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2016年7月27日 (水)

クライン・ゴルドン方程式(6)

前後しますが,「弱い相互作用の旧理論」については一応

終わったので,クライン・ゴルドン方程式(Klein-Gordon eq.)

の続きに移ります。
 

ただし, 「弱い相互作用の旧理論」の最後のCVC

の記事とPCACの記事では,自分の中でまだ納得してない

不完全燃焼の部分が残っているのでPending状態ですが。。。 

 それに,急いでもないのに後回しですが。。。

 以下,本題です。
 

§9.6 高次のプロセス(Higher-order Processes) 

ここまで,主として電子に対する伝播関数の理論を模倣して

きましたが,この理論展開を,さらに続けることができて,前の

例から高次の計算法則が推測できます。
 

すなわち,電子のケースのFeynmanルールから,荷電π中間子

に対するルールへの主要な変更は,次のように書けるとが

わかります。
 

.9.6に示すように,運動量pからp'へとπ中間子を散乱

する電磁頂点では,時間的に未来,過去の両方向に対して,電子

頂点からπ頂点への変更の結果は,次のような置き換えと

なります。


 

すなわち,eγμ → e(μ+p'μ) です。
 

(ただし,eは,eγμでは電子の電荷,(μ+p'μ)では,

荷電π中間子の電荷を意味します。)
 
. 2次の相互作用項:(-e2μμ)に対応する光子2個連結

のπ頂点,2i2μνなる因子として寄与します。


 

これは,先のπのCompton散乱のS行列要素: 

pfpi(i2ε0-2)(2π)-6(16ωiωf0k'0)-1/2 

(2π)4δ4(f+k'-pi-k) 

×[{ε(2i+k)}{(i+k)2―μ2}-1{ε'(2f+k')} 

{ε'(2i-k')}{(i-k')2―μ2}-1{ε(2f-k)} 

2εε']


 において,[ ]の中の最後の項に反映されています。
 

2i2μνの因子i,この項に対する摂動展開のパラメータです。
 

このS行列要素の式はe2のオーダーの計算ですが,(μ+p'μ) 

については摂動の2次なのに,この項は摂動の1次の計算なので

現われるため出現する因子です。
 

つまり,通常の積分方程式のn回の反復近似から得られるn次の

摂動項では,因子:(i)nが出現するため,(μ+p'μ)の寄与を

nのオーダーまで計算するとき,-e2μμ項が計算にm回

出現するなら,このiは因子:(i)n-2mim(i)n-m×(1)mとして

寄与するわけです。
 

(6-1);電子のFeynman規則では,実は1頂点には,単にeγμでは 

なく(i)という因子も伴なった(ieγμ)が対応します。
 

それ故,πの頂点でもe(μ+p'μ)だけでなく,正確には 

{i(μ+p'μ)}が対応するのですが,この余分の(i)

,摂動級数の4元座標変数積分の前に掛かる(i)因子に

起因します。
 

したがって,光子がn個連結した頂点には通常はenに因子:(i)n 

が付随します。
 

しかしながら,(-e2μμ)がm個挟まってトータルでenの寄与

頂点ならルールは修正されて,n-2mに寄与する(n-2)重の 

(μ+p'μ)からの摂動級数因子:(i)n-2,m重の

(-e2μμ)からの摂動因子(i),および,(-e2)から

2mを除いた(1) を掛け合わせたiの寄与があります。
 

結果的には,(i)n-2×(i)2×(i)(i)n-2×i

(i)n-なる係数がenのオーダーの項の係数として寄与する

はずです。
 

したがって,(-e2μμ)1個当たりの虚数係数の寄与

としてはiです。 (6-1終わり)
 

2i2μνの係数因子2は,この頂点での崩壊や散乱において

生成,または消滅される量子(光子)が常に2個であるために

出現します。 (9.7参照)
 

ちなみに,ゲージ不変性のテストは,与えられたeの任意

オーダーに寄与するあらゆるグラフの総和を示す相互作用

振幅に対して適用されます。
 

前の例でも見たように,摂動級数の各eのオーダーごとに

ゲージ不変性が成立するため,これはp^A+Ap^とAA

に由来する項の相対因子が正しいかどうか?の簡単で有用

なチェックを与えます。
 

.運動量がpの内線に対応する伝播関数については,次のように 

置換します。

 i/(-m+iε)i(+m)/(2-m2iε)
→ i/(2-μ2iε)

です。
 

.外線に付与する規格化因子は電子スピノルのそれに取って

代わって次のようにします。

 (/)1/2() {1/(2ω)}1/2 です。
 

他の全ての因子:特にiと(2π)のべき乗については厳密に電子に

対するものと同一です。
 

最後に.同種粒子線を交換しただけのグラフの振幅に相対的

マイナス符号を付与するかどうか?という問題が残っています。
 

電子については,2つの同種粒子の交換を反対称とする

というPauliの原理によって,電子が交換されたグラフに

相対的なマイナス符号が導入されました。
 

一方,実験的検証の示すとところによれば,π中間子は

Bose粒子です。すなわち,それはBose-Einsteinの対称

統計を満足する粒子です。
 

特に,反応:→ π+π+πでは,2つのπ

中間子は1つの相対的S状態に放出されます。
 

さらに,Pauliによって初めて与えられた強い理論的根拠が

あります。
 

つまり,スピンと統計の間には密接な関係があって,スピン

が半奇数の粒子達はFermi統計に従がって排他原理を満たし,

整数スピンの粒子達はBose統計に従う故に,対称化される,

ということです。
 

こうした論旨は後に述べる予定の場の量子論の枠組みの

中で最もうまく論じることができます。
 

しかし,ここでは単に今記述しようとしているスピンがゼロ

の粒子はBose-Einsteinの対称統計に従う粒子であることを

意味するBose粒子であると仮定します。
 

このことはBose粒子の交換だけが異なるグラフの振幅の間

の関係は,相対的()符号ではなく()符号でなければなら

ないことを意味します。
 

したがって,もはや閉じたループ上の積分や,散乱グラフと

消滅・生成グラフとの間に,電子のケースのような(1)

因子は出現しません。
 

これらの(1)の因子は,8.1()や図8.1()の電子の過程

に対応する振幅において空孔理論の状態へのPauliの排他原理

の適用によって導入された因子でした。


 

しかし,Bose粒子に対しては,状態が全て満たされている

負エネルギー粒子の海などは無く,空孔理論とは異なる道筋

,こうした相対的符号を論じる必要があります。
 

同種のBose粒子のCoulomb散乱においては,9.8の2つの

グラフの振幅間の相対的符号はプラスです。


 

これら,2つの線のエネルギーの符号を変えることで

Bose粒子の粒子-反粒子散乱に対する振幅を得ることが

できます。
 

例えば,入れ換え;q2 ⇔ -p2 によって,9.9に示された

グラフの振幅が得られます。


 

9.9のグラフに対応する2つの振幅間の相対符号は

入れ換え;2 ⇔ ―p2が単に,散乱グラフの図9.8から図9.9

に移行する変化なら,正のままです。
 

この入れ換え;q2 ⇔ ーp2,電子のプロセスにおいて, 

1⇔p1, 1⇔p1,2⇔-q1,2⇔-q1,なる

入れ換えで,既に遭遇した法則と同じ置換法則の一つの例であり

これによって,中間子(Bose粒子)の振幅に拡張されます。
 

こうした法則は図9.10の全ての3つのグラフの振幅に対して

相対的符号プラスへと誘導します。


 

9.10()と図9.10()は頂点yの下では同等であり,それ故,

それらの間では相対的符号は()です。
 

一方,9.10()に相対的に,9.10()uvの間に付加

した散乱相互作用の導入は,符号変化は伴わないため,先述

したように,9.10()の閉ループに伴なって(1)因子が生じる

ことはないと結論されます。
 

π中間子やK中間子のようなスピンゼロBose粒子の電磁

相互作用の高次の計算については,また,くり込みの効果を

示すという課題があります。
 

これは,テキストの第8:本ブログでは

「量子電磁力学の輻射補正」シリーズ記事において電子に

対して行なったものの完全なアナロジーとして追跡すること

ができます。
 

しかし,実際にこうしたアナロジー追跡の詳細に立ち入ることは

しません。
 

このことの主な理由は,電子とは異なり中間子π,Kにはそれら

自身や核子:,nとの,電磁相互作用よりはるかに強い相互作用

があるためです。
 

したがって,計算結果の物理的観測との比較が可能となる前に,

この強い相互作用の効果をも含まれなければならないからです。
 

そこで,高次の電磁相互作用の効果の詳細よりも,これら非電磁

相互作用の論議の方が重要です。

 そして実際,この章の続きとし
て強い相互作用,弱い相互作用

のトピックに移り,これも本ブログ記事で紹介しました。
 

今日はここで終わります。
 

次回は,lein-Gordon方程式の非相対論的近似について

述べる予定です。
 

(参考文献):J.D.Bjorken & S.D.Drell 

"Relativistic QantumMechanics"(McGrawHill)

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