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2014年11月24日 (月)

統計力学の基礎(6)(量子統計力学3)

  量子統計力学の続きです。

 

§3.状態和に対する表式 

莫大な数 N個の粒子から構成される系全体のHamiltonian

とし,そのk番目のエネルギー固有値をE,固有関数

Ψ(1,2,..,N)とします。

 

Ψ=EΨです。

 

ここでxの関数f(x)をf(x)=Σn0=で定義します。 

このとき,xをで置き換えたものとして演算子 f()を定義

できます。

 

が線型演算子なのでf()も線型演算子です。

 

Ψ=EΨより,2Ψ=E2Ψ,..,Ψ=EΨ

となるため,(=f(Eとなります。

 

したがって,exp(-β=exp(-βEです。

 

ここで,Diracのブラケット記法に移行します。 

>=E>,exp(-β)|Ψ>=exp(-βE

etc.です。

 

|Φ>=Φ(1,2,..,N),|Ψ>=Ψ(1,2,..,N)に対して,

スカラー積(ユニタリ内積)を,

<Φ|Ψ>=∫Φ(1,2,..,N)Ψ(1,2,..,N)dτ1τ2..dτ 

で定義します。

 

の固有関数>=Ψ(1,2,..,N) (k=1,2,..)は規格化

直交条件<Ψ>=δijを満たし,|Ψ>,|Ψ2>,.. は,

完全系を構成するとします。

 

つまり,任意の|Ψ>は,|Ψ>=Σ>;c=<Ψ|Ψ>

と展開されます。これは,|Ψ>=Σ><Ψ|Ψ>とも書ける

ので,完全系をなすことは><Ψ|=1と表現されます。

 

 一方,任意の演算子をとするとき,<Φ|Ψ>の<Φ|を<Ψ|

とし,|Ψ>を>とすると,<Ψ|>ですが,これを 

i行j列の行列要素とする行列を同じ記号で表わすこtとに

します。

すると,exp(-β)|Ψ>=exp(-βE)|Ψ>によって, 

正準分布の状態和=分配関数Zは,

Z=Σexp(-βE)=Σ<Ψ|exp(-β)|Ψ

と表わされます。

 

行列A=(Aij)のトレース(trace:対角和)を,TrA=Σkk

で定義すると,ij=<Ψ|>の場合は,

Tr=Σkk=Σ<Ψ|> です。

 

以上から,状態和(分配関数)は量子論的期待値の和として,

Z=Tr[exp(-β)と書けることがわかります。

 

これを大きな状態和=大分配関数に拡張するには少し注意を

要します。何故なら,それは粒子数の変動を伴うからです。

 

エネルギーだけなら量子論の物理量としてHamiltonian

いう対応する演算子がありました。

 

そこで,自由粒子の場合,以前Bose分布とFermi分布の導出の際

に与えた,エネルギー固有値がεの1粒子状態を占有する粒子

数n,個数演算子と見なしてと書き,

=Σε,=Σとすれば,大分配関数Zは上記の

分配関数Zのケースと同様にして,Z=Tr[exp{-β(-μ)}]

と書けます。

 

この個数nを演算子と見なする法を第2量子化といいます。 

謂わゆる場の量子化ですね。

 

§4.古典的極限(高温極限)

 

これまでと同じく,莫大な数 N個の粒子が体積Vの箱の中にある

として考察していますが,粒子間には相互作用が働くとします。

そのポテンシャルをUとし,これは粒子の空間座標1,2,..,

のみの関数と仮定します。

 

特に2体力のみならvijを粒子iと粒子jの間に働く力の

ポテンシャルとして,U=Σi<jijと書けます。

 

しかし,以下の論議はより一般的で,UをU=Σi<jijの形に

限定する必要はありません。

 

,対象としている体系の全Hamiltonianは,

0+U(1,2,..,)であり,

0={-hc2/(2m)}Σk=1であるとします。

 

 H0とUは一般には演算子として非可換ですが,古典的極限では

 交換するとしてよいので,

 exp(-β)=exp{-β(0+U)}~ exp(-βU)exp(-β0)

 です。

 

 そこで,状態和は,この古典極限では,

 Z=Trexp(-β)=Tr[exp(-βU)exp(-β0)]

 です。

 

 系がFermi統計に従うとし,上記の状態和のトレース表現

 Z=Trexp(-β)=Σ<Ψ|exp(-β)|Ψ>のトレース

 を取る状態>して,Slater行列式:

 Ψ(1,2,3,..N)=(N!)-1/2Σ(-1)δ(P)

 ψr1(1)ψr2(2)..ψrN(N)を使います。

これは,前に粒子間に相互作用がある場合には自由粒子の集まり

とは異なって,全系の波動関数は1粒子のエネルギー固有関数の

の一次結合の形にはならない,と記述したことに矛盾するよう

ですが。。

2007年6/15の過去記事

ハートリー・フォック(Hartree-Fock)近似(1)」での電子の

集まりに対するHartree近似,すなわち,独立電子近似のような近似

を考えれば相互作用が弱い場合には矛盾ではないと考えられます。

 

したがって,(r1,r2,..,r)の組に対応する1つの,Slater行列式 

 Ψ(1,2,3,..N)=(N!)-1/2Σ(-1)δ(P)

 ψr1(1)ψr2(2)..ψrN(N) r1,r2,..,rN(1,2,3,..N)と書けば,

 Z=Trexp(-β)=Σ<Ψ|exp(-β)|Ψ>のトレース

 を取るべき)|Ψ>の添字kは,今の場合,k=(r1,r2,..,r)

 で与えられます。

 

 ただし,各rj(j=12,..,N)は1粒子波動関数ψrj(j)の添字

 であり,このrjは1粒子エネルギー固有値εjに対応しています。

 

 それ故,トレースの総和Σはあらゆるエネルギー準位の組

 (r1,r2,..,r)Slator行列式 ψr1,r2,..,rN(1,2,3,..N)

 にわたって取られます。

 以上から,Z=Trexp(-β)=Σ<Ψ|exp(-β)|Ψ 

 =Σ(r1,r2,..,rN)exp(-βU)ψr1,r2,..,rN(1,2,3,..N)

 exp(-β0)ψ1,r2,..,rN(1,2,3,..N)dτ1τ2..dτなる

 表式を得ます。

 

この表式のΣ(r1,r2,..,rN)で総和される内容を,F(r1,r2,..,r)

と書いて,Z=Σ(r1,r2,..,rN)F(r1,r2,..,r)と表現すると,

F(r1,r2,..,r)は,次の性質を有します。

 

 (ⅰ)F(r1,r2,..,r)は(r1,r2,..,r)の個々の引数成分の交換

 に対して対称である。 

 (ⅱ)F(r1,r2,..,r)は(r1,r2,..,r)のうち2つ以上のrk

 一致するときにはゼロである。

 

 以上の2点からr1<r2..<r)の制限付きの1つの

(r1,r2,..,r)の組に対して(N!)個の同じF(r1,r2,..,r)

が対応するため,状態和は,Z=Σ(r1,r2,..,rN)F(r1,r2,..,r)

=,(1/N!)Σr1,r2,..,rNF(r1,r2,..,r)と表わされます。

 

ただし,左辺のΣ(r1,r2,..,rN)の添字の組(r1,r2,..,r)は, 

 r1<r2..<r)の制限付きで,右辺のΣ(r1,r2,..,rNの添字

 r1,r2,..,rには,そうした順序の制限は無しです。

 

 そこで,今の場合の,

 Z=Trexp(-β)=Σ<Ψ|exp(-β)|Ψ>を再び,

 陽に書くと,(r1,r2,..,r)をr1<r2<..<r)に制限して

 Z=Σ(r1,r2,..,rN)exp(-βU)ψr1,r2,..,rN(1,2,3,..N)

 exp(-β0)ψ1,r2,..,rN(1,2,3,..N)dτ1τ2..dτ

 ですから,

 

 Z=(1/N!)Σr1,r2,..,rN∫exp(-βU)(N!)-1Σ(-1)δ(P) 

 [ψr1(1)ψr2(2)..ψrN(N)]exp(-β0)

 [ψr1(1)ψr2(2)..ψrN(N)]τ1τ2..dτN です。

 

ここで,ρ(,)≡Σψ()exp{βhc2/(2m)}∇() 

 とおくと,固有関数の完全性 |r><r|=1

 or Σψ(()=δ3()

 =(2π)-3∫d3exp{ik()} が成立しますから 

ρ(,)=(2π)-3∫d3exp{i()-βhc2/(2m)}

ですが,

i()-βhc2/(2m)

=-{βhc2/(2m)}{-im/(βhc2)}2-m//(2βhc2)

なので,

ρ(,)=(2π)-3exp[{-m/(2βhc2)}()2] 

∫d3exp{{βhc2/(2m)}{-im/(βhc2)()}2

 

 結局,ρ(,)

 ={m/{2πβhc2}}3/2 exp{-m//(2βhc2)()2}

 を得ます。

 

 古典的極限, or 高温極限では,βhc2 ~ 0 ですから,上の最後

 に得たGauss誤差関数の表現によると,xのρ(,)の

 寄与は,x=yのρ(,)=ρ(,) の寄与に比してほぼ

 ゼロであり無視できます。

 

 そしてρ(,)

 ={m/{2πβhc2}}3/2 exp{-m//(2βhc2)()2} 

 でx=yとすると,ρ(,)={m/{2πβhc2}}3/2 を得ます。

 

 したがって,βhc2 ~ 0 の極限では, 

 Z=(1/N!)Σ(r1,r2,..,rN∫exp(-βU)(N!)-1

 Σ(-1)δ(P) [ψr1(1)ψr2(2)..ψrN(N)]

  exp(-β0)[ψr1(1)ψr2(2)..ψrN(N)]τ1τ2..dτにおいて,

 Σ(r1,r2,..,rNの各項で,1つの添字rに対するψrjとψrj

 の積因子による関数:ρ(,)

 ≡Σrjψrj()exp{βhc2/(2m)}∇r1()に寄与する

 のは,総和Σ(-1)δ(P)のうちで=1(恒等置換)に対応する

 x=yの寄与のみです。

 

 これは,{m/{2πβhc2}}3/2をj=1,2,..NのN個掛け合わせた

{m/{2πβhc2}}3N/2ですが,ZはこれのΣ(r1,r2,..,rNのあらゆる

順列の(N!)個の総和を2つの(N!)因子で割ったもので

与えられますが,それ故,1つの(N!)は相殺されます。

 

 よって, 

Z=(1/N!){m/{2πβhc2}}3N/2∫d3132..d3exp(-βU) 

が得られます。

 

ここで.Q≡∫d3132..d3exp(-βU)とおき,

β=1/(kT),c=h/(2πを考慮すると,

Z=(1/N!){(2πmkT)3N/2/h3N}Q と書けます。

 

特に,理想気体でU=0ならQ=Vなので,a=h3N

置けば,Z=(1/N!){ V(2πmkT)3N/2/a}となり,前に

古典統計に基づいて求めた理想気体の分配関数をN!で割った

ものに一致します。

 

まだまだ,この項の草稿は続いてるのですが,長いので分ける

ことにして一旦,終わります。

(参考文献):阿部龍蔵 著「統計力学(第2版)」(東京大学出版会)

PS;11/22の土曜日には1回目の忘年会?がありました。

 私は極度の金欠で38円しかなかったので19時池袋待ち合わせには

 障害者無料のフリーパスで巣鴨から都パスで出かけ,池袋,大山,巣鴨

 と3件はしごしてタクシー代も含め全ておごってもらいました。

 もう7年半も前に心臓病手術直後にクビになった会社の先輩1名

 と後輩3名です。

 当時,門前仲町で降りて永大橋のそばに2000年から7年間通って

 て20時から朝7時まで勤務していた職場は既に無く,今は八王子

 で同じ仕事をもっと少人数で引き継いでるらしいです。

 後輩のうち1名には今回はじめて会いました。

 私が辞めた直後くらいに入社したらしいですが,いかにも人が

 好さそうな顔をしていました。

 イヤ,7年も前に辞めたのに,いまだに1年に数回はタダ酒

 さそってくれるのも私の人徳?のセイかな。。

 アリガタイことです。。

 夜中3時に帰宅して翌朝9時まで爆睡して日曜日はサワヤカに

 めざめました。

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