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2017年7月 8日 (土)

摂動論のアノマリー(11)

摂動論のアノマリーの続きです。
 

§3.2.Radiative Correction to νl scattering 

(νll散乱への輻射補正)
 

(81):2Γ5μ(,p') 

=γμγ5{1(3/4)(α0/π)2 ln(Λ2/02)}+α0×(有限値) 

+α02×(有限値)+O(α03)

の応用として.

 
νll散乱(lはlepoton(軽粒子;μまたはe)の輻射補正 

を考えます。

(40):で見たように,Fielz変換の後では,νll散乱を

記述する局所カレントーカレントLagrangianは,

次のようになります。 

(/2){μ~γλ(1-γ5)μνμ~γλ(1-γ5)νμ 

+e~γλ(1-γ5)eνe~γλ(1-γ5)ν} ..(83)

これの輻射補正は,ニュートリノカレントには触れず,

単に荷電レプトンのカレント:μ~γλ(1-γ5)μと,

~γλ(1-γ5)の輻射補正を計算することで

得られます。

  
これら,略記した,μとeのV-Aカレントを,改めて 

(μ)~γλ(1-γ5)(μ), ()~γλ(1-γ5)() 

と詳細形で表わすと,


 
輻射補正することは,これらのカレントを 

(μ)~2(μ)[Γ(μ)λ-Γ(μ)5λ)(μ) ,および, 

()~2()[Γ()λ-Γ()5λ)()   .(84) 

に置き換えることに相当します。
 

これを見るため,まず,「摂動論のアノマリー(1)」において,

列挙したFeymanルールの項目():を再掲載すると,

各光子の外線に因子:εμ√Z3を対応付ける。

ここにεμは光子の偏極4元ベクトルであり,3は光子波動関数

のくり込み定数である。

 
各電子外線にはグラフに入ってくるものに,√Z2(p,s), 

それから出ていくものに,√Z2~(,)を対応させる。
 

陽電子の外線はuの代わりにvを用いるだけの違いである。
 

2は電子波動関数のくり込み定数である。
 

非連結泡グラフの挿入や,外線の電子線や光子線への自己

エネルギーの挿入は除く。


 です,

 (84)は,
これに由来する波動関数のくり込み定数Z2(μ,)2

 Properな頂点:Γ(μ,)λ,Γ(μ,)5λを伴なう形式です。
 

既に,通常のベクトルカレントのWard恒等式から,

2(μ)Γ(μ)λ,2()Γ()λは有限であることを知って

います。

 
一方,(81)によれば,2(μ,)Γ(μ,)5λ

=γλγ5[1(3/4)(α0/π)2ln(Λ2/02)]+α0×(有限値)

+α02×(有限値)+O(α03)  .(85)であり,

 
これは軸性ベクトルの三角グラフの存在のために,
νeと

νμμの散乱への輻射補正が摂動論の4次で発散することを

意味します。

 
この結果は,μ崩壊やν+e,νμ+μの散乱への輻射補正

摂動のあらゆるオーダーで有限である,という事実とは,

際立って対照的になっています。
 

2つのケース(同値変形であるFielz変換前後の形式)の決定的

な違いは,もちろん,

 
μ-(=Nμ+Nνμ)
とe-(=N+Nνe)の別々に保存する

ため,,カレント;μ~λ(1-γ5)μと,~γλ(1-γ5)eとは異なり

カレント:μ~γλ(1-γ5),閉電子ループや閉μ-粒子ル-プ

coupleできず,

 
それ故,
面倒な三角グラフは存在しないということです。
 

νl+lの散乱における輻射補正,に対して,2つの観方を

取ることができます。
 

1つの観点は,既知のことですが,とにかく,レプトン的 

弱い相互作用の局所カレント-カレント理論が正しい

はずがない,ということです。

  何故なら,この理論は
高エネルギーでユニタリでない

行列要素に導くこと,そして,そのことから高次の弱い

相互作用の効果として,発散する結果を得るからです。
 

そこで,満足できる弱い相互作用の理論を与えるのために,

(83):(/2){μ~γλ(1-γ5)μνμ~γλ(1-γ5)νμ 

+e~γλ(1-γ5)eνe~γλ(1-γ5)ν} 

における必要な修正がνll散乱の無限輻射補正の欠陥を 

救うことが完全に可能となります。
 

これは上記の(83)が次式に置き換わるよう有効Lagrangian

散乱項:νμ,νμeを導入することができれば可能です。
 

すなわち,(/2){μ~γλ(1-γ5)μ-e~γλ(1-γ5)} 

{νμ~γλ(1-γ5)νμ-νe~γλ(1-γ5)ν}..(86) です。
 

これは,(68)での面倒で余計なアノマリー項が,裸の質量m0 

には独立であり,それ故,上記(86)においてμ粒子と電子の項 

の間で,それらアノマリーが相殺して消えるように作用します。
 

つまり,軸性カレントの4次元発散のWard恒等式は, 

λ{μ~γλγ5μ-e~γλγ5} 

2i0(μ)μ~γ5μ-2i0()~γ5..(87) 

となります。
 

(76)(79)のアノマリーのない場合の論議を

上の(87)に適用すれば,この輻射補正が有限であること

が示されます。
 

これで何が生じるのか?というと,全νe散乱振幅に

おいて,-三角グラフとμ-三角グラフが,互いに逆符号

として寄与するため,アノマリーは正規化されて消える

という主張です。

 
実験的に,νeの弾性散乱を調べることによって,(86)

と式(87)区別して,どちらが現実に近いか?を見ることは

可能です。

しかし,現在の実験の限界上では,なお,結果は(86)と矛盾

しないものですが,非常に限定的になりつつあります。
 

(11-1):現在では,ニュートリノ以外の荷電レプトンは

μ粒子,(電子)の他に,τ粒子が存在することがわかって

います。

 
これらの粒子の電荷は,素電荷eを単位として全て(-1)です。
 

一方,軸性カレントの三角アノマリーは,ループをつくる粒子

の電荷に比例しており,その相殺はレプトンの寄与だけでは

不可能と考えられています。

 
そこで,ハドロンを構成する3世代のクォークを考慮に入れます。

それは,(,)(アップ,ダウン)(,)(チャーム,ストレンジ),

(,)(トップ,ボトム)です。

これらは,それぞれ,(2/3,1/3)の電荷持って います。

 
そして,現実にはカラー自由度の3があるので,電荷の総和

は(3)です。
 

これらに,レプトンの3世代:(,ν),(μ,νμ) (τ,ντ)

が対応していて,電荷はそれぞれ,(1,0)で総和は(-3)です。
 

また,それぞれの粒子には電荷が反対符号の反粒子も存在します。
 

いずれにしろ.全ての三角グラフのアノマリーの寄与は,

トータルでは,相殺され消えます。

この相殺は,クォークにカラー自由度が無かったり,レプトン

に3世代が無いなら,成立しません。

そして,例えばνe散乱でアノマリーが寄与しない理由は,

その散乱振幅に,摂動の中間状態としてeやνだけでなく,

あらゆる可能な素粒子の三角ループが介在するFeymanグラフ

の寄与が総和されてゼロになることである,と考えられます。
 

こうしたことを最初に指摘したのは,確かt'Hooftであった 

と記憶しています。

 
こんなことは,ネットででも,チョッと調べればわかること 

でしょうが,最近,歳のせいか,認知症や老人性のウツ病のケ

あるのか?ブログ原稿書きのときには,自分の参照中の

ノート以外の記憶にあることを調べるのも億劫で面倒くさい。

という心境です。もう先は長くないかも??   

 (11-1終わり※)

 
まだ,いつもより短かいですが,次の項目: 

§3.3 Connection between γ5 -Invaliance and a Conserved 

Axial-vectot current in massless Electrodynamics 

(γ5 不変性と質量ゼロの電磁力学における軸性ベクトル 

カレントの保存の間の関係)
 

,これまでとは,一見,全く別とも思われる論題を考察する 

ので今日はここで終わります。

 次回は§3.3に入る予定です。
 

(参考文献):Lectures on Elementary Particles and

Quantum Field Theory


 
(1970 Brandeis University SummerInstitute in

Theoretical Physics) Volume

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