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2017年7月

2017年7月27日 (木)

摂動論のアノマリー(17)(第Ⅰ部終了)

摂動論のアノマリーの続きです。

  §4.2.Explicit Second order Calculation

(摂動論の2次の要な計算):(※ 本節で第4省は終わり)

 

今度は摂動論の2次までで低エネルギー定理(131): 

~(0)=-2α/πを,陽にチェックする計算を

手短かに概説します。(※4章は本節が最後です。)
 

我々は,(γ5 -γσ-γρ )の三角グラフの6個の最低次の

輻射補正を計算します。そして,それらが,結局,相殺して

ゼロとなることを証明します。
 

最初のステップは.くり込まれた量:Γ~μ(,p'),Γ~5,p'), 

F'~(p)を計算することです。

(※もちろん,摂動の2次のみの計算です、)
 

これをなす最も簡明な方法は,次の手順です。
 

()切断:Λのある場のFeynmanルールを用いて,くりこまれて

いないΓμ,Γ5.F'を計算する。

() 次には,(6):

iF'(p)=∫d4exp(ipx)0|[ψ()ψ~(0)]|0>, 

(6):iF' μν()

=∫d4exp(iqx)0|[μ()ν(0)]|0
' 
(6);iF'(p) Γμ(,p')F'(p’) 

=-∫d4xd4exp(ipx)exp(ip'y) 

0|[ψ()μ(0)ψ~()]|0,

および, (12) =mなら,δm-Σ()0., 

式(13)::→ mなら,F'(p) → Z2/(-m). 

を用いて,くり込み定数:0,2を計算する。
 

() (132): 

F'~=limkΛ→∞2-1F',DF'~=limkΛ→∞3-1F' 

Γ~μlimkΛ→∞2Γμ, mΓ~5limkΛ→∞(m02Γ5) 

の処方を用いて,Λ → ∞の極限をとって,チルダ()

の量を見出す.

  
です。
 

この手法の摂動2次までの計算は次の通りです。 

Γ~λ(2) (,p')=γλ{2/(16π2)}01zdz∫01dy 

(2γλln[{22(1-z)μ2}}/] 

-NΛ/D-(22γλ1)/{22(1-z)μ2})
 

Γ5(2)(,p')=γ5{2/(16π2)}01zdz∫01dy 

(8γ5ln[{22(1-z)μ2}/] 

+γ5/D+(42γ52)/{22(1-z)μ2})
 

F'~(2)(p){-m-Σ(2)()}-1 

Σ(2)(){2/(16π2)}01zdz∫01dy 

(21ln[{22(1-z)μ2}}

/{-p2(1-z)+zm2(1-z)μ2}]+g2{2-P2(1-z)2}

/{-p2(1-z)+zm2(1-z)μ2} 

(221)/{22(1-z)μ2})..(134) 

です。
 

ただし,D=(2z-yz)2[(1-y)22(1-y)z]p'2 

2(1-y)2pp'+z22(1-z)μ2} です。  


  ここに,
λ=―2mγλ2{(1-z+yz)'-yz} 

×γλ{(1-yz)(1-y)'} 

4{(12yz)λ(12z+2yz)p'λ}
 

N=424{(1-yz)p-(1-y)zp'} 

×{(1-z+yz)p'-yzp}2(p-p')
 

1=z22zーp2,212, 

14m-,24m-2  ..(135)

です。

  また,
量;μ2は架空の仮想光子質量の平方で,各輻射補正

グラフの対数的赤外特異性を避けるために与えたものです。 

(※しかし,6つの輻射補正の和は項の相殺のために,結局

のところ全く赤外発散を持ちません。)
 

そして,我々の計算手法が正しいことのチェックとして,

まず,ベクトルカレントの通常のWard恒等式の2次の等式

が満足されることが示せます。


 すなわち,
(p-p')λΓ~λ(2) (,p')

=SF'~1(2)-1(p)-SF'~(2)~ -1(p') (136)の成立を

チェックします。


  同様に.恒等式:

02mΓ5(2)(,)+SF'~(2)^1(p) γ5 

+γ5F'~(2) -1(p') ..(137)が満たされることを 

示せます。

これはアノマリーのある軸性ベクトルのWard恒等式

(70):(p-p')μΓ5μ(,p') 

20Γ5(,p')+SF'-1(p)γ5 

+γ5F' -1(p')i{α0/(4π)}~(.p') 

のp'=pのケースのくり込み後の式です。
 

(17-1):(136)Ward恒等式は, 

Λ~λ(,p')=Γ~λ(,p')-γλ と置けば, 

2次の項に対するものとして, 

(p-p')λΛ~λ(2)(,p')=Σ(2)()-Σ(2)(p') 

と書けます。

  
そして,Λ~λ(2)(,p'){2/(16π2)}01zdz∫01dy 

(2γλln[{22(1-z)μ2}}/]

-NΛ/D-(22γλ1)/{22(1-z)μ2}) です。
 

これらを具体的に計算すれば,私のノートでは11ページに

わたる 長い計算となりますが,確かに成立することを陽に

示すことができてはいます。
 

しかし,これを本ブログ記事に転記するのは割愛します。
 

(137)についても同様なのですが,これは私のノートでも

省略していました。     (17-1終わり※)
 

次のステップは,(134)(135)を次図の単純なSkelton三角形

 適用します。



  
これは最低次の三角グラフに,最初に与えた6つの輻射補正 

グラフをプラスするものです。

(↑ ※Skeltonなので最初の6つのグラフの頂点補正や自己

エネルギー補正は1点に縮められています。これら6つに,

補正なしグラフを加えた全てを表わしています。)
 

最後のステップはG~(12)をk1=k20 の近傍でTaylor

展開することです。

   何故なら,~(0)はこの展開で最初に消えない項で
あるからです。
 

一般のk1とk2に対する積分は,とても手に負えないものですが, 

この展開での主要なTaylor係数は,それほど複雑ではなく実行可能

で,ここでの証明にはそれで十分です、
 (2)((2)((2)(

いくつかの直線的な代数と積分により(131):~(0)=-2α/π

よって要求されるように,~(0)への輻射補正の寄与は,実際

に相殺されて消えることを示すことができます。
 

(17-2):輻射補正なしの単純三角グラフを,くり込まれた

量で評価すると, (e0→e,0 → m)

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|2imj5|0 

=G~()1ξ2τεξτσρε1σ*ε2ρ*(41020)-1/2 

2i0σρε1σ*ε2ρ*(i2)(2π)-4(41020)-1/2
 

ただし,(i2)(2π)-42mRσρ

2∫d4(2π)-4(1)r[{i/(1-m)}(ieγσ) 

{i/(-m)}(ieγρ){i/(2-m)}γ5].

,σρは定義されています。


 

そして,計算の結果,σρ=k1ξ2τεξτσρ1, 

18π2mI00(,)となることが示されました。
 

これから輻射補正なしの寄与では,G~(0)(0)=α/2π

あることを得ました。
 

以下では,因子;2imε1σ*ε2ρ*(41020)-1/2は除外して

考察します。

 そして
,6つのグラフの輻射補正のRσρ寄と同様な寄与因子

を順に,R1,2,..6とすれば,

(i2)(2π)-4{2/(16π2)}1 

=-2∫d4(2π)-4(1)

r[{i/(1-m)}(ieγσ){i/(-m)}(ieγρ){

i/(2-m)}Λ~5(r+k2.r-k1)].
 

(i2)(2π)-4{2/(16π2)}2 

=-2∫d4(2π)-4(1)

r[{i/(1-m)}(i0γσ){i/(-m)}(ieγρ)

{i/(2-m)(iΣ~(r-k2)γ5)]  

etc..です。

 
これらは,1,2,の多項式となり,1=k20 のまわりで

Taylor展開すると,1α,2αの係数はそれぞれ,

(∂Rj/∂k1α)00 ,(∂Rj/∂k2α)00 (j=1,2,..,6)です。


 
添字:00 (1,2)(0,0)を意味します。
 

そして,これらRjはの計算結果は

Cjk12)1ξ2τεξτσρなる形になるはずです。
 

そこで,例えば,1αの係数:(∂Rj/∂k1α)00.

j(12)2τεατσρ{∂Cj/(12)}

2α1ξ2τεξτσにおいて,1=2=0 とするもの

ですからゼロです。

 そこでk1,21次の係数は,全てゼロであることが

わかります。

 
一方,1α2βの係数:(2j/∂k1α∂k2β) 00, 

j(12)εαβσρ+なk1,2の1次以上の項)において

1=2=0 としたものなので,j(0)εαβσρとなり.これに

よるkの2次の項:j(0) 1α2βεαβσρはRjTaylor

展開で消えない最初の項です。
 

~(0)へのの寄与は,れをk1ξ2τεξτσρ(41020)-1/2

で割って,k10,20の極限を取って得られるるので,

1,2のこれ以上の高次の展開項寄与はゼロです。
 

以上から,6つ(2j/∂k1α∂k2β) 00を求めて総和

すると,相殺してゼロになることを示せばよいことが

わかります。

これら6つのグラフの寄与を計算して,これらが最終的

に相殺してゼロになることを,昔のノートには確かに示して

ありましたが,これにはノートの実に20ページにわたる冗長

な計算を要していました。

 
当時,45歳とはいえ,気持ちは今より若かったので根気が続い

のだろうと思います。さすがに,今さら詳細をfollowし,チェックしながら全部読み返す気にはならなかったので,これも割愛します。
 

(17-2終わり※)
 

この項目のノートでの終了期日は199533()となって 

いました。

 これで,A4ルーズりーフを閉じた私のファイルノート
1

119ページで終わり,次からは2冊目に入り,第5章以下の重要

な応用の記述に移ります。

 
そこで今日は少し急いで計算も省略しましたが,ここまで

で終わりにします。ここまでをシリーズの第Ⅰ部とし,

の「摂動論のアノマリー(18)からは第Ⅱ部という副題

を付ける予定です、
 

 (参考文献):Lectures on Elementary Particles and  

Quantum Field Theory(1970 Brandeis University  

SummerInstitute in Theoretical Physics) Volume

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訃報!!平尾昌晃さん。

ロカビリー歌手から作曲家の平尾昌晃さんが肺炎のため去る21日に亡くなられたそうです。 

享年79歳でした。

Yahooニュース→ 

平尾昌晃さn死去....「瀬戸の花嫁」の小柳柳ルミ子さん「あまりにもショック」「平尾 昌晃」の画像検索結果

故,柳家金語楼(山下敬太郎)師匠を父に持つ,故,山下敬二郎さん,ミッキー・カーチスさんとともに,戦後のロカビリーというジャンルをつくり,歌手として一世を風靡しました。

,「星はなんでも知っている」などの本人が歌唱したヒット曲も有名ですが,作曲家として,まだ無名に近かった五木ひろしさんに大ヒット作「横浜たそがれ」を提供し,小柳ルミ子さんには「瀬戸の花嫁」のヒット作を提供するヒットメーカー。。

と思えば大きな年の差の畑中葉子さんとのデュエット「カナダからの手紙」で歌手復活しても大ヒットと,多士済々の才能あふれる方でした。

私も10歳ころに初めてTVを見たという戦後世代,「三丁目の夕日」世代で,TVは創世期の時代の人間ですから,大いに影響を受けました。

 平尾さんには直接関係ないですが,畑中葉子歌唱の意味深なヒット曲。。これは豊兵衛作詞,佐瀬寿一作曲となってますが,「後ろから前から」のyoutube動画でにぎやかにおくりましょう。

 ご冥福を祈ります。合掌!!

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2017年7月26日 (水)

よくやった。大橋 銀メダル!!

世界水/英。。女子200m個人メドレーの大橋ゆい.. 夜中についTVに向かって大拍手。。

 最近のスポーツじゃラグビーで日本が南アに勝ったときもそうでした。リオオリンピック陸上男子400りmリレーでの銀メダル以来の大興奮。。。

 20年以上前のオリンピックの女子の200m平泳ぎで全然期待してなかったのに,,無名の岩崎恭子が見ている間に追い上げてトップを追い越した時のサプライズを思い出しました。

 でも岩崎は,当時中学生ったけど,大橋は21歳らしいです。

 どこかの女性国会議員がスポーツに人生を重ねるな。。みたいなことを言ってたけど。。

 つい重ねて見てしまいますね。自分じゃ逆立ちちてもマネできないユメですから。。。束の間の。。。 

 高校野球じゃ毎年期待してるけど母校の金光学園。。岡山の予選で今年は早々と敗退しました。

 スポーツ観戦。マイナーも含め何にでも関心あります。スポーツじゃなくても将棋なども。。生活に不安がないときば,好奇心のみが残っています。

 これから,世界陸上もあるというし毎日夜も寝ないで昼寝しています。

PS:もう昨日になりましたが,25日は久しぶりの形成外科外来。。

 ここ3週間ほど歩いてないほぼネタキリ状態に近く,体力も筋力も減退で,暑い中病院に着くまでが一苦労。。 

 右足のクツズレのようなことから,大きくなった傷が感染の恐れがあって急遽,外来診察室で局部麻酔して患部切除の手術。。30分くらいでした。 

足を切られるのは慣れてるけど,この後,1時間くらいかけて,徒歩とバス,電車で帰宅するんだからネ。。

 タクシー代を貸してくれ,というと,お金の貸し借りは禁止だとか、、

 こういうの規則は,トラブルのもとになるので,どこでもあるし,そういうのはヨク理解してるけど。。。特に昔から順天の規則は患者にヤサシクなく,毎回入院のたびニ「モンスター患者」として無理難題を言ってタタかってきましたが。。 

 医者や看護師が患者さんに貸すのじゃなく,て,誰々さんがTOSHI[さんに,2~3千円貸すだけだし,2週間後の外来で生きてれば確かに返すんだから。。 

 医者も看護師も女性で私はトモダチ感覚で,ジジイのセクハラマジリで接してたけど。。 マッタク杓子定規な!! 

 麻酔が1時間で切れるというので,手術してもらった女医に麻酔を1本追加してもらって,また苦労してl帰宅しましたけど。手術の傷悪化したり感染したたらどうすんだ? 歩くのはよくないと言われても金欠ですから。。 クソ,。。

 

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2017年7月23日 (日)

摂動論のアノマリー(16)

  摂動論のアノマリーの続きです。
 

前回記事の最後では,
 

こうして,アノマリー項は三角グラフの特性のみに由来し,

それは通常のQEDのくり込み=輻射補正の影響を受けない

ことがわかりました。

    次は先述の「低エネルギー定理」もまた,輻射補正の影響
 

を受けない,ことを論じる予定です。
 

と書きました。
 

以下,その続きです。
 

さて,次に式(122):μ5μ()2i05() 

{α0^/(4π)}εξστ{ξσ()+FRξσ()} 

{τρ()+FRτρ()}

で示されていた,2i05()に対する「低エネルギー定理」

の考察に向かいます。
 

2光子と真空の間の(122)の両辺の項の行列要素を取り, 

次のように(12)の関数:Λ,Λ,Λを定義します。
 

すなわち,

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|μ5μ|0 

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρΛ(12)

(125)
 

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|2i05|0 

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρΛ(12)

(125)
 

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|{α0^/(4π)}

(ξσ+FRξσ)(τρ+FRτρ)εξστρ|0

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρΛ(12).

(125)

 とします。
 

すると,前の(101)(109)の手順を正確にたどれば,

同じように,「低エネルギー定理」が得られて,まず,,

Λ(0)=-HΛ(0)..(126)です。
 

さて,次は摂動のあらゆる次数まで,H(0)を計算します。
 

下に図示するように,Λ(12)に寄与する2つのタイプ

 diagramsがあります。


 

ここで,記号()を演算子; 

{α0^/(4π)}(ξσ+FRξσ)(τρ+FRτρ)εξστρ

の作用を記述するために用いました。
 

Diagram ()では上記の場の強さの演算子()が直接,光子

外線につながっており()のような光子散乱を含みません。
 

真空偏極部分と波動関数のくり込みの効果はα0^をα

の代わりに置き換えることに相当し,そこで次式を

得ます。

   
すなわち,Λ(0)()2α/π..(127) です。
 

Diagram ()では演算子()と自由外線2光子の間に

光子-光子散乱のグラフがあります。
 

軸性ベクトル発散のアノマリー項は,εξστρ因子の

反対称性の結果として(),(1+k2)に比例

します。
 

また,光子-光子散乱diaramの寄与は,それ自身12

比例します。
 

何故なら,前にも述べたように,光子のゲージ不変性

から各外線光子,それの場の強さテンソルを通して

coupleするからです。
 

そこで,Diagram ()の行列要素への寄与は

12(1+k2)に比例します。

  これを,(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ

Λ(12)と比較するとk12(1+k2),これより

kの高次なので,Λ(0)()0 ..(128) 

が得られます。
 

(16-1); まず,

(1/2)(1+k2)ξ(1+k2)τεξστρ=k1ξ2τεξστρ

ですから,(1+k2)ξ(1+k2)τの因子があると考えても

いいでしょう。
 

また,光子-光子散乱では散乱振幅はゲージ不変性を

満たす入射光子,または散乱光子の運動量をqとすると

頂点では (2μν-qμν)の形でcoupleします。
 

故にk1,2 →k1',2'の散乱なら,散乱振幅 

,(12μν-k1μ1ν),(22μν-k2μ2ν) , 

(1'2μν-k1'μ1'ν).(2'2μν-k2'μ2'ν) 

の因子を持つはずですが,

1,2 が外線の実光子なら12=k220 なので

(-k1μ1ν)(-k2μ2ν)(12)2の因子を持つ

はずです。
 

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|

{α0^/(4π)}(ξσ+FRξσ)(τρ+FRτρ)|0}

(41020)-1/2(12)2(2+k2) です。
 

そこで,いずれにしろ,1,20に対して,上記行列

要素,(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ}

よりも1,2について高次でゼロに近づくため.
 

Λ(0)

lim1,20εξστρ[{<γ(1,ε1)γ(2,ε2)| 

{α0^/(4π)}(ξσ+FRξσ)(τρ+FRτρ)|0} 

/{(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ}]0 
 

です。(16-1終わり※)
 

(126).(127),(128)を結合すると,Λ(0)=-2α/π..(129) 

が得られます。
 

ここまでの議論では,切断Λを有限のままにしていました。
 

そこで,このGΛ(0)は正規化された場の修正Feynmanルール

で計算された行列要素です。
 

しかし2i05,あらゆる行列要素は,Λ → ∞の極限で

この切断Λには独立であることはわかります。
 

そこで,真空から2光子への軸性ベクトル発散のくり込まれた

行列要素:~(12)を次のように定義します。
 

~(12)limkΛ→∞Λ(1)..(130)
 

それ故,(129)から「低エネルギー定理」 

 ~(0)=-2α/π ..(131)を得ます。
 

ここで(130Iのくり込まれた行列要素の定義は,第1章

で記述したSkeltonグラフの構築によるものとは異なる

手続きのように見えることに気付きます。
 

Skelton展開によれば,素朴な発散式の任意のくり込まれた 

行列要素は,適切なSkeltonグラフを書き下し,その内線や 

頂点に,くり込まれた伝播関数や頂点,F'~,F'~,Γ~μ

とΓ~5を挿入付与することで,つくることができます。
 

これらの量は,Λに独立な極限では,次のように定義

されます。

F'~=limkΛ→∞2-1F',DF'~=limkΛ→∞3-1F 

Γ~μlimkΛ→∞2Γμ, mΓ~5limkΛ→∞02Γ5 (132)
 

すなわち,Skelton展開の構成は,まず第1,頂点部分と 

擬スカラー部分でΛ → ∞の極限をとり,それから

Skelton,その極限を代入することから成り立って

います。
 

しかし,(130):~(12)limkΛ→∞Λ(1)

では,これらの操作が逆向きに実行されています。

つまり,切断Λに依存する頂点部分や伝播関数を

Skeltonに代入し,それから最後にΛ → ∞の極限

を取っています。
 

この順序の交換は,得られた最終的なくり込まれた

行列要素の値に少しでも違いを起こし得るの

でしょうか?
 

単純な帰納的論旨によれば,この問いに対する答は

否定的です。
 

仮にj5の全ての行列要素に対して,摂動の(n-2)

まで,2つの手法が同じ答を与えると仮定します。
 

収束するSkeltonを持つn次の全ての行列要素に対し

2つの手法は明らかに一致しなければなりません。
 

次数勘定定理の式(11):D=43/2-Bによれば

発散する可能性があるSkeltonを持つ唯一のケースは

擬スカラー頂点それ自身だけであり,,そして真空から

2光子の行列要素です。
 

そうして.魏スカラー頂点部分Γ5自身に対しては,定義

によって2つの構成は一致します。
 

真空から2光子の行列要素に対しては2つの構成間の

可能な差異;ΔG~は次の性質を持たねば.なりません。
 

()ΔG~は光子運動量変数kとkの多項式でなければ

ならない。この要請は一般化されたユニタリ性から

導かれるもので,低次の行列要素(仮定によって(n-2)

次では2つの手法は一致する。)に対してn次のグラフ

の不連続性を関連付ける。
 

()ΔG~Weinbergの定理の要請を満足せねば

ならない。というのは,両方のつくり方から,得られる量

が共にそうだからである。

  このことは再び次のことを意味する。
 

=ξQ.2=-ξQ+ξR+Sとおけばξ → ∞

に対してΔG~は次の形を取る。
 

すなわち,ΔG~=k1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ

×(1,2の多項式)..(133)   である。
 

しかし,これはWeinbergの極限で,少なくともξ2で発散

しそれ故,性質()を破ります。
 

それ故,ΔG~0である他はありません。

結局,2つの構成法は一致し,帰納法によって全ての次数

で一致すると結論されます。
 

その結果,(131):~(0)=-2α/πの「低エネルギー定理」

は通常のSkelton展開から得られる,くり込まれた行列要素:

~にも当てはまり,そして,α2,α3..のG~(12)への2次

以上の全ての次数の寄与が(12)0では消える,という

注目すべき命題を得ました。
 

今日は,かなり短いですが§4.1が終わりなので.ここまで

にします。


  
次解は§4.2 Explicit Second-order calculations 

(摂動の2次の陽な計算)に入る予定です。
 

 (参考文献):Lectures on Elementary Particles and 

Quantum Field Theory(1970 Brandeis University  

SummerInstitute in Theoretical Physics) Volume

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2017年7月22日 (土)

摂動論のアノマリー(15)

摂動論のアノマリーの続きです。

 
前回記事の最後では,

 
我々の切断手法を明白にするには,次には軸性ベクトルカレント

5μ()と擬スカラーカレント:5()を導入し,それらの性質

を調べる段階です。

 
まず,第1にこうしたカレントの全ての行列要素が,切断理論

の計算で有限になるかどうか?をチェックする必要があります。

 
そして,この疑問の答えはyesです。すなわち,それら行列要素

は有限となり,1つの軸性ベクトル,または1つの擬スカラー

の頂点を含む基礎Fermionループの全てが,陽な引き算の必要

なく光子頂点へゲージ不変性を課すことによって,有限になる

という事実から,直ちに導かれます。

 
と書いて終わりました。

 
ここからの続きが今回の記事です。
 

こうして我々は直ちに,(68):: 

μ5μ()2i05()

{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ 

,我々の切断理論でも確かに満足されることを示す,

という続く問題へと向かうことができます。

  
これをなすために,2F個のFermion外線とB個のBoson外線

を持つ5μを含む任意のFeynman振幅を考えます。

  
第2章(§2)で進めたように,diagramsを2つのカテゴリー

に分割します。

  
タイプ()とタイプ(),軸性ベクトル頂点:γμγ5, 

diagramを通過する2F個のFermion線の1つに接しているのか? 

または,内部の閉ループに接しているのか?によって分けます。
 

典型的なタイプ()とタイプ()diagramsを次図に示します。

タイプ()diagramsに対しては,丁度,第2章(§2)(47)

(49)におけるようにWard恒等式の導出は,γμγ5を含む 

Fermion内線が伝播関数の代数的操作を純粋に含みます。
 

(15-1):「摂動論のアノマリー(5)で述べたことを

再掲します。

 
()図の型の典型的な寄与は, 

Σk=12n-1{Πj=1k-1[γ(j){1/(j-m0)}] 

×[γ(){1/(k-m0)}γμγ5{1/('k-m0)} 

×Πj=k+12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]×γ(2) (・・・)}

(47です。

  
これに,(p-p')μを掛けて,それに, 

 {1/(k-m0)}(')γ5{1/('k-m0)} 

{1/(k-m0)}(20γ5){1/('k-m0)} 

{1/(k-m0)}γ5+γ5{1/('k-m0)}.(48) 

なる公式を用います。
 

頂点:Λ5μへのグラフ型()の寄与(47), 

Σk=12n-1{Πj=1k-1[γ(j){1/(j-m0)}] 

×[γ(k){1/(k-m0)}γμγ5{1/('k-m0)}

×Πj=k+12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2) (・・・)}  

ですが,

  
これにQμ(p-p')μを掛け,代数的に順序を変えつつ, 

公式(48)を適用すると,

Σk=12n-1{Πj=1k-1[γ(j){1/(j-m0)}] 

×[γ(){1/(k-m0)}(2μ0γ5){1/('k-m0)}] 

×Πj=k+12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2) (・・・)}
 

(・・・)Πj=12n-1[γ(j){1/(j-m0)}]γ(2n)γ5 

-γ5Πj=12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2n) (・・・)

.(49) が得られます。

 (15-1終わり※
)
 

斜線のnlobへのFermion伝播関数の線に加わる光子伝播関数の 

4元運動量にわたる積分(p1,..,2nにわたる積分),正規化 

された場理論において全て収束するので,積分の内部での変数

シフトのような代数的操作をしても安全(特異性なし)です。
 

再掲の式(49)は,Σk=12n-1{Πj=1k-1[γ(j){1/(j-m0)}] 

×[γ(){1/(k-m0)}(2μ0γ5){1/('k-m0)}] 

×Πj=k+12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2) (・・・)}
 

(・・・)Πj=12n-1[γ(j){1/(j-m0)}]γ(2n)γ5 

-γ5Πj=12n-1[γ(j){1/('j-m0)}]γ(2n) (・・・)
 

この右辺第1項は,発散計算のスタートのj5μのタイプ()

diagramsに対応する2i05Feynman振幅へのタイプ(

)の寄与を与えます。

  
残りの項は,j5μの同時刻交換関係からWard恒等式に

おいて生じるFermion外線運動量:pとp'を有する通常の

表面項を与えます。
 

こうしてタイプ()diagramsに関する限りのj5μの発散

,単に2i05であって余分な項は存在しません。
 

次に,典型的なタイプ()の寄与に向かいます。
 

これはつ次のように書けます。 

すなわち,(:γμγ5;1..2n-1)(・・・) です。
 

ただし,(;Γ;1..2n-1) 

=∫d4[r{Σk=12nΠj=1k-1{γ(j(1-m0)-1} 

×γ()(-m0)-1Γ(kQ-m0)-1 

×Πj=k+12n{γ(j(1Q-m0)-1}..(118) です。
 

ここで,いつものように,注意を閉ループに集中し,

diagramそれ以外の残りの因子を(・・・)と略記

しました。

  
以前と同じ簡単な代数で(118)の発散は次のように

書けます。

  すなわち,
 

(:iμγμγ5;1..2n-1)=L(;2i0γ5;1..2n-1) 

+∫d4(r[γ5Πj=1k-1{γ(j(1-m0)-1] 

-γ5Πj=12n{γ(j(1Q-m0)-1)1)..(119)
 

既に見たように,n≧2のループに対しては,(119)の残り

積分は相殺して次のWard恒等式を得ます。
 

(:iμγμγ5;1..2n-1)=L(;2i0γ5;1..2n-1)

.(120)です。
 

再び, 1..2n-1にわたる積分は,正規化場理論においては,

全て収束するため.(120)に誘導する操作は,,これら収束積分

の内部で全て遂行できます。

  このことは.n≧2のループを含むタイプ()
の部分が全て

通常の発散方程式;μ5μ()2i05()に一致する

ことを意味します。
 

最後に,ループを,ただ1個だけ持つ,つまりn=1­diagram

でループ,軸性ベクトル頂点を1個持つ三角形のケースを

考える必要があります。

  
今や,なじみ深いことですが,このdiagramはアノマリー

を持つWard恒等式へと導きます。
 

これは正規化されたQEDでは,素朴な発散式に,次の項を加える

ものです。

  す
なわち, {α0^/(4π)}|ξσ()+FRξσ()}

{τρ()+FRτρ()}εξστρ(121) です。

ただし,α0^=e0^2/(4π) です。

  
要するに,我々のdiagram的解析は,正規化された場の理論

における軸性ベクトルの発散の式が次のようになることを

示しています。

  
すなわち,μ5μ()2i05() 

{α0^/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ

{α0^/(4π)}εξστρ 

×{ξσ()Rτρ()+FRξσ()τρ()

+FRξσ()Rτρ()}..(122)  です。

  
(122)はFを含む項を除いて,そして係数を中間くりこみ

電荷で表現していることを除いて.(68)と同等です。

  
の項は,系が正規子(regulator)の場を陽に含むことから

生じています。

  
(68)との完全な同等性を見るため,本節で使用される中間

くりこみ電荷を第2章の非くり込み電荷(=裸の電荷)と次式

よって関連付けます。
 

すなわち,0^(ξσ)中間くり込み量=e0(ξσ)非くりこみ量..(123)

です。

  
決定的な点はアノマリー項の係数が正確にα0^/(4π)

であり,摂動論の高次に由来する未知の結合定数のベキ

を含まないということです。

  
たった今与えたdiagram的解析は,次のように簡潔に

言い換えることができます。

  
もしも,運動方程式を計算するのに,(116)の正規化された 

Lagrangian密度を使用し,軸性ベクトルカレントの発散を

素朴に計算するのに,それで導かれる運動方程式を用いる

なら,正規化されていない理論と同じく,

μ5μ()2i05()..(124) を見出します。

 

そして、この(124)の右辺に余分な項が加わるとしたら,

それは素朴な導出が破れるような,特異なdiagram的な計算

にのみ由来するはずです。

  
しかし,正規化された場理論では,あらゆる仮想光子運動量

による積分は収束します。

  それ故,そのQFDだけでは,
diahram的な計算によっても,(124)

に付加項を与える特異性に導くことはできません。
 

,したがって,その破れ=アノマチー項が本当に存在するなら

それは基本的な軸性ベクトルのループ自身の性質に関連しな

ければならず,他の内線伝播関数の自己エネルギーなど内部

の輻射補正の影響は含まないはずです。

  
ところが,これまで見たように,4つ以上の光子を含む軸性

ベクトル頂点を持つループは,正確に式(124)を満足します。
 

 したがって,基本的な三角グラフのみが,唯一の可能な

アノマリーの源である,と結論されます。

  
こうして,アノマリー項は三角グラフの特性のみに由来し

それは,通常のQEDのくり込み=輻射補正の影響を受けない

ことがわかりました。

  
次は先述の「低エネルギー定理」もまた,輻射補正の

影響を受けない,ということを論じる予定ですが,長く

なると予想されるので.今日は短いですがここで

終わります。

 (参考文献):Lectures on Elementary Particles and

Quantum Field Theory(1970 Brandeis University

SummerInstitute in Theoretical Physics) Volume

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2017年7月20日 (木)

摂動論のアノマリー(14)

  摂動論のアノマリーの続きです。
 

4. Absence of Radiative Correction 

(輻射補正の欠如).

今からは,前章-前節の最後で持ち上がった問題: 

「三角グラフヘの輻射補正はアノマリーのある

軸性ベクトルの発散方程式を,修正させるか否か?」 

ということを取り扱います。

   
すなわち,.(100):μ5μ()2i05 

{α0/(4π)}(1+C)ξσ()τρ()εξστρ  

における定数Cの値は何か? 

   そして式(110):(0)2α0/π.
および,(0)=-2α0/π

の「低エネルギー定理」は,どのように修正を受けるか?

ということを論じます。

   
そして,結局,C=0 であり,(110)は摂動論のあらゆる 

オーダーで正確である,という著しい結果を見出します。
 

この結論は,基本的な三角グラフへの輻射補正は,

少なくとも5つの軸性頂点を持つ軸性ベクトルループ

を含み,それは最低次の軸性ベクトルの三角グラフに類似

せず,通常の,アノマリーのない軸性ベクトルWard恒等式

を真に満足する,ということに気付くことによって発見的

に理解できます。
 

そこで,仮想光子の運動量が固定されているとき,複雑な

輻射補正のグラフは,発散アノマリーを持ちません。
 

仮想光子の4元運動量は,基本的にこれらWard恒等式の

両辺にパラメータとして現われるので,仮想光子積分が,

あまりにもひどい発散をしない限り,Ward恒等式はこの

積分が実行された後でさえ成立し続けます。
 

本章の目的は,この発見的論旨を,より詳細な計算で

裏付け,三角グラフの輻射補正における通常のくり込み

可能な無限大によって何の問題も生じない,ことを示す

ことです。
 

§4.1.General Augument(一般的論旨)
 

最低次のアノマリーを持つ,軸性ベクトルの発散の式(68): 

μ5μ()2i05 

{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ  

および, 

「低エネルギ0定理」(110):

(0)2α0/π,(0)=-2α0/π は厳密に

正しいことを,以下に示します。

   
すなわち,これらは摂動論の,最低次だけでなく任意

のオーダーまで正しい式であること,が示されます。

一般的議論から始めます。

基本的な考え方は次の通りです。
 

前章で見たように掛け算因子:Z2(これは(68)右辺の素朴な

発散項の行列要素を有限にするくりこみ定数),(68)左辺

の軸性ベクトルカレントの行列要素からは,

発散を除去できません。
 

そこで,(68)の全ての項を同時的に有限にする単純な再計量 

というものは存在しません。

  
それ故,くり込まれていない(故に発散する)場と質量,

結合定数を含んではいても,(68)を直接,扱うのが最も

簡単です。
 

これらの発散量の道具を,well-defined(無矛盾的定義)

にするため,質量:Λの光子のregulator場(正規子の場)

を導入することによって,QEDの切断版をつくります。
 

切断処法は,通常のくりこみプログラムが実行される

ことを許します。

  
電子の裸の質量:m0と波動関数のくり込み定数:Z2,

および,軸性ベクトル頂点のくり込み定数;,

くり込まれた電荷と質量,および,切断Λの確立した

関数となります。
 

切断の場の理論において,くり込まれていない量に

対する(68)の正当性を証明するのは直線的で簡単

です。
 

それから,なお,切断が存在するときの行列要素:

2γ|205|0に対する「低エネルギー定理」を

導出し,最後に素朴な発散のくり込まれた行列要素に

対する「低エネルギー定理」を得るために切断Λを

無限大に近づけます。
 

さて,第1章で述べたQEDの通常のFeynmanルールを修正

することによって,切断を導入します。
 

新しいルールは,次のように読めます。
 

()運動量がpの電子内線に対して因子:

i(-m0iε)-1付与し,各頂点には,(i0γμ)

を付与する。

  
運動量がqの各光子内線に対しては,通常付与する

伝播関数:(iμν)/(2iε),切断regulator

の寄与を含めたもの;:

(iμν){1/(2iε)1/(2―Λ2iε)} 

(iμν)(-Λ2)/{(2iε)(2―Λ2iε)}..(112) 

で置き換える。(光子伝播関数の正規化)
 

()下図の2頂点の真空偏極(vaccum polarization)ループ

対する寄与を次式で与える。

すなわち,Πμν(2)()(i)∫d4(2π)-4 

[r|γμ(-m0iε)-1γν(-m0iε)-1}]

(113) です。
 

このΠμν(2)()が出現すれば,いつでもゲージ不変の

引き算項を用いることができます。

  すなわち,
 

Πμν(2)()=(-q2μνqμqν){Π(2)(2)-Π(2)(0)}

(114) です。
 

(14-1:上記の式(114)の説明です。

  以前,既に「摂動論のアノマリ-(1)」で詳述した
ように,

真空偏極の2次の固有グラフの寄与;Π(2)μν()を単に

全てのオーダーの寄与を示すのと同じ記号でΠμν()

と書けば,ゲージ不変性条件により,qμΠμν()0,

かつ,νΠμν()0 です。
 

それ故,Πμν()(μqν―q2μν)Π(2) 
  と書けます。
 Πμν()は2次発散しますがΠ(2)

高々,対数発散です。
,

光子伝播関数;iFμν()(iμν/2)の内線に

真空偏極グラフを挿入したあらゆるオーダーの寄与を

総和した級数和が,真の伝播関数: iF'μν()である

というのを図示すれば,

ですが,これの自己エネルギー固有部分を2次の真空

偏極の寄与.Πμν()}(に限定して,式に書き下せば,
 

iF'μν()(iμν/2)

(i02/2){iΠμν()}(i/2) 

(i02/2){iΠμλ()}(i/2){iΠλν()}

×(i/2)+.... 


  です。
 

実際には寄与しないスカラー光子や縦波光子を無視

すると,F'μν()

(-gμν/2){(02/2)Πμλ()F'λν(),

 
故に, {2μλ-e02Πμλ()}F'λν()

=-gμν です。


  これに,
Πμν()(―q2μν+qμqν)Π(2)

を代入すると,

{2μλ(-q2μλ+qμλ)02Π(2)}

F'λν()=-gμν  です。

   
したがって,

 F'μν()=-gμν/[2{1+e0Π(2)}]

 +qμλ0Π(2)/[2{1+e0Π(2)}]

 F'λν() 

 より.

   
F'μν()=―gμν/[2{1+e0Π(2)}]
  +
(μνに比例する項)という形を得ます。

 
右辺最後の縦波光子項は,計算には寄与しないので

 無視して,

 F'μν()=―gμν/[2{1+e0Π(2)}] 

   です。

   
対数発散するΠ(2)から,2をシフトしたものを

引けば有限になるので,Π~(2)=Π(2)-Π)(0)

 とすれば,これは有限です。

   
くり込んだ光子伝播関数DF'~μν(),右辺で

  Π(2)代わりに,Π~(2)で置き換えたもので

  与えて,F'~μν()

 =―gμν/[2{1+e0Π~(2)}] 

 とします。   (14-1終わり※)
 

 さて,次図のような4つ以上の頂点を持つ真空偏極ループ

  は,カレントの保存条件を課して計算されます。

    既に見たように,さらなる引き算の必要なく,

 これらを有限にできます。

   
(14-2);「摂動論のアノマリー(2)」で示した

  ように.発散次数をDとすると,これは,まず,内線

  により,b=光子の内線の個数,f=電子の内線の

  個数,k=内線運動量積分の個数として,
   
=4k-2b―fと書けます。

   
さらに,この同じDは,n=頂点の個数,B=boson

 外線の個数,F=fermion外線の個数とすると内線

   にも頂点nにも関係なく,D=43/2-B

   となります。これが次数勘定定理でした。

    そ
こで,上の2つのグラフでは,光子外線

 がB=B=6fermion外線は共に,F=0

 なので,D0,D=-2 です。
  
 
いずれにしろ,カレント保存条件(=ゲージ不変性条件)

 から,少なくとも次数2が消費されて減るので実質的な

発散次数をDeffとすると,eff≦D-2となりDは負と

なる のでこれ以上の引き算などの操作はしなくても,

収束します。   (14-2終わり※)

   
()いつものように,各内線積分としてループ変数:lにわたる 

 因子:∫d4(2π)-4が存在し,Fermionループであればさらに,

 因子:(1)が加わる。
 

 ()結合定数:0^,電子の裸の質量:0,波動関数のくり込み

 因子:2,くり込まれた量である電荷:,質量:,および

 切断:Λの関数として固定するため,1章で概説した標準的

 反復くり込み手法を用いる。

  このとき,有限なΛに対しては,:0^,0,2,全て

 有限となる。その理由は,光子伝播関数の正規化(および,

 ゲージ不変性),あらゆる頂点,伝播関数の自己

  エネルギー部分:たとえば次図のようなΠμν(2)()以外

 の全ての光子自己エネルギー部分を有限にするからです。
  そして1
,自己エネルギー:Πμν(2)()2)自身も,既に

 陽な引き算で有限化されています。

    ここで
^0はe0と同じではなく,これらは次式で関係

 付けられていることに注意します。

 0^2=e02/{1+e0Π(0)}..(115) です。

  
つまり,0^,謂わゆる中間くり込み電荷で,裸の電荷

 の最低次の真空偏極とその反復に関わる発散のみを除去

 することにより得られるものです。
 

(14-3): 私の学んだBjorken-DrellVol.1のテキスト 

では発散回避については,最低次の真空偏極のみのくり込み

だけという趣旨で,光子のくり込み定数をZ3として,

中間くり込みでなく最終くり込みの物理的電荷をeが,

 e=Z31/20,という形になるとされていました。

   
光子伝播関数;

F'μν()(-gμν)/[2{1+e0Π(2)}] 

,2 0 では,
 DFμν()
(-gμν)/[2{1+e0Π(0)}] 

=Z3Fμν()=Z3F'~μν()

に一致するというのがZ3の満たすべき条件でした。

 
これは,31/{1+e0Π(0)}を意味します。
 

31/{1+e0Π(0)}=e2/02 より,

2=e02/{1+e0Π(0)}を得ます。

の場合は,このeがe0^と定義されている

ようです。 (14-3終わり※)
 

()各電子外線と各光子外線にそれぞれ,波動関数のくり込み

因子:21/2,31/2=e/0を付与する。
 

このルール:()()の単純なセットは,通常のQEDの行列要素 

を有限にします。
 

これらのルールを,それらに次の正規化されたLagrangian密度 

(Regulated Lagrangian density):に対するFeynmanルール 

であることに着目ことにより,コンパクトに要約できます。
 

すなわち,L()0()() 

0()=ψ~()(iγμμ-m0)ψ()

(1/4)μν()μν()(1/4)μν()Rμν()

(1/2)Λ2μ()Rμ().

()=-e0^ψ~()(iγμψ(){μ()+ARμ()}  

+C(2){μν()+Fμν()}{μν()+FRμν()}(116) 

です。

  ここでAν(),質量:Λの正規化ベクトルメソン場であり
 

μν()=∂νν()-∂μν()は正規化場の強さ

のテンソルです。
 

(14-4):ψに対するEuler-Lagrange方程式, 

μ{/(μψα)}-∂/∂ψα0 から 

μ(ψ~iγμ)α+m0ψ~α

+e^0(ψ~γμ)α{μ()+ARμ()}0 


 整理すると,
 

[iγμμ-m0-e^0γμ{μ()+ARμ()}]

ψ()0 です。
 

一方,λに対するEuler-Lagrange方程式は. 

μ{/(μλ)}-∂/∂Aλ0 

ですが,
 

(1/4)μν()μν() 

(1/4)μανβ()(βα-∂αβ)

(νμ-∂μν)なので,

μ{/(μλ)}=∂μμλ()

です。

 
μμλ()+e^0ψ~()γλψ() 

4(2)μ{μλ()+Fμλ()}0 

ここで,μμλ()=-□Aλ+∂μλμ

を用います。
 

Feynmanゲージ;μμ0,μμ0

を取ると,μμλ()=-□Aλ,また,

μμλ()=-□Aλ 

結局,□Aμ()4(2) {μ()+Aμ()} 

=e^0ψ~()γμψ()=e^0μ() 

を得ます。
 

最後に,Rλに対するEuler-Lagrange方程式,: 

μ{/(μRλ)}-∂/∂ARλ0 より, 

(□+Λ2)μ()4(2) {μ()+Aμ()} 

=e^0ψ~()γμψ()です。

(()1/2(νν)2加えると,付帯条件として

の∂νν0 も得られます。)  (14-4終わり※)

 

(2)∝Π(2)(0)を含む項は,,(114):Πμν(2)() 

(-q2μνqμqν){Π(2)(2)-Π(2)(0)}2

の真空偏極ループの陽な引き算を実行する,対数的に

無限大のcounterter-term(相殺項)です。
 

:(116)は,正規子(regulator)の自由場のLagrangian密度

通常とは反対の符号で構成されています。
 

それ故, 正常共役運動量の儒号が反対で 

[μ(,), ∂Aν(,)/∂t]iμνδ3()

(117)ですが,これはAμに対して与えた正準交換関係:

(5):[μ(,),∂Aν(,)/∂t]

=-iμνδ() とは符号が反対です。
 

伝播関数の符号が交換関係の符号から直接導かれるので, 

正規子の裸の伝播関数は式(112): 

(iμν){1/(2iε)1/(2―Λ2iε)} 

(iμν)(-Λ2)/{(2iε)(2―Λ2iε)}. 

で要求されるように光子の裸の伝播関数と符号が反対

です。
 

我々の切断手法を明白にするには,次には軸性ベクトル

カレント:5μ()と擬スカラーカレント:5()

導入し,それらの性質を調べる段階です。

  まず,1にこうしたカレントの全ての
行列要素が,

切断理論の計算で有限になるかどうか?をチェック 

する必要があります。

 

そして,この疑問の答えはyesです。すなわち,それら

行列要素は有限となり,1つの軸性ベクトル,または

1つの擬スカラーの頂点を含む基礎Fermionループの

全てが,陽な引き算の必要なく光子頂点へゲージ不変性

を課すことによって,有限になる.という事実から,直ち

に導かれます。
 

途中ですが長くなったので.今日はここまで終わります。
 

(参考文献):Lectures on Elementary Particles and

Quantum Field Theory(1970 Brandeis University

SummerInstitute in Theoretical Physics) Volume

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訃報!! 砂川啓介さん、

俳優の砂川啓介さんが去る7月11日尿管ガンのため,亡くなられました。 

享年80歳でした。。

 HUFFPOSTニュース→

 砂川啓介さん死去.80歳認知症の妻・大山のぶ代さんを残し旅立つ「砂川啓介」の画像検索結果

 初代体操のおにいさん、以前はTVでよくお見かけしてました。近年はドラエモンの独特な声で,奥様の大山のぶ代さんの方がやや有名になりました。

 そして,最近はお二人とも高齢になってTVであまり見ぁけることもなく,認知症になってしまった奥様の大山のぶ代さんの介護に励んでおられたようです。

 優しい人でした。老々介護の最中でしたが,自らがガンとなって認知症の妻を残して先に逝くのは,さぞ無念であったろうと思います。

 ご冥福を祈ります。合掌!!

PS:昨日夜中から今朝にかけて旧友のM子さんから長電話がありました。

 私は本人の気づかない発達障害でアスペルガーなんだそうな。。

 最近のストーカーや家族同士の刃傷沙汰。。DVや不倫騒動とか男女の生臭いトラブルなどには全く無縁で,なぜなのかわからない。

 それは逆に.ある意味,少しのことでは感情が動かず。今は亡き父母の墓参りとか供養にも無関心,疎遠な兄弟や甥姪などの血縁の心配も全くせず。単に独居中で自分のことしか興味がない冷酷な性格なので,人間関係がわからないからトラブルに無縁なだけのことだそうです。

 実際,思春期からはずっと若年性の?仮面ウツ病でしたが,老年になって鈍感になったせいか?精神的ストレスからは一応解放されました。

 でも相変わらず薄情な性格で,仙人のように,多くの,他人様よりも無感情に近いロボットのような感性らしいです、

 昔から人間関係ではないオタク的な1つの事柄に夢中になり,その他のことでは,まだ人並みに成長していない発達障害のため,,世間の人々の人情の機微などは理解できない。だから一生独身で満足していて,アスペルガー症候群であるらしいということ??寂しい人生ですね。。

 いや,アインシュタイン、エジソンやニュートンにモーツァルトも同病であったとか?との説あるらしので。。

 それじゃ,褒めていたのかヨ。。でも私は,明らかにそんな偉いモンじゃないただの有象無象にすぎないので,似たのは病気だけの神の失敗作ですか。。

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2017年7月18日 (火)

訃報!!日野原重明 先生

聖路加病院の名物医師日野原重明さんが7ガツ18日朝,呼吸不全で亡くなられたそうです。享年105歳でした。

 

Yahooニュース→ 朝日新聞デジタル 

日野原重明さん死去05歳 聖路加国際病院 名誉院長

「日野原 重明 死去」の画像検索結果

 

 高齢になられてもますます元気で「生涯現役医師」であり,私の知ってるエピソードでは「高所恐怖症」を克服するため,90歳を超えてからスカイダイビングに挑戦なされたとか。。

 何歳になっても新しいことにチャレンジ。。プラス志向で誰でも元気になることを教えられました。

 105歳なら大往生ですね。

 ご冥福を祈ります。 合掌!!

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2017年7月15日 (土)

摂動論のアノマリー(13)

摂動論のアノマリーの続きです。

 
§3.4 Low Energy Theorem for 2i05()

(2i05()に対する低エネルギー定理)

 本章の最後に,アノマリ-のある軸性ベクトル発散の式 

(68):μ5μ()2i05 

{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ , 

真空から2光子の,素朴な発散:2i05の行列要素に

対する興味深い「低エネルギー定理」に誘導すること

を示します。

 
まず,第1に,上の式(68)は輻射補正のない三角グラフを

想定し,下図に示すようなグラフの寄与を考慮せずに導出

されたこと,に着目します。


 次数を勘定すると,これらのグラフもまた外線の本数

は同じ,単純な最低次の三角グラフと同じく.運動量

の1発散します。
 (※ ↑ 部分グラフの自己エネルギー
部分をくりこんて,

0 → m,e0 → eなどとした後も全体の三角グラフ

の1次発散は残ります。)

 
それ故,これら自身も軸性ベクトルカレントの発散に

おけるアノマリーに寄与しす。

 そうした
アノマリー項は,§2.2で,可能な引き算項に

ついて挙げたつの条件を満足するLorentz擬スカラー

でなければなりません。

 
そこで,これらも式(68)における右辺の最低次の三角

アノマリーと同一の形を持つ必要があることが容易に

わかる,と思います。

 そこで式(68)を次式に置き換えることによって三角

グラフの輻射補正に由来する三角アノマリーの可能性

を考慮に入れます。

 
すなわち,μ5μ()2i05

{α0/(4π)}(1+C)ξσ()τρ()εξστρ (100)

とします。

 
以下,上記の式(100)を「低エネルギー定理」の基礎となる

として用います。

 
先に進むため,真空:|0>と2光子状態:

|γ(1,ε1)γ(2,ε2)による(68)の行列要素を取ります。

 2
光子のKetベクトル:<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|の持つ

4元運動量k1,2偏光:ε12から形成できる唯一

の擬スカラーは1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρですから,

 (68),
または
(100)の各項の行列要素は全て,この表現形

因子として含むはずです。

 
そこで,<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|μ5μ|0

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(1,2) (101)

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|2i05|0

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(1,2) (101)

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|{α0/(4π)}ξστρεξστρ|0

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(1,2).(101)

と書くことができます。

 ここで,(1,2),(1,2),(1,2)はスカラー:

(1)2,(2)2,(12)の関数ですが,光子は共に実光子

なので,(1)2(2)20であり,結局,(12)のみの

関数です。

 等式
(100)の行列要素としての形は,,,Hによって

次のように単純な等式に書き直せます。

 
(1,2)=G(1,2)(1+C)Hk1,2) .(102)

です。

 この
(102)から[]亭エネルギー定理」を導出するため.,

次に定義する行列要素:

μ(41020)-1/2<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|5μ|0

についての注目すべき運動学的性質を用います。

 
前節で着目したように,Lorentz不変性,ゲージ不変性, 

Bose統計の要請は,μ次の一般形をとることを要求

します。

  これについては
「摂動論のアノマリー(6)」でのσρμ

 についての考察を参照します。


  
以下,煩雑さを避けるため,μを表現する係数を前に

σρμを表わすのに用いたのと,全く同じj(1,26)

で表わしますが,ここでは当然,前とは異なるものを

意味します。
 

μ=ε1σ*ε2ρ*[11τετσρμ+A22τετσρμ 

+A31ρ1ξ2τεξτσμ+A42ρ1ξ2τεξτσμ 

+A42ρ1ξ2τεξτσμ+A51σ1ξ2τεξτρμ 

+A62σ1ξ2τεξτρμ] .(103) 

と書くことができて

 
1(12)3(2)24,

2(1)25(12)6 であり,

3(k1,2=-6(k2,1,

4(1,2)=-A5(2,1) ,.(104)

です。

   
軸性カレントの発散の行列要素は,(1+k2)μμ

比例します。

  
ここで6つの4元ベクトル:,,,,,fによって

満足される恒等式を用います。

  すなわち,
(af)|bcde|(bf)|cdea|

(cf)|deab|(df)|eabc|

(ef)|abcd|=0 .(105) です。

ただし,(af)=a・f(aとfのスカラー積)

あり,|abcd|=aξτσηεξτση etc.

です。

  
※注13-1) (105)を証明します。
 

まず,|abcd|=aξτσρεξτσρ etc. 

明らかに4元ベクト:,,,dを列ベクトルとする

4×4行列の行列式に等しいです。

  
さらに,,,,,eを列ベクトルとする4×5行列

に,1(μ,μ,μ,μ,μ)を上に追加して5×5行列

つくり,その行列式を展開すると,  

μ|bcde|+bμ|cdea|+cμ|deab| 

+dμ|eabc|+eμ|abcd|を得ます。

  
この展開前の5×5行列式は.μが,0,1,2,3のどれでも

行が一致するので,ゼロです。

  
そこで両辺にfμを掛けてμで総和縮約すれば,

(af)|bcde|(bf)|cdea|(cf)|deab| 

(df)|eabc|+(ef)|abcd|=0 

が得られます。 (13-1終わり※),

  
さて,(af)|bcde|(bf)|cdea|

(cf)|deab|(df)|eabc|

(ef)abcd|=0 においてa=f=k1,b=k2,

c=k1+k2.d=ε1,e=ε2と置くことにより,
 

(1+k2)μμ

(3-A6)(12)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ(106)

を得ます。(※ここは本文をそのまま直訳しただけです。) 

(13-2):上の式(106)を証明します。

  
(103)μを表わす式の両辺に(1+k2)μを掛けて, 

実光子条件:(1)2(1)20, および,光子の横波条件: 

1ε1=k2ε20 を適用します。

  
このとき,例えばk1τ1σετσρμのように,ετσρμ

同じ1が2個以上掛かった因子などはゼロと消えるため,
 

(1+k2)μμ 

(1+k2)μ[ε1σ*ε2ρ*{11τετσρμ

+A22τετσρμ+A31ρ1ξ2τεξτσμ

+A42ρ1ξ2τεξτσμ+A42ρ1ξ2τεξτσμ

+A51σ1ξ2τεξτρμ}]

  
=A1|1ε1ε2(1+k2)|+A2|2ε1ε2(1+k2)|

=A1|1ε1ε22|+A2|2ε1ε21| 

(1-A2)|1ε1ε22| となります。

  
そして,1(12)3(2)24(12)3, 

2(1)25(12)6(12)6 ですから 

(1+k2)μμ(3-A6) (12)|1ε1ε22| 

を得ます。

  
そして,|1ε1ε22|=ε1τ*ε2σ*1ξ2ρεξτσρ 

=ε1τ*ε2σ*1ξ2ρεξτσρ

=k1ξ2τε1*σε2*ρεξσρτ 

=k1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρですから,結局,

(106)が得られました。

  
どうも,本文に反して(106)を証明するだけなら,恒等式

(105)を使う必要はなかったようです。

   
しかし,ちなみに,一応,a=f=k1b=k2,

c=k1+k2.d=ε1,e=ε2を式(105)に代入して

みると.(1)2|2(1+k2)ε1ε2|

(21)|(1+k2)ε1ε21|

{(1+k2)1}|ε2ε112|

(ε11)|ε212(1+k2)|

(ε21)|k12(1+k2)ε1|0 

です。

  
(1)2(1)20, 1ε1=k2ε20 を用いると 

(21)(|2ε1ε21||2ε1ε21|

|ε2ε112|)0 です。


  
つまり,|2ε1ε21||2ε1ε21|

 |ε2ε112|を得ます。  (13-2終わり※)

  
さて,軸性ベクトルj5μ(真空 → 2光子)

行列要素:μ,

μ(41020)-1/2<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|5μ|0 

と定義されているので,

  
たった今証明した式(106):
 (1+k2)μμ

(3-A6)(12)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ

,(1+k2)μ<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|5μ|0 

(3-A6)(12)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ 

を意味します。

  
一方,(101):<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|μ5μ|0 

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(1,2) 

の左辺:<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|μ5μ|0>は, 

明らかに,上記の,

(1+k2)μ<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|5μ|0 

の定数倍です。

  
つまり,

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(1,2) 

(3-A6)(12)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ 

です。

  そして,
 (1,2)(12)のみの関数なので,

これをF(12)と書けば,(12) (12)

と結論されます。

   
故に,(0)0..(108) です。

   
これは,素朴な発散の(真空 → 2光子)の行列要素: 

(101): <γ(1,ε1)γ(2,ε2)|2i05|0 

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(1,2) 

のG(1,2),
 

演算子:{α0/(4π)}ξστρεξστρの行列要素, 

つまり,(101): 

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|{α0/(4π)}ξστρεξστρ|0 

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(1,2) 

のH(1,2)に関係付ける「低エネルギー定理」

を与えます。

   
すなわち,先の(102):

(1,2)=G(1,2)(1+C)Hk1,2) 

が成立しますが,これを,

(12)=G(12)(1+C)Hk12) 

と書けば,0=F(0)=G(0)(1+C)(0) 

が得られます。

  
したがって,(0)=-(1+C)(0) ..(109) です。
 

摂動論のゼロでない最低次では,Cは無視されます。 

(※何故ならCは三角グラフの高次補正の輻射補正係数です。)
 

(0)「摂動論のアノマリー(8)」で与えた,5μ,05,および

{α0/(4π)}ξστρεξστρに対するFeynmanルール: 

5μ() p←p' ⇔ γμγ5 

5()  p←p'  γ5 

{α0/(4π)}ξστρεξστρ  1,σ←k2,ρ  

⇔ (2α0/π)1ξ2τεξστρ 

から評価することができて,

(0)2α0/πです。故にG(0)=-2α0/π..(110)

です。

  ※
(注13-3:何故なら,1,2 0 の低エネルギー2光子

の極限上記のFeynmanルールから,

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|{α0/(4π)}ξστρεξστρ|0 

(41020)-1/2(2α0/π)1ξ2τεξστρ 

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(0)

と掛けるので,(0)2α0/π を得ます。

  
そして,(0)=-(1+C)(0)であり,1,2 0

低エネルギー2光子の極限では,C=0 ですから,

(0)=-2α0/π です。 (13-3終わり※)

(0)に対するこの結果は,もちろん,大した面倒も

なく,直接,式(61):σρ=k1ξ2τεξτσρ1,

1,8π2000(1,2) に与えられたGに対する

最低次の表現から導出できます。

  
すなわち,(0)

[iε1*σε2*ρ(i02)(2π)-4(20σρ)

/1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ]k1,k2 0

=e02(2π)-4(201) k1,k2 0

=-e02/(2π2)=-2α0/π.. (111)
 

となることがわかります。
 

(13-4):何故なら, 

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|2i05|0 

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ(12) 

,1,2 0 の低エネルギー極限では,
 

この最低次の寄与の表現:

(41020)-1/2iε1σ*ε2ρ*(i02)(2π)-4(20σρ) 

に等しいからです。  (13-4終わり※)
 

しかしながら,次節で詳細に見るように,「低エネルギー定理」 

の本当の重要性は,(0)に対する式(110)は.あらゆる輻射補正 

を注意深く考慮に入れても,なお",正確に正しい"ということ

です。(※ただし,(0)=-2α0/πではなく(0)=-2α/π

が正しいのですが。。)

  
これで第3章が終わったので,今日はここまでです。

  
参照ノートの日付は19951/26()です。2/1私の

45歳の誕生日直前です。

  お金になる研究者などの
仕事のためとかならともかく,

もっと人生イロイロあるのに,いい年をして何を真面目

に勉強してたんだか? 。まったく。。。
 
(※ 柔肌の熱き血潮に触れも見で,さみしからずや,

道を説く君(与謝野晶子)。。。)

 
さて,次回は,第4章,Absence of Radiative Corrections

(輻射補正の欠如)に入る予定です。

 
(参考文献):Lectures on Elementary Particles and

Quantum Field Theory

(1970) Brandeis University SummerInstitute in

Theoretical Physics) Volume

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2017年7月12日 (水)

摂動論のアノマリー(12)

摂動論のアノマリーの続きです。
 

※余談ですが,私の現在の満身創痍状態は,70近い高齢に

加え30年前から持病の糖尿病で今は血管がボロボロに

なってるせいだと思います。
 

最近,健康番組を見ていると,糖尿病は身体にとっては諸悪

根源で,認知症の引き金になりやすく,また,高齢とともに

海馬が委縮して,記憶もまばらになっていくといわれますが,

 なぜか
私は幸か不幸か,脳だけは以前に増してよく働いて

くれてるようです。

 線香花火が落ちて消える直前の輝き
なのか?,はたまた

狂い咲きなのか?三振前の大当たりなのか? という

ところでしょうが。。。

 
ただし,残念なことに身体は動きませんし,さびしい

ことに五欲,煩悩は弱いです。※)
 

§3.3 Connection between γ5 -Invaliance and a Conserved 

Axialvectot current in massless Electrodynamics 

(γ5 不変性と質量ゼロの電磁力学における軸性ベクトル 

カレントの保存の間の関係)
 

さて,質量がゼロのスピノル電磁力学,すなわち,Lagrangian密度

,()=ψ~()(iγ∇―m0)ψ()(1//4μν()μν() 

-e0μ()...(1) で与えられる標準的なQED,

 荷電Fermion の質量がゼロ;00と仮定したケースにおいて,

軸性ベクトルの摂動三角グラフの効果を考察します。
 

この考察では,三角グラフがLagrangianの対称性と

保存カレ)ントの間の通常の理論的関係を破るという結論

に導く,ことが見出されます。
 

以前の議論におけるように,特異な現象がないとき成立する 

標準理論から始めます。
 

{Φ()}{Φ1(),φ2(),..}と∂λΦ},それぞれ,

正準場,その時空座標による微分係数とし,場の理論

次のLagrangian密度で記述されるとします。
 

すなわち,()({Φ},{λΦ}) .(88) です。
 

の不変性と保存カレントの関係を確立するために,

場に対して,次の無限小局所ゲージ変換を施します。
 

パラメータ:v(x)をv(x)~ 0(無限小)として,

Φj() → Φj()+v()j({Φ()})..(89)です。
 

これに対応するカレント:αをjα=-δL/δ(α) (90) 

で定義します。
 

このとき,場の運動を記述するEuler-Lagrange方程式 

を用いることによって.このカレントの4次元発散が, 

αα=-δL/δv ..(91) で与えられることが 

容易にわかります。
 

(12-1): (91)式を証明します。 

まず,Φj'=Φj+v()j({Φ})と置いて, 

Φjの変分をδΦj=Φj'-Φj=v()j({Φ}) 

と書きます。
 

すると,λΦj'=∂λΦj+∂λV・Gj+V・∂λj 

より,δ(λΦj)=∂λ(δΦj)=∂λV・Gj+V・∂λj 

です。
 

それ故,Φjの変分に対するの変分は, 

δ=({Φ’},{λΦ’})({Φ},{λΦ}) 

(/∂Φj)δΦj{/(λΦ)}δ(λΦj) 

(/∂Φj)v・Gj({Φ}) 

{/(λΦ)}(λv・Gj+v・∂λj) 

で与えられます。
 

一方,δ/δV={(v+δv)()}/δv 

(/∂Φj)j{/(λΦj)}(λj) 

です。
 

そして,カレントの定義により, 

α=-δ/δ(α)=-{/(αΦ)}jですから, 

αα=-∂α {/(αΦ)}j{/(αΦ)}αj 

です。
 

ここで.Euler-Lagrange方程式: 

α{/(αΦj)}(/∂Φj)0 を用いると, 

αα=-(/∂Φ)j{/(αΦj)}αj 

を得ます。
 

この最右辺は,確かに,上記の(-δ/δv)に一致

していることがわかります。 (12-1終わり※)
 

特に(89):Φj() → Φj()+v()j({Φ()}) 

のゲージ変換でv()=v(一定)であるとき∂αv=0 

,これは局所ゲージ変換(local gauge transformation) 

ではなく大域ゲージ変換(global transformation)です。
 

特に,大域ゲージ変換に対してが不変で,δ/δv=0 

のとき,カレントは,α=-{/(αΦ)}jで与えられ 

αα0 が成立します。(Noetherの定理)
 

そこで,Lagrangiian:を不変に保つ任意の連続変換に, 

1つの保存カレントが対応します。
 

そして,容易に証明できるように,カレントjαと関わる 

チャージをQ()=∫d30(,)とすると,

これは次の性質を持ちます。
 

すなわち,dQ()/dt=0。。(92a),および, 

[,Φj()]iGj()..(92) です。 

チャージ:Qは運動の恒量(constant)です。
 

(12-2) αα0 は,3次元空間のベクトル解析表現 

では,謂わゆる連続の方程式;∂j0/∂t+div0 を意味 

します。

  
故に,dQ/dt=(/dt)∫d30(,) 

=-∫d3(div)=-∫S=∞0 が

得られます。

  
次に,0=-{/(0Φj)}jですが, 

正準理論では,πj=∂/(0Φ)jはΦj

正準共役運動量(Canonical conjugate momentum) 

であり,正準量子化は,これらが同時刻正準交換関係: 

[πj(,),Φk(,)]=-iδjkδ3()

を満たすという,量子条件を課すことでなされます。
 

そこで,0()=-πj()j()ですから, 

[0(,),Φj(,)]ij(,)δ3()

です。

  
したがって,

[,Φj(,)]=∫d3[0(,),Φj(,)] 

i(,), つまり ,[,Φj()]i()

が成立します。 (12-2終わり※)
 

(12-3):変換の無限小パラメータ:vが一定の大域

ゲージ変換は第1種ゲージ変換,vが時空点xの関数である

v=v()ときの局所ゲージ変換は第2種ゲージ変換と

呼ばれる,ことがあります。

  
普通に,^―ジ変換に対して不変というと第2種ゲージ変換

対する不変性を指すことが多く,この変換に対して

不変なとき,系はゲージ対称性を持つといいます。

  
しかし,Noether定理が成立してカレントの保存則を得る

には,1種ゲージ変換に対してLが不変であれば十分です。
 

もっとも,2種ゲージ変換に対してLが不変であれば, 

特別な場合として,1種ゲージ変換に対してLが不変な 

ことは明らかですから,2種ゲージ変換に対してLが不変 

なら,同じカレント:jについて保存則が成立し運動の恒量 

としてチャージ:Qが存在します。
 

しかし,逆は成立しません。第1種ゲージ変換に対して系が

不変(が不変)であるとしても,2種ゲージ変換に対して

系が不変であるとは限りません。
 

例えば,大域的な座標原点の平行移動(時空点の平行移動)

に対して系が不変(が不変)な場合,保存チャージとして

場の4元運動量;μ=(0,)を得ます。
 

しかし,一般に,局所的平行移動については,この系は不変性

保てないではない,ことが多いです。
 

通常は,一様な平行移動不変性=空間の一様性(=座標原点

位置の取り方の自由)から運動の恒量として運動量;μ

,回転(ブースト)対称性=空間の等方性(座標軸の向き

の取り方の自由)から角運動量:μνが得られます。
 

しかし,余談ですが,巨大個数の気体分子が容器の中に密閉

されていて.内部で衝突を繰り返して熱平衡にあるような

熱力学,統計力学の対象となるような系では,空間の一様性

も等方性も満たされず,ただ.時間の一様性のみ存在して,

運動の恒量としては,系のエネルギ-:E=P0だけが存在

します。

  
そこで,統計力学を規定するのには,系の運動量Pも角運動量

も寄与せず,関係するのはEのみです。 

  (12-3終わり※)

 

さて,本文の最後の式;[,Φj()]i()..(92)

はQが,v=一定のゲ-ジ変換の生成子(generator)をなす

ことを示しています。

(12-4):任意の状態ベクトル:|α>に対して,ゲ-ジ変換 

を与えるユニタリ変換をパラメータ:vの関数としてU() 

とすると,この変換は,状態空間では,|α> → U()|α>

なることを意味します。
 

任意の|α>,|β>に対して,場Φjの行列要素は 

<α|Φj()|β> → <α|()Φj()()|β> 

と変換されます。
 

これが,古典物理との対応原理を満たします。
 

すなわち,vが無限小のとき,

<α|Φj()|β> → <α|()Φj()()|β> 

=<α|Φj()+vGj({Φ()})|β> です。
 

|α>,|β>は任意なので,

()Φj()()=Φj()+vGj({Φ()})ですが,

[,Φj()]i()を代入すると, 

Φj()i[,Φj()](1ivQ)Φj()(1ivQ)

です。

  
したがって,v~ 0では,()1ivQ ~ exp(ivQ)

です。vが無限小でないときは,()exp(ivQ),

このQを数学では,Lie群の元であるユニタリ変換:()

Lie代数といい,物理学では,ゲージ変換の生成子

(generator)といいます。
 

()がユニタリ(Unitary)演算子:, 

つまり,()exp(ivQ)=U-1()exp(ivQ) 

なので,Q=Qとなり,Qはエルミート(Hermite)演算子です。
 

これはQの期待値が実数であることを意味します。
 

(12-4終わり※)

  
次に,質量ゼロの電磁力学のケースに特殊化し,
  
変換;(89):Φj() → Φj()+v()j({Φ()}) 

 が,スピノル場:ψ()に対するゲージ変換;

 ψ() {1iγ5()}ψ()>..(93)である場合

 を考えます。

  
この変換はQEDLagrangian(1):

 ()=ψ~()(iγ∇―m0)ψ()(1//4μν()μν() 

 -e0μ(),00としたものを,vが定数のとき不変に

 保ちます。

  
そこでカレントを計算すると,α=-δ/δ(α)

 =-{/(αψ)}γ5ψ=ψ~γαγ5ψ..(94)です。

  
これは,既に論じてきた軸性ベクトルカレント:5α

 一致するので,:(68):μ5μ()2i05()

 {α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ に従えば,
 
 

αα{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ..(95) 

を満たすはずです。
 

それ故,正準定式化と運動方程式を用いて得られた式(91): 

αα=-δL/δv が,この場合には破れています。
 

つまり,軸性ベクトルの三角グラフの存在のために,たとえ

質量ゼロの電磁力学のLagrangian(そして摂動論のあらゆる

次数)不変であろうと,γ5-変換(=Chiral変換)と関わる

軸性ベクトルカレントは保存しないことがわかります。
 

しかしながら,γ5-変換に対応するNoetherの保存カレント

が存在しないときでさえ,なお,(92):dQ/dt=0,

[,Φj()]i()の性質を持つ,変換の生成子:

Q=Q~5が存在する,ことがわかります。

これは興味深いことです。
 

このことを見るために,修正カレント:~5μを次のように 

定義します。

  
すなわち,

~5μ()=j5μ()(α0/π)ξ(ρτ)εξμτρ.(96)

です。

  
これは,

(95):μ5μ{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ 

を用いると,保存条件:μ~5μ()0..(97) 

を満足することがわかります。

  この
~5μ()は保存しますが,これは明らかに電磁場

のゲージの取り方に依存するため,観測可能なカレント

演算子ではありません。
  (※電場,磁場など,電磁力学で
実際に観測される量は

ゲージ不変であることが必要です。※)

 
(12-5)

~5μ()=j5μ()(α0/π)ξ(ρτ)εξμτρ 

なので,ゲージ変換:

ξ() → A'ξ()=Aξ()+∂ξΛ, 

かつ,ψ() → ψ'()exp{i0Λ()}ψ()

を考えると,

  ま
,ψ~() → ψ'~()=ψ~()exp{i0Λ()}

です。

  
それ故,ψ~γμγ5ψ → ψ'~γμγ5ψ'= ψ~γμγ5ψ, 

つまり,5μ ← j'5μ=j5μですから,5μはゲージ不変 

です。また,よく知られているように,場の強さは, 

τρ → F'τρ=Fτρを満たします。
 

しかし,ξ(ρτ)εξμτρ(1/2)ξτρεξμτρですが 

ξτρ → A'ξτρ≠Aξτρであり,これはゲージ不変 

ではありません。  (12-5終わり※)
 

それでも,~5μに関連するチャージを,

~5=∫d3~50()とすると,これは,

~5=∫d3{ψγ5ψ+(α0/π)(∇×)} 

と書けて,ゲージ不変であり,それ故観測可能量(observable)

です。
 

(12-6):~50=ψγ5ψ-(α0/π)ξ(ρτ)εξ0τρ 

=ψγ5ψ+(α0/π)εijki(k) 

=ψγ5ψ+(α0/π)(∇×) です。
 

そして,=∇×は磁場であり明らかにゲージ不変です。
 

また,+∇Λに対して,(∇×)AB  

(+∇Λ)AB(∇Λ)AB+∇(Λ)-∇ 

ですが,0,かつ,∫d3(Λ)0 より 

∫d3xA(∇×)はゲージ不変です。 

 (12-6終わり※)

 

Q~5については,(97):μ~5μ()0.により

dQ~5/dt=0 が成立し,また,生成子の条件:[

~5,ψ()]=-γ5ψ() が満たされます。
 

これは,スピノル場の同時刻正準反交換関係: 

{ψα(,),ψβ(,)}=δαβδ3()

を用いて容易にチェックできます。
 

切りがいいし,今日はここで終わります。
 

次回は,3章の最終節である,§3.4 Low Energy Theorem  

for 2i05()(低エネルギー定理)に入ります。
 

(参考文献):Lectures on Elementary Particles and

Quantum Field Theory

(1970 Brandeis University SummerInstitute in

Theoretical Physics) Volume

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2017年7月 8日 (土)

摂動論のアノマリー(11)

摂動論のアノマリーの続きです。
 

§3.2.Radiative Correction to νl scattering 

(νll散乱への輻射補正)
 

(81):2Γ5μ(,p') 

=γμγ5{1(3/4)(α0/π)2 ln(Λ2/02)}+α0×(有限値) 

+α02×(有限値)+O(α03)

の応用として.

 
νll散乱(lはlepoton(軽粒子;μまたはe)の輻射補正 

を考えます。

(40):で見たように,Fielz変換の後では,νll散乱を

記述する局所カレントーカレントLagrangianは,

次のようになります。 

(/2){μ~γλ(1-γ5)μνμ~γλ(1-γ5)νμ 

+e~γλ(1-γ5)eνe~γλ(1-γ5)ν} ..(83)

これの輻射補正は,ニュートリノカレントには触れず,

単に荷電レプトンのカレント:μ~γλ(1-γ5)μと,

~γλ(1-γ5)の輻射補正を計算することで

得られます。

  
これら,略記した,μとeのV-Aカレントを,改めて 

(μ)~γλ(1-γ5)(μ), ()~γλ(1-γ5)() 

と詳細形で表わすと,


 
輻射補正することは,これらのカレントを 

(μ)~2(μ)[Γ(μ)λ-Γ(μ)5λ)(μ) ,および, 

()~2()[Γ()λ-Γ()5λ)()   .(84) 

に置き換えることに相当します。
 

これを見るため,まず,「摂動論のアノマリー(1)」において,

列挙したFeymanルールの項目():を再掲載すると,

各光子の外線に因子:εμ√Z3を対応付ける。

ここにεμは光子の偏極4元ベクトルであり,3は光子波動関数

のくり込み定数である。

 
各電子外線にはグラフに入ってくるものに,√Z2(p,s), 

それから出ていくものに,√Z2~(,)を対応させる。
 

陽電子の外線はuの代わりにvを用いるだけの違いである。
 

2は電子波動関数のくり込み定数である。
 

非連結泡グラフの挿入や,外線の電子線や光子線への自己

エネルギーの挿入は除く。


 です,

 (84)は,
これに由来する波動関数のくり込み定数Z2(μ,)2

 Properな頂点:Γ(μ,)λ,Γ(μ,)5λを伴なう形式です。
 

既に,通常のベクトルカレントのWard恒等式から,

2(μ)Γ(μ)λ,2()Γ()λは有限であることを知って

います。

 
一方,(81)によれば,2(μ,)Γ(μ,)5λ

=γλγ5[1(3/4)(α0/π)2ln(Λ2/02)]+α0×(有限値)

+α02×(有限値)+O(α03)  .(85)であり,

 
これは軸性ベクトルの三角グラフの存在のために,
νeと

νμμの散乱への輻射補正が摂動論の4次で発散することを

意味します。

 
この結果は,μ崩壊やν+e,νμ+μの散乱への輻射補正

摂動のあらゆるオーダーで有限である,という事実とは,

際立って対照的になっています。
 

2つのケース(同値変形であるFielz変換前後の形式)の決定的

な違いは,もちろん,

 
μ-(=Nμ+Nνμ)
とe-(=N+Nνe)の別々に保存する

ため,,カレント;μ~λ(1-γ5)μと,~γλ(1-γ5)eとは異なり

カレント:μ~γλ(1-γ5),閉電子ループや閉μ-粒子ル-プ

coupleできず,

 
それ故,
面倒な三角グラフは存在しないということです。
 

νl+lの散乱における輻射補正,に対して,2つの観方を

取ることができます。
 

1つの観点は,既知のことですが,とにかく,レプトン的 

弱い相互作用の局所カレント-カレント理論が正しい

はずがない,ということです。

  何故なら,この理論は
高エネルギーでユニタリでない

行列要素に導くこと,そして,そのことから高次の弱い

相互作用の効果として,発散する結果を得るからです。
 

そこで,満足できる弱い相互作用の理論を与えるのために,

(83):(/2){μ~γλ(1-γ5)μνμ~γλ(1-γ5)νμ 

+e~γλ(1-γ5)eνe~γλ(1-γ5)ν} 

における必要な修正がνll散乱の無限輻射補正の欠陥を 

救うことが完全に可能となります。
 

これは上記の(83)が次式に置き換わるよう有効Lagrangian

散乱項:νμ,νμeを導入することができれば可能です。
 

すなわち,(/2){μ~γλ(1-γ5)μ-e~γλ(1-γ5)} 

{νμ~γλ(1-γ5)νμ-νe~γλ(1-γ5)ν}..(86) です。
 

これは,(68)での面倒で余計なアノマリー項が,裸の質量m0 

には独立であり,それ故,上記(86)においてμ粒子と電子の項 

の間で,それらアノマリーが相殺して消えるように作用します。
 

つまり,軸性カレントの4次元発散のWard恒等式は, 

λ{μ~γλγ5μ-e~γλγ5} 

2i0(μ)μ~γ5μ-2i0()~γ5..(87) 

となります。
 

(76)(79)のアノマリーのない場合の論議を

上の(87)に適用すれば,この輻射補正が有限であること

が示されます。
 

これで何が生じるのか?というと,全νe散乱振幅に

おいて,-三角グラフとμ-三角グラフが,互いに逆符号

として寄与するため,アノマリーは正規化されて消える

という主張です。

 
実験的に,νeの弾性散乱を調べることによって,(86)

と式(87)区別して,どちらが現実に近いか?を見ることは

可能です。

しかし,現在の実験の限界上では,なお,結果は(86)と矛盾

しないものですが,非常に限定的になりつつあります。
 

(11-1):現在では,ニュートリノ以外の荷電レプトンは

μ粒子,(電子)の他に,τ粒子が存在することがわかって

います。

 
これらの粒子の電荷は,素電荷eを単位として全て(-1)です。
 

一方,軸性カレントの三角アノマリーは,ループをつくる粒子

の電荷に比例しており,その相殺はレプトンの寄与だけでは

不可能と考えられています。

 
そこで,ハドロンを構成する3世代のクォークを考慮に入れます。

それは,(,)(アップ,ダウン)(,)(チャーム,ストレンジ),

(,)(トップ,ボトム)です。

これらは,それぞれ,(2/3,1/3)の電荷持って います。

 
そして,現実にはカラー自由度の3があるので,電荷の総和

は(3)です。
 

これらに,レプトンの3世代:(,ν),(μ,νμ) (τ,ντ)

が対応していて,電荷はそれぞれ,(1,0)で総和は(-3)です。
 

また,それぞれの粒子には電荷が反対符号の反粒子も存在します。
 

いずれにしろ.全ての三角グラフのアノマリーの寄与は,

トータルでは,相殺され消えます。

この相殺は,クォークにカラー自由度が無かったり,レプトン

に3世代が無いなら,成立しません。

そして,例えばνe散乱でアノマリーが寄与しない理由は,

その散乱振幅に,摂動の中間状態としてeやνだけでなく,

あらゆる可能な素粒子の三角ループが介在するFeymanグラフ

の寄与が総和されてゼロになることである,と考えられます。
 

こうしたことを最初に指摘したのは,確かt'Hooftであった 

と記憶しています。

 
こんなことは,ネットででも,チョッと調べればわかること 

でしょうが,最近,歳のせいか,認知症や老人性のウツ病のケ

あるのか?ブログ原稿書きのときには,自分の参照中の

ノート以外の記憶にあることを調べるのも億劫で面倒くさい。

という心境です。もう先は長くないかも??   

 (11-1終わり※)

 
まだ,いつもより短かいですが,次の項目: 

§3.3 Connection between γ5 -Invaliance and a Conserved 

Axial-vectot current in massless Electrodynamics 

(γ5 不変性と質量ゼロの電磁力学における軸性ベクトル 

カレントの保存の間の関係)
 

,これまでとは,一見,全く別とも思われる論題を考察する 

ので今日はここで終わります。

 次回は§3.3に入る予定です。
 

(参考文献):Lectures on Elementary Particles and

Quantum Field Theory


 
(1970 Brandeis University SummerInstitute in

Theoretical Physics) Volume

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訃報!!上田監督。。森コーチ

プロ野球のパリーグ阪急の日本シリーズ連覇のときの監督で,その後日本ハムの監督もつとめた上田利治さんが去る7月1日に肺炎のため,亡くなられたそうです。 享年80歳でした。 

NHKNEWSWEB → プロ野球阪急監督など上田利治氏 死去 

「上田監督」の画像検索結果

星野氏のように選手を怒鳴るというイメージではなく,穏やかで選手を信じる名監督でしたネ。

 
同じころ,6月28日に元投手で,今は西武の現役の一軍投手コーチの森慎二さんが多臓器不全のため急死されました。 まだ42歳でした。

日刊スポーツ → 西武コーチ森慎二さん急死 辻監督沈痛 「つらい」「森コーチ」の画像検索結果

私が日本プロ野球に大いに興味を持っていた時期から,ずれているため,森さんについては,ほとんど印象がありません。

 池袋西口の芸術劇場では,俳優さんが公演中に舞台から落ちて亡くなられたらしいです。

また,九州を中心とした突然の天災,豪雨の被害者の方々もおられます。

ヒトゴトではありません。

とめ訃報の記事ですみません。

ご冥福を祈ります。合掌!!

pS:このところ夜間に微熱が出て右足軽い炎症で,抗生剤を飲んでます

夏バテか?熱中症初期なのか?食欲も何もなく寝たきりに近いです。

いつ敗血症,多臓器不全を起こすか?という危険性あるので自宅静養中です。それなりに食べて寝て,TVのニュースやスポーツや将棋を見て楽しむくらいの元気はありますが。。

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2017年7月 2日 (日)

摂動論のアノマリー(10)

摂動論のアノマリーの続きです。第3章に入ります。
 

3.Consequence of the Triangle Anomaly 

(三角グラフアノマリーからの帰結)
 

これまでの節で見出された,軸性ベクトルの4次元発散 

におけるアノマリーからのいくつかの帰結を調べます。
 

このアノマリーの存在が軸性ベクトル頂点のくり込みと,

γ5-対称性 を取り扱うべき標準的結果において,変化を

生ぜしめることを見るつもりです。
 

そしてまた,(68):μ5μ()2i05() 

{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ 

から,その一般化が,π0崩壊の興味深い物理的暗示

を与える,真空から2光子への行列要素である,素朴な

発散の2i05に対する1つの「低エネルギー定理」

が導かれることを見出すつもりです。
 

§3.1.Renormalization of Axial-Vector Vertex 

(軸性ゲクトル頂点のくり込み)
 

まず,くり込みの下での軸性ベクトル頂点の挙動の解析から 

始めます。
 

思い起こすと, 

(30):Γμ5(,p')=Z-1Γ~μ5(,p'),および, 

Γ5(,p')=Z-1Γ~5(,p')  

によって,軸性ベクトル頂点と擬スカラー頂点の両方は

,掛け算的にくり込み可能で、それぞれのくり込み定数:

とZを有します。

 
ここで,これらのくり込み定数が電子波動関数のくり込み

定数:2と同じか,あるいは簡単に関連付けられるか否か?

を検討します。
 

まず,第一に,(44):(p-p')μΓ5μ(,p')

20Γ5(,p')+SF'-1(p) γ5+γ5F'-1(p')

 の素朴なWard恒等式から導かれる解答を見出し,


  
それから,(70):
(p-p')μΓ5μ(,p')

20Γ5(,p')+SF'-1(p)γ5+γ5F' -1(p')

i{α0/(4π)}~(.p') 

におけろように,アノマリーを考慮すると,その解答が,

どのように変化するか?を見ることにします。
 

無限大のくり込み定数:0,2,,について,厳密な

方法で論じるために,Feyman規則に切断:Λを導入する

標準的な手法に従うことにします。
 

そこで,くり込み定数は,最後にΛ→∞へと発散させる

Λの有限関数となります。
 

これをなすべき切断を導入する多くの異なる手法があります。
 

1つの特殊な方法は次節で詳細に叙述します。
 

外線運動量が切断に比して小さいままであるような, 

低エネルギー定理のタイプの問題のみを扱う限り,

どのように切断が導入されるか?という手法の詳細

には無関係に論じることができます。
 

特に,外線運動量がゼロに近づき,他方,切断Λが∞

なるという計算では,極限の順序の不明確さは,

全く関係ありません。
 

一方,外線運動量が∞に近づくようなBjorken極限

の計算においては.外線運動量は切断より.はるかに

小さいままか,切断よりはるかに大きくなるか?

なります。
 

先に進むために,まず,上述の素朴な軸性ベクトル

Ward恒等式(44):において,p'=pと置くことから

始めます。このとき,左辺の軸性ベクトル頂点項は

消えます。
 

すなわち,020Γ5(,)+SF'-1(p)γ5

+γ5F'-1(p)ですが,この両辺に電子波動関数の

くり込み定数:Z2を掛けます。
 

202Γ5(,)

=-{2F'-1(p)γ5+Zγ'-()} 

=-{F'~-1(p)γ5+γ5S''~-()} ..(76)
 

(※ 何故なら,F'(p)=Z2F'~(p)なので  

,F'~-1(p)=Z2 F' -1(p)です。)
 

(76)の右辺の,{F'~ -1(p)γ5+γ5F'~ -()}

,くり込まれた伝播関数SF'~(p)の定義から,大きい

Λの極限で,切断Λに無関係に有限であるとされる量

なので,左辺の202Γ5(,)もまた,有限です。
 

一方,1章で見たように,一般のp,p'に対する

Γ5(,p'),くり込み定数Zを掛けることにより,

Γ5(,p')が有限になります。
 

故に,2,有限因子を除いて同一と

結論できます。202/=有限値  ..(77)
 

次に,くり込まれた電子伝播関数,(光子伝播関数,

ベクトル頂点)の表現式(16)::

F'(p)=Z2 F'~(p),

Fμν()=Z3F'~μν(), '

Γμ(,p')=Z1 Γμ~(,p'),

0=Z1/231/2  および,


軸性ベクトル頂点,
擬スカラー頂点の表現式(30): 

Γμ5(,p')=Z-1Γ~μ5(,p'), 

Γ5(,p')=Z-1Γ~5(,p')

素朴な軸性ベクトルWard恒等式: 

(p-p')μΓ5μ(,p')20Γ5(,p') 

+SF'-1(p) γ5+γ5F'-1(p')に代入して,

両辺にを掛けます。
 

すると, 

(p-p')μΓ~5μ(,p') 

(/2){(202/)Γ~5(,p') 

+SF'~-1(p)γ5+γ5F'~-1(p')}..(78) 

を得ます。
 

これを切断Λで偏微分してみます。
 

くり込まれた量を,チルダ()の付いた関数で表現

しているので,,れらは大きいΛの極限で,切断Λに

独立に有限であり,これらをΛで微分するとゼロです。
 

それ故,0 (/∂Λ)[(/2){(202/)Γ~5(,p') 

+SF'~-1(p)γ5+γ5F'~-1(p')}]..(79) 

を得ます。
 

(77):202/=有限値 を用いると, 

(/∂Λ) {(202/)Γ~5(,p')

+SF'~-1(p)γ5+γ5F'~-1(p')}0

ですから,

  
結局,(/∂Λ)(/2)0 ...(80)

つまり, 2/=有限値 です。
 

軸性頂点のくり込み因子Z,および,,および,有限な

因子除いて,それぞれ,2,および,202に等しいこと

になります。
 

ここで,厳密には正しくない,素朴なWard-恒等式(44) 

(p-p')μΓ5μ(,p')20Γ5(,p') 

+SF'-1(p) γ5+γ5F'-1(p')

補正された正しいWard-恒等式:(70):

(p-p')μΓ5μ(,p')20Γ5(,p') 

+SF'-1(p)γ5+γ5F' -1(p')

i{α0/(4π)}~(.p')に置き換えると,ここまで

のくり込み定数についての結論も 部分的に修正される

べきです。
 

最後の頂点のアノマリー項:ξστρεξσρτに対する 

Feynman規則を蒸し返すと,運動量遷移がゼロ,

つまり,k1=-k2のとき,交換反対称の運動量遷移項:

1ξk2τεξσρτεは消えます。

そこでp'=p のときは付加項:~(.p')が消えます。
 

その結果,p'=pのときの素朴なWard恒等式による式

(76) :202Γ5(,)

=-{2F'-1(p)γ5+Zγ5'-()} 

=-{F'~-1(p)γ5+γ5F'~-()} 

および,(76)からの帰結である(77)

:202/=有限値

,なお正しい式です。
 

よって,アノマリーが存在するときでも,

202Γ5(,)は有限です。
 

一方,前のΛで微分した式(79): 

 0 (/∂Λ)[(/2){(202/)Γ~5(,p') 

+SF'~-1(p)γ5+γ5F'~-1(p')}] 

,(79)と番号を付け直し,
 

これの修正を, 

0 (/∂Λ)[(/2){(202/)Γ~5(,p') 

+SF'~-1(p) γ5+γ5F'~-1(p')}] 

(/∂Λ)[{iα0/(4π)}~(.p')].(79) 

とすることができます。
 

~に比例する余分な項の存在は,(80):

(∂/∂Λ)(/2)0 による前の結論の,(/2)

とZ2Γ5μ(,p')が有限であるということ,を引き出す

ための妨げとなります。
 

我々はZ2を掛けた後でさえ,なお,軸性ベクトル頂点:

Γ5μ(,p')には発散する項が残ることを予想します。
 

そうした項は,摂動論のα02のオーダーで,上図の

三角グラフの結果として,最初に現われます。
 

これは,(64)を用いて,容易に対数発散することが

わかります。
 

(10-1):「摂動論のアノマリー(7)」においては, 

,,Wは任意としてk1=ξU,2=ξU+ξV+Wと 

置いて,ξ→∞とするときのRσρμの挙動に対する必要条件 

を述べました。
 

そして,特に,将来の参照のため,V=0 のときに 

(k1+k2=有限=p'-pの下で, 

ξ→∞ のときの,σρμを評価すると, 

σρμ(1=ξU,2=-ξU+(p-p') 

→ -8π2ξUτετσρμ+O(lnξ)..(64)  

となることに着目しておきます。
 

と書きました。
 

実際,三角グラフを含むe0の4次の頂点の寄与は, 

∫d41(2π)-4(i0γσ)(i)(12iε)-1(i02)

(2π)-4 σρμ(1,2)(i)(22iε)-1(i0γρ)

(2-m0iε)-1
 

(2π)-8(8π204)ετσρμγσγρ 

∫d41[(12iε)-11τ{(-k1+p-p)2iε}-1 

(2+m0iε)/{(p-k2)2-m02iε}] 

となり
 

光子伝播関数において,紫外切断:Λを

(2iε)-1(2iε)-1(2-Λ2iε)-1 

によって導入すると,

 
上記のk=k1についての積分では,

1→∞のとき,(分母)~ k16,(分子) ~k12であり,

これに∫d41が掛かる際,発散次数:Dは,トータル

,D=0 となるので,積分結果はO[ln(Λ2/02)]

対数発散と結論されます。  

(10-1終わり※)

 

発見的味方では,この発散はZ2を掛けることによっては

除去されないと見えます。何故なら,2はベクトルカレント

のみ保存する理論から得られるもぼであり,軸性ベクトルの

三角アノマリーの存在については,その理論では"未知"である

からです。
 

光子の伝播関数:(iμν)/(2iε), 

(iμν){1/(2iε)1/(2-Λ2iε)}

置き換えることによって,切断を導入すると,

次式を見出します。
 

2Γ5μ(,p')=γμγ5{1(3/4)(α0/π)2ln(Λ2/02)} 

+α0×(有限値)+α02×(有限値)+O(α03)..(81)

です。
 

(10-2):上の(81)を証明します。
:
 

アノマリーが無い場合,α0の1次,2次(=e0の2次,4次) 

の輻射補正は,下図の通りであり,


 
これの計算結果は,
Γ5μ(,p')=γμγ5+α0×(有限値)

+α02×(有限値)+O(α03)(2-11)γμγ5 つまり, 

2Γ5μ(,p')=γμγ5+α0×(有限値)+α02×(有限値)

+O(α03)で与えられます。
 

これに,先のα0次の(有限項)+無限大(切断Λの関数)

三角グラフの寄与が加わります。
 

この寄与は,{-α02/(2π4)}ετσρμγσγρ 

∫d41[(12iε)-11τ{(1-p+p)2iε}-1 

(2+m0)/{(p-k2)2-m02iε}] 

で与えられます。,
 

そして,積分項=2!∫dxdydz∫d41  

δ(1-x-y-z)1τ(2+m0)  

/[(12-λ2)x+{(1-p'+p)2-λ2} 

{(p-k2)2-m02}z+iε]3 

とFeynman積分で表現されます。
 

 これをまず,zで積分すると,z=1-x-yであり, 

分母の[ ]の中は. 

1221{py-p'(1-x)}+p'2(1-x) 

(22pp')-m02(1-x-y)-λ2(x+y) 

となります。
 

これは,積分変数をl=k1{py-p’(1-x)}に

変数置換すると, 

2+p2(1-x)+p2(1-y)2ppxy 

-m02(1-x-y)-λ2(x+y) となります。
 

一方,分子の因子は,k1τ=lτ{τy-p'τ(1-x)} 

2+m0=-y+'x+m0となります。
 

結局,積分項=2!∫dxdy∫d4

[τ{τy-p'τ(1-x)}(y+p'x+m0)

/[2+・・-m02(1-x-y)-λ2(x+y)]3ですが,

発散(D=0の対数発散)に寄与するのは,分子の項のうち,

τl-=-τζγζのに比例する項のみです。
 

既に光子伝播関数に赤外切断:λを導入した,

1/[2+・・-m02(1-x-y)-λ2(x+y)]3  

の因子を,さらに紫外切断:Λをも導入した, 

1/[2+・・-m02(1-x-y)-λ2(x+y)]3  

1/[2+・・-m02(1-x-y)-Λ2(x+y)]32-・・・]3 

に置き換えると.

 
Λ→∞のときに対数発散する,

 {-α02/(2π4)}ετσρμγσγρ 

∫d41[(12iε)-11τ{(1-p+p)2iε}-1 

(2+m0)/{(p-k2)2-m02iε}]の部分は,
 

{iα02/(4π2)}ετσρμγσγργτ01dxdy 

l(ln[2+・・-m02(1-x-y)-λ2(x+y)] 

ln[2+・・-m02(1-x-y)-Λ2(x+y)]) 

{iα02/(4π2)}ετσρμγτγσγρ(1/2)ln(02/Λ2)
 

=-{3α02/(4π2)}γμγ5ln(Λ2/02) 

となるこという結論が得られます。
 

したがって,Γ5μ(,p')=γμγ5+α0×(有限値)

+α02×(有限値)+O(α03)(2-11)γμγ5

{3α02/(4π2)}γμγ5ln(Λ2/02) です。
 

故に,2Γ5μ(,’)(γμ+Λ~μ)γ5

{3α02/(4π2)}γμγ5ln(Λ2/02) 

=γμγ5[1{3α02/(4π2)}ln(Λ2/02)]

+α0×(有限値)+α02×(有限値)+O(α03)

が得られました。 

(10-2終わり※)

 

(上日証明した式'81)と同じことですが, 

=Z2[1(3/4)(α0/π)2ln(Λ2/02)+O(α03)]..(82) 

です。

 (※つまり,[2/{1(3/4)(α0/π)2ln(Λ2/02)

+O(α03)}]Γ×5μ(,p')=ZΓ5μ(,p')

 予想
通り,アノマリーがあると,

Λ→∞で.(/Z2)→∞という計算結果でした。
 

今日はここで終わります。

次は§3.2のレプトンの散乱の評価に入ります。

 (参考文献):Lectures on Elementary Particles 

and Quantum Field Theory 

(1970 Brandeis University SummerInstitute

in Theoretical Physics) Volume

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