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2018年2月 2日 (金)

ゲージ場の量子論(25)

「ゲージ場の量子論(24)」からの続きです。
 

 自由場の量子化 

これまで,ベクトル場やFermi統計に従うスカラー場の量子化 

,議論していなかったので,ここでその議論を与え,それらの 

粒子のFock空間の計量構造を明らかにしておきます。
 

まず,Lagrangian密度から相互作用を落とした自由場の部分: 

~0を見てみます。
 

~0=-(1/4)(μν-∂νμ)( μaν-∂νaμ) 

-∂μμ(α/2)(μ~)(μ)
 

通常は,μν=∂μν-∂νμ-gfabcμμ 

ですが,b=a,c=aでないなら.gfabcμμ, 

相互作用になり,自由場ということで,-gfabcμμ 

の付加項は落としました。また,物質場の部分も,ここでは 

論じないので落としました。
 

以下で説明するように,このLagrangian:~0,摂動論に 

おける,くり込まれたHeisenberg場の漸近場の挙動 

(運動方程式と交換関係)を記述するLagrangianでもあります。
 

そのとき,αはくり込まれたゲージパラメータで,これは 

初めの「裸のパラメータα:」とは異なろものです。
 

この~0で記述される自由場の運動方程式は, 

まず,~0/∂Aaμ-∂ν{~0/(νaμ)}0 

より,□Aμ-∂μ(νν)=∂μ,
 

~0/∂B-∂μ{~0/(μ)}0 より, 

μμ+α0 です。
 

~0/∂c-∂μ{~0/(μ)}0 ,および, 

~0/∂c~-∂μ{~0/(μ~)}0 より, 

□c=□c~0 です。
 

共役を取ると, 

πaμ=∂~0/(μ)d=Faμ0=-(aμ)d+∂μa0, 

π00より,の共役運動量変数はπak(k=1,2,3)のみです。
 

π=∂~0/∂Bd=-A,π=∂~0/∂cd=-i~d, 

π~=∂~0/∂c~did,です。
 

正準交換関係, 

[,πbk]iδabδjkδ3()(j,k=1,2,3 

[0,]iδabδ3(), 

{,π}{~,π~}iδabδ3()から. 

同時刻交換関係を得ます。
 

[(,),d(,)]iδabδjkδ3()(j,k=1,2,3 

[0(,),(,)]iδabδ3(), 

{(,),~(,)}{~(,),(,)} 

=δabδ3() です。
 

次に,運動方程式:□Aμ-∂μ(νν)=∂μ,  

および,μμ+α0 から 

□Aμ-=(1-α)μ,および,□B0 を得ます。
 

これは,α1ではAμが零質量のKlein-Gordon方程式: 

□Aμ0 を満たさず,□を2回演算して,初めて□2μ0 

を満たすことを示しています。
 

一般に,□Φ≠0で□2φ=0 を満たす場:φをdipole 

(ダイポール)場と呼びます。
 

また,α1のゲージをFeynmanゲージ,α0のゲージを 

Landauゲージといいます。したがって,Feynmanゲージ以外では, 

ゲージ場:μdipole成分が現われます。
 

dipoleが現われる場合(特にLandauゲ―ジは理論的には美しい) 

にも以下の分析は少し複雑にはなりますが,本質的には,同様に 

やれるので,ここでは簡単のため,以下. Feynmanゲージ:α1 

の場合に話を限ります。
 

Feynmanゲージでは,全ての場が単純な零質量場となります。
 

すなわち,□Aμ=□c=□c~0 です、 

ゲージ条件はB=-∂μμです。
 

このとき, =-∂μμから, 

[0(,),(,)]iδabδ3(), 

[0(,),-∂μμ(,)]iδabδ3() 

になりますが, [0(,),(,)]0ですから. 

これは,[0(,),00(,)]=-iδabδ3() 

を意味します。
 

そこで,[(,),d(,)]iδabδjkδ3() 

と一緒にして, 

[μ(,),νd(,)]=-iδabμνδ3() 

Feynmanゲージでの交換関係となります。
 

こうして Aμ,もc~も単に零質量のスカラー場と同じ 

運動方程式,(反)交換関係を満たすので,以前の自由スカラー場や 

電磁場の量子化で述べたように,これらは, 

μ()=∫d3{μ()()+a+aμ()()}, 

()=∫d3{()()+c+a()()}, 

~()=∫d3{~()()+c~+a()()},
 

(){(2π)320}-1/2exp(ikx), (0||) 

と展開できます。
 

展開係数は,生成・消滅演算子の()交換関係を満たします。 

[μ(),+bν()]=-δabμνδ3()  

{(),~+b()}=-{~(),+b()} 

iδabδ3() です。
 

そこで,同時刻と限らない一般の4次元交換関係やFeynman 

の伝播関数は,  

[μ(),νd()]=-iδabμν(-y), 

{(),~()}=-δab(-y) 

<0|[μ()ν()]|0>=-iδabμν(-y) 

 <0|[()~()]|0>=-δab(-y) 

となります。
 

ただし,零質量のデルタ関数:Δ,Δを特に,, 

記しました。 

()=Δ(,m=0), 

()=Δ(,m=0) 

=∫d4(2π)-4{exp(-ikx)/(2iε)} です。
 

生成・消滅演算子:μ(),+aμ()の交換関係: 

[μ(),+bν()]=-δabμνδ3()  

,以前,既に引用したものですが,後の物理的モード, 

非物理的モードの議論の際には,Lorentz添字:μ,νを直接 

使うより,横波,縦波,スカラー波という偏極成分に分解した 

方がいいと思われます。


まず,波の進行方向:に直交する平面に偏極している横波の 

独立な2つの偏極ベクトル:ε(±)μ()として,ヘリシティ 

(helicity):Jk/||の固有値:±1の固有ベクトルをとります。
I※ 左回転(),右回転()の円偏光,もう1つは固有値がゼロ  

の縦波があります。)

次元ベクトル:ε(±)()を用いて,  

ε(±)μ()[0,ε(±)()] と表わすと,kε(±)()0   

ε()() ε()()ε()()ε()()1,  

ε()()ε()()ε()()ε()()0 です。

この3次元ベクトル:ε(±)()の陽な表式は,例えばkが 

z軸(3)に平行://3とすると次式で与えられます。 

ε()()(1/2)[1,i,0], ε()()(1/2)[1,i,0], 

です。
 

残る独立な2つの偏極4元ベクトルを, 

ε()μ() =-iμ=-i[||,],  

ε()μ()=k~μ/(2||2)i[||,]/(2||2) 

と選択し,これらをそれぞれ,縦波モード(longitudinal mode) 

スカラーモード(scalar mode)と呼ぶことにします。
 

これら,4つの偏極ベクトル:ε(σ)μ()(σ=±,,) 

は次のような直交性,完全性を示します。 

すなわち,ε(σ)μ()ε(τ)μ()=-η~στ, 

Σσ,τε(σ)μ()η~στε(τ)ν()=-gμν です。
 

ただし,η~στ,η~++=η~- -1,η~LG=η~-SL1  

以外の要素は全てゼロの4×4行列の要素です。 

それ故,η~στ(η~-1) στ です。
 

この偏極ベクトルを用いてゲージ場の展開を書き直すと, 

μ()=∫d3Σσ=±,, 

{(,σ)(σ),μ()+a+a(,σ)(σ),μ()}

となります。 

ただし,(σ),μ(){(2π)320}-1/2ε(σ)μ()exp(ikx),  

(0||)です。
 

これによって,各モードの生成・消滅演算子:+a(,σ),

(,σ)を定義します。 

すると,これらに対する交換関係は,簡単な計算により 

[(,σ) +b(,τ)]=η~στδabδ3() 

となることがわかります。
 

これにより,先に導入したη~στ,1粒子状態の計量を与える 

ことがわかります。
 

よって横波状態:a+(,±)|0>は,正の計量を持ち.縦波モード, 

スカラーモードの状態は反対角な計量を持っています。
 

FPゴーストの生成・消滅演算子の反交換関係: 

{(),~+b()}=-{~(),+b()}iδabδ3() 

も反対角な計量構造を持っており,このような反対角な計量は負ノルム 

や零ノルムの状態を含むことを意味しています。
 

例えば,群の添字:aを略して, 

|LS()>=[(,)-a(,)]|0, 

|FP()>=[()i~()]|0>などは負ノルムの状態: 

<LS()|LS()>=<FP()|FP()>=-2δ3() 

です。
 

また,縦波,スカラー状態:(,)|0,(,)|0,ゴースト 

状態:() 0,~()|0>は全て,それぞれ,零ノルムで状態です
 

それ故,系のFock空間は不定計量空間(indefinite metric space) 

となります。
 

後で見るように, 

「正定値計量を持つ横波モード以外,すなわち,縦波,スカラーモード, 

および,FPゴーストモードは全て,非物理的モードで,これらは, 

|phys>=0 で指定される物理的部分空間:Physに本質的 

には現われない。」ことを証明する予定です。
 

また,偏極平面波関数: (σ),μ(),(),μ()=∂μ(), 

μ(σ),μ()=δσS()を満たすよう構成されています。
 

そのため,例えば, μ()=∫d3Σσ=±,, 

{(,σ)(σ),μ()+a+a(,σ)(σ),μ()} の両辺に 

μを作用させれば,-B()=∂μμ()=∫d3Σσ=±,, 

{(,)()+a+a(,)()}という簡単な表式が 

得られ,スカラーモードの生成・消滅演算子:+a(,),(,) 

,その名の通り,スカラーNL場:の生成・消滅演算子:a+(), 

()のマイナスに一致していることになります。 

(,)=-B()です。
 

短いですが,今日はここで終わります。


(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅰ」(培風館)

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