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2016年1月17日 (日)

再掲載記事:解析力学の初歩

 今日は思うところあって2007年11/5の過去記事「解析力学の初歩」をそのまま再掲載します。

 このところ「Dirac方程式の導出(3)」の草稿を入院前,入院中もずっと書いていたのですが,。。。 

 この課題の最後の主題が電磁相互作用がある場合に,非相対論極限でDirac方程式から自動的に非相対論のPauliのスピン相互作用を含む方程式が再現されることの説明であり,それには電磁場がある場合の古典的な解析力学の定式化を復習する必要があったからです。

 まあ手抜きの一つではありますが。。^^;;

 ※以下,再掲載記事です。

今日は,最初はBerryの位相とAharanov-Bohm効果(AB効果)の関係などを論じることを計画していたのですが。。

 その前に,必要な「断熱定理」と関連してHamiltonianが時間tに陽に依存する場合の解析力学の定式化が私は気になりました。

 

 それを考えているうちに,我ながら解析力学の基本的なことの理解が完全ではないことに気付いて,復習してみようという気になったので記事=日記にします。

 

 イヤ,ここで記事に書いていることのほとんどは,私は既に何度も勉強したり考えたりしたことがあることばかりなんですよ。

 

 でも,そうした論題が出てくるたびに,もちろん,文章や数式の一言一句まで内容を全部記憶しているわけじゃないし,新たな疑問や過去にはヒョットして勘違いしていたのじゃないか?という疑いが出てきます。

 

 特に物理学や数学に限らず,モノを知るのには必要な知見を全部記憶する必要はなく(そもそもコンピュータでも不可能でしょう),

 

 どういうときに,どこのどういうモノを調べればいいか?ということがわかり,そういう参考文献を探して読んだときに,小時間のうちに疑問を解決できる能力を体得するのが,過去に学校で学んだ意味だと思っています。

 

 ですから,気になったらその都度調べたり考えたりするだけです。

 

 以下は,主として自分のためのおさらいなので,ここで論じている定式化の手順は,必ずしも標準的な教科書の順番ではなく私の思い付きの順になっています。

 通常のNoether(ネーター)の定理で時間の一様性によって,"エネルギー=Hamiltonian"Hが保存されるという描像は,r(r=1,2,...,N)を自由度がNの一般化座標,pr(r=1,2,...,N)を一般化運動量とするとき,

 

 系のHamiltonian:H(p,q,t)がtを陽に含まないこと:

 H(p,q,t)=H(p,q)と書けることと同定されます。

 しかし,一般的な力学系においては力学的エネルギーが保存しない場合が存在することも事実です。

 

 これは,純粋な力学的エネルギーをHとするとき,その他に熱エネルギーとか,電気的エネルギーなどが存在して摩擦などの散逸により力学的エネルギーの一部が熱に転化して消散していく場合などが,それに相当します。

 もっとも素粒子のレベルまでの微視的な見方では,もはやエネルギーを力学的云々とか,種類ごとに分類する必要もなく,時間の一様性は常に確実に成立していて,Hamiltonian:Hは確かに時間tを陽に含むこともないので,全体としても微視的過程でもエネルギーの保存は常に正確に成立します。

一般に保存力場の場合には,一般化速度をqdr≡dqr/dtで定義すると,系のLagrangianL(,d,t)はL=T-Uで与えられます。

 

Tは運動エネルギーでT=(1/2)Σr,s=1Nrs()qdrdsなる2次形式で与えられ,Uは保存力場のポテンシャルで位置座標=(q1,q2,...,qN)の関数U=U()です。

そして,pr≡∂L/∂qdrであり,Hamiltonianは,

H=Σr=1Nrdr-L=Σr,s=1Nrs(q) qdrds(T-U)

=2T-(T-U)=T+Uとなります。

 

この場合にはHは系全体のエネルギーと一致します。

そして,Hがtを陽に含まないなら,∂H/∂t=0 ですから,

dH/dt=Σr=1N(∂H/∂qr)qdr+Σr=1N(∂H/∂pr)pdr

です。

 

pとqの微小変分に対するHの変分δHは,

δH=δ(Σr=1Nrdr-L)

=Σr=1N{δprdr +prδqdr}-δL 

です。

 

Lの変分δLは,

δL=Σr=1N{(∂L/∂qr)pδqr(∂L/∂pr)qδpr}

=Σr=1N{(∂L/∂qr)δqr(∂L/∂qdr)}δqdr

=Σr=1N(pdrδqr+prδqdr)で与えられます。

ただし,この式の導出仮定で,Euler-Lagrange方程式:

(d/dt)(∂L/∂qdr)-∂L/∂qr0 ,つまり,

∂L/∂qr=dpr/dt=pdrを用いました。 

したがって,δH=

Σr=1N[{δprdr +prδqdr}-{(∂L/∂qr)pδqr

(∂L/∂pr)qδpr}=Σr=1N(qdr δpr-pdrδqr)

となります。

 

それ故,これから直ちに,∂H/∂pr=qdr,∂H/∂qr=-pdr

というHamiltonの正準方程式が得られます。

以上から,∂H/∂t=0 のときには,

dH/dt=Σr=1N(∂H/∂qr)qdr+Σr=1N(∂H/∂pr)pdr0 ,

つまり"エネルギー=Hamiltonian"Hが時間tに依らない保存量であるというよく知られた性質が導かれるわけです。

ところが,運動方程式がEuler-Lagrange方程式:

(d/dt){∂L/∂(dqr/dt)}-∂L/∂qr0 で与えられるのは,

必ずしもLがL=T-U,U=U()と書ける場合に限定する必要は

ありません。

 

LagrangianLを一般のtを陽に含むL=T-V,V=V(,d,t)

なる形であると考えてもよく,この場合,Hamiltonian:

H=Σr=1Nrdr-L,r≡∂L/∂qdrもtを陽に含みます。 

例えば,電荷がeの荷電粒子1個の自由運動のHamiltonianを

0(,)とすると,それが電磁場の中にあるときには,

極小相互作用変換により

 

HamiltonianはH(,,t)=H0(-e,)+eφとなること

が知られています。

 

一般に電磁場は静的な場ではないので,電磁場のスカラーポテンシャルをφ,ベクトルポテンシャルをとすると,これらφ,は時間tを陽に含んでいます。

 

L=(d/dt)-H=(d/dt)-(-e)2/(2m)-eφ

となります。

 

これと=∂L/∂(d/dt)を用いると,

=m+e,≡d/dt,かつ

L=m2/2-eφ+eAvとなるはずです。

 

ここに,(,t),φ=φ(,t)であり,どちらもtを陽に含んでいると想定します。

これから導かれる荷電粒子の運動方程式は,と書き直した

Euler-Lagrange方程式:(d/dt)(∂L/∂)-∂L/∂=0

です。

 

これは,

d(m)/dt+ed/dt+e∇φ-e∇()=0

いう形になります。

 

ここで,

/dt=(∂/∂t)+(∇),=-∇φ-∂/∂t,

=∇Xであり,

××(∇X)=∇()-(∇)ですから,

結局,これはd(m)/dt=e+e(×)

です。

 

したがって,確かに通常の1荷電粒子が従うべき非相対論的なNewtonの運動方程式が得られました。

しかし,HからLを逆算するのは本末転倒で,運動方程式からLagrangian:Lを求め,然る後にH=(d/dt)-LによってHamiltonian:Hを導くというのが当然の道筋ですね。

 

実は,単に私自身が電磁場の中での荷電粒子の運動に対する

LagrangianLの形を忘れていたので,上のプロセスは,これを安易

に求める道を取ったに過ぎません。

とにかく,古典的電磁場の中では,

L=m2/2-eφ+eAv=T-eφ(,t)+e(,t)

となり,L=T-V,V(r,v,t)=eφ(,t)-e(,t)

となることがわかります。

 

そして,Hamiltonian:Hがtに陽に依存するので,このHは保存量

ではないことがわかります。

 

これは,今考えているHamiltonian:Hでは,

"全体系=粒子+電磁場"の中で,単に荷電粒子のエネルギーだけに

着目して,相互作用部分を除いては電磁場のエネルギーを全く考慮

していないためです。

実際,Hを系全体のHamiltonianとするには,電磁場のエネルギー

を表わす(1/2)∫(ε2+μ-12)dという項も含む必要が

あります。

 

ただ,=m+e,≡d/dtなる表式には,既に系の

運動量が粒子の運動量mと電磁場の運動量eの代数和で

与えられることを示してはいます。

さて,より基本的な定式化を行なうために,改めて一般のn個

の質点系から成る物理系に対するNewtonの運動方程式から

始めます。

Newtonの運動方程式はi番目の粒子の質量をmi,位置ベクトル

i,その質点iに働く力=(外力+内力)をiとすると,

 

i(d2i /dt2)=i (i=1,2,...n)なる式系で表現

されます。

 

そして,一般的な状況を考え,これが

fj(1,2,...,n)=0 (j=1,2,...,m)なる形で与えられる

m個の拘束(束縛)条件を満たすべきケースを想定します。

静力学では各作用点での力の釣り合い:i0 に対しては

仮想仕事の原理が成立します。

 

これは,釣り合いを保つためには,Σi=1niδi0 を満たす変位

のみが許される,という原理です。

 

これを直接に動力学に拡張すると,いわゆるD'Alembertの

原理としてΣi=1n{i-mi(d2i /dt2)}δi=0 なる式

が得られます。

 

さらに,ある時刻tにおけるm個の拘束条件:

fj(1,2,...,n,t)=0 (j=1,2,...,m)を,微小変位δi

に対してΣi=1n(∂fj/∂ii=0 が成立するという式で置き

換えてよい場合,

 

Lagrangeの未定係数法を利用すると,未定係数をλjとして,

上記,D'Alembertの原理は,

Σi=1n{i-mi(d2i /dt2)+Σj=1miλj(∂fj/∂i)}δi=0

なる形に帰着します。

 

すなわち,

 

Σi=1n{iΣj=1mλj(∂fj/∂i)-(d/dt)(∂T/∂i)}δi=0

 

と書けるわけです。

 

そして,i(x3i-2,x3i-1,x3i)と成分表示すると,

上式はδi=(δx3i-2,δx3i-1,δx3i)なる変分:

δxk(k=1,2,...,3n),の各々に対して独立に成立します。

 

m個のパラメータλjは,最後のm個のkであるk=3n-m+1,

3n-m+2,..,3nに対するm個の連立方程式:

kΣj=1mλj(∂fj/∂xk)-(d/dt)(∂T/∂vk)=0

の解として得られるとします。

 

こうして,N=3n-mとして,Nを対象の力学系の"自由度"

と呼べば,自由度の数Nだけの個数の独立な方程式:

Σk=1N{FkΣj=1mλj(∂fj/∂xk)-(d/dt)(∂T/∂vk)}δxk=0

が得られます。

ここで,改めて独立なN個の座標:qr(r=1,2,...,N)を用いて,

δqrを各時刻tのqrの変分としたときの,時間tに陽には依存しない

iの変分をδiΣr=1N(∂i/∂qr)δqrと表現すれば,

 

上の変分方程式は,

Σr=1N(rΣj=1mλj(∂fj/∂qr)-(d/dt)(∂T/∂qdr)

+∂T/∂qr)δqr=0 と変形されます。

 

ここに,rΣi=1ni(∂i/∂qr)で定義されるN個の量:r

一般化力と呼びます。

そして先に決定されたパラメータλjに対して,

rΣj=1mλj(∂fj/∂qr)を拘束力と呼び,いわゆる滑らかな

拘束:Σr=1Nrδqr=0 つまり,拘束力は仕事をしないと

考えると,

Σr=1N(r(d/dt)(∂T/∂qdr)+∂T/∂qr)δqr=0

と書けます。

 

この等式では,N個のδqrは全て独立なので,

(d/dt)(∂T/∂qdr)-∂T/∂qrrなる

Lagrangeの方程式の系が得られます。 

ここで,特にrΣi=1ni(∂i/∂qr)=(d/dt)(∂V/∂qdr)

-∂V/∂qrとなるようなV=V(q,qd,t)が存在する場合なら,

 

L=T-Vとおけば,(d/dt)(∂T/∂qdr)-∂T/∂qrrは,

Euler-Lagrangeの方程式(d/dt)(∂L/∂qdr)-∂L/∂qr=0

に一致します。

 

先の,電磁場の中での荷電粒子の運動についての考察から得られた

L=T-V,V(r,v,t)=eφ(,t)-e(,t)では,

 

電磁力:=e+e(×)が,上述のVに対する条件式:

=(d/dt)(∂V/∂)-∂V/∂を確かに満足しています。

 

今日は,取り合えず,私的には納得できたのでこれで終わります。

※以上,再掲載終了です。


 

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