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2017年5月16日 (火)

摂動論のアノマリー(2)

摂動論のアノマリーの続きです。
 

前に述べたように,ここからは,20年後の1995(45) 

追加ノートからです。 

(※しかし,開始頁の日付が199511()なので.実は 

まだ44歳でした。)
 

さて,前回記事では,次のように書いて終わりました。
 

「伝播関数と頂点部分を定義して図式化した理由は,あらゆるQED 

の紫外発散がこうした量の中に,存在しているからです。」
 

ここからが今回の,続き原稿です。
 

このことを見るため,1つのグラフの表面的な発散の次数が, 

D=4k-2b―f...(10) で与えられることに着目します。
 

ここに, 

b=光子の内線の個数, 

f=電子の内線の個数, 

k=内線運動量積分の個数  

です。
 

(2-1):光子内線1個ごとに,-2(2)次因子:

電子内線1個ごとに,(-m0)-1(1)次因子です。

また,ループ1個ごとに∫d4,,これは4次因子すが,

元運動量の保存から,qもpもループ積分変数lの

1次項を含むので,被積分関数としては,qの1次が

(2),pの1次が(1)次で,積分すると,+4次が

相殺されます。
 

よって,積分変数lの数がkなら,積分変数全体での

次数は,D=4k-2b―f です。(2-1終わり※)
 

さらに, 

n=頂点の個数, 

B=Boson外線の個数, 

F=Fermion外線の個数 ..(10.) 

とします。
 

すると,位相幾何学的関係から, 

F+2f=2,B+2b=n..(10.)

です。
 

(2-2):QEDではfermionの内線,外線の終点は,必ず,光子頂点 

であり,FermionやBosonの外線には終点しかありませんが,内線 

には,グラフの中に終点と同じ数の始点があります。
 

そこで,まず頂点の光子線(Boson)を無視すると,n個の頂点には, 

2n本の線がつながっいていて,その延べ2n個の他方の端点は, 

(F+f)個の終点,および,f個の始点のどれかに一致します。 

故に,F+2f=2nです。
 

一方, Fermion(電子線)を無視すると,n個の頂点には,

n本の光子線(Boson)がつながっいていて,もう1方の端点

(B+b)の終点,および,b個の 始点のどれかに一致

します。それ故,B+2b=nです。 

 (2-2終わり※)

 

これらの関係を用いれば, 

Dを上述の外線の個数で書き換えることができます。
 

D=43/2-B..11)です。
 

(2-3):QEDでは,ループの個数は,k=f+b-n+1

です。つまり,光子線とか電子線の区別なく,外線のついて

いない閉じた図形では,ループの個数は線の個数から頂点

の個数を引いて1加えたものに等しいです。

 この
関係,物理学はなく,図形の位相幾何学的な関係

であり,幾何学としては自明のことです。
 

そして,D=4k-2b―fに,k=f+b-n+1を代入

してkを消去すると,D=4k-2b―f=3f+2b-4n+4

です。
 

これに,f=n-F/2,2b=n-B を代入すると, 

D=43/2-Bが得られます。 (2-3終わり※)
 

そして,個々のFeynmanグラフの収束条件は,グラフ自身.および, 

そのグラフ内に含まれる,あらゆる部分グラフに対して,それぞれ 

の発散次数:Dを求めたとき,全てについてD<0となることです。
 

(11)から発散の危険性のあるD≧0のグラフは,
 

()電子のproperな自己エネルギー部分:Σ()(D=1), 

(),properな頂点:Γμ(,’)(D=0), 

()光子のproperな自己エネルギー部分:Π()(D=2), 

() 3つの光子のpoperな頂点(D=1):
 

そして,()properな光子光子散乱振幅(D=0)です。

 

このうち,()3つの光子頂点グラフは消えます。 

これは,光子の奇数頂点は荷電共役変換の下で奇(odd)である

からです。(Furryの定理

(2-4): 荷電共役(Charge cojugation)^に対する光子Aμ 

の変換性は,^μ()^-1=―Aμ()ですから,
 

0|r[μ()ν()λ()]|0 

=<0|r[^μ()ν()λ()^-1]|0 

=-<0|r[μ()ν()λ()]|0>=0 です。
 

(2-4終わり※)
 

また,光子のproperな自己エネルギ-については,D=2ですが 

(8.) Πμν()=-(2μν-qμν)Π(2)における

ように,(2μν-qμν)因子が形成され.これに運動量の

2つのベキが使用されます。
 

それ故,,光子の自己エネルギーの発散次数:Dは,

実質的には,Π(2)の次数として,有効発散次数;eff0

となります。

  
同様に,光子-光子散乱の内線運動量が4つの外線光子の

各々に対して,電磁場の強さ:μν()(μν-qνμ)

を形成するために用いられ,,このグラフの有効発散奇数は

eff=-4となり,実際には高次に収束します。

  
これで,QEDのグラフで発散があれば,それは常に自己エネルギー

と頂点部分に関わることを証明したことになります。

  
そこで,次には,任意のグラフの発散を研究し,それを除去する

手法を述べる段階にきました。

 
1つの任意グラフが与えられたとします。
 

その,あらゆる自己エネルギーや頂点部分を1点に縮めること

によって得られる新しいグラフを,そのSkeltonグラフと定義

します。

  これをなすに当たって,0=m-δmとします。

ここに,mは物理的質量(衣を着た質量)であり,δmは電子の

自己エネルギーの一部として扱います。

 よって,Skeltonに現われる電子の伝播関数は全て
(-m)-1

の形とします。

 こうして,縮めた点を全て単なる1として無視すると,

明らかに,Skeltonグラフに対応する計算値は常に有限です。
 

したがって,もしも自己エネルギー部分と頂点部分を有限に

する方法を案出できたなら,縮めた点を無視する代わりに,
 

Skeltpn上の有限な自己エネルギー部分と頂点部分への

適切な挿入を行うことにより,元のグラフに対応する計算値

という意味で有限項を得ることができる。」

 
と考えられます。
 

そうして,3つ以上の足を持つSkeltonに対する,挿入は.常に

重複しないやり方で為すことができて,その手法は単純です。
 

しかし,足が2つのSkelton(電子-光子自己エネルギーグラフ自身) 

においては,必然的に,次の図のような重複した頂点の挿入を含む

状況 が出現します。

 これは,繰り込み可能性の証明をする上では,困難を与えるものです。

 

自己エネルギー部分,および,頂点部分を有限にするための手法は 

以下の通りです。
 

まず,第1に,δm=m-,0を,次のように選びます。
 

すなわち,=mなら,δm-Σ()0..(12)

と選択して,F'(p),が物理的質量mに等しいとき,

そこに極を持つことを保証します。
 

そこで,→ mなら,F'(p) → Z2/(-m)..(13) 

です。 ここで,2.電子波動関数の繰り込み定数です。
 

同様に,質量殻の近傍での光子の伝播関数の挙動を調べること

によって,光子の波動関数の繰り込み定数Z3を定義します。

 すなわち,
 

2  0 なら,D'μν() → -Z3μν/2(縦波光子項)

....(14) です。
 

そして,質量殻の上にある電子線を持つ頂点の運動量遷移:

q=p'-pがゼロの極限を調べることで,頂点の繰り込み定数:

1を定義します。
 

すなわち,Γμ(,)==Z1-1γμ..(15) とします。
 

くりこみの処法は,自己エネルギーを持つ伝播関数や頂点関数. 

および,裸の電荷e0,繰り込まれた関数:F~() F~μν() 

Γμ~(,p'),および,繰り込まれた(物理的)電荷:eで再定義

できるように,再スケールすることから成ります。
 

すなわち,

F'(p)=Z2 F'~(p),  

F'μν()=Z3F'~μν(), 

Γμ(,p')=Z1 -1Γμ~(,p') 

0=Z1/231/2       ...(16)
 

これによって,チルダ()をつけた関数を定義し,

これらを,「繰り込まれた関数」と呼びます。
 

注目すべき事は,上式(16),物理的電荷:eと質量:mによって 

チルダ関数を表示するために用いられるとき,4元運動量p,p' 

の任意の値に対し,これらチルダ関数を有限値に導くことです。
 

したがって,全ての無限大は繰り込み定数Z1,2,3の中に 

「繰り込まれて」除去される。という形になります。
 

さらに,カレント保存の結果としてZ1=Z2  ..(17) 

を得ます。
 

※(注2-5):何故なら,カレントの保存は,Ward-Takahashi恒等式: 

(p-p')μΓμ(,p')=SF'-1(p)-SF'-1(p')を意味し,

これに,素朴で自明な恒等式: 

 (p-p')μγμ=SF-1()-SF-1(p')を並列して,電子の 

質量殻上:=mで,比較すれば,Z1=Z2を得ます。


(注2-5終わり※)

 

(16)の自己エネルギーや頂点部分の外線の足を除去したもの

,Skeltonグラフに代入したとき,

Feynmanルールの項目(ⅰ)によれば,外線における自己エネルギー

omitされ,Skelton繰り込まれた自己エネルギ-と頂点の挿入

を作ることで,それぞれ,自己エネルギ-, 頂点の繰り込み定数の

挿入数乗の,Skeltonの積因子倍の計算値を得ます。
 

その因子は,明らかに, 

(1/231/2)-n23=Z2f-n3-n/2..(18)  

です。

 ただし,n,f,bは,それぞれ,1つのグラフ(blob)に
ついて,

(10.b)で与えた,頂点の個数,Fermion(電子)内線の個数,

Boson(光子)内線の個数です。
 

ここで,前に与えた 位相幾何学的関係;(10.):

F+2f=2, および,B+2b=nを用いれば,上記因子は, 

2f-n3-n/2=Z2-F/23-B/2. ..(19) と書けます。
 

これは,正確に外線波動関数因子:√Z2.,および,√Z2のベキ乗

で与えられる積因子と相殺します。( Feynmanルールの項目()参照)
 

こうして,(16)の再スケールによって,我々のFeynmanルールは,

常に有限な,繰り込まれた散乱行列要素:に誘導されること

がわかります。

 
再計測(rescaling),本当に自己エネルギーと頂点部分を有限

にするということの証明は,数学的帰納法に基づいて成されます。 

eの(n-2)次のあらゆるグラフを.この手法で有限にする。と

仮定し,それから,オーダー:nの再計測グラフの収束性を示す

わけです。
 

切りもいいし,今日は,ここで終わります。 

次回は,まず,上記証明の簡単なスケッチから入る予定です。
 

(参照文献):「Lectures on Elementary Particles

and Quantum Field Theory」 

(1970 Brandeis University SummerInstitute

in Theoretical Physics) Volume

PS:TVによると,「相棒」の水谷豊さんが映画監督をして,

「40年来の夢がかなった。」と述べておられました。

 凡人の私など
の40年来の夢は,かなうことなく終わりそうです。

まあ,夢は,「夢の途中」にある方がシアワセだ。。などと,

思うこともありますネ。。。

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