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2017年1月18日 (水)

赤外発散の論文(1961)の詳解(4)

赤外発散論文詳解の続きです。
 

§2.電子散乱への輻射補正の()実光子輻射補正 

(Real photon-radiative corrections)

からです。
 

さて,完全な散乱行列要素:M=M(,')

(2.3):M=exp(αB)Σn=0nを満たすことを示しましたが,

これは,この過程の断面積がexp(2αB)に比例することを意味

します。

 
そこで,全エネルギーεを持つ検知されないn個の実光子の

放出に関わる微分断面積は,実光子について対称化すると次の

形になります。

すなわち, 

dσn/dε=exp(2αB)(1/!)∫Πm=1n3m(m2+λ2)-1/2

δ(ε-Σi=1ni)ρ~n(,':1,..,n)..(2.13)  

(※ただし,ki|i|) です。
 

仮想光子の処理でのρnに類似した役割を果たす量:ρ~n,, 

M=exp(αB)Σr=0rにおける因子Σr=0rの絶対値の

2乗,で与えられます。

 
つまり, ρ~n(,';1,..,n)|Σr=0r|2 です。
 

(訳注4-1):σn(ε),このn実光子が放出さっる過程での

全実光子のエネルギーが,0 ~εの範囲にある断面積(確率)

を表わし,dσn/dεは,この確率:dσn=σn(ε+dε)-σn(ε)

(dσn/dε)dεを与えるという意味の確率密度(微分断面積)

です。(訳注4-1終わり※)
 

ρ~,E'=E-εに一致する必要のない任意のE'=E-Σk

に対して定義されています。

しかし,δ関数:δ(ε-Σi=1ni)を通してE'=E-εのときに

のみ寄与することが保証されます。
 

あらゆる可能な非検知光子にわたる総和は,完全な微分断面積

を与えます。dσn/dε=limλ→0Σn=0(dσn/dε)..(2.14)

です。

  
赤外項は,前にρnに対して用いたのと同じ方法:

  つまり,
(2.5) ρn(1,..,n)

=S(n)ρn-1(1,..,n-1)+βn(1)( 1,..,n-1;kn)

 から,(2.9) ρn(1,..,n)

 =ΣpermΣr=0n[1/{!(n―r)!}]Πi=1(i)β-r(r+1,..n) 

 に到ったのと同じ方法によって~nから因子化されます。

  
何故なら,ρ~nは実光子について対称であり,重複赤外発散

は実光子,仮想光子の両方に対して,それぞれ同じように相殺

されるからです。

  
重複発散が相殺されて無くなると,赤外項に寄与するため
 

 には荷電粒子外線上で光子は独立につながらなければ 

 なりません。

   これは下の図3のうち,().()で表わされるグラフ
 

 の寄与です。
 

(図3:↑) 図1の基本グラフに1つの追加光子が挿入される

 可能な方法の表現

  

そこで,(2.8) ρn(1,..,n)=S(1)..(n)β0 

+Σi=1n(1)..(i-1)(i+1)β1(i) 

..+Σi=1n(i)βn-1( 1,..,i-1,i+1,..n) 

+βn( 1,..,n) に類似した次の関係式

が得られます。
 

ρ~n(1,..,n)=S~(1)..~(n)β~0 

+Σi=1n~(1)..~(i-1)~(i+1)β~1(i) 

..+Σi=1n~(i)β~n-1( 1,..,i-1,i+1,..n) 

+β~n(1,..,n)..(2.15) です。

  
前の仮想光子の考察でのS(i),および,βjと同じく,
  
~(i)は図3の().()に対応して,赤外寄与を
  全て
含み,他方,β~jは赤外発散の寄与を含みません。

  ※
(訳注4-2):ただし,ρ,(i),βjは行列要素の因子でしたが,

ρ~,~(i),β~は行列要素の絶対値の2乗に比例する

断面積の因子であることに注意!! (注4-2終わり※)

   
そうして,~(i),=E-εで評価されなければ

なりません。

一方,断面積:β~j(..m,..)は.エネルギー殻:=E-Σk

nの上で定義されています。

 
 すなわち,β~0,=Eでのみ定義され,β~1(1)

E'=E-kiで定義されているわけです。

   
もちろん,(2.13):dσn/dε=exp(2αB)(1/!) 

×∫Πr=1n3r(r2+λ2)-1/2δ(ε-Σi=1ni) 

ρ~n(,1,..,n)

における因子:δ(ε-Σi=1ni)のため,


  
(2.15)から得られる(2.9)に類似した表現式: 

ρ~n(1,..,n)=ΣpermΣr=0n[1/{!(n―r)!}] 

×Πi=1~(i)β~-r(r+1,..n) の因子: 

Πi~(i)β~jn-i(..m,..),

ε=Σki+Σkmのときにのみ,(2.13)の断面積dσn/dε

に寄与します。

   
そこで,(2.13)式に, 

δ(ε-Σi1ni)

{1/(2π)}-dy exp{i(ε-Σi1ni)}..(2.16) 

なる表現式を代入し,

さらに(2.14):dσn/dε=limλ→0Σn=0(dσn/dε) 

に代入すると次式が得られます。

 
dσ/dε=limλ→0Σn=0{1/(2π)}-dy exp(2αB) 

exp{i(ε-Σi1ni)}

Σn=0(1/!)∫Πm=1n3m(m2+λ2)-1/2 

ΣpermΣr=0n[1/{!(n―r)!}]Πi=1~(i)β~-r(r+1,..n) 

です。

  
これから,さらに,光子運動量kiの交換対称性を利用し, 

そして,~()をS~(,’;)と表現し直して, 

dσ/dε=limλ→0Σn=0{1/(2π)}

-dy exp(2αB)exp(iyε)Σr=0(1/!){

∫d3~(,’;)exp(iyk)/(2+λ2)1/2}r 

×[β~0+Σm=1(1/!)∫Πm=1n3m exp(iykm)

β~m(1,..n))/m )/m]

dσ/dε=limλ→0 exp(2αB){1/(2π)}-dyexp(iyε) 

 ×exp[k≦ε3~(,’;)exp(iyk)/(2+λ2)1/2] 

×[β~0+Σm=1(1/!)∫Πm=1n3m exp(iykm)

β~m(1,..n)/m] ..(2.17) を得ます。
 

(2.17),恐らく見掛けほど複雑ではありません。
 

右辺の第1番目の指数関数:exp(2αB),仮想赤外光子に

わたる総和の寄与を表現しており,第3番目のS~を含む

指数関数:exp[ ],実赤外光子にわたる同様な総和を

表わしています。

   
そして最後のnにわたる総和については,添字nが陽に

非赤外実光子の個数を指し,β~は同様な非赤外仮想光子

にわたる総和を陰に含む因子です。

(2.17)の右辺の第3番目の指数関数:exp[ ][ ]の中には

実赤外光子のΣi1ni)=εなるエネルギー等式を保証する

ために因子exp(iyk)によって,他の実光子と力学的に関連

しています。

   ここで,
赤外光子を力学的に独立させるために,次のように書く

ことにします。

  すなわち,
k≦ε3~ exp(iyk)/(2+λ2)1/2

2αB~+D..(2.18)です。

  
ここに,2αB~2αB~(,'ε))

=∫k≦ε3~/(2+λ2)1/2..(2.19)
  
D=D(,p'(ε),)

=∫k≦ε3~{exp(iyk)-1}/..(2.20)です。


  
:2αB~,yには依存しないので,exp(2αB~)-y積分:

dyの外に因子として出せます。

  
一方,Dの方はyに依存しますが,kによる積分∫d3

被積分関数:~{exp(iyk)-1}/kはk→0の極限で

良い挙動をします。


  
この定義では,exp(2αB~)は条件Σk=εを破りますが,

exp(),この条件を保持すると考えられるのでエネルギー

保存は維持されます。

  
(2.18),再掲載の(2.17):

dσ/dε=limλ→0 exp(2αB){1/(2π)}-dyexp(iyε) 

 ×exp[k≦].ε3~(,’;)exp(iyk)/(2+λ2)1/2] 

×[β~0+Σm=1(1/!)∫Πm=1n3m exp(iykm)

β~m(1,..n)/m]  に代入すると.

  
dσ/dε=limλ→0 exp(2αB) 

{1/(2π)}-dyexp(iyε+2αB~+D) 

 ×[β~0+Σm=1(1/!)∫Πm=1n3m exp(iykm)

 β~m(1,..n)/m]  です。

 
ここで,dσ/dεの赤外部分:dσ^/dεを次式で定義

します。

 
dσ^/dε={1/(2π)}-dyexp(iyε+D) 

 ×[β~0+Σm=1(1/!)∫Πm=1n3m exp(iykm)

β~m(1,..n)/m]..(2.21) です。

  
すると,(2.17)は,

 dσ/dε=exp[2α(B+B~)](dσ^/dε)..(2.22) 

 と書けます。

  非赤外因子:
(dσ^/dε),軟光子の極限(k→ 0 )には

 無関係な因子です。それ故,λ=0としても,これはk→ 0

有限です。
 

一方,BとB~は,最低次の輻射補正計算による既知の赤外

寄与を表わしています。

 こうして,あらゆる次数までの赤外項の相殺は,既に種々

の文献でよく知られた最低次での相殺(文献5~13)により

保証される。ことになります。

   
そこで,またあらゆる次数までの最小光子運動量を巻き込む

扱いが,光子質量λを持つという計算と同等であることも,

よく知られた最低次でのその同等性から従うことに

なります。
 

 (訳注4-3):結局,軟光子の極限(k→ 0 ),仮想光子の寄与

:Bも実光子の寄与:~も共に∞に発散して,

|B|→∞,かつ|B~|→ ∞となりますが, 

これらが相殺してB+B~は有限値となり,

その結果:断面積:dσ/dε=exp[2α(B+B~)](dσ^/dε)

.は有限になる。。というのが赤外発散特有の論点です。

 

短かいですが切りがいいので今日はこれで終わります。

 

,次回は具体的な散乱例についてB+B~が有限になること

を示すため,

(c)赤外因子の詳細(Details of Infrared factors)

から始める予定です。

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