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2015年10月

2015年10月27日 (火)

弱い相互作用の旧理論(2)(Fermi理論)

 弱い相互作用の旧理論の続きです。

この続きをアップするまで,前回から10日余りも経過しました。

以前なら2~3日もあればできた原稿書きもモチベーション

劣化や体力視力の衰えで数倍の時間がかかります。

 この初期アップを体裁を整えて図も入れるという作業もある

 のですが。。当座の時間がないです。

 朝8時半にはでかけないといけません。。

 
これから順天大病院 での外来で二タ月に1度ですが,循環器と糖尿病

の内科に行って診察にかからなければならず。。。

来週の11/2は,もう1つ形成外科にもかかる予定です。

全部火曜日なら通院は1度で済むのですが。。形成外来は主治医

が月曜なので。。。

 最近病院がとても混んでいて帰宅は夕方になるのでこの記事を

直して完成させることができるのは夜ですかね。

(※PS:やはり,病院はとても混んでいて診察終了13時40分頃,それから

薬をもらえたのが14時50分頃で帰りに巣鴨の西友で,電池切れで測定

不可能な血糖測定器用のボタン電池を買って帰宅したのは17時40分

頃でした。 一服してから,このブログの誤字等を直しています。※)

さて,前回の最後では,β崩壊のS行列要素を与える式:

fi(-)=-iΣαβγδ=∫d41..44 

Ψα()(1)Ψβ()(2)Ψγ()(3)Ψα(ν)(4)

×Fαβγδ(1,..,.4) における未知関数Fの形は,

相対座標x1,2,3,4の違いが大きい場合については以後

30年余の探求により完全に決定されました。

と書きました。

この因子Fの性質について最も簡単な仮定は,大きい時空間距離:

(i-x)(,j=1,,3,4)に対してはFは消える。」

ということです。

 

実際,Fが消えない時空間距離のレンジが,c/βc~ 10-12cm

に比して小さい,あるいはβ崩壊の電子e(β線)のエネルギー

βが ~ 10MeV比して大きい,場合なら, Fは局所相互作用

であるという第1近似を採用することができます。

 

すなわち, 第1近似では, 

αβγδ(1,,,4)

αβγδ・δ(1-x2)δ(1-x3)δ(1-x4) 

なる形を仮定するわけです。

 

ただし,αβγδはスピノル因子を結合させる4×4×4×4

の定行列です。

 

これは,これまでの観測結果に対しては1つの極度に良い近似

を与えることがわかっています。

 

αβγδ(1,,,4)

αβγδ・δ(1-x2)δ(1-x3)δ(1-x4) 

を用いてαβγδ(1,,,4)を運動量空間にFourier

変換すれば,

 
αβγδ(1,,3,4) =∫d41..44 

×exp{i(11+k22+k3+k44)}

×αβγδ(1,,,4)

 

=∫d41 exp{i(1+k+k3+k4))}αβγδ 

(2π)δ(1+k+k3+k4)αβγδ

 

となります。

 

結局,こうした形の局所相互作用は単に相互作用頂点における

エネルギー・運動量の保存を表現するδ-関数を定数行列倍

したものです。

 

これは,質量がμのπ中間子の交換による核子-核子散乱

(N-N散乱)のケースと対比させるべきでは?という誘惑

に駆られます。

 

すなわち,そうしたπ中間子交換の強い相互作用では

1/(-μ)でした。

 

(※)ここで以下,本ブログ過去記事の強い相互作用の理論

(湯川相互作用)」の復習をします。

 

まず,始状態:|i>には4元運動量P1(1,1 ),

および,P(2,2)を持っていた2つの核子(nucleon)

N:(陽子pまたは中性子n)が衝突した結果,

 

 終状態:|f>には4元運動量P1'(1',1'),および,

'(2',2')を持つに至る場合のS行列(散乱行列)

要素fiは,

を散乱演算子として,

fi<f||i>=<1',2'||1,2

で与えられます。

 

これは,先の弱い相互作用(β崩壊)での4つのFermi粒子と

同じくΨ()()を入射して散乱放出される核子Nの4元スピノル

として,やはり,

 

fi=-iΣαβγδ=∫d41..d44 

Ψα()(1)Ψβ()(2)Ψγ()(3)Ψα()(4)

×Fαβγδ(1,..,.4)

 

なる形に書けます。

 

衝突の始状態と終状態で共に2核子のみが観測される弾性衝突

では,核子のエネルギーも運動量も保存されます。

'

すなわち,1μ+Pμ=P1'μ+P'μ(μ=0,1,2,3)です。 

これはエネルギーと運動量を分けて書くと,

1++E=E1'+E',11''です。


運動量遷移(momentum ransfer)1'1で定義し,

4元ベクトルとしてq=(1'-E1,1'1)とおけば, 

1+P=P1'+P'より,1'-P1= P-P'ですから,

 

2(1'-P1)2(1'-E1)2(1'1)2 

('-P2) 2(2'-E )2(')2 です。

 

静止した標的粒子2に,粒子1が運動量1で衝突して粒子2

の粒子1に対する中心力ポテンシャル:()=V(),

ただしr=||,21によって,散乱された結果,

粒子1の運動量が1から1'に変わるというポテンシャル散乱 

をイメージしたBorn近似では,同じN-N散乱'のS行列要素は

単純に,fi=-(2πi)δ(1'-E1)1'||1

で与えられます。

 

この場合は,核子1の衝突による標的核子2の反跳が微小であり

運動量の変化2'2に対しエネルギーの変化:

0=E2'-E2 が無視できる近似になっていて,

2(1'-E1 )2(1'1)2 ~ - 2 です。

 

強い相互作用では,ポテンシャルVを謂わゆる湯川ポテンシャル

として()=-kexp(-μr)/(4πr)(ただしr=||)

与えます。

 

ただし,核力が引力であればk>0です。

 

これを3次元空間でFourier変換すると, 

∫d3exp(iqx)()=k/( 2+μ 2)ですが. 

これの逆変換は,()=-kexp(-μr)/(4πr) 

=-k∫d3(2π)-3exp(iqx)/( 2+μ 2)  です。

 

※(注2-1):つまり, 湯川ポテンシャルVは質量がμの

自由スカラー粒子が満たす,Klein-Gordon方程式:

(□+μ 2)φ()0,の時間的に定常な∂φ/∂t=0 

の解を与えるHelmholtzの方程式:(Δ-μ2)φ()0

の中心対称で無限遠でゼロとなる,

(Δ-μ2)φ()=δ3()を満たすGreen関数

になっています。

 

()=-kexp(-μr)/(4πr)の定数係数kを1

おいてφ()=-exp(-μr)/(4πr)とすれば, 

(Δ-μ2)φ()(Δ-μ2){exp(-μr)/(4πr)} 

=δ3()=∫d3(2π)-3exp(iqx) です。

 

それ故,両辺に(Δ-μ2)-1を掛けて 

(2π2)exp(-μr)/r=∫d3 exp(iqx)/(2+μ2) 

あるいは,∫d3(2π)-3exp(iqx)/( 2+μ 2)

exp(-μr)/(4πr)です。

 

一方,相対論的量子論で質量がμでスピンがゼロの中間子

を交換する場合,中間子のFeynman伝播関数:Δ(), 

Δ()=∫d(2π)-exp(iqx)/( 2-μ 2iε)

で与えられますが,これはq0 0 では,

 

-∫d(2π)-4exp(iqx)/(  2+μ 2) 

=-(2π)-1∫dq0 exp(i0)

∫d3(2π)-3exp(iqx)/( 2+μ 2) 

=δ(0) exp(-μr)/(4πr) 

となります。

 

核子流J()とπ中間子との相互作用が 

(□+μ 2)φ()=J()であれば,(□+μ 2)-1,

つまり,Green関数Δ(x―y)によって積分形で,

φ()=∫d4yΔ(x―y)()と書けますが,

 

標的核子2のスピノルΨ(N)(2)が4元運動量P2,からP2'

に遷移する遷移流を電磁相互作用における結合定数(素電荷)

eに対応する強い相互作用の結合定数gにより,

核子流としてJ(2)=gΨ(N)P2'~(x2)iγ5Ψ(N)P2(x2) 

とすれば,

 この核子2の遷移流から生成されるπ中間子の波動関数φ()

 は,φ()=∫d41Δ(x―x2)J(2)で与えられます。

 

このπ中間子との相互作用で核子1が散乱されると見れば, 

fi(i)∫d41

Ψ(N)P1'~(x1) iγ5φ(2)Ψ(N)P1(x1) 

(i2)∫d4142

Ψ(N)P1'~(x1) iγ5Ψ(N)P1(x1)Δ(1-x2) 

×Ψ(N)P2'~(x2)iγ5Ψ(N)P2(x2) 

と書けます。

 

自由 Dirac方程式:(iγμμ-M) Ψ() ()0

の4元運動量P=(,)を持つ平面波の解を, 

Ψ()()(2π)1-3/2 (/)1/2(,s)exp(iPx)

と書けば,

 

fi=-ig∫d41Ψ()P1'~(1) iγ5φ(2)Ψ()P1(1) 

=-i2∫d4142Ψ()P1'~(1) iγ5Ψ()P1(1) 

×iΔ(1―x2)Ψ()P2’~(2)iγ5Ψ()P2(2) 

より,

 

fi(i)2(2π)δ(1'+P2'-P1-P2)

(2π)-6{(4/(1'E12'2))1/2 

~(1',1')γ5(1,1)~(2',2')γ5(2,2) 

×{i/( 2-μ 2iε)} となります。

 

標的粒子2のエネルギー・運動量は単独に保存されて,

ほぼ静止して核子1に衝突されても動かないという

2'=E2=Mの近似では ,

fi(i)2(2π)δ4(1'-1)(2π)-6

{(2/(1'E12'2))1/2 

~(1',1')γ5(1,1)~(2'',2')γ5(2,2) 

×{i/( 2-μ 2iε)}

 

=-(2πi)δ4(11) (2π)-3{2/(1'E1)}1/2 

~(1',1')γ5(1,1)(-g2)/( 2+μ 2)

 

i何故なら,(E1'-E1)=0では,

Δ(1―x2)i∫d(2π)-exp|i(1-x2)}

/( 2-μ 2iε) 

=-iδ(1'-E1)∫d3(2π)-3exp{i(12)}/( 2+μ 2)

 =-iδ(1-E1)

×∫d3(2π)-3exp{i(12)}/( 2+μ 2)


となるからです。

 

一方,Born近似は, 

fi=-(2πi)δ(1'-E1)1'||1 

=-(2πi)δ(1’-E1)

{(2π)-3∫d3Ψ()P1'~()()Ψ()P1() 

=-(2πi)δ(1'-E1δ4(1'1) 

(2π) -3/( 2+μ 2) ~(1',1')γ5(1,1)

 

となります。

 何故なら,1'||1 

 =∫d3exp(iqx) ()Ψ()P1’~()()Ψ()P1() 

(2π) -3{2/(1'E1)}1/2 (2π) -3/( 2+μ 2)

 

それ故,k=g20であり湯川ポテンシャル:

()=-g2 exp(-μr)/(4πr)による相互作用

が核力の大部分を体現しているとすれば,これは運動量空間

でのπ中間子の交換:

2/( 2-μ 2iε) ~ -g2/( 2+μ 2)

に対応していると考えられます。  

(強い相互亜用の復習終わり(※)

 

さて,ポテンシャル:V()=-g2 exp(-μr)/(4πr)

において,μr ≦ 1を満たすr≦(1/μ)の領域を核力のレンジ

と呼んでいます。

 

観測されたπ中間子の質量 or エネルギー:μ ~ 140 MeVから

核力のレンジ(1/μ)を長さの単位に換算すると,これは

/(μc) 10-13cmであり,実際の核力の及ぶ範囲に一致

しています。

 

 しかし,もしもこの,粒子間の力を仲介する中間子の質量が

より大きくなることを許すなら,小さい 2に対sてはβ崩壊の

ような弱い力の状況にも同様のアプロ―チができると予想されます。

 

これは,つまりそうしたより重い中間子の交換が β崩壊のような

弱い相互作用に関わる4つのFerm粒子の近似的な1点結合を与える

ことを意味します。

 

逆にいえば,逆β反応:ν~+p → n+eのように弱い相互

作用に巻き込まれるエネルギーが増加するとき,相互作用は1点

でなく非局所的な拡がりをもつようになるであろうと予測されます。

 

そこで,例えば可能な重いBose粒子Wがp-n系とe-ν系で交換

されているかも知れないし,あるいは,より複雑な非局所性が生じ

ているのかも知れません。

 

(2-2)Fermiのカレント-カレント4体相互作用理論主流の当時

でも,重いBose粒子が2体間の力を仲介するという仮説は存在して

いましたが,その後,ゲージ理論が発展してWeinberg-Salam

(ワインバーグ-サラム)モデルという画期的な理論が出現しました。

 

本来の素朴なゲージ理論では,力を仲介するBose粒子

(ゲージボソン)が存在し,それは質量がゼロであるべきで,さも

なければゲージ不変の対称性を維持きないのですが,

 

宇宙初期の非常に熱い空間の状態では,そうした質量ゼロの

ゲージ対称性が満たされていたげれど,宇宙が膨張して冷えて

いくにしたがい,ある時期に低温故の自発的な対称性の破れ

が生じて,

 

1つには質量ゼロの南部-Goldstoneボゾンが出現し,,

他方ではHiggsメカニズムによって,本来質量ゼロであった

ゲージボソンも質量を持つようになるという理論

に基づいた弱い相互作用の理論を具体化したのが

Weinberg-Salam理論です。

 

これによる予想では弱い相互作用を仲介する重い質量の

ゲージボソンが存在するはずですが,近年,実際にWボソンや

Zボソンといった重いボソンの存在が確認されてこの仮説は

裏付けられたにわけです。(2-2終わり)

 

さて,現在(当時)の論議に対しては,  

αβγδ(1,,,4)

αβγδ・δ(1-x2)δ(1-x3)δ(1-x4)

 

および,αβγδ(1,,,4) =∫d41..44 

×exp{i(11+k,+k+k44)}

αβγδ(1,,,4) 

=∫d41 exp{i(1+k+k+k4))}αβγδ

 

という局所相互作用の形式は近似段階に留まっています。

 

低エネルギーのβ崩壊の領域では,核子nやpの反跳

(recoiling:崩壊や衝突反応の反動の小運動)もまた,

||/の範囲内では微小なので,無視できます。 

ただし,ここでのは陽子pの反跳運動量です。

 

そして,中性子nと陽子pの波動関数は, 

fi(-)=-iΣαβγδ=1 4∫d41..44 

 Ψα()(1)Ψβ() (2)Ψγ()(3)Ψα(ν) (4)

 ×Fαβγδ(1,..,.4)

 

において, Ψ()(1), Ψ()()で表わされています,

これは一定のスピノルに置き換えることができます。

 このS行列要素の絶対値を平方し終粒子に対して総和し,始状態

の非偏極中性子でのスピンで平均を取ると,遷移率

(=単位時間当たりの遷移確率),または微分断面積に比例する

として,

|fi|2/(VT) 

 ∝ (4ν)-1Σ,r(+m)Γν~Γ

(2π)4δ4(+pν~+P-P) 

なる式を得ます。 ただし,=γp=γμμです。

 

また,Γ,Γ16種類のガンマ行列:1,γ5,γμ,γ5γμ, 

σμν(i/2)]γμ,γν]のいずれか,または,それらの線型結合

です。

 

このΓ=1,γ5,γμ,γ5γμ,σμν,それらを,Ψ~()

Ψ ()挟んだ双1次形式:Ψ~()ΓΨ()で与えられる

カレントは,

それぞれ,スカラー(),擬スカラー(),ベクトル(),

軸性ベクトル(),2階テンソル()示すものです。

 

Γ,Γ,実際の局所相互作用を示す行列αβγδが如何なる

構造を持つかに依存して決まります。

 

トレース因子:Σ,r(+m)Γν~Γの計算を実行する

,これは次の一般形を持つはずです。

 

すなわち, 

Σ,r(+m)Γν~Γ

=AEν~+BEν~+CEν~β^ν~ 

 

です。ただし,,,Cは定数で,

β/,^ν~ν~/ν~です。

 

(2-3):何故なら,Σ,r(+m)Γν~Γ 

=Σ,rΓν~Γ+mΣ,rΓν~Γにおいて

右辺の第2項は明らかにpν~に比例しますが, ν~0=Eν~より

特にνに平行な方向をz軸(3軸)とする空間座標を採用すれば

ν~=γμν~μ=Eν~(γ-γ3)ですから, 

一般に第2項:Σ,rΓν~ΓはEν~に比例します。

 

一方,右辺の第1項はpν~のスカラー積や

μν~νAμνのような形でに係数が付くので.

ν~に比例する項とν~に比例する項に分割

されます。(2-3終わり)

 

そこで,始状態:|i>から終状態:|f>への遷移率として, 

 |fi|2/(VT) (/+B+Cβ^ν~)

 ×(2π)4δ4(+pν~+P-P) 

なる表式を得ます。

 

これに基づき,終状態:|f>=|,ν,>に対する

位相空間因子:, ν~,を掛けて

陽子とニュートリノの運動量ν~にわたってのみ積分を

実行すると,中性子nのβ崩壊における電子eのスペクトル

の分布を見出すことができます。

 

すなわち, 

dΩ∝ ∫d∫dνδ(-M-E-Eν~)

(/+B+Cβ^ν~) 

∝ p(-M-E)2(/+B)dEe です。

(dΩ||2||dΩで定義される量です。)

 

 

(2-4):何故なら,

∫dδ4(+pν~+P-P)=δ(-M-E-Eν~) 

ν~|ν~|2|ν~|dΩν~=Eν~2dEν~dΩν

 

そして,δ(-M-E-Eν~)からEν~=M-M-E)

^ν~を含む項はdΩνの∫において奇関数なので積分の結果

ゼロです。

 

そこでdν~の積分の結果,

4πd(-M-E)2(/+B)です。

 

さらに,||2||dΩ||dEe 

であるからです。(2-4終わり)

 

そこで, ()-1(-M~-E)-2(dΩ/dE)

をE軸に対してプロットすることにより,

エネルギー依存性:A/ν~+B)を見出すという段階に到

達しました。

 

自由中性子だけでなく,許される遷移として知られている

広いクラスの原子核のβ崩壊についても電子スペクトルは

この依存性を持ち,さらにA=0となることが実験において

観測されました。

 

同じ意図ですが,よりなじみ深いデ-タを得る方法はKurie

のプロットによるものです。

すなわち, {()-1(dΩ/dE)}1/2をEに対して

プロットします。これからも M-M-E)に比例した直線

を得ました。

 

|fi|2/(VT) (/+B+Cβ^ν~)

(2π)4δ4(+pν~+P-P)なる形で,

/の項が無いことは,β崩壊相互作用についての

ここで論議した詳細な性質と実験結果から導かれた帰結です。

 

この消えた項は,Fierzの干渉項と呼ばれるものの1つです。 

これは中性子の速度に比例する豪列要素を有する禁止された

β崩壊の遷移をも含むあらゆる観測されたβ線スペクトル

には明白に依存しない項です。

 

 

 しかし,このFierz項が無いことは,再び,β崩壊相互作用の

 近似的な局所性を保証するものです。

 

A=0のときは電子戦のエネルギースペクトルが単純に

位相空間体積:(ν~2dE)に比例すること,

 

そしてエネルギースペクトルが一定のS行列要素: 

fi  (2π)4δ4(+pν~+P-P)から予測される

スペクトル形を持つことにに着目すれば,

これは興味深いことです。

 

長くなったのでここで終わります。

 

(参考文献):J.D.Bjorken & S.D.Drell”Relativistic QantumMechanics”(McGrawHill)

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2015年10月19日 (月)

訃報!!盛田幸妃さん。。元プロ野球投手

  太洋ホエールズに入団。横浜,や近鉄でリリーフ投手として活躍。。

 脳腫瘍のため闘病後にカムバックしましたが。。その後も闘病中だったらしい盛田幸妃氏が去る16日にとうとう帰らぬ人となったそうです。

 享年45歳。。。まだまだ若い。。詳しい死因は不明らしいです。

         

サンスポ→盛田幸妃氏死去。。カムバック賞の"奇跡”のリリーバー

 

 広島の快速のストッパー津田投手の急死を思い出します。

 ご冥福を祈ります。。。合掌!!

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訃報!!橘家円蔵さん。。。

 橘屋円蔵さん。というより月の家円鏡さんと言った方がなじみ深い落語家の円蔵さんが去る10月7日に心室細動のため亡くなられました。享年81歳。。

 朝日新聞デジタル→ 落語家の橘屋円蔵さん。死去。「ヨイショ」が決まり文句,

 独特のシャベリ方。。愛嬌のある人柄。。「うちのセツコが。。。」と言ってたのが懐かしい。。。

 天才!!立川談志とは別のキャラですが,私にはTVの中の特に親しむべき方の一人でした。

 記憶にはありますが,TVに出てた頃があまりにも昔過ぎて,記憶が病的に確かな(サバン症の一種??)の私でも印象が薄れてきたときの訃報でした。

  ご冥福を祈ります。合掌!!

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訃報!!熊倉一雄さん。。

俳優というより声優として存在感の強い熊倉一雄さんが10月12日に直腸がんのため亡くなられたそうです。享年88歳でした。

 NHKニュース →  俳優で演出家の熊倉一雄さん死去

 上記の記事にもあるとおり昭和36年私が小学校5年生のとき,我が家に初めてテレビが来た頃からアニメなどの創世期でしたが独特の声で「ひょっこりひょうたん島:の海賊や「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌で顔よりも声が懐かしい人です。

 

  ご冥福を祈ります。合掌!!

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2015年10月13日 (火)

弱い相互作用の旧理論(1)(Fermi理論)

物理学のノーベル賞,特に素粒子理論や実験で賞をもらった方々は,

これまでは全て私よりかなり先輩であり中には直接教えて頂いた

方やどこかで見かけたことがある人もいて最低でも名前くらいは

知ってる方ばかりでしたが,今回受賞した私より9歳年下の梶田

さんについては,最近は科学雑誌も見てないこともあり,この賞を

もらったことで初めて知りました。

いずれにしろ,ブログの科学記事を書こうというモチベーション

久しぶりに沸いてきたので,かつてBjjorken-Drellのテキスト

で学んだ内容を綴ったノートの弱い相互作用の項について学ん

だことの若干の知見を紹介してみます。

現在,ニュートリノに質量があるという発見がなされたばかりで,今主流

の素粒子標準理論でさえ修正を要求されている状況ですが,それにも

関わらず,ゲージボソンが相互作用を仲介するという理論よりもさらに

前の弱い相互作用の歴史的経緯を見るのは温故知新であり大いに

意味があることだと思います。

 

,現在は貧乏人なので比較的新しい場理論のテキストである

Peskinは神保町の古書店で飯の種と化してしまいましたし,最近

は眼が具合が悪くて,最大の趣味である読書もままならずブルー

ベリーやアロニアなどによるサプリを飲んだりして無駄と知り

つう視力の復活を夢見ていて科学記事を書くモチベーションも

失われていました。

 

普通の本の文字は小さくて老眼鏡をかけてもスグに疲れてしま

放り出すのですがパソコンの文字や自分で作ったノートだけ

は大きい文字なので,まだ長時間でも読み続けることができます。

 

 さて,本ブログの過去の記事では量子論や素粒子論の非電磁

相互作用関係については,2013年の3月時点までで中断し,そこ

からは数回にわたる足の指の切断手術などで入院が続いたため,

強い相互作用理論の記事を最後にその続きも書いてませんが,

その続きはいずれ完結させるとして,新たに弱い相互作用の項目

から議論を再開します。

 

参照したノートの弱い相互作用の項に入った最初のページの

日付けを見ると,1994年の4/11となっていて,このとき私は既

44歳ですから,この項目は学生時代にはノートを作れるほど

真面目に理解していなかったのに改めてヒマなフリーターに

なってから独習して記述を追加したようです。

以下本論に入ります。

 

§10. 弱い相互作用(WeakInteractionn) 

中性子nの陽子pへのβ崩壊(β-decay)で代表される弱い相互作用は,2つの一般的グループに分類することができます。

 

すなわち,一つはlepton(レプトン;軽粒子)を伴う相互作用(leptonic Interaction)であり,もう一つはleptonを伴わない相互作用(nonleptonic Interaction)です。

 

このうち,最初の頃発見されたleptonを伴う相互作用の例としては, 

β-崩壊:n → p+e+ν~    () 

μ-崩壊:μ→ e+ν+ν~  () 

π-崩壊:π→ μ+ν’~    (-1) 

 π→ e+ν~     (-2) 

μ-捕獲:μ+p→n+ν    () (μ-capture) 

などがあります。

 

他のleptonを伴う相互作用としては,さらに多数のStrangeness

(奇妙さ;ストレンジネス)を持つ粒子が関わる相互作用があります。

 

すなわち,奇妙さを持つ粒子を核子やレプトンまたは中間子πに

変えるプロセスです。

 

→ μ+ν’~’   (K中間子の崩壊1) 

→ π0+e+ν~  (K中間子の崩壊2) 

Λ→ p+e+ν~   (ラムダ粒子の崩壊)  などです。

 

一方, leptonを伴わない相互作用=nonleptonic decayの例は,

常にstrangenessを持つ粒子を含みます。

 

 次のようなプロセス: 

Λ→ p+π  

K+→ π+π+π  が知られています。

 

※(1):フレイバー量子数としてStrangenessを初めて発見したのは,

わが国の西島和彦先生(当時東大教授)です。※

 

しかし,ここでは煩雑さを避けるため,Strangeness粒子を含まないleptonic相互作用のみを考察することにします。

 

以下の我々の議論において直面する問題は,例えば上記の()()(c)において差し当たり,これらプロセスに対するFeynmanグラフでの相互作用頂点(vertex)の構造を,計算に実用化できるように実験観測結果から推論することです。

 

まず,強い相互作用の議論での主たる性質の2つはここでは失われることに着目しておきます。

 

 すなわち, (Strangenessを含まない粒子に対して)強い相互作用では正確に成立していたパリティとアイソスピン保存の両方を与える対称性は弱い相互作用では,近似的にしか成立しません。

 

§11. β-崩壊(β-decay) 

Leptonic相互作用の基本的過程の1つ():n→ p+e+ν~ ,

通常,原子核のベータ崩壊(β-decay)と呼ばれている現象の原因

となるプロセスです。

 

そこで,まず第一に原子核に束縛されてない自由中性子nの崩壊を

考察します。

 

10.14に図示したグラフのこの崩壊を記述するS行列要素

fi(e-)の一般的構造においては,入射中性子と出て行く3つの

粒子を記述する波動関数のそれぞれにに対し,線型(1次)でなけ

ればなりません。

 

 すなわち,fi(-)=-iΣαβγδ=1 4∫d41..44

 Ψα()(1)Ψβ() (2)Ψγ()(3)Ψα(ν) (4)

 ×Fαβγδ(1,..,.4) 

 なる形で表わすことができるはずです。

 

これまでやってきた議論と同じように,Hermite共役波動関数Ψ

出ていく粒子(放出粒子),または入射する反粒子(=時間的過去に

伝播する負エネルギー解)であるp,,を表現し,Ψは入射する粒子

,または放出される反粒子であるn,ν~を表わしています。

 

このβ崩壊:n→ p+e+ν~に加えて,ν+n→ p+e

のような過程も同じグラフで表現されるため,同じS行列要素で

記述されます。

 

あるいはまた,陽子pは,質量が中性子nのそれより小さいので

自然に崩壊することはありませんが,自然崩壊でなく,エネルギー

が保存されるに足るほど十分にあってエネルギー的に許容される

場合の核子遷移として観測される過程:p→ n+e+νも同じ

形のS行列要素で記述されます。

 

これは(陽電子)が放出される過程なので,

fi(+)=-iΣαβγδ=1 4∫d41..44 

 Ψα()(1)Ψβ() (2)Ψγ(ν)(3)Ψα() (4)

 ×F~αβγδ (1,..,.4)  と書くことにします。

 

これらのfiを示す式における未知の因子:FとF~,実験結果

との比較から決定さるべきものであって,相互作用頂点に帰する

べき因子です。

ここでは,一般的理論的基盤の上で,ここではFF~に対して唯一

の仮定を与えます。

 

すなわち,

αβγδ (1,2,3,4)=Fβαδγ (2,1,4,3)

なる仮定です。

 

これは弱い相互作用においても,謂わゆる「詳細釣合いの原理」

(detailed balance)が成立することを保証するものです。

 

つまり,反応:n → p+e+ν~とn ← p+e+ν~,および, 

 反応:ν+n → p+eとν+n ← p+eのそれぞれの組に

 おいては,左から右への進行と右から左への進行の確率を与える

 遷移振幅が位相因子を除き全く同一であることを意味します。

 

 この詳細釣合いの条件はβ崩壊相互作用の弱さと,S行列が満たす

 べきユニタリ性(確率の時間的保存性)から,次のようにして得られる

 ものです。

 

 すなわち,相互作用が存在しないときには,S行列は単位行列であり

 Sfi=δfiです。

 そこで,単位行列と異なる部分をT行列(=遷移行列)として,

 fi=δfiifi と書けば,ユニタリ性:=S-1,S=1,

  or Σnnfni=δfi の要求から, 

 i(fi-Tif)=Σnnfni  が得られます。

 

そして,β崩壊のような弱い相互作用では,右辺はその弱い相互

作用の結合定数の2次の項であって,これは無視できるため,

近似的に,fi-Tif 0, or fi=Tif* が成立し,これが

αβγδ (1,2,3,4)=Fβαδγ (2,1,4,3)

なる「詳細釣合いの条件式」に相当するわけです。

 

 さて,本理論ではニュートリノνは質量のないDirac粒子と

 考えます。

 

(※この理論の当時から最近までは,ニュートリノ質量はゼロと

信じられていました。)

 

β崩壊における電子のパートナー粒子を反ニュートリノと同定する

ことによって,実験的に厳密に満足されるレプトン数の保存則が保持

されます。

 

これは,プロセス():n→ p+e+ν~においては単に定義

された規約に過ぎませんが,この規約に基づくπとμなどの崩壊

プロセスでのレプトン数の保存に明確な関連性を持っています。

 

また,観測されるβ崩壊のスペクトルは,ニュートリノがスピン1/2

を持つことを示しています。

 

より最近では,崩壊過程π→ e+ν~ (-2)の観測結果が

このことを確証しました。

 

最後に,ニュートリノが質量を持たない粒子であることは他の

質量を持つFermi粒子と比較して粒子波の規格化規約の変更を

要求します。

 

量子数(,)を持つ自由Dirac方程式の平面波の解は,

常の粒子がゼロでない質量mを持つ場合は.4元スピノル

Ψα()(2π)-3/2(/)1/2α(,)exp(-ikx)

(α=1,2,3,4)で,(2+m2)1/2であり,

規格化はΣα=14α(,)α(,)=E/m 

で与えられます。

 

 しかし,質量mがゼロの場合は, 

Ψα()(2π)-3/2|1/(2)}1/2α(,)exp(-ikx)

でE||であり,

規格化はΣα=14α(α,)α(,)2

です。

それ故,Σα=14α~(,)α(,)0 です。

 

(2):以前2010年6/7の過去記事

散乱の伝播波関数の理論(9)」を参照すると,

 

本ブログの素粒子論関連記事では一貫して

c=hc1の自然単位系を採用しているので,

(hc(=h cross)≡h/(2π);hはPlanck定数)

質量mがゼロでない自由粒子の通常のDirac方程式:

i(γμμ-m)Ψ =0 正エネルギーの解の陽な形

では,運動量とスピン依存の係数スピノル因子は ,

(,)=w(1)() 

{(E+m)/(2)}1/2[1,0,3/(E+m),/(E+m)] 

および,(,)=w(2)() 

{(E+m)/(2)}1/2[1,0,/(E+m),-k3/(E+m)] 


 で与えらます

 

  (※ここでは運動量変数のを波数変数のに置き換えています,

 これは,が陽子(Proton)のpと混同されるのを避けるためです。
 

 実際には,=hcであり運動量と波数は係数だけ異なるもの

 ですが,ここではc=h1の自然単位系を採用しているため,

 pであり,同一視して問題ありません。※)

 

しかし,これらの表現では質量mがゼロの場合,このままでは

規格化係数:{(E+m)/(2)}1/2の分母がゼロとなって意味を

なさないので,(2)1/2(を掛けて規格化 を変更します。

 

そして,その規格化を修正した式で残ったmについて,m=0

とおくことで,(,)=w(1)() 

=E1/2[1,0,3/,/]=E1/2[χ,θ]

と表わすことができます。

ただし,χ[1,0],θ[3/,/]です。

また,u(,)=w(2)() 

=E1/2[1,0,/,-k3/]=E1/2χ,θ],

χ[0,1],θ[/,-k3/]です。

 

ただし,±=k1±i2なので,(3)2+k2 であり,

また,m=0なので,22+m22 です。

 

それ故,直接計算すると,

χχθθ1{(3)2+k}/22 なので,

(,)(,)2Eです。

 

他方, [χ,θ]γ0[χ,θ]χχ-θθ

1{(3)2+k}/20 ですが,これは,

~(,)(,)0 を意味しています。

 

あるいは,負エネルギー解ならv(,)=w(3)()

=E1/2 [θ,χ],(,)=w(4)()=E1/2 [θ,χ]

と表わせるので,

正エネルギー解と同じく(,)(,)

2(θθχχ)2,かつ, 

~(,)(,)2(θθχχ)0 です。

(2終わり)

 

さて,質量がある場合には, 

Λ()2=Λ(), Λ()2=Λ(),Λ()Λ()0, 

Λr()()()=δs()()を満たすことで定義される

Dirac方程式の解の射影演算子(Projection operator)は,

Λr()(εγμμ+m)/(2) 

(r=1,2,3,4)(ただし,r=1,2ならε1,r=3,4ならε=-1),

 

または,Λ()=Λ1()=Λ2),Λ()=Λ3()=Λ4)

 

つまり.Λ±()(±γμμ+m)/(2)(複号同順)で与えられ,

これらは4行4列の行列で,

(Λ())αβ=Σs=±α(、s)β(,)  

(Λ())αβ=Σs=±α(,)β(,)を満たす

ことを見ました。

 

これは,質量mがゼロの場合には, 

(Λ())αβ=Σs=±α(,)β(,)

(γμμ)αβ, 

(Λ())αβ=Σs=±α(,)β(,)

=-(γμμ)αβ

 

となります。

 

しかし,これらは質量がゼロの場合は,本当の意味では射影演算子

ではありません。

 

というのも,質量がゼロのDirac方程式:iγμμΨ()0

Fourie変換で与えられる運動量表示の方程式から常に

γμμ(,)0,

つまり,常にΣβ=14(γμμ)αββ(,)0 

となるからです。

 

さて,質量ゼロのDirac粒子の規格化の話に脱線しましたが,

ニュートリノの質量が正確にゼロでないなら,こうしたことは

無用なことです。

しかし,ここでの議論ではニュートリノの質量がゼロであること

を前提としているのでこれらも必要で重要な意味を持っています。

(※ここでの質量ゼロに基づく理論が,ニュートリノにゼロで

 ない質量がある場合,理論がどのように修正されるべきか?

 の示唆を与えてくれるはずです。※)

 さて,先に与えたβ崩壊のS行列要素を再掲します。

 

 行列要素:Sfi(-)=-iΣαβγδ=1 4∫d41..44 

 Ψα()(1)Ψβ() (2)Ψγ()(3)Ψα(ν) (4)

 ×Fαβγδ(1,..,.4)

 における未知関数Fの形は,,相対座標x1,2,3,4の違いが

 大きい場合については,提案以後の30年余の探求により完全に

 決定されました。

 これの詳細な性質については次稿に引き継ぐことにして,

 今日はここで終わります。

 

(参考文献): J.D.Bjorken & S.D.Drell 

 "Relativistic Quantum Mechanics"(McGrawHill)

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2015年10月 8日 (木)

バリアフリーオリンピック・パラリンピック東京2020

 またまた,ヒマな障害者ジジイのほんの気紛れな思いつきで,実は誰かの2番煎じか,3番煎じ以下かもしれませんが。。。。

 2020年の東京パラリンピック・オリンピックは,そのテーマをバリアフリー理想都市・東京にしたらどうか?

 と実は入院中の病院のベッドで夜中未明にテレビで東京決定を見た当時から考えていました。思えばそのときも何か上と似たような感想をスグにブログに書こうと思いましたが入院中にかまけてサボったのでした。。。

 そして,エンブレム候補については,私自身がオリジナルを作ってやろうとか大それたことは考えててないし能力もありませんが,むしろパラリンピックの方を前面に出して,以下はホームページから検索した写真やイラストですが,

 

 例えば競技用車椅子を中心に,わが国のの誇りであるテニスの国枝慎吾選手,上地結衣選手,そして車椅子マラソンなどをモデルにシンボル化したものなどがいいな。。。とか思っています。

「競技用車椅子 マラソン」の画像検索結果

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2015年10月 7日 (水)

祝!!ノーベル賞。。梶田隆章さん。。しかし晴天の霹靂

連日の日本人ノーベル賞受賞,今度は物理学賞で宇宙線・素粒子実験分野で梶田隆章さんが受賞されました。56歳。。。若い。。。

 ニュートリノに質量があるということを岐阜の神岡鉱山跡に作られたカミオカンデでの実験観測で確証したことに対して賞が与えられたらしいです。

 こちらも日本人受賞でとても喜ばしいことですが。。昨日の大村さんの受賞とは違う感想もあります。

 学生時代の専門が素粒子理論の理論物理屋であった私としては,残念ながらこの発見が真実であったというのはむしろ寝耳に水,イヤ晴天の霹靂という思いもあります。

 そもそもニュートリノは陽子のβ崩壊 p→n+eにおいてエネルギー保存が成立するためには観測には掛からないけれど何らかの粒子が存在するはずだということでPauliが存在を予言した日本語では中性微子と呼ばれる素粒子のことです。 

 このニュートリノは普通の検出器では観測にかからないので放射線としては人体も素通り,通過するだけなので無害であり,逆にガンなどの放射線治療にも使えないシロモノです。

 かつて私が学んだ頃の理論物理学の弱い相互作用では陽子pのβ崩壊は反応式として,p → n+e+ν と表現されました。イヤ今もそうでしょう。

 他方,その逆反応の中性子nの電子捕獲は n → p+e+ν~  です。

 ここで,eは通常の電子であり,eはその反粒子の陽電子,νは電子に付随するニュートリノでありν~  はその反粒子です。

 原子核内での核子pとnはどちらかが過剰剰であれば一般にそれを減らす上記の弱い核反応でバランスしますが,星の進化など非常に長いスパンでは平衡バランスが崩れて中性子星に転化していくこともあります。

 電子に付随するニュートリノν というのは,その後軽粒子=レプトンとして電子のほかにμ粒子,及びτ粒子が存在してこれらにに付随する異なるニュートリノνμτ という計3種類のニュートリノが存在することが明らかになったため区別のために添字を付けられたものです。

 これら3種類のレプトンのペア(e,ν ),(μ,νμ ),(τ,ντ)が,重粒子(バリオン)や中間子(メソン)というハドロンを構成する基本粒子である3組のクォーク(p,n)(=up-down),(s、c)(=strange-charm),(b,t)(=bottom-top)に対応するというのが現在の素粒子標準理論の礎になっています。

 そして弱い相互作用でもレプトン数の保存を保証するため,

 これらの作用では,例えばn →e+ν~のようにレプトン数が+1の電子eにはレプトン数が-1の反ニュートリノが付随というようにニュートリノの粒子-反粒子の区別がなされています。

 最初Fermiによる弱い相互作用のV-Aカレント(vector-axialvector)によるカレント-カレント相互作用が提議され,そこから出発して,現在の宇宙初期には質量ゼロであったのに自発的対称性の破れとヒッグスメカニズムにより質量を獲得した弱いゲージボゾンの仲介による相互作用という理論では,

 これらのニュートリノは全て質量がゼロのフェルミオンで,それ故光速でしか走行できないため,スピンが1/2のフェルミオンであってスピン成分は±1/2(=up-down)なのですが,その一方符号のみのヘリシテイしか取ることのできない軸性ベクトル(axialvector)系カレントに寄与すべきスピノル粒子であるというのがこれらの弱い相互作用の標準理論の前提でした。

 そこでニュートリノに僅かでも質量が存在すれば,それは光速よりも遅い速度で走行し,ヘリシティも±1/2成分の双方を取ることが可能となり今までの標準理論は修正されないと成立しないことになるはずです。

 宇宙論では宇宙の創生期の熱い火の玉状態では磁気単極子(モノポール)が存在し,寿命は無限大で安定で崩壊することのないものという常識の陽子(核子)崩壊もあるということで岐阜の地下深いカミオカンデでも私が学生のころから時間的には極めて希な現象でも大量の物質への宇宙線の衝突でこの陽子(核子)崩壊が観測できるのではという観測がもされていたと思います。

 しかし,これらモノポールやβ崩壊を除く陽子崩壊については未だ観測されていません。

 少し話は古いですが,かつて光速を超える粒子タキオンが確かオーストラリアで観測されたという事件があったけど,それは追実験では未だに確認できず幻ということになったと記憶しています。

 そこで,20世紀末にμ-ニュートリノがτ-ニュートリノに転換する結果として観測されると予測されるニュートリノ振動が観測されて,それはニュートリノの質量存在の証拠といわれたことも存じていますが,そのときも,私はこうした極端に革命的な観測結果はいずれ幻に終わるのでは?と少なからず疑っていたのですが,既に2003~2004年頃には梶田氏らのグループが膣料存在を追確認していたのですね。イヤ感服しました。。 

 理論の方での修正が期待されますが年老いた頭では新しいことを勉強するのはなかなか骨が折れるので,こうしたことは間違いではなかろうか?と楽な展開を期待しててすみませんでした。

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2015年10月 6日 (火)

大村さん。。スゴイ人みたいですね。。祝!!

 今年のノーベル医学生理学賞に北里大学の栄誉教授大村智さんが選ばれました。80歳・。。。対象研究は今から40年くらい前の1970~1980頃からのものみたいです。

 その後のもう1人の受賞者も含めて開発された無料配布の実用薬が恐ろしい風土病を撲滅しつつあるようです。

 どうもとても型破りな人物ようで,私は目上の人であっても他人はめったにホメないタイプの人間なのですが,この方夢中になると何でもノメり込んでトコトン追求してモノにしてしまうという,大好きな変態(別名:天才)タイプで,しかも謙虚かつ茫洋としているようです。

       2015年のノーベル生理学・医学賞に輝く大村智・北里大学特別栄誉教授

 

 神のような能力があって,そのクセ神や仙人とは違う生きモノ(人間)的感情が豊富ですが,自分ではソレを意識できないほど謙虚です。まさに「慈愛がコロモを纒っている。」というい印象を受けました。

 

 かつて,宇宙線(特にニュートリノ)観測のカミオカンデ関連でノーベル物理学賞をもらったときのインタビューで,「この研究究は何の役に立つのでしょうか?」という質問に対して素直に「クソの役にも立たない。」と答えたと記憶している小柴先生の言にも共感したものでしたが。。。

 

 通常,「象牙の塔」の中でコツコツとやっている机上の空論的と見える研究は,極端な話,例えば東大の金田研などで円周率パイをコンピュータで1兆ケタ以上まで計算で求めることができたとかに典型されるモノがあって。。

 凡人の見るところ,実に「クソの役にも立たない。」という意味なのでしょう。

 世界には現実の圧政や飢え寒さ暑さに苦しみ日々のカテを得るために暮らしにアクセクくしていて,飽食で豊かな国では,こうした「役に立たないモノ」に大きな国家予算をサいているのはモッタイナイと思えることもあります。

 これらが何らかの人の役に立つ実用化されたシロモノとして人口に膾炙されてスゴイことだと実感されるには相当の継続的な実学的研究が追随してなされる必要がありますが。。。

 今回の大村先生の受賞は,こうした実学,非実学の枠を超えた素晴らしいコトと凡人のわたしでさえ大いに感銘を受けました。。。

PS:北里大学でつい思い出しました。記憶合ってるかな?

 一度見聞きしたものはかなり詳細かつ克明に記憶しているのが私の悪いクセ(病気)です。今は記憶違いであってもネットで調べることできますが。。。

 創始者の北里柴三郎先生自身が第1回のノーベル医学生理学賞の最有力候補であったことを思い出しました。

 

※ ↓ 若き日の北里柴三郎氏

 

 ドイツの研究所で破傷風菌を発見し,何よりも身体に病原菌を植え付けることで抗体ができて治療できることを発見し,なおかつ,かつて猛威を奮ったペスト菌まで見つけて凱旋したにも関わらず,

 母国日本の母校の東大で自分の恩師の研究(=脚気菌を発見した?)に海外駐在時に自分の実験ではソレは間違いであるという結論を得て発表し,コレが「恩師にケチをツケた。」ということになって,その報復で「ペスト菌の発見は間違いである。」というイワレのない東大医学部閥のバッシングを受けてノーベル賞を妨害されたという事実,

 その結果,自己の居場所がなくなり当時福澤諭吉の援助で北里研究所を開始したというコトなどを思い出しました。

 そもそも現在では,「脚気=江戸ワズライ」の原因はビタミンB1の欠如にあることは明らかになっていて,脚気菌とかいうものは無いはずです。。

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