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2017年7月22日 (土)

摂動論のアノマリー(15)

摂動論のアノマリーの続きです。

 
前回記事の最後では,

 
我々の切断手法を明白にするには,次には軸性ベクトルカレント

5μ()と擬スカラーカレント:5()を導入し,それらの性質

を調べる段階です。

 
まず,第1にこうしたカレントの全ての行列要素が,切断理論

の計算で有限になるかどうか?をチェックする必要があります。

 
そして,この疑問の答えはyesです。すなわち,それら行列要素

は有限となり,1つの軸性ベクトル,または1つの擬スカラー

の頂点を含む基礎Fermionループの全てが,陽な引き算の必要

なく光子頂点へゲージ不変性を課すことによって,有限になる

という事実から,直ちに導かれます。

 
と書いて終わりました。

 
ここからの続きが今回の記事です。
 

こうして我々は直ちに,(68):: 

μ5μ()2i05()

{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ 

,我々の切断理論でも確かに満足されることを示す,

という続く問題へと向かうことができます。

  
これをなすために,2F個のFermion外線とB個のBoson外線

を持つ5μを含む任意のFeynman振幅を考えます。

  
第2章(§2)で進めたように,diagramsを2つのカテゴリー

に分割します。

  
タイプ()とタイプ(),軸性ベクトル頂点:γμγ5, 

diagramを通過する2F個のFermion線の1つに接しているのか? 

または,内部の閉ループに接しているのか?によって分けます。
 

典型的なタイプ()とタイプ()diagramsを次図に示します。

タイプ()diagramsに対しては,丁度,第2章(§2)(47)

(49)におけるようにWard恒等式の導出は,γμγ5を含む 

Fermion内線が伝播関数の代数的操作を純粋に含みます。
 

(15-1):「摂動論のアノマリー(5)で述べたことを

再掲します。

 
()図の型の典型的な寄与は, 

Σk=12n-1{Πj=1k-1[γ(j){1/(j-m0)}] 

×[γ(){1/(k-m0)}γμγ5{1/('k-m0)} 

×Πj=k+12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]×γ(2) (・・・)}

(47です。

  
これに,(p-p')μを掛けて,それに, 

 {1/(k-m0)}(')γ5{1/('k-m0)} 

{1/(k-m0)}(20γ5){1/('k-m0)} 

{1/(k-m0)}γ5+γ5{1/('k-m0)}.(48) 

なる公式を用います。
 

頂点:Λ5μへのグラフ型()の寄与(47), 

Σk=12n-1{Πj=1k-1[γ(j){1/(j-m0)}] 

×[γ(k){1/(k-m0)}γμγ5{1/('k-m0)}

×Πj=k+12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2) (・・・)}  

ですが,

  
これにQμ(p-p')μを掛け,代数的に順序を変えつつ, 

公式(48)を適用すると,

Σk=12n-1{Πj=1k-1[γ(j){1/(j-m0)}] 

×[γ(){1/(k-m0)}(2μ0γ5){1/('k-m0)}] 

×Πj=k+12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2) (・・・)}
 

(・・・)Πj=12n-1[γ(j){1/(j-m0)}]γ(2n)γ5 

-γ5Πj=12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2n) (・・・)

.(49) が得られます。

 (15-1終わり※
)
 

斜線のnlobへのFermion伝播関数の線に加わる光子伝播関数の 

4元運動量にわたる積分(p1,..,2nにわたる積分),正規化 

された場理論において全て収束するので,積分の内部での変数

シフトのような代数的操作をしても安全(特異性なし)です。
 

再掲の式(49)は,Σk=12n-1{Πj=1k-1[γ(j){1/(j-m0)}] 

×[γ(){1/(k-m0)}(2μ0γ5){1/('k-m0)}] 

×Πj=k+12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2) (・・・)}
 

(・・・)Πj=12n-1[γ(j){1/(j-m0)}]γ(2n)γ5 

-γ5Πj=12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2n) (・・・)
 

この右辺第1項は,発散計算のスタートのj5μのタイプ()

diagramsに対応する2i05Feynman振幅へのタイプ(

)の寄与を与えます。

  
残りの項は,j5μの同時刻交換関係からWard恒等式に

おいて生じるFermion外線運動量:pとp'を有する通常の

表面項を与えます。
 

こうしてタイプ()diagramsに関する限りのj5μの発散

,単に2i05であって余分な項は存在しません。
 

次に,典型的なタイプ()の寄与に向かいます。
 

これはつ次のように書けます。 

すなわち,(:γμγ5;1..2n-1)(・・・) です。
 

ただし,(;Γ;1..2n-1) 

=∫d4[r{Σk=12nΠj=1k-1{γ(j(1-m0)-1} 

×γ()(-m0)-1Γ(kQ-m0)-1 

×Πj=k+12n{γ(j(1Q-m0)-1}..(118) です。
 

ここで,いつものように,注意を閉ループに集中し,

diagramそれ以外の残りの因子を(・・・)と略記

しました。

  
以前と同じ簡単な代数で(118)の発散は次のように

書けます。

  すなわち,
 

(:iμγμγ5;1..2n-1)=L(;2i0γ5;1..2n-1) 

+∫d4(r[γ5Πj=1k-1{γ(j(1-m0)-1] 

-γ5Πj=12n{γ(j(1Q-m0)-1)1)..(119)
 

既に見たように,n≧2のループに対しては,(119)の残り

積分は相殺して次のWard恒等式を得ます。
 

(:iμγμγ5;1..2n-1)=L(;2i0γ5;1..2n-1)

.(120)です。
 

再び, 1..2n-1にわたる積分は,正規化場理論においては,

全て収束するため.(120)に誘導する操作は,,これら収束積分

の内部で全て遂行できます。

  このことは.n≧2のループを含むタイプ()
の部分が全て

通常の発散方程式;μ5μ()2i05()に一致する

ことを意味します。
 

最後に,ループを,ただ1個だけ持つ,つまりn=1­diagram

でループ,軸性ベクトル頂点を1個持つ三角形のケースを

考える必要があります。

  
今や,なじみ深いことですが,このdiagramはアノマリー

を持つWard恒等式へと導きます。
 

これは正規化されたQEDでは,素朴な発散式に,次の項を加える

ものです。

  す
なわち, {α0^/(4π)}|ξσ()+FRξσ()}

{τρ()+FRτρ()}εξστρ(121) です。

ただし,α0^=e0^2/(4π) です。

  
要するに,我々のdiagram的解析は,正規化された場の理論

における軸性ベクトルの発散の式が次のようになることを

示しています。

  
すなわち,μ5μ()2i05() 

{α0^/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ

{α0^/(4π)}εξστρ 

×{ξσ()Rτρ()+FRξσ()τρ()

+FRξσ()Rτρ()}..(122)  です。

  
(122)はFを含む項を除いて,そして係数を中間くりこみ

電荷で表現していることを除いて.(68)と同等です。

  
の項は,系が正規子(regulator)の場を陽に含むことから

生じています。

  
(68)との完全な同等性を見るため,本節で使用される中間

くりこみ電荷を第2章の非くり込み電荷(=裸の電荷)と次式

よって関連付けます。
 

すなわち,0^(ξσ)中間くり込み量=e0(ξσ)非くりこみ量..(123)

です。

  
決定的な点はアノマリー項の係数が正確にα0^/(4π)

であり,摂動論の高次に由来する未知の結合定数のベキ

を含まないということです。

  
たった今与えたdiagram的解析は,次のように簡潔に

言い換えることができます。

  
もしも,運動方程式を計算するのに,(116)の正規化された 

Lagrangian密度を使用し,軸性ベクトルカレントの発散を

素朴に計算するのに,それで導かれる運動方程式を用いる

なら,正規化されていない理論と同じく,

μ5μ()2i05()..(124) を見出します。

 

そして、この(124)の右辺に余分な項が加わるとしたら,

それは素朴な導出が破れるような,特異なdiagram的な計算

にのみ由来するはずです。

  
しかし,正規化された場理論では,あらゆる仮想光子運動量

による積分は収束します。

  それ故,そのQFDだけでは,
diahram的な計算によっても,(124)

に付加項を与える特異性に導くことはできません。
 

,したがって,その破れ=アノマチー項が本当に存在するなら

それは基本的な軸性ベクトルのループ自身の性質に関連しな

ければならず,他の内線伝播関数の自己エネルギーなど内部

の輻射補正の影響は含まないはずです。

  
ところが,これまで見たように,4つ以上の光子を含む軸性

ベクトル頂点を持つループは,正確に式(124)を満足します。
 

 したがって,基本的な三角グラフのみが,唯一の可能な

アノマリーの源である,と結論されます。

  
こうして,アノマリー項は三角グラフの特性のみに由来し

それは,通常のQEDのくり込み=輻射補正の影響を受けない

ことがわかりました。

  
次は先述の「低エネルギー定理」もまた,輻射補正の

影響を受けない,ということを論じる予定ですが,長く

なると予想されるので.今日は短いですがここで

終わります。

 (参考文献):Lectures on Elementary Particles and

Quantum Field Theory(1970 Brandeis University

SummerInstitute in Theoretical Physics) Volume

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