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2018年1月

2018年1月31日 (水)

ゲージ場の量子論(24)

「ゲージ場の量子論(23)」からの続きです。
 

※ 将来のために計画を立て我慢したり,節約して蓄えろ,とか, 

将来などないと思っている高齢の障害者ジジイには,もはや 

聞こえない話です。
 

新約聖書には「愚か者よ。お前は今夜召される。」 

と主が叱咤した話があります。私にもイエスの言葉が聞こえそうです。
 

「朝に道をきかば夕に死すとも可なり」(孔子?) とか。。  

「柔肌の熱き血潮に触れもみで淋しからずや,道を説く君」

(与謝野晶子) とか。。。

 FP共役変換と反BRS対称性 

ゲージ固定条件:∂μμ+αB0Landauゲージ: 

α=0を採用した場合,μμ 0ですから,FPゴーストと 

反ゴーストの運動方程式:μμ=Dμμ~0 は同じ 

:μμ=∂μμ~0 になります。
 

(※何故なら,μμ 0 なので,

μ~=∂μ~-gfabcμ~ 

より,μμ~=∂μμ~-gfabcμμ~ 

=Dμμ~となり.μとDμが交換するからです。)
 

そこで,とc~の入れ換えに対する対称性があると予想 

されます。
 

実際α=0の場合,GFFP  

=-∂μμi(μ~)μa  

=∂μ~μi(μ)μ~a  と書けます。
 

ここでB~はB+B~=-i(c×c)で定義されます。
 

それ故,LandauゲージのLagrangian, 

FP:→ c~,~→ c,→ B~ 

という変換に対して明らかに不変です。ただし,ゲージ場: 

μと物質場:φlは,変換されないとします。 

この変換をFP共役変換と呼びます。
 

そしてBRS電荷:QのFP共役変換:FPFP-1 

~と記し,反BRS電荷と呼びます。
 

~の引き起こす変換を,[iλQ~,Φ]=λδ~Φとすると, 

[iλQ~,μ]FP[iλQ,μ]FP-1 

=λFP(μ)FP-1=λDμ~=λδ~μ 

と書けます。そして,このδ~を反BRS変換と呼びます。
 

δ~μ=Dμ~,δ~φi=-igc~()ijφj , 

δ~i~, δ~~(/2)(~×c~)a  

となります。δ~~0 も明らかです。
 

Landauゲージの場合,この反BRS変換がLagrangian: 

~の不変性を与えることは明らかです。
 

Landauゲージ(α=0)GFFP  

=-(μ)μi(μ~)(μ)  

,GFFPδδ~{(i/2)aμμ} 

とも書けます。
 

(24-1):何故なら, 

まず,δ~{(i/2)aμμ}i(μ~)μ 

i{(μ~)μ-gfabcbμμ} 

i(μ~)μ  です。
 

故に, δδ~{(i/2)aμμ}iδ{(μ~)μ} 

i{(iμ)μ}i(μ~)(μ) 

=-(μ)μi(μ~)(μ) 

(GFFP)α=0 を得ます。(24-1終わり※)
 

しかしながら,大変興味深いことに,実はLandauゲージ 

でなくても任意のαで,^の反BRS不変性が成立する

ことがわかります。これを示しましょう。
 

まず,δ~=-g(×~)a です。
 

(24-2):証明です。 

まず,+B~a =-i(×~)a ですから, 

δ~=-{δ~~a iδ~(×~)} 

=-i{(δ~×~) (×δ~~)} 

=-i[(i~×~) {×(/2)(~×c~)}] 

=g[{-B-i(c×c~)}×~]

i{×(/2)(~×c~)} 

=-g(B×~) 

i[{(c×c~)×~}(/2){×(~×c~)}]
 

ところが,{(c×c~)×~}=fabc(c×c~)~ 

=fabcbde~~c です。
 

他方, {×(~×c~)}=fabc(~×c~) 

=fabccde~~e   

=fadbbec~~c です。
 

結局, {×(~×c~)}2abcbde~~
 

以上から, δ~=-g(B×~)を得ます。
 

(24-2終わり※):
 

したがって,δ~()=-g(B×~)+B(i~) 

=-gBa(c×~)i{-Bi(c×c~){ 

つまり,δ~()=-ia または, 

a iδ~() が得られます。
 

そこで,(α/2)δ~({(αi/2)}であり 

ベキ零性:(δ~)20 が成立するため,δ~({(α/2)} 

0 となり,項(α/2)が反BRS不変ですから,αがゼロ 

でなく任意でもα=0 と同じく^が不変であるとわかります。
 

δ~のベキ零性は, 

[iλ1~,[ iλ2~,Φ]]=λ1λ2 (δ~)2Φ 

FP[iλ1,[ iλ2,Φ]]FP-1FPλ1λ2 δ2Φ—1 

0 から従います。
 

反BRS変換まで含めた拡大BRS代数は, 

{,}220, {~,~}2~20, 

{,~}0, 

また,[i,]=-Q,[i,~]=-Q~, 

[,Bc]0  です。
 

{,~}0,はBRS変換と反BRS変換の反可換性: 

δδ~=-δ~δと等価です。 

これは直接確認することもできます。
 

本質的議論では,BRS変換か反BRS変換の一方だけ 

で十分です。それ故,これ以降では,もっぱらBRS変換 

のみを考えて議論を進めます。
 

§5-6 Ward-高橋恒等式。および,自由場の量子化と漸近場 

ゲージ理論において,どのような漸近場が現われるのか.摂動論 

的仮定の下で調べます。そのため,まずゲージ(BRS)不変性 

から従う摂動から任意次数で成立する,Ward-高橋恒等式から

始めます。
 

 Ward-高橋恒等式 

一般にゲージ不変性に限らず,ある対称性が存在すると,種々 

Green関数,頂点関数等の間に,いろいろな関係式が成立 

します。このような関係式を一般にWard-高橋恒等式, 

略してWT恒等式と呼びます。
 

ゲージ不変性に関わるGreen関数に関わるWT恒等式は, 

全てBRS演算子:を用いて,次のように簡単に与える 

ことができます。
 

すなわち,k()を任意の場(または,その多項式)の演算子 

として,真空のBRS不変性: {0>=0を用いると, 

0=<0|{,(k(1),k(2),..,m())}|0 

=Σk1n()k

0|(k(1),k(2),..δ(k),..m()|0 

なる恒等式を得ます。
 

ただし,=Σi=1-1||です。( ||はOの統計指数)
 

1粒子既約な(1PI)頂点関数,または,その生成汎関数 

に対するWT恒等式を得るには,次のようにします。
 

まず,全ての場:ΦとそのBRS変換;δΦ(に対して 

外場(external source)を導入します。
 

[,]=∫d4[aμμ+Jiφi+J~+J~~ 

+J+Kaμμii()ijφj 

(1/2)(×)] です。
 

ここで,場は全てHeisenberg場であり,~,~,aμ 

Grassmann,aμ,i,は普通の数です。 

物質場についてはφiBose粒子場なら,iGrassmann, 

iは普通の数で,φifermi粒子場なら逆です。
 

BRS変換された量:δΦLは既にBRS不変なので. 

{i,μ}{i,()ijφj} 

{i,(×)}0 です。
 

そこで,0=<0|{i, expi[,]|0 

i∫d4x<0|[aμμ()||i()ijφj 

(1/2)~(×)i~]expi[,]|0 

が成立します、||(iの統計指数)(Φiの統計指数)です。
 

摂動論の項目では,外場:Jを与えてGteem関数の生成汎関数を 

[]とし,[]exp(i[])によって得られる,連結Green 

関数の生成汎関数:[,],および頂点関数に対する生成汎関数 

Γ[Φ,]を考察しましたが,同様に,,
 

exp(i[,]=<0|expi[,]|0, 

Γ[Φ,]=W[,]-JI・ΦI, 

ΦI()=(δ/δJI())[,] 

=<0|{ΦI()expi[,]}|0/0|expi[,]|0, 

によって.これらを定義します。
 

ただし,ここでは JI,aμ,i, ~,~,の全て 

を意味します。
 

一般的記号として,ΦI(x) 

=<0|{ΦI()expi[,]}|0/0|expi[,]|0 

で定義されるΓの引数:Φ,-(期待値)であり,対応する 

Heusenberg:Φ=Aμ,φi, ,~,と同じ記号で 

表わしますが.混同しないよう注意を要します。
 

上のΓ[Φ,]=W[,]-JI・ΦIの右辺,および,以下に 

おいてドット(dot)・は,積分記号:∫d4xの省略とします。
 

そうすれば,恒等式: 0=<0|{i,expi[,]|0 

i∫d4x<0|[aμμ()||i()ijφj 

(1/2)~(×)i~]expi[,]|0 

, [aμ({δ/δKaμ)(){{l(δ/δKi) 

-J~(δ/δK)-J~(δ/δJ)}[,]0 

と書き直せます。
 

Γ[Φ,]=W[,]-JI・ΦI,Legendre変換から.従う, 

ΦI()=(δ/δJI())[,] 

=<0|{ΦI()expi[,]}|0/0|expi[,]|0, 

に双対な関係式:(δ/δΦI())Γ[Φ,]=-()||I(), 

および,(δ/δKI())ΓW[Φ,](δ/δKI())Γ[Φ,] 

を用いると,先の恒等式は,次のように書き直されます。
 

すなわち, 

(δΓ/δAμ)(δΓ/δKaμ)(δΓ/δφi)(δΓ/δKi) 

(δΓ/δc)(δΓ/δK)i(δΓ/δc~)0 

と書けます。
 

これが,(1PI)頂点関数の生成汎関数:Γに対するWT恒等式 

です。tだし,Grassmann数による微分は全て左微分です。
 

ΓのNL場:や反ゴースト場:~への依存性は,特殊で 

運動方程式:μμ+αB0,μμ=Dμμ~0 

より従う次の恒等式を満たします。
 

δΓ/δB=∂μμ+αB, 

μ(δΓ/δKaμ)iδΓ/δc~0
 

(24-4):上記の証明です。 

まず,証明すべき式のAμ,, ~etc.は場の演算子 

ではなく,-数であることに注意します。
 

[,[,]]0なら,[,exp(i)][,]exp(i) 

なので,μ0|{μ()expi[,]}|0 

i∫d4yδ(0-y0) 

×<0{[0(),()()]expi[,]}|0 

+<0|{μμ()expi[,]}|0 

=<0|{-J()+∂μμ()expi[,]}|0 

です。両辺に,0|{αB()expi[,]}|0 

を加えて,0|{expi[,]}|0>で割ると, 

0|{expi[,]}|0>は∂μで微分してもゼロなので 

期待値の意味で∂μμ+αB=-J()を得ます。
 

そして,()=-δΓ/δBより 

δΓ/δB=∂μμ+αBです。
 

次に, μ0|{μ()expi[,]}|0 

i∫d4yδ(0-y0) 

×<0{[0(),[,]]expi[,]}|0 

+<0|{μμexpi[,]}|0>です。
 

i0=π~よりD0=-iπ~ですから,0 

同時刻に()交換しないのは外場項の中ではc~のみで, 

{0(,),~(,)}=δabδ3()です。
 

~に対応する外場J~Grassmann数なので, 

μ0|{μ()expi[,]}|0 

i∫d4yδ(0-y0) 

×<0{[0(),~ ~()]expi[,]}|0 

+<0|{μμexpi[,]}|0 

=<0|{-J~()+∂μμexpi[,]}|0
 

故に,両辺を<0|{expi[,]}|0>で割って期待値の 

意味で,-∂μ(δW/δKaμ)=-J~()です。(左辺は右微分)
 

 μ(δΓ/δKaμ)=-iδΓ/δc~ (左辺は左微分) 

すなわち, μ(δΓ/δKaμ)iδΓ/δc~0 

を得ます。
 

(24-4終わり※)
 

Γに対するWT恒等式,と上記2つの恒等式は,後のゲージ理論 

のくり込み可能性の議論において特に重要な役割を果たします。
 

ユニタリ性(unitarity)に関連して大切なGreen関数の 

WT恒等式は,δ(~)=Bδ~)i()より, 

{,~}=B.,つまり, 

0|[()()]|0>=<0|{,[()()]}|0 

0 です。
 

また,δ(μ~)iμ(μ)~より 

{,[μ()()]} 

=T[μ()()]i[(μ())~()]
 

0|[μ()()]|0 

i0|[(μ())~()]|0> です。
 

一方,運動方程式∂μμ0、および,反交換関係 

{0(,),~(,)}=δabδ3() から,
 

μ0|[μ()~()]|0 

=δ(0-y0)0|{0(,),~(,)}|0 

+<0{[μμ()~()]0 

=δabδ4(x-y) を得ます。
 

したがって,先にで求めた恒等式: 

0|[μ()()]|0 

i0|[(μ())~()]|0>と合わせて,
 

..0|{μ()c~()}|0>=iδabμ/2 

..0|{μ()()}|0>=-δabμ/2 

が得られます。
 

ただしF..Fourier変換;∫d4exp{i(x-y)} 

を演算することを意味します。 

例えば∂μは 部分積分により,(iμ)となるからです。
 

これらはゲージ理論に,どんな物質場が温まれていようと常に 

成立する厳密な恒等式であり,μ,,μ.~ 

チャネルには,必ず,零質量の粒子(漸近場)が存在することを 

表わしています。
 

今日はここまでにします。


(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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2018年1月29日 (月)

ゲージ場の量子論(23)

「「ゲージ場の量子論(22)」からの続きです。
 

条件:|Phys>=0 ⇔ |Pys>∈Physは実際,可換群 

の場合にNL場:()(正確には∫d3Λ()0() 

□Λ()0)がゲージ変換の生成子であったことを想起 

すれば,GB-NL条件:()()|Phys>=0とQ|Phys>=0  

に類似しています。
 

(23-1):電磁場のNL定式化のLagrangian密度, 

~=-(1/4)μνμνmatter(φ,μφ)GF,  

GF=B(μμ)(α/2)2,μ=∂μieAμ 

で与えられますが,これが可換ゲージ群U(1)の対称性 

を持つ代表的な系のLagrangian密度です。
 

~に対するEuler-Lagrangeの方程式から, 

μについては,運動方程式Dννμ-ejμ=∂μBが 

導かれます。ただし,ejμ=-∂/∂Aμi/(μφ)φ 

です。一方,Bについては,ゲージ固定式:μμ+αB=0  

が導かれます。
 

これで,通常の意味では,ゲージ固定されているのですが, 

変換:μ→Aμ+∂μΛにより,μμ+αB  

→ ∂μμ+□Λ+αB なので.もしも,Λ()が□Λ=0 

の解なら,なお,~はゲージ不変です。
 

そこで,□Λ()0を満たすΛ()に対し,εを微小 

として,φi  exp(iεeΛ)φi(1iεeΛ)φi,or  

δφiiεeΛφi,μ→Aμ+εe∂μΛ(Bは不変) 

なる局所ゲージ変換に対しては,なお,δ~0です。
 

それ故,パラメーターεはxには依存しない大局的変換 

である,という意味で,Noetherの定理が適用できて,保存 

カレント:(NL)μ=-{∂L/(μν)}(νΛ) 

{∂L/(μAφi)}(iΛφi)が存在します。
 

(NL)μ=Fμν(νΛ)-ejμΛ-B(μΛ) 

これは,(NL)μ==Fμν(νΛ)(ννμ)Λ 

(μ)Λ-B(μΛ) 

(μ)Λ-B(μΛ)+∂ν(μνΛ) 

と書けます。
 

したがって,これから得られる保存チャージは 

(NL)=∫d3{(0)Λ-B(0Λ)} 

=∫d3Λ()0()であり, Noether定理 

からこのQ(NL),量子化後の演算子のとして. 

交換関係:[iεQ(NL),μ]=εe∂μΛ,および, 

[iεQ(NL),φi]=εeΛφi,によって先の微小変換を 

生ぜしめる生成子となるわkrです、  

(23-1終わり※)
 

実は,とB()は単に位ているだけではなく,可換群: 

(1)の特殊事情の下では,補助条件:|Phys>=0 

GBNL条件:()()|Phys>=0を再現すろことを示す 

ことができます。
 

ここでの定式化は,もちろん,ゲージ群がU(1)であるとして 

もよく,この定式化ではFPゴーストが入ってきますが,その 

運動方程式:μμc=Dμμ~0,abc0 なので 

独立な自由場の方程式:□c()0, □c~()0  

となります。
 

しかも,BRS電荷の表式は,  

=∫d3{a(0) (0) 

(i/2)gfabc0~a}ですが, 

これも,この場合は非常に簡単になります。 

=∫d3()0()です。
 

これは運動量表示では, 

==i∫d3{()()-c()()}です。
 

(),(),それぞれB場の生成,消滅演算子で 

()も□c()0 の解なので,(),() 

もB場と同じく,それぞれゴ^スト場-cの生成,消滅 

演算子です。
 

さらに,FPゴースト場;(),~()が自由場である 

ことは,最初ゴースト粒子が存在しない状態から出発 

すれば,ゴーストは永久に生成されないことを意味します。
 

(23-2):FPゴーストが存在しない状態を,|0FPとd 

するとc,~が自由場の場合,Hamiltonian;Hにはc,~ 

と他の粒子場との相互作用項がありません。
 

そこで,ゴースト以外の任意の粒子の時間発展を示すFeynman 

グラフでは,真空偏極グラフにさえ中間状態としてc,cを含む 

部分は出現しないので.時間発展でexp(iHt)|0FP|0FP 

となるはずです。 (23-2終わり※) 
 

それ故,系の状態空間をゴーストを含まない空間:V '×|0FP 

に限定しても時間発展とは矛盾しません。 

ただし,'は通常のGB-NL定式化で扱われるFPゴースト 

以外の粒子で張られる空間で,|0FPはFPゴーストセクター 

の真空状態です。
 

したがって,GB-NL定式化での物理的状態:|Phys>は,今の定式化  

では,|Phys>×|0FPに対応します。
 

これに対しては補助条件:|Phys>=0 , 

(|Phys>×|0FP)0 を意味しますが,  

i∫d3{()()-c()()より,  

これはi∫d3{()()|Phys>×c()|0FP 

0 という条件に帰着します。

しかし,これは座標空間へのFourier変換によって, 

()()|Phys>=0 に一致します。
 

可換群の場合は1個の補助条件:|Phys>=0 が∀xに対する 

無限個の補助条件:()()|Phys>=0 を再現したのは,もちろん, 

ゴーストの存在しない状態に限ったからです。
 

しかし,実のところは可換群,非可換群を問わず,補助条件は, 

|Phys>=0 の1個だけでよく,それ以上にFPゴースト 

がどういう状態にあるか?を指定する必要はありません。 

このことは§5-8で一般的に証明します。
 

前節の最後に触れたゲージ固定項+FPゴースト項が, 

GF+FPδ()の形を持つことの1つの重要な側面と 

いうのは今や明らかです。それは,BRS電荷を用いて, 

GF+FP=が,GF+FP{i,}なる形に掛けるので, 

これは,|Phys>=0 を満たす部分空間では実質的には 

零演算子であることです。 

(GF+FP{i,}より,Phys|GF+FP|Phys>=0 

ですが,Phys|は部分空間:physの双対ket空間の完全系 

をなすのでphysではGF+FP|Phys>=0 を意味します。)
 

この事実が,後に 

「物理的S行列がゲージ固定の仕方に依存しない。」ということ 

を証明する際に本質的な役割を果たします。
 

Maxwell方程式 

ゲージ場:μと物質場:φlに対して,元の局所ゲージ変換の 

パラメータ:θ()をxに依らない定数:θに置き換えた変換 

をし,NL場:,FPゴースト場:,~については随伴表現 

として変換させる大局的変換を大局的ゲ^―ジ変換 

(global gauge transformation),またはカラー回転 

(color rotatopn)と呼びます。
 

再掲Lagrangian:~=-(1/4)μνaμν 

matter(φ,μφ)GFFP , 

GF=-∂μμ(α/2), 

FP=- i(μ~)μa  

,この変換に対する対称性を持ちます。
 

(23-3):~の不変性を証明します。 

大局的変換:φi  exp(-igTθa)φi 

~ φi+δφi{1-igTθa)φi,μθ0より 

μ→ Aμ+δAμ=Aμgfabcμθ 

に対して,(1/4)μνaμνmatter(φ,μφ) 

が不変なのは明白です。
 

一方,GF+FP=Bμμ(α/2) 

i~μμa において 

さらに, exp{-iAd()θa} 

=B+δB=B-gfabcθ 

=c+δc=c-gfabcθ 

~=c~+δc~=c~-gfabc~θ 

が加えられる変換に対し,
 

δGF+FP(-gfabcθ)(μμ) 

+Bμ(-gfabcμθ)+α(-gfabcθ) 

igfabcθ~μμ

igfabcθ~μμ 

ですが,これも明らかにゼロです。
 

したがって,このカラー回転に対してδ~0です。 

(23-3終わり※)
 

そこで,Noether定理による保存カレントJは, 

gθμ{∂L~/(μν)}(-gfabcμθ) 

{∂L~/(μφi)}{-igθ(φ)i} 

{∂L~/(μ)}(-gfabcθ) 

{∂L~/(μ)}(-gfabcθ) 

{∂L~/(μ~)}(-gfabc~θ) 

=Fμν(gfabcbνθ)+gjμθ 

-B(gfabcθ)igfabcμ~θ 

igfabcμ~θより,
 

 μ=fabcbμνμ+jμ+fabcμ 

iabc~(μ)iabc(μ~)です。 

つまり, μ(ν×Fνμ)+jμ(μ×B) 

i{~×(μ)}i{(μ~) ×c}a です。
 

対応する電荷:=∫d30,カラー電荷と呼ばれ, 

大局的ゲージ変換(カラー回転)の生成子になります。
 

[iθ,Φ()]{θ×Φ()}, (Φμ,,,~) 

[iθ,φi()]=-iθ()ijφj() です。
 

この大局的ゲージ変換のカレントを用いるとゲージ場の 

運動方程式;ννμ-gjμ=∂μigfabcμ^ 

が次のような注目すべき形に書き換えられます。
 

すなわち,ννμ-gJμ{,μ~} です。
 

(23-4):運動方程式から,gjμ=Dννμ-∂μ 

igfabcμ^=∂ννμ-gfabcbννμ 

-∂μ-gfabcμ^c です。これを, 

gJμ=gfabcbμνμ+gjμ+gfabcμ 

igfabc~(μ)igfabc(μ~) 

の右辺に代入します。
 

すると,gJμ=∂ννμ-∂μ+gfabcμ 

igfabc~(μ) 

=∂ννμ-Dμacigfabc~(μ) 

となります。
 

一方,.{,μ~}=-iδμ~ 

=-Dμ(iδ~)igfabc(δμ)~ 

=Dμigfabc~(μ) です。
 

したがって,ννμ-gJμ{,μ~} 

を得ます。  (23-4終わり※)
 

この形から、補助条件:|1>=0,|2>=0,を満たす 

任意の物理的状態:|1,|2>∈Phys に対して, 

<f1|(ννμ-gJμ)|1>=0 が成立します。
 

すなわち,物理的状態部分空間のPhys 上では行列要素, 

あるいは期待値の意味で,ννμ=gJμ です。
 

これは,電磁気学のMaxwell方程式:ννμ=ejμ 

によく似ていることいから, 

ννμ-gJμ{,μ~} Maxwell方程式 

と呼ぶことにします。
 

このMaxwell方程式は,後章で論じる大局的ゲージ不変性 

の自発的破れ,カラー閉じ込めの関係や,Weinberg-Salam 

電弱模型での電荷の普遍性の証明などにおいて重要な 

役割を果たします。
 

大局的ゲ^ジ不変性の他にも,~は物質場:matter(φ,μφ) 

も同じ対称性を持てば,基本的離散対称性:,,を持って 

います。
 

ここでは,CPT対称性のみに触れておきます。
 

物質場:φiによるmatter(を不変にするCPT変換: 

CPTφ()-1-1-1=φCPT() に加えて, 

(μ) CPT()=-Aμ(-x),() CPT()=B(-x), 

() CPT()=-c(-x),(~) CPT()=c~(-x), 

を行えば,~は不変となります、
 

このときQCPT=Q,CPT=Q,() CPT=Q 

変換することにも注意しておきます。
 

途中ですが今日はここまでにします。


(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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2018年1月28日 (日)

ゲージ場の量子論(22)

「ゲージ場の量子論(21)」からの続きです。
 

※BRS電荷 

まず.全系のLagrangian: ~を再掲します。これは. 

~=-(1/4)μνaμνmatter(φ,μφ) 

GFFP で与えられます。 

ただし.GF=-∂μμ(α/2), 

FP=- i(μ~)μa です。
 

既に述べたように,このLagrangian:~,BRS不変です。 

BRS変換:は変換パラメータがxμに依存しないGrassmann: 

λであったので,1つの大局的変換です。
 

よって,Noetherの定理によって,対応する保存カレント:μ 

と電荷(チャージ):=∫d30()が存在します。
 

Noetherカレント:μ,δ0 なので 

λJμ{~/(μν)}δν{~/(μφi)}δφ 

{~/(μ)}δ{~/(μ~ν)}δ~ 

で与えられます。ただし,δ=λδです。
 

つまり,λJμ{~/(μν)}(λDν) 

{~/(μφi)}{igλc(φ)i} 

{~/(μ)}{(λ/2)gfabc} 

{~/(μ~ν)}(iλB) です。
 

ここで変換パラメータλはGrassmann数で,符号に注意する 

ため,一時的にλを陽に書きました。
 

物質場のカレントの定義:μ=-g-1(matter/∂Aaμ) 

=-i{matter/(μφi)}(φ)i,運動方程式: 

ννμ-gjμ=∂μigfabcμ 

用いて上式の左側からλをはずします。
 

μ=-Fμν(ν-gfabcbν)+gjμ 

(μ-gfabcμ)a 

(i/2)gfabcμ~a, 

ここで,gjμ=-(νμν^-gfabcbνμν)-∂μ 

igfabcμc ですから, 

gjμ=-(νμν)(μ)より. 

μ=-Fμν(ν)(νμν) 

(μ)(μ)a(i/2)gfabcμ~a

です。
 

結局,μ==Ba(μ) (μ) 

(i/2)(μ~a)(c×c)-∂ν(μν) 

という簡単な表式を得ます。
 

ただし群の添字;aを持つ量:,に対して, 

(F×G)=fabcなる表現を用いました。
 

-∂(0ν)は表面積分で消えるため,この 

大局的対称性変換の保存電荷: , 

=∫d3{a(0) (0) 

(i/2)gfabc0~a}で与えられます。
/
 

この保存チャージはNoetherの定理の帰結で, 

Lagrangianを不変に保つ対称性変換の生成子に 

なります。
 

すなわち,[iλQ,Φ()]=λδΦ()です。 

ただし,ΦはAμ,φi,,~,のどれかを 

意味しδΦ,前節で与えたλを省いた全ての 

BRS変換を意味します。(※λはGrassmann;奇の数 

なので,Φ(によっては,λをはずずと左辺の交感子は 

反交換子になります。)
 

はBRS電荷,または,BRS演算子と呼ばれます。
 

一方,先に触れたFPゴースト数;FPもこの系の保存量です。 

ただ,普通のFermion数とは異なり,対応するのは~の位相 

変換ではばく,次のスケール変換の下での不変量です。 

() exp(ρ)(), 

~() exp(-ρ)~()(ρは実数パラメータ)
 

これはゴースト場:,~Hermite()であり, 

位相という概念は有り得ないからです。
 

この変換のNoetherカレントは, 

μ{~/(μ)} exp(ρ)

{∂L~/(μ~)}exp(-ρ) 

=-i(μ~)i~μ 

i{~μ(μ~)}であり,
 

保存電荷は,i∫d3{~0(0~)} 

です。これをFPゴースト電荷と呼ぶことにします。
 

これは確かに上記スケール変換の生成子になっています。 

[i,()]=c(),[l,~()]=-c~() 

これは自明です。
 

この交換関係からFPゴースト数演算子;FP, 

,のi倍と同定されます。NFPiです。 

興味深いことは, FPゴースト電荷:はBRS電荷:  

と同じくHermite()演算子であることです。 

=Q,および.=Qです。
 

それ故, FPゴースト数演算子:FPi,Hermite 

(純虚数)演算子であるにも関わらず,実数の固有値:が+1, 

~が-1,を持つ,ことを意味します。
 

このように奇妙なことが起こるのは,後で陽に示すように, 

FPゴーストの状態空間が,不定計量を持つからです。
 

=∫d3{a(0) (0) 

(i/2)gfabc0~a}であり, 

i∫d3{~0(0~)} 

ですから,これらは次のような簡単な代数を満たします。 

これはBRS代数と呼ばれます。
 

まず,.(1/2){, }=20 です。 

故に,Grassmann 奇です。 

また,[i,]=Q,[,]0, です。 

故に,Grassmann 偶です。
 

ΦがBose場のとき, 

δ2Φ={i.[i,Φ]} 

=-Q(Φ-ΦQ)(Φ-ΦQ) 

=-[2,Φ] であり,
 

ΦがFermi場のとき, 

δ2Φ=[i.{i,Φ}] 

=-Q(Φ+ΦQ)(Φ+ΦQ) 

=-[2,Φ]です。
 

そこで,いずれにしても,20,NRS変換の 

ベキ零性:δ20 を意味します。
 

このQ20 ,=∫d3{a(0) (0) 

(i/2)gfabc0~a}なる表式から直接示すこと 

もできます。
 

すなわち,2i2 

{i,∫d3[a(0)(0) 

(i/2)gfabc0~a]} 

=∫d3[a(δ0)(0)δ 

-∂0(δ~a)(i/2)(c×c)] です。
 

0δ0,δ20からδ00 です。
 

故に,.2i2=-∫d3[(0)δ 

+∂0(δ~a)(i/2)(c×c)] 

ところが,=-iδ~なので, 

(0)δ-i0 (δ~)(δ)です。
 

一方,(1/2)(c×c)δなので 

0(δ~a)(i/2)(c×c)i0(δ~a)(δ),
 

したがって,20 を得ました。
 

交換関係:[i,]=Q,および,[,]0,, 

単に電荷演算子: ,,FPゴースト数:FP 

値として,それぞれ+1,0を持つことを示しています。
 

最後にBRS変換のパラメータλが純虚数のGrassman 

であること:λ=-λであること,を注意しておきます。
 

実際,任意の演算子;OとGrassman:λの積:λOのHemite 

共役は,(λO)=Oλですから,λ=-λなら全ての場; 

ΦのHermite性が,BRS変換後のΦ'=Φ+λδΦに 

なっても保持されることが保証されます。
 

例えば,(λδμ)(λDμ)(μ)λ 

=-λμですから,-λ=λならλδμもAμ同様 

Hermiteになります。
 

※物理的状態を選ぶ補助条件 

一般に,ゲージ理論を共変ゲージで扱うと必ず,負ノルム 

を持つ粒子が現われます。例えば次節で説明しますが 

Feynmanゲージ(α=1)でのゲージ場:μ)の自由場 

(または漸近場)の生成・消滅演算子:a+μ().(), 

交換関係:[μ(),b+ν()]=-gμνδabδ3() 

を満たします。
 

Lorentz不変性から,右辺にMinkowski計量:μν 

diag(1.1,1,1)が出現しますが,これは時間成分 

(0成分)のゲージ粒子=添字aを省略した局所化形で 

0()|0>=∫d3()0()|0>で与えられる 

粒子状態が,負ノオルムを持つことを意味します。
 

すなわち,0|0()0()|0 

=∫d33()() 0|0()0()|0 

=-∫d3|()|0 となります。
 

さらに,今の非可換ゲージ理論ではFPゴーストが存在し, 

それらも負ノルムを含み,「スピンと統計の関係」を破る 

奇妙な粒子です。
 

これらの明らかに非物理的な粒子の出現することを禁止し, 

謂わゆる負の確率という困難が生じない,物理的に意味の 

ある理論を得るためには,全状態空間:の中から物理的状態: 

|Phys>をうまく選び出してやる必要があります。
 

可換群:(1)に基づくQEDの場合(Lagrangian,~で添字: 

を消し,abcをゼロとしてFPゴースト項も落としたもの 

で与えられる。)には,その昔,Gupta-Bleuler,Feynman 

ゲージのとき,補助条件:(μμ)()()|Phys>=0  

を置いて,物理的部分空間:Phys{|Phys}を定義し,全て 

うまくいくことを示しました。
 

ただし,(μμ)の肩の添字:(),μμの正振動数部分, 

つまり,消滅演算子部分を表わしています。
 

一方,中西とLautrap, Gupta-Bleuler条件: 

(μμ)()()|Phys>=0 ,()()|Phys>=0 という 

補助条件に置き換えるFeynmanゲージ以外でもうまくいくよう 

一般化しました。

NL場:()の満たす運動方程式:μμ+αB=0 

の関係からα=0Landauゲージ以外では,上記中西-Lautrap 

条件がGupta-Bleuler条件に等価であることがわかります。
 

しかしながら,:これらGB条件やNL条件は可換群の場合に 

しかうまくいきません。そもそも正振動数(消滅演算子)部分, 

負振動数(生成演算子)部分の分離というものは自由場の場合 

しかうまく定義できません。
 

一般の群の場合, ()の満たす運動方程式は, 

ννμ-gjμ=∂μigfabcμ 

および,μμ=Dμμ~0 から, 

μμigfabcμμ0 となります。
 

(22-1):μννμ0 は,νμのν,μについて 

の反対称性から明らかです。
 

また,jμ=-i(Dμφφ-φμφ)ですから 

μjμ0,かつ,μjμ0 です。
 

そこで計算によって直ちに, 

μμigfabcμμ0 が成立すること 

がわかります。
 

μjμ0,Noetherの定理により当然成立しなければ 

なりません。 

そして,局所ゲージ不変性が成立し,平坦な空間の微分が∂μ→ Dμ 

のように,多様体上の共変微分に変わっても.この保存するという 

性質は不変と思われますから,μjμ0,の成立は当然でしょう。 

(22-1終わり※)
 

(1)群の場合,abc0 でかつ添字:aがないので自由場 

の方程式は,□B()0 に帰着します。そのため正負振動数 

部分への分離が次のようにできます。
 

すなわち,()()=∫d3()(), 

()()=∫d3()() です。 

ただし,()B=exp(ikx)/{(2π)30}1/2,0=|| 

です。
 

しかし,一般の非可換群の場合には,(), 

μμigfabcμμ0 のように,複雑な 

相互作用の影響があり,上のような分離はできません。
 

それに,たとえ何らかの方法で正,負振動数部分を定義できた 

,としても,ある時刻で補助条件:()()|Phys>=0を設定 

したとき,続く時刻でもそれが成立していることが示せません。
 

すなわち,GB条件やNL条件は可換群以外の場合,時間発展 

とは整合しません。

しかし,驚くべきことに,一般の非可換ゲージ理論の場合にも  

物理的部分空間:Physを定義する補助条件を見出すことが  

できます。 

しかも,ある意味では可換群のそれより簡単な条件です。
 

それは,先に導入したBRS電荷:を用いて, 

|Phys>=0 ⇔ |Pys>∈Physとするわけです。
 

※これは九後・小嶋(1977)によって初めて提唱されました。 

T/Kugo,and I.Ojima Phys.Lett.Vol73B (1978)p.459 )
 

この条件はQがBRS変換の生成子であり,BRS変換が 

「量子的ゲージ変換」であることから,直観的に「物理的状態 

はゲージ不変である。」ことを意味しています。
 

途中ですが,続く話が長くなりそうなので, 

今日はここまでにします。

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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2018年1月27日 (土)

訃報! 野中広務さん

自民党の重鎮で元衆議院議員の野中広務さんが,去る26日に,亡くなられたそうです。 享年92歳でした。

 京都新聞 → 野中広務氏死去92歳

「野中広務」の画像検索結果

反骨の人,です。自民党ながら戦争反対。。弱者の味方でした。。

ご冥福をお祈りします。合掌!!

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2018年1月26日 (金)

ゲージ場の量子論(21)

「ゲージ場の量子論(20)」からの続きです。
 

※あと数日(21)68歳を迎えますが,今,スラスラと科学記事 

のブログ書いている心境は,まあ,20歳も年を取りジジイとなってる 

のを別にすると約20年前,48,平成10年頃の精神状態に似ています、
 

巣鴨のワンルームに蟄居して,非常勤の予備校講師,専門学校講師 

で食いつなぎながら,就活していたけれど一向に定職に付けず, 

それでも,「どうにかなるさ」と,生来の脳天気で,その分金無し 

ヒマありで他にやることもなく,ノンキに読書三昧で,こうした 

テーマのノート作りがとてもはかどっていた時期でした。
 

もっと,アウトドアで生命力が強く生活的にも貪欲で建設的な 

精神ならよかったかも。。と思ったりもしますネ,
 

ITとかも趣味ではなく,就活ではなく,自分で借金しても事業 

を始めてみるとかで,今さらですが,歴史は変わっていたかも。。
 

しかし,仮面ウツ病は続いてたし途中で人生投げ出さずに生きて 

きただけでもマシか??。。。

結局,妻も子もなく寂しさを犠牲にして自分のためダケにしか

生きてこなかったのですが。。
 

自分が守ってあげる対象とか,生きる動機(motivation)が無いと 

後が少ない余生は精神的に辛いようです。
 

(※§52ゲージ場の量子化(経路積分型式)から始まる,この参照 

ノートの作成開始日付も,まさに48歳の終わり頃,199812/26() 

となってました。)
 

§5-5 ゲージ場の正準量子化;共変的な演算子形式 

※正準量子化(相対論的に共変なゲージで演算子形式 

(operator formalism)での場の量子化)
 

ゲージ固定関数として, =∂μμ(α/2) 

を取ります。そうすると,全系のLagrangian 

~=-(1/4)μνaμνmatter(φ,μφ) 

GFFP で与えられます。 

ただし.GF=-∂μμ(α/2), 

FP=- i(μ~)μa です。
 

また,便宜上,GFFP の部分は,前節の表式から, 

部分積分した形に書き直しておきました。
 

まず,正準()交換関係を設定するために,共役運動量 

変数を計算します。
 

πaμ=∂~/∂Aμd=Faμ0  

πB=∂~/∂Bd=-A0  

πiφ=∂~/∂φid , 

π=∂~/∂cd =-i~d, 

π~=∂~/∂c~d i(d-gfabc0 

です。
 

ここでは(0,)セクターのみが特異で1次拘束条件: 

φ1=π00,φ2=πB+A00 を与えますが,他は 

全て普通(正則)です。
 

ゲージ固定条件が無かった以前の拘束条件とは異なり, 

今の場合,Poissom括弧は, 

[φ1(),φ2()]P.B.=-δabδ3()0 

あり,φ=[φ1φ2,]は第2類の拘束条件です。
 

したがって,これらの拘束条件の時間発展の無矛盾性の 

要求は,φd() [φb1(),]P.B.+∫d3 

[φd(),φ1()λ1()+φ2()λ2()] P.B 0 

(k=1,2)で,単に未定係数:λ1(),λ2()を決める 

非特異な方程式に過ぎず,さらに,これ以上の拘束条件 

は現われません。
 

すなわち,1類拘束条件は出現せず,ゲージはうまく 

固定されています。
 

そこで,Dirax括弧の定義:[,] D [,]P.B. 

[,φα]P.B(-1)αβ[φα,]P.B. 

(ただし,αβ[φα,φβ]P.B. ) 

に基づいて(0,)セクターのDirax括弧を計算 

すると,
 

[(,),-A0(,)]D [(,),πB(,)]D 

~ -δabδ3(),  

[0(,),0(,)]D [(,),(,)]D 

0 となります。
 

(21-1); Dirax括弧計算結果の証明です。 

まず,[φ1(),φ2()]P.B.=-δabδ3()なので, 

α=(,),β=(,)(,l=1,2)とするとき, 

(-1)αβ=Cαβです。したがって,[,] D [,]P.B. 

[,φα]P.Bαβ[φα,]P.B. Dirax括弧が計算 

できます。
 

まず,[,-A0] D [,-A0]P.B. 

[,π0]P.Bδcdδ3()[πB+A0,-A0]P.B.  

[,π0+A0]P.Bδcdδ3()[π0,-A0]P.B. 

です。
 

ところが, [,-A0]P.B.~0, [,π0]P.B.  0, 

 [πB+A0,-A0]P.B. 0,  

[,π0+A0]P.B.=δacδ3(). 

[π0,-A0]P.B. =δcbδ3().です。
 

それ故,[,-A0] D  ~ δabδ3(),を得ます。
 

次に,[,πB] D[,πN]P.B. 

[,π0]P.Bδcdδ3()[πB+A0,πB]P.B.  

[,π0+A0]P.Bδcdδ3()[π0,πB]P.B. 

です。
 

ところが, [,πB]P.B.~δabδ3(), 

[,π0]P.B.  0,[πB+A0,πB]P.B. 0,  

[,π0+A0]P.B. 0.,[π0,πB]P.B. 0.です。
 

それ故,[,πB] D  ~ δabδ3(),を得ます。
 

また,[0,0]D[0,0]P.B. 

[0,π0]P.Bδcdδ3()[πB+A0,0]P.B.  

[0,π0+A0]P.Bδcdδ3()[π0,0]P.B. 

0 および, 

[,]D[,]P.B. 

[,π0]P.Bδcdδ3()[πB+A0,]P.B.  

[,π0+A0]P.Bδcdδ3()[π0,]P.B. 

0は明白です。 (21-2終わり※)
 

このDirac括弧式自体は,(0,)セクターでは,のみを座標 

変数として,-A0はBのに共役な運動量πBに同等はので, 

さらにAに共役な変数を求めることはしない,というやり方 

(簡便法)で求まる普通のPoisson括弧と同じです。
 

(※一般に,Lagrangianに時間微分が1箇所Qqdの形でしか 

現われていない変数の組:(,)に対し,qを座標変数,Qを 

それに共役な運動量変数とみなす簡便括弧計算法が成り立ち, 

Dirac流の面倒なDirac括弧の計算と同じ結果を与えます。)
 

実は,物質場の部分でもDirac:ψがあれば.(ψ,ψ) 

対しても同じ事情が存在します。

すなわち,Dirac場の作用積分で一部部分積分したもの: 

S=∫d4{(1-α)ψ~γμμψ-α(μψ~)γμψ-mψ~ψ} 

(αは任意パラメータ)を出発点の作用積分とし, ψ,ψを共に 

独立な座標変数と考えて,前に論じた特異系の量子化の手続きを 

遂行すれば,Dirac括弧を通して得られるψ,ψの反交換関係は。 

単にα=0の作用積分でψを座標変数:iψ(座標変数と思わず) 

ψに共役な運動量変数とみなす,以前にDirac場を正準量子化 

したときの簡便量子化法の結果と一致します。
 

※(21-2):(1-α)ψ~γμμψ-α(μψ~)γμψ-mψ~ψ 

から,πaψ=∂L/∂ψadi(1-α)ψ,πψa+=∂L/∂ψd 

iαψ,そして,このは特異系であり, 

φ1=πaψi(1-α)ψ0,,および, 

φ2=πaψ+iαψ0,,1次の拘束条件です。
 

これらは全てGrassmann数ですがPoisson括弧は 

[φ1(),φ2()]P.B. 

=-iαδabδ3() i(1-α) δabδ3() 

=-iδabδ3(),および, 

[φ1(),φ1()]P.B. [φ2(),φ2()]P.B. 0 

です。そこで全体として第2類拘束です。
 

Dirac括弧の係数行列Cとしては,-1=Cですから, 

,GをGrassmann数として,[,]D[,]P.B. 

[,φα]P.B. αβ[φ1α,]P.B. と書けます。
 

ψ,ψを独立な座標変数と見る立場では,そのPoisson括弧 

はゼロですから,[ψ(),ψ()]D[ψ(),ψ()] P.B. 

+∫d33[ψ(), πcψ()i(1-α)ψ()]P.B.  

iδcdδ3()[πdψ+()iαψ(),ψ()]P.B. 

-∫d33[ψ(), πcψ+()iαψ()]P.B.  

iδcdδ3()[πdψ()i(1-α)ψ(),ψ()]P.B. 

0 +∫d33δ3()iδ3()}{-δ3()} 0 

=-iδ3() を得ます。
 

同様にして,[ψ(),ψ()]D[ψ(),ψ()]D0 

も得られますが,詳細は省略します。
 

よってi[,] D {,}=FG+GFというFermion 

量子化を行えば,簡便法で,πaψiψ,とした正準反交換関係 

{π(),ψπbψ()]iδ3(). 

{ψ(),ψ()}]D{πaψ(),πbψ()}0 

に一致する結果を得ます。 (21-2終わり※)
 

Poisson括弧,またはDirac括弧を(i)倍して 

()交換関係に置き換える通常の量子化の手続きに 

従って、演算子に対する次の正準()交換関係が 

得られます。
 

[(,),πbk(,)]iδabδ3() 

[0(,),(,)]iδabδ3() 

[φi(,),πφj(,)]iδijδ3() 

{(,),π(,)]{~(,),π(,)] 

iδabδ3()であり,その他の組合わせは,可換,または 

反可換です。
 

物質場:φiについて[ , }なる記号を用いたのは,Bose粒子か 

Fermi粒子かに応じて交換関係か反交換関係を対応させると 

いう意味です。
 

FPゴースト;,および,反ゴースト:~については, 

Fermi粒子として量子化すべく反交換関係を設定しました。
 

そして,,~,全ての物質場のFermion場とも反可換で 

あると約束をとることにしておきます。
 

一般に対称性変換につながらない2種のFermion場の間では, 

Klein変換と呼ばれる変換を用いて同時刻で可換にも反可換 

にもすることがでみます。すなわち,
 

Fermion:ψに対し,[,ψ]=-ψ,[,ψ]=ψ 

を満たす演算子:NをΨの個数演算子と呼びますが,,2種の 

Fermion:ψi(i1,2))が同時刻正準反交換関係: 

{ψi(,),ψj(,)}=δijδ3(), 

{ψi(,),ψj(,)}{ψi(,),ψj(,)}0 

を満たしているとき,
 

iをψiの個数演算子として,次のKlein変換: 

Ψ()=ψ(),Ψ2()exp(iπN1)ψ2() 

で定義される新しい場:Ψ(i1,2).Ψ自身のそれぞれの 

正準反交換関係は元と同じですが, 

Ψ1とΨ2の間は元の反可換則でなくて可換則になる。」

という命題が,成立します。
 

(21-3):上記命題の証明です。 

まず,{Ψ1(,),Ψ1(,)}=δ3(), 

{Ψ1(,),Ψ1(,)}{Ψ1(,),Ψ1(,)}0 

は自明です。
 

次に,Ψ2()exp(iπN1)ψ2()より, 

Ψ2()=ψ2()exp(iπN1)なので, 

 Ψ2()Ψ2()=ψ2()ψ2() です。
 

また,1はΨ1とΨ1の双1次形式と考えられるので, 

1自身はψ2()ψ2()と可換です。
 

故に,Ψ2()Ψ2()exp(iπN1)ψ2()ψ2()exp(iπN1 

=ψ2()ψ2()ですから, 

ψ2()ψ2()=-ψ2()ψ2()+δ3()によって, 

{Ψ2(),Ψ2()}=δ3()です。
 

同様に,{Ψ2(),Ψ2()}{Ψ2(),Ψ2()}0 です。
 

一方, [1,Ψ1]=-Ψ2より, Ψ11(11)Ψ1, 

 Ψ112(11)Ψ11(11)2Ψ1..etc. 

故に, Ψ1exp(iπN1)exp{iπ(11)}Ψ1 

=-exp(iπN1)ψ1です。
 

Ψ1()Ψ2()=Ψ1()exp(iπN1)ψ2() 

=-exp(iπN1)ψ1()ψ2()exp(iπN1)ψ2()ψ1() 

=Ψ2()Ψ1(),つまり, [Ψ1(),Ψ2()]0を得ます。
 

同様に, exp(iπN1)Ψ1=-Ψ1exp(iπN1)より, 

[Ψ1(),Ψ2()]0です。さらに, 

[Ψ1(),Ψ2()][Ψ1(),Ψ2()]0 も成立します。 

(証明終わり)     (21-3終わり※)
 

さて,~(,φ)GFFPを持つ系はもはや特異系 

ではないので,既述の正準()交換関係を用いてHeisemberg 

の方程式を求めれば,これらは,L~から直接導かれる次の 

Euler-Lagrabge方程式に一致するはずです。
 

まず,~/∂Aμ-∂ν~/(νμ)}0 より, 

-gfabcνcνμ+∂νaνμ-∂μ 

igfabcμ~+∂matter/∂Aμ0 より,  

ννμ-gjμ=∂μigfabcμ~ 

です。
 

次に,~/∂B-∂μ~/(μ)}0 より, 

μμ+αB0 です。
 

~/∂c-∂μ~/(μ)}0 より, μμ0 

(右微分でも左微分でも同じです。) また, 

~/∂c~-∂μ~/(μ~)}0 より,μ~μ0 

μμ=∂μμ~ 0 です。
 

ただし,物質場のカレント:μ=は, 

μ=-g-1(matter/∂Aaμ) 

=-i{matter/(μφi)}(φ)i 

この最後の等式は,matteμと∂μφ.必ず共変微分: 

μφ(μigAμa)φの組合わせでのみ,含まれて 

いるから成立します。
 

ここで,これまではっきりと述べなかったFPゴースト場 

Hermiteに関して注意しておきます。
 

すなわち,FPHermiteにするためには,とc~,, 

共にHermite()演算子である必要があります。 

a+()=c(), ~a+()=c~() です。
 

ゲージ場:aμ,Hermite演算子とし,他の物質場:φi 

Hermite性については.通常のものと同じとしておきます。
 

こうすれば,FPゴーストのLagrangian:FP,それ故,全系の 

Lahrangian:~Hermiteになります。 

FPFP, ~~です。
 

このことの最も重要な帰結は,全系のHamiltonian:HがHermite 

演算子になり,それ故,系の時間発展の演算子:expi(iHt), 

ユニタリ(unitary)演算子になるということです。
 

このことは特に無限の過去の状態から,無限の未来の状態への 

遷移を記述するS行列演算子がユニタリ(unitary)であること 

を意味します。SS=SS1です。(※確率保存の条件)
 

この条件が,後述するS行列:physのユニタリ性の証明の基礎 

となります。
 

今日はここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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2018年1月24日 (水)

ゲージ場の量子論(20)

ゲージ場の量子論(19)」からの続きです。
 

※秋には台風の中を通院した,悪い星の下に生まれた,雨男,雪男 

は2か月に1回だけの予約外来通院で,23日には雪で凍った道 

の上,苦労して病院に行って来ました。疲れる!まだ生きてる!!
 

§5-4 BRS対称性 

前節で得られた共変ゲージでの経路積分表式に基づき, 

非可換ゲージ理論は,t'Hooft(トフフト)を初めとする人々 

によりくり込み可能性やユニタリ性の証明,漸近的自由性 

の発見など,大きく発展させられました。
 

その発展が一息ついた頃,Becchi(ベッキ),Ronet(ルネ), 

Stora(ストラ)の3人は,前節のLagrangian密度:~がある 

奇妙な変換の下で不変であることに気付きました。
 

この変換はパラメータがGrassmann数であり,2回続けて行う 

とゼロになる(ベキ零世)という特殊な性質を持っているもので. 

今日,BRS変換と呼ばれています。
 

ゲージ理論の量子系のLagrangian密度:~のBRS対称性は 

非常に基本的なもので,歴史的には先行していたゲージ固定  

の方法.くり込み可能性,ユニタリ性の証明など,ゲージ理論  

の構造全般に関して,大変透徹した理解を与えます。

そこで,ここではそのような理論の歴史的順序を全く逆転して 

局所ゲージ不変な理論から出発して,まず,BRS変換を構成し  

次にそれに基づいてゲージ固定の手続きを行ない,量子論的な  

Lagrangian:を得るという順序で話をします。

すなわち,出発点は古典的な場のゲージ変換と,その下で不変 

な古典的Lagrangian:であって、前節のFadeev-popov 

ゲージ固定処方や量子化の知識を全く前提にしません。
 

むしろ,FPゴースト場:.~や中西-Lautrap(NL場): 

なるものは、第1ステップのBRS変換によって導入されます。
 

また,第2ステップは「BRS変換によるゲージ固定処方」も, 

実は元の,Fadeev-popovのそれより,ずっと一般的なものを 

与えることがわかります。
 

もちろん,歴史的にはFadeev-popovの仕事なくして;BRS 

変換の発見は有り得なかったわけではありますが。。。
 

※BRS変換の構成 

Yang-Mills場の古典論,すなわち,前節の古典的Lagrangian 

密度:(,φ)と場のゲージ変換を出発点としてBRS変換 

をどのように構成するか,その構成法を,やや天下り的に,  

与えることにします。
 

この構成法は,しかし,任意の局所ゲージ不変な系に対して 

適用できるもので,他の系への適用の仕方が明らかになる 

ような形で述べます。
 

) まず,元々のゲ^ジ不変なLagrangian密度:(,φ) 

に現われているゲージ場:μと物質場:φiに対して, 

BRS変換は,元の無限小ゲージ変換において,単に,その 

無限小変換パラメータ:θ()Grassmann数パラメータ: 

λとFPゴーストがc()の積で置き換えて, 

θ() → λc() とすれば得られます。
 

すなわち,δφ()=-igλc()()ijφ(), 

δμ()=λ{μ()-gfabcμ()()} 

=λDμ() です。
 

この天下り的構成法では,θ() → λc()の手続き 

でFPゴースト場は導入されるので,その)個数や添字は, 

一般に局所ゲージ変換パラメータのそれに等しいことに 

なります。
 

(※普通,変換パラメータ:θ()は可換なc-数なので, 

θ() → λc()でλがGrassmann数なら,それは 

()Grassman 奇の量であることを意味します。
 

変換パラメータ自身がGrassmann数である超対称性ゲージ  

変換の場合は,逆にFPゴースト場:()Grassmann  

偶の量となります。)
 

Grassmannn:λはBRS変換の大局的(xに依らない) 

変換パラメータです。

 この変換パラメータ:λを省いた形のBRS変換:  

δ,つまりδ=λδもしばしな有用であり,これは,  

行列記法:()=c(),μ()=Aμ()

を使ってδΦ(x)=-ig(x)φ(x),  

δμ()=∂μ()i[(),μ()]  

で与えられます。
 

Grassmannn:λをはずしたので,δは演算規則として 

Grassmannn奇の量(Fermion)を跳び越すとき()符号 

を出します。
 

すなわち,δ(FG)()G+()|{δ
 

)()の続きで,導入されたFPゴースト場;() 

のBRS変換は,物質場:φiやゲージ場:μの上での2回 

BRS変換がゼロになるように決めます。
 

すなわち,φiやAμの上でベキ零性:δ20 が成り立つことを要請 

します。
 

物質場:φの上でのベキ零性の要求は,0δ(δφ) 

=-δ(icφ)=-i{(δ)φcδφ} 

=-i{(δ)+c(i)}φ
 

任意の物質場;φに対してこれが成立するので 

FPゴースト場のBRS変換は, 

δ()=-i2() です。
 

これを()=c(),の成分c()で表示すれば, 

が反交換量なので, 

2(1/2)[, ] (i/2)abcより, 

δ()(1/2)abc()() となります。
 

)上では物質場の上でのベキ零性:δ2φ0 から, 

δ()=-i2()を導きましたが,これによって, 

ゲージ場の上でのベキ零性:δ2μ0 も自動的に 

満たされていることを確かめることができます。
 

(20-1):何故なら,δμ=∂μi[,μ] 

なのでδ(δμ)=∂μδμ 

i{(δ)μ(-c(δμ)(δμ)(δ)μ} 

μδμ-∂μ(i2)=-i{(μ)c+c(μ)} 

0 です。(20-1終わり※)
 

もう1つ確認すべき,自明でない点はFPゴーストcの変換則: 

δc=-i2から,ゴースト自身の上でのベキ零性:δ20 

が満たされるかどうか?ということです。
 

しかし,幸い,これは次のように容易に確かめることができます。 

すなわち,δc=-i2より,δ(δ)=-iδ(cc) 

=-i{(δ)c-(δ)c=(i)2{2c-cc2}0  

です。
 

)最後に,FPゴースト場:()11個に対応して 

反ゴースト場:~()を導入して,そのBRS変換として 

NL場:()のi倍を定義します。
 

すなわち,δ~()=i()です。
 

さらにδ2~0 を要請すれば,NL場:() 

BRS変換が δ()0 と決まるので,ベキ零性: 

δ20 が新しい場:~,の上でも成立すること 

になります。
 

以上がBRS変換の構成法の全てです。この構成法により 

明らかにBRS変換は,常にベキ零性:δ20 を示します。
 

Lagrangian段階でのゲージ固定処方 

BRS変換が構成されると,ゲージ不変な古典場のLagrangian: 

(,φ)に対して,次のように非常に簡単で,かつ一般的な 

ゲージ固定の処方を与えることができます。
 

まず,ゴースト場:に-1,反ゴースト場:~に+1を付与 

する加法的量子数;FPを定義して,これをゴースト数と 

呼ぶことにします。(※したがって,ccとc~cは,それぞれ, 

ゴースト数:FPが,-20です。)
 

次に,ースト数がゼロであるような場の関数:(,φ,,~) 

をゲージ変換パラメータ:θと同じ数だけ任意に選んで設定します。
 

そして,GF+FP=-iδ(~)と定義しこれを(ゲージ固定項, 

Fadeev-popov)として,元のゲージ不変なLagrangian: 

(,φ)に加えます。これが,,与えたBRS変換に基づくゲージ 

固定処方の全てです。
 

関数:はゲージ固定関数(gauge fixing function)と呼ばれます。 

.全く任意といっても,もちろんゲージを完全に固定するもの, 

という制限があります。
 

こうして,元のゲージ不変なLagrangianにゲージ固定項, 

Fadeev-popov項を加えたもの: 

~(,φ,,~)(,φ)GF+FP(,φ,,~) 

が量子論におけるLagrangianとなります。
 

ゲージ固定というからには,この~では,局所ゲージ不変性は 

全て失われていて,もはや第1類拘束条件を1つも導かない, 

というようなFの選択でなければなりません。
 

1つの例として,ゲージ固定関数を,=∂μμ(α/2) 

(αはゲージパラメータ)と取ってみます。
 

そうすると,BRS変換則によって 

GF+FP=-iδ[~{μμ(α/2)}] 

=B{μμ(α/2)}i~(μμ) 

=B(μμ)(α/2)i~μμ 

となり,結局,前節の(GFFP)を再現しました。
 

一般にゲージ固定関数:がFPゴーストを全然含まない 

場合,GF+FP=-iδ(~)δがc~にかかる部分 

とFにかかる部分が,それぞれ,ゲージ固定項:GF 

対応するFPゴースト項:FPとを与えることになります。
 

GF=Ba(,φ,), 

FP=-i~δ{a(,φ,} です。
 

以上の手続きが前々節の最後の第1類拘束系の取り扱いの 

2番目の方式よして挙げた 

Lagrangian段階でのゲージ固定処方」の一般の系の場合 

の処方です。
 

BRS変換の構成と,それに基づくゲージ固定処方に関して 

重要な注意をいくつか述べておきます。
 

) BRS変換:δはゲージ固定を行う前に決められており. 

ゲージ固定条件には依存しません。
 

)ゲージ固定項:GFと対応するFPゴースト項:FP 

両者を一まとめにして,GF+FPδ()の形をしている 

ので,そのBRS不変性はδのベキ零性から明白です。
 

δGF+FPδ{δ()}0 です。
 

一方,元のゲージ場:μと物質場:φiに対するBRS変換は, 

θ()=λ()を変換パラメータとする特殊なゲージ 

変換に過ぎない,ことから,ゲージ不変な(,φ) 

明らかにBRS不変です。
 

(※ 関数:fに対するBRS変換とは,fがf→f+δfと 

変換されることを意味するのでfがBRS不変であることは 

δf=0 と同値です。)
 

従って,上の手順で得られる量子力学系の全Lagrangian 

~(,φ,,~)(,φ)GF+FP(,φ,,~) 

は自動的にBRS不変です。 

つまり,δ~δ(,φ)δGF+FP0で す。
 

すなわち, GF+FPを加えたことによって(,φ)の持って 

いた局所的ゲージ不変性は完全に消えたのですが,代わりに, 

得られた~は大局的なBRS不変性を持つことになります。
 

しかも,元々あった場:μとφiに関してはBRS変換は 

特殊な形のゲージ変換なので,この意味で「BRS不変性は 

量子力学系のゲージ不変性である。」ということができます。
 

(20-2):ゲージ固定の意味 

BRS変換:δのパラメータ:λc()を単なるθ() 

に戻したときの普通のゲージ変換を,δθと書けば,ゲージ不変 

(,φ)については相変わらずδθ(,φ)0 です。
 

しかし,一般に.ゴースト場についてδθは効かない,とすれば. 

δθGF+FPδθGF0 なので,~GF+FPにおいて 

,確かにゲージ不変性は完全に消えてなくなります。 

(20-2終わり※)
 

)今の処方ではゲージ固定関数:,FPゴースト場:やc~ 

を含んでいてもいいはずです。 

しかし,そうした場合には,GF+FP=-iδ(~),ゴースト 

の4次の相互作用:~~ccをも含むことになります。
 

ところが前節のFadeev-Popovの処方では,FPゴーストは 

Fadeev-Popov行列式をGauss積分の書き換えるトリックでのみ 

現われるので,そうした相互作用項は決して出てきません。
 

それ故,今のゲージ固定処方の方が前節のFadeev-Popovの処方 

より,かなり一般的にされたものであるといえます。
 

元のLagrangianに加える「ゲージ固定項+FPゴースト項」 

としてGF+FPδ()の形を採用するのは上記の()とは 

別の重要な意味がありますが,それは次節で述べる予定です。
 

 この節は,ここで終わりで切りがいいので,今日はここまで 

にします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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2018年1月22日 (月)

ゲージ場の量子論(19)

体は不自由ですが,ある意味,他にやることなくてヒマなので, 

こればかりに集中してやや急ピッチですが, 

「ゲージ場の量子論(18)」から,§53ゲージ場の量子化 

(経路積分型式)の続きです。

Faddev-Popov行列式 

前回最後に,ゲージ固定条件導入方式で得た非共変 

Coulombゲージでの遷移振幅の経路積分表示式: 

T=∫φΨΨΠ{Πδ(())} 

Π(Det)exp{i∫d4(,φ)} において
 

作用積分:[,φ]=∫d4(,φ), 

ゲージ変換:μ() θμ() 

(i/)(θ())μ-1(θ())+U(θ())μ-1(θ()) 

φ() φθ()=U(θ())φ() 

の下で不変です。
 

ここでは,θ()はゲージ変換群:Gの元: θ()∈Gで,(θ()) 

,そのユニタリ表現と考えます。ある関数の組: (μ,φ)が上記 

ゲージ変換でつながる全ての(θμ,φθ),θを動かすにつれて, 

関数空間において,ある軌跡を描きますが,それをゲージ軌跡 

(gauge orbit)と呼びます。
 

作用積分: [,φ]は1つのゲージ軌跡に載る全ての関数:(θμ,φθ) 

に対して,同一の値を与えるので,上述の経路積分表式で.δ関数因子: 

Π{Πδ(())}Π(Det)が存在しなければ, 

あらゆる(μ,φ)にわたる経路積分:φから.ゲージ変換: 

θ()の関数自由度分だけ,∞重に数え過ぎが生じます。
 

つまり,無限大の因子:|∫Πdθ()||θ|を含んでしまうこと 

になります。Coulombゲージのδ関数:{Πδ(())},各ゲージ 

軌跡上の関数から代表元を選ぶ役割をしていて,この無限大因子の出現 

を防いでいる意味があります。
 

しかし,これは当然で,そもそもゲージ固定条件というのは,ゲージ軌跡 

方向の運動を強制的に固定するもので,関数空間内でゲージ軌跡を 

横断するあらゆる超曲面が横たわる角度日夜積分の非一様性を補償 

するものであると推量されます。
 

このように考えると,ゲージ固定条件として,例えば, 

相対論的に共変な,μμ=f,行列記法で∂μμ 

を採用してもいいはずです。
 

ここでfは全く任意に決めたc-数関数です。
 

このゲージ固定条件を理論に取り入れるために,Faddev-Popov 

(ファデーエフ・ポポフ)に従って,次の量を定義します。
 

すなわち,Δ-1[,]=∫θΠ,δ(μθμ()())  

です。ただし,Δ[,],,fの汎関数です。
 

経路積分測度:Dθ=Πx∫dθ()の各点xにおけるdθは群G上 

の不変測度と呼ばれるもので,∀θ'∈Gに対して,dθ=d(θθ') 

=d(θ'θ)を満たします。 

(※実際に後で必要になるのは,dθのθが単位元の近傍のときの 

表式だけで,陽な表式は,そのときに与えます。) 

(※dθは右不変,左不変なハール(Haar)測度で,xでの1次元積分 

なら,(dx/),または,Πdgij(det)-n etc.のようなものです。
 

したがって, Dθ=D(θθ')=D(θ(θ), 

特にD(θ-1)=Dθです。 

例えば,∫f()dx/x=∫f()(0)/(0) 

=∫f(0-1)dx/xであり,∫f(1/)dx/x=∫f()dy/ 

です。y=1/,dy/y=d(1/)/(1/)です。)
 

この測度の不変性から直ちに,:Δ[,]のゲージ不変性: 

Δ[θ,]=Δ[,]が従います。
 

Δ-1[,]=∫θΠ,δ(μθμ()())の両辺に 

Δ[,]を掛けて1としたものを,遷移振幅の表式に掛けます。
 

Ψ,ΨやΠ,δを省略して,Tは 

T=∫φδ(())Δ[]exp{i[,φ]} 

θδ(μθμ()())Δ[,]
 

ただし,DetMの関数依存性を考慮して,Det=Δ[] 

としました。
 

[,φ],Δ[,]のゲージ不変性から 

T=∫θ∫φδ()Δ[]exp{i[θ,φθ]} 

δ(μθμ)Δ[θ,]
 

ここで.積分変数を(μ,φ)から(A'μ,φ')(θμ,φθ) 

変数変換します。
 

このとき,経路積分測度はゲージ不変です。 

A'=,φ'=φです。
 

(19-1): A'=,φ'=φを証明します。 

A'=Det(δA'μ/ΔAν) 

det[δμνδ3(){δab-gfabcθ()}]
 

ところで,超行列Mに対してln(det)=Tr(ln), 

or detM=exp[r(ln)]です。
 

M=exp(εX)1+εX+O(ε2)なら,r(ln)=εTr() 

 detM=det[1+εX+O(ε2)] exp[εTr()]
 

A'=det(∂A'μ/∂Aν) 

det[δμνδ3(){δab-gfabcθ()}] 

exp[4∫d4[-gfaacθ()δ4(0)]A=A です。
 

一方,φ'= Det(δφ'/Δφ)φ 

det[δ3(){δiki()ikθ()}]φ 

exp[ig∫d4[r()θ()δ4(0)]φ です。
 

がU(1)群の生成子1でないならTr ()0 です。
 

GがU(1)を部分群としてを含む場合でも.φとφの変換は, 

φ→[1i()θ]φ,,φ[1-+i()θ]φ 

φは実はφφですからそれらのTのつくるトータル 

のトレースはゼロで,結局,φ'=φを得ます。 

(19-1終わり※)
 

A'=,φ'=φと,さらに,A'θ-1を用います。 

そして変換後に(A'μ,φ')prime記号をはずして(μ,φ) 

記号にすると,T=∫θ∫φδ(θ-1)Δ[θ-1] 

δ(μμ)Δ[,]exp{i[,φθ]} です。
 

ただし,不変測度の性質D(θ-1)=Dθをも用いました。
 

さて,ここでΔ[,]の評価を行います。 

この式には,δ(μμ)因子があるので,μμ 

満たすAμの近傍のみで評価すれば十分です。
 

つまり,Δ-1[,]=∫θΠ,δ(μθμ()()) 

の定義において,Gの単位元θ=1の近傍のみがθに効いて 

きます。
 

単位元の近傍では,θ=1igθ() 

(θ)μ()μ()(μθ)()
 

また,不変底度:θは.r () =Nδab なる直交基底 

をとる群Gでは,θ=Π{Πdθ()}×(定数)で与える 

ことができます。
 

(19-2):空間Gの次元をMとするとM次元多様体の各点Pに 

おける体積要素は,その点でのdθ1…,dθ.,..,dθによって, 

dV()=dθ1dθ..dθ=Πあ=1dθ() です。
 

単位元の近傍の元をθ0(δθ)exp{Σa=1δθ}と書き, 

任意の元:θ1(θ)exp{Σa=1δθ}を左 から掛けたとき, 

dVがどのように変わるかを見ます。
 

θ1・θ0exp[{Σa=1θ'(θ,δθ)} 

exp{Σa=1θ}exp{Σb=1δθ} です。
 

両辺をδθで偏微分すると. θ0はθ=1の近傍なので, 

Σa=1{(∂θ'/∂θ)}=Tを得ます。
 

それ故,これの右からを掛けてトレースを取ると, 

∂θ'/∂θ=Nδbcです。
 

したがって,dV'=dθ'1dθ' 

det(∂θ/∂θ)dθ1dθ=dV
 

結局, Πa=1dθは不変測度であり,これを定数倍 

したものも不変測度です。(注19-2終わり※)
 

したがって, 

Δ-1[,]=∫θΠ,δ(μθμ()()) 

=∫(Πa=1dθ) Π,δ(μμθ()) 

Det-1(μμ) と書けます。
 

(※何故なら,∫δ()det(-1)δ(0) 

det-1()δ(0) です。)
 

すなわち,Δは4次元関数の汎関数行列式:  

Δ[,]Det,であり,abxy=∂μμ 

=∂{δabμ-gfacbμ()}δ4(x-y) 

です。
 

結局,μμfなので,式からfは消えて,Δ[,] 

は実はfには依存しないという結果を得たことが重要です。
 

そして,Δ[,]DetNと行列式に表わせるので,これを 

Fadeev-Popovの行列式と呼びます。
 

ところで,このΔ[,]Det, 

abxy=∂{δabμ-gfacbμ()}δ4(x-y) 

の形を見ると,これは前回定義した,DetM=Δ[]. 

abxy()=∇x{δab+gfacb(,)}δ3(-y) 

との類似性が歴然としています。
 

そこで,Δ-1[,]=∫θΠ,δ(μθμ()())と同様, 

Coulomゲージでも,Δ-1[]=∫θΠ,δ(∇Aθ()) 

と定義すると,やはり不変測度θがあって,それに対しゲージ不変性: 

Δ[θ]=Δ[]が従うことがわかり,単位元の近傍で 

(θ)μ()μ()(μθ)()と同様, 

(θ)()()(θ)()と変換すること 

からΔ[]=ΠtDetM=ΠtΔ[] が示せます。
 

Δ-1[]=ΠtDet-1(-∂)=ですから 

T=∫θ∫φδ()Δ[] 

δ(μμ)Δ[,]exp{i[,φ]} 

における∫θΠ,δ()Δ[]の部分は実は1 

等しいことがわかりました。
 

結局,T=∫φΨΨΠ,δ(μμa) 

(Det)exp{i[,φ]} が得られます。
 

出発点のTの表式と比較すると,相対論的に共変でない 

CoulombゲージのΠ,δ(())Πt(Det),相対論的 

に共変なδ(μμ()a())(Det)に置き換えること 

に成功したことになります。
 

上述の式変形の途中では始.終状態の波動関数:Ψ,Ψ 

を省略していたので明確ではなかったのですが,それらの 

波動関数自身もゲージ不変なときにのみ,これらの導出は, 

正当化される手続きです。
 

しかし,物理的状態はゲージ変換で不変,または,せいぜい 

ユニタリ変換を受けるだけなので,物理的状態間の遷移振幅 

に関する限り,この最終表式:T=∫φΨΨ 

Π,δ(μμa)(Det)exp{i[,φ]},他のゲージ 

と等価な正しい情報を与えることになり,理論的には,それだけ 

で十分です。
 

Fadeev-popovゴースト
 

T=∫φΨΨ 

Π,δ(μμa)(Det)exp{i[,φ]} 

もう少し摂動計算に便利な形に書き換えることを考えます。
 

遷移振幅Tは最終状態がゲージ不変である限り,元のCoulomb 

ゲージの表式と同じ値を示し,実はc数関数:()には全く 

依存しないことを先に述べました。
 

それ故,例えば,次のGauss関数の積分で与えられる定数: 

ξ=∫exp i[∫d{{1/(2α)()()}} 

の表式の両辺に掛けて,さらにξ-1を掛け,積分変数の順序 

を交換し,δ(μμa)の中のf,上のξを与える 

積分変数:と同一視することも許されます。
 

つまり,T=ξ-1φfΨΨ(Det) 

exp{i[,φ]}Π,δ(μμ()a()) 

exp i[∫d{{1/(2α)()()}} です。
 

すると,T=ξ-1φΨΨ(Det) 

exp i∫d[(,φ){1/(2α)}(μμ) 2} 

となります。 

(※ξ-1は摂動の真空泡で割ると相殺されて消えます。)
 

この段階で出現した,{1/(2α)}(μμ) 2}QED 

の場合にゲージ固定項として既知のFermi項の形です。
 

勝手な定数αは,ゲージパラメータと呼ばれます。
 

ただ,ここでは可換群:(1)に基づくQEDとは異なり, 

Fadeev-popov行列式:DetNが現われるのが重要です。
 

ξの代わりに,新変数:()を導入した形では 

1=∫DBexp i[∫d4{(α/2))}] 

を挿入します。 

(※何故なら,右辺=∫DBδ()exp i[∫d4{(α/2)} 

]1 です。)
 

T=∫φΨΨ(Det) 

exp i∫d[(,φ)+Bμμ(α/2)] 

となります。
 

1=∫DBexp i[∫d4{(α/2))}] 

において右辺で∫DBを先に実行すれば, 

1=ξ-1exp i[∫d{{1/(2α)}}が得られる 

ので先の操作と等価です。
 

しかし,()は他の場:μ(),φ()と同様,経路積分される 

補助的な場の役割をしており,以下の議論でも,有用な役割を果たす 

ので以下では, 

1=∫DBexp i[∫d4{(α/2))}] 

を挿入する方法を採用します。
 

()QEDの共変な正準型式をつくった際に,その重要性 

を指摘した人の名をとって,中西-Lautrap,略してNL場と 

呼ばれています。
 

Fadeev-popov行列式:DetNの部分をさらに摂動論で扱いやすく 

するために2種の実Grassmann 変数:() ,~() 

導入し,Δ[,]Det,abxy=∂μμ 

=∂{δabμ-gfacbμ()}δ4(x-y) 

を用いると,Fadeev-popov行列式:DetNは, 

 DetN=∫DcDc~expi[∫dx{i~()(μμ)()}] 

=∫DcDc~expi[∫dx{i~()μμ()}] 

μ()=∂μ()-gfabcμ()() 

と書き直せます。
 

()が普通の実変数なら右辺のGauss積分はDet-1 

となってしまうのでGrassmann 変数でなければなりません。
 

DetN=∫~expi[∫dx{i~()μμ()}] 

の右辺は,() ,~()があたかも粒子場であって指数部 

がその作用積分であるような形になっています。
 

運動項は通常のスカラー場と同様なc~□cの形をしており, 

-gfabcμ(μ)の項はAμとの相互作用を与えます。
 

しかし,このスカラー場c() ,~()Grassmann  

なのでFermi統計に従うという奇妙なものです。
 

このような奇妙な粒子の存在は,まず,FeynmanYang-Mills 

1ループグラフのユニタリ性のために,必要であることに気付き 

続いて,De Wittが任意の高次ループグラフに対して一般化した 

のですが,それを経路積分で初めて系統的に導入した人の名を 

とって,Fadeev-popovゴースト(ghost),略してFPゴースト 

と呼びます。
 

まとめると遷移振幅は,結局, 

T=∫~φΨΨ(Det) 

exp i[∫dL~ (,,,~,φ)

ただし,L~ (,,,~,φ) 

(,φ)+LGF(.)FP(,~,) 

GF(.)=B(α/2)a , 

FP(,~,)i~μμ 

で与えられることになります。
 

量子論の全Lagrangian,元のゲージ不変なLagrangian: 

にゲージ固定項:GFFadeev-popov;FPを加えたもの 

になります。
 

遷移振幅がT=∫~φΨΨ(Det) 

exp i[∫dL~]で与えられることから,共変ゲージにおける 

Green関数の生成汎関数;[]の経路積分表式は 

[]=∫~φΨΨ(Det) 

exp i[∫d(L~ φ)], で与えられることが 

わかります。ここで,φJaμaμ+Jiφi+J~ 

+J~~+Ja です。
 

。ただし,一般にGreen関数,それ故Z[]はゲージ不変な量 

ではなく,採用しているゲージに依存します。上述の物理的状態 

間の遷移振幅:Tの場合,のように,他のゲージとの等価性が 

示せるのは,Green関数の含む物理的情報,例えば,S行列の値 

などに関してのみです。
 

今日はここまでにします。 

次回は新節のBRS対称性に入ります。

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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2018年1月20日 (土)

訃報!!夏木陽介さん

俳優の夏木陽介さんが去る14日に腎細胞ガンで亡くなられていたことが19日の本人のブログでわかりました。享年81歳でした。

NHKニュース → 俳優の夏木陽介さん 死去81歳

私の青春時代,には,この方や村野武武徳さん。森田健作さん。中村正俊さんなど。青春ものの先生がはやってた時代のはまり役でした。

アクション時代劇や「Gメン75」などでもご活躍でした。「夏木 陽介」の画像検索結果

ご冥福をお祈りします。合掌!!

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ゲージ場の量子論(18)

「ゲージ場の量子論(17)」からの続きです。
 

§53 ゲージ場の量子化(経路積分型式)
 

「ゲージ場の量子論(15)」で与えたゲージ不変な 

Lagrangian密度:(.φ)を持つ系の量子化を論じます。
 

(.φ)=-(1/4)aμνaμνmatter(φ.μφ) 

aμν=∂μaν-∂νν-gfabcμν 

μφ=(μigTaμ)φ です。
 

ここで物質場部分:matter(φ.μφ),φがスカラー場なら, 

matter(φ.μφ)(μφ)μφ-V(φφ) であり, 

φがDirac:ψなら,matter(ψ.μψ)(ψ~(iγμμ-m)ψ  

です。物質場:φの量子化に関しては取り立てて特別なことは 

ないので,ここでは,もっぱらゲージ場:aμに関する量子化を問題 

にします。
 

※拘束条件 

ゲージ場:aμに共役な運動量変数:πaμ, 

πaμ=∂L/(aμ)d=Faμ0 です。 

添字:μが空間座標のそれi=1,2,3のときは, 

πi=Fai0=∂a0-∂0ai-gfabcbi0 

3次元べクトru記号:=(1,2,3)を用いると, 

π=-d-∇Aa0-gfabc0 

となります、はAaμMaxwell方程式に従う電磁場の 

場合の電場に対応するものです。
 

この式はπを関係付ける普通の式です。
 

しかし,μ=0の時間成分:π0,aμνがμ,νについて 

反対称のため,ゼロになります。そこでπ00 と書けます。
 

この最後の式は系の1次拘束条件です。
 

前回の記事の論議から,系のHamiltonian:Hの密度:H~ , 

この拘束の未定係数項:π0λまで含めて, 

~=πaμ(aμ)d(1/4)aμνaμνmatter(πφ,φ,aμ) 

+π0λ 

(1/2){()2()2] 

π(∇Aa0+gfabc0)matter+π0λ 

ただし(1,2,3)=-(23,31,12) 

=∇×a(1/2)gfabc×c です。
 

また,π0(a0)d項は,π0λの中に吸収しました。
 

何故なら,πk(ak)d =-π(a)d 

()2π(∇Aa0+gfabc0)であり, 

(1/4)aμνaμν=-(1/2){()2()2] 

であるからです。
 

~=∫d3~ ですから,拘束条件:π00 ,その時間発展 

と無矛盾であるためには,次式が満足される必要があります。
 

すなわち,(π0)d [π0,∫d3~ ]P.B. Dπ-ρa D , 

ただし,Dπ=∇ π+gfabcπc であり, 

ρa(φ,πφ)=∂matter/∂A0 です。
 

ここで,正準Poisson括弧: 

 [μ(,),πaν(,)]P.B. =δμνδabδ3() 

を用いました。
 

そうして, Dπ-ρa  D は2次的拘束条件です。 

(※これは,電磁場のGaussの法則:=ρ/εに対応している 

と見えます。)
 

さらに,ゲージ不変性のゆえに,恒等的に, 

[Dπ-ρa,~]P.B. 0 です。
 

(18-1):上記最後の命題たちの証明です。
 

まず,~(1/2){()2()2] 

π(∇A0+gfabc0)matter+π0λ 

=-(1/2){()2()2]πdmatter+π0λ 

であり,[π0(,),]P.B.  

[π0(,),∫d3~(,)]P.B.  

=∫d3[π0(,),~(,)]P.B. です。
 

正準変数のゼロでないPoisson括弧は, 

[μ(,),πaν(,)]P.B. =δμνδabδ3()  

であり,π0(,)(,)Poisson 括弧を取るとき, 

(,)の中のA0(,)の因子を持たない項については 

寄与は全てゼロです。
 

すなわち,[0(,),π0(,)]P.B. =δabδ3() 

なので,[π0(,),0(,),]P.B. =-δabδ3() 

であり,この因子を持つ項以外の寄与はゼロです。
 

そして,=-d-∇Aa0-gfabc0より, 

[π0(,),(,)]P.B. 

=δap[π0(,),y0(,)]P.B. 

δarδ3()gfpqr(,)なので,
 

[π0(,),(,)]P.B.=δapyδ3() 

-δarδ3()gfpqr(,) を得ます。
 

それ故,[π0(,),()2(,)]P.B. 

=-[π0(,),()2(,)]P.B.(,) 

(,)[π0(,),()2(,)]P.B.  

=-{δapyδ3()-δarδ3()gfpqr(,)} 

π(,)-π(,) 

×[yδ3()-δarδ3()gfpqr(,)] 

2δ3()[yπ(,)+gfabc(,)π(,)] 

2δ3()yπ(,) が得られます。
 

ここで,=πp を用いました。
 

一方,=∇×a(1/2)gfabc×より, 

明らかに,[π0(,),(,)]P.B.0, です。
 

そこで,[π0(,),(1/2){()2()2](,)]P.B. 

(1/2)[π0(,), ()2(,)]P.B.  

=δ3()yπ(,) です。
 

したがって,[π0(,),~]P.B. 

=∫d3δ3()yπ(,) 

+∫d3[π0(,),matter(,)]P.B. 

Dπ(,)(matter/∂A0)(,) 

Dπ(,)-ρ(,) を得ます。
 

しかも. [π(,)-ρ(,),~]P.B. 

[π(,)-ρ(,),∫d3(,)]P.B. 0  

が示されます。
 

何故なら,まず, [π(,),π(,)]P.B. 0 

は明白です。
 

また, 

[π(,),π(,)]P.B.= -π(,)δbdδ3() 

です。それ故, [gfabcπ(,),π(,)π(,)]P.B. 

= -2gfabcπ(,)π(,)δ3()0 を得ます。
 

以上から,[Dπ(,),()2(,)]P.B. 0 です。
 

同様に,[Dπ(,),()2(,)]P.B. 0  

も陽に示せますが,詳細は省略します。
 

[Dπ(,),(1/2){()2()2}(,)]P.B. 0
 

物質場のLagrangian密度: matterBose系なら 

matter(μφ)μφ-V(φφ) ,μ=μigAμ() 

ただし,φ[φ1,..,φ], φ[φ1,..,φ]です。
 

その共役運動量は 

πφk=∂matte/∂φ=D0φ

=φdigA0φ()lk
 

πφk=∂matte/∂φd=D0φ=φdigA0()klφ 

であり,[πφk(,),φ(,)]P.B. =-δklδ3(),
 

[πφk(,),φ(,)]P.B. =-δklδ3() 

を満たします。
 

Hamiltonian密度は, 

matter=πφkφd+πφkφdmatter   

=πφk{πφkigA0()klφ} 

 {πφkigA0φ()lk}πφk 

-πφπφ(φ)φ+(φφ) 

=πφπφ(φ)φ+V(φφ) 

igA0{πφφφπφ} 

より,

ρ=∂matter /∂A0

=-i(πφφ-φπφ)
 

結局,[ρ(,),~(,)]P.B. 0 であり,, 

[Dπ(,) -ρ(,),~]P.B. ~ 0 

が得られます。  (18-1終わり※)
 

とにかく,得られた拘束条件は時刻tに依らず成立する 

ことがわかったので,tを陽に書かず, 

φ1()=π0() 0.  

φ2()Dπ()-ρ() 0  

と表示します。
 

こうして,2×dim(空間座標だけの連続無限)個の拘束条件 

があることになります、
 

これらの拘束の間のPoisson括弧は, 

[φ1(), φ1()]P.B. [φ1(),φ2()]P.B. 0, 

[φ2(), φ2()]P.B. =δ3()gfabcφ2() 

と計算されるので,φ1() 0,φ2() 0 は全て 

1類拘束条件です。
 

(18-2): 何故なら,まず,φ1=π0ですが,これはAa0 

含まないので,確かに,[φ1(),φ1()]P.B. 0

を満たします。
 

また,φ1=π0,φb2Dπ-ρ,φ1,φ2のそれぞれの 

正準座標:(0,π0),(,π),互いに独立で,一方に他方は 

含まれないので,[φ1(), φ2()]P.B. 0 です。

最後に,[φ2,φ2]P.B.[Dπ-ρ,Dπ-ρ]P.B.  

[Dπ,Dπ]P.B. [Dπ,ρ]P.B. [ρ,Dπ]P.B. 

[ρ,ρ]P.B. です。
 

簡単のため,引数,とδ3(x-)とを省略しました。
 

Dπ=∇π+gfabcπ 

Dπ=∇π+gfpqrπr です。
 

そして,[π,gfpqrπ]P.B.=-gfpqrδaqπ 

=-gfparπ, 

同様に,[gfabcπ,π]P.B.=gfabcδbpπ 

=gfapcπ  です。
 

Gaussの定理から積分の寄与としては,(ππ) 

がφに作用するとき,πφ+π∇φ=(π)φ です。
 

一方,[gfabcπ, gfpqrπ]P.B.  

=g2abcpqr(δbrπ-δcqπ) 

=g2(abcpqbπ-fabcpcrπ) 

aqrpbqπ-fabcpcrπ 

=g2(abrpqb-faqcpcr)π 

=g2apccqrπr です。
 

ここで,構造定数に対する恒等式: 

bcdade+fcadbde+fabdcde0 

を用いました。
 

以上から,[Dπ,Dπ]P.B

=gfapc(π+gfcqrπ). 

=gfapcDπc が得られます。 
 

そこで,もしも[ρ,ρ]P.B.  B=-gfapcρが示せれば, 

[Dπ,Dπ]P.B=gfapc(Dπ-ρ), 

すなわち,[φ2(),φ2()]P.B.

=δ3()gfapcφ2 () 

が証明できます。       (18-2終わり※)
 

実際に,[φ2(),φ2()]P.B.

=δ3()gfapcφ2 () 

を正確に示すには,上述のように電荷密度:ρ 

[ρ(),ρ()]P.B.=-δ3(-y)gfabcρ() 

を満たすことを示す必要があります。
 

これは,ρ=-i(πφaφ-φ*πφa),および, 

[,]P.B.iabcc を用いれば示せます。
 

前節で述べたように,1類拘束条件は一般に(局所)ゲージ変換 

を生成する母関数(generator)であると主張しましたが,
 

今の場合に拘束の任意の線形結合: 

[θ]=∫d3{θ1()φ1()+θ2()φ2()} 

を作り実際にそうなっていることを確かめます。
 

量子化を行っている時刻をx0=tとして,

4次元変換パラメータ:θ 

,θ()|0=t=-θ2(), 

∂θ()|0=t=θ1()-gfabc0(,)θ2() 

を満たすものとしてもってきます。
 

θφ1+θ2φ2 

=π0(∂θ-gfabc0θ)-θ(Dπ-ρ) 

=π0(∂θ-gfabc0θ) 

+πaj(θ-gfabcθ)+θρ 

=πaμ(μθ-gfabcμθ)+θρ
 

故に,[θ]=∫d3{θφ1+θ2φ2} 

∫d3{πaμ(μθ()+θ()ρ()}|0=t 

です。
 

よって,0=tにおいて, 

δAμ()[μ(),[θ]]P.B. 

=δG/δπaμ()=Dμθ(),  

δπaμ()[πaμ(),[θ]]P.B. 

=-δG/δAμ()=-gabcπbμ()θ(), 

となります。
 

こうして,[θ]を母関数として,「ゲージ場の量子論(15) 

で論じた局所ゲージ変換:δAaμ()=∂μθa() 

-gfabcμ()θc()=Dμθa() 

が確かに再現されます。
 

また, δπaμ()[πaμ(),[θ]]P.B. 

=-δG/δAμ()=-gabcπbμ()θ()

の強さ,πaμ=Faμ0,随伴表現として斉次的に 

変換するのを正しく表わしています。
 

物質場については, 例えばスカラー場:φ()の場合, 

δφ()[φ(),[θ]]P.B.=δG/δπ 

=-igθ()φ() です。
 

※量子化 

まず,前節で述べた,第1類拘束条件の第1の取り扱い 

方法で量子化してみます。2×dimG個の第1類拘束条件 

に対応して次のゲージ固定条件: 

χ1()=A0() 0, χ2()=∇() 0  

を設定します。
 

これらの拘束条件:φ1,φ2とのPoisson括弧を求めます。 

[χ1(),φ1()]]P.B.[0(,),π0 (,)]P.B.  

=δabδ3(-y) 

 [χ2(), φ2()]P.B. 

[x(,),π(,)-ρ(,)]P.B. 

=∇x{δab+gfacb(,)}δ3(-y)
 

[χ1(), φ2()]P.B.[χ2(), φ1()]P.B.0 

です。
 

そこで,ゲージ固定条件を付加した全体の条件: 

 {χi(), χ2(),φ1() φ2()} 

Poisson括弧行列の行列式は非ゼロとなり,全体として 

2類拘束条件をなすことがわかります。
 

そこで,変数AaπDirac括弧を計算し,それにiを掛けた 

ものを,正準交換関係として読み換えれば,ゲージ固定条件: 

χ1()=A0() 0, χ2()=∇() 0 

での量子化ができます。
 

しかし,.Coulombゲージとか.輻射ゲージと呼ばれるこの 

ゲージは相対論的に非共変であり,Dirac括弧を経由した交換関係 

を演算中には,x{δab+gfacb}の逆が出現して非局所 

で非多項式のかなり複雑なものとあります。
 

それ故,ここでは,れ以上実際にDirac括弧をを計算することは 

せず,このゲージでの経路積分を調べて,そこから別の方策を 

模索することにします。
 

2類拘束条件が{χi(), χ2(),φ1() φ2()} 

の遷移振幅は. 

T=∫ππφφΨΨ

Π{Πδ(0())δ(())} 

Π{Πδ(π0())δ(Dπ()-ρ())}Π(Det) 

exp i∫d4{πaμμd+πφφ-~(π,,πφ,φ)} 

となります。
 

ただし,DetMは汎関数行列式であり,Mは, 

abxy()=∇x{δab+gfacb(,)}δ3(-y) 

なる超行列です。
 

πAは.Π,μπaμμであり,πφφは物質場に 

ついての経路積分です。
 

まず,δ(0()),δ(π0())があるので,0,π0の積分 

は自明に行うことができます。
 

また,δ関数の公式によれば,Πδ(Dπ-ρ) 

=∫λexpi∫d4{λ(Dπ-ρ)}と書き換えること 

ができます。この新積分変数:λを既にδ(0)0 

消したゲージ場の時間成分:0と書くことにすれば,λ 

0となって0が復活します。
 

∫d4xA0()π0 d()=-∫d4xπ0()0d() 

ですから,

これと∫d4{πaμμd+πφφ-~(π,,πφ,φ)} 

から∫d4{πajd+πφφ-~(π,,πφ,φ)}
 

Hamiltonianmi密度;~の形から,π,πφによる積分はGauss積分 

であることがわかります。
 

そこで,積分:ππφを先に実行すると, 

T=∫φΨΨΠ{Πδ(())} 

Π(Det)exp{i∫d4(,φ)}となります。
 

ここで,元のLagrabgian密度; 

(,φ)=-(1/4)μνaμνmatter(φ,μφ)です。
 

これが,Coulombゲージ:0 における経路積分の 

最終表式です。相対論的に非共変なのはΠδ(()) 

Π(Det)の因子部分だけです。
 

切りがいいので,今日はここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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2018年1月16日 (火)

ゲージ場の量子論(17)

「ゲージ場の量子論(16)」からの続きです。
 

Σν=1(2N-2)(μ,ν)[ν,ρ]D=δμρ(1≦μ,ρ≦(2N-2)) 

Dirac括弧を計算する具体的方法としても大変有用な式です。
 

実際,1,2,..,2N-2m, (2N-2)個のΓの座標で, 

2N-2m1=φ1, 2N-2m2=φ2,..,, 2N=φ2m,2m個の拘束変数 

のように変数を選び,2-形式:dqi∧dpiをdzμ∧dzν 

書き直すのは容易です。そして,そのときの係数がLagrange括弧 

なので,その(2N-2)×(2N-2)行列の逆行列を求めればいい 

だけです。
 

これらの事実から第2類拘束条件に対する別の取り扱い法があること 

がわかります。すなわち,単2m個の拘束条件:φα0を解き,  

余分な変数を消去して,全ての量を適切なΓの独立な正準変数: 

,で表わす方法です。そうすれば話は,普通のPoisson括弧で  

済み,(それと一致する)Dirac括弧など考える必要はなくなります。

もちろん,それでもいいのですが,実際にはφα0を陽に解くのが 

むずかしいとか,解けるけど解くと系の対称性が陽には見えなくなる 

とか,種々の不都合が現われることが多いです。
 

特に場の理論の場合, 拘束条件を解くと重要なLorentz不変性が明白で 

なくなったり,非局所的な相互作用が誘致されたりします。
 

それらの不都合を避けるため,全ての余分な変数を残しておき,なお, 

物理的にはΓの中のみを考えるのと等価な正準形式を与えるのが, 

Dirac括弧の方法であり,その利点です。
 

Dirac括弧はΓにおけるPoisson括弧ですから,Poisson括弧 

の全ての性質が成り立ちます。
 

例えば,[,]D()||||[,]P , 

[,]D,] D()||(||||)[[,]D,] D 

()||(||||)[[,]D,] D 0 です。
 

これは強い等式として成立します。
 

(17-1): 証明です。 

(∂F/∂qi)dqi=dqi{(/∂qi)}ですが, 

(∂F/∂qi){(/∂qi)}の偶奇性は,||||です。 

dqiの偶奇性は,もちろん,||です。
 

Grassman:,Bでは,BA=()|A||B|ABなので, 

{(/∂qi)}dqi()|F||F||i|dqi{(/∂qi)} 

です。そして,定義により, 

[,]P.B(∂F/∂qi){(/∂pi)} 

()|i|(∂F/∂pi){(/∂qi)} 

[,]P.B()|i|(∂G/∂pi){(/∂qi)} 

 (∂G/∂qi){(/∂pi)}です。
 

ところが,()|i|(∂G/∂pi){(/∂qi)} 

()||()||(||1)()|i|(|f|1)()(|||||) (|||||) 

(∂F/∂qi){(/∂pi)} 

()|i|(2G|2||4)()||||(∂F/∂qi){(/∂pi)} 

()||||(∂F/∂qi){(/∂pi)} です。
 

また,(∂G/∂qi){(/∂pi)} 

()||()||||(∂F/∂pi){(/∂qi)}
 

以上から[,]P.B=-()||||[,]P.B です。
 

次に,[,φα]P.B.(-1)αβ[φβ,]P.B.を考えます。
 

まず,αβ[φα,φβ]P.B=-()|α||β|[φβ,φα]P.B 

()|α||β|1βαです。
 

δαγ=Cαβ(-1)βγ(-1)βγ(-1)βγより, 

1()|α||β|1βα(-1)βγ (γ=α)
 

故に,(-1)βα()|α||β|()|α||β|1(-1)αβ 

一方,[,φα]P.B()|||α|11φβ,]P.B ,かつ, 

[φβ,]P.B. ()|||β|11,φβ]P.B です。
 

結局, [,φα]P.B.(-1)αβ[φβ,]P.B. 

=-()||||[,φα]P.B.(-1)αβ[φβ,]P.B. 

が得られます。
 

以上から,[,]D=-()|||| [,]D 

がいえました。
 

次に,Jacobi恒等式がDirac括弧でも成立することを示す 

のも直線的ですが,長くなるので証明は省略します。 

(17-1終わり※)
 

さて,拘束のある系のHamiltonian, 

~=H+φaλa,=H-φα(-1)αβ1φβ,]P.B  

与えられていましたが,前回の終わりから,拘束は全て第2 

と仮定しているので系のHamiltonian, 

単にH'=H-φα(-1)αβ1φβ,]P.B です。
 

力学量Fの運動方程式は, 

d[,]P.B.[,φα]P.B.(-1)αβ[φβ,]P.B.  

[,]D [,H']Dとなるため,φαに比例する項は忘れて 

もよいことになります。
 

※第2類拘束系の量子化 

量子化するにはDirac括弧のi倍を交換関係に置き換えれば 

いいだけです。
 

すなわち,i[,]D[,]=FG-()||||GFとします。
 

運動方程式:d[,]Dは,i(∂F/∂t)[,] 

と読みかえられることになります。
 

古典論においてF,GのDirac括弧を計算し,それを演算子: 

,Gの間の正準()交換関係に読みかえます。
 

拘束条件:φα0 も演算子:i,iの間の拘束となりますが, 

上述のDirac括弧の性質から,上のように設定した正準() 

交換関係と矛盾しません。
 

演算子形式(operator formalism)の量子論は,この手続きに 

よって完全に決定されます。しかしながら,ここまで論じてきた 

遷移振幅の経路積分の表式がどのように変更を受けるかを見て 

おくのも応用上有益です。
 

念のため,2類拘束の定義を復習します。
 

Dirac,力学量(=qi,jの関数):(,)が全ての拘束: 

φとの間で,[, φ]P.B. 0 (A=1,2,..,)を満たす 

とき,Rを第1,さもないとき,これを第2類と呼びました。
 

相似変換:[φ,φ]P.B  [φα,φβ]P.B=Cαβ 

(α,β=1,2,..,)から,全拘束:φのうち.φα(α=1,2,..) 

は第2, φa(a=r+1,..,)は第1類です。
 

さて,Dirac括弧を経由した量子化は,独立なΓの正準変数: 

l,lを用いた普通の正準量子化と等価ですから, 

ある初期状態:ΨIから終状態:ΨFへの遷移振幅は, 

T=<Ψ,F|ΨI,I 

=∫ΨΨI expi∫dt[d-H(,)] 

で与えられます。ただし,Hamiltonian:Hをq, 

表わしたものです。
 

しかし,この表式では,拘束条件:φα 0を陽に解いて,全てを 

,で表わす必要があり,先述したような不便さがあります。 

そこで,これをp,qで表わしたもの:次式が等価であることを  

主張します。つまり,T=∫qΨΨI  

Πt[Πα=12mδ(φα)det1/2([φβ,φβ]P.B.) 

expi∫dt[pqd-H(,)] です。
 

ここでの経路積分:qは,元の全ての変数にわたる 

Πi=11Niiを意味します。

(17-2):以下,2つの経路積分が等価であることを証明します。
 

まず,2m個の拘束:φα(α=1,..,2)は全て第2類拘束なので, 

行列:αβ[φα,φβ]P.Bの階数は2mです。そしてC={αβ} 

は交代行列(反対称行列)なので,正則な2m×2m行列: 

(detL≠0)が存在して,LCLTによりm次の単位行列:m 

反対角成分のEm,-Emとするブロック反対角行列に変換できます。
 

つまり,拘束:φαを線型変換で組みかえて 

Σα=12aαφα=ψa, Σβ=12bβφβ=ξb (,b=1,..,) 

[φ1,..,φ2]2m行2m列の行列:{aα} 

よって,[ψ1,..,ψ,ξ1,..,ξ]に変換したとき, 

[ψa,χ]P.B=δab,[ψa,ψ]P.B[ξa,ξ]P.B0 

(,b=1,..,)とできるはずです。
 

すると,δ関数の性質から 

Πα=12mδ(φα)|det()|Π=1{δ(ψa)δ(ξa)} 

です。
 

そして,det(LCLT)1から|det()|2 det() 1, 

|det()| det()-1/2det-1/2{[φα,φβ]P.B} 

Πα=12mδ(φα) det-1/2{[φα,φβ]P.B}=Π=1{δ(ψa)δ(ξa)} 

です。
 

また,この関数組みかえで部分空間:Γは2m個の条件;ψ=ξa0  

で指定されることになります。この(2N-2)次元のΓ内の座標  

付けを与えるのが,正準座標:l,lですが全体の2N次元

位相空間:Γの中のΓ超平面近傍での正準座標として(N-m)

対の,に加えて,m個の座標変数:q'=ψ(,)

(a=1,..,),それに共役な運動量変数:p'を選ぶことにします。
 

Γはψ=ξa0を満たす断面なので,Γの上では∂ψa/∂ql  

=∂ψa/∂pl0です。さらにΓの上で条件:[ψ,ψ]P.B0 

満たしているというψの性質により少なくとも今必要なΓ 

無限小近傍ではψをq,に独立な座標変数q'として取ること 

ができます。
 

つまり,元の変数:(,)から新変数:(,q',,p')への 

変換は謂わゆる正準変換となります。
 

経路積分測度:qや∫dt(pqd)は正準変換不変ですから 

qΨΨI Πt[Πα=12mδ(φα)det1/2{[φβ,φβ]P.B.} 

exp i∫dt[pqd-H(,)] 

=∫p'q'ΨΨI  

Πt[Π=1δ(q')δ(ξa)} 

exp i∫dt[d+p'q'd-H(,p',,q')] 

となります。
 

Γ内の超平面:Γ,q'0,および, 

ξ(,q'=0,,p')0 (a=1,…) 

を満たす解:p'=p'(,)で指定されます。
 

よって,T=<Ψ,F|ΨI,I 

=∫ΨΨI expi∫dt[d-H(,)] 

におけるHamiltonian:, 

(,)=H[,p'(,),,q'=0] 

で与えられます。
 

ところで,拘束:ξ,Γの近傍では,ξ(,q',,p') 

(∂ξ/∂q')|Γ*q'(∂ξ/∂p')|Γ* 

×{p'-p'(,)}と展開できるので 

Π=1δ(q()δ(ξa) 

=Π=1δ(q')δ{p'-p'(,)} 

|det-1{(∂ξ/∂p')|Γ*| と書けます。
 

ところが,ψ =q'なので,[ψ,ξb]P.B(∂ξ/∂p') 

ですが.[ψ,ξb]P.B=δabですから,Π=1δ(q')δ(ξa) 

=Π=1δ(q’)δ{p(-p((,)}を得ます。
 

それ故,p'q'ΨΨI  

Πt[Π=1δ()δ(ξa)} 

exp i∫dt[d+pd-H(,p',,q')] 

において,先に∫p'q'を遂行すれば 

ΨΨ 

exp i∫dt[d-H[,p'(,),,q'=0] 

となります。
 

これは,確かに,T=<Ψ,F|ΨI,I 

=∫ΨΨI expi∫dt[d-H(,)] 

に一致し,等価です。 (17-2終わり※)
 

※第1類拘束条件の取扱い 

ここまで拘束が全て第2類の場合の取り扱いを考察しました。
 

1類拘束:φ(a-1,..,M-2)と第2類拘束:φα(α=1,..,2) 

が共存する場合を考えます。
 

再び述べますが,力学量:(,)が全ての拘束:φとの間で, 

[, φ]P.B. 0 (A=1,2,..,)を満たすとき,Rを第1, 

さもないとき,これを第2類と呼びます。
 

それ故,1類拘束:φ(a-1,..,M-2)Poisson括弧 

は第1類拘束だけの線形結合となります。 

[φ,φb]P.B=fabcφです。
 

これは第1類の力学量R,SのPoisson括弧:[,]P.Bがまた 

1類となるからです。
 

つまり, 1類の条件:[, φ]P.B. 0 (A=1,2,..,) 

強い等式として[, φ]P.B.=rφ(A=1,2,..,)なること 

を意味します。同様に[, φ]P.B.=sφ(A=1,2,..,) 

ですから,,,φに対するJacobi恒等式より,結局, 

[[,]P.B.,φ]P.B.0(A=1,2,..,) がいえるからです。
 

そこで,[φ,φb]P.Bは強い等式として第2類を排除した第1類拘束 

だけの線形結合で表わせるわけです。
 

1類拘束:φがあると,系のHamiltonian:H は,その個数だけ, 

全く不定の未定係数:λを持つH~で与えられることになります。 

~=H'+φλです。
 

このHamiltonianでは,[φ,~]P.B.,=Cφが成り立ち, 

全ての拘束条件:φ0,φα 0も矛盾なく時間発展 

します。
 

しかしながら,正準変数:,pは.必ずしも.φとのPoisson括弧 

がゼロとなるわけではないので,その時間発展は, 

id [i,’]P.B.,[i,φ]P.B.λ,および, 

id [i,’]P.B.,[i,φ]P.B.λa のようになり, 

不定係数:λに依存します。
 

すなわち,系の運動は第1類拘束条件の数だけ決まりません。
 

この決定されない運動の方向は, 

δqi[i,φ]P.B.,δpi[i,φ]P.B.ですが,これらは 

φを母関数(generator=生成子)とする正準変換を意味します。
 

つまり,φ,q → q+δq,p → p+δp, 

δqi=∂φa/∂pi,δpi=∂φ/∂qiなる変換を生成 

する関数であり,この変換は正準変換(古典的接触変換)です。
 

このことは,系に第1次拘束で生成される変換:δqi[i,φ]P.B. 

δpi[i,φ]P.B.の下での不変性が存在して,系の全ての物理量: 

Fはこの変換の下で不変であるべきこと,つまり, 

δF=[,φ]P.B. 0 なることを意味します。 

(※これは,ゲージ不変性を意味することがわかります。)
 

さらに,[φ,φb]P.B=fabcφ,このφの生成する変換が 

閉じていて構造定数:abcを持つLie代数を構成することを 

示しています。
 

これらは局所ゲージ不変性を持つ系に特徴的なことであり, 

先述したように第1類拘束:φは変換の母関数(生成子) 

なっています。
 

こうして,1類拘束条件は,古典論的にゲージ不変性に対応する 

ものであることが示されました。これを量子化するとゲージ場の 

量子論になるはずです。
 

この第1類拘束条件に対する1つの取扱い方法は,ゲージ固定条件 

をおくものです。
 

元来,ゲージ変換で動く方向へは運動は決まらず,しかも全ての物理量 

,それらの方向にどのように運動しても不変なので,その方向への 

運動を,予め勝手に決めておいても,かまわないはずです。
 

したがって,1類拘束の数だけ勝手な条件:χ(,)0 

(a-1,..,M-2)を設けます。
 

これらはゲージ固定条件(gauge fixing condition)と呼ばれること 

もありますが,全く任意ではなく,ゲージ変換方向の運動がこれで完全 

に決定されるためには,Hamiltonianに現われる不定係数λが決まる 

ようなものでなければなりません。
 

この要請は.ゲージ固定条件;χ(,)0 (a-1,..,M-2) 

が任意の時刻で成立するという条件:  

χd [χ,’]P.B.,[χ,φ]P.B.λ0 から,λが決まる 

こと:det[χ,φ]P.B.0ではないことを要求することになります。 

[χ,χ]P.B.の方には条件なしです。
 

また,[φ,φ]P.B. 0なので,2(M-2)個の条件;{φ,χ} 

による全Poisson括弧の行列の行列式も弱い意味で非ゼロと 

なり,これらは全体として条件;{φ,χ}が第2類の拘束条件と 

なることを意味するため,結局,前述した拘束が全て第2類拘束の 

場合の取り扱いに帰着します。
 

1類拘束条件に対しては,もう1つ別の取扱い方法があります。
 

1類拘束条件は,そもそも,系が(局所)ゲージ不変性を持つところ 

から生じています。

それ故,議論の出発点のLagrangianの段階から勝手なゲージ固定

をしていいので,系のLagrangianにゲージ固定項と呼ばれるもの

を適当に付加し,変更したLagrangianから出発すれば第1類拘束

条件が現われないことを利用するものです。
 

量子電磁力学(QED)におけるFermi項と呼ばれる(1/2)(μμ)2, 

ゲージ固定項の有名な例ですが,(1)群以外の非可換ゲージ理論 

では,これほど素朴なゲージ固定項ではうまくいきません。
 

この「Lagrangian段階でのゲージ固定」による取扱い法は,場の理論 

の場合,相対論的不変性を明白にしたままで扱えるという大きな利点  

を持つので.以下では,この方法を採用します。
 

また,量子論においては, 1類拘束条件に対する更に別の取扱い  

もあります。それはゲージ固定条件を設けず,代わりに,物理的状態 

|Phys>に対しφa|Phys>=0 (a=1,.M-2)を要求するものです。
 

このように,状態に付ける条件は一般に補助条件

(subsidary consition)と呼ばれます。

今の場合,φaはゲージ変換を生成する演算子なのでφa|Phys>=0, 

"物理的状態はゲージ変換で不変であるべし"との要求になっています。
 

ゲージ固定条件を設けないので,~=H(+φλのλは不定 

ですが勝手な値;例えばλa0としておきます。 

そうすれば,とにかく全ての演算子の時間発展は決まり, 

しかも,物理的状態は,φa|Phys>=0を満たすため, 

Phys|[,φa]|Phys>となって,任意の力学量:Fの時間発展 

にλを勝手に取った任意性が,物理的状態空間においては 

現われません。
 

φa|Phys>=0の補助条件が矛盾を含まないのは.φが第1類拘束 

,量子化前の[φ,φb]P.B=fabcφが示す通り,()交換関係 

が閉じていて,拘束:φの線形結合で与えられるからです。
 

さて,§5-2はこれで終わり.切りがいいので今日はここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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2018年1月 8日 (月)

訃報!!深水三章さん。

有名人の訃報続きで,記事が後先になりましたが,俳優の深水三章さんが2017年12月30日に自宅玄関前で急死されたようです。

 

死因は虚血性心不全,野村サッチーの死因と同じです。

しかし,深水さんは享年,まだ70歳でした。

 

日刊スポーツ→ 深水三章さん 自宅前で急死 忘年会の帰り..70歳「深水 三 章」の画像検索結果

やはり今年はいつもより寒い冬であるらしく心臓病で亡くなる人が多いですね。日平均気温で6度を下回ると,急性心筋梗塞も急激に増えるらしいです。

心臓に持病がなくても特に高齢者はヒートショックに気をつけないと。。

かくいう私も慢性の「虚血性心不全」が持病で,特に冬場に飲酒などをして自宅近くでタクシーを降りてから自宅に入るまでのほんの数分間に死にそうに辛いこともよくあり,途中でつい嘔吐したりしています。まあ順番ですかね。。

ご冥福をお祈りします。合掌!!

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2018年1月 6日 (土)

訃報!!星野仙一さん。

同郷の英雄,星野仙一氏が去る4日に亡くなられたらしいです。

死因は膵臓ガンで享年70歳でした。

Yahooニュース → 星野仙一氏死去70歳 死因は膵臓がん

「星野仙一」の画像検索結果

私が岡山県の金光学園高校に入学した昭和40年は4月に選抜高校野球で父親の母校岡山東商が平松投手を擁して唯一岡山県に全国優勝をもたらした年で,それが父親の享年46歳の命日でした。,

星野仙一氏は確かその前年に倉敷商のエースで甲子園には出られなかったと記憶しています。

世間は,それから明治大学を出てプロで活躍後に彼の存在を知ったのでしょうが,私は故強の高校野球応援の関係でもっと前から,この私より3年先輩の彼の存在を知っていました。

年もそんなに離れていないしTVでは私より元気そうでしたので今朝の訃報にはとても驚きました。

 言っちゃ悪いけどプロ野球界には,野村,金田,張本,長嶋,王など,ずっと年上でしぶとく生きている人がまだたくさんいますし。。

岡山県,倉敷市などは中央の有名人は,少ないのですが,有名になると普通以上にユニ-クな人が多いですね。プロ野球のピッチャーなら同年代の平松,松岡,星野など巨人キラーがそろってましたし 野手なら,もう亡くなったけど関西高校出身の大杉。。。岡山南高校出身のバントの川相昌弘とか

プロボクサーの強いけれどクセのあった辰吉丈一郎とか.スケートの高橋大輔とか,。体操の森末信二とか。。さらに女子マラソンの有森裕子,将棋の世界なら大山15世名人など。。みんなハンパじゃないです。

最近は岩井志麻子とか,ブルゾンちえみ。とか,ちょっと県人として恥ずかしい感じの有名人もチラホラいます。

ずいぶん昔の歴史上なら宮本武蔵や竹久夢二とかも岡山ですネ。。

ご冥福をお祈りします。合掌!!

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ゲージ場の量子論(16)」

「ゲージ場の量子論(15)」からの続きです。
 

まず,ゲージ場理論の応用例として量子色力学(QCD) 

を紹介します。
 

 量子色力学(QCD)
 

量子化した非可換ゲージ理論の現実的な例としては 

量子色力学(quantum chromodynamics 略してQCD)と呼ばれる 

ものがあります。
 

ゲージ群GがSU(3)の場合で,ゲージ場:aμ8成分 

(カラー8重項)あってグルオン(gluon)と呼ばれます。
 

物質場は,全てのハドロン(hadron)の基本構成子(クォーク; 

quark)と呼ばれるDirac粒子:ψif()です。
 

添字:i1,2,3はG=SU(3)の基本表現(カラー3重項)です。 

もう1つの添字:f=12,..,Fは,ゲージ群SU(3)とは独立な 

添字でフレーバー(flavor)と呼ばれクォーク種類を表わします。 

(※現在のところ,クォークは6種類存在するとされており 

(F=6),質量の低い順にu(up),(down)(strange), 

(charm),(bottom),(top)と名付けられています。)
 

したがって,QCDLagrangian密度は, 

QCD=-(1/4)aμνaμν 

+Σf=1Fψ~if[iγμ{μigAaμ(λa/2)}-mfδij]ψjf 

です。ただし,カラー8重項の添字a,カラー3重項の添字 

,jについては和記号を省略しました。
 

グルオンの交換によるクォーク間の相互作用はカラー添字i 

のみに関わるものなので,クォークの種類(フレーバー): 

には全く無関係です。

 

それ故,SU(3)カラーゲージ相互作用によるクォーク何体 

かの結合状態が生ずればF種類のクォークの質量:(f=1…,) 

の全てが縮退した極限では,クォ-クはフレーバー群:()の基本 

表現:に対応し,その結合状態は必ずU()の既約表現多重項と 

して縮退して出現することになります。
 

実際,観測されている数多くのハドロン共鳴状態は,バリオンの場合, 

クォーク3:ψfψf’ψf”として直積:××の既約分解から 

期待されるU()の多重項として分類され,また,メソンの場合は 

クォーク・反クォーゥ:ψfψ~f’の結合状態として直積:× 

の既約分解から現われる多重項として,大変うまく分類されること 

がわかっています。
 

しかも先述のQCDLahrangian密度ではU()の対称性の 

現われが質量項:-mfψ~ifψifのみなので,そのことからハドロン 

の多重項の中で質量の分岐の仕方が予言できて,それも実験値と 

よく合致しています。
 

このとき,バリオンがクォーク3体の結合状態であることとQCD 

のカラーゲージ群がSJ(3)であることが対応している点に留意 

しておきます。
 

事実,クォークの単離した1体状態ψや2体状態:ψψ,4体状態: 

ψψψψに対応する共鳴状態は観測されず,クォーク3体の 

ψψψのバリオンと,クォーク・反クォーク対:ψψ~のメソン 

のみが観測されています。この観測事実はこのゲージ群を採用 

すれば,結局,カラーSU(3)群の1重項( color-singulet)のみ 

が粒子状態として存在し得る,という一言に要約できます。
 

実際,カラー基本3重項のクォーク場:ψifからは,それらを 

最低で3個使うか,その反クォーク場との対を作るかによって 

初めてSU(3)カラー1重項をを構成できます。
 

バリオンなら,ff’f” ~ εijkψifψfψkf メソンなら, 

ff’ ~ ψifψ~jf’がカラー1重項に組み得るクォーク数 

最小の配位です。
 

3階完全反対称テンソル:εijkが不変テンソルであるのは, 

カラー群がSU(3)であるからです。
 

カラー1重項以外,つまり,カラーチャージを持った粒子が 

現われない現象をカラー閉じ込め(color-confinement) 

いいます。QCDにおいて閉じ込めが起こっていることを満足 

な形で証明した人はいませんが.にも拘わらず,専門研究者 

の誰もが現実に閉じ込めが起こっていることを信じて 

疑いません。
 

その理由は「格子ゲージ理論(lattice gauge theory)」に 

基づくモンテカルロ数値計算がそれを支持していること 

以外に, 

QCDの摂動計算で発見された「漸近的自由性(asymptotic frredom) 

の存在が大きいです。 

「漸近的自由性」とは,短距離に近づけば近づくほど相互作用の強さ 

が弱くなる,という性質で,これは真空がカラー電場に対する媒質 

としては反誘電体である,ことを意味しています。
 

すなわち,同種電荷(同じカラーチャージ)が引き合い,外部からの 

カラー電場:Eに対して真空の分極:は逆向きになり,カラー電束 

,=εなる式で,誘電率εがε<1となります。
 

そして,もし真空がカラーに対して完全反誘電体:ε=0なら, 

完全反磁性体;μ~0で特徴付けられる超伝導体の中で磁束: 

が広がることができずに「ひも状」となる(マイスナー効果) 

と同様,カラー電荷を持たない粒子から出る電束は「ひも状」 

になるはずです。
 

例えば,クォーク1体の場合は,このひもはの保存則から, 

どこまでも伸びざるを得ず,無限大のエネルギ-を持ち,有限 

エネルギーでは出現できない,ということになります。
 

一方,全体としてカラー電荷のないカラー1重項のメソンや 

バリオンなら,そてらは有限な長さの「ひも」でつながれた 

クォ-クの結合状態という描像で出現することになります。
 

メソンやバリオンの実際の散乱振幅で観測されている双対性 

(duality)という顕著な性質は,それが「ひも共状構造」を持つこと 

を強く示唆しています。(Venezianoの双対共鳴模型から弦理論 

へと展開されます。)
 

さて,最先端の仮説理論であるQCDや弦(ひも)理論から離れて 

次の論題に移ります。
 

§5.2 特異系の正準形式の量子化

ゲージ理論を量子化する際に遭遇する問題を幾分一般的に論じて 

みます。(※古典的には,ゲージ自由度の存在がPoisson 括弧式の 

代わりにDirac括弧式を必要とするような特異系であることに由来 

すること,などを論じます。※)
 

簡単のため,有限個の座標変数:|i}(i=1,..,)を持ち, 

作用積分:S=∫dtL(,d)(i=dqi/dt)で記述される 

系を考えます。
 

この系の運動は最小作用の原理から,とにかくEuler-Lagrange 

方程式:(/dt)(∂L/∂qi)-∂L/∂qi0で決定されます。
 

この際,Fermionに対応する古典系を考慮して,iGrassmann 

である場合も,以下の式が変更なく成り立つように右微分,左微分 

を区別して書くことにします。
 

また,符号因子:()|i|()||||||,座標qiや量: 

AがGrassmann偶のときゼロを表わすという前と同じ約束を 

します。
 

したがって,上述のEuler-Lagrange方程式は, i,iについて 

右微分とします。
 

※第1,2類の拘束条件

量子論に移行するためには,この系の運動を正準形式で扱わねば 

ならず,その際に種々の問題が生じます。
 

まず,第1に,iに共役な運動量変数:i 

i=∂L(,d)/∂qidで定義され,これを解いてqidをqi,i 

の関数として表わし,Hamiltonian;Hをqi,i,noの関数として 

(,)=piid-L(,d) により求める必要があります。
 

ところが,一般にはdet[2(,d)/∂qid∂qjd]0となって, 

i=∂L(,d)/∂qidがqidについて完全には解けない場合が 

あります。このような系を特異系(singular system)と呼びます。
 

i=∂L(,d)/∂qidがqidについて解けないということは. 

このN個の連立方程式系が完全に独立なpとqdの関係式ではなく, 

いくつかのqdが脱落した関係式:φ(,)0(A=1,2,..1≦N) 

を含むことを意味します。これらの関係式は,正準変数:,pの間の 

拘束を与え,これを「1次の拘束条件(primary constraints) 

と呼びます。
 

この拘束条件はM1=N-rank[2(,d)/∂qid∂qjd] 

の個数だけ存在するはずです。
 

全てのqid,必ずしも,とpでは表わせないにも関わらず, 

(,)=piid-L(,d) の右辺はqidには依存しない 

ことがいえます。実際,Hをδq,δpにより変分させると, 

δH=δpiid+piδqid{∂L(,d)/∂qid}δqid 

{∂L(,d)/∂qi}δqi=δpiid{∂L(,d)/∂qi}δqi 

となり,δqidに比例する項は消えます。
 

したがって,δHがδH=δpi{(/∂pi)}(∂H/∂qi)δqi 

なる形で与えられるという式を得ます。
 

しかしこの式の変分:δpi,δqjは独立任意ではなく,拘束条件: 

φ(,)0(A=1,2,..1)を満たしながらの変分なので 

δpi(|/∂pi)φ}(∂φ/∂qj)δqj0 の制限を受けます。
 

ここで,Lagrangeの未定係数法を適用します。 

λを右からかかるLagrangeの未定係数として, 

変分;δpi.δqjが任意の場合の式: 

δH={δpi{(/∂pi)}(∂H/∂qi)δqi] 

[δpi{(/∂pi)φ}(∂φ/∂qj)δqi]λ 

をつくり,これを  

δH=δpiid{∂L(,d)/∂qi}δqi 

と比較します。
 

つまり,δpi.δqjが全く任意の恒等式: 

δpiid{∂L(,d)/∂qi}δqi 

­­=δpi[{(/∂pi)}{(/∂pi)φ} 

(∂H/∂qi)δqi(∂φ/∂qj)δqi・λ 

が成立します。
 

それ故,id(/∂pi)H+(/∂pi)φ・λ, 

および,-∂L(,d)/∂qi 

(∂H/∂qi)()|i|||(∂φ/∂qi)λ 

が得られます。
 

そして、後者はpiの定義式;i=-∂L(,d)/∂qiから 

i=-(∂H/∂qi)()|i|||(∂φ/∂qi)λ 

と書き直せます。
 

結局, id(/∂pi)H+(/∂pi)φ・λ, 

-∂L(,d)/∂qi(∂H/∂qi)()|i|||(∂φ/∂qi)λ 

が正準変数に対する運動方程式です、
 

ここで,Grassman数をも考慮したPoisson括弧式を,[,]P.B 

(∂F/∂qi){(/∂pi)}()|i|(∂F/∂pi){(/∂qi)} 

で定義します、
 

すると,先に与えた正準変数に対する運動方程式は, 

id[i,]P.B[i,φ]P.B λ, 

id[i,]P.B[i,φ]P.B λA と書けます。
 

この形の正準方程式からq,pの任意関数:(,) 

時間発展の方程式が,次式で与えられることがわかります。 

d[,H+φλ]P.B()||[,λ]P.Bφ
 

そこで,新たにHamiltonian,~=H+φλで定義し直せば 

右辺第2項は拘束条件:φ0を用いて落とせるので, 

d[,~]P.B と書けます。
 

等号:=でなく~を用いたのはこの式がφ(,)0の条件付き 

(,)に対してのみ成立するという意味で,謂わゆる 

「弱い等式(Weak equatuon)」であるからです。
 

誤解のないように注意すると,Poisson 括弧式自体は2N個の正準変数 

(i.j)の位相空間:Γで定義されていて,その計算の際に,予めφ0 

であることを使ってはいけません。
 

拘束条件:φ0 (A=1,2,..,1)はΓの(2N-M1)次元部分多様体 

Γを定義します。「弱い等式」:~は,変域をΓに制限したとき 

成立する等式という意味です。
 

さらにHamiltonianの定義:~=H+φλは決して恣意的なもの 

ではなく,そもそも,LagrangianからHamiltonianを決める際に 

拘束条件に比例する量だけの不定性があったのです。
 

拘束条件:φ0 (A=1,2,..,1),時間発展の方程式と無矛盾 

であるためには,φd[φ,]P.B[φ,φ]P.B λ 0 が 

満たされる必要があります。
 

ところが,この式は単に未知数:{λ}を決める1次方程式である 

場合もあれば,新たな条件式「2次的拘束条件(secondary contraints) 

を与える場合もあります。
 

つまり,未知数:{λ}を決める1次方程式の係数行列の階数; 

rank[φ,φ]P.Bをr1とすると,1≦M1ですがr1<M1なら係数 

行列;[φ,φ]P.Bは特異(非正則)で方程式が解けないからです。
 

適当に[φ]の線形結合を取り直して,拘束条件の行列を変換して 

[φ,φ]P.B  [φα,φβ]P.B=Cαβ(α,β=1,2,..,1) 

 (det(αβ)0),それ以外の要素はゼロの行列に相似変換 

できます。
 

これから[φα,]P.B+Cαβλβ べ^ 0det(αβ)0)により 

未知数:{λα}(α=1,2,..,1)を決めることができて, 

λα=~-(-1) αβ[φβ,]P.B と書けます。
 

残りの(1)-r1)個の式は,単に,[φβ,]P.B 0 です。 

もしも,この左辺の[φβ,]P.B(β=1,2,..,(1-r1))が全て 

φα(α=1,2,..,