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2016年3月

2016年3月30日 (水)

弱い相互作用の旧理論(13)(Fermi理論)

「弱い相互作用の旧理論(12)」からの続き:π中間子 

の崩壊の続きです

 最近は時間が残り少ないこともあり,つい一遍に長い記事を

アップしようとしてしまいます。


 以前は,WordでA4の6頁くらいの記事までにしていました。

それ以上になるとココログフリーが受け付けず,エラーに

っていたからです。


  どうしても原稿が大きいときは,仕方なく分割して

 いましたが,最近は10頁超えても大丈夫になったよう

 です。

 まあ,時代の流れでしょうか?ドメインも昔より大きいサイズ

 普通になったのかも知れません。

 この記事もつい11ページくらいになりました。

 時間が少ないというのは私の残りの寿命のことですが,

決闘前夜の天才ガロアでもあるまいに。。凡人のくせに。。


 さて,前回最後では,π崩壊の崩壊率ωが
 

ω=1/τ={2||2/(8π)}μ3(/μ)2(1-m2/μ2)2 

,与えられることを見ました。(τは崩壊の寿命)


 これはm=meを代入すれば,
π-→e-+ν~の崩壊率:

ωe=1/τeを,m=mμを代入すれば,π-→μ-+ν'~

の崩壊率:ωμ=1/τμを与えます。
 

一方,これらの現象で観測されているπの寿命は, 

τ=(2.55±0.03)×108secです。
 

ωμ>>ωeであり,τμ<<τですから,πの寿命の観測値 

は崩壊:π→μ+ν’~によるそれ=τμを反映したもの

と考えられます。
 

そこで,ωμの予測値: 

ωμ1/τμ{2||2/(8π)}μ3(μ/μ)2(1-mμ2/μ2)2 

を観測値のω=1/τ ~ 1/{(2.55±0.03)×108sec}に等しい 

と置くことから,||の値を決めることができます。
 

計算を実行した結果,|| 0.93μと評価されました。
 

(13-1):上記のように,τμ(2.55±0.03)×108sec 

から|| 0.93μの評価値を得る計算内容を示します。
 

まず,1/τμ{2||2/(8π)}μ3(μ/μ)2(1-mμ2/μ2)2 

の両辺の単位が合致するように単位(次元)を調節します。
 

1/τμの右辺は,c=c=1(c=h/2π;hはPlanck定数) 

とする自然単位の評価式であり,この表現ではhcもcも単に 

1に過ぎないので両辺にこれらhcやcをいくつ掛けても式 

としての意味は同じです。
 

それら,右辺に(crs)を乗じた無数の同値な式を, 

1/τμ(cs)}{2||2/(8π)}μ3(μ/μ)2(1-mμ2/μ2)2 

と書きます。
 

これらの中から,右辺を通常の単位に換算して単位が左辺 

 の(1/τμ)の単位(=T-1)に一致する場合が通常の単位での 

正しい等式であり,それを探すのを次元解析と呼ぶのでした。
 

そこで,単位のみを問題とする次元解析の等式は, 

-1[Ga]23[cs]と書けます。


 (※[A]は物理量Aの単位です。)


 この次元解析の等式を
解析する際には,[c]=ML2-1,

[]=LT-1,および,{Ga}を代入する必要があります

,今のところ,単位:[Ga]が全く不明です。
 

この不明な単位を,崩壊振幅の因子の運動量表示での形から 

求めます。
 

π崩壊の運動量表示の頂点での相互作用の振幅は,

(Ga/√2)[Pμμ~(p)γμ(1-γ5)vν'(pν'~)] 

で与えられることを見ましたが,

  
これは,座標表示
 では,Hamiltonian密度をとするとき,

係数を除き,=(Ga/√2)∂μφπΨμμ(1-γ5ν~

であることを意味します。
 

単位の等式では,単位のない係数は無関係であり, 

[]=[Ga][∂μφπ][Ψμμ(1-γ5ν~]

ですが,単位が既知のものについては具体的な単位

代入します。


  
まず,左辺のはエネルギー密度なので,

[][エネルギー]-3  です。

ただし,[エネルギー]=M[加速度]L=ML2-2 です。
 

次に,スピノル Ψについては,Ψ~ΨがFermi粒子の確率密度 

を与えるため,[Ψ~Ψ]L-3ですが,Ψμ~γμ(1-γ5)Ψν'

Ψ~Ψと同じ単位と考えられるので,[Ψμ~γμ(1-γ5)Ψν']

L-3 です。
 

また,c=c=1の単位では,φπのような質量mのスカラー 

粒子の状態関数φについて,相互作用のないLagrangian密度

は.φ=(1/2)(∂μφ∂μφ-m2φ2) ですが,

左辺のφの単位は,と同じで,[φ]=[エネルギー]-3

なので,[μφπ][エネルギー]1/2-3/2 であることが

わかります。
 

故に, [][Ga][μφπ][Ψμ~γμ(1-γ5)Ψν']は,

[エネルギー] L-3=[Ga][エネルギー]1/2-3/2-3

となるため,Gaの単位として,

[Ga][エネルギー]1/23/2 が得られます。

 [エネルギー]=ML2-2 を用いるなら,

 [Ga]1/2LT-1 です

したがって,-1[Ga]23[cs]=ML5-2[c]

より.[c]-4-5T を得ます。
 

これと,[c]=ML2-1,[]=LT-1 より, 

 -4=r,52r+s,1=-r-s ですから,

 結局,r=-4,s=3 を得ます。
 

つまり,通常の単位なら, 

1/τμc-43{2||2/(8π)}μ3(μ/μ)2×(1-mμ2/μ2)2 

というのが正しい等式です。
 

ここで,πの質量μを単位として,||≡αμと置くと, 

自然単位では,1/τμ{2||2/(8π)}μ3(μ/μ)2(1-mμ2/μ2)2 

から,1/τμ{2α2/(8π)}μ5(μ/μ)2(1-mμ2/μ2)2であり
 

通常単位では, 

1/τμc-43{2α2/(8π)}μ5(μ/μ)2(1-mμ2/μ2)2 

です。
 

τμ{(8π)/(2α2)}(c4/c3)μ-5(μ/μ)2{μ2/(μ2-mμ2)}2 

2α2(1/τμ)(8πc47)(μc2) -5(μ/μ)2{μ2/(μ2-mμ2)}2 

です。
 

右辺に,τμ2.55×108sec,μc2 140Me,μ2106MeV,

そして,c3×1010cm/sec,c6.6×1016eVsec, MeV106eV

を代入して計算する,結局,


   G2α2 7.135×10-19cm7sec-4eV-1


   を得ます。

 

 よって,Gα 8.447×10-9(cm7sec-4eV-1)1/2

 です。
 

 ところで,以前のμ粒子の崩壊寿命を計算した際の考察では

  [G]=ML5-2であり,G ~ 8.88×10-38 (eVcm3)でした。

 

 Gα 8.447×10-9(cm7sec-4eV-1)1/2を上のGで割って 

 α  ~ 9.503×1027(cm1/2sec-2eV-3/2) が得られます。

 これによると,[α]=L1/2-2(ML2-2)-3/2=M-3/2-5/2

であり,[Gα]=M1/25/2-1 です。


 実はこのαにも(c)の因子が陰伏していて,真のα

は, 無次元(単位なし)のただの数であって,Gαの単位は

Gと同じであるとすると,

c6.6×1016(eVsec),c3×1010(cm/sec)により,

α  ~ 9.503×1027(cm1/2sec-2eV-3/2)c3/2-1/2 です。

計算して,0.93に近い値のα ~ 0.927 が得られました。


 この単位選択では,|a|=αμ ~ 0.927μ
,(μ~140MeV)

あり,aはμ,またはμc2と同じく,質量M,または

エネルギーの単位です。
 

つまり,端的に言えば,最初から||0.927μとして, 

1/τμ=(c){0.92722/(8π)}μ5(μ/μ)2(1-mμ2/μ2)2 

と書いて,右辺の単位がT-1となるようにp,qを決めれば 

τμ  2.55×108sec が得られるわけです。 


  (13.1終わり)

 

さて,あらゆるレプトンを含む崩壊においては,普遍的,

V-A結合:[u~(p)γμ(1-γ5)v(k~)]が寄与する

いう仮定によって,π中間子の崩壊からμ粒子の偏極が

決まります。
 

これは,崩壊の連鎖:π-→ μ-+ν'~→ e-+ν~+ν'~

おけるμのスピン方向と崩壊電子のスピン方向を

互いに関連付ける,μ崩壊スペクトルにおける非対称(ひずみ)

パラメータのユニークな予測に導きます。
 

 これを見るため,まず,与えられた立体角要素に出現する

μ粒子の偏極を計算し,それから,これらのμ粒子からの崩壊

電子のスペクトルを計算します。
 

 π崩壊におけるμ粒子の偏極を計算するために,S行列要素: 

fi(π)(-i)(2π)-9/2{μ/(4k~)}1/2(Ga/2)

μu~(p)γμ(1-γ5)v(k~)] (2π)4δ4(P-p-k~) 

に戻り,与えられたμのスピン偏極sの状態への微分崩壊率 

を計算します。
 

終状態のν'~のスピンs~では総和し.始状態のπのスピン 

Sでは相和して平均しますが,終状態のμのスピンsは固定

なので.崩壊率を求める際には, (1/2)ΣS,sk~|fi(π)|2に,

状態密度や,位相体積V,そして反応時間Tを掛けます。
 

すなわち,

dω=(1/2)ΣS,sk~|Sfi(π)|223~3(VT)-1

です。

  これに,(VT)1V=[(2π)4δ4(0)]1,V=(2π)3

を代入すると,

dω=(1/2){(2π)3/(2π)5}(2)-1(2||2/2) 

3~3{μ/(2k~)}δ4(P-p-k~) 

ΣS,sk~|μ~(,)γμ(1-γ5)(~,k~)|2 

 ={1/(4π2)}(2
)-1(2||2μ/2)
 

3~(2k~)-13(2) -1δ4(P-p-k~) 

ΣS,sk~|μ~(,)γμ(1-γ5)(~,k~)|2 

です。

  スピン射影演算子:Σ()(1+γ5)/2 は,
 

 Σ()(,)=u(,),Σ()(,-s)0

 を満たす演算子です。これを用います。 

 
   μΣS,s~|μ~(,)γμ(1-γ5)(~,k~)|2

μ(Pμν)ΣS,sk~[{u~(,)γμ(1-γ5)(~,k~)}

×{~(k~,sk~)γν(1-γ5)u(p,)}]

(μν)(mμ/2)

ΣS,sk~[{u~(,)(1+γ5)γμ(1-γ5)(~,k~)}

×{~(k~,sk~)γν(1-γ5)u(p,)}]

(1/4)(μν)

Tr[(μ)(1+γ5μ(1-γ5)ν(1-γ5)]

(1/2)(μν)

×Tr[(μ)(1+γ5μ(1-γ5)ν]

=(1/2)Tr[(μ)(1+γ5)(1-γ5)~]

です。

したがって,

dω={1/(8π2)}(2)-1(2||2/2) 

3~(2k~)-13(2) -1δ(P-p-k~)

×Tr[(μ)(1+γ5)(1-γ5)~] 

となります。
 

 故に,dω={G2||2/(8π2)}(μ/)μ3(μ/μ)2 

∫d3(2) -1δ((P-p)2)

×[(1/2)(1-μ2/μ2)μ(sp)/μ2] を得ます。
 

(13-2): 3~(2k~)-1δ(P-p-k~) 

=∫d4~θ(k~~)δ(~2)δ(P-p-k~) 

=θ(P-Ep)δ((P-p)2) です。

 そして,Tr[(μ)(1+γ5)(1-γ5)~] 

 Tr[(μ)(1-γ5)~]

Tr[γ5(μ)(1-γ5)~]  

4{2(pP)(~)(kp)2} 

μ{Tr(~])-Tr5~)} 

4{2(pP)(~)(kp)2}

-mμ{2(s)(~)(sk~)2} (k~=P-p-k)
}

4[μ2{(pP)μ2}2(pP)2

μ2(sP)2(sP)(pP)}] ですが,
 

(P-p)2=k~20より,22(pP)+p20, 

そして,2=μ2,2=mμ2 なので,

(pP)(μ2+mμ2)/2 です。
 

  故に,μ2{(pP)μ2}2(pP)2(μ2μ2-mμ4)/2 

μ2μ2(1-mμ2/μ2)/2 であり,

-mμ{μ2(sP)2(sP)(pP)}

=-μ(sP){μ22(pP)} 

 =μ3(sP)です。


 以上から.Tr[(μ)(1+γ5)(1-γ5)~] 

4μ2μ2{(1/2)(1-mμ2/μ2)+mμ(sP)/μ2} 
 です。    


 (
13-2終わり)

 

この崩壊率:dω=|G2||2/(2)}(μ/)μ3(μ/μ)2 

∫d3(2) -1δ((P-p)2)

×{(1/2)(1-mμ2/μ2)+mμ(sP)/μ2}

,μ粒子の正のhelicity(右巻き:s=s)で最大です。

このとき,sP=sP={(1/2)(μ2/mμ)(1-mμ2/μ2)

です。
 

(13-3) sP=s0PsPですが,一方,既に以前の

記事.4元運動量pを持つDirac粒子のスピン4元ベクトル

μ満たすべき条件を与えました。


 それによると,sp=s0psp=0 なので,

0sp/Epsβμであり,2(0)2-s2=-1なので

μ粒子の場合,||=(1-βμ2)1/2=Ep/mμです。

 

 ただし,c=1の自然単位では,βμμ/c=μで,

βμ||/p です。

 故に,sP=(βμ)と書けますが,この

(sP)は,初期の崩壊前のπの運動量:が決まっている

とき,明らかに,放出されたμのスピンsの向きが,その

μ自身の運動量βμの向きに一致するとき,最大

なります。
 

 πの静止系では,0で,E=μなので, 

sP=(βμ)sβμμですから,

の向きがβμの向きに一致するとき,このとき

sはhelicityが+1のs=sを意味しますが,

sP=sP=βμμ=|||βμ|μ 

(p/μ)(||/p)μ=||μ/μ 

を得ます。
 

前記事の最後で記述したように,|||~|=E~

=μ-Ep,かつ,p(2+mμ2)1/2より,

||(μ2-mμ2)/(2μ)なので. 

P=||μ/μ(μ2-mμ2)/(2μ)

 {(1/2)(μ2/mμ)(1-mμ2/μ2)と変形できます。

(注13-3終わり)※
 

次に,与えられたスピンsを持つμ粒子が,μ- →e-+ν~+ν'~ 

 と崩壊する崩壊率を得るために.「弱い相互作用の旧理論(10) 

のμ粒子の崩壊の項を参照すると,
 

μ,,ν',ν~の4元運動量:μ,,ν',ν~

をP,p,k,k~に, それに伴なってμ,,ν',Eμ~

を,P,,k,k~と書き,さらにμとeの規格化定数: 

(mμ/EP)1/2,(me/Ep)1/2をそれぞれ,{1/(2EP)}1/2,  

{1/(2Ep)}1/2に置換して整理したμ崩壊のS行列要素は,
 

fi(-i)(2π)-6[1/{(2EP)(2Ep)(2E)(2Ek~)}]1/2  

×(2π)4δ4(P-p-k-k~)~;および,
 

~(~/2)(4mμe)1/2[uν'~(k)γμ(1-λγ5)uμ(P)] 

×[ue~(p)γμ(1-γ5)vν~(k~)] で与えられるのでした。


  このS行列要素から,粒子が非偏極のとき,μの崩壊率は,
 

dω=(1/2)(2π)-5{1/(2P)}∫d3(2p) -1

3(2k) -13~(2p) -1δ4(P-p-k-k~)Σspins|~|2, 


 および,
 Σspins|~|2

=(|G~|2/2)(4mμe) 

Σspins |[uν'~(k)γμ(1-λγ5)uμ(P)] 

×[ue~(p)γμ(1-γ5)vν~(k~)]|2

 =(|G~|
2/2)Tr[γμ(1-λγ5)(+mμ)γν(1-λγ5)] 

 ×Tr[(+me)γμ(1-γ5)ν(1-γ5)]
  
 で与えられます。


  これに,μ崩壊の測定結果から得られた値:λ=+1

を代入します。
 

 π崩壊での終状態のμが偏極していて,そのスピンs

持って継続してμが崩壊する際の始状態の μのスピンを

に固定するため,スピ射影演算子:Σ(s)=(1+γ5)/2を挿入して,

Σspins|~|2=(|G~|2/2)

(1/2)Tr[γμ(1-γ5)(1+γ5)(+mμ)γν(1γ5)] 

 ×Tr[(+me)γμ(1-γ5)ν(1-γ5)](|G~|2/2)

としたもの を計算する必要があります。


 以前の非偏極のケースのトレース計算では,

(|G~|2/2)Tr[γμ(1-λγ5)(+mμ)γν(1-λγ5)] 

 ×Tr[(+me)γμ(1-γ5)ν(1-γ5)]

=32|G~|2{|1-λ|2(kk~)(Pp)+|1+λ|2(kp)(k~P)}

でした。

 これに,λ=+1を代入すると,

(|G~|2/2)Tr[γμ(1-γ5)(+mμ)γν(1-γ5)] 

×Tr[(+me)γμ(1-γ5)ν(1-γ5)]

=128(|G~|2(kp)(k~P) です。

 
  一方,今回の計算は,

Σspins|~|2=(|G~|2/4)

Tr[γμ(1-γ5)(1+γ5)(+mμ)γν(1γ5)] 

 ×Tr[(+me)γμ(1-γ5)ν(1-γ5)] ですが,

これの,Tr[γμ(1-γ5)(1+γ5)(+mμ)γν(1γ5)]

因子のsを含む項としてはμを含むものだけが寄与します。


 結局,複雑な計算プロセスを省略して結果だけ書くと,

この後者の偏極時のトレース計算では,

Σspins|~|2=64|G~|2(kp){k~(P-μs)}

となります。

 ただし,ここでのΣspinsは,射影演算子::Σ(
s)=(1+γ5)/2

を挟んだ総和なので実質的にはμのスピンsは固定して総和

から除外した和を意味します。

  これを前者(=非偏極)の不変振幅:~での総和式:

 Σspins|~|2=128|G~|2(kp)(k~P)と比較すると,

 非偏極式に(1/2)を掛けてP → P-mμとすることで

μのスピンがsに偏極した場合の結果となることがわかります。

  しかし,遷移率dωの評価では非偏極の場合はΣspins|~|2をμ

のスピンsで平均するために(1/2)を掛けるのですが,s固定

の場合は逆に(1/2)を掛ける必要はありませんから,(1/2)は

不要で,P→(P-mμs)なる操作のみ意味を持ちます。

そして,dωは

dω=(1/2)(2π)-5{1/(2P)}∫d3(2p) -1

3(2Ek) -13~(2k~) -1δ4(P-p-k-k~)  

×64|G~|2(kp){k~(P-mμs)} です。


    「弱い相互作用の旧理論(11)」で記述した非偏極

 のμ崩壊率:

 dω=(1/2)(2π)-5{1/(2P)}∫d3(2p) -1

3(2k) -13~(2k~) -1δ4(P-p-k-k~)  

×128|G~|2(kp)(k~P) の

  k,k~による積分の実行では,

Iαβ(Q)≡∫3(2k) -13~(2k~) -1αβ

δ4(Q-k-k~)ただし,Q≡P-pと置き,これが,

Iαβ(Q)=(π/24)(gαβ2+2Qαβ)となるいう公式

を求めて使用しました。

   これを用いると,偏極の崩壊率は,

dω=(2π)-5{1/(2P)}∫d3(2p) -1

3(2k) -13~(2k~) -1δ4(P-p-k-k~) 

×64|G~|2(kp){k~(P-ms))

(2π)-5{1/(2P)}3(2p) -1|G~|2

(64π/24)(gαβ2+2Qαβ)pα(P-mμs)β

となります。

  sP=0 なので,)(gαβ2+2Qαβ)pα(P-mμs)β

={p(P-mμs)}Q+2(pQ){(P-mμs)Q}

(pP){mμ2+me2-2(pP)} 

-mμ(sp){μ2+m22(pP)} 

+{2(pP)-2me2}{μ2+-(pP)+mμ(s)} 

=-4(pP)2+3(pP)(mμ2+m2)-2mμ22

-mμ(sp){μ2+3m2-4(pP)}  です。

   
μの静止系では,Ep=mμであり,

 上式右辺=-4(pP)2+3(pP)(mμ2+m2)-2mμ22

-mμ(sp){μ2+3m2-4(pP)} 

-4mμ2p2+3mμp(mμ2+m2)-2mμ22

-mμ(sp){μ2+3m2-4(mμp)} です。


    ここで,微小なm
2を無視すると,

 右辺 ~ -4mμ3p{3-(Ep/mμ)}-mμ3{(sp)/Ep}

{4(Ep/mμ)-1} となります。

    
3(2Ep)-1=(1/2)||EpdEpdΩpであり,

|| ~ Epなのでdω ~  |G~|2μ2/(48π4)p2dEpdΩp

×[{3-4(Ep/mμ)}-{(sp)/Ep}{4(Ep/mμ)-1}]

が得られます。

 

  既に見たように,π崩壊では角運動量保存則から

 μ粒子は正のhelicityで生成され放出されます。


   そこで,μのスピンsと電子の運動量について                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

  <(sp)/Ep>=-^^=-cosθ です。

 θは,μ粒子のスピンと,その崩壊で放出された電子e

の進行方向:^のなす角です。

(※何故なら,μの静止系では||=1より,^です。

また,me ~ 0 から,/Ep ^です。

2015年11/12の過去記事:散乱電子の偏極について」を参照

してください。※)

  これから,<dω> ~ |~|2μ2/(24π3)dEpd(cosθ)

 {3-4(Ep/mμ)}(1-αhcosθ) を得ます。


   ここに,α
h≡(4Ep-mμ)/(3mμ-4Ep)は非対称パラメータと

呼ばれる量です。


   他方,先に計算した偏極していない自由μ粒子
の崩壊の

エネルギー分布は,

,(dω /dE)~ |~|2μ2/(12π3){3-4(Ep/mμ)} 

でした。

電子の放出角での積分は∫d(cosθ)=2,∫d(cosθ)(1-αh)

=2αhですから,自由μ粒子でなく,π崩壊から正のhelicityに

偏極して放出されたμ粒子では,,崩壊のエネルギー分布が

(dω /dE)~ |~|2μ2/(12π3){3-4(Ep/mμ)}(1-αh/2)


   となる
ことが観測されるはずです。


   今日も長くなり過ぎたので,ここで終わります。

 

 (参考文献):J.D.Bjorken & S.D.Drell  

”Relativistic QantumMechanics”(McGrawHill)

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2016年3月21日 (月)

弱い相互作用の旧理論(12)(Fermi理論)

 「弱い相互作用の旧理論」の続きです。
 

予告した通り,π中間子の崩壊に移ります。
 

§10.14 π中間子の崩壊(Pi-meson Decay) 

 π中間子の崩壊:π→μ+ν'~,および,π→e+ν~ 

に対するS行列要素を書くに当たって,中性子nのβ崩壊

やμ粒子の崩壊のケース同様,楽観的に(e,ν~)のレプトン

のペアに対しては,[ue~(peμ(1-γ5)vν(pν~)]の

V-A結合が寄与するという仮定から始めます。
 

この仮定は中性子nのβ崩壊とμ粒子の崩壊の評価においては 

うまくいきました。
 

また,このアプローチは,2つの実験的発見によって強く後押し

されます。

第一に,π→μ+ν'~の崩壊において放出されるμ-粒子

は,全て縦方向の偏極で右巻きであると観測されました。
 

 πのスピンはゼロなので粒子が右巻きなら

反ニュートリノν'~もまた右巻きのはずです。
 

何故なら,まず,π-の静止系では,μν~0であり, 

μ-とν'~は大きさ等しく正反対の向きの運動量で出現 

します。


 μとν'~は放出される方向が同じで向きは
正反対です。
 

そして,角運動量の保存則によって要求されるように, 

πのスピン角運動量がゼロであることから,μとν'~ 

の同じ方向の角運動量成分は打ち消し合う必要があり

ます。
 

 ところが,放出されるμとν'~ではたった今述べたように,

運動の向きが正反対なので,運動方向のスピン成分が打ち

し合うには,共に右巻きか共に左巻きでなければならない

わけです。

  
したがって,この放出されたμ-が右巻きであるという観測

結果,反ニュートリノν'~もまた右巻きであることを意味

します。


  これは,π崩壊の(μ,ν'~)ペアに対しても,

[uμ~(pμμ(1-γ5)vν'(pν'~)]V-A結合が寄与する

という仮定が妥当であるという主張に一致します。

 何故なら,μ-→e-+ν~の崩壊のケースと同じく,この

レプトン結合因子の存在は,π-→μ-+ν'~と,π-→e-+ν~の

崩壊でも100%右巻きの反ニュートリノ:ν'~,ν~が放出され,

  また,
μ崩壊と同じく,2種類のπ崩壊:π→μ+ν',

π+→e++νでは,100%左巻きのニュートリノ:ν',ν

放出されることを予測するからです。
 

 この仮定が妥当であることをサポートする第二の実験的発見

次の観測された非常に小さい崩壊率の分岐比Rの値です。
 

 すなわち,R(π-→e-+ν~/π-→μ-+ν'~) ~ 1.3×10-4

 です。
 

 ニュートリノスピノルに左からかかる因子:(1-γ5)は完全

に左偏極のニュートリノ,または,右偏極の反ニュートリノを誘導

するので,π-崩壊では,[ue~(peμ(1-γ5)vν(pν~)]のV-A

因子によって電子の放出率が極めて強く抑制されることが予測

されます。


  V-A因子の(1-γ5)を,すぐ左のγμと交換させると

e~(pe)(1+γ5)γμ得られ,これは,βe=ve/c→1

の極限では,左巻き電子のみ,(または左巻き陽電子のみ)

が放出されることに対応します。
 

 しかしながら,既に示したように,そして下図10.18 から

見てとれるように,角運動量の保存則はπ-→e-+ν~崩壊

の右巻き反ニュートリノν~には右巻き電子eが伴なう 

 ことを要求します。
 

それ故,[~(e)γμ(1-γ5)ν(ν~)]から計算される

遷移率,1(e/)2 (2e/μ)2なる因子で抑制

されます。
 

ただし,μはπ中間子の質量であり,この(2e/μ)2は右巻き

電子が放出される確率を示しています。
 

(12.1):上記の放出電子の抑制確率の根拠を示します。

  
すぐ前のブログj記事:
粒子の弱崩壊におけるV-A結合

電子の偏極によれば,崩壊:π-→e-+ν~においても電子

がV-A結合する[~(e)γμ(1-γ5)(ν~)]なる

相互作用をすると仮定した場合,

  
放出電子の偏極期待値は,

 P(-N)/(+N)=-pe/Ee=-βe

 =-ve/cで与えられます。
 

したがって,右偏極電子のみの比率は,

=N/(+N)(1e)/2(1-ve/c)/2

=(1-pe/Ee)/2=(Ee-pe)/(2Ee)と表わすことが

できます。
 

ところが,π-→e-+ν~におけるエネルギー・運動量の

保存則は,πの質量をμ,-,ν~のエネルギーをそれぞれ,

e,Eν~,運動量をそれぞれ,e,ν~とすると,

πの静止系で,(μ,0)(e,e)(ν~,ν~)です。
 

すなわち,これはμ=Ee+Eν~,ν~=-eを意味します

, νの質量はゼロであるとしているので,ν~|ν~|

|e|です。
 

 故に,e|e|とおけば,μ=Ee+Eν~=Ee+pe

成立します。
 

一方,電子の質量:e,およそ 0.51MeVであり,これは, 

e+pe=μ~140MeVを満たして放出される高速電子の

eに比べ,極めて小さいので,e(e2+me2)1/2

e{1(1/2)e2/e2}=pe+me2/(2e)の近似が可能

であり,e-pe ~ me2/(2e)と表わせます。


  先述したように,放出電子の右偏極率は,

=(Ee-pe)/(2Ee) ですから,この右辺の分子に

e-pe ~ me2/(2e)を代入すると, 

 ~ me2/(4Eee)を得ますが,

 =(Ee-pe)/(2Ee)の式
で極めて小さい電子質量の平方:

e2がオーダーの評価として意味を持つのは分子(Ee-pe)に

おけるのみで,分母の(2Ee)ではme2が無視できて 

μ=Ee+pe(e2+me2)1/2+pe  2なる近似が妥当

です。


 さらに.p
e~Ee ~μ/2ですから, ~ me2/(4Eee)なる

近似と同じ精度で4Eee)~μ2です。
 

したがって,本文に書かれた右巻き電子の放出確率の評価: 

1(e/)2(2e/μ)2が何故そうなるのか?について

,結局,私には明確な根拠がわからなかったのですが,
 

ここでの考察から,それとは僅かに係数だけが異なる,

~ me2/(4Eee) ~ (e2/μ)2 なる評価を

得ました。
 

ここでの話では,係数は重要でないので,これで良しとします。


  (注12-1終わり)※

 

電子よりも,はるかに重いμ粒子(μ 106MeV)については,それ

崩壊:π-→μ-+ν'~においてEμ=(μ2+mμ2)/(2μ)

~ 1.04m なるエネルギーを持って,非相対論的規模でに放出

されますが,れに対しては,スピン射影演算子は(1±γ)/2とは

かなり異なり,それ故,感知できるほどの抑制因子はありません。


 ※(注12-2):上に求めた崩壊
:π-→e-+ν~において放出される

電子の右偏極率を与える近似前の式:=(Ee-pe)/(2Ee)に

おいて,e,peを.それぞれ,Eμ,pμに置き換えると,

=(Eμ-pμ)/(2Eμ)となります。


  これは崩壊:
π-→μ-+ν'~において放出されるμ粒子の

右偏極率与えると考えられます。
 

ここで,電子とμ粒子のそれぞれの右偏極率を区別するため,

改めて,eR=(Ee-pe)/(2Ee),μR=(Eμ-pμ)/(2Eμ)

と書きます。
 

そして,π→μ+ν'~におけるエネルギー・運動量の保存則

から,μ=Eμ+pμ(μ2+mμ2)1/2+pμです。
 

 よって,(μ-pμ)2=pμ2+mμ2より,μ(μ2-mμ2)/(2μ)

ですから,μ=μ-pμ(μ2+mμ2)/(2μ)を得ます。
 

そこで,これを代入すると, μR=(Eμ-pμ)/(2Eμ)

(2Eμ-μ)/(2Eμ)=mμ2/(μ2+mμ2)です。


  前の(注12-1)ではPeR=(Ee-pe)/(2Ee)を評価する際,

分母ではme2を無視する近似を実行して,e(e/μ)2

を得ました。^
 

しかし,逆に今得られたμの右偏極率を示す

μR=mμ2/(μ2+mμ2)においてPμRをPe,μ2をme2

に置き換えても,式はそのまま成立するはずですからme2

を無視すること無しで,e=me2/(μ2+me2)です。
 

以上から,放出される電子とμの右偏極率の比としては, 

 Pe/μ=me2(μ2+mμ2)/{μ2(μ2+me2)}が得られます。

 

これに,μ~140MeV,μ 106MeV,e 0.51MeVを代入

すると,Pe/μ1.47×10-5 ですからレプトンのV-

因子の効果でπ-→e-+ν~が,π-→μ-+ν'~に比して抑制

されることが確認されました。
 

 しかしながら,崩壊の散乱行列:fiをπ^→e-+ν~では

fiπ→eν~と書くと,これはe1/2に比例し,π→μ+ν'~

ではfiπ→μν~がEμ1/2に比例するという違いがあり,

 さらに,崩壊率はをμまたはeの運動量として

|fi|23に比例しますから遷移率の分岐比には,これら

の要素も関連します。
 

そこで,観測された崩壊の分岐比:

R(π→e+ν~/π→μ+ν'^) ~ 1.3×10-4を理論計算

で正しく再現するには,[~(e)γμ(1-γ5)(ν~)] 

[μ~(μ)γμ(1-γ5)(ν’~)]の寄与の比を示す

e/μだけでなく,これ以外の因子も考慮した計算が

必要です。
 

しかし,ともかく,-Aレプトン因子:

[~(e)γμ(1-γ5)ν(ν~)]および,

[μ~(μ)γμ(1-γ5)ν(ν’~)]が寄与するという

仮定が有力であることの根拠は確認されました。

 (
12-2終わり)
 

 さて,ここまでの論拠から,π中間子の崩壊のS行列要素

 においては,レプトン因子として,

[~(e)γμ(1-γ5)ν(ν~)],または,

[μ~(μ)γμ(1-γ5)ν(ν’~)]を採用し,これら

に乗じて不変振幅を形成すべき相手の4元ベクトル

または4元軸性ベクトルを求める必要があります。
 

まず,崩壊に関わる3粒子の4元運動量を,πについては

μ,μ,eについてはpμμまたはpeμをpμとし,ν'~,ν~

についてはν’~μ,またはpν~μをk~μで表わすことに

します。
 

レプトン因子は,[~()γμ(1-γ5)(~)]と簡素化されます。
 

π中間子はスピンを持たないので,レプトン因子に結合する 

4元ベクトルまたは4元軸性ベクトルは,これらPμ,~μ,μ 

から形成する必要があります。


 

まず,保存則:または因子:(2π) 4δ4(P-p-k)から, 

μ=Pμ-k~μであることがわかるので,結局,運動量として

独立なものはPμ,~μの2つだけです。
 

そして,ニュートリノの満たすDirac方程式:γμ~μ(~)0 

から,~μは因子として寄与しません。
 

それ故,レプトン因子に結合する運動量のみから形成される因子 

としては,aを定数としてaPμなる形式が考えられます。
 

そこで,3粒子のエネルギー:0,0,~0,それぞれ, 

,,k~と書き,放出されるμ,または電子の質量:μまたは 

eを単にmと書けば,

 
π中間子崩壊のS行列要素:Sfi(π)は,
 

fi(π)(-i)(2π)-9/2{/(4k~)}1/2(Ga/2)

[Pμ~()γμ(1-γ5)(~)](2π)δ(P-p-k~)  

となります。
 

 定数Gはβ崩壊定数であり,π中間子の全体としての崩壊率 

を決める定数aは,μ-とe-の崩壊モードに対して異なるかも 

知れません。
 

 nのβ崩壊やμ崩壊のケースと同様な,しかし4体でなく3体頂点 

なので,より簡単なステップで次の崩壊率ωの式を得ます。
 

ω=1/τ=(2π)3/(2π)5{1/(2μ)}(2||2/2) 

8∫d3~(2k~)-13(2p)-1δ(P-p-k~)

[2(pP)(~)(~)2] 

{2||2/(8π)}μ3(/μ)2(1-m2/μ2)2
 

※(注12-3):πの崩壊率は,まず,|fi(π)|2について3粒子の 

スピンS,,k~で総和を取り,1/2を掛けて始状態のπのスピン 

Sでの平均を取り,終状態の位相因子::3~3を掛けて積分 

すると,単一のしかし非偏極のπがある始状態iから全ての終状態 

fへの遷移確率となります。
 

これを相互作用領域の体積V,相互作用時間Tで割ると単位時間 

当たり,単位体積当たりの遷移確率,つまり,単位体積当たりの

遷移率となります。
 

最後に崩壊するπ中間子の波動関数は,Vの中に1個存在する 

ように規格化されているので,π1個当たりの遷移率とするため 

さらにVを掛けます。
 

すると始状態πの1個当たりの遷移率=崩壊確率ω=1/τ 

(τは寿命)として,

ω=(1/2) ΣS,s,k~~|fi(π)|23~3(VT)-1

得ます。
 

量子論の通常の定式化では遷移現象の相互作用領域は

全空間,相互作用時間Tも無限大という理想化をして

いるためVT=(2π)4δ4(0)として,(VT)-1|fi(π)|2

の中の[(2π)δ(P-p-k~)]2なるδ関数の2次因子

のうちの1つと相殺すると考えます。
 

また,πはVに1個という波動関数の規格化から,遷移確率

にVを掛けると,πが1個当たりの崩壊率にできますが,

V=∞のδ関数式規格化では,Vを(2π)3で置き換えます。
 

そこで,fi(π)(-i)(2π)-9/2{/(4k~)}1/2

(Ga/2)Pμ~()γμ(1-γ5)(~)]

(2π)δ(P-p-k~)を, 

fi(π)(-i)(2π)-9/2(8k~)-1/2 

(2π)δ(P-p-k~)M ; 

(Ga/2)(2) 1/2[Pμ~()γμ(1-γ5)(~)]

と書き直し,初期の崩壊前のπは静止状態として=μ

と置くと, 


 
ω=(1/2) ΣS,s,k~~|fi(π)|23~3(VT)-1
 

(1/2)(2π)3(2π)-9(2μ)-1∫d3~3(4k~)-1 

(2π)4δ4(P-p-k~)ΣS,s,k~~||2 

(2π)3/(2π)5(2μ)-1∫d3~(2k~)-13(2p)-1 

δ(P-p-k~)ΣS,s,k~||2 

となります。
 

 そして,ΣS,s,k~~||2(2||2/2)(2)-1 

ΣS,s,k~|Pμ~()γμ(1-γ5)(~)|2

[Pμνr{(+mμ(1-γ5)ν(1-γ5)}×(2||2/2) 

8{2(pP)(~)(~)2}×(2||2/2) 

が得られます。
 

ところが,μ(μ,0)では2(pP)(~)(~)2} 

=μ2(2~-E~~)=μ2(~-E~2)
 

また,∫d3~(2k~)-1=∫d4~θ(~0)δ(~2)より, 

∫d3~(2k~)-1δ(P-p-k~)=θ(~)δ((P-p)2) 

であり,(P-p)2=μ2+m22μEです。

 

μ=E+E~から,~=μ-EとしてE~を消去します。
 

 すると,,ω={1/(16π2)}μ-1(42||2μ2)

∫d3(2p)-1θ(μ-E)δ(μ2+m22μE) 

{(μ-E)(μ-E)2} です。


 さらに,d3=4πp2dp=4πpEdEであり,

p=||=|~|=Ek~=μ-Eです。
 

 よって,k~=を消去して,.ω={1/(4π)}}(42||2μ)

0μdEp δ(μ2+m22μE) 

{(μ-E)(μ-E)2};

ただし,p=μ-Ep です。
 

積分∫0μdEpを実行すると,δ(μ2+m22μE)因子 

から,(2μ)-1という因子が出現し,被積分関数では, 

(μ2+m2)/(2μ)に置き換える必要があります。
 

(μ2+m2)/(2μ)に対しては, 

p=μ-E(μ2-m2)/(2μ)であり, 

{(μ-E)(μ-E)2}(μ-E)(2-μ) 

=m2(μ2-m2)/(2μ2)です。
 

それ故,(2μ)-1{(μ-E)(μ-E)2} 

2(μ2-m2)2/(8μ4)=(2/8)(1-m2/μ2)2  

ですから, 

結局,ω=1/τ={2||2/(8π)}μ3(/μ)2(1-m2/μ2)2 

が得られます。 (12-3終わり)
 

ω=1/τ={2||2/(8π)}μ3(/μ)2(1-m2/μ2)2は,

m=meを代入すれば,π→e+ν~の崩壊率ωを,

m=mμを代入すれば,π→μ+ν’~の崩壊率ωμ

与える式です。

それ故,両者でGもaも共通の値なら,崩壊の分岐比として 

R(π→e+ν~/π→μ+ν'~)

(e/μ)2{(μ2-me2)/(μ2-mμ2)}2 

2.31488×10-5×5.49  1.27×10-4 なる予測値を与えます。

(↑※μ~140MeV,mμ~106MeV,m~0.51MeVを代入しました。) 


   これは,πの崩壊の分岐比の観測値:
 

R(π→e+ν~/π→μ+ν'~) ~1.3×10-4

3%以内の誤差で一致しています。
 

そこで,この結果もレプトンを含むあらゆる弱崩壊に対する

普遍性,および、-A結合「u()γμ(1-γ5)(~)]

妥当性を強くサポートするものです。
 

-A結合による抑制がなければ,予測分岐比は, 

(π→e+ν~/π→μ+ν'~)

{(μ2-me2)/(μ2-mμ2)}25.49程度となり,

はるかに大きい値となったはずです。


  今回も長くなりました。切りがいいのでここで終わります。


  (参考文献):J.D.Bjorken & S.D.Drell 

"Relativistic QantumMechanics"(McGrawHill)

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2016年3月18日 (金)

会いたい!!

 ノリピー,飛鳥,,清原クンなどを見るに付け,数年前に電話も住所もわからず音信普通になった,,3歳年下のN目チャンを思い出します。 

 9年前の私の最初の心臓病での入院時はパシリなどやってもらい,退院しても動けない私の数回の引越し時にはM黒さんと共に,わざわざ部屋に来てほとんどの荷造りなどをしてもらいました。 

 私が何でもハイハイと気前よく引き受ける性格を「ダマサレテルよ。。」などとよく諭されました。カラオケは世界一音痴でしたが大声で歌ってました。 

誰からも憎まれない,いいヤツ。。親友,イヤ,弟分でした。 

人知れず,弱かったんだなあ。。まったく気付きませんでした。。 

無性に会いたくなりますネ。。。 

 学生時代から35年以上もウツ病で。。カラダもボロボロなのに何とか自殺もせずに生きのびている。。, 

 お金ガラミでなければ決して他人の世話になりたくない。。。、人前では弱みを見せず虚勢を張ったピエロ,フーテンのトラさん状態。。トシヨリの冷や水。。の私が,実は一番強いのカモ。

 それはそれで悲しいネ。もう春は決して来ないだろうし。。

 そういえば昨日は4人兄弟のなかの一番上の岡山県の故郷にいる兄の74歳の誕生日でしたね。。私は末っ子で両親はもういませんが。。兄弟は全員まだ健在みたいです。

 ヤクザなのは私だけで,他の3人は,ごくまともに家庭を築き子をなして社会的生活を全うしてきたようですが。。。。シアワセなのかな。。。

 (※↓昨年の浜町公園花見。。。今年は来週あたり見に行けるかも。。。)

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2016年3月15日 (火)

粒子の弱崩壊におけるV-A結合電子の偏極

唐突ですが,表題の項目について「弱い相互作用の旧理論」 

のシリーズ記事に割り込みます。
 

以前の記事「散乱電子の偏極について」で記述したように,
 

運動する電子のスピン4元ベクトルをsμ(0,)とすると 

これは次の条件を満足します。
 

ただし,相対論を意識する意味で,特にc=1の自然単位ではなく 

通常の光速cを陽に書く単位を用います。
 

この通常の単位で電子の4元運動量をpμ(/,)

すると, 電子の4元スピン:μ(0,)が満たすべき

条件は,

(1) 2=sμμ(0) 2 2=-1  

(2) sp=0,あるいは,0sβです。 

(
※ただし,vを電子速度としてβ=c/E=/cです。)

 

これらの条件は,質量がmの電子の静止系ではpμ(/,0) 

μ(0,),21なので,sp=-sp0, かつ. 

2=sμμ=- 2=-1を満たし,こうした等式の両辺 

が慣性座標系に依らない不変量=Lorentzスカラーである

ことに由来します。
 

そして,ここでの21を満たす3次元スピン,普通,記号

で記述される大きさ1/2のスピン角運動量そのものではなく,

通常はs=σ/2で定義される大きさ1Pauliσに相当する

ものです。
 

ただし,Pauliσ(σ1,σ2,σ3),2成分スピノルに作用する 

2×2行列ですが,ここでの大きさ1は行列としては4成分 

Diracスピノルに作用する4×4行列を想定しています。
 

つまり,ここでの(1,2,3)の各々のsは行列と 

しては,細胞対角成分が共に2×2のPauli行列σkである 

ような4×4の細胞対角行列σ(4)を意味します。
 

Diracのガンマ行列による表現ではγ0γ5γがこの

=σ(4)k(k=1,2,3)に一致します。


 

この定義での物理量(演算子){(sp)/||}helicity 

(ヘリシティ)と呼び,

{(sp)/||}(,)=+u(,) 

を満たす,helicity固有値+1に属する4元スピノル:(,)

に対応する電子を右巻き電子,または正のhelicity(正の偏極)

を持つ電子といいます。
 

同様に,{(sp)/||}(,)=-u(,)を満たす

固有値1に属するスピノル;(,)に対応する電子

を左巻き電子,または,負のhelicity(負の偏極)を持つ電子

といいます。
 

次に,このu(,±)を2成分のφ±,χ±に分割して, 

(,±)[φ±(),χ±()],のように表わすと, 

(,±){(sp)/||}(,±)=±u(,±) 

を満たすことは,


  2
成分スピノルとして
{(σp)/||}φ±()=±φ±(),

かつ,{(σp)/||}χ±()=±χ±()が満たされること

を意味します。
 

pの向きが3軸の正の向きである,(σp)/||=σ3

場合には±1に属する規格化された2成分固有スピノル

をh±すると,+[1,01T,-[0,11Tです。
 

そこで,φ+(),χ+() ∝h+, かつ,φ-()=χ-() ∝h-

であり,(sp)/||=s3の固値±1に属するhelicityが正,

負の固有スピノル:u(,±),,bを適当な係数として, 

(,)[+,ah+]T,(,)[h-,bh-]T,


なる形
に書けることがわかります。
 

ところで,以前の記事「散乱の伝播波関数の理論(9)」など

参照すると,質量がmのDirac粒子の正エネルギー解の陽

な形は,(,)

{(E+m)/(2)}1/2[1,0,3/(E+m),/(E+m)]T 

(,)

{(E+m)/(2)}1/2[0,1,/(E+m),-p3/(E+m)]T 

で与えられます。

(※ただし,±≡p1±i2(複号同順)であり,また,ここでは

c=1の自然単位系に戻っています。)
 

今想定している3軸の正の向きが運動の向きの場合は, 

=p0,=p≡||ですから,このとき,簡単

ために規格化係数:{(E+m)/(2)}1/2をAと書けば,
 

(,)=A[1,0,/(E+m),0],および, 

(,)=A[0,1,0,-p/(E+m)]T です。
 

さらに,先に定義した(σp)/||=σ3の固有値±1に属する 

成分スピノル:±を用いると, 

(,)=A[h+,ph+/(E+m)], 

(,)=A[-,-ph-/(E+m)] 

と簡素化されます。
 

ところが,電子とニュートリノのスピノルでγμ(1-γ5)

はさむレプトンのV-A相互作用が働く場合,電子スピノル

()に左からγμ(1-γ5)がかかるときには,

まず,(1-γ5)が作用して,
 

(1-γ5)(,)=A{1-p/(E+m)}[h+,-h+], 

(1-γ5)(,)=A{1+p/(E+m)}[h-,-h-]

となります。

(※何故なら,今の表示での(1-γ5)は下図の通りです。)

そして,[h+,-h+],{(sp)/||}の固有値+1に属し,

一方, [-,-h-]は固有値―1に属する,それぞれ,,

helicity,helicity固有状態です。
 

このV-A相互作用後には,観測される偏極(helicity)

期待値:(sp)/||,P=(―N)/(+N)

測られます。
 

ただし,helicityが+1(右巻き)で出現する電子数, 

helicityが-1(左巻き)で出現する電子数です。
 

したがって,元々u(,)とu(,)が対等に存在して

いた場合,-A反応の後には,係数;{1-p/(E+m)}

の絶対値の2:|{1-p/(E+m)}|2に比例し,

他方,|{1+p/(E+m)}|2に比例するため,
 

理論的には,
(sp)/||>=P
 

[{1-p/(E+m)}||1+p/(E+m)|2] 

/[|1-p/(E+m)|2|1+p/(E+m)|2] 

-[4/(E+m)]/[{2(E+m)222}/(E+m)2)] 

-[4(E+m)]/[2(E+m)222]=-p/ 


となります。

 

結局,(sp)/||>=P=-β=-v/cとなることが 

わかりました。

 (βは電子速度をvで,光速cを陽に書く単位
ではβe/

で定義される量ですが,c=1の自然単位では,単にβです。

そしてβ=|β|です。)
 

ただ,上記論旨では,電子eのスピノルueをu()と考えて, 

γμ(1-γ5)なるV-A因子を想定して考察しましたが,

実際の中性子nのβ崩壊やμ崩壊では,放出される

反ニュートリノν~とのペア(,ν~),e~γμ(1-γ5)ν~

なる因子として出現しますから,

γμ(1-γ5)ではなくて,直接,e~γμ(1-γ5)
 

なる因子について論じた方が良かったかもしれません。
 

しかし,e~γμ(1-γ5)=ue~(1+γ5)γμであり, 

e~(1+γ5){(1-γ5)}~ですから,

e~γμ(1-γ5)因子から生じるue~(1+γ5)の左巻き,

右巻きは,γμ(1-γ5)因子での(1-γ5)のそれ

と同一と考えられるため,反ニュートリノとのペア

(,ν~)で放出される電子について上記の結果は

(sp)/||>=P=-β=-v/cを得たのと 

同等です。
 

Dirac粒子が電子eであることを強調して添字eを付加

すると偏極の期待値は,

(ee)/|e|>=Pe=-βe=-ve/ 

と表現されます。
 

相対論的極限のve →c(光速) or β 1では, 

100%左巻き電子のみが放出されることになります。
 

e(-N)/(/(+N)は電子の偏極

(helicity)の期待値ですが,e=N/(+N),

e=N/(+N)とおけば,これらPe,e,

それぞれを電子の右偏極率,左偏極率を意味します。
 

e+Pe1であり,期待値P eは比率:e,e

それぞれに,+1,―1のhelicityを掛けた平均値:

e=Pe-Peです。
 

電子速度が光速cになる相対論的極限では 

e=-β→ -1ですが,これは,e0,e1

であり,100%左巻きになることを意味します。
 

さて,逆β崩壊でのレプトンペア(,ν)の陽電子の放出

際しては,これは負エネルギーの電子の入射として先の

β崩壊(,ν~)のレプトン因子:e~γμ(1-γ5)ν~

の代わりに,ν~γμ(1-γ5)e因子となり,


  (1
-γ5)ν~
100%右巻きの反ニュートリノを意味する

のに対し,ν~γμ(1-γ5)=uν~(1+γ5)γμ100

左巻きのニュートリノを意味します。
 

他方,質量mのDirac粒子の負エネルギー解は 

正エネルギー解;()[φ(),χ()]の大成分φと 

小成分χを入れ換えたv()[χ(),φ()]なる形 

になり,
   
(,)=A[+/(E+m),h+],
 

(,)=A2[-p-(E+m),h-]

です。
 

そして,(1-γ5)(,)

=A{/(E+m)-1}[h+,-h+], 

(1-γ5)v(,)

=A{-p/(E+m)-1}[h-,-h-] 

です。
 

Diracの空孔理論(holeTheory)や散乱のFeynman規則

により 電子の負エネルギ-解:(,),運動量が-p

でスピンがアップ(),つまりhelicityが-1

正エネルギーの陽電子を意味し,
 

逆に,(,),運動量が-pでスピンがダウン(), 

つまり,helicityが+1の正エネルギーの陽電子を意味 

するため,


結局,
 (sp)/||>=P 

[|/(E+m)1|2|-p/(E+m)1|2] 

/[|/(E+m) 1|2|-p/(E+m)1|2] 

=p/m=β が得られます。
 

したがって,(ee)/|e|>=Pe=βe=ve/ 

を得ます。
 

 よって,100%左巻きのニュートリノとペアで放出される

陽電子の場合,陽電子速度が光速cになる相対論的極限:

e→c or βe1では,陽電子は100%右巻きとなります。
 

「弱い相互作用の旧理論」の次にアップする予定のπ中間子

の崩壊について過去ノートから草稿を作成していた際に,ここ

までの弱い相互作用の理論展開では,電子など質量がゼロでない

レプトン(軽粒子)の偏極(helicity)について私自身の理解が

十分でなく,かなり誤解があるのでは?との疑いが生じたので
 

ここのところ見えない眼と働きの鈍い頭で,文献や参考書

などを調べて,改めて知見を納得してまとめたのがこの記事

です。
 

間違えていたと思える最近の記事の部分はこれからボチボチ

修正してゆこうと思います。


 
その後にπ中間子の崩壊に移りますね。


PS:この記事を受けて,最近の記事の中で,

「100%偏極したニュートリノとcoupleした,質量のある電子

μ粒子も100%偏極している。」
 という意味の間違った記述を
していた部分については.現時点

(3月16日夜)では,修正が完了したと思います。

 

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2016年3月 9日 (水)

100万アクセス突破!!

 今朝(3/9)午前5時ころ,ナニゲに自分のブログにアクセスしてみると,カウンターが1000124となっていて100万を超えていました。

 最近は1日300アクセスもないのですが,おそらく超えた正確な日付けは3月8日でしょう。ブログ開始が,2006年3月20日の「h自己紹介l 」でしたが,何とか10年を経過する前に100万までいきました。 

 有名人やアダルト系のホームページなら100万なんて一瞬でしょうが。。

ブログ開始当時は56歳になったばかりで,まだ心臓障害もなく足の指も10本全部揃っていましたが,今は左足は親指だけ右足は薬指と小指の2本だけです。糖尿病の血管ボロボロで両目レンズもすでにガラスです。

サイボーグなどと呼ぶ飲み友達もいましたが,それで普通より能力が上になったわけじゃなく劣ってるワケなのでネ。。  

 救いはまだ腎臓障害で透析という最後の砦には達してないことぐらい。。

 年齢のせいもあって体力的に昔できたことがどんどんできなくなりそれらはアキラメの境地です。,何より目が悪くて自分の蔵書さえ満足に読めません。

 読書は子供のころからの最大の趣味です。

 遠くなど見えなくていいから本が読めればいい。。半年くらい前から気休めにブルーベリー系のサプリを毎日飲んでますが私には効かないようです。

 脱線しましたが大体,,年平均10万アクセス,このところ入院の繰り返しで記事の更新も停滞気味でしたから月1万のペースも落ちてきてます。

 仕方ないですね。

 10年前の当時よりもブログ人口も急増して,携帯やタブレットなども発展し,SNSもかなり増えてきて,文章や視覚的なものを読む方も書く方も様々な形式となり,,私のように20世紀末のパソコン通信の掲示板程度のテキストしか無い時代からやってた身には,こういうモノの進化急過ぎぎますネ。

 私,今から40年くらい前に上京して就職(1977年4月)したサラリ-マンで正社員時代の最初の仕事は大型コンピュータで環境アセスメントの計算をする,という業務でしたので,同年代の他の多くの人と比較して,こういう文化には対応しやすい方だと思います。

 しかし,,40歳頃にパソコン文化に触れてから26年,それまでの大型の文化と比べて発展が急激すぎると感じます。

 人類も地球も滅亡に向かっていると思うこのごろ.急激すぎる発展はある意味で断末魔の走馬灯のような。。。

 イヤ,ヤメておきましょう。自分一人で滅びていくのがいくら寂しいからといって,大勢の巻き添えを増やそうというような幻想は。。。

 いつもながら自分の発想は後ろ向きです。

 反社会的であれば.まだましなのに.行動は起こさず「晴眠雨眠」の非社会的なアキラメの境地の楽観的行き当たりバッタリ。。「何とかなるけど何ともならない」という怠惰なヒマつぶしの毎日。。。。申しワケない

 やってることは喜劇なのに,内容は悲劇という「男はつらいよ」の寅次郎みたいなモノかも。。

 結局脱線して表題のアクセス数とは無関係な駄文。。。失礼しました。

 ダラダラと自動書記ですが。。おシャベリと同じで最近は止まらないので,そろそろ終わります。

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2016年3月 7日 (月)

訃報!安藤昇さん(遅ればせながら。。。)

 昨年の12月16日に肺炎で亡くなられたということで,随分遅れましたが,元は本物のヤクザ:安藤組組長から俳優となった伝説の安藤昇さんが年末に亡くなられたそうです。享年89歳でした。

日刊スポーツ 

→ 安藤昇さん死去,ヤクザ組長から俳優。89歳肺がんで

 俳優の松方弘樹さんが脳腫瘍ということで,俳優友達の梅宮辰夫さんにインタビューというニュースの関連で知ったので遅くなりました。 

 このころは私も入院するかもという頃でバタバタしていた時期だったので忘れてはならない人の死亡のニュースを見落としたようです。

 その昔「実録・安藤組」という映画を見ましたが,本当に目に凄みがある人でしたね。最近も時代劇専門チャンネルで.かなり昔の「新・三匹の侍」で長門勇らと共に主役をやっていたのを見た懐かしい方です。

 戦後,日本が敗戦した直後の進駐軍の駐留時代:焼け跡・ヤミ市時代は,まだ国内の治安が全く不安定で警察も当てにならず,後には治安目的で「警察予備隊(現:自衛隊)」もできたと聞いていた頃です。

 江戸時代末期の清水の次郎長などのように,お上の手が回らず.地回り,テキ屋などに頼らねば庶民が安穏と暮らせなかった時代には,ヤクザも必要悪でしたが。。。今ではアナクロでしょうか,呼び名も通称では暴力団だし。。。

 ご冥福を祈ります。合掌!!

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2016年3月 4日 (金)

ニュ-トリノの質量とヘリシティ(弱い相互作用補遺)

  最近アップしている科学記事は,「弱い相互作用の旧理論」 

というシリーズで,素粒子論の比較的専門的なトピックを 

具体的な計算式を入れて記述するという.ある意味

堅苦しい文の羅列ですが,

今日は,閑話休題(コーヒー・ブレイク)として,私的には 

比較的軽い常識的話の記述でお茶を濁したいと思います。
 

テーマは,ニュートリノ質量とその左巻き,右巻きの性質

(ヘリシティ)の関係ですから,テーマとしては決して軽く

はないですが。。。。
 

相対性理論によれば,質量がmの自由粒子の速度ベクトル

とすると,そのエネルギーEは,光速をcとして

E=mc2/|1(/)2}1/2であり,運動量,

=m/|1(/)2}1/2で与えられます。
 

そこで,1(/)20という条件が満たされなければ,

Eや与える式の分母:|1(/)2}1/2が実数であると

いう意味が無くなるので,22,つまり,自由粒子の速度

の大きさv≡||最大でも光速cである必要があります。
 

すなわち,相対性理論がそれ以前の理論と異なるのは,観測

される粒子の速度には大きさとして限界の速度があって,

それが光速cであるという理論です。
 

(※ただし,現実的ではないゴーストのような虚数質量の粒子

タキオンの存在を仮定すれば,vが光速cを超えるという想定

での理論展開も可能ではありますが。。。※)
 

そして,vが光速に等しい:v=cのときには,

1(/)20 となるため,E=mc2/|1(/)2}1/2,

=m/|1(/)2}1/2なる式の右辺の分母が共にゼロ

,これらは意味を失ないます。
 

 しかし,分子のmc2やmもまたゼロであれば,何らか

 別の意味の矛盾しない規約を追加して,その場合のEや

 を定めることができるはずです。
 

まず.E=mc2/|1(/)2}1/2,=m/|1(/)2}1/2

から.=c2/Eであり,他方,Einsteinの関係式:

2=c2(2+m2c2)が成立することがわかります。
 

質量mがゼロであるかどうか?を考慮せずにエネルギーE

や運動量の式を与えましたが,上記の=c2/Eの方は

m≠0でなければ得られない関係式です。
 

一方,2=c2(2+m2c2),m=0ではE2=c22であり,

自由粒子のエネルギーは運動エネルギーのみで,あり通常

エネルギー原点がゼロという規定なら,それは負になる

ことはないため,E=c||です。
 

このm=0の極限でも,=c2/Eが成立するとすれば, 

E=c|| と合わせて=c/||となるため, 

v=||=cです。
 

一方,m≠0ならE>c||なので,常にv<cです。
 

そこで,m → +0においての理論式の連続性を考慮して粒子

の質量mがゼロであることと自由粒子の速度の大きさが限界

である光速cに等しいことは同値であると規約します。
 

実際,例えば光=光子の質量はゼロであって,その速度の大きさ

は,もちろん光速cです。
 

そして,上記のことは古典論でも量子論でも,これまでの

あらゆる実験観測結果と矛盾しない事実であることが確認

されています。
 

そこで,ニュートリノνの質量も光と同じく完全にゼロで

あればその運動速度は光速cです。
 

ニュートリノが光子と異なるのは,それのスピンsが半奇数

Fermi粒子.特にスピンがs=1/2Dirac粒子であること

です。
 

量子論によれば,Dirac粒子のスピンベクトルを

(1,2,3)とし,3軸成分s3の値を測定すると

常に,3=+1/2,またはs3=-1/2,の,いずれか一方

のみが観測されます。
 

ここでPauliσを導入すると,σ/2であり

3=+1/2,または3=-1/2,それぞれσ3=+1,

またはσ3=-1に対応します。
 

特に粒子の進行方向の単位ベクトル:/||の第3軸の 

正の向きを示すものとするときは,σ3σp/||ですが, 

これをhelicityと呼び,σ3=+1helicity:1の状態

右巻き(右偏極),σ3=-1helicity:1の状態を左巻き 

(左偏極)と称するのでした。
 

そこで,中性子nのβ崩壊やμ粒子の崩壊の際,観測される

電子eと反ニュートリノν~のペアにおいては100%右巻き

の反ニュートリノと大部分は左巻きの電子が観測される

といことが真実なら,それはそのニュートリノνの質量

がゼロであること,を意味すると考えられます。
 

ところで,スピン1/2の粒子の速度の大きさvが光速cより

も小であれば,観測者が静止状態でそれを見る準拠系として

の慣性系(=観測者は例えば座標原点に固定されていて,

座標系と全く同じ速度で運動するような系)の選択によって

,その粒子は静止した粒子と観測されることもあります。
 

つまり,粒子の速度をと見る準拠系において粒子と

全く同じ速度で慣性運動している座標系に固定された

観測者にとってはその粒子は確かに静止しています。
 

もしも,粒子の速度をと見る同じ準拠系で,それを測定

する慣性系の速度がvを超えるなら,その新しい慣性系を

準拠系として観測者が見る粒子の運動の向きは,元の向き

とは反対になります。
 

そして,elicityが+1というのは,古典的には運動する

粒子の後方から見て右巻きに螺旋運動して進行する右ネジ

のような意味ですし,他方helicityが-1というのは,その

逆の左ネジの意味です。
 

しかし,もしも,慣性系を乗り換えることで粒子の進行の向き

逆転することが可能な場合なら,後方から見て右巻きのもの

は前方から見ると左巻きですから,helicityは逆転します。
 

ところが,ある慣性系で粒子の速度の大きさが光速cに

等しいなら如何なる慣性系に乗り換えてもその粒子は相変

わらず光速で進行していて,ましてや静止したり進行方向

が逆転することは無,というのが相対性理論の骨子の1

です。
 

それ故,例えばニュートリノの質量が真にゼロで.その結果

光速cで運動しているなら,一旦左巻きと観測されれば,常に

そうであり100%左巻きのままです。

この場合は前に回りこむことは不可能です。
 

「弱い相互作用の旧理論(10)」では, 

(※以下再掲);中性子nのβ崩壊n → p+e+ν~  

S行列要素は,

 fi(-i)(2π)-6{2/(2ν~)}1/2 

×(2π)4δ4(-P-p-pν~) ; 

M (/2)[u~(μ(1-αγ5)un()] 

×[ue~(~μ(1-γ5)vν~(ν~)]で与えられます。
 

それ故,μ粒子の崩壊:μ → e+ν'+ν~のS行列要素 

も,上記の不変振幅因子:

M (/2)[u~(μ(1-αγ5)un()] 

×[ue~(~μ(1-γ5)vν~(ν~)]のうちレプトンの 

ペア:(e,ν~)が寄与する部分の因子: 

[ue~(~μ(1-γ5)vν~(ν~)]は全く同一である

と仮定します。
 

これはμ粒子の崩壊でも,100%右巻き反ニュートリノと

大部分が左巻きの電子という偏極率で,このペア,出現

することを示しています。
 

したがって,μ,,ν’,ν~の4元運動量:

μ,,ν’,ν~をそれぞれ,P,p,k,k~と略記すると,

μ崩壊のS行列要素は, 

fi(-i)(2π)-6[μ/{μ(2ν)(2ν~)}]1/2 

×(2π)δ(P-p-k-k~)~

M~(G~/2)[uν'~(kμ(1-λγ5)uμ()] 

×[ue~(μ(1-γ5)vν~(k~)]

で与えられる,と考えられます。
 

このとき,λはν'の左巻き率を示すパラメーターである。etc.

(再掲載終了※)と書きました。
 

 そして,不変振幅~の(e,ν~)のペア因子:

[ue~(μ(1-γ5)vν~(k~)]は,反ニュートリノν~

右巻き率が100%であることを意味しているわけです。
 

一方,中性子nのβ崩壊での(,)ペアの因子 :

[u~(μ(1-αγ5)un()] におけるパラメータ

αの 1からのずれは,中性子nの右巻きからの偏り

(右偏極率),または,陽子pの左巻きからの偏り(左偏極率)

を示しています。
 

 そして,「弱い相互作用の旧理論(6)」においては,観測

 との 比較から,

 2(1.015±0.03)×10-5×(1/2)=G 

(1.21±0.03)=αCV 

なる評価が得られていました。
 

このα~1.211という結果は,pもnも質量が約940MeV

ゼロではなく,そこで当然その運動速度vはcより小さい

ので理にかなった値でしょう。
 

他方,μ崩壊での(ν',μ)ペア因子:

[uν'~(kμ(1-λγ5)uμ()]におけるパラメータ

λはν'の左巻き率,または,μの右巻き率に対応します。


 「弱い相互作用の旧理論(10)」では,

(※以下再掲):μ崩壊率のエネルギー分布として,

( dω/dE) ~ {|G~|2μ2p2/(48π3)}

×[6|1-λ|2{1-2(Ep/mμ)}+|1+λ|2{3-4(Ep/mμ)}]

を得ます。
 

この段階で,このエネルギー分布予測を観測と比較すると, 

観測は良い精度でλ=+1を支持しています。etc.

(再掲載終了※) と書きました。
 

さらに,λ=+1としたときのμ崩壊率ωの評価から,その

結合定数G~ が中性子nのβ崩壊のGに2%以内の誤差で

等しいと結論されていました。
 

もしも,ν'が100%左巻きではないなら,λを実数値と

するとき,必ず.λ>1ですから,このG~とGの2%以内の誤差

をλ=+1の評価の方に負わせれば,正確にG~=Gである

一方,λ~ 1.02程度に+1からのズレがあると

推測されます。
 

 この記事の段階で,(,ν~)ペアでνと称している

ニュートリノνは電子ニュートリノ:νeであり,(ν',μ)ペア

でν'と称している粒子は,νeとは別のμ-ニュートリノ: νμ

であることが後に確認されました。
 

もしも,正確にλ=+1なら,νeと同じくνμ100%左巻き

であり,これはνμの運動速度も光速cに等しく質量がゼロ

であることを示唆していると考えられます。
 

しかしながら,νeとνμ,さらにはそれら両方と異なるτ粒子

の崩壊に伴なうτ-ニュートリノ:ντも存在して,それらの間

に質量差がある証拠とされるニュートリノ振動の存在が,岐阜

カミオカンデで観測されたことから,ν'=νμの質量は正確

にはゼロではないと考えられ,その反映がλ~ 1.02程度の

λ=+1からのズレに現われるのではないか?と推量される

わけです。
 

軽い話題と前置きしたのにも関わらず,最後はやや専門的 

になりましたが,今日はこれで終わります。

 

今回の内容には,参考文献はなく単に常識的な知見を総合 

したありふれた感想に過ぎません。

PS:ここからは余談です。。。少し暖かくなってきました。

  既に頭の中は春ですが。。。

そういえば,ブログ開始が2006年3/20で,もうすぐ10年記念日

ですが,あとチョットでブログのカウンターが100万アクセス

に達しそうです。

 さて,近年の私の入院は,大体寒い冬の時期が最も多く,昨年

の5月1日のようにせいぜい春までです。


   
まあ,中途半端な気候の春の木の芽どきは,昔から精神不安定

になるので,暑い季節にでもなれば比較的体調がよくなるので

しょうか。。。



   もうすぐ両足棺桶で,睡眠不足が解消される永眠も近いのに,

ついテレビなどで才能豊かな方を見かけると素直に感心して

ればいいのに年甲斐もなく才能に嫉妬してケチをつけたくなる

のは性格がイジましいからでしょう。

(※最近では,歌手のさだまさしさん,ジャーナリストの池上

さん,行動力のある杉良太郎さんなどに嫉妬。。)


   死ぬ前に,神か悪魔に魂を売ってサバン症?のごとく
道を

聞いて夕べには死す,とかの道も。。


   イヤ,死ぬこと自体,生まれてきた以上だいたい100年
以内

に100%この世からいなくなることは,ものごころついた頃

からわかっていて避けられないのを覚悟していて.

  男の平均寿命から考えてあと10年も
命があるかないか?

というのでアセったりはしてないつもりです。ひょっとして

今日か明日にも道端でバッタリというのもありますからネ。

ただ,痛い熱い苦しいのはイヤだし,麻酔のない手術,介錯

のない切腹とかなら,あるいは認知症,植物状態,私なら

完全失明でも,残る人生の意味がほぼ無くなるので,でも

自殺の勇気もないので「さあ殺せ」という感じでしょうか。

でも部屋で火事にでもあったら,死ぬの怖くない,と言いながら

も本能的に真っ先にアセって逃げるでしょう。

私のような凡人は,体を切り刻まれていくような拷問を受けたら

最愛の人をも売ってしまうでしょう。


  イヤー,つい38年前の1977年暮れの東京で初めて就職した会社

の新人1年目の神楽坂での忘年会の2次会で当時直属の7歳上

の上司に.「オモテへ出ろー」とやって,翌日,辞職願を出し

のを思い出してしまいました。


   私.今でもそうですが,唐突に脈絡も関係もない自己主張を

するクセがあって,そのときも日頃のグータラ仕事ブリを説教

されてる最中に,上記の「人間(自分)は拷問には耐えられない

実体だ。」という一般論的持論を述べたのに,おそらく,

「仕事がきつくて拷問だ」という風に誤解されて口論になった

という記憶がよみがえりました。

  
40年近く経っても執念深いというか,何というか,イヤ進歩が無いと

いうべきか。。。まったくぅ。。。

PS2:歌手の徳永英明さん。。また,「もやもや病」再発という

ことらしいですが,私も2009年夏に友人の春日部の医院での脳の

MRI検査で,そう診断されたことがありました。。


   2009年9/10の過去記事「脳の病気?」を参照

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