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2017年8月 5日 (土)

摂動論のアノマリー(18)(第Ⅱ部:1)

  摂動論のアノマリーの続きです。
 

私的には2冊目のノートに移り,第Ⅱ部として第5(§5) 

以下の一般化や,関連実験との比較検証の項目に入ります。
 

この2冊目ノートの開始年月日は1995年3月24()なって

います。

  
§5. Generalization of our results:π0-decay

 other Ward identity Anomalirs
  
(我々の結果の一般化:π0崩壊, および,他のWard恒等式

 アノマリー)

  
これまでの我々の議論は,もっぱらQEDVVA三角アノマリー

取り扱ってきました。

( VVAとはvector-vector-axialvectorの略です。)
 

今からは,それらの結果を2つの方向に一般化します。
 

まず第1には,VVAアノマリーの結果を他の場の理論の

モデル (模型)に適用し,特に謂わゆる σ-モデルにおける

それを研究します。
 

このσ-モデルは正確な演算子恒等式として部分的保存 

(Partialy conserved axialvector–current:PCAC)の条件 

を満足します。

  そして,
先に導出された「低エネルギー定理」のこの種の

モデルへの拡張は,(π0 2γ decay)の崩壊率(decay rate)

の予測に導くことがわかります。

  
実験との比較結果は.分数電荷を持つクォークモデルに反する

証拠を生み出します。(※これは,今解読中のこのレポートが

書かれたのが1970年で,当時はカラー自由度の存在が重要視

されていなかったためでしょう。)
 

第2に,手短かに別の三角,四角,五角..diagramsを調べて, 

アノマリー(異常項),または正常なWard恒等式を持つか否か?

を調べます。
 

§5.1 The σ–models(σ-モデル or σ模型)
 

たった今,紹介したように, σ-モデルというのはPCAC

が演算子関係式 として成立する場の理論のモデルの特殊な

ケースです。
 

我々は基本的に,三角diagramを通して2光子とcoupleできる 

電気的に中性の軸性ベクトルカレントに興味があります。
 

そこで荷電軸性ベクトルカレントが現われないσ-モデル

不完全バージョンを考察します。
 

単純化されたモデルは,次のLagrangian密度:,粒子場と

しては,陽子場:ψ(),中性π中間子場:π(),および,

スカラー中間子の場:σ()のみを含みます。
 

すなわち,=ψ~{iγμμ-G0(0-1+σ+iπγ5)}ψ 

+λ0{4σ240σ(σ2+π2)+g02(σ2+π2)2} 

(μ02/2)(20-1σ+σ2+π2) 

(1/2){(∂π)2(∂σ)2}(μ12/2)(π2+σ2),,(138)
 

(138)を書くに当たって,摂動論のあらゆるオーダーまでで, 

0|σ|0>=0..(139)となるように,σ-モデルが全体 

平行移動された形式を選択しました。
 

(18-1):もしも,最初に選択した場σで

0|σ|0>=σ00 あった場合:σ → σ'=σ-σ0とずらし,

このσ'を改めてσとして選び直せば,0|σ|0>=0 とできます。

 (18-1終わり※)
 

中性軸性ベクトルカレントは,位置に依存するゲージパラメータ 

()を持つカイラルゲージ変換(第2種の変換;

局所ゲージ変換)によって生成されます。
 

この変換は, 

ψ → {1(i/2)γ5}ψ,π → π-v(0-1+σ). 

0-1+σ → g0-1+σ+vπ ..(140) 

で与えられます。

(※注18-2);まず,ψ → {1(i/2)γ5}ψ より, 

ψ~ → ψ{1(i/2)γ5}γ0=ψ~{1(i/2)γ5}

です。

   
vは微小(無限小)パラメータなので,vの2次以上を無視 

すると,ψ~iγμμψ 

→ ψ~{1(i/2)γ5}(iγμμ){1(i/2)γ5}ψ 

=ψ~iγμμψ-(1/2)ψ~γμ(μ)ψ です。

   
また,-G0ψ~(0-1+σ+iπγ5)ψ

→ -G0ψ~{1(i/2)γ5}[0-1+σ+vπ

i{π-v(0-1+σ)}γ5]×{1(i/2)γ5}ψ 

=-G0ψ~[0-1+σ+vπ+i{π-v(0-1+σ)}γ5]ψ 

-vG0ψ~iγ5(0-1+σ+iπγ5}ψ
 

=-G0ψ~(0-1+σ+iπγ5)ψ

-vG0ψ~{π-i(0-1+σ)γ5}ψ 

-vG0ψ~γ5{i(0-1+σ)-πγ5}ψ 

=-G0ψ~(0-1+σ+iπγ5)ψ  です。
 

したがって,ψ~{iγμμ-G0(0-1+σ+iπγ5)}ψ 

→ ψ~{iγμμ-G0(0-1+σ+iπγ5)}ψ 

(μ)(1/2)ψ~γμψ です。
 

また,σ → σ+vπより.σ2 → σ22vσπ 

π → π-v(0-1+σ)より,π2 → π22vπ(0-1+σ)
 

故に,(σ2+π2) (σ2+π2)2vg0-1πであり, 

(σ2+π2)2 (σ2+π2)24vg0-1π(σ2+π2) です。
 

そこで.λ0{4σ240σ(σ2+π2)+g02(σ2+π2)2} 

→ λ0{4σ240σ(σ2+π2)+g02(σ2+π2)2}
   よって,この項
は不変です。
 

一方,(μ02/2)(20-1σ+σ2+π2)

,この変換では不変です。
 

さらに,(μ12/2)(π2+σ2)  

→ -(μ12/2)(π2+σ2)+vμ120-1π です。
 

μπ - ∂μπ-v∂μσ-(μ)(0-1+σ) 

μσ → ∂μσ+(μ)π+v∂μπ より,
 

(1/2){(∂π)2(∂σ)2} 

(1/2){(∂π)2(∂σ)2} 

(∂v)(∂π)(0-1+σ)(∂v)(∂σ)π
 

したがって,のトータルの増分は, 

-vμ120-1π-(μ)

×[(1/2)ψ~γμψ+g0-1(μπ)+σ(μπ)(∂σ)π」 

です。

  
したがって.もしも,vμ120-1πというv

1次項がないなら,μv=0 (vが定数)の大域的な

カイラルゲージ変換(1種の変換)に対し,が不変

という対称性を持つことになります。

  
そこで,vの1事項がないケースなら「Noether定理」の応用

で対応カレントを.5μ=-δ/δ(μ)で定義すると.

これは,μ5μ0 を満たす保存カレントです。
 

しかし,残念ながらは不変ではなく余分な項

(-vμ120-1π)があるため,ここまで論じてきた質量:m≠0

の場合の軸性ベクトルカレントの発散のケースと同じく.

部分的保存(PCAC)のみです。
 

つまり,今の場合,μ5μ-δ/δv=-μ10-1π 

であるからです。  (18-2終わり※)
 

さて,「摂動論のアノマリー(12)」においては,次のように

書きました。
 

 :{Φ1(,Φ2..ΦN}に対してパラメータ:()が無限小 

,次のような.無限小局所ゲージ変換を施します。
 

Φj() → Φj()+v()j({Φ()})..(89)
 

これに対応するカレント:μ

μ=-δ/δ(μ)(90) で定義します。
 

すると,μ=-δ/δ(μ)=-{/(μΦ)}j 

ですから,μμ=-∂μ {/(μΦ)}j 

{/(μΦ)}μj=-δ/δv を得ます。※
 

という内容を記述しました。 
 

この手法(Noetherの定理)を適用して得られるカレント: 

μ,今の変換に対しては,j5μと表わすと,

次式を見出します。

  
すなわち,5μ=-δ/δ(μ)

(1/2)ψ~γμγ5ψ+σ(μπ)-π(μσ)

+g0-1(μπ). (141),

μ5μ=-δ/δv=-(μ12/0)..(141)  

です。
 

(18-3):何故なら 

まず,,5μ=-δ/δ(μ)=-{/(μΦ)}j 

=-[/{(μψα)}](iγ5/2)ψα 

[/{(μπ)}](0-1+σ)-∂/{(μσ)}]π 

=-ψ~(iγ5/2)ψ+(0-1+σ)(μπ)-π(μσ) 

です。

  
そして,μμ=-∂μ {/(μΦ)}j

{/(μΦ)}μj=-δ/δv

=-μ120-1π です。  


  (18-3終わり※)
 

こうして,σ-モデルは演算子恒等式としてPCACの条件を満足

する との先の言明通り,軸性ベクトルカレントの発散が正準

π場に比例 するという式を得ました。
 

再掲(138);=ψ~{iγμμ-G0(0-1+σ+iπγ5)}ψ 

+λ0{4σ240σ(σ2+π2)+g02(σ2+π2)2} 

(μ02/2)(20-1σ+σ2+π2) 

(1/2){(∂π)2(∂σ)2}(μ12/2)(π2+σ2) 

に現われる種々のパラメータは次のような意味を持って 

います。
 

()0,くり込まれる前の中間子-核子の結合定数。 

()0(0/0)がm0によって核子の裸の質量:0 

関連付けられる。

()μ12はσとπの裸の伝播関数;(2-μ12iε)1

現われる裸の中間子質量の平方である。
 

() :λ0{4σ240σ(σ2+π2)+g02(σ2+π2)2}

カイラル不変な中間子-中間子散乱相互作用である。 

() :(μ02/2)(20-1σ+σ2+π2).カイラル不変な

相殺項(counterterm)であり,運動のEuler-Lagrange方程式

とσの(σ空間における)平行移動不変性から要求される

次式:

0|δ/δσ|0>=∂λ0|δ/δ(λσ)|0>=0

…(142)の成立を保証するために必要である。
 

この(142)(139):0|σ|0>=0.からμ02は次の値を取る

ことがわかります。

すなわち,μ02=<0|G00ψ~ψ+λ0 {402(3σ2+π2)

403σ(σ2+π2)}|0>..(143) です。
 

(18-4):まず,(142)の証明です。
 

σ場に関するEuler-Lagrange方程式は 

λ{/δ(λσ)}(/∂σ)0 です。
 

故に,0|δ/δσ|0>=∂λ0|δ/δ(λσ)|0

です。

  一方,
平行移動不変性は.σの微小移動:σ→σ+Δσに

対して,+Δのとき,この性質を0|Δ|0>=0

と表現すれば,<0|δ/δσ|0>=0を意味します。

  結局,

 0|δ/δσ|0>=∂λ0|δ/δ(λσ)|0>=0

を得ます。

  ところで,
/∂σ

=-G0ψ~ψ+λ0{8σ+40(3σ2+π2)402σ(σ2+π2)2 }

(0-1+σ)μ02-μ12σ です。
 

一方,/δ(λσ)=∂λσより, 

λ{/δ(λσ)}=∂λλσ=□σ です。

(;□は,D’Alembertuan(ダランベルシャン)=と呼ばれる

微分演算子,□=∂λλ∂=∂2/∂t2-∇2 です。)
 

故に,σについての Euler-Lagrange方程式: 

λ{/δ(λσ)}(/∂σ)0 を書き下すと, 

□σ

=-G0ψ~ψ+λ0{8σ+40(3σ2+π2)402σ(σ2+π2)2 }

(0-1+σ)μ02-μ12σ です。
 

あるいは, □σ+(μ12-μ02)σ 

=-G0ψ~ψ+g0-1μ02+λ0{8σ+40(3σ2+π2)

402σ(σ2+π2)2} です。
 

そこで,0|δ/δ(λσ)|0>=0,□<0|σ|0>=0

となり,大域的にこれが成立することは,0|σ|0>が時空点

に依存しない定数であることを意味します。

  
そこで,これがゼロであるスキームを取れば,このことは,

0|σ()|0>=0 と表わせます。
 

他方,0|δ/δσ|0>= 0  

0|-G0ψ~ψ+λ0{8σ+40(3σ2+π2)

402σ(σ2+π2)2}(0-1+σ)μ02-μ12σ|0>= 0
 

つまり,-G00|ψ~ψ|0>+4λ000|3σ2+π2|0 

400|σ(σ2+π2)|0>+g0-1μ020 です。
 

これから.式;(143):μ02=<0|G00ψ~ψ

+λ0 {402(3σ2+π2)403σ(σ2+π2)}|0 

が得られます。

   
こうして,μ02を含む項は,ψやσ,πの場の2次以上の

真空期待値を吸収して,

0|δ/δσ|0>=∂λ0|δ/δ(λσ)|0>= 0, 

および,0|σ|0>という条件を維持し,保証するために

必要であることがわかりました。   


  (18-4終わり※)

 
μ02の効果は,(これ自身,形式的には2次発散しますが)摂動論

各オーダーでっ条件:0|σ|0>=0 を維持できるように

下図のような型のtadpole diagramsを除去することです。
 (18-5):相互作用Hamiltonian密度:int, 

int=-intであたえられます。

これは,4λ00σ(σ2+π2)と-μ020-1σという

σの3次,と1次の項を持つため,一般には,

0|int|σ>≠ 0 が成立すると思われ,σの1本の

外線から真空が生み出されるという.謂わゆるtadpole

になります。


  
そこで,-<0|4λ00σ(σ2+π2)|σ>が,λ0を適切に選択

することにより,―<0|μ020-1σ|σ>を相殺してtadpole

除去すると期待できます。
 

これによって,0|int|σ>=0 とするとき,これは

σの生成,消滅の両Fourier成分を持つ,σのincoming漸近場:

σinによって,1粒子っ状態を|σ>=σin|0>と書けば,

0|int()|σ>=<0|int()σin()|00 を

意味します。

  
これから,

0|[in(1)in(2).. in()σin()|0>=0 

つまり,|Sσin |0>となり,摂動のあらゆるオーダーで 

0|σ|0>=0 が保証されます。
 

同じ意味ですが,0=0|δ/δσ|0 

=<0|-G0ψ~ψ+λ0{8σ+40(3σ2+π2)

402σ(σ2+π2)2}(0-1μ02-σ(μ12-μ02)σ|0

  と,EulerpLagrange方程式:
□σ+(μ12-μ02)σ 

=-G0ψ~ψ+g0-1μ02+λ0{8σ+40(3σ2+π2)

402σ(σ2+π2)2}により, □<0|σ|0>=0 (139)

の規約:0|σ|0>=0 が同時に満たされるよう,(143)

ようにμ02が選択されたのでした。
 

(18-5終わり※)


  μ02の相殺項は同時に中間子:π,σの自己エネルギーの

2次の発散部分を除去することも容易にわかります。

(※π,σの自己エネルギーは,発散するのは陽子の真空偏極

ですが,その寄与:Π(p2)はπ,σの質量がゼロでないので光子

のようなゲージ不変性が存在せず,確かに2次発散量が生じます。

そこでμ12からμ02を引いて物理的質量にします。)

  その結果,Lagrangianに現われる残りの裸の量(G0,g01)

波動関数のくり込み同様,せいぜい対数的に発散します。

そのため,この理論は.QED以上に特異にはなりません。

  
さて,今日は途中ですが,1記事として,これ以上続けると,

長過ぎると思われるので.ここで終わります。
 

 (参考文献):Lectures on Elementary Particles and Quantum 

Field Theory(1970 Brandeis University SummerInstitute  

in Theoretical Physics) Volume

  
PS:世界水泳も終わり,今度は世界陸上を見て,この

ころ毎日,夜も寝ないで昼寝してます。

いやー,ヒマ人ですね。


  でも,次は見られるかどうか?これが見納めカモ。。

ということで。。

  8/5(土)の夜は,雨天じゃなかったので,おそらく

ナイアガラの仕掛け花火が有名な「いたばし花火大会」

があったと思います。(埼玉側だと「戸田花火」かな?)


  歩けた頃には都営三田線西台駅から歩いて20分,荒川河原

まで行って楽しみました。2006と2007年に行って以来10年,

なつかしいですネ。

/「板橋花火大会」の画像検索結果

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