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2015年2月19日 (木)

連分数と近似分数(2)

前置きなしで連分数の続きです。

記事草稿は前回のアップのときにできていて,ただ長くなり過ぎたので分割しただけですがバタバタと忙しくて間が開きました。

年金など小金が入ると,つい昔の買い物中毒のムシが騒いだり

します。

連分数については,この記事をアップしても,なお,連分数に

よる近似分数が無理数の最良近似であるということを証明

するというタスクが残っていますが。。。

 

さて,具体的な例で個々の連分数から通分を繰り返して近似分数

を作るのは進めば進むほど厄介な作業になるので,便利な公式が

ないか調べてみます。

 

改めて,無理数ωの無限連分数展開をω=[k0,k1,k2,..]とする

とき,このωのj番目の近似分数をαj=pj /qj=[k0,k1,..,kj]

と定義します。

 

すると,まず,α0=p0/q0=k0/1なので,既約分数の条件:

(p0,q0)=1 から,0=k0,q0=1です。

 

次に1=p1/q1より(p1,q1)=1であり, 

α1=p1/q1=k0+1/k1=(p01+1)/k1です。

そこで,(p01+1,k1)=1 と仮定すると,p1=p01+1,

1=k1=q01 です。

 

しかし,このとき,実際,q0=1 なのでp10-q10=1

ですから,整数論の最大公約数についての定理により,

(p,q1)=1 が得られます。

 

よって,p1=p01+1,q1=k1=q01なる等式の成立は間違

いないです。

 

さらに2=p2/q210+1/(k1+1/k2)=k0+k2/(k12+1) 

(k012+k2+k0)/(k12+1) 

(p012+p0+k2)/(k12+1) 

(p12+p0)/(q12+q0) です。

 

そこで,仮にp2=p12+p0,q2=q12+q0とすれば 

21-p12=p01-p10=-1 を得ます。

 

それ故,p2とq2の最大公約数は1,つまり,(p2,q2)=1であり

2,q2は互いに素であってp2/q2は確かに既約分数です。

 

したがって,p2=p12+p0,q2=q12+q0であり, 

21-p12=p01-p10=-1です。

これを繰り返すと, 

αn=pn/qn,pn=pn-1n+p-n-2, qn =(qn-1n+qn-2

であり,nn-1-pn-1n(-1)n-1

となることが予想されます。

 

そこでn-4=pn-1/qn-1についてpn-1=pn-2n-1+pn-3, 

n-1=qn-2n-1+qn-3,pnn-1n-2-pn-1n-2=(-1)n-2

帰納法の仮定とします。

 

αn-1=pn-1n-1[k0,k1,..,kn-1,]

=k0+1/(k1+1/(k2+..1/kn-1)))..)であり,

αn=pn/qn=[k0,k1,..,kn-1,kn]

=k0+1/(k1+1/(k2+..1/kn-1+1/kn) 

なので,

 

これはαn-1=pn-1/qn-1=(pn-2n-1+pn-3)/(qn-2n-1+qn-3)

において,n-1(kn-1+1/kn)に置き換えただけです。

 

よって αn=pn/qn

=(pn-2(kn-1+1/kn)+pn-3)/(qn-2(kn-1+1/kn)+qn-3) 

=pn-2n-1n+pn-3n+pn-21/(qn-2n-1n+qn-3n+qn-2) 

(pn-1n+p-n-2)/(qn-1n+qn-2) を得ます。

 

そこで,(pn-1n+p-n-2,qn-1n+qn-2)=1 なら 

n=pn-1n+p-n-2, qn =(qn-1n+qn-2です。

 

これを仮定するとpnn-1-pn-1n=qn-1n-2-pn-1n-2

=-(-1)n-2=(-1)n-1です。

 

したがって,確かにこの選択で,

(pn,qn)=(pn-1n+p-n-2,qn-1n+qn-2)=1

となります。

 

以上から,帰納法の結論:αn=pn/qn,pn=pn-1n+p-n-2,

n =qn-1n+qn-2,および,pnn-1-pn-1n=(-1)n-1

成立が証明されました。

 

一方,ω=[k0,k1,k2,..]をω=[k0,k1,..,knn+1], 

ただしn+1=[kn+1,kn+2,k2,..]と表現すれば,

ω=[k0,k1,..,knn+1]の右辺は形の上では,

αn+1=[k0,k1,..,kn,kn+1]の右辺のkn+1をωn+1に置き

換えただけです。

 

それ故n+1=pn+1/qn+1=(pnn+1+pn-1)/(qnn+1+qn-1)

の右辺のkn+1をωn+1に置き換えるとωの表式が得られます。

 

すなわち,ω=(pnωn+1+pn-1)/(qnωn+1+qn-1)です。

このとき,次の定理が成立します。

 

[定理]:ωの近似分数αn=pn/qnは数直線上でωの両側から

1つおきにωに単調に収束する。

 

(証明) ω=(pnωn+1+pn-1)/(qnωn+1+qn-1)より, 

nωn+1+pn-1=ω(qnωn+1+qn-1)です。

 

故に,-ωn+1(qnω-pn-)=(qn-1ω-pn-1) です。

ところが,明らかにωn+1>kn+1≧1 ですから, 

|qnω-pn|<(qn-1ω-pn-1| が成立します。

 

ここで.qn =qn-1n+qn-2≧qn-1nでknは1 以上の整数

ですから,n ≧qn-1>0 です。

故に, 0<(1/qn)≦(1/qn-1) です。

 

したがって,

|ω-(pn/qn)|<(qn-1ω-pn-1|/qn≦,|ω-(pn-1/qn^1)| 

が得られます。

 

他方,-ωn+1(qnω-pn-)=(qn-1ω-pn-1)から, 

ω-(pn/qn)=(-1/ωn+1){ω-(pn-1/qn-1)}(qn-1/qn)

ですから,ω-(pn/qn)とω-(pn-1/qn-1)は異符号であり,

 

初項では0=p0/q0=k0<ωより{ω-(p0/q0)}>0

ですが,次の{ω-(p1/q1)}<0 です。

 

そして,また,

{ω-(p2/q2)}>0で{ω-(p2/q2)}<{ω-(p0/q0)}

です。

 

したがって,nが偶数:n=0,2,4,..ではαn=pn/qnは常にωより

小でωより小さい方から次第に単調増加してωに近づきます。

 

他方,nが奇数:n=1,3,5,..ではαn=pn/qnはωより大きい方

から次第に単調減少してωに近づきます。

 

また,ω=(pnωn+1+pn-1)/(qnωn+1+qn-1)より, 

ω-(pn/qn)=(pnωn+1+pn-1)/(qnωn+1+qn-1)-(pn/qn) 

(pn-1n-pnn-1-)/{qn(qnωn+1+qn-1)} 

(―1)n-1/{qn(qnωn+1+qn-1)} ですが,

 

数列{qn}については,漸化式:qn+1=qnωn+1+qn-1

が成立しているので,(qn+1/qn)≧ωn+1>1です。

 

そこで,ある正の数r>1で常にqn+1/qn>rを満たすものが存在

します。

 

したがって,q0≧1,r>1であって,かつ,qn>q0n より, 

n → ∞に対してqn → ∞ですから,|ω-(pn/qn)| → 0

です。

 

以上から,ωの近似分数αn=pn/qnは数直線上でωの両側

から,1つおきにωに単調に収束する。という定理の結論が

示されました。    (証明終わり)

 

再び循環連分数に戻って前に厳密な証明はPendingにしておいた

命題を証明します。以下の命題です。

 

(1)循環連分数は2次の無理数である。

(2) 2次の無理数の連分数展開は循環連分数となる。 

です。これはLagrangeの定理と呼ばれています。

 

(証明)(1)ωを任意の循環連分数とし最初の数項の循環しない部分

をα,循環する部分をσ=[β]として,ω=[α,σ]と書けば,α,β

は有理数であり,σ=[β.σ]なので,σ=β+1/σより,

σ2-βσ―1=0が成立します。

 

βは有理数ですからσは有理数係数の2次方程式

2-βx―1=0 の根です。

 

具体的には,根の公式から,σ={β+(β2+4)11/2}/2です。 

故に1/σ={-β+(β2+4)11/2}/2,ω=α+1/σであって, 

ω={2α-β+(β2+4)11/2}/2により,

(2ω-2α-β)2=β2+4ですがαも有限項の連分数故,有理数

ですからωも有理数係数の2次方程式の根です。

 

以上から,ωは2次の無理数の1つです。

 

(2)逆にωが2次の無理数とすると。2次の無理数の定義により,

ある整数,b,c(ただし,a≠0)が存在してaω2+bω+c=0

が成立します。

 

先の任意の無限連分数に対する表現:

ω=(pnωn+1+pn-1)/(qnωn+1+qn-1)を 

aω2+bω+c=0 に代入すると,各nごとにある整数An,Bn,Cn

が存在してnωn+12+Bnωn+1+Cn0 (n=0,1,2、..)

が満たされます。

 

具体的に書くと, 

(pnωn+1+pn-1)2/(qnωn+1+qn-1)

+b(pnωn+1+pn-1)/(qnωn+1+qn-1)+c=0 より, 

(pnωn+1+pn-1)2+b(pnωn+1+pn-1)(qnωn+1+qn-1)

+c(qnωn+1+qn-1)2=0 

(apn2+bpnn+cqn2n+12

+(2apnn-1+bpnn-1+bpn-1n+2cqnn-1n+1

(apn-12+bpn-1n-1+cqn-12)=0 ですから,

 

n=apn2+bpnn+cqn2, 

n2apnn-1+bpnn-1++bpn-1n+2cqnn-1, 

n=apn-12+bpn-1n-1+cqn-12

です。

 

αn=pn/qn → ωでωは有限な実数ですから整数pn,qnは有界

であり,したがって,それらの高々2次式であるAn,Bn,Cnも有界

な整数です。

つまり,An,Bn,Cnのそれぞれには最大値と最小値があります。

 

そこで,整数係数の2次方程式

n2+Bnx+Cn=0 (n=0,1,2、..)の個数は

有限個しか有り得ません。

 

そこで,An2+Bnx+Cn=0 (n=0,1,2,..)は実は有限個

を除いて全てが同じ2次方程式であり,これが無数にあります。

 

その異なる方程式の根の全てを改めてω12,..と添字を付けて

m番目より後の項は全てωm+1が満たすのと同じ2次方程式の根

となるように順序を並べかえることができます。

 

すなわち,[ω12,..,ωmm+1m+1、..ωm+1]

=[ω12,..,ωm,ωm+1] です。

 

元々,n→ ∞ではωm+1→ωなのでωm+1が満たす無数の方程式は

ωが満たす方程式の根であるはずです。

すなわち,n → ∞ではAn → A,Bn → B,Cn →Cであり,無理数

ωはAx2+Bx+Cn0 の根であって,A,B,Cは整数です。

 

以上から2次の無理数ωの連分数展開は常に循環連分数であること

が示されました。   (証明終わり)

 

さて,dが2以上の自然数で平方数でないとき,a,bを有理数

としてω=a+b√dの形の全ての実数ωは有理数係数の

2次方程式:(x-a)2-b2d=0 の根ですから2次の無理数です。

逆に任意の2次の無理数ωはある整数d≧2と有理数a,bについて

ω=a+b√dの形に書くことができます。

 

ω=a+b√dを1根とする2次方程式:

(x-a)2-b2d=0 のもう1つの根a-b√dをωの共役

と呼び,これをω=a-b√dと表わすことにします。

次の定理が成立します。

 

[純循環連分数に対するGalois(ガロア)の定理]

2次の無理数ωの連分数展開が初項から直ちに循環が始まる

純循環連分数になるための必要十分条件はω>1 ,かつ,

-1<ω<0 が成立することである。

 

(証明)まず,ωは2次の無理数でω>1,かつ,-1<ω<0 が

成立しているとします。

 

ω=[k0,k1,k2,..]として,これを,

ω=[k01]=[k0,k12]=...=[k0,k1,..,kn-1n]

と置くと,ωn1,かつ,-1<ωn<0 (n=0,1,2,..)

が成立します。

 

これは帰納法によって証明することができます。

 

まず.ω=[k01]=k0+1/ω1より, ω1=1/(ω-k0)

ですが,ω=[k0,k1,k2,..]より,0<(ω-k0)<1なので,

ω1>1です。

 

また, ω=k0+1/ω1より,ω=k0+1/ω1ですから,

ω1=1/(ω-k0)です。

 

そして,-1<ω<0 なので,-(1+k0)<(ω-k0)<-k0

です。

 

(k0-ω)>0かつ,((k0-ω)>k0であり, 

故に,,1/ω<1/(k0-ω)>1/k0≦1です。

そこで,-1<1/(ω-k0)<0,つまり,-1<ω1<0 です。

 

ここで, ωn-1>1,かつ,-1<ωn-1<0 と仮定します。

 

ところが,明らかに,ωn-1=[kn-1n]=kn-1+1/ωnであり, 

ωn-1=kn-11/ωnです。

 

ωn1/(ωn-1-kn-1),ωn=1/(ωn-1-kn-1)で,ωn-1>1,

かつ,-1<ωn-1<0 ですから,

すぐ前で,ω>1,かつ,-1<ω<0の前提から,

ω1=1/(ω-k0),ω1=1/(ω-k0)について

ω1>1,かつ,-1<ω1<0,を示したのと同じ方法で

ωn>1,かつ,-1<ωn<0 を示すことができます。

 

ωn[knn+1]=kn+1/ωn+1n=kn+1/ωn+1なので,

-1/ωn+1=kn+(-ωn)で,0<(-ωn)<1より,

n<(-1/ωn+1)<kn+1ですから,kn=[-1/ωn+1]

を得ます。

 

ただし,最後のkn=[-1/ωn+1]では,[ ]はGauss記号

を意味します。

 

ところが,ω=[k0,k1,k2,..]=[k0,k1,..,kn-1n]

は2次の無理数なので,この右辺の連分数展開は,ある項から循環

します。

 

したがって,m>nなる添字m,nが存在してkm=knm=ωn.

かつ,ωm=ωnが成立します。

 

ところが,km=[-1/ωn+1],kn=[-1/ωn+1]ですから

ωm=ωnの成立はm-1=kn-1を意味します。

 

結局,km=knm=ωn.から,km-1=kn-1m-1=ωn-1しと添字

を1つずつ下げて等式の成立を導くことができるため,

ω=ω0=ωm-n が結論され,ωが純循環であることがわかります。

 

逆に,ω=[k0,k1,k2,..]が純循環連分数なら,  

ω=[0,k1,..,km]=[k0,k1,..,km,ω] です。

 

αn=pn/qn=[k0,k1,..,kn]として, 

ω=(pnωn+1+pn-1)/(qnωn+1+qn-1)であり,循環連分数なら

あるnより先ではωn+1=ωなので,

ω=(pnω+pn-1)/(qnω+qn-1)です。

特に,純循環なので 

ω=ω0=ω1-..=ωn=ωn+1=..ですから,結局,nに無関係

ω=(pnω+pn-1)/(qnω+qn-1)となりますから 

nω2(qn-1-pn)ω-pn-1=0 が成立します。

 

ここで,f(x)=qn2+(qn-1-pn)x-pn-1と置くと,

このxの2次関数のx2の係数qnは正であって,

f(0)=-pn-1<0 ,かつ,f(-)=qn-qn-1+pn-pn-1>0 

です。

 

何故なら,以前の議論でpn=pn-1n+pn-2,qn=qn-1n+qn-2

でしたから,n-pn-1=pn-1((kn-1)+pn-2>0,

n-qn-1=qn-1((kn-1)+qn-2>0 であるからです。

 

また,f(1)=(qn+qn-1)-(pn+pn-1)ですが,これは負の数です。

 

何故ならn=pn/qn>1,かつ,αn-1=pn-1/qn-1>1 なので, 

n<pn,1かつqn-1<pn-1 だからです。

 

以上から,f(x)は座標平面上で下に凸な放物線で

f(-1)>0,f(0)<0,f(1)<0 です。

 

したがって,2次方程式f(x)=0の2根の一方はx=-1と

x=0の間にあり,もう1つはx=0よりも大きい側にあります。

したがって,ω>1,かつ,<-1<ω<0と結論されます。

(証明終わり)

※フランスの天才数学者エヴァリスト・ガロア(E.Galois)

は20歳で決闘で倒れる前夜に有名な「代数方程式がベキ根に

よって解けるための必要十分条件」の論文を残しましたが,

連分数に関する上記の定理はさらに若き日のガロアが残した

ものらしいです。

 

 次は,「Galoisの定理」の応用です。

 [Lagrange(ラグランジュ)の定理]

 2以上の正の整数で平方数でない数dの平方根√dの連分数展開

 √d=[k0,k1,k2,..]は,初項のすぐ次の第1項から純循環連分数

 である。 

 (※実際,前に,√3={1,1,2}なることを見ました。)

 

(証明) √d=[k0,k1,k2,..] なら,まず,明らかに

 k0=[√d]です。

 

そこで,今,ω=k0+√dと置けば,ω=k0-√dです。

このとき,明らかにω>1,かつ,-1<ω<0 です。

 

それ故,Galoisの定理によりωの連分数展開は純循環連分数です。

 

そして,[ω]=k0+ [√d]=2k0,かつ,

ω-k0=√d=[k0,k1,k2,..] ですから,

 

ω=[2k0,k1,k2,..]=[2k0,k1,k2,.kn-1] 

=[2k0,1,k2,.kn-1,2k0] を得ます。

 

以上から, √d=ω-k0=[k0,1,k2,.kn-1,2k0]

と書けます。  (証明終わり)

 

 あとは,もう少しなのですが,ここで次回に続きます。

 ブログを書くという作業も昔より疲れるので少し書いては

 休んでいます。

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303. 代数学・数論」カテゴリの記事

コメント

Informative Article, it is nice to at last find educational content online, I am really suprised to come across a blog that is not full of the normal drivel, congratulations.

投稿: Darryl | 2015年3月 7日 (土) 15時58分

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