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2017年9月25日 (月)

場の量子論第Ⅱ部(12)(空間反転;パリティ2)

 パリティの続きです。
 

ここまでは,()スカラー場の自由粒子(自由場)限定の論議でした 

,相互作用がある一般の系についても, 

PL(,)-1(-x,),および, 

μ(,)-1=jμ(-x,t)を見たし,生準交換関係を不変

に保つパリティ演算子を同様にして作ることができます。
 

そのときには,上記関係が依然として正しく,そこで,が理論

の対称性演算子として系のHamiltonian :H^と交換する。, 

つまり,[,^]0 であって,運動の恒量となるかどうか?を 

チェックする必要があります。
 

すなわち,一般に,PL(,)-1(-x,),および, 

μ(,)-1=jμ(-x,)を満たすをつくるために, 

最初,t=0 ,これを満たす,0 をつくります。
 

t=0 での相互作用する場を自由場(自由波)の完全系によって

展開すると,その展開係数は自由場と同じ交換代数を満たすので

は先の自由場の解と同じ形で得られます。
 

時刻tでのを得るためには,時間的に平行移動するため,系の 

Hamiltonian:^を用いればいいです。
 

すなわち,まず,0,0(,0)0-1(-x,0),  

0μ(,0)0-1=jμ(-x,0)を満たし,交換関係を不変 

保ちます。
 

このとき,()exp(i^)0 exp(i^),一般の 

時刻tで,条件:PL(,)-1(-x,),および, 

μ(,)-1=jμ(-x,)を満たし交換関係を不変 

保ちます。

(12-1):何故なら,

φ(,)exp(i^)φ(,0) exp(i^) より,

φ(,)-1exp(i^)0φ(,0)0-1 exp(i^) 

=±exp(i^)φ(,0) exp(i^)=±φ(,)
 

つまり,φ(,)-1=±φ(,)となるからです。 

(12-1終わり※)
 

もしも,,対称性演算子で,条件:[,^]0 を満たすなら 

()(0)0  です。
 

(12-2);[,^]exp(i^)[0,^]exp(i^)0 

なら.[0,^]0 であり,()0です。

(12-2終わり※)
 

次はDiracスピノル場に移ります。
 

Diracスピノル場については,条件: 

PL(,)-1(-x,),および,  

μ(,)-1=jμ(-x,)を満たし,交換関係を不変 

保つPとしてはPψ(x,t)-1=γ0ψ(ーx,t)を満たす 

ものを選択できれば満足されます。,
 

まず,Dirac方程式:(iγμμ-m)ψ()0 ,  

ψ'(,)=γ0ψ(,)に対して不変であることは 

既に,Bjorken-DrellMechanicsのテキスト第2章で詳しく  

述べられていることからの帰結です。
 

(12-3):本ブログでは,上記のMehanicsのg第2章の対応

部分は,20105/30の過去記事:「散乱の伝播関数の理論(8)

です。ここから必要部分を再掲載します。
 

変換が,proper(連続変換)であれimproper(不連続変換)であれ, 

Lorentz変換:x'μ=aμνν,または,略記法でx'=axに 

伴なう波動関数のLorentz変換: 

ψ'α(x’)=ψ'α(ax)=Sαβ()ψβ(),または.略記法で, 

ψ'(x')=ψ'(ax)=S()ψ()を考えます。
 

( det()=+1のときが,proper変換で,det()=-1のときが 

improper変換です。※)
 

すると,x'=axから逆変換-1対して,x=a-1x'ですから, 

ψ'(x')=S()ψ(-1x'),つまりψ'()=S()ψ(-1) 

です。
 

一方,ψ()=S(-1)ψ'(ax),ψ()=S-1()ψ'(ax)より, 

(-1) =S-1()なる関係が成立します。
 

また, ,/∂xμ(∂x'ν/∂xμ)(/∂x'ν) です。 

よってx'ν=aνμμより,μνμ∂'νです。
 

そこで,Dirac方程式(iγμμ-m)ψ()にx=a-1x', 

およびψ()=S-1()ψ'(x')を代入して左からS() 

掛けると,[i()γμ-1()νμ∂'ν-m]ψ'(x')0  

を得ます。
 

それ故,νμ()γμ-1()=γν,または, 

νμγμ=S-1()γν()が成立すれば, 

(iγν∂' ν-m)ψ(x')0 となって方程式が相対論的に共変 

になります。  (再掲載終了)
 

さて,aが空間反転を意味するなら, 

x'μ=aμνν(0,-x)=xμ=gμννより,  

μν=gμνです。そこで,条件;νμ()γμ-1()=γν 

においてaνμ=gνμより,()=γ0はとすれば,確かに, 

νμ()γμ-1()=gνμ=gνμγ0γμγ0=γνが成立 

します。
 

それ故,ψ'(,)=γ0ψ(,) ,または, 

ψ'(,)=γ0ψ(-x,)とすれば,

(iγμ μ-m)ψ'()0 が満たされます。
 

(12-3終わり※)
 

(12-4):自由Dirac粒子のLagrangian密度は, 

(,)=ψ~(,)(iγμ μ-m)ψ(,)です。
 

そこで,ψ(,)-1=γ0ψ(,)なら.  

PL(,)-1=ψ(-x,)(iγμ μ-m)γ0ψ(-x,) 

=ψ~(-x,)(iγ0γμγ0 μ-m)ψ(-x,) 

=ψ~(-x,)(iγμ μ-m)ψ(-x,)(-x,)です。
 

また,μ(,)=ψ~(,)γμψ(,)より, 

μ(,)-1=ψ(-x,)γμγ0ψ(-x,) 

=ψ~(-x,)γ0γμγ0ψ(-x,) 

=ψ~(-x,)γμψ(-x,)=jμ(-x,) 

です。
 

さらに,共役運動量が,πα()=∂/(0ψα)iψα()となる 

ことから,同時刻反交換関係:

{ψα(,),πβ(,)}iδαβδ3() 

{ψα(,),ψβ(,)}=δαβδ3()ですが, 

を作用させると,{ψα(,)-1,ψβ(,)-1 } 

{(γ0)αμψμ(,),ψν(,)(γ0)νβ} 

(γ0)2αβδ3()=δαβδ3() となって,交換関係 

も保存されます。 (12-4終わり※)
 

Dirac場に対してを陽に作るには,再び,直接,運動量展開の 

展開係数に対する作用を考えるのが便利です。
 

ψ(,)=∫d3(2π)-3/2(/)1/2 

Σ±s[^(,)(,)exp{i(t-px)} 

+d^(,)(,)exp{i(t-px)}]なる展開 

を作用させると,
 

ψ(,)-1=∫d3(2π)-3/2(/)1/2 

Σ±s[^(,)-1(,)exp{i(t-px)}

^(,)-1(,)exp{i(t-px)}] 

です。
 

他方,γ0ψ(-x,)=∫d3(2π)-3/2(/)1/2 

Σ±s[^(,)γ0(,)exp{i(t+px)} 

+d^(,)γ0(,)exp{i(t+px)}]
 

=∫d3(2π)-3/2(/)1/2 

Σ±s[^(,)γ0(,)exp{i(t-px)} 

+d^(,)γ0(,)exp{i(t-px)}] 

ですが, γ0(,)=u(,), 

γ0(,)=―v(,) です。
 

それ故,ψ(,)-1=γ0ψ(-xt)となることは, 

^(,)-1=b^(,),^(,)-1 

=-d^(,)を意味します。
 

のユニタリ性から.^(,)-1=b^(,) 

^(,)-1=-d^(,)も得られます。
 

^は真空に作用して,1つの電子,または重粒子(baryon) 

生成し,^,陽電子,または,反重粒子を生成するので, 

例えば,1つの電子は同じ軌道状態にある1つの陽電子と反対 

のパリティを持つことがわかります。
 

実は.の変換則として仮定したψ(,)-1=γ0ψ(,) 

,φ0を任意の実数として,ψ(,)-1exo(iφ0)γ0ψ(,) 

なる位相因子:exo(iφ0)を付加しても.ここまでの論議は成立します。
 

この位相の任意選択の下で,電子状態:^(,)0>は,空間反転 

の下でスカラーとして変換し,陽電子状態:^(,)0>は 

擬スカラーとして変換します。
 

相対的にs状態(l=0)にある電子-陽電子対(Positronium), 

位相に無関係に奇()のパリティを持ちます。
 

同様に相対的にs状態にある重粒子-反重粒子対のパリティは 

[,^]0 を満たす,対称操作となるような理論を扱う 

ときには,やはり,()です。
 

すなわち,∫d3{(2)^(,)^(,)0} 

=-∫d3{(2)^(,)^(,)0}です。
 

Dirac場に対しての陽な形を得るためには,スカラー場に対して 

やったのと同じ手順を実行すればいいです。
 

Dirac場のDiracとするとき,Diracexp(i^Dirac) 

と置いて,^Dirac=(-π/2)∫d3 

{^(,)^(,)-b^(,)^(,) 

+d^(,)^(,)-d^(,)^(,)} 

が得られます。
 

(12-5):つまり,Dirac,Diracexp(i^Dirac)と置いて, 

[^Dirac,^(,)](λ/2){^(,)±b^(,)}を仮定,
 

Dirac,^(,)-1Dirac=b^(,) 

(1/2)[^(,)±b^(,)} 

(1/2)exp(iλ){ ^(,)±b^(,)}=b^(,) 

なのでλ=-πとして,Diracexp(i^Dirac)=-1 

[^Dirac,^(,)](-π/2){^(,)-b^(,)} 

なら,恒等式になります。
 

同様に,[^Dirac,^(,)] 

(π/2){^(,)+d^(,)}なら, 

Dirac,^(,)-1Dirac=d^(,) 

(1/2)[^(,)+d^(,)} 

(1/2){^(,)+d^(,)} 

=-d^(,)が恒等式になります。
 

これらは,^Dirac=(-π/2)∫d3 

{^(,)^(,)-b^(,)^(,) 

+d^(,)^(,)-d^(,)^(,)} 

であれば満たされます。 

(12-5終わり※)

 
パリテイ操作の中にγ0が出現するため1つの影響はψ~γ5ψ

が擬スカラーになることです。
 

すなわち,ψ~(,)γ5ψ(,)-1 

=ψ(,)γ5γ0ψ(,)=-ψ~(,)γ5ψ(,) 

あるいは, 

ψ~(,)γ5ψ(,)-1=-ψ~(,)γ5ψ(,)です。
 

これは中間子-核子相互作用では重要です。 

例えば,モデルLagurangian:  

Ψ~(iγμμ-Mp)Ψ(1/2)(μφμφ)-μ2φφ) 

i0Ψτγ5Ψφ (ただし,Ψ[ψp,ψ],φ[φ1,φ2,φ3]) 

,実験で要求されるように中間子に対して擬スカラー操作を 

選択すると,そのときに限り,結合されたパリティ演算子: 

π+π0π-の下で,PL(,)-1(,) 

が満足されます。
 

最後に電磁場の内部パリティは対応論から決定されます。

なぜならそれは古典論を連想させるからです。 

それ故,光子について,(,)-1=-(,)です。
 

これはMaxwell Lagrangianを不変に保ちます。  

これはKlein-Gordon場に対して取られた方法をまねれば

得られます。

結局,光子はベクトル粒子なのでパリティは奇()です。
 

これでパリティの項目は終了です。 

次は荷電共役(粒子-反粒子対称性)の項目に移る予定です。

(参考文献:J.D.Bjorken S.D.Drell  

"Relativistic Quantum Fields" (McGrawHill)

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