« 非線型自由粒子構想(1)(遺稿) | トップページ | 訃報!!チヤスラフスカさん。。 »

2016年9月 5日 (月)

場の量子論(第Ⅱ部)(1)

 

 場の量子論については,その第Ⅰ部として2012年1/5から

12/17まで,「相対論的場の量子論」(1)(37)を書きました。

 
この第Ⅰ部においては相互作用をせず単独で存在する自由場,

自由粒子の場の定式化だけを論じてきましたが,今回,第Ⅱ部

として,相互作用する多くの場が共存する,現実的な系の論議

に移ります。

 
参考テキストというより,これらブログでの関連記事自身

,その翻訳解読を試みつつ学んだ軌跡となっている形の

Bjorken & Drellの「Relativistic Quantum Fields」

ですが。。。

 
その今日のテーマの対応する部分は,同じ著者のテキスト:

「Relativistic Quantum Mechanics」の1~10章からの続き

,15章の相互作用する場 (Interacting Field)」です。
 

因みに,既述の場の量子論:第Ⅰ部で書いた部分に対応する

テキストの第11章から14章は,
 

11.一般的定式化(General Formalism)  

12.Klein-Gordon(The Klein-Gordon Field) 

13.Dirac場の第2量子化

(Second Quantization of Dirac Field) 

14 電磁場の第2量子化

(Second Quantization of Eletromagnetic Field)
 

でした。
 

ついでに,Relativistoc Quantum Mechanics(1~10),
 

1. Dirac方程式(The Dirac Equation) 

2. Dirac方程式のLorentz共変性 

(Lorentz Covariance of The Dirac Equation) 

3. 自由粒子のDirac方程式の解

(Solution to the Dirac Equation For Free Particle) 

4. Foldy-Wouheysen変換

The Foldy-Wouthuysen Transformation 

5. 空孔理論(Hole Theory) 

6. 伝播関数の理論(Propagator Theory) 

7. 応用(Application) 

8. 散乱行列の高次補正

(The Higer-order Corrections in the Scattering Matrics) 

9. Klein-Gordon 方程式(The Klein-Gordon Equation) 

10. 非電磁相互作用(Nonelectromagnetic Interactions)
 

でした。

これらについては,題名は異なり順序通りでも
ないですが,

ここまでの本ブログの科学記事のどこかに,必要に応じ全て

網羅して記述しているはずです。
 

さて,本題の第15章「相互作用する場(Interacting Field)

の内容に入ります。
 

(※ただし,以下に書く記事の内容は実は過去の再掲載です。
 

63歳誕生日直後に再々就職して研修中に,低温火傷を含む足の

故障から,やむなく辞職し,2013年3月19日に入院しました。

以後入退院を繰り返す生活となって現在に至っているため,

この項目は長く中断中でしたが,最初の入院直前の2013年の

3/8に最後にドサクサで「相対論的場の量子論第Ⅱ部(1)

アップしたモノがあったので,この記事はそれを少し修正

して再アップするものです。※)
 

§15.1 序文(Introduction)

(↑ ※この節は単にテキスト直訳の文章のみです。)

 

自由場の理論はそれだけでは何の内実をも持ちません。

物理的世界の性質は別々の場の間の相互作用を通じてのみ

明らかになるものです。
 

そこで,これからは,そうしたことの論議へと進みます。
 

相互作用の一般形を作るに際しては,まず,第2量子化の見地

から荷電粒子の電磁相互作用から論じます。
 

後で記述予定の強い相互作用,弱い相互作用など,非電磁相互作用

については,結合項,or 相互作用項(Couplig term)の構造への最大

の手がかりは,種々の保存則の実験観測に由来するものです。
 

これらは,Lagrangian,ある対称性を持つことを要求すること

によって理論に組み込まれます。
 

特に,連続対称性変換の各々に対して,第1章で述べた

Noetherの定理により,自動的に保存量の存在が導かれます。
 

§15.2 電磁相互作用(The Electromagnetic Interaction) 

これまでの論議では,自由粒子に電磁結合項を導入する処方箋

として,点電荷の古典的相互作用に対応して,極小結合,

あるいは,極小相互作用変換(minimalcoupling),という置き換え, 

総称して,極小置換(minimal substitution):μ→pμ-eAμ

を実行するという方法を採用してきました。
 

この定式化については,全く問題ないと考えられるので,以前

の慣行に倣って電子場と光子場のLagrangian密度にこの処方を

導入することによって古典論との対応を保持します。

 この処方によって,
荷電Dirac粒子場,,電磁場とそれらの相互作用

から成るトータルのLagrangian密度は,
 

()ψ~(){iγμμ-e0γμμ()-m0}ψ() 

(1/4)μν()μν() 


 となります。
 

ただし,ψ()(ψ1(),ψ2(),ψ3(),,ψ4()), 

 ψ~()ψ()γ0です。
 

このLagrangian密度は,電子場と光子場の同一時空点における

局所相互作用を記述しています。
 

そして,このLagrangian密度から,電子と光子のそれぞれの場

に関する独立な変分によって結合された電子-光子の場の

方程式が導出されます。
 

すなわち,Euler-Lagrange方程式; 

/∂ψ~α-∂μ{/(μψ~α)}0 からは, 

{iγμμ-e0γμμ-m0}αβψβ()0,  

つまり,{iγμμ-e0γμμ-m0}ψ()0

を得ます。
 

他方,/∂ψα-∂μ{/(μψα)}0 からは, 

ψ~α(){-e0γμμ-m0}αβ-∂μψ~α()(iγμ)αβ0 

が得られます。 

 

この後者の方程式は,行列方程式としては記号的に, 

ψ~(){iγμμ-e0γμμ-m0}0  

と表現されます。
 

以前の自由場のときにも記述したことですが,これらは

ψαとψ~αを独立な変分として導いた方程式ですが,

ψ~()=ψ()γ0という関係があるため,両者は同値

な方程式なので,一方だけで十分です。
 

こうして,まず,荷電粒子場:ψに対する方程式:

(iγμμ-m0)ψ()=e0γμμ()ψ() 

が得られました。
 

一方,μν≡∂νμ-∂μνなので, 

/∂Aμ-∂ν{/(μν)}0 から,

-e0ψ~γμψ-∂ννμ0 : 

つまり,∂Fμν()/∂xν=e0ψ~()γμψ()

が得られます
 

方程式:(iγμμ-m0)ψ()=e0γμμ()ψ()

Mechanicsのテキストにおいて1粒子の相対論的量子力学

を論じた際,電子,陽子の波動関数(4-spinor)が従う方程式

と同じ形をしています。
 

 しかし,そのときには電子などFermi粒子の動力学を主体に考察

するため,μ()は単に外的に規定された電磁場,つまり,

比較的大きな外場として粒子場の影響:反作用は受けない。

と想定されているものでした。
 

しかし,ここでは電磁場Aは,

∂Fμν()/∂xν=e0ψ~()γμψ()により荷電粒子

(電子)のカレント(電流):μ=e0ψ~γμψcouple

返されていて,今の考察対象の力学系に含まれています。
 

そして,逆にカレント(電流密度);μ=e0ψ~γμψは,

電磁場(光子場):μの影響下での電子場:ψに対する

運動方程式:(iγμμ-m)ψ=jμμ=e0γμμψ

を解いて求めた,ψによって構成される量です。
 

これらの連立方程式系から,場と場の相互作用を論じる際

には非常に複雑な非線型問題に直面することが明らかに

なりました。
 

これは,古典論においても輻射減衰や相互の場のなす自己場

の影響下での古典的電荷の運動に対する解を探求する場面で

出現する問題です。
 

こうした場の相互作用は,既に,Mechanicsの第7章

(※本ブログ記事では「散乱の伝播関数の理論」

シリーズの応用編の電子-電子散乱,Compton散乱,および,

電子の自己エネルギーの計算の際に暗示されています。
 

もしも輻射場に加えて,さらに外的電磁場の影響がある場合

の電子の運動を論じたいなら,単に外場:extμ()を追加

するだけでいいです。
 

このときには,場の方程式系は, 

(iγμμ-m0)ψ()=e0[γμμ()+γμextμ()]ψ() 

∂Fμν()/∂xν=e0ψ~()γμψ() 

となります。
 

相互作用する結合場に対しては,Lagrangian密度と場の方程式を 

書く際に,質量や,charge(電荷)が物理的に観測される値mやe

とは異なることを予想して,質量をm0,chargeをe0と添字 0を

付加しておきました。
 

実際,Mchanicsの第8章(※本ブログでは輻射補正シリーズ)

において摂動論による計算を行なった際,元々の質量m0と電荷

0が変化することを見ています。
 

正確に計算すれば,”くりこみ定数0-m,および,3-1

いうものなどを想定します。


 これらも素直に計算すると無限大になると
いう事態に遭遇

しますが,現段階ではそうした議論には立ち入りません。
 

くりこみ(Renormalization)という操作が必要となり,それは,

謂わゆる"くりこみ定数" (0-m)などの大きさとは無関係

に,こうした困難を克服することができる。ことを認識して

おくのみです。
 

しかし,摂動論において遭遇するこうした困難を回避して,

有限な観測可能な物理量から発散,はっきり分離する

には細心の注意が必要です。
 

実際,1948年以来の偉大な進展は,量子電磁力学(QED)が発散

との共存の地位を確立し,実験で観測される有限な物理的振幅

については,求めたいなら如何なるオーダーまででも正確に

計算することが可能となり,精度の限界は単に労力だけである。

ということになっています。
 

(※基本的理論とかメカニズム,理由,原因は未知でも,

どのようにすれば実験値を正確に計算で再現導出きるか?

という「対症療法的な方法」は確立されたということです。

 ただし,そこで満足するかどうか?は,また別の
ことです。※)
 

さて,定式化を古典論の領域から量子論の領域へと拡張する

ために,まず,古典場を量子化された場の演算子として,

同時刻交換関係を書き下すことができるよう.

場の(正準)共役運動量を求めます。
 

系全体のLagrangian密度: 

()ψ~^(){iγμμ-e0γμμ^()-m0}ψ^() 

(1/4)μν^()μν^()において,


 
古典論との対応に示唆されて導入
された相互作用項:

iny()=-e0ψ~^()γμμ^()ψ^()は,

場の時間導関数を含みません。
 

そこで,場の共役運動量は自由場のときの表現と同じです。
 

光子の場:μ^については,自由場で採用したゲージは

輻射ゲージでした。
 

それはCoulombゲージ:^0,および,0^()0とする

ものでした。
 

相互作用があっても,このCoulombゲージに留まるならμ^

の共役運動量πemμ,

前と同じく,πem0^≡∂/(00^)0,および, 

πemk^≡∂/(0k^)}=F0k^=∂k0^-∂0k^ 

=-∂k0^-∂0k^=Ek^ or πem^^=-^d-∇A0 

す。(※「相対論的場の量子論(31)」を参照)
 

また,Dirac:ψ^(ψ1^,ψ2^,ψ3^,ψ4^)の共役運動量

πD^,πD^(πD1^,πD2^,πD3^,πD4^)=∂/(0ψ^) 

iψ^(iψ1^,ψ2^,ψ3^,ψ4^) で与えられます。 

(※相対論的場の量子論(26)」参照)
 

ただし,相互作用がある場合,スカラー・ポテンシャル:

Φ^0^もはやゼロでは有り得ません。
 

何故なら,∂Fμν^/∂xν=e0ψ~^γμψ^から, 

∂F0k^/∂xk=e0ψ^ψ^ですが,これは,

^()=ρ()を意味します。
 

ここで,ρ()=ρ^(,)≡e0ψ^(,)ψ^(,) 

とおきました。
 

一方,^=-∂^/∂t-∇Φ^より, 

^=∂(^)/∂t-∇2Φ^=-∇2Φ^です。
 

したがって,^0,より∇^()=ρ(), 

2Φ^(,)=-e0ψ^(,)ψ^(,)0 

Φ^に対するPoisson方程式になります。
 

無限遠でぜロと消える境界条件に従う,これの解として, 

0^(,)=Φ^(,)

{0/(4π)}∫d3{ρ(,)/||} 

{0/(4π)}∫d3{ψ^(,)ψ^(,)/||}

が得られます。
 

こうして,一見,静電Coulomb型ポテンシャルと見えるゼロ

でない0^(,)の存在があるからです。
 

(※↑この表現式は一見,静電Coulomb型に見えて実は非現実的

です。というのは電荷密度:

ρ^(,)≡e0ψ^(,)ψ^^(,)は時刻tの関数で

あり,電荷密度の瞬時の変化が即座に(無限大の速度で)左辺

反映する形になっているからです。
 

これは,謂わゆる量子論特有の非局所性に関わることで,

物理的に解釈すると相対論的因果律に反しています。
 

しかし,現実の電磁場の観測量はであって

電磁ポテンシャル:μ(Φ,)は量子論では本質的なモノ

ですが物理的に検知可能な"実在"でなないということです。

(※↑ブログ過去記事:「非局所性相対論的因果律」参照)
 

いずれにしろ,荷電粒子場があれば,このゲージで

スカラー・ポテンシャル:0^(,)は恒等的にゼロでは

ないですが,依然として独立な力学変数ではなく

ψ^(,)に依存して決まるモノです。
 

 輻射ゲージの自由場と同じ交換関係,反交換関係を与えます。
 

{ψα^(,),ψβ^(,)}=δαβδ3(), 

{ψα^(,),ψβ^(,)}=0,

{ψα^(,),ψβ^(,)}0, 

[i^d(,),j^(,)]=-iδtrij()

(ij-1,2,3)

[i^(,),j^(,)]

[i^d(,),j^d(,)] 0
 

ただし,δtrij()≡∫d3 exp(ikx){δij(ij)/2}

(ij-1,2,3) です。
 

このセットを完全にするために,Dirac場とMaxwell場の間の

同時刻交換関係がゼロとなって消えるという条件を課します。
 

すなわち,[ψα^(,),j^(,)]0,かつ,

[ψα^(,),j^d(,)] 0  です。
 

これは.ψα^とAj^が独立な正準変数であるということを

示すために導入しました。
 

しかしながら,前述したように,スカラー・ポテンシャル:

Φ^=A0^はψα^と独立ではなく,

0^(,)=Φ^(,)  

{0/(4π)}∫d3{ψ^(,)ψ^(,)/||} 

と表現されます。
 

それ故,これは次の交換関係を満たします。 

[Φ^(,),j^(,)]=0,

[Φ^(,),j^d(,)] 0  

[Φ^(,),ψα^(,)]

=-{0/(4π)}ψα^(,)/|| です。

※(1-1): Φ^(,) 

{0/(4π)}∫d3{ψ^(,)ψ^(,)/||}

によって, [Φ^(,),ψα^(,)]{0/(4π)}∫d3 

Σβ[ψβ^(,)ψβ^(,),ψα^(,)]//||

ですが,
 

[ψβ^(,)ψβ^(,),ψα^(,)] 

=ψβ^(,){ψβ^(,),ψα^(,)} 

{ψβ^(,),ψα^(,)}ψβ^(,) 

=-δβαδ3()

となるからです。

(1-1終わり)※
 

今日はここまでにします。

(※ほとんど再掲載ですが,アップして3年以上経過していて

ブランク大きいのでね。まあ,私自身は病気というか記憶の

バケモノなので,別に大したブランクはないですがイキナリ

3年前の続きから始めるのは,チョット違和感が。。。 ※)

(
参考文献):J.D Bjorken S.D Drell 

"Relativistic Quantum Fiels" (MacGrawHill)

|

« 非線型自由粒子構想(1)(遺稿) | トップページ | 訃報!!チヤスラフスカさん。。 »

114 . 場理論・QED」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 場の量子論(第Ⅱ部)(1):

« 非線型自由粒子構想(1)(遺稿) | トップページ | 訃報!!チヤスラフスカさん。。 »