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2017年5月 9日 (火)

赤外発散の論文(1961)の詳解(8)

   赤外発散論文詳解の続きです。
 

()非赤外実光子項の詳細 

(Detailed non-infrares real photon terms)

の続きです。

 
散乱の微分断面積を与える(2.22): 

dσ/dε=exp{lim k02α(B+B~)}(dσ^/dε) 

におけるBとB~の赤外項について論じてきました。
 

(dσ^/dε),散乱の微分断面積の,非赤外部分で 

(2.21):dσ^/dε={1/(2π)}-dyexp(iyε+D) 

 ×[β~0+Σm=1(1/!)∫Πm=1n3m exp(iykm)

 βn~(1,..n)/m] です。
 

これらの式において,前回は,実光子数:n0のdσ0^/dε 

の項を論じましたが,

ここからは,n=1の項:dσ1^/dεの記述に向かいます。

これは,dσ1^/dε=∫1<ε31{β1~(1)/1} 

{1/(2π)}-dyexp(i(ε-k1)+D) ..(2.51) 

です。

  β1~は実光子放出からの項を含む断面積因子です。

  
(2.15):ρ~n(1,..,n)=~(1)..~(n)β~0
   
+Σi=1n~(1)..~(i-1)~(i+1)β~1(i) 

+Σi=1n~(i)β~n-1( 1,..,i-1,i+1,..n)
  +
β~n(1,..,n),


   
よび,
  
~(i)は,図3の().()に対応して,
赤外寄与を

 全て含み,β~jは赤外発散の寄与を含みません。


 

(※ ただし,ρ,(i),βjは行列要素の因子

でしたが,ρ~,~(i),β~は行列要素の絶対値の

2乗に比例する断面積の因子であることに注意!! ※)

と書きましたが,その後で述べたように,β1~(1)

ではE'は,(E-ε)よりも.むしろ,(E-k1)に等しく

設定されます。
 

このとき,次のような量:1を定義すると便利です。 

すなわち,1(1) =k1∫dΩβ1~(1)..(2.52)です。
 

この因子:1(1),10で有限です。
 

さて,再掲載(2.51):

dσ1^/dε=∫1<ε31{β1~(1)/1} 

{1/(2π}-dyexp(i(ε-k1)+D)
 

における,yにわたる積分は,(2.46)から(2.50)まで

と同じ手順で取り扱うことができます。ただし,(2.48)

の後で記述した適切な変数置換を除く手順です。

  今回は.r=-iyεの代わりに,
r=-i(ε―k1)

と置きます。

  
すると,(2.42)(αA,ε)

{1/(2π)}-dy[exp(iyε+D)]. 

の代わりに次式を得ます。
 

{1/(2π)}-dyexp{i(ε-k1)+D} 

{ε/(ε-k1)}αA(αA,ε)..(2.53) 

です。

 (8-1):以下.上式の証明です。 

(証明)(2.53)の左辺の積分においても, 

まず,(2.42)の計算と同じく, 

(2.43):D=αA∫0εdk[{exp(iyk)1}/.] 

で与えられるDを,

(2.46):^=D+αA∫εdk{exp(iyk)/} 

に置き換えて計算します。

双方とも,DをD^に置換しても同じです。
 

そして, (2.48:^=αA{-C-ln(εy)iπ/2}です。
 

{1/(2π)}-dyexp{i(ε-k1)+D^} 

{1/(2π)}exp{-αA(C+iπ/2)} 

×∫-dy[exp{i(ε-k1)}/(εy)αA]です。
 

r=-i(ε―k1)と置くと.(ε―k1)y=irで, 

(i)αA{(ε-k1)}αA(εy)αA{(ε-k1)/ε)αA 

であり,dy=idr/(ε―k1)ですから, 

-dy[exp{i(ε-k1)}/(εy)αA] 

(i)αA{ε/(ε-k1)/ε}(1^αA) 

i-idr{exp(-r)/αA}
 

したがって,

{1/(2π)}-dyexp{i(ε-k1)+D^} 

{1/(2πε)}{1/(i) (1-αA)}exp{-αA(C+iπ/21)} 

{ε/(ε-k1)}(1-αA)i-idr{exp(-r)/αA} 

です。
 

一方,(2.49)式は. 

I={1/(2πε)}{1/(i)(1-αA)}exp {-αA(C+iπ/2)} 

×∫i-idr{exp(-r)/αA}.ですが.これを改めて, 

(αA,ε)と記述することにすれば, 

{1/(2π)}-dyexp{i(ε-k1)+D^} 

{ε/(ε-k1)}(1-αA) (αA,ε) です。 (証明終わり)

(8-1終わり※)

 
それ故,(2.51).D → D^とした式,dσ1^/dε
 
=∫1<ε31{β1~(1)/1}

×{1/(2π)}-dyexp(i(ε-k1)+D^),

,(2..52)式]G1(1) =k1∫dΩβ1~(1),


 
および,
 (2.44):(αA,ε)(αA/ε)[αA]

によって,

  
dσ1^/dε
(αA/ε)[αA]

 0εdk11(1){ε/(ε-k1)}(1-αA)(2.54)

が得られます。

  
そして,上の積分が収束することを保証する条件:

(αA)0 を示すことができます。

  
(2.53):{1/(2π)}-dyexp{i(ε-k1)+D}

{ε/(ε-k1)}αA(αA,ε) により,
 
(2.54)における電子のエネルギー損失:εは.

エネルギー:(ε―k1),"(dk/)光子"の一束と,

1(1)因子に寄与するエネルギーがk1の"dk光子"

の一束に,分けられているように見えます。

 
“(dk/)光子"による因子は.(ε-k1)(αA-1)ですが, 

このため,これを因子に持つ被積分関数は,1がεに 

近づくとき,強く減衰します。

  
このことから,1(1),1(ε)のまわりに,

展開する近似が有効ではないか?と誘導されます。

これを実行した結果,(2.54): dσ1^/dε 

(αA/ε)[αA]0εdk11(1){ε/(ε-k1)}(1-αA) 

 が,次の近似式: 

 dσ1^/dε=F[αA] 

×[1(ε)(αAε)/(αA+1)(dG1/dε)1=ε..] 

.(2.55)になります。
 

(8-2):以下,上式の証明です。 

(証明) 1Taylor展開を行うと, 

1(1)=G1(ε)(1-ε)(dG1/dε)1=ε 

(1/2)(1-ε)2(21/dε2)1=ε…,

です。


 
そして,0εdk1{ε/(ε-k1)}(1-αA)

[-ε(1-αA)(ε-k1)αA/(αA)] 0ε 

=ε/(αA)であり,0εdk1[{ε/(ε-k1)}(1-αA)(1-ε)] 

[-ε(1-αA)(ε-k1)(αA+1)/(αA+1) ]0ε

=ε2/(αA+1) です。
 

これから(2.55)が従います。 (証明終わり) 

(8-2終わり※)
 

(2.55)を再掲載すると,dσ1^/dε=F[αA] 

×[1(ε)(αAε)/(αA+1)(dG1/dε)1=ε..] 

ですが,
 

1,1(1) =k1∫dΩβ1~(1)なので,

1(ε)自身,既にαの1次のオーダーです。
 

(※ G1はαの1次の因子を含み、実際上のケースでは,

また,F~1です。何故なら,β1~(1)は実光子1個の

放出に関わる因子であり,赤外光子の寄与:αB~

分離した残りの非赤外光子項を意味する,と定義されて

いる量なので,αB~と同じくαの1次の項です。※)
 

(2.55),残りのG1因子の微分展開項は,1内の

単一の"dk光子"に加えて赤外光子の効果をも

含みます。
 

この§2の残りでは,ε≦(/2)のケースに限定します。
 

この場合,上記の微分項は,(αε2/)のオーダーなので 

無視できます。

 他方,ε>(/2)のケースは§3()で論じる
異なる扱い

を要求します。
 

(8-3):何故εを(/2)で分けるなのか?は. 

正直よくわかりません。
 

電子のCoulomb場での制動輻射(Bremsstrahlung)では, 

電子の散乱立体角をΩfとして,摂動の2次の微分断面積 

.dσ/dΩf(dσ/dΩf)elastic

×(2α/π)π(max/min)
 

×(4/3)β2sin2(θ/2)+O[β2] (非相対論的:.) 

または,×ln(q2/2)1+O[2/2] (超相対論的:.)

で与えられます。

ただし,2(f-pi)2~ -42sin2(θ/2)であり. 

(dσ/dΩf)elastic,単純なCouloomb散乱の断面積で 

これは,(2α2){1-β2sin2(θ/2)}/{42β2sin4(θ/2)}

です。
 

この過程のdσ/dΩf,dΩf 2πd(cosθ)で積分 

すると,∫dk/kによる因子:ln(max/min)を除去しても 

明らかに,α2以上のオーダーであり 

 dG1(ε)/dk1

 ∫dΩβ1~(1)+ε∫cΩ(dβ1~/dk1), 

 で,この右辺の第2項はεの高次なので効かず

.1,2,明らかにα2/Eのオーダーです。

 (p2β 2 ~E2より)  (8-3終わり※)
 

 dσm^/dε(m>1)のような,より高次の項も

 同様にして解析できます。
 

 後に§3()で示されることですが,こうした項は

 次のような オーダーです。

 すなわち,dσm^/dε ~ αm-1(ε/) m-1(dσ1^/dε)

 (2.56)です。

 
しかし,dσm^/dεにおける他の因子についての知識

ないので,Σm(dσm^/dε)の収束性を確かめること

できません。

m=1より高次はαごとに減じ,高次の計算はひどく

困難です。そこで摂動論の通常の意図として,収束性に

関する我々の完全な無知にも関わらず,m>1の項は

ここでは無視します。


 そうすれば,(2.22),(2.41),(2.44),(2.55)は赤外因子

を含む微分断面積を与えてくれます。
 

そして,ε<(/2)に対して断面積は簡単化されて

次のようになります。 

dσ/dε=F[αA]exp{2α(B+B~)}

{(αA/ε)β0~+G1(ε)}.(2.57) です。
 

{ }の中の量は,(dk/)の寄与と,残りのG1に分離された

制動輻射に対する通常の表現です。

こうして,エネルギー損失:ε≦(/2)の電子散乱に対する

微分だ面積,本質的にエネルギーεの1光子を放出する

断面積に,多重軟光子の寄与を示す指数関数因子を掛けた

ものになります。

 ()エネルギー分解能:ΔEの電子散乱 

(Electron Scattering with Energy Resolution ΔE)
 

エネルギー:E'=E-εのポテンシャル散乱電子

の検出は,常にいくつかの実験誤差を伴うに違い

ありません。

  1つの重要なケースでは,0≦ε≦ΔEで,ΔEが

検出器のエネルギー分解能であるような散乱です。
 

この場合の散乱断面積は,

σ=∫0ΔE(dσ/dε)dε..(2.58) です。
 

これは,ΔE≦(/2),高エネルギー散乱に対する陽な形

を与えてくれます。
 

(2.57);dσ/dε=F[αA]exp{2α(B+B~)}

{(αA/ε)β0~+G1(ε)} 

,(2.31); 2αA(B+B~)=-(αA/2)ln(EE'/ε2) 

{α/(2π)}ln(2pp'/2)によって,
 

σ=∫0ΔEdε[[αA] 

×exp[(αA/2)ln(EE'/ε2){α/(2π)}ln(2pp'/2)] 

×{(αA/ε)β0~+G1(ε)}..(2.59)

を得ます。
 

この式の指数関数とAはE'=E-ε,によってεに依存します。 

また,前に指摘したように,p'は,β0~の中ではεの関数では 

ありません。
 

,我々は,ε依存性が陽に示される3つの場所を除き,(2.59) 

の被積分関数において,あらゆるE'をEに置き換えます。
 

こうすることで導入される誤差はαε/Eのオーダーです。
 

こうした後に,この積分を実行すると次式が得られます。 

σ=∫0ΔEdε[[αA]exp[{α/(2π)}ln(2pp'/2)]] 

×{(αA/ε)β0~exp[-αAln(/ΔE) 

+∫0ΔEdεG1(ε) exp[-αAln(/ε)}..(2.60)
 

この(2.60)の右辺の{ }の中の第1項は,弾性散乱の断面積

;β0~(※§2()で論じた有限な輻射補正を含む),軟光子

を表現する因子との積です。そして,ΔE≦(/2)なら

右辺の{ }の中の第2項のG1項は第1項より,因子:

~α(ΔE/)ln(/)だけ小さいことがわかります。
 

いくつかの型の項がG1(ε)に含まれています。 

()磁気モーメント相互作用)(※(2.37)の後の議論を参照), 

これは光子が外線から放出されるときです。

()内線の光子の放出, 

()内線中のkの寄与 

です。
 

磁気モーメントの寄与()は制動輻射の微分断面積中

のk/Eに比較できるオーダーの項ですから,弾性散乱

のβ0~項と比較して~α(ΔE/)ln(/)です。

これらの見積もりはe+e→e+eのようなプロセスによって 

評価し直す必要があります。そこでは1つのe粒子は実験室中

で静止していて,E=mです。
 

()()の結合効果は本論文の付録から粗く見積もること

ができて.多くても寄与はα(ΔE/)ln(/)に比較できる

オーダーです。
 

散乱がほとんど弾性散乱に近いケースには,1(ε)をG1(0)

に置き換えることができます。それ故評価は容易です。

(※文献(16)参照)
 

反跳ポテンシャルからの"dk/k光子”の放出は,前の扱い

.更なる補正を与えますが,反跳効果は,大抵の場合無視

できます。(※文献(17)参照)
 

それは,電子とポテンシャル源の間の大きな質量差のためです。 

しかしながら,高エネルギーの電子-陽子散乱などでは反跳は

重要になります。こうした反跳効果は§3()で論じる予定

です。
 

電子のポテンシャル散乱の議論を閉じるに当たって,(2.60)

の総断面積σへ寄与する種々の項の数値的評価が役に立つ

でしょう。
 

E ~ 100 MeV,ΔE ~ 5 MeV,そしてpp'~ EE'なら,

F[αA]は0.99,結合指数関数は0.73,(2.40)へのβ~への

有限仮想光子補正は,およそ,7%だけの増加です。
 

そして,1は無視できます。

 指数関数減衰効果;0.73は展開
の中のα2項の寄与:(~ +0.03)

を含むことに注意してください。

我々は,軟光子の指数関数にHY含まれない他のα2寄与

,因子:(ΔE/)2だけ小さいと信じています。
 

以上でやっと論文の§2が終わりました。途中で付録A

にも脱線しましたが。。
 

ノートの終了日付は20034/4()となっています。
 

これで,本文の全55ページ中の23ページの翻訳と解説

終わりました。(Pending中の箇所が残っていること

忘れてはいませんが。。)

さらに,付録と参考文献の19ページがあり,付録はまだ

一部の紹介が終わっただけです。

しかし、いつまで経っても完遂する予定です。
 

実は,一昨日から何故かぼやけていた視界がはっきりしてきて,

自己の過去ノ-トを読むことができたので,原稿がはかどった

のですが,毎日一時的なもので,時間が経過すると,また瞳孔

を開く眼薬を打った時のように,相変わらず視界がぼやけます。

(※どうも貧血が進んでいることが見えなくなる原因らしいです。

その上に低血糖があるときは,さらに網膜の酸欠で見えなくなる

ようです。しかし,ということは網膜の視神経が完全に犯されて

いるわけではないと思うので,視力を回復できるかもしれません。)
 

今日はここまでです。まだまだ続ける予定です。

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