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2017年11月 4日 (土)

場の量子論第Ⅱ部(18)(TCP定理)

  場の量子論第Ⅱ部の続きです。 

TCP定理に入り,これで一応,終わる予定です。
 

§15-14 The TCP Theorem(TCP定理)
 

既に,電磁相互作用と,次に与えるようなagrangean密度のπ- 

相互作用が,陽に作った別々の対称性操作:,.の下で不変 

であることを証明しました。
 

上述のπ-N相互作用のLagrangean密度は, 

=Ψ~(iγμμ-M0)Ψ+(1/2){μφμφ-μ02φφ} 

i0Ψ~γ5τΨφ です。
 

項に2~3のiやγ因子を思慮深く挿入することにより,Proper 

Lorentz 変換や平行移動の下での不変性に影響を与えることなく, 

そして対称性操作としての,.を壊すことなく相互作用項 

を修正することも可能です。
 

しかし,もしも次のことを仮定するなら,それだけで積TCP 

対称性として維持される,ということは注目に値します。
 

1. 現状では,我々の場理論は局所的理論を意味する。それは 

正規順序を取られたHermiteLagrangian密度が存在する理論 

であり,proper Lorentz 変換の下では共変である。
 

2. 理論は,スピンと統計間の通常の関係で量子化されている。 

例えば,Klein-Gordon場とMaxwell場はBose-Einstein統計に到る 

交換関係で量子化され,Dirac場は排他原理に導くFermi統計に到る 

反交換関係に従う。
 

この簡単な仮定でTCPが対称性が常に成立する.というのが, 

LudasZumino,および,PauliSchwingerのTCP定理と呼ばれる 

ものです。
 

以下では,共通の時刻tで評価される(),().()の連続的 

適用に対してHaniltonian:Hが,PCT-1-1-1=Hを満足する 

という命題によって,相互作用するKlin-Gordon,Maxwell,Dirac場に 

対してのTCP定理について1つの証明を与えます。
 

上述の仮定1,2,Laglangian密度:の性質に基づくものなので, 

を考察することから始めて,PCT-1-1-1=Hの証明に 

戻ることにします。
 

まず,1PCTL(,)-1-1-1(,-t)が時刻t 

,.に対して成立する,ことを示します。
 

,Lorentz不変性の仮定により,φr()とAμ(),および, 

それらのxμによる微分係数,さらにテンソルとして変換する, 

スピノル場とその座標による導関数の双1次形式:Ψ~ΓΨ 

の積から成る,スカラーでできたHermite演算子であることが 

わかります。
 

ここで,添字A,Bは内部自由度(,,νや.クォ-クの 

flavor,colorなど)のラベルであり,Γはガンマ行列の集合: 

{,iγ5,γμ,γ5γμ,σμν}の元の1つを意味します。
 

まず,スカラー・Hermite:φr()へのPCTの作用は 

PCTφr(,)-1-1-1=±φr(,-t) です。
 

ここで符号:±は任意であり,π中間子:φ=[φ1,φ2,φ3]では, 

φ1(,)-1=±φ1(,-t),φ2(,)-1 

=-(±)φ2(,-t).φ3(,)-1=±φ3(,-t) 

のような時間反転:の符号選択に依存しています。
 

電荷固有状態を生成する複素スカラー場の演算子:φ,φでは, 

PCTφ(,)-1-1-1=±φ(,-t), 

PCTφ(,)-1-1-1=±φ(,-t) です。
 

Diracスピノル場:ΨへのPCTの作用は, 

PCTΨα(,)-1-1-1 

=-i(γ0γ5)αβΨ~β(,-t) 

iγ5αβΨ+Aβ(,-t) です。
 

そして,PCTΨ~α(,)-1-1-1 

=-iΨβ(,-t)(γ0γ5)βα  です。
 

(18-1): ψα(,)-1i(γ1γ3)αβψβ(,-t) 

であり,ψ(,)-1=Cγ0ψ(,),C=iγ2γ0 

なので, Cγ0iγ2, 

CTψα(,)-1-1{iγ2(iγ1γ3)}αβψβ(,-t) 

(-γ2γ3γ1)αβψβ(,-t) です。
 

それ故,ψ(,)-1=γ0ψ(,)から, 

PCTψα(,)-1-1-1 

(-γ0γ2γ3γ1)αβψβ(,-t) 

=-i(γ0γ5)αβψ~β(,-t) を得ます。
 

何故なら,γ5=γ5iγ0γ1γ2γ3 

ψ=ψ~γ0=γ0ψ~,または,(γ0)=γ0 です。
 

一方, -ψα(,-t)-1=Tαβψβ(,)ですから 

, <Φ|-ψα(,-t)-1|Ψ>=Tαβ<Φ|ψβ(,)|Ψ> 

ですが,KUなので 

<Φ|ψα(,-t)-1|Ψ>=Tαβ<Φ|ψβ(,)|Ψ> 

or <Φ|ψα(,-t)-1|Ψ>=Tαβ<Φ|ψβ(,)|Ψ>
 

ところが,左辺=<Ψ|ψα(,-t)-1|φ> 

=<Ψ|ψα(,-t)-1|φ>* です。
 

また,右辺=Tαβ<Φ|ψβ(,)|Ψ> 

=Tαβ<Ψ|ψβ(,)|Ψ>です。
 

以上から,左辺=右辺により,まず, 

ψα(,)-1(i)(γ1γ3)αβψβ(,-t)です。
 

そして,{(i)(γ1γ3)αβψβ(,-t)} 

iψβ(,-t)(γ1γ3)βαiψβ(,-t)(γ1γ3)βα
 

故に, 

CTψα(,)-1-1 

(iγ2)αβψλ(,-t)i(γ1γ3)λβ 

=-ψβ(,-t)(γ1γ3γ2)βα
 

(※何故なら(γ2)=-γ2,or (iγ2)αβ=-(iγ2)βα
 

それ故,PCTψα(,)-1-1-1 

=-ψβ(,-t)(γ1γ3γ2γ0)βα 

=-iψβ(,-t)γ5βα
 

したがって,PCTψ~α(,)-1-1-1 

=-iψβ(,-t)(γ5γ0)βα 

を得ます。   (18-1終わり※)
 

そこで.Diracスピノル場の双1次形式:Ψ~ΓΨ 

=Ψ~αΓαβΨβへのPCTの作用は次のようになります。
 

PCTΨ~α(,)ΓαβΨβ(,)-1-1-1  

=-Ψλ(,-t)(γ5γ0Γγ5γ0)λτΨτ(,-t)  

=-Ψλ(,-t)Γ'τλΨτ(,-t)
 

ただし,Γ=1,iγ5,σμνのとき, Γ'=Γ,  

Γ=γμ,γ5γμのとき, Γ'=-Γ です。
 

(18-2):Γ'= (γ5γ0Γγ5γ0)ですから

Γ'=γ0γ5Γ*Tγ0γ5=γ0γ5Γγ0γ5Γです。
 

以下,具体的に右辺にΓ=1,iγ5,σμνを代入してΓ'=Γ, 

Γ=γμ,γ5γμを代入して,Γ'=-Γ を得ます。 

(18-2終わり※)
 

,Bが無関係で独立なFermi:Ψ,Ψは反交換しの中 

には,これらの場の積は正規順序で出現するというこれまで 

の規約を維持するとします
 

PCT:Ψ~α(,)ΓαβΨβ(,):T-1-1-1 

=:Ψ~τ(,-t)ΓτλΨλ(,-t):です。
 

実際,ベクトルカレントのケース:Γ=γμで同種Fermi:: 

A=Bのときにのみ,正規順序が必要です。
 

何故なら.-Ψλ(,-t)ΓτλΨτ(,-t) 

=Ψ~τ(,-t)ΓτλΨλ(,-t)

-δABδ4(0)r(γ0Γ') 

(※Tr(γ01)=Tr(γ0γ5)0,r(γ0σμν)=Tr(γ0γ5γμ)0, 

r(γ0γμ)40μ です。)
 

しかし,,,を定める条件として論議したのは正にこのΓ=γμ 

のベクトルカレントによるものでした。
 

すなわち,時間反転: jμ(,)-1=jμ(,-t), 

プラス荷電共役:CT jμ(,-t)-1-1=-jμ(,-t) 

に空間反転の結果:

PCT jμ(,)-1-1-1=-jμ(,-t) 

=-:ψ~(,-t)γμψ(,-t) となるべきです。
 

電磁場ベクトル:に対して,同様にこれまで求めたことから, 

PCT (,)-1-1-1=-(,-t)です。
 

電荷密度:ρ(,)=e00(,)がゼロでないとき, 

スカラーポテンシャル:0=Φは, 

0(,)=Φ(,)

=-{0/(4π)}∫d30(,)/|| 

で与えられることを見ました。
 

これにPCTを作用させると, 

PCT 0(,)-1-1-1=-j0(,-t)から 

PCT 0 (,)-1-1-1=-0(,-t)を得ます。
 

結局,PCT μ(,)-1-1-1=-μ(,-t)です。
 

最後に∂/∂xμが現われる項ですが,

/∂xμ=-∂/(-xμ) 

なることに着目し,
 

PCT(,)-1-1-1=±f(,-t)なら, 

PCT{∂f(,)/∂xμ}-1-1-1 

=-{±∂f(,-t)/(-xμ)}です。
 

さて,これで準備が終わったので,PCTが起こす変換規則 

を要約して列挙します。
 

1,あらゆる座標xμはx'μ=-xμに変わる。 

そこで./∂xμ -∂/∂x'μ = -∂/∂xμ となる。
 

2.Hermiteスカラー場:φr()はz+φr(x')に変換する。 

ただし,ここでは共通の位相因子は+1に固定した。
 

3. あらゆるFermi場とその導関数から成る双1次形式の偶階数 

テンソルは,それらのHermite共役に変換され,奇階数テンソル 

はそれらのHermite共役×(1),変換される。
 

4. あらゆるc-数はその複素共役に変わる。
 

系を支配するLagrangian密度,スカラーなのでの任意に 

与えられた各項に現われる,あらゆるテンソル添字は縮約される 

ため,項の添字の個数は偶数であり,そこで.3のマイナス符号は 

相殺されて消えます。
 

結局,こうした指令のトータルな効果は「Hermite共役を取れ, 

という集約された指令に等価です。
 

そして,変換で因子の順序が変わるという問題は,の全ての項 

が正規順序で与えられるべきという制限によって除去されます。
 

これは,実はスピンと統計の関係の仮定から得られるものです。
 

何故なら,正規順序はスピンが1/2の反交換する場について 

マイナス符号を,スピンが0,または1Bose場に対しては 

プラス符号を導入するからです。
 

以上の結果,Hermiteなスカラー:に対して,. 

PCTL(,)-1-1-1(x')(,-t) 

が得られます。
 

さらに,からHamiltonian密度;への移行は, 

()=:-+Σπr()φrd():で定義されます。 

ただし,ここでのφr()Bose場だけでなくFernmi場を 

含む全ての場を総称しています。
 

Bose場に対しては[πr(,),φ(,)]=-iδ3()δrs, 

Fermi場に対しては{πr(,),φ(,)}iδ3()δrs 

が成立しますが,これらはPCT変換で維持されます。
 

何故なら,PCTφr(,)-1-1-1=ηrφr(,-t) 

なら,PCTπr(,)-1-1-1=-ηrπr(,-t) 

であり,PCT{iδ3()}-1-1-1=-iδ3() 

であるからです。
 

また,PCTφrd(,)-1-1-1=-ηrφrd(,-t) 

より,PCTH(,)-1-1-1(,-t) です。
 

それ故,H=∫d3(,)によって, 

PCTHT-1-1-1=H が導かれます。
 

こうしてTCP定理が証明されました。
 

これで,テキスト第15章の不連続変換の項目の紹介,および, 

詳解が全て完了しました。今日は,ここで終わります。
 

(参考文献:J.D.Bjorken S.D.Drell 

“Relativistic Quantum Fields” (McGrawHill)

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