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2017年11月12日 (日)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(7)

「ゲージ場の量子論」(対称性の自発的破れ)の続きです。
 

前回は「§6.3 NG粒子の低エネルギー定理.」において, 

1つの核子:Nが1つの軟NGボソン:πを放出する過程 

に対応して軸性カレントAμ()を運動量がpiμとpfμ 

核子状態で挟んだ行列要素:<N(f)|μ()|(i) 

=Mμ()exp(iqx)(q=pi-pf)を考察し,
 

Lorentz不変性,()対称性,(パリティ),または,CP 

( or)の不変性の仮定によって, 

μ(),μ() 

=u~(){γμγ5(2)+qμγ5(2)}(i) 

という一般形を取ることがわかります。
 

と書き,このことを(※注)で証明したところで終わりました。
 

さて,μ()に効くFeynmanグラフは,6.6(),()に示す 

ように,概念的に2つのカテゴリーに分けることができます。


 

()は軸性カレント:μ(図では黒ドットで表示)が放出された 

NGボゾンの端点に付くもので,()はAμが核子線に付くもの 

です。
 

この両者の分離はNGボソンの質量殻:20を離れたところでは 

NGボソンに対応する"複合"Heisenberg場をどう取るか?に依存 

するので明確ではないですが概ね,()には形状因子:(2)が 

()にはh(2)が対応すると考えれば十分です。
 

実際,6.6()のグラフの寄与は,NGボソンのq20 の近傍 

では.0|μ()|πb()(i/2)abfi() 

と書けます。ただし,abfi(),6.6()の斜線部に対応する 

因子です。
 

ところで,前々回記事の最後で,:πは系のLagrangian密度に, 

-Ψ~iγ5Ψπの相互作用項を持つので.くりこまれたNGボソン 

の場:πr=Zπ-1/2πのFermion:Ψへの結合は, 

intπΨΨ=gπΨΨΨ~iγ5Ψπr ,(πΨΨ=Zπ-1/2)なる形で 

与えられます。
 

と書きましたが,今の,Ψが核子:NのときはgπΨΨをgπNN 

と書けば,この結合定数:πNNを用いて, 

abfi()はNGボソン:πの核子Nとのi∫d4xのiを頂点 

(iγ5)に掛けた結果,x空間では因子:γ5∫d4xの寄与と 

なり,結局, 

abfi()=gπNN~(f)γ5(i) と書けます。
 

一方,NGボソンの崩壊定数:π, 

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(2)」 

において,対称性カレントjμ()が破れた後,出現する 

NGボソンの漸近場:Φas()により, 

0|μ()|NG>=fπ0{μΦas()|NG> 

=fπ∫d3(2π)3/2(20)-1/2 (iμ) 

()evp(ikx)となる係数として定義されました。
 

これから,今の場合は,0|μ()|πb() 

=<0|πμπas,a()|πb()>=iπδabμexp(iqx) 

と書けることがわかります。
 

それ故,結局,6.6()の寄与として, 

ππNN~(f)γ5(i)(μ/2)exp(iqx) 

が得られます。
 

そこで,確かに,6.6()のNGボソンのq20 の極部分 

のグラフの寄与は,(2)=fππNN/2の寄与に相当 

します。
 

ところで,カイラル対称性が存在して,そのチャージが自発的 

に破れた結果でNGボソンが出現するためには,軸性カレント 

μ()が保存する必要がありますが,この要請:μμ0 

を<N(f)|μ()|(i)>=Mμ()exp(iqx 

に適用すれば,0=qμμ() 

=u~(){γ5(2)+q2γ5(2)}(i) 

となります。
 

ところが,(),を核子:Nの質量とするDirac 

方程式:(-m)()0 の解ですから, 

~()γ5(i)=-u~()γ5(i) 

=u~()γ5 (fi)(i) 

=-u~()fγ5(i)-u~()γ5i(i) 

=-2~()γ5(i) です。
 

そこで, 

~()γ5{2(2)+q2(2)}(i)0 

が成立する必要があります。
 

したがって,2(2)=q2(2)です。
 

特に,20では,グラフ()のNGボソンの極部分; 

(2)=fππNN/2の項のみが効いてくるため, 

πNN2(20) /π と結論されます。
 

NGボソン:πと核子:Nの結合定数:πNN,核子質量: 

,軸性カレントのチャージ:=g(20), 

および,πの崩壊定数:πに関係付ける,この等式は 

Goldberger-Treimanの関係式」と呼ばれ 

「低エネルギー定理」の最も簡単な例を与えます。
 

かなり短いですが,この続きが長くなるので,今回は 

ここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

 (培風館)

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