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2016年4月22日 (金)

強い相互作用(湯川相互作用)(16)

現在,「弱い相互作用の旧理論」というシリーズ記事を連載中 

ですが,次にアップ予定の項目の「ベクトルカレントの保存:

CVC(Conserved Vector Current)についての草稿を準備中に, 

かつての「強い相互作用(湯川相互作用)」のシリーズ記事に

おける,核子のまわりの光子の雲による電磁形状因子:

(Electric Form Factor)を参照する必要に迫られました。
 

しかしながら,私の参照ノートには,もちろん,その項目も欠損

なく記述されていますが,


 
ブログ過去記事を調べてみると,
「強い相互作用(湯川相互作用)

,20133月に,このテーマが終了する直前に,当時63歳の誕生日

(201321)に就職したばかりだった練馬区の会社を足の不調

,1ヶ月ちょっとの,まだ見習い中の34日に残念ながら辞職し,

翌々週の319日には.順天堂大学付属医院の形成外科に入院して,

足の指を切除する手術をし,以後6月初めまで長期入院となり闘病

生活に入ったた,20133月8日にアップした

強い相互作用(湯川相互作用)(15)を最後にPending状態に陥り,

そのまま,今まで放置していたのでした。
 

その後,日本人のノーベル賞受賞に刺激されて,2015年の秋

からは,弱い相互作用の旧理論」なるテーマに飛躍したので,

電磁形状因子を含む欠損部分が生じていました。


 この部分
もその後の素粒子理論の展開に必要な項目なので,

これを機会に,ここ2~3回程度の科学記事として,

「強い相互作用(湯川相互作用)」の残りの部分を続きとして

再開して,このシリーズ記事を完了し,その後,また, 

「弱い相互作用の旧理論」に戻りたいと思います。
 

まず,当時のテーマは,核子N(陽子pと中性子n)同士の散乱

の項目を終了して,π中間子と核子の散乱:π-N散乱の散乱

振幅をπ中間子を交換する湯川相互作用をメインとする核力

の相互作用(強い相互作用)や,アイソスピン対称性

(=荷電スピンのSU(2)対称性)などに基づいて,計算する項目

でした。

 記事:「強い相互作用(湯川相互作用)(15)」は,ほとんどが私の

だけという内容なので,注以外の本文説明がある,それより1

前の過去記事: 「強い相互作用(湯川相互作用)(14)」の大部分を

再掲載するところから,思い出しつつ始めようと思います。
 

(※↓以下,まず「強い相互作用(湯川相互作用)(14)」の再掲載

です。)
 

π-N散乱の散乱断面積σが,その観測における比の通り, 

σ(πp→π):σ(πp→π0):σ(πp→π) 

921 と計算される理由を記述する注からです。
 

(14-1): さらに前の記事:「強い相互作用(湯川相互作用)(13) 

で示した,アイソスピンによる核子,π中間子,および,その合成状態 

の記述を示します。
 

 Iをアイソスピン(Isotopic-spin:荷電スピン)の固有値,その

3軸成分の固有値をIとすると,I=1/2の核子Nにおいて,陽子

pの状態3=+1/2の状態であり,これを示す2成分スピノル

状態関数をχp,3=-1/2の中性子nの状態をχnとします。
 

 一方,I=1のπ中間子では,3=+1のπ状態を|φ,

30のπ0状態|φ0,3=-1のπ状態を|φ

とします。

 φ,φ0,φは,それぞれ,I=1の状態を示す独立な3次元

縦ベクトルです。

 このとき,3/2^をπ-N状態のI=3/2でI33/2である状態

の射影演算子とすると,χpφ|3/2^|φ>χp1 です。
 

一方,χnφ0|3/2^|φ>χp

=χn{φ0φ(1/3)(τφ0)(τφ)}χp 

=χn{(2/3)φ0φ(1/3)iτ(φ0×φ)}χp

も成立します。
 

φ0φφ(3)(φ(1)iφ(2))/20 

φ0×φ(φ(3)×φ(1)iφ(3)×φ(2))/2 

(φ(2)iφ(1))/2i)(φ(1)iφ(2))iφより, 

(1/3)iτ(φ0×φ)(τ1iτ2)/(32) です。
 

(τ1iτ2)χp 2τ-χp2χnなので. 

χn{(2/3)φ0φ(1/3)iτ(φ0×φ)}χp=√2/3 

を得ます。
 

同様に,χpφ|3/2^|φ>χp 

=χp{(2/3)φφ(1/3)iτ(φ×φ)}χp 

2/3(1/3)χpτ3χp1/3 です。
 

よって,I=3/2のチャネルにおいては,  

πp→π,πp→π0,πp→π 

の散乱振幅(S行列要素Sfi)の比は,1:√2/31/3,確率

の比は921 となることがわかります。
 

あるいは,アイソスピン固有状態を|,3>で表現すると, 

|π>=|1,1,|π0>=|1,0,|π>=|1,1, 

|p>=|1/2,1/2,|n>=|1/2,1/2> です。
 

そこで,これらの合成から得られる状態のうち,I=3/2

固有状態は,|3/2,3/2>=|1,1|1/2,1/2>=|πp>, 

3 |3/2,1/2>=√2 |1,0|1/2,1/2>+|1,1|1/2,1/2

より,|3/2,1/2>=(2/3)|π0p>+(1/3)|πp>,
 

同様に,|3/2,1/2 

(2 /3)|1,0|1/2,1/2>+(1/3)|1,1|1/2,1/2 

(2/3)|π0n>+(1/3)|πp>, 

|3/2,3/2>=|1,1|1/2,1/2>=|πn> です。
 

※参考のため,I=1/2の固有状態の合成表現も羅列してみると, 

|1/2,1/2 

=-(1/3)|1,0|1/2,1/2>+(2/3))|1,1|1/2,1/2 

=-(1/3)|π0p>+(2/3))|πn>,
 

|1/2,1/2 

=-(2/3)|1,1|1/2,1/2>+(1/3))|1,0|1/2,1/2 

=-(2/3)|πp>+(1/3))|π0n> です。※
 

以上から,逆に,|πp>=|3/2,3/2,|πn>=|3/2,3/2, 

|π0p>=(2/3)|3/2,1/2>-(1/3)|1/2,1/2, 

|πp>=(1/3)|3/2,1/2>-(2/3)|1/2,1/2,
 

|π0n>=(2/3)|3/2,1/2>+(1/3)|1/2,1/2, 

|πn>=-(1/3)|3/2,1/2>-(2/3)|1/2,1/2 

と表現されます。
 

よって,I=3/2のチャネルのみでは, 

<π|33|πp>:<π0|33|πp>

:<π|33|πp>1:√2/31/3 です。
 

 ただし,33,アイソスピン射影演算子:P3/2^,同様な 

スピンが3/2のスピン射影演算子Q3/2^の直積の(3,3)チャネル

射影演算子を意味します。33=P3/2^3/2^です。


 (14-1終わり)

 

次に,このエネルギー領域では,散乱は,主として,I=J=3/2

チャネルを通るというこれらの示唆で,先に求めた散乱の

微分断面積の式:

[dσ33(π)/dΩ] C.M. {42/(3ωμ2)}24(13cos2θ) 

の妥当性を,2つの一般的な観測の助けを借りて拡張すること

を試みます。

まず,[dσ33(π)/dΩ] C.M. {42/(3ωμ2)}24(13cos2θ) 

のエネルギー依存性は,ω→ ∞(q→ ∞)に対して,σ→ ∞を予測

するため,低イエネルギー閾値の近傍を除いては,現実的では無いこと

着目します。(μをπの質量としてω=q2/(2μ)です。)
 

実際の全断面積:σの大きさには,エネルギーと共に無限大に増大

するわけではなく,ユニタリ[(確率の保存)の結果として上限が

存在します。
 

純粋に伝播関数の理論の枠内でS行列のユニタリ性を論じるのは

難しいので,ここでは,単に非相対論的散乱理論の一般的結果から

のいくつかのことを用いることにします。
 

1.与えられたチャネルに対して,散乱振幅は次の形を取ります。 

t ∝ (1/)exp(iδ)sinδ=1/{(cotδ-i)} 

(※tは散乱振幅:(θ)をπの軌道角運動量lを持つ部分波

の総和に展開したときのP波(l=1)の項の寄与です。)
 

qは慣性中心系(重心系)での粒子の運動量で,δは前に述べた

ように,チャネルの散乱による位相のずれ(phase-shift)です。
 

もしも,同じ量子数について弾性散乱に匹敵する非弾性チャネル

がないならδは実数(弾性散乱)です。
 

(14-2):非相対論的な1粒子の中心対称ポテンシャルによる

散乱の散乱状態波動関数:Ψ(),

 散乱前の粒子が運動量で入射する平面波が,(,')||2cosθ

なる散乱角θで散乱された後の球面波と重み(θ)で重ね合わせられた

定常状態になるという描像で,

→ ∞で,Ψ() exp(iqr)+f(θ) exp(i')/rのような

漸近形を持つという境界条件で定式化されます。
 

この式で定義される散乱振幅:(θ)は角運動量lの部分波に展開 

され,(θ){1/(2i)}Σl=0(2l+1){l()1}l(cosθ) 

{1/(2)}Σl=0(2l+1)l()l(cosθ),

ただし,l()1il() と表わすことができます。
 

そして,位相のずれδl,S行列成分:l()1il()の散乱 

されず素通りする前方散乱成分の1を除く部分(=T行列):l() 

について:l()2exp(iδl)sinδlで定義されます。
 

散乱が弾性散乱のときは,|l()|1なので,l()1に比して 

微小とすれば,

{1il()}{1il()|~1+i{l()-Tl()}=1 

から,l()は実数であり,l()exp(iδl)sinδl ~ δl

より,位相のずれ:δlも実数であると結論されます。
 

(θ)の展開で,l=1のP波の成分をtとし,その位相のずれ:

δ1を単にδと書けば,1(cosθ)cosθより, 

t=(3/2)(1/)exp(iδ)sinδcosθです。
 

そして,exp(iδ)sinδ=sinδ/exp(iδ)

sinδ/(cosδ-isinδ)1//(cosδ/sinδ-i)

1//(cotδ-i) ですから.
 

t=(3/2)cosθ[1/{(cotδ-i)}となります。
 

したがって,t ∝ (1/)exp(iδ)sinδ=1/{(cotδ-i)}

なることが示されました。


(14-2終わり) 

 

2.軌道角運動量が,~lで,全角運動量がJ=l+1/2のチャネル

の全断面積への寄与は,σtotJ,l{4π(2J+1)/2}/2 のように

限定されます。
 

つまり,ユニタリ性の結果,|()|1から,断面積σに上限が

あることが示されます。
 

(14-3): 入射波の方向を特にz軸に取り,exp(iqr)exp(iqz) 

とした場合,χ±をスピン1/2がある場合のスピンが±の状態関数 

とすれば,

 
Ψ()χは,r~ ∞で,
 

exp(iqz)χ± {1/(2iqr)}[Σl=0(2l+1) 

{exp(iqr)(1)lexp(-iqr)}l(cosθ)]χ± 

です。


 (※:スピンがゼロの1粒子πが固定されたスピンが1/2の標的p

またはnの作る中心対称ポテンシャルで散乱されるという1粒子

量子力学の散乱では,散乱される1粒子πの状態関数は,単に

Ψ()であって,標的であるスピンが1/2のpまたはnのスピン

状態関数:χ=[χ+,χ]Tなどは無関係のはずですが,

 ここでは,角運動量に関しては散乱された
状態をπと核子N 

(p,またはn)が合成された,スピンとしては,1/2の|πN>

状態Ψ()χのような状態関数で表現されるよう拡張

しました。


 
して,(3,3) チャネルは,全角運動量としては,J=3/2の

状態への部分波散乱を意味しますが,これはスピンだけで

なく軌道角運動量lとの合成が3/2という意味です。※)

 
J=l+1/2,z=J3=±1/2の場合:≡J-1/2=l, 

≡l+1/2=l+1と定義します。


 くどいようですが,間違いやすいので念を押すと,

J=l1/2=l1/2 です。
 

=lを用いた表現では, 

|,1/2>=|1/2,1/2 

{(1)/(2+1)}1/2l+0χ
 +{/(2+1)}1/2l1χ

 

|,1/2>=|1/2,1/2 

{(+1)/(2+1)}1/2l+0χ

{+/(2+1)}1/2l+-1χあり,
 

他方,同じものを,=l+1を用いて表現すると, 

|,1/2>=|1/2,1/2 

{/(21)}1/2l0χ

{{(-1)/(2-1)}1/2l1χ
 

|,1/2>=|1/2,1/2 

=-{/(21)}1/2l0χ
 +{{(1)/(21)}1/2l-1χ+  
です。

 

Spinのない場合には, 入射波がΨ()exp(iqz)のとき,

r~∞で,Ψ() {1/(2iqr)}

[Σl=0(2l+1){exp(iqr)(1)lexp(-iqr)}l(cosθ)] 

exp(iqz){exp(iqr)/(2iqr)}

[Σl=0(2l+1)(1)l(cosθ)] であり,
 

(θ){1/(2i)}[Σl=0(2l+1)(1)l(cosθ)] 

(1/)}[Σl=0(2l+1)exp(iδl)sinδll(cosθ)]

でした。
 

一方,Spin:1/2がある場合は,まず,軌道角運動量lが固定なら, 

|l+1/2,1/2 

{(l+1)/(2l+1)}1/2l0χ{/(2l+1)}1/2l1χ
 

|l-1/2,1/2 

=-{/(2l+1)}1/2l0χ{{(l+1)/(2l+1)}1/2l-1χ

より,
 

(2l+1)1/2l0χ

(l+1) 1/2|l+1/2,1/2>-l1/2|l-1/2,1/2,
 

(2l+1)l(cosθ)χ 

(4π) 1/2{(l+1)1/2|l+1/2,1/2>-l1/2|l-1/2,1/2

です。
 

同様に,(2l+1)l(cosθ)χ 

(4π) 1/2{(l+1)1/2|l+1/2,1/2>+l1/2|l-1/2,1/2 

です。
 

Spin波動関数以外の座標の波動関数は,

Ψ()  {1/(2iqr)}[Σl=0(2l+1)

{exp(iqr)(1)lexp(-iqr)}l(cosθ)] 

ですから,lが保存される散乱の場合,z=J3=±1/2の寄与

,前方散乱以外では,r~∞で,J=l+1/2とJ=l-1/2,

重ね合わせとなります。
 

例えば,入射波のスピンが+のときには,

Ψχ {exp(iqr)1/(2iqr)}

[Σl=0(2l+1)(1)l(cosθ)χ 

  {exp(iqr)1/(2iqr)}(4π)1/2 

[Σl=0(1){(l+1)1/2|l+1/2,1/2

+l1/2|l-1/2,1/2}] と書けるはずです。
 

しかし,今問題としている散乱では軌道角運動量lではなく

全角運動量Jが保存されるため,z=J3=±1/2の場合の寄与

には,同じJに対してJ=l1/2=l1/2で与えられる軌道

角運動量のペア:=l=J1/2.とl=l+1=J1/2の寄与

があります。
 

それ故,前方散乱以外では,r~∞で,スピノルをΨ=[ψ,Ψ]T 

2成分で表現すると,上成分:3=+1/2の成分は, 

Ψ {1/(2iqr)}exp(iqr)(4π)1/2 

[Σl=0{(+1)(+1)1/2|1/2,1/2 

(-1)-1/2|-1/2,1/2} です。
 

また,3=-1/2の下成分は, 

Ψ {1/(2iqr)}exp(iqr)(4π)1/2 

[Σl=0{(l+1)(+1)1/2|1/2,1/2 

(l-1)(1)1/2|1/2,1/2} 

です。
 

ただし,上の表現式でのΣl=0,l=l=l1のlによる

総和を意味します。
 

ここで,l±

l±(l±1)/(2i)exp(iδl±)sinδl±/ 

と定義すると,散乱振幅:(θ)[(θ),(θ)]T

についても
 

(θ)(4π)-1/2 

=Σl=0{(l-1)(1)1/2|l+1/2,1/2 

(-1)(-1)1/2|-1/2,1/2} 

=Σl=0[(2+1)-1/2{+(+1)+0χ

+f+{+(+1)}1/2+1χ} 

(2-1)-1/2{---0χ

-f-{-(-1)}1/2l-1χ-}] 

=Σl=0[(2l-1)-1/2{-1lYl-10χ

+f-1{(l-1)}1/2-11χ-} 

(2l+1)-1/2{lY0χ-f{(l+1)}1/21χ-}]
 

同様に,(θ)(4π)-1/2 

=Σl=0[(2l-1)-1/2{-1lYl-10χ

+f-1{(l-1)}1/2-1-1χ} 

(2l+1)-1/2{lY0χ

-f{(l+1)}1/2-1χ}] となります。
 

したがって,σtot±=∫|(θ)±|2dΩ 

4πΣl=0[(2l-1)-1{2+l(l-1)}|-1|2 

[(2l+1)-1{2+l(l+1)}||2] 

4πΣl=0{|-1|2||2}
 

固定J値のみの寄与は, 

4πl{|-1|2||2}4π(2J+1)/(22)}

{|sinδ-1|2|sinδ|2} です。
 

結局,σtotJ±4π(2J+1)/(22)}が満たされることが

わかります。 (14-3終わり)

 

(※以上,「強い相互作用(湯川相互作用)(14)」の再掲載終了)
 

 次の記事「強い相互作用(湯川相互作用)(15)」は,ここで必要な 

非相対論的散乱理論の一般的結果の第3の項目である: 
 

 3.有効距離展開;(2l+1)cotδ=a+bω+cω2..

 が低エネルギーで良い近似を与える。


 ということの根拠を述べた私の
(15-1)のみがその内容です。
 

これの再掲載は割愛します。直接過去記事を参照してください。
 

これで,,非相対論的散乱理論一般的結果からの必要事項は

いくつかの注により根拠を示すことができたので,再び箇条書き

にして記載しておきます。
 

1.与えられたチャネルに対して,散乱振幅tは次の形を取る。 

t ∝ (1/)exp(iδ)sinδ=1/{(cotδ-i)}
 

ただし,qは慣性中心系(重心系)での各粒子の運動量であり,

δはチャネルの位相のずれ(phase-shift)です。


同じ量子数について,弾性衝突に匹敵
する非弾性のチャネルがない

なら,δは実数です。
 

2.軌道角運動量がlで全角運動量がJ=l+1/2のチャネルの

全断面積への寄与は,σtotJ,l{4π(2J+1)/2}/2 のように

限定される。
 

3.有効距離展開;(2l+1)cotδ=a+bω+cω2..

が低エネルギーで良い近似を与える。  


の3つの事項
です。

 
さて,既に§10.6のπ-N散乱(Meson-Nucleon Scattering)で見た

ように,小さいエネルギーの分母 ~ωと,P波相互作用の相互的に

長い時間スケール1/ωは,P波の強いエネルギー依存性を自然に

予想させます。
 

それ故,(3,3)チャネル(IJ3/2)に対する, 

(2l+1)cotδ=a+bω+cω2..において,Born近似での高次

の補正は無視できません。
 

すなわち,不変振幅: 

(i02/)[(2)χ2]φ2|(i/2^+P3/2^)|φ1]

[(1)χ1] 

{i02/(42)}(4πq2/3)[(2)χ2] 

φ2,2|[911^/ω-{433^213^231^11^}/ω]

|φ1,1[(1)χ1] において,
 

P波に対応する第2項は,

{i02/(42ω)}(4πq2/3)[(2)χ2] 

φ2,2|(811^213^231^433^)]|φ1,1

[(1)χ1] です。
 

そして,(2l+1)cotδ=a+bω+cω2.. においては, 

このチャネルでのBorn近似の引力を強めるような大きさが負の 

係数cに導くと予想されます。
 

(16-1):何故なら,引力のときの位相のずれδは正で, 

a=0,b>0のとき,cotδ ~ 1/δ ~bω+cω2..ですが, 

これはc<0ならω2に対して減少するため,δはω2と共に増加

します。 (16-1終わり)
 

dσ33(π)/dΩ ~ {42/(3ωμ2)}24(13cos2θ) 

を書き直すと,

dσ33(π)/dΩ (1/2)|exp(iδ33)sinδ33}2(13cos2θ),

かつ,[exp(iδ33)sinδ33]Born 432/(3ωμ2) 

なる表現 を得ます。
 

(16-2): 上記を証明します。 

まず,前回までで詳述したように,ポテンシャル散乱の一般論

から, 中心対称なポテンシャルによる散乱の散乱状態の

波動関数Ψ()は,r→∞で,

Ψ() exp(iqr)+f(θ) exp(i')/r のような

漸近形を持ちます。
 

この散乱される粒子にスピン1/2がある場合には状態関数を 

Ψ=[ψ+,ψ]Tと書き,(θ)[(θ),(θ)]Tとして, 

r→∞で,Ψ ~[ exp(iqr)+f(θ) exp(i')/] 

となりますが,スピン3軸成分が+でも-でも,

散乱の微分断面積は,dσ/dΩ=|(θ)±|2で与えられます。
 

散乱振幅:(θ)は角運動量lの部分波に展開できて, 

(θ){1/(2i)}Σl=0(2l+1){l()1}l(cosθ) 

{1/(2)}Σl=0(2l+1)l()l(cosθ), 

l()1il() と表わすことができます。
 

l()exp(iδl)sinδlと書いた時のδlが位相のずれです。
 

(θ)の展開においてl=1のP波の成分をt,その位相のずれ

:δ1を単にδと書けば,t=(3/2)(1/)exp(iδ)sinδcosθです。
 

そして,exp(iδ)sinδ=sinδ/exp(iδ)sinδ/(cosδ-isinδ) 

1//(cosδ/sinδ-i)1//(cotδ-i) ですから. 

t=(3/2)cosθ[1/{(cotδ-i)} と書けます。
 

したがって,P波の振幅tは, 

t ∝ (1/)exp(iδ)sinδ=1/{(cotδ-i)} 

なる挙動をします。
 

改めてP波の位相のずれをδ1とすると,


 
(14-3)から,J=l+1/2 でJが保存されるとき, 

l(1/)exp(iδ)sinδであって, 

(θ)(4π)1/2Σl=0[(2l-1)-1/2{-1lYl-10χ 

+f-1{(l-1)}1/2-11χ-} 

(2l+1)-1/2{lY0χ-f{(l+1)}1/21χ-}]
 

(θ)(4π)1/2Σl=0[(2l-1)-1/2{-1lYl-10χ 

+f-1{(l-1)}1/2-1-1χ} 

(2l+1)-1/2{lY0χ-f{(l+1)}1/2-1χ}] 

です。
 

l=1のP波に関わる項のみが寄与しては, 

1(1/){exp(iδ1)sinδ1であり,
 

(θ)(4π)1/2[3-1/2{110χ21/2111χ-] 

(θ)(4π)1/2[3-1/2{110χ21/21-1χ]

ですが,l1の球面調和関数は具体的には,

10(3/4π)1/2cosθ,11=-(3/4π)1/2sinθexp(iΦ),

1-1(3/8π)1/2sinθexp(iΦ)ですから,

4|10|22|1±1|2(3/4π)(4cos2θ+sin2θ) 

(3/4π)(3cos2θ+1) です。
 

それ故,l=1の位相のずれδ1,特にl=1,J=3/2(3,3)

チャネルのみによる位相のずれ:δ33で代表させると,
 

dσ/dΩ ~ (1/2)|exp(iδ33)sinδ33|2(13cos2θ)

と書けます。
 

一方,

[dσ33(π)/dΩ] C.M. {42/(3ωμ2)}24(13cos2θ) 

ですから,これを上のdσ/dΩのを与える部分波振幅の式を

比較し,.M系でのdσ/dΩとdσ33(π)/dΩとを等置

することにより,[exp(iδ33)sinδ33] C.M. Born 432/(3ωμ2)

を得ます。
 

(16-2終わり)
 

t ∝ (1/)exp(iδ)sinδ=1/{(cotδ-i)}でしたから 

exp(iδ33)sinδ331/(cotδ33i)です。
 

そして,上記のように,C.M系でのBorn近似では,

[exp(iδ33)sinδ33] Born 432/(3ωμ2)を得ました。

したがって,このオーダーでは,[3cotδ33]Born 3ωμ2/(42)

です。
 

これをq(2l+1)cotδ=a+bω+cω2なる展開式比較すると

l=1P波では,a=0,b ~ 3μ2/(42)を得ます。
 

 このωによるベキ展開の次の係数cを決定して,散乱長への

有効レンジ補正を含む公式に発展させるためには,低エネルギー

近似計算の限界を超える必要があります。


 
既に,(3,3)チャネルでのq3cotδ33=a+bω+cω2の係数c

が負であるという予想をしました。何故なら,この負符号は他の

チャネルと逆に引力ポテンシャルに対応するからです。
 

そこで,このcの負符号まで含めた低エネルギー近似を書くと, 

3cotδ33=+{3ωμ2/(42)}(1-ω/ω)なる形に書けます。
 

これは,2 0.08,あるいは同じことですが,02/(4π)14

とし,ω2.2μとすれば,πp散乱実験との良い一致が

見られます。
 

この式:3cotδ33=+{3ωμ2/(42)}(1-ω/ω),固定

された核子源(ω/M→0の極限)に関する中間子理論から,

§10.6のπ-N散乱の節で与えた散乱振幅の表式: 

fi(2π)-6{2/(412ω1ω2)}1/2 

×(2π)4δ4(2+p2-q1-p1) 

(i0)2χ2~(2,2)[φ2τiγ5i{γ(1+q1)-M}]-1 

iγ5τφ1τφ1iγ5i{γ(1-q2)-M}]-1iγ5τφ2]

(1,1)χ1 において,なされたような結合定数のベキ展開に

頼ることにより,ChewLowによって,初めて導出された評価式です。
 

途中ですが,例によって夢中で書いてiいるうちに1記事としては

長くなり過ぎたと思われるので,今日は,ひとまず終わります。
 

(参考文献):J.D.Bjorken & S.D."Drell 

"Relativistic QantumMechanics”(McGrawHill)

PS:先週金曜日の同期会?に続き,今週の4/22(金)夜は毎月1回

恒例の飲み会でした。楽しかったのですが,最近昼夜の温度差が

大きいこともあり,体調がややだったので,いつもは午前様で

したが,昨夜は23時ころには帰宅してゲロ吐き,その後熟睡し

たようです。

  目覚めると夜中の3時半頃で,落ち着いたので.書きっぱなし

だったブログを編集し直しました。
  
  土曜日だし、もう1回寝直します。永眠も近い?

(今,23日(土)早朝の4時50分です。)
 

※ずいぶん昔の正社員時代には,晴眠雨眠,垢デミック,。。 

ワーニング・プロチョンなどと呼ばれていたの思い出しました。

デブだったし,昼食が大盛りでないと,ウワサになり,

どこか悪いのでは?と疑われました。 


  今も昔もイジられやすい。。。


  千石不動産の
近くにあって,飲みに行くたびに「死神が来た(失礼な!)」

と言われていたスナック「無我」が,巣鴨一番街に移転しているのを

発見。。近々行ってみよう。。。

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