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2017年5月29日 (月)

摂動論のアノマリー(4)

摂動論のアノマリーの続きです。
 

前回で第1章については完了しました。
 

前回記事の最後でも述べたように,私の19951月からの参照 

ノートでは,それより20年昔のノートにある第2章の項目に

戻る前に,19955月末までかかって,

中西㐮 著(培風館)「場の量子論」から中西-Lautrap理論

呼ばれている「電磁場の共変的量子化」について詳述

していました。
 

1995年当時には,第2章以後の理解に必要な知見として,

かなり詳しく勉強した経緯が見て取れますが,

この中西-Lautrap

論については,「電磁場の共変的量子化」

という題名のシリーズ記事で本ブログの,2009年6月からの

過去記事に要約を紹介してあります。
 

,ここでは,こうした経緯などはスキップして1975年当時の

ノートに戻ることにします。
 

以下は,本題です。
 

2.The VVA Triangle-Anomaly(VVA三角グラフのアノマリー) 

(※VVAとは,vector-ector-axialvector3頂点の意味です。)
 

Ward(-Takahashi)の恒等式の最初のアノマリーの例を得るため 

QEDにおける軸性ベクトルカレント(Axial-vector current): 

5μ()を考えます。
 

これは,Fermi粒子のspinor:ψ()について,次のように

定義されます。
 

すなわち,5μ()=ψ~()γμγ5ψ() ..(36) 

(※ γ5=γ5≡γ0γ1γ2γ)  です。
 

このカレントは,"純粋な"QEDでは何の役割も果たしません。
 

しかし, 軸性(ベクトル)カレントは,電子-ニュートリノの 

弱い相互作用の局所カレント-カレント理論(弱い相互作用

旧理論であるFermi理論)の枠内での話を考えるとき出現

します。
 

このことを理解するため,次のことに着目します。
 

仲介boson(弱ボソン)の存在を設定しないカレント-カレント 

理論では,レプトン的な弱い相互作用の有効Lagrangiann 

,eff(/2)λλ  .(37)で記述されます。
 

(※ レプトン(lepton)とは,軽粒子のことであり,レプトンを 

伴う相互作用を,レプトン的相互作用(leptonic interaction) 

と呼びます。)
 

ただし,G ~ 10-5/p2であり,これはFermiの結合定数と 

呼ばれるものでです。(※Mは陽子(proton)の質量)
 

そして,λ

λ=νμ~γλ(1-γ5)μ+νe~γλ(1-γ5) .(38)

で定義され,これはレプトンカレントと呼ばれます。
 

(※ただし,μ,,νμ,νe,μ粒子,電子,μ-ニュートリノ, 

-ニュートリノの,それぞれの粒子場を示すspinor演算子 

を意味します。

  なお,この講義の頃は,3世代目のレプトンで
あるτ粒子:

τと,τ-ニュートリノ:ντの存在は,未だ知られていない

時代でした。)
 

μ粒子の崩壊を記述する通常の項に加えて,

相互作用Lagrabgian密度(37)eff(/2)λλ

は次のような項も含みます。
 

すなわち,(/2){μ~γλ(1-γ5)νμνμ~γλ(1-γ5)μ 

+e~γλ(1-γ5)νeνe~γλ(1-γ5)} ..(39) です。

これは,ニュートリノ-レプトンの弾性散乱の記述に対応して 

います。
 

(39),Fierz変換(フィールヅ変換)によって書き換えた

方が便利です。これは謂わゆる電荷保存の形です。


  すなわち,
(/2){μ~γλ(1-γ5)μνμ~γλ(1-γ5)νμ 

+e~γλ(1-γ5)eνe~γλ(1-γ5)ν} ..(40) です。
 

このカレントには,明らかに,μ粒子,電子の(極性)

ベクトルカレントだけでなく軸性ベクトルカレント項も

含まれています。
 

ここから,前節のQEDの電磁ベクトルカレントに対する扱い

アナロジーで話を進めます。
 

まず,軸性ベクトルカレント(36):

5μ()=ψ~()γμγ5ψ()4次元発散を計算して

カレント保存条件をチェックします。
 

運動方程式(2):

(iγ∇―m0)ψ()=e0γμμ()ψ(). 

νμν()=e0μ()  

※jμ()=ψ~()γμψ() γ∇=γλλ  

の前者の方程式を用いると,
 

μ5μ()=ψ~(){i0i0γμμ()}γ5ψ() 

+ψ~()γ5{i0i0γμμ()}ψ()

2i05() ,..(41),

ただし,5()≡ψ~()γ5ψ()  ..(42) 

を得ます。
 

(4-1): (iγμμ―m0)ψ()

=e0γμμ()ψ()より.

μψ()(iγμ+)=ψ(){m+e0γμμ()}

です。

 故に,
ψ~()=ψ()γ0であり,γ0γμ+γ0=γμですから 

μψ~()γμ=ψ~(){i0i0γμμ()} です。
 

したがって,μψ~()γμγ5ψ() 

=ψ~(){i0i0γμμ()}γ5ψ() です。
 

他方,iγμμψ(){0+e0γμμ()}ψ() 

ですから,
 
ψ~()γμγ5μψ()
 

=ψ~(){i0i0γμμ()}γ5ψ() です。
 

それ故, μ5μ() 

=∂μψ~()γμγ5ψ()+ψ~()γμγ5μψ() 

2i0ψ~()γ5ψ() となります。  


 (4-1終わり※)
 

次に,電磁カレントの頂点:Γμ(,’)を定義する

(6.)式:F'() Γμ(,')F'(') 

=-∫d4xd4exp(ipx)exp(i')

0|[ψ()μ(0)ψ~()]|0 


 のアナロジーで, 軸性ベクトルカレント頂点,および,

擬スカラーカレントの頂点を次のように定義します。
 

すなわち,F'()Γ5μ(,')F'(') 

=-∫d4xd4exp(ipx)exp(i') 

0|[ψ()5μ(0)ψ~()]|0,

 
および,
F'()Γ5(,')F'(p') 

=-∫d4xd4exp(ipx)exp(i') 

0|[ψ()5(0)ψ~()]|0> ..(43)

です。
 

(33)の導出と同様,(43)から丁寧に計算すると,次のような 

単純な軸性ベクトルのWard-Takahasjiの恒等式が得られます。
 

(p-p')μΓ5μ(,')20Γ5(,') 

+SF'-1(p) γ5+γ5F'-1(p') ..(44) です。
 

(4-2): 証明です。
 

まず,(p-p')μF'(p)Γ5μ(,')F'(p') 

 =-(p-p')μ∫d4xd4exp(ipx)exp(i') 

0|[ψ()5μ(0)ψ~()]|0 

=-(p-p’)μ∫d4xd4exp{i('-p))exp(i') 

0|[ψ()5(0)ψ~()]|0> です。

 

そして,結局,(p-p')μF‘()Γ5μ(,p')S'(p’) 

i∫d4xd4exp{i(p'-p)}exp(ip'y)

0| ([ψ(0)μ5μ()ψ~()]+δ(0)

{[50()ψ(0)]ψ~()}

+δ(0―y0){ψ(0)[50(),ψ~()]})|0 

を得ます。
 

これらは通常のWard-Takahashi恒等式の証明:(3-3)と同じ

であり,唯一異なるのはjμ()がj5μ()に置き換わって

いるだけです。
 

(3-4)の交換関係:δ(0)[0()ψ(0)]=-δ4()ψ(0)

,δ(0)[50()ψ(0)]=-δ4()γ5ψ(0)に置換され, 

δ(0-y0)[0(),ψ~()] =δ4(x-)ψ~() 

δ(0-y0)[50(),ψ~()] =-δ4(x-)ψ~()γ5

に置換されます。
 

それ故,(p-p')μF'(p)Γ5μ(,p')F'(p') 

=∫d4xd4exp{i(p'-p)}exp(ip'y) 

0|[ψ(0)μ5μ()ψ~(){0] 

+γ5F'(p)+SF'(p')γ5 ですが,


 ∂μ5μ()2i05() なので
 

(p-p')μF'(p)Γ5μ(,p')F'(p') 

2i0F'(p)Γ5μ(,p')F'(p') 

+γ5F'(p) +SF'(p')γ5  を得ます。
 

この両辺に,左からSF'-1(p)を,右からSF'-1(p') 

を掛けると,(p-p')μΓ5μ(,p')20Γ5(,p') 

+SF'-1(p) γ5+γ5F'-1(p')  です。
 

(4-2終わり※) 
 

途中ですが切りがいいので,いつもより短いながら,

ここで終わります。
 

(参照文献):Lectures on Elementary Particles 

 and Quantum Field Theory 

(1970 Brandeis University SummerInstitute  

in Theoretical Physics) Volume

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