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2016年7月20日 (水)

弱い相互作用の旧理論(17)(Fermi理論)

 「弱い相互作用の旧理論」の続きです。


  前回のCVC仮説(=ベクトルカレントの保存)について

 ブログ記事を書くついでに20年以上ぶりに考察して細かい

 計算などチェックしつつ,まだ納得できない部分もあり

 ますが,取りあえず次のPCACの項目に移ります。
 

§10.17 軸性ベクトル相互作用の部分的保存(PCAC) 

(Partialy Conserved Axial vector Coupling)
 

核子の周りの中間子の雲は,軸性ベクトル,またはβ崩壊相互

作用のGamow-Teller部分にもまた影響すると考えられます。
 

α~1.21という数は,中間子の雲の影響に由来して,ベクトルの

結合定数に軸性ベクトルの強さを関連付けるものであると解釈

します。
 

αは1に近い数で,仮想の中間子の雲による結合の強さの

くり込み計算は対数的に発散する値を与えます。
 

これは,軸性ベクトルのβ崩壊結合に対しても,恐らくは近似的

な保存則が成立しているだろうこと,を示唆しています。
 

現時点では,このおぼろげなアイデアも,他の如何なるアイデア

に基づいても,αの大きさを説明するための進歩は,なされて

いません。
 

そこで,αの値の説明そのものについては,ここでは,これ以上

考えないことにします。
 

しかし,弱い崩壊振幅における核子の部分的に保存する

軸性ベクトルカレントに結合するレプトンカレントという

アイデアは,以下に論じるように,荷電π中間子の観測寿命

に適合するよう予測計算を行なうことにおいて,幾らかの

成功を得ています。
 

軸性ベクトルカレントへの最も単純な輻射補正は,10.22

に示すように単一のπ中間子を含むグラフです。


 

ここまでのFeynmanルールによれば,これはβ崩壊の不変振幅

に次のような項として寄与します。
 

すなわち,

in(Ga/2)(ig√2)[p~(p)iγ5(n)](2-μ2)-1 

×(iμ)[e~(e)γμ(1-γ5)ν(ν~)] です。
 

ただし,(Ga/2),前に与えたπ中間子崩壊のS行列要素: 

fi(π)(-i)(2π)-9/2{/(4k~)}1/2(Ga/2)

πu~(pμ(1-γ5)v(k~)(2π)δ(π-pe-k~) 

における結合定数を示しています。
 

また,gはπ-Nの強い相互作用の結合定数であり.追加の因子 

2は荷電π放出のアイソスピン行列に由来する係数です。
 

弱い相互作用の1次のオーダーで,10.23に示すようなグラフ 

に由来する,多くの追加の寄与があります。

こうした全てのグラフの寄与は次のような形に書けます。 

すなわち,=Fμ(+)(Pp,Pn)u~(peμ(1-γ5)v(k~)

です。

  
ただし,Fμ(+)(Pp,Pn)=(Ga/2)u~(Pp) 

×[γμγ51(2)+qμγ52(2)+pμγ53(2)](n) 

q=Pn-Pp=pe+k~,p=Pp+Pn です。
 

この形式の特徴は,電磁カレントに対して作成したものに同様

です。唯一の違いは,軸性ベクトルカレントを作成するために

γ5が挿入されていることです。
 

もしもμ(+)(Pp,Pn)への寄与が図10.23のように,

アイソベクトルの(+)成分として変換すると仮定するならば,

このことを示すことによって,この形をさらに簡単にすること

ができます。

すなわち,3(2)0 です。
 

これは,強い相互作用の荷電共役(Charge cobhugatuon)不変性

アイソスピン不変性に基づくものです。
 

これを示すため,10.23()の頂点τをτ3にし,10.23()

でのレプトンに結合するπ中間子の放出頂点でも,τをτ3

に変えることによってμ(+)(P',P)をアイソ空間で回転

させます。

強い相互作用の荷電独立性のために,これはμ(+)(P',P)

をアイソベクトルの第3成分に変換させます。
 

特に,陽子pについては, 

μ3(P',P)=(Ga/2)u~(P') 

×[γμγ51(2)+qμγ52(2)+pμγ53(2)](P)

ただし,q=P'-P,p=P'+P
 

となります。
 

強い相互作用の荷電共役不変性によれば,10.23のグラフに 

由来するμ(+)(Pp,Pn)=(Ga/2)u~(Pp) 

×[γμγ51(2)+qμγ52(2)+pμγ53(2)](n) 

なる付加的寄与においては,
 

陽子が反陽子に置き換えられた場合でも,"裸の"陽子カレント

と同様,μ(+)(Pp,Pn)はμ3(Pp,Pn)に帰着させられる

必要があります。
 

つまり,運動量PμからP'μの状態へと散乱される反陽子

の荷電共役遷移については,

  
参考テキストでは.第6章伝播関数.
本ブログでは,

散乱の伝播関数の理論」で論じているように,

運動量(-P'μ)から(-Pμ)の状態へと散乱され,

時間的な前方,つまり過去へと伝播する負エネルギーの

陽子に対応する下図10.24グラフで記述されます。
 

これに対応する頂点がγμγ5の素朴な軸性カレント: 

μ(P',)=u~(P')γμγ5(),荷電共役変換

:Cで,~()γμγ5(P')

=-u()-1γμγ5Cu~(P')exp{iδ(P',)} 

=-u~(P')γμγ5()exp{iδ(P',)} なる等式

を満たします。
 

これは,つまり,

Aμ(-P,-P')=-JAμ(P',)exp{iδ(P',)} 

を意味しています。
 

200912/20の過去記事:Diracの空孔理論(2)」によれば、

Dirac方程式に従う陽子の荷電共役変換演算子:Cは行列表示で, 

C=iγ2γ0=-iγ2γ0と選択することができます。

  
このとき,-1=C=-Cであり,陽子の正エネルギー

Pのspinor:(,),と負エネルギー:(-P)spinor:

(,)のスピンSを省略した表現では

()=Cu~(),よって,

exp{-δ(P)}v(P)=γ0(P)C-1,

or exp{-δ(P)}v~(P)=γ0(P)C-1γ0

と書けます。

   
これから,~()γμγ5(P') 

=γ0()-1γ0γμγ5Cu~(P')

exp[i{δ()-δ(P')}]となりますが,

  
γ0()γ0=u(),(γ0)21,γ0-1γ0=-C-1

より,位相変化をδ(P',)=≡δ()-δ(P')

で定義すれば,
  
~()γμγ5(P') 

 =-u()-1γμγ5Cu~(P')exp{iδ(P',)}

 を得ます。
 

さらに,()-1γμγ5Cu~(P')

[()-1γμγ5Cu~(P')] 

=u~(P'){-1γμγ5}()ですが,

 
C=iγ2γ0より,
-1=C,(-1)=C なので,

{-1γμγ5}=C-1γ5γμ=γ5-1γμ

=-γ5γμ=γμγ5 より,

-u()-1γμγ5Cu~(P')=-u~(P')γμγ5() 

が得られるわけです。 (17-1終わり)
 

(17-2):より詳細にDirac粒子の荷電共役不変性

 (Charge Conjigation)の意味について振り返るため,

200912/20の過去記事:Diracの空孔論(2)から一部を抜粋

して再掲し,粒子と反粒子の対称性を意味する荷電共役不変性

の項目を復習しておきます。
 

(再掲開始:↓)
 

Diracの空孔理論は,取り得る全ての負エネルギー状態が完全に占有 

された負エネルギー電子の海(=真空)において,エネルギー:(-E) 

(E>0),および,電荷e(電子の場合はe=-||0)を持つ電子1 

の欠損を示す,負エネルギーの海における1個の空孔(hole),1個の 

正エネルギーの陽電子の存在に同等である,と解釈する理論です。
 

 そこで,この解釈では電磁場Aμがある場合の質量mの電子波動関数

 Ψが従うDirac方程式:(i-e-m)Ψ=0 の負エネルギー解

 と,正エネルギー陽電子の固有状態を示す波動関数が1対1に

  対応するはずです。
 

ただし,≡γμμ,iiγμμiγμ(/∂xμ),

≡γμμです。
 

μ^i(/∂xμ)ですから,^iであり, 

自由電子のDirac方程式に,極小相互作用変換:

μ^→ pμ^-eAμ施して得られるものが,μ

存在する場合の上記の電子波動関数に対する 

波動方程式です。
 

こうした解釈により,陽電子の波動関数Ψcは電子とは正の電荷

(-e)を持つだけ異なる,電子と同じ波動方程式を満たすはず

なので,それは,(i+e-m)Ψc0 の正エネルギー解である

と考えられます。
 

 このことから,2つの方程式を互いに変換させる演算子を作る

  という発想に導かれます。
 

これを遂行するためには,変換の結果として,2つの演算子;

^iの間の相対的符号が変換前と異なるようになる

ことが必要ですが,これは単に複素共役を取ることで可能です。
 

 すなわち,{i(/∂xμ)}=-(/∂xμ),μ=Aμ

 なので,(i-e-m)Ψ=0, or

{γμ(iμ-eAμ)ーm}Ψ=0,両辺の複素共役を取ることで

{(iμ+eAμ)γμ*+m}Ψ0 となります。
 

もしも,(Cγ0)γμ*(Cγ0)-1=-γμなる代数関係を満たす 

正則行列Cγ0を見出すことができれば, 

{(iμ+eAμ)(Cγ0)γμ*(Cγ0)-1+m}(Cγ0Ψ)0

より,{(iμ+eAμ)γμ-m}(Cγ0Ψ)0 となります。
 

 ところで,Ψ~=Ψγ0より,γ0Ψ=Ψ~ですから,

このCγ0用いてΨc≡Cγ0Ψ=CΨ~と定義すれば,上記

方程式は,{(iμ+eAμ)γμ-m}Ψc0となり,

陽電子の波動関数をΨcとしたときに,それが満たすベキ方程式

に一致します。
 

 今,用いているDiracガンマ行列の表示では,C=iγ2γ0と選択

すれば,C=-C-1=-C=-Cであり,(γμ)-1=-γμ,

または-1γμC=-(γμ)となり,それ故, 

(Cγ0)γμ*(Cγ0)-1=γ0γμ +γ0=-γμです。
 

したがって,C=iγ2γ0,上記の(Cγ0)γμ*(Cγ0)-1

=-γμなる条件を確かに満足します。
 

任意の表示はユニタリ同値なことから,これは任意の表示の

変換でも常に(Cγ0)γμ*(Cγ0)-1=-γμを満たすCを作る

ことが可能なことを示すに十分です。
 

しかし,(i+e-m)Ψc0を満たすような

Ψc≡Cγ0Ψ=CΨ~を与える荷電共役演算子:Cの定義に

おいては,位相の任意性があることに気付きます。
 

例えば,今の行列でのC=iγ2γ0なる陽な表現では,Ψciγ2Ψ

です。そこで,静止した負エネルギー電子:

Ψ=(2π)3/2[0,0,0,1]exp(imt)であれば,

Ψciγ2Ψ(2π)3/2[1.0,0,0,1]exp(imt)

となります。
 

これは,静止したspin-downの負エネルギー電子の欠損が.

静止したspin-upの正エネルギー電子の存在に等価という描像

に対応しています。
 

この場合には,荷電共役変換後に位相変化は無いように

見えますが,一般には,

exp{iδ(,)}(,)=Cu~(,), 

exp{iδ(,)}(,)=Cv~(,) となって 

(,)とu(,)が互いに位相因子:exp{iδ(,)}

を伴なう運動量表示の荷電共役spinorの対になると

考えられます。
 

波動関数の位相には何の物理的意味も無いように見えますが,

実はこれにも重要な意味が隠されている場合があります。
 
 

(再掲載終了)  (17-2終了)※ 
 

陽子pの素朴な軸性カレントにおける荷電共役不変性: 

~()γμγ5(P')

=-u~(P')γμγ5()exp{iδ(P',)},
 

または,Aμ(-P,-P')=-JAμ(P',)exp{iδ(P',)} 

での位相因子:exp{iδ(P',)},運動量とスピンから決まる

量です。
 

一方,β崩壊のハドロンカレント因子での強い相互作用のπの

雲など の高次補正を含む軸性カレントの第3成分: 

μ3(’,)(Ga/2)u~(P') 

[γμγ51(2)+qμγ52(2)+pμγ53(2)]()

, こうした補正前の素朴なカレント:Aμ(P',)

と同じ荷電共役変換性を持つと考えられます。
 

すなわち,

μ3C(-P',-)=-μ3(P',)exp{iδP',)}  

です

これから,容易に,3(2)0 となることが結論されます。
 

(17-3): μ3C(-P',-)={Ga/√2}v~(P)

×[γμγ51(2)+qμγ52(2)-pμγ53(2)](P') 

ですが,


 
一方,μ3(P',)(Ga/2)~(P')
 

×[γμγ51(2)+qμγ52(2)+pμγ53(2)]()

です。ただし,q=P'-P,p=P'+Pです。
 

そして,荷電共役によって, 

~()γμγ5(P')

=-u~(P')γμγ5()exp{iδ(P',)}, 

かつ,

~()γ5(P')

=-u~(P')γ5()exp{iδ(’,)} 

が成立します。


    故に,μ3(P',)exp{iδ(P',)}(Ga/2)~()
 

×[γμγ51(2)+qμγ52(2)+pμγ53(2)](P') 

です。
 

これが,μ3C(-,-P')(Ga/2)~() 

×[γμγ51(2)+qμγ52(2)-pμγ53(2)](P') 

に恒等的に等しいことから,

  
3(2)0 が結論されます。(注17-2終わり)※

 

軸性ベクトル部分の図10.23()のようなグラフに由来する

β崩壊の振幅への寄与は,10.22のグラフの最低次の

不変振幅: 

 Min(Ga/2)(ig√2)[p~(p)iγ5(n)](2-μ2)-1 

 ×(iμ)[e~(e)γμ(1-γ5)(ν~)]

 に,あるq2のスカラー関数(2)を掛けたもので

 与えられる考えられます。

 ただし,ここではq=Pn-Ppです。
 

 よってβ崩壊でのπ-N頂点の寄与による摂動の全ての次数 

 の修正の総和は,上記振幅での[p~(p)iγ5(n)]の因子

 を,[p~(p)iγ5(2)(n)]なる形の相互作用因子に

 置き換えることで得られると考えられます。
 

  ここに,(2),不変運動量遷移q2の不変関数です。
 

 これは,奇数個のγ5頂点があるとき, pnDirac

 自由粒子外線の次に位置するところまで右から左に交換

 させ移動させて,核子の質量Mに置換できるという事実

 から従います。
 

  こうして,核子の雲の中に単一のπ中間子が,直接レプトン

 と結合する図10.23(b)のようなグラフの寄与は,μγ5

 比例するため,

 μ(+)(Pp,Pn)=(Ga/√2)u~(Pp) 

 ×[γμγ51(2)+qμγ52(2)](n)

 の右辺の2(2)にのみ寄与します。
 

 そこで,2(2)から図10.23()のようなグラフの寄与

 を分離して,

 F2(2)=2~(2)(-ag√2)(2)/(2-μ2) 

 と書きます。
 

定数aは,以前に荷電π中間子崩壊の論議で予測計算値が

πの観測寿命に合致するよう導入された,結合定数Gの

係数です。
 

形状因子:(2),2=μ2において,§10.8のπ-N散乱

で論じられた,π-N結合定数:gの観測される強さによって

より明確にされます。
 

gは,物理的に観測された結合定数の評価:

2/(4π)14一致するように取られる定数であり,

 

(2),2=μ21に規格化されます。

(μ2)1です。
 

2(2)については,何の情報もありません。しかし,これは, 

軸性カレントqμγ5の係数であって,反跳補正:/

に等しいのでβ崩壊では観測されません。
 

一方,これまでの論議から1(0)=-α~ -1.21であること

がわかっています。
 

こうした準備に基づいて,PCAC=軸性ベクトルカレント

の部分的保存という課題を考察します。
 

もしも軸性カレントも,(極性)ベクトルのカレントと同様に

正確に保存するなら,μμ(+)(Pp,Pn)=0 が成立します。
 

この式と,μ(+)(Pp,Pn)の形状因子構造; 

μ(+)(Pp,Pn)=(Ga/2)u~(Pp

μγ51(2)+qμγ52(2)](n)  

を組み合わせると,

21(2)+q22(2)0 が得られます。
 

(17-4):何故なら, 

μ~(p)[γμγ51(2)+qμγ52(2)](n) 

=u~(p)γ51(2)(n)+q2~(p)γ52(2)(n) 

ですが,

~(p)pγ51(2)(n)

=u~(p)(Pnp51(2)(n)

=-u~(p)pγ51(2)(n)-u~(p)γ51(2)n(n) 

=-2Mu~(p)γ51(2)(n) です。

  故に,
μμ(+)(Pp,Pn)=0 は,u~(Pp),u(Pn)

について恒等的に,~(p)γ5[21(2)

+q22(2)](n)0 が成立する,ことを意味するため,

 21(2)+q22(2)0 です。 (注17-4終わり)※
 

したがって,もしも正確に軸性カレントが保存うると仮定

すれば,2(2)=21(2)/2となるのですが,これは

1(0)≠0より,2(2)がq20に極を持つことを意味

します。

  
これはつまり,2(2)が関わる相互作用では,質量がゼロ

擬スカラー粒子の交換が寄与することを意味しています。
 

この2(2)のq20の極を,

2(2)=2~(2)(-ag√2)(2)/(2-μ2)

なる表現におけるπ中間子交換の極:2=μ2と関連

付けよう,という発想は魅力的です。
 

つまり,π中間子の質量がゼロなら,軸性カレントも正確に

保存されるはずでしたが,πのゼロでない質量μの存在で,

このカレントの保存が破られているのでは?という連想が

生じるわけです。
 

そこで,qμμ(+)(Pp,Pn)=0 の代わりに,

修正された仮説:

0=limμ→0[qμμ(+)(Pp,Pn)]limnμ→0[u~(Pp5

×{-2M1(2)+q22(2)-ag√2)(2)/(2-μ2)}

u(Pn)] を採用します。


  この構造が,現実のπ質量のμ≠0でも,q2=0においてほとんど

ずれがなく成立すると仮定すれば,


  
近似的に,
2Mα=ー21(0)~ag√2が成立すること

になります。(※(0)=μ2?。。)

  
数値的にはα~1.21,2/(4π)14より.

|a|~ 0.87μなる「予測を得ます。

(※(注17-5):私の計算では.g√2~(104π)1/2,M~940MeV.

μ~140MeVより,a=2Mα/g√21~26.137MeV=0.90μ

です。  (注17-5終わり)※

  これは,以前にπ±崩壊の論議で,π±の観測された平均寿命

から評価された|| 0.93μと10%以内の誤差で一致

します。

   
こうしたπ中間子の崩壊率,Fermi定数Gとπ-N結合定数

gの間の関係は,GoldbergerとTreimanによって初めて導出

されたものです。
 

次いでこれがPCACの帰結であると論じたのは,

南部(Nambu),Bernsteinによるものです。

 

以上,「)弱い相互作用の旧理論(Fermi理論)」については,

これで終わります。
 

実は参考テキスト(Mechanics;量子力学)もこれが最後

です。

   
私のノートではこれの読了期日は1994年4/27(44)

となっています。これは22年前バブルも終わりかけて,私は

定職を離れて本格的なプータロー生活となった頃です。

  金無し,ヒマありでしたから,過去の専門に戻るというこの

変態趣味にふける,くらいしか,自己実現の道がなかった

と当時は考えたようです。結局,今も続いてますが。。。
 

さて,同じ著者:B-Jのテキストの続きは,もう1巻,11

から始まるもの(=Field;場理論)がありますが,実は私は,

この順順序良く読んだのではなく,学生時代に両方とも

テキストして使用していた当時から,これらを同時に

並行して読んでいました。
 

弱い相互作用については,古典的なFermi理論はこれで終わり

ますが,新理論というのは,ニュートリノに質量があるという

最近の発見内容も含むのが条件でしょうが。。
 

その中間にある,Weinberg-Salam理論の紹介や,その予想通り

実際に発見された弱い相互作用のゲージ粒子(Weak-Boson),

の話題,そして,カラークォークを含む最近の旧理論なども,

できれば別記事としてアップしたいと思っています。
 

まだ,命があれば。。。。。
 

(参考文献):J.D.Bjorken & S.D.Drell 

”Relativistic QantumMechanics”(McGrawHill)

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