られたRayleigh散乱の性質をも表現
しています。
これらについては,光(電磁波)の古典散乱につい書いた
2009年10/20の記事:「光(電磁波)の散乱(2)」
を参照してください。
(注15-1終わり)※
今回も,非相対論的な散乱理論の話ばかりです。
昔のことで,ノートに参考文献も書いていませんでしたし
記憶もハッキリとはしませんが,種本は恐らく当時多用して
ボロボロになり現在はどこかに紛失している,砂川重信著の
岩波全書「散乱の量子論」だと思います。
今日はこれで終わります。
1つの記事としては長くなり過ぎました。
(参考文献):J.D.Bjorken S.D.Drell "Relativistic Quantum Mechanics" (McGrawHill)
最近のコメント